Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

タグ: アクション

『 ジュラシック・ワールド/復活の大地 』 -単なる過去作の焼き直し-

Posted on 2025年8月12日2025年8月12日 by cool-jupiter

ジュラシック・ワールド/復活の大地 20点
2025年8月10日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:スカーレット・ジョハンソン マハーシャラ・アリ
監督:ギャレス・エドワーズ

 

雨で駅まで行く気にならなかったため、徒歩圏内の劇場へ。昼は超絶混雑していたのでレイトショーを選択。

あらすじ

巨大製薬会社は冠状動脈疾患治療のR&Dのために陸海空の巨大恐竜の組織を必要としていた。その任にあたるのはゾーラ(スカーレット・ジョハンソン)は旧知の傭兵ダンカン(マハーシャラ・アリ)らと共に、赤道付近のとある島へと向かうが・・・

ポジティブ・サイド

映像は美しい。特にブロントサウルスの巨大さは圧倒的。『 ジュラシック・パーク 』を劇場で観た時に近い感覚を再体験できた。

 

とある恐竜の水泳シーンは斬新だった。

 

ジョン・ウィリアムズ作曲のテーマ曲が随所(一か所だけ納得はいかなかったものの)で聞けたのもよかった。

ネガティブ・サイド

前作のイナゴは結局どうなった?『 ジュラシック・パーク 』および初期三部作のメッセージだった “Life will find a way.” は残念ながら『 ジュラシック・ワールド 新たなる支配者 』と本作で完全に死んだのだと確認できた。恐竜(翼竜や海生爬虫類も含めて便宜的に総称させてもらう)が現代の環境に適応できず、赤道付近だけで細々と暮らしているとなると、雪山を元気に走り回っていたブルーとは何だったのか。

 

ギャレス・エドワーズが『 ジュラシック・パーク 』の大ファンであることは様々なオマージュから伝わってきた。発煙筒やら手やら、いろいろと懐かしいシーンが思い起こされたが、ある時点から食傷気味に。

 

また、この監督は自分のビジョンを別のキャラクターを借りて何度も再構築しようとする癖がある。巨大生物同士の愛情表現は『 モンスターズ/地球外生命体 』でこそ映えたが、『 GODZILLA ゴジラ 』では少しくどかった。本作に至っては既視感ばかりで感動がなかった(ビジュアル面だけはすごかったが)。

 

そもそも冠状動脈疾患を「治療」したいというのがいかにもアメリカ的。治療ではなく予防しろと言いたい。恐竜を研究対象にするのではなく、食習慣や運動習慣を見直せと言いたい。だいたい体が大きければ大きいほど心臓が大きくなり、心臓が大きければ大きいほど心筋が分厚くなる、ってアホかいな。脚本家は生物の循環器系の特徴を少しでも調べたのだろうか。循環の効率で言えば、大きな動物ほど心臓のサイズ比は小さくなる。犬の心臓が体重に占める割合とクジラの心臓が体重に占める割合を比較してみよ!

 

ゾーラもダンカンも恐竜など相手にしたことがないだろうに、やたら「自分たちは専門家」という態度を見せるのは何故なのか。また船内でかつての傭兵仲間や家族について語るシーンがあるが、ここで例のテーマ曲を流すのは何かが違うように思った。仲間を想うゾーラと、家族と仲間の両方を想うダンカンがそれぞれに漂流家族を守ろうとするのが、どこかちぐはぐに感じた。

 

その家族のパパも大海原に娘たちを連れ出すのもいいが、大自然および動物に対する最低限の教育はしておけと言いたい。野生動物にエサをやるな!野生動物を勝手に移動させるな!

 

生物学者のルーミスは Survival is a long shot. とご高説を垂れ流してくれるが、恐竜たち全般が捕食行動が下手すぎ。特にティラノサウルス。あんなに不器用にかみつき失敗を繰り返されると、ルーミスの演説が無意味に感じられた。またルーミスは人間の知性についても云々してくれたが、17年前にD-Rexを逃がした原因がアホみたいなゴミで、なおかつ施設の構造も人間本位ではなく恐竜本位に作られているというアホっぷり。これで人間の知性が云々と論じるのは無理がある。そのD-Rexも、人為的な変異が加えられている=必ずしも太古の環境でしか生きられない、という危険な存在であるにもかかわらず、駆除されず放置されているとはこれ如何に。

 

苦労して手に入れた恐竜の体液サンプルも全世界に公開するという。そんなことをしても、どこの研究者も受け取らないだろう。違法な手段で入手したこと間違いなしの材料で研究しようとするのはマッドサイエンティストぐらいで、マッドサイエンティストは『 ジュラシック・パーク 』でも『 ジュラシック・ワールド 』でも明確に否定された。スピルバーグやマイケル・クライトンは、何らかのアドバイスはしなかったのだろうか。

 

総評

言葉は悪いがゴミ作品である。頭を空っぽにして2時間をそれなりに楽しく過ごすことはできるかもしれないが、シリーズ、特に最初期の作品にリアルタイムに触れて感動した世代からすると、許しがたい内容だ。というか、ギャレス・エドワーズはまさにそういう世代のはずなのだが・・・ 客の入りはかなりよかったのでライトな層には響くのかもしれないが、シリーズの熱心なファンならスルー推奨である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

If you insist

直訳すれば「もしあなたが主張するなら」だが、実践的には「そこまで言うのなら」といったところ。『 トップガン 』のビーチバレーでグースがマーヴェリックに「もう1ゲームやろうぜ」と強く誘うシーンがある。マーヴェリックが受けるとすれば “If you insist, I’ll play only one more game.” のように言ったはず。飲み会で2軒目3軒目に誘われたなど、仕方ねえなあ的なニュアンスで折れる時に使おう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 桐島です 』
『 エレベーション 絶滅ライン 』
『 あの夏、僕たちが好きだったソナへ 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  
Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, SF, アクション, アメリカ, スカーレット・ジョハンソン, マハーシャラ・アリ, 監督:ギャレス・エドワーズ, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 ジュラシック・ワールド/復活の大地 』 -単なる過去作の焼き直し-

