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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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『 利休にたずねよ 』 -想像の利休伝記-

Posted on 2026年2月7日2026年2月7日 by cool-jupiter

利休にたずねよ 65点
2026年2月4日 DVDにて鑑賞
出演:市川海老蔵
監督:田中光敏

 

公開当時、TOHOシネマズかブルク7で観たんだったか。近所で中古DVD市があったので購入。

あらすじ

茶人の千宗易(市川海老蔵)は独自の美を追求する茶道でもって織田信長、羽柴秀吉といった天下人に認められ、名を成していく。しかし、宗易が世に認められていくほどに、秀吉から疎まれるようになり・・・

 

ポジティブ・サイド

海老蔵は着物の着こなしがよく、所作も美しい。袱紗捌きも見事の一語に尽きる。『 国宝 』の喜久雄もかくやである。当たり前か。青年期から老境までを演じきったのは見事。利休というと茶の湯御政道のプロモーター兼アドバイザーであると考えられているが、その前半生を大胆に解釈した点は評価に値する。

 

壮年期の利休が口にする美徳、美学、哲学が若き日の利休の体験から来ているというのは面白かったし、説得力もあった。三つ子の魂百までと言うが、若い頃の強烈な体験には程度の差こそあれ、誰もが影響を受けている。利休の場合、その対象が異国人だったというのも大胆だが、荒唐無稽とまでは言えない。利休の茶の湯の精神に一期一会があるが、本当に一度きりしか出会えない相手とは誰か。なぜ一度しか出会えないのか。本作をそこを突き詰めたと言える。

 

筆談シーンは非常に美しい。言葉は通じないが、漢字でなら通じる。逆に今だと通じないというところが惜しい。利休の死にたいけれど死ねない、死んではならないという想いにフォーカスすることで、利休が切腹を命じられた理由は何であったのかというミステリーをすべて包括する物語になったことは歴史ものとして評価したい。

 

ネガティブ・サイド

邦画の悪いところが時代劇でも出てしまった。なにもかも台詞で説明するのは本当に必要か?秀吉と宗易の付き人同士の会話、瓦職人が茶壷を手に取った時の感想。中谷美紀演じる利休の妻の心の声も微妙にノイズ。こういったものは感嘆の声と表情、所作で表現するものではないか。

 

躙り口など、利休の茶室の特徴の起源は説明されたが、黄金の茶室とは結局何だったのか。

 

総評

まあまあ面白い作品。公開当時はえらい叩かれた記憶があるが、茶の湯の起源を某国に求めたわけではないことは明白。利休の美意識の原体験とはどんなものだったのかを大胆に想像した作品。時代劇ではなくロマンスとして鑑賞すればよい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

tea ceremony

茶道の意。日本人なら誰でもたしなむものと誤解した留学生が20数年前にはたくさんいた。ceremonyはラテン語のcaerimonia由来で、ポルトガル語はラテン語に非常に近い。同時代にはカステラや天ぷらが日本に伝わった。日本古来の伝統の多くは外国由来なのだ。茶の起源も中国。異なるものを排斥するのではなく、それらを上手く取り込むことだ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』
『 禍々女 』

 

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, C Rank, ラブロマンス, 伝記, 市川海老蔵, 日本, 歴史, 監督:田中光敏, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 利休にたずねよ 』 -想像の利休伝記-

『 ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 30TH ANNIVERSARY 』 -I got my ticket’s worth-

Posted on 2026年2月2日2026年2月2日 by cool-jupiter

ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 30TH ANNIVERSARY 80点
2026年1月31日 埼玉会館にて鑑賞
演奏:東京フィルハーモニー交響楽団
指揮:栗田博文

 

年来のAce Combatファンとしてチケット購入。腰痛でダウン中だったが、無理して埼玉遠征してよかった。

 

ポジティブ・サイド

指揮者の栗田氏、どこかで見覚えがあったが、2019年のオリックス劇場で『 モンスターハンター 15周年記念 オーケストラコンサート〜狩猟音楽祭2019〜 』で指揮していたか。当時、受講生だったCAPCOMの作曲家Uさんからチケットを頂戴して、妻と行ったんだったか。当時と同じく、オーバーリアクション気味の指揮と、大胆な音楽的解釈で魅せてくれた。

 

トレーラーでフィーチャーされたAC8のメインテーマがいきなり序盤で炸裂。小林啓樹節が炸裂する楽曲で、荘厳さ、勇壮さにあふれていた。

 