『 スーパーマン(2025) 』 -リブート失敗-

Posted on 2025年7月14日2025年7月14日 by cool-jupiter

スーパーマン(2025) 30点
2025年7月12日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:デビッド・コレンスウェット レイチェル・ブロズナハン ニコラス・ホルト
監督:ジェームズ・ガン

 

『 ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』のジェームズ・ガンが、DCEU最強の男をリブート。結果は惨憺たるものだった。

あらすじ

普段は新聞記者のクラーク・ケント、しかしその正体はクリプト人のスーパーマン(デビッド・コレンスウェット)は、他国の紛争に未然に介入する。それにより同僚かつ恋人のロイス・レイン(レイチェル・ブロズナハン)からインタビューを受けるが・・・

ポジティブ・サイド

リブートされた世界ということでスーパーマンのオリジンについてスリム化して、ナレーションで終わり。これには別の狙いもあったのだが、『 スパイダーマン 』や『 バットマン 』がリブートされるたびに謎のクモに咬まれたり、両親が射殺されたりといったシーンを見せられるのにはウンザリしていた。誰もが知るヒーローの物語の導入はこれぐらい軽くても構わない。

 

スーパーマンを演じたデビッド・コレンスウェットは、憂いを帯びたカヴィルとは違い、スーパーマンのスーパーな部分ではなくマンの部分を大いに強調したキャラを打ち出した。それはそれでアメリカの今を映し出しているとも言える。世界の警察を公式にやめたアメリカは、その力をどのように振るうべきなのか、あるいは振るわないでいるべきなのか。

 

ミスター・テリフィックは初めて知ったが、なかなか味のあるキャラだと感じた。

ネガティブ・サイド

スーパーマン&ロイス・レイン&ジャスティス・ギャングのノリが、まんま『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 』で、ちょっとついていけなかった。ここらへんは波長が合うか合わないかの問題で、作品の良し悪しではなくテイストの問題。

 

しかし、開始1分でスーパーマンの敗北が描かれるのは、まあ良いにしても、その相手がウルトラマンとはこれ如何に?さらに次に送り込まれるレックス・ルーサーからの刺客がKaiju?訳が分からん。その怪獣もジャスティス・ギャングによって意味不明な倒され方をする。ジャスティス・ギャングが強いのか弱いのか、まったく伝わってこない。

 

謎のポータルの先にあるポケット・ユニバースも気に食わない。別の次元が云々をやり始めたら、MCUと同じように franchize fatigue = シリーズ疲れを生み出すのは間違いない。このポケット・ユニバースにはブラックホールに流れ込む反陽子の河があり、「ははあ、反陽子(別に陽電子でも何でもいい)があるということは、ここからウルトラマンを連れてきたのか」と一人で納得していたが、実態はさにあらず。種明かしはされたものの、「それはもうジーン・ハックマンが三作目でやったやろ・・・」という内容。

 

そのレックス・ルーサーもなんか違う。ジーン・ハックマンのようなユーモラスなヴィランでもなく、ジェシー・アイゼンバーグのようなナチュラルに狂った天才型でもなく、どこか特徴に乏しかった。ルーサーの本領はビジネスや政治以上に、サイエンスにあるはずだが、恋人関係やら何やかやを盛り込みすぎて、芯のはっきりしたヴィランになっていなかった。

 

スーパーマン自身の葛藤を描くのは全然かまわないのだが、生みの親か、それとも育ての親かというテーマは『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 』のスター・ロードで一度追求した。今回も全く同じテイストでそれをやるというのは、首尾一貫していると見るべきか、それともワンパターンと言うべきか。まあ、後者か。そのスーパーマンは最後の最後に一種の胎内回帰願望というか幼児退行というか、とにかく( ゚Д゚)ハァ?という反応を見せて終わる。ロイス・レインは恋人を手に入れたと思ってはならない。そこにいるのは、頼りになる恋人ではなく、ただのでかい息子である。

 

総評

最初から最後まで訳が分からないままに進み、訳が分からないままに終わった。そんな印象である。アクションも特に目を引くものがなく、ミスター・テリフィック以外に魅力のあるヒーローやメタヒューマンも見当たらない。DCはジャスティス・ギャングではなくジャスティス・リーグの続きを描くべきだった。おそらく次のスーパーマンもリブートになることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Martian

火星=Marsの形容詞にしてデモニムである。劇中の字幕でルーサーのセリフに火星人が出てくるが、彼はVenusian=金星人と言っていなかっただろうか。ちなみにJovianというのは木星=Jupiterの形容詞にしてデモニムである。なぜJupiterianではないのか。それはラテン語のIuppiter(イウッピテル)が、Iovis, iovi, iovem, ioveと変化することに由来するからである。英語オタクあるいは古代ローマオタク以外には無用の知識である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 この夏の星を見る 』
『 愛されなくても別に 』
『 ハルビン 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  
Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, アクション, アメリカ, デビッド・コレンスウェット, ニコラス・ホルト, レイチェル・ブロズナハン, 監督:ジェームズ・ガン, 配給会社:ワーナー・ブラザーズ映画Leave a Comment on 『 スーパーマン(2025) 』 -リブート失敗-

『 脱走 』 -南へ向かう理由とは-

Posted on 2025年6月27日2025年6月27日 by cool-jupiter

脱走 65点
2025年6月22日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イ・ジェフン リ・ヒョンサン
監督:イ・ジョンピル

 

『 サムジンカンパニー1995 』のイ・ジョンピル監督作品ということでチケット購入。

あらすじ

除隊を目前に控えたギュナム(イ・ジェフン)は密かに脱北を計画していた。しかし、同じく脱北をもくろむ部下に計画を見破られたギュナムは、二人での脱出を提案する。あえなく発見された二人だが、ギュナムは脱出者を発見した英雄として扱われてしまい・・・

ポジティブ・サイド

北と南の反目と融和は数々の韓国映画のテーマだが、脱北する兵士に焦点を当てるのは珍しい。ウクライナでもロシアでもひと頃は脱走兵が盛んにニュースになっていたが、軍から逃げたくなるのは決して珍しいことではないはず。北朝鮮のように先軍政治などといって、国家まるごと軍のようなところなら、それこそ亡命したくなって当たり前。本作はなぜ北から逃げ、南を目指すのかについてユニークな答えを呈示してくれる。

 

除隊してしまっては国境線近くの基地から離れてしまい、38度線を超えるのが難しくなる。雨が降ってしまってはせっかく作った地雷原の地図が無駄になってしまう。様々な制約から、もう今しかないというタイミングでの脱北は緊迫感抜群。そこからのプチドンデン返しと、旧友が追手になって迫ってくる展開も手に汗握る。この旧友がとある特技の持ち主なのだが、それが追跡部隊の司令官として生きているところも見逃せない。逃げる側と追う側の個人的な信念が対照的で分かりやすい。つまるところエーリッヒ・フロムの『 自由からの逃走 』の反対なのだ。世界がナショナリズムに回帰しつつあり、そこにファシズムの萌芽も見られる今、本作は自由について考えるきっかにもなりうる。

 

主人公はどこかで見たことのある顔だと思ったら『 建築学概論 』の気弱男ではないか。本作では部下に優しい上官ながら、相手を欺く際には大胆に振る舞い、対決すべき相手には敢然と立ち向かうという、いくつもの顔を見せた。最後に見せる、とある家族への顔、そして誰もいない中で自分だけに見せる顔と、とにかく多彩な表情を使い分けた。北でも南でも、人間は人間。そして人間である限り、一つの顔しか持てないなどということはない、というのが本作のメッセージの一つなのだと思う。

 

ネガティブ・サイド

ちょっと設定に無理がある。そもそも軍隊は四六時中臨戦態勢なわけで、ギュナムがあんなに夜な夜な集団の寝所、さらには基地すらも抜け出して、地雷原の地図の製作に邁進できるものなのか。その地図も底なし沼でびちゃびちゃのボロボロにはならなかったのか。

 

また、ギュナムの射撃の腕前が笑ってしまうほどに良い。良すぎる。スコープ付きのライフルで照準をしっかり定めて撃つスナイパーよりも軽々と遠方の的に当ててしまうのは、いくらなんでも非現実的すぎる。

 

途中で仲間になった連中の結末を暗示程度でよいので映し出してほしかった。

 

総評

脱北のしんどさがよく分かる一作。成功や自由を夢見ての逃走ではなく、成功の手前の段階、あるいは自由の代償を求めての逃走になっている点がユニーク。韓国も『 ソウルの春 』が続けば、北朝鮮のようになっていたのだろうか。平和日本の今に完敗したくなると共に、平和しか知らない日本に一抹の不安も覚える。倒れても立ち上がれるのが本当の意味での良い社会。本邦はどうか。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヒョン

兄の意味だが、必ずしも血のつながりはなくてもよい。日本語で年長の男性に親しみと敬意をこめて兄貴と呼ぶのと同じこと。そういえば「俺のことはヒョンと呼べ」と言ってくれた韓国系アメリカ人の元同僚は元気にしているだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ラブ・イン・ザ・ビッグシティ 』
『 28年後… 』
『 フロントライン 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  
Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アクション, イ・ジェフン, リ・ヒョンサン, 監督:イ・ジョンピル, 配給会社:ツイン, 韓国Leave a Comment on 『 脱走 』 -南へ向かう理由とは-

『 ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング 』 -Adios, Luther-

Posted on 2025年5月27日2025年5月27日 by cool-jupiter

ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング 70点
2025年5月24日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:トム・クルーズ
監督:クリストファー・マッカリー

 

トム・クルーズが好き勝手にやるためのシリーズ。前作『 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 』のPART TWOではなく、ファイナル・レコニングというサブタイトルが意味深長である。

あらすじ

エンティティの秘密につながる鍵を手にしたイーサン・ハント(トム・クルーズ)だが、核保有国が疑心暗鬼に陥り、アメリカも先制攻撃を辞さないという姿勢に。イーサンはエンティティを使っての世界支配をもくろむガブリエルを追うために、米大統領の呼びかけに応じて・・・

ポジティブ・サイド

かなり丁寧に導入部を描いてくれたおかげで、前編の記憶が割と簡単によみがえってきた。同じように感じた観客は多かったと思われる。

 

前作で少し分かりにくかった脅威が、今作では核保有国全ての核兵器がエンティティに乗っ取られる恐れありという非常に分かりやすいものだった。『 ミッション・インポッシブル フォールアウト 』では世界最大の水源の汚染が目論まれたが。今回はターミネーター並みに分かりやすい破滅のビジョン。

 

とにかくアクションの連続で、イーサンが走って走って走りまくる。トム・クルーズが普段から相当に節制していること、そして映画作りに情熱を注ぎ込んでいることがこれでもかと伝わってくる。地上のみならず、海でも空でも大暴れ。特に空では『 トップガン マーヴェリック 』を超えるアクロバティック飛行を見せてくれた。

 