個人的に一番良かったのは Stonehenge 。非常に機械的、無機質で、どこか Jaws 的に繰り返される低音メロディにAC04のライトモチーフが絡む楽曲が、巨大兵器の破壊に挑む人間の勇気を奮い起こす音になっていた。凄かった。

 

Agnus Dei のテンポがオリジナルよりややスローかなと思ったが、Barzz〜鳥の吟遊詩人たち〜のラテン語歌唱が実によくマッチしていた。

 

The Journey Home への観客の歌唱参加というのは、AC5のNovember Cityを思わせる演出。企画した渡辺氏は誇ってよい。

 

Special BandによるAC2の音楽も素晴らしかった。事前に Fire Youngmanが演奏されるのはSNSで見てしまったが、今回はなんと Waning Line ではなく Head Firstとは!選曲のセンスが光っている。

 

全体的な構成は25周年記念とほとんど同じだったが、最後の曲が A Brand New Dayではなく、まさかの Blue Skies 、これは嬉しい不意打ち。

 

合間合間に Project Aces の面々が登壇し、トークをしてくれた。小林氏だけがそのたびに楽団員に拍手を送っていたのが印象的だった。

 

実はJovianはAce Combat 5のイースターエッグであるシロクマ親子の所在についてNamcoに手紙で尋ねたことがある。そして菅野昌人氏から返信をもらい、その情報を日米同時公開し、多くのプレーヤーのシロクマ発見をアシストしたのが、ちょうど19年前の今頃。菅野氏はおられなかったが、まだシリーズが続いていき、自分がリアルタイムでそれを追うことができていることに感謝したくなる時間だった。

ネガティブ・サイド

13:30開演予定だったはずが、13:25分にはProject Acesの面々がステージ上に登場して、あいさつが始まった。数分遅れるのはありだが、早まるのはいかがなものか。

 

パンフレットは会場のキャパいっぱいまで部数を用意して販売するべきでは?

 

Alicornで2か所、弦楽器が音を一瞬だけ外したかな。

総評

今回、東響の演奏を初めて聞いたが、かなりテクニシャンぞろいだと感じた。Invincible Fleet や The Liberation of Gracemeria ではヴァイオリンやチェロ奏者が腕の動きだけではなく、首の角度や体の傾きまで一致させて演奏する様に驚かされた。映画やゲーム音楽のコンサートには色々な発見があって刺激的だ。今後も年に何度かはチケットを買うようにしたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代Leave a Comment on 『 ACE COMBAT™/S THE SYMPHONY 30TH ANNIVERSARY 』 -I got my ticket’s worth-

『 MERCY マーシー AI裁判 』 -推定無罪の原則を忘れるな-

Posted on 2026年1月27日 by cool-jupiter

MERCY マーシー AI裁判 40点
2026年1月24日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:クリス・プラット レベッカ・ファーガソン
監督:ティムール・ベクマンベトフ

 

仕事で毎日AIをこき使っている者として、チケット購入。

あらすじ

警察官のクリス・レイブン(クリス・プラット)は目が覚めると、AI裁判官のマーシー(レベッカ・ファーガソン)の前にいた。罪状は妻殺し。自身の犯行ではないと90分以内に証明できなければ処刑される。クリスはデータベースの中で真相を追うが・・・

ポジティブ・サイド

現代のアメリカ社会を(報道を通して)観察する限り、『 シビル・ウォー アメリカ最後の日 』の日に近づいている・・・とまではいかないものの、分断と排斥がかなり進んでいるようだ。本作の冒頭数分で描かれるようなレッドゾーンの設置などは近い将来に現実になるかもしれないと感じさせられた。

 

人間が乗れるタイプのドローンもかっこいい。アメリカや中国なら安全性は別にして一部の場所で実際に飛ばせそうな、リアルなガジェットだ。

 

主人公はなかなかクソ野郎なのだが、警察官としては優秀で、情報を片っ端から線形分離していく。これは秀逸で、情報を非線形分離するAIとのコントラストになっていた(が、マドックス自身は情報を非線形分離していないようだったが)。人間の直感をうまくビジュアル化できていたと思う。

 

真相もまあまあ。いつの時代でも『 コンタクト 』の狂信者みたいな奴はいるのものである。

 

ネガティブ・サイド

構成はほとんど『 search サーチ 』と同じで、大部分はモニター画面上で進行する。残念ながら、そこに目新しさはなかった。

 

筋立てとしては『 マイノリティ・リポート 』と同じく、警察官自身が殺人の嫌疑をかけられるというもの。ただ『 マイノリティ・リポート 』は事件発生前であるため、弁護士も何もない。一方で本作では主人公の妻が殺害されている。にもかかわらず、弁護士もつかず、ろくな捜査もなく、いきなり処刑まで90分。しかも、推定有罪ときた。これが2080年とかなら、まあ分からなくもないが、2029年?3年後?