新キャラをチームに入れたが、ルーサーとベンジーの御両所がそろっていれば、それだけで満足。続編が作られるかどうかはトム・クルーズのみぞ知る。

ネガティブ・サイド

『 デッドレコニング 』のキャラクターから引き続き登場すべきだったヴァネッサ・カービーが一切姿を見せなかったのは何故なのか。

 

散々イーサンを引っ掻き回したガブリエルの最期が恐ろしいほどに呆気ない。もっと悲惨な死に方をしてほしかった。

 

世界よりもチームを優先してきたイーサンが、チームをベンジーに託すというのは半分は納得できたが、半分は納得できなかった。

 

総評

非現実的なアクションシーンは多々あれど、3時間近い映画で緊張感を持続させながらも一定の満足感を与えてくれる作品に仕上がっているのは間違いない。土曜のレイトショーでもかなりの客の入りで、トム・クルーズの star power を目の当たりにした。『 ミッション・インポッシブル フォールアウト 』を遥かに超える危機を防いだわけで、これでシリーズの幕となっても不思議ではない。シリーズファンならずとも必見と言いたいが、実際はシリーズの予習が必須となっているので、そこは注意のこと。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

in the field

現場で、の意味。フィールドには野原の意味もあれば分野という意味もあるが、このフレーズには現場という意味がある。ちょうど新入社員が研修を終えて部署に配属されつつある時期だが、営業などは商談研修のイロハを終えて、これからOJTが始まるのだろう。ちゃんとした先輩に同行して in the field で商談や交渉の何たるかを学んでほしいものである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 新世紀ロマンティクス 』
『 金子差入店 』
『 か「」く「」し「」ご「」と「 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  
Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アメリカ, トム・クルーズ, 監督:クリストファー・マッカリー, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング 』 -Adios, Luther-

『 サンダーボルツ* 』 -ヒーローとしても人間としてもしょぼい-

Posted on 2025年5月18日2025年5月18日 by cool-jupiter

サンダーボルツ* 40点
2025年5月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:フローレンス・ピュー
監督:ジェイク・シュライアー

 

Friday Nightに何となく鑑賞。かなりビミョーな出来だった。

あらすじ

虚無感に苛まれるエレーナ(フローレンス・ピュー)は、CIA長官ヴァレンティーナから裏稼業に生きていた。足を洗おうと最後の仕事に向かった先で、自分と同じくヒーローではない者たち、そして記憶を失ったボブに出会う。窮地に陥った彼らは団結することを余儀なくされ・・・

ポジティブ・サイド

一応、『 キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド 』の直後の世界らしい。怪物が出現しても、それを食い止めるアベンジャーズはもういない、というところから始まるのは分かりやすい。

 

これまでは正義の対極にあるのは別の正義というテーマを追い求めるところもあったMCUだが、今作は一気に「この世は悪とそれ以上の悪で成り立っている」という命題に振り切った。これは潔い。『 ダークナイト 』では正義の存立のためには悪が不可欠だと喝破されたが、サノス不在、カーンが役者都合により退場となった今、悪の対極に正義を持ってくるのは難しい。なのでヴィランの集団を持ってきたことには必然性が認められる。

 

そのヴィランたちが単なる悪ではなく、それぞれに異なる虚無感やトラウマを抱えているのも、スーパーヒューマンではない人間らしさがある。悪人を作るのは、個人の心性ではなく環境や境遇にある。かつてのスティーブ・ロジャースも、戦争という状況に立ち上がって、キャプテン・アメリカになった。それとある意味同じことがサンダーボルツの面々にも起きていたのである。

 

ネガティブ・サイド

本作には二人のヴィランが存在する。一人はCIA長官のヴァレンティーナ。もう一人は、セントリー計画で生み出されたセントリー。このセントリーの強さがよく分からなかった。サイコキネシスで遠くにあるグラスを割ったと思った次のシーンでは、かつてのアベンジャーズ全員を合わせたよりも強いと称されるのは、さすがに飛躍があり過ぎ。拳の勝負でハルクに打ち勝ったサノスに比べて、全員が生身の人間よりちょっと強い程度のサンダーボルツを圧倒しても、それが脅威だとは思えない。

 

そもそも『 スーサイド・スクワッド 』とコンセプトが同じで、上司が小悪党の女性という点でも同じ。また『 スーサイド・スクワッド 』にはエル・ディアブロが、『 ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』ではキング・シャークなど、明らかに人間を超えた強さのキャラがいたが、サンダーボルツにはそうしたキャラはゼロ。この時点でセントリーを倒す方法が精神攻撃しかないことがすぐに分かる。それはそれで各キャラの深掘りというサブプロットとも結びついてはいるものの、爽快感などはまったく無し。エンタメとしては失敗だろう。

 

個人的にはレッド・ガーディアンがうるさすぎて辟易した。元々こういうキャラなのだろうが、単純に不快だった。中心キャラのエレーナの内面もイマイチ。一年間音沙汰のなかった父親に対して不満たらたらだが、だったらほとんど家族として過ごしてこなかった義理の姉の死になぜそれほどの虚無感を抱くのか。キャラに個性はあったが、個性があるからと言ってよいキャラであるとは限らない。

 

総評

本作は結局のところ、次なるヴィラン登場のためのつなぎの作品。MCU的には重要なのだろうが必須とまでは思えない。アクションシーンでも見どころと言えるのはバッキーぐらい。それも一瞬。フライドポテトとゼロのコーラを片手に金曜の夜に鑑賞した。ということは、前々からスケジュールを吟味して土曜や日曜の昼間に見に行くような作品ではないということ。MCUの大ファン以外は配信やレンタルを待つのが吉だろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

squeaky clean

手で触るとキュッキュッという音がするほどキレイ、という意味。セサミストリートのエルモが風呂に入って「squeaky clean になった」と言ったり、あるいはコロナ禍にやはりエルモが手洗いをのデモンストレーションをして「手が squeaky clean になった」などとも言っていた。全身が毛でふさふさのエルモがどうやってキュッキュッと音がするほどキレイになれるのか、などと問うてはいけない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 新世紀ロマンティクス 』
『 金子差入店 』
『 タイヨウのウタ 』

 

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  
Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アクション, アメリカ, フローレンス・ピュー, 監督:ジェイク・シュライアー, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 サンダーボルツ* 』 -ヒーローとしても人間としてもしょぼい-

『 RRR 』 -劇場再鑑賞-

Posted on 2025年4月29日2025年4月29日 by cool-jupiter

RRR 85点
2025年4月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr. ラーム・チャラン
監督:S・S・ラージャマウリ

 

『 RRR:ビハインド&ビヨンド 』に触発されて再鑑賞。

あらすじ

1920年、英国植民地下のインド。英国人に買われていったマッリを救おうとするビーム(N・T・ラーマ・ラオ・Jr.)と、英国政府に仕え、インド人暴徒を鎮圧する警察官ラーマ(ラーム・チャラン)。二人は事故に巻き込まれた少年を協力して救ったことから無二の親友となる。しかし、お互いが自分の使命を果たさんとする時、遂に二人は激突することになり・・・

ポジティブ・サイド

自分の過去の鑑賞記事を読んで、「インドの映画人は自らのビジョンを具体化するのに一切躊躇がない。これはS・S・ラージャマウリ監督だけかな」という記述に出くわす。ビジョンは『 RRR:ビハインド&ビヨンド 』のキーワード。それを読み取れていた自分を褒めてやりたい。

 

面白いシーンは何度見ても面白い。メイキングのドキュメンタリーを鑑賞したことで、BGMや美術の仕事にも注目できたし、CGかと思わせて、実はオーガニックな手法で生み出されていたシーンには改めて目を奪われた。特に火と水が文字通りにぶつかり合う庭園での激突シーンは鳥肌ものだった。

 

その一方で再鑑賞することで見えてきたものも多数あった。ちょっとした台詞が伏線になっていたり、とある構図がその後に少し形を変えて再現されたり。特に感じ入ったのはシータとラームのやりとり。彼女がとっさに機転を利かして英兵を追い払ったことが「お前の勇気が私の勝利につながる」という台詞の実現だったと気付いて唸った。

 

友情と使命のせめぎ合いと、互いの協力による超絶アクション。Blu-rayの購入は待ったなしである。あともう一回くらい劇場鑑賞したい。

ネガティブ・サイド

ジェニーとスコット夫妻の関係が何であるのかを明示してほしかったと思う。

 

総評

塚口サンサン劇場では終映後に拍手が自然発生していたし、劇場の外でもすべての観客の顔に笑顔が見られたし、なんやかんやと映画の感想を語り合うナードたちの姿も見られた。異例のロングランは固定客も新規ファンもどちらも喜ばせているようである。日本は近代への移行の最終盤が無血だったり、植民地支配も免れてきたが、世界の多くの国はそうではないと知るべきだ。本作は超絶エンターテイメントでありながら、歴史の教科書にもなりうる大傑作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Don’t call me Madam.

「私をマダムと呼ばないで」の意。callはしばしば call A B の形でAをBと呼ぶという意味になる。ニックネームがある人は Call me ニックネーム と言って、そのニックネームで呼んでもらうと良い。Don’t call me junior! がどの映画の誰のセリフか分かれば、あなたはハリソン・フォードのファンである。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 異端者の家 』
『 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は 』
『 ゴーストキラー 』

 

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  
Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, N・T・ラーマ・ラオ・Jr., アクション, インド, ラーム・チャラン, 歴史, 監督:S・S・ラージャマウリ, 配給会社:ツインLeave a Comment on 『 RRR 』 -劇場再鑑賞-

『 アマチュア 』 -知力で戦え-

Posted on 2025年4月16日2025年4月16日 by cool-jupiter

アマチュア 70点
2025年4月12日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ラミ・マレック ローレンス・フィッシュバーン
監督:ジェームズ・ホーズ

 

『 ボヘミアン・ラプソディ 』のラミ・マレック出演作ということでチケット購入。

あらすじ

CIAで暗号分析官を努めるチャーリー(ラミ・マレック)は、ロンドン出張中の妻がテロリストに殺されたことを知らされる。妻の復讐を自らの手で果たすため、CIAのトレーニングを受けようとするチャーリーは、教官のヘンダーソン(ローレンス・フィッシュバーン)と出会うが・・・



ポジティブ・サイド

見始めて少し経つまで、これが小説『 チャーリー・ヘラーの復讐 』だと気付かなかった。『 100冊の徹夜本 』の中で触れられていたので、高校生の時に岡山市内の古本屋で買ってもらって読んだことをうっすら覚えている。とにかく知力だけで戦う話だった。今作でも、舞台が現代で、テクノロジーも当然現代のものだが、チャーリーの戦い方は知力オンリー。そこが『 アメリカン・アサシン 』との違いで、本作のユニークなところ。

 

協力者のインクワラインと共に4人の標的を追っていくが、ド派手アクションに走る前のM:Iシリーズの趣きが感じられ、サスペンスフルだった。実際に女性(テロリストだが)相手にも組み負けてしまうチャーリーは非常にリアルで、だからこそナードやギークの星たりえる。ピッキング動画を視聴しながら、実際に解錠するシーンは笑った。Jovianの友人にも、パソコンの分解動画を見ながら、実際にパソコンを分解する男がいるので、このシーンは可笑しみがありつつも説得力があった。

 