 

SFだと言われればそれまでだが、推定有罪率92%で処刑というのは誰が決めた?たとえばの話、100回中8回エンジンがかからないクルマ、100回中8回鳴らないインターホン、100回中8回起動しないPCなどがあったとして、誰がそんなものを買って、使うのか。設定があまりにも荒唐無稽すぎて、白けてしまった。

 

そもそもトレーラーが色々と余計な情報を出し過ぎ。さらにハリウッド映画を見慣れている人なら、開始から20~30分で「ははあ、真相は不明だが、多分こいつが犯人または元凶だな」と分かってしまう。Jovianも第一感で怪しいと感じた人物がそれだった。つまらん。

 

途中でAI裁判官のマドックスがグリッチを起こすが、そんな演出は不要だった。

 

総評

AI裁判官というよりも、AIアシスタントだった。また、AIは膨大なデータを非線形分離させるため、新たな判断材料が提示されるたびにアウトプットが揺れ動く。が、本作ではクリスが新たな証拠やデータを見つけても、特に数字を変えないシーンが多く、リアリティは感じられなかった。AIに目をつけるのは良いが、リアリティを求めてはだめ。手持ち無沙汰の週末に暇つぶしのために観るぐらいの気持ちでちょうどいい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

red tape

まさか先日紹介したばかりのフレーズが出てくるとは。AIがとある会社を指して「あそこは手続きが面倒くさい」と言うのだが、そこでこのフレーズが使われていた。弊社もデジタル署名が可能なのに、なぜかそれをプリントアウトして押印しなければならないという理不尽な red tape が一部の役員向けに存在する。そういう日本企業は実はかなり多いのではないだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』

 

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Posted in 海外Tagged 2020年代, D Rank, SF, アメリカ, クリス・プラット, サスペンス, レベッカ・ファーガソン, 監督:ティムール・ベクマンベトフ, 配給会社:ソニー・ピクチャーズLeave a Comment on 『 MERCY マーシー AI裁判 』 -推定無罪の原則を忘れるな-

『 長安のライチ 』 -すまじきものは宮仕え-

Posted on 2026年1月24日 by cool-jupiter

長安のライチ 75点
2026年1月22日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:ダー・ポン
監督:ダー・ポン

 

『 熱烈 』のダー・ポン監督が主演かつ監督だと知り、チケット購入。

あらすじ

算術を得意とする下級官吏の李善徳(ダー・ポン)は、愛妾・楊貴妃のために生のライチを5000里の彼方から届けよという勅令を受ける。失敗すれば命がないと覚悟しつつ、李善徳は妻子を長安に残し、嶺南の地に向かって旅立つが・・・

ポジティブ・サイド

中国の官僚のストーリーながら、そこには現代のサラリーマンの悲哀ものぞく。『 プーと大人になった僕 』さながらに、上からの命令に従わざるを得ない李善徳に己を重ね合わせてみる者は多いだろう。それがさらに陰謀の一環であったとしたら・・・まさに kiss ass を怠ったサラリーマン。すまじきものは宮仕えか。

 

嶺南の地で出会うライチ農家や商人たちとの友情が見逃せない。特に商人と役人の友情という点で、善徳と蘇諒の奇妙な関係は『 工作 黒金星(ブラック・ヴィーナス)と呼ばれた男 』のパク・ソギョンとリ所長の関係を彷彿とさせた。

 

数学者として論理的に経路を構築し、距離と速度と時間を計算し、それらを表の形にしていく。ガントチャートみたいなもので、サラリーマンならこれもお馴染みだろう。それを見た蘇諒が「真似してもいいか?」と尋ねるのは学習と成長への意欲の表れで、この姿勢が後々に効いてくる。

 

しかし善徳を取り巻く人々の中で最も印象的なのは元奴隷の邑奴だろう。主体性を持たず、言われるがままを行う。そんな男に「長安に来るかどうかは自分で決めればよい」と伝える善徳。突き放しているようで違う。官僚として皇帝の命令には絶対服従な自分とのコントラストを見出したのだろう。邑奴の生き様は感動的ですらあった。

 

最後に長安にたどり着いた善徳はサラリーマンではなく、現代中国の庶民のシンボルだった。彼の叫びは古今東西を問わず、多くの人々の心に突き刺さる。これが中国政府当局の検閲を潜り抜けたのが驚き。中国政府当局もこうした形でなら、権力批判を許してくれるのか。帝国主義的な姿勢を隠さない中国だが、内部的には葛藤があるのかもしれない。

ネガティブ・サイド

字幕で何度か住宅ローンという言葉が出てくるが、ライチやバナナはまだしもローンなどという外来語を唐代中国を舞台にした映画で採用するか?

 

阿僮と善徳の友情、絆が醸成されていく様子をもう少し映し出してほしかった。

 

杜甫や安禄山を出す必要はあったのだろうか。杜甫といえば「国破れて山河在り」で、今はちょうど受験シーズン。安禄山という名前で色々と思い出す人もいるだろう。

 

総評

歴史ものとしてもヒューマンドラマとしても文句なしに面白い。李善徳およびライチ運搬が史実かどうかについて興味がある向きは、こちらの英語記事が非常に読みごたえがあるので、英検2級以上、英検準1級未満の英語力で読めるのでチャレンジしてみてほしい。デレク・ツァンに続いて、非常に楽しみなタレントが出てきた。ダー・ポンの名前はぜひ覚えておこう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

red tape

繁文縟礼の意。といっても、これで意味が通じれば古文・漢文にかなり通じている人である。意味は「形式的かつ煩雑な手続き」のこと。役所に行ったりすると、場合によっては2枚の書類に4回住所や氏名を書かされたりするが、それこそ繁文縟礼の典型だ。英語ではこれをred tapeと言い、I hate having to deal with red tape every time I come to city hall. のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 MERCY マーシー AI裁判 』
『 安楽死特区 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, ダー・ポン, ヒューマンドラマ, 中国, 歴史, 監督:ダー・ポン, 配給会社:Stranger, 配給会社:面白映画Leave a Comment on 『 長安のライチ 』 -すまじきものは宮仕え-

『 Osaka Shion Wind Orchestra ドラゴンクエストコンサート in 大津 』  -DQ Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ-

Posted on 2026年1月18日2026年1月18日 by cool-jupiter

Osaka Shion Wind Orchestra ドラゴンクエストコンサート in 大津 
2026年1月18日 大津市民文化会館
演奏:Osaka Shion Wind Orchestra
指揮:永峰大輔

こちらの記事で書いた通り、ドラゴンクエストコンサートに行ってきた。今回の feature は DQ Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ。いわゆるロト三部作である。Jovianの世代だとⅡとⅢがど真ん中である。

DQⅠからは

– 序曲
– ラダトーム城
– フィナーレ

DQⅡからは

– 遥かなる旅路~広野を行く~果てしなき世界
– 恐怖の地下道~魔の塔
– 聖なるほこら
– この道わが旅

DQⅢからは

– 世界をまわる(街~ジパング~ピラミッド~村)
– 冒険の旅
– 海を越えて

– おおぞらをとぶ

– 戦闘のテーマ~アレフガルドにて~勇者の挑戦
– そして伝説へ

最も印象に残ったのは『 この道わが旅 』、次が『 勇者の挑戦 』、その次に『 果てしなき世界 』か。『 この道わが旅 』は、『 序曲 』を除けばおそらく最も多くアレンジされ、再解釈、再利用されてきた曲であると思う。なんというか、冒険の旅を振り返る曲なのだが、この年齢になるとこれまでの人生を振り返って、山あり谷ありだったが、なんだかんだで悪くない人生を歩めているのかな、という気分にさせてくれた。

 

やや残念だったのは『 序曲 』と『 そして伝説へ 』とアンコールのアンコール曲(一応、両方とも曲名は秘す)。前者は曲の入りっ端で、フルートあたりが一瞬音を外してしまった。後者は最後の最後でティンパニーが余計な音を鳴らしてしまった。アンコールのアンコール曲は、吹奏楽器全般が息も絶え絶えというのは大げさだが、かなり披露していて、素人の耳にも分かるほどリズムが整わない瞬間がいくつかあった。疲労はしゃーないとはいえ、最後は踏ん張ってほしかった。