原作小説では確かCIAから見捨てられるような展開だった気がするが、今作ではそのCIAを、ある意味ではテロリスト以上の悪に描いている。その背景も実際にあってもおかしくないような設定で、情報というものに信が置くことが難しい現代という舞台に、原作の設定を見事に着地させているという印象。

 

標的の最後の一人から思わぬ逆襲を食らうチャーリーが、見事な機転で危地を脱する展開には唸らされた。現代は技術全盛で、特にコンピュータ関連の知識とスキルはそのまま金になるし、使い方を変えれば武器にもなる。PCオタクでも愛する人の敵を討つヒーローになれるのだと新しく示してくれたのは一つの功績であると思う。

 

ネガティブ・サイド

偽造パスポートを作った当のCIAが、その偽造パスポートが使われた場所や日時を特定できないとはこれ如何に。

 

また、マスクやサングラスでいくらでも隠しようのある顔をシステムで追うのも疑問。邦画『 プラチナデータ 』はイマイチだったが、歩き方でターゲットを補足しようというアイデアには先見の明があった。実際にCIAは職員のそうしたデータを持っているはずなのに、なぜそれを活用しなかったのか。

 

協力者のインクワラインの出番がもう少し欲しかったと思う。

 

総評

普通に面白い作品。スパイやエージェントでありながら各地でドンパチ(本作にもちょっとそういうシーンはあるが)やる映画とは違い、知識と技術さえあれば圧倒的な暴力にも対抗できるのだ、という物語そのものに爽快感がある。『 ベテラン 』『 プロフェッショナル 』など強そうなタイトルと同時上映されているが、『 アマチュア 』にはアマチュアの良さがあるのだ。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Keep your head on a swivel.

『 ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 』でも紹介した表現。周囲への警戒を怠るな、の意味。PS2のゲームのAce Combat 04とAce Combat 5で使われている。AIに尋ねたところ、軍事や警察以外でも、文脈さえ正しければ As a sales rep, you really need to keep your head on a swivel to pick up on any business trends. のように使ってもいいそうである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 悪い夏 』
『 片思い世界 』
『 シンシン/SING SING 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  
Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アメリカ, サスペンス, ラミ・マレック, ローレンス・フィッシュバーン, 監督:ジェームズ・ホーズ, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 アマチュア 』 -知力で戦え-

『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』 -続編にも期待大-

Posted on 2025年4月13日 by cool-jupiter

ベテラン 凶悪犯罪捜査班 75点
2024年4月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ファン・ジョンミン チョン・ヘイン
監督:リュ・スンワン

 

『 ベテラン 』の続編。前作のキャラや要素を引き継ぎつつ、ドチョルの「私」の部分が掘り下げられた秀作だった。

あらすじ

罪を犯しながら法で裁かれない悪人たちが次々に殺害された。ヘチと呼ばれる実行者に世論は沸騰。そんな中、かつてドチョル(ファン・ジョンミン)らが逮捕したチョン・ソグが殺人の刑期を終えて出所。世論はヘチによるチョン・ソグへの私刑を支持。ドチョルたちは新人警官パク・ソヌ(チョン・ヘイン)を交えてチョン・ソグの警護に当たるが・・・

ポジティブ・サイド

コメディ全開のオープニングのアクションから一転、韓国社会の世論を大いに喚起させる凶悪連続殺人犯の出現で、そうしたムードは一変。そしてまさかのチョン・ソグの再登場に観ている側の怒りのボルテージも上がっていく。そしてヘチの標的であるチョン・ソグの警護にあたるドチョルの怒りのボルテージも当然ながら上がっていく。キャラと観客の感情をシンクロさせる手法はシンプルだが効果は抜群。

 

ヘチの正体は一番最初の目のシーンだけでほとんど明示されているわけで、ある意味、それに気付かないドチョルたちチームのメンバーに「おい、早く気付け」と観ているこちらがやきもきしてしまう。これもサスペンスを盛り上げる手法としてシンプルながら効果は抜群だ。

 

YouTuberが派手に騒いで収益を狙うというのは日本も韓国も同じ。迷惑系配信者のジョニー・ソマリへの攻撃などを見ると、韓国のYouTuberは日本のYouTuberよりも狂暴で、民度としてはいかがなものか。まあ、日本の方はそういう輩が選挙に出てきたりするので迷惑度としては五分五分か。ただ、YouTubeやソーシャルメディアのおかげで、偏った形とはいえ世論がある程度見える化されたことをそのまま映画に持ち込んだのは非常に現代的。日本も『 白ゆき姫殺人事件 』をバージョンアップさせたような作品作りが求められる。

 

韓国では当たり前のように軍隊上がりがいるので、『 殺人鬼から逃げる夜 』のように一般人が腕っぷしの強さを見せることに違和感がない。本作はそれに加えて前作通りの「痛みが見る側にダイレクトに伝わる」アクションを徹底。事件を解決して「よっしゃー!」ではなく、「疲れた」となるところが面白く、かつリアルだった。

ネガティブ・サイド

ヴィランの魅力というか、悪が悪として躍動する様は前作の方が上だった。日本でもねずみ小僧のような義賊がもてはやされた時代があったが、今作のヘチは民衆に還元するのではなく、単なる自己満足に見えなかった。

 

チョン・ソグはどうやって誘い出された?仮にクローン携帯だとして、たとえばソグの母親の携帯はどうやってクローンしたというのだろうか。

 

総評

チームとしての活躍や一体感もさらにアップ。加えて、こちらの見たかったドチョルの「私」の部分、すなわち夫および父親としての部分が、物語に大きく関わっている。事件を解決した時にドチョルがチームに対して見せる顔、そして家族に対して見せる顔が、非常に対照的で印象的だった。続編は「ドチョル、最後の事件」的に5~6年後かと思ったが、割と早くに実現しそう。こちらも制作と公開が待ちきれない。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

パリパリ

早く早く、の意。日本語と同じで二回繰り返すことが多い。韓国の映画やドラマを観ていると、かなりの頻度で使われていることが分かる。大阪と同じで、いらち(せっかち)が多いのだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 悪い夏 』
『 アマチュア 』
『 片思い世界 』

 

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  
Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, チョン・ヘイン, ファン・ジョンミン, 監督:リュ・スンワン, 配給会社:KADOKAWA, 配給会社:KADOKAWA Kプラス, 韓国Leave a Comment on 『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』 -続編にも期待大-

『 ベテラン 』 -再上映に感謝-

Posted on 2025年4月8日2025年4月8日 by cool-jupiter

ベテラン 75点
2025年4月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ファン・ジョンミン ユ・アイン
監督:リュ・スンワン

 

『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』上映前に前作を劇場で再公開。ありがたい。こういうリバイバル上映はもっと行われてほしい。

あらすじ

広域捜査隊員のドチョル(ファン・ジョンミン)は、とあるパーティーで大企業幹部のテオ(ユ・アイン)と出会い、犯罪の臭いを嗅ぎつける。そのテオの関連会社勤務で、ドチョルとも旧知のトラック運転手が自殺した。事件の背後にテオの存在を確信するドチョルは捜査を始めるが・・・

ポジティブ・サイド

冒頭の警察らしからぬドチョルのおとり捜査に、直後のキレッキレのアクション、そして締めのユーモアと、冒頭から楽しませてくれる。

 

そんなドチョルが今作のヴィランのテオとパーティーで顔を合わせるシーンは、コメディ要素の強かった本作を一気にサスペンス風味に塗り替えた。骨の髄まで甘やかされた、腐った小悪党に見えたが、演じたユ・アイン自身が麻薬私用で起訴されているではないか。まあ、悪人が悪を演じるのもエンタメの一つの形かもしれない。

 

それにしても、あの手この手で捜査する警察側を、シンジン物産は先回りして潰してくる。メディアや警察の上層部まで押さえているから始末に負えない。財閥が圧倒的な強さを誇示する韓国らしい。労働者を労働者ではなく人権のない奴隷であるかのように扱う姿勢に、観る側は怒りを燃やし、被害者に共感し、主人公を応援したくなる。

 

本作ではドチョルの妻と、被害者の妻、二人の妻の見せ場が見どころになっている。これによってさらに主人公と被害者への共感が深まっていく。一歩で悪役のテオは、その悪魔的な所業をさらに加速させていく。しかし、チーム長や庁長は頼りにならない・・・と見せかけて、クライマックス前にお互いの絆と信頼の強さをコメディ全開で披露しあう展開には笑った。

 

最後は力で強行突破。逃げるテオと追うドチョル。拳と拳の勝負・・・に、ちょっとした変化球あり。それにしても、派手に殴り合うだけではなく、観る側に「痛い!」と思わせる絵作りの上手さよ。リーアム・ニーソンやジェイソン・ステイサムの映画のアクションとは質が全く異なっている。邦画もこうした格闘アクションは上手く咀嚼して取り入れてほしい。

 

出演陣もかなり豪華。この人が出ていればだいたい面白いこと確定のユ・ヘジンに、勝手に韓国の北村有起哉認定しているオ・ダルス、悪人から善人まで何でもござれのチョン・マンシク、その他、映画やドラマで見かける面々。それらをすべて包み込む、大らかで優しく、しかし悪は決して許さない一本気の刑事を演じたファン・ジョンミンはやっぱりかっこよかった。

 

ネガティブ・サイド

直接的に見せているわけではないが、動物虐待のシーンがあるのがしんどい。

 

『 犯罪都市 』より本作の方が先とはいえ、取り調べ中の暴力というのはいかがなものか。

 

最終盤にびっくりする人物が登場するが、「あっさり引き下がるんかーい」とズッコケてしまった。ファンサービスとしては嬉しいが、このシーンはカットで良かったのでは?

 

総評

いかにも韓国らしい、金持ち=悪をぶっとばすという勧善懲悪劇。ファン・ジョンミン演じるドチョルの刑事としての腕っぷし、義侠心、仲間意識、さらに夫として、父親としての心構えまで堪能できる。ベテランが何を指すのかはよくわからないが、『 終末の探偵 』的な面白さ、つまり主人公に魅力があり、シリーズ化してほしいと感じた。今週末の続編公開が待ち遠しい。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヒョン

兄の意。血のつながりがなくても使える表現。男→男で使われる。劇中ではドチョルがチーム長をヒョンニムと敬称付きで呼んでいたが、字幕は「先輩」となっていた。日本語で「兄貴」と呼んでしまうとヤクザっぽいからか。ちなみに女→男では「オッパ」となる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ケナは韓国が嫌いで 』
『 悪い夏 』
『 ベテラン 凶悪犯罪捜査班 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  
Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アクション, ファン・ジョンミン, ユ・アイン, 監督:リュ・スンワン, 配給会社:KADOKAWA, 配給会社:KADOKAWA Kプラス, 韓国Leave a Comment on 『 ベテラン 』 -再上映に感謝-

『 キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド 』 -ドラマ視聴はなしでもOKかも?-

Posted on 2025年2月19日 by cool-jupiter

キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド 50点
2025年2月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:アンソニー・マッキー ダニー・ラミレス ハリソン・フォード 平岳大
監督:ジュリアス・オナー

MCUは卒業したつもりだったが、ハリソン・フォードの最後の作品だということで急遽チケットを購入。

 