 

全体的には満足のいくものだった。指揮者の永峰大輔は初期のドラクエ音楽の技法について造詣が深いらしく、いかに少ない音で和音を構成するか、そこにクラシックのどのような技法が用いられているのかをほんの少しだけ語ってくれた。ブログやYouTubeなどで、もっと公に音楽家が音楽家をレビューしてほしいと思わされた。

 

今回の座席は最前列の一番右。目の前に、前回色々と気づきがあったコントラバスが。演奏者が同じ人だったかどうかは分からないが、かなり若い女性、かつ相当に腕が立つという印象を受けた。その隣がチューバのおじさんで、こちらは合間合間に唾液の入った管のふたをあけて、中身を椅子の下に敷いた布に何度もタラーリ・・・ 最前列だからこそ見えてしまうトラップだった。見せない工夫というか、客席側の椅子の足の間にミニカーテンでも設けて、反対側から唾液を処理するなどできないものか。

 

4月末に豊中でも同じコンサートがあるので、滋賀は遠いという理由で見送った向きは、こちらに参加してはいかがだろうか。お次は1月31日に埼玉まで遠征し、Ace Combat 30th Anniversaryのコンサートを鑑賞予定である。

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 MERCY マーシー AI裁判 』
『 長安のライチ 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代Leave a Comment on 『 Osaka Shion Wind Orchestra ドラゴンクエストコンサート in 大津 』  -DQ Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ-

『とれ! 』 -平均以上の青春ホラーコメディ-

Posted on 2026年1月18日2026年1月18日 by cool-jupiter

どれ! 60点
2026年1月17日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:中島瑠菜 まいきち
監督:コウイチ

 

『 蔵のある街 』の中島瑠菜主演ということでチケット購入。

あらすじ

母親と二人暮らしの美咲(中島瑠菜)は高校卒業後の進路として心ならずも就職を希望していた。ある日、親友の皐月(まいきち)に触発されて撮影した動画に心霊現象と思しきものを捉えていたことからバズってしまう。これが収益になると思った二人は、さらなる心霊動画を撮ろうと画策して・・・

ポジティブ・サイド

主な登場人物は美咲、皐月、美咲の母、霊能者、これだけ。舞台も学校、家庭、廃墟だけ。非常にコンパクトで、人間関係も理解しやすい。

また物語もシンプル。将来に悩む女子高生が、その悩みは金で解決できると思い、動画収益で一攫千金狙いというもの。バカバカしいがリアルでもある。中島瑠菜とまいきちはそろって童顔なので女子高生っぽさがあった。

 

廃墟のシーンはそれなりに怖さの演出があった。貼り紙はけっこう古典的なネタだが、凝りすぎておらず女子高生が考え付きそうにも思える。神と悪霊、両方が憑くのは珍しい。しかも、悪霊はサラリーマンで、いかにもサラリーマンという無念と呪いに満ちている。それが滑稽というか哀れというか。悪霊に同情して、神様に怒ってしまうというのもユニークだ。

 

最後はちゃんと美咲の成長物語になっていて、ホラーっぽいオチもついた。

 

ネガティブ・サイド

ネタバレぎりぎりのラインで言えば、神様の元ネタは『 千と千尋の神隠し 』のカオナシかな。神様が憑くというアイデアは間違いなく希少性が高いのだから、そのアイデアはもっと独自に発展させてほしかった。

 

看護師の母がいて、看護師の知り合い多数のJovianからすると、奥菜恵演じる美咲の母はかなりエキセントリックに感じられた。普通の会社勤務の女性と比べると、女性看護師の未婚・独身率の低さ、かつ離婚率の高さには驚くべきものがある。さっさと結婚して、気に入らなければすぐに離婚するのが看護師である。そうした多くの看護師の中で、美咲母は草々なマイノリティだろう。

 

子どもが家の経済状態を心配するのは有難迷惑だが、ちょっとネットで看護師の収入を調べれば、音大や美大には行けなくとも、地元の公立なら十分行かせてくれると思うはずだが・・・

 

総評

ホラー風味の青春映画 feat. 家族 という映画である。インディーズっぽさ全開だが、それなりに趣向を凝らしていて楽しめる。霊能者が有能なのも珍しい。また神様が日本的