あらすじ

新たなキャプテン・アメリカとなったサム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)は、二代目ファルコンのホアキン・トレス(ダニー・ラミレス)と共にアダマンチウムを奪取しようとするサーペントを撃退。米大統領のロス(ハリソン・フォード)は国際協調の下、アダマンチウムの精製と分配を呼びかける。しかし、その会議の最中、ロスに対する襲撃が行われ・・・

 

ポジティブ・サイド

ファルコンがシールドとキャプテン・アメリカの称号を引き継いだことは『 アベンジャーズ / エンドゲーム 』で明示されていたが、その後のTVドラマはまったく追いかけていない。それでも何となくその世界に入っていけるのは、キャラがそれだけ立っているからだろう。

 

『 トップガン マーヴェリック 』のダニー・ラミレスが二代目ファルコンというのも興味深い。原作の漫画がどうなっているのかは知らないが、彼が3代目のキャプテン・アメリカを襲名する可能性もあると考えると、白人→黒人→ヒスパニックという米国のマジョリティの変遷と重なるようで面白い。

 

冒頭のサムの格闘シーンも、かなりスティーブ・ロジャーズ寄りで、闘い方までキャップに似せている。しかし強敵とのバトルを経て、一種の強化人間であるスティーブと生身のままのサムの違いに、サムは葛藤する。タイムスリッパ-のスティーブの苦悩とは違い、非常に人間的で、このあたりにも現代的なスーパーヒーローらしさを感じる。また、その懊悩に対して思わぬ人物からのアドバイスも。おそらくドラマを観ていないと背景が分からないが、Jovianの隣の席の若い男性がそのキャラの登場に度肝を抜かれた様子だった。

 

融和協調路線の大統領がレッド・ハルクと化すのも、民主党のバイデン政権から共和党のトランプ政権への移行を見ているようで面白かった。サディアス・ロスという人物も、気難しいことで知られるハリソン・フォードの素を見ているようで楽しかった。ハルクとファルコンでは勝負にならないはずだが、二代目キャプテン・アメリカとレッドハルクなのでそれなりの勝負になっていてもそこまで違和感はなかった。

 

ネガティブ・サイド

『 エターナルズ 』の続きものということで、生まれそうになっていたセレスティアルが石化してそのまま、という世界。そこでヴィブラニウムを超えるアダマンチウムを発見・・・と、ワカンダの超技術を否定するような導入には眉を顰めざるを得ない。キャップから受け継いだ盾よりも強い武器や防具が出てくる?世界観をぶち壊しではないか。

 

平岳大演じる尾崎首相があまりにもファンタジー。流ちょうに英語を操る政治家はちらほらいるが、アメリカ大統領に毅然と立ち向かえる政治家はいない。ロンヤス以降、小泉とブッシュ、安倍とトランプのような蜜月はあったが、決して対等な関係ではなかったし、強気に物申したこともない。加えて日本の自衛隊がアメリカの誤射(と言っていいのかどうか)に対して即座に反撃を決断。艦に防衛大臣が乗っていたとでもいうのか。日本の描かれ方が、いつもとは違う意味でリアリティに欠けていて、はっきり言ってつまらなかった。

 

アベンジャーズの再結成の機運を盛り上げたいのは分かるが、そこでは政治的な意思決定の下で動くべきなのか、それとも自らの正義を執行するために動くのかがテーマになる。それはそのまま『 シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ 』のテーマだった。経営者で現代人であるトニー・スタークとは対照的に、独ソ不可侵条約がドイツによって一方的に破られたり、あるいはポツダム宣言が時の日本の内閣によって無視されたりといったことをリアルタイムに目撃し、それらが更なる悲劇につながったこともリアルタイムで経験したスティーブの対立だった。サムにはそうした体験や正義感がないし、対立軸も存在しない。正直なところ、キャプテン・アメリカとしては力不足に感じられて仕方なかった。また、エターナルズという「サノスなんか俺らにかかれば余裕」という連中の後の世界を引き継いだというのも、そうした印象をより強めている。

 

総評

つまらないことはないが、面白くもない。そういう作品である。サム・ウィルソンに欠けている対立軸は、今後登場がほぼ確定のマルチバースの世界のヒーローたちになるのだろうが、マルチバースはもう十分。やるとすればヴィランとの対立ではなく自分との対立ということになるのだろうが、それは『 デッドプール&ウルヴァリン 』でデッドプールが先にやった。続編は見ない可能性の方が高いかな。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

pull the strings

「~について裏で糸を引く」ということ。日本語の慣用表現とそっくりなのは、どちらかがどちらかを訳して取り入れたからか、それとも共通の由来を持つのか。映画やドラマ、小説で ”It was her. She’s been pulling all the strings from the beginning.”  のような感じで普通に使われる表現だが、検定試験には出なさそう。英検準1級または1級の大問1にひょっとしたら出題されるかも?

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 メイクアガール 』
『 Welcome Back 』
『 大きな玉ねぎの下で 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村    

Posted in 未分類Tagged 2020年代, D Rank, アクション, アメリカ, アンソニー・マッキー, ダニー・ラミレス, ハリソン・フォード, 平岳大, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド 』 -ドラマ視聴はなしでもOKかも?-

投稿ナビゲーション

過去の投稿

最近の投稿

  • 『 桐島です 』 -時代遅れの逃亡者-
  • 『 あの夏、僕たちが好きだったソナへ 』 -青春を追体験する物語-
  • 『 ジュラシック・ワールド/復活の大地 』 -単なる過去作の焼き直し-
  • 『 近畿地方のある場所について 』 -見るも無残な映画化-
  • 『 入国審査 』 -移住の勧め・・・?-

最近のコメント

  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に イワイリツコ より

アーカイブ

  • 2025年8月
  • 2025年7月
  • 2025年6月
  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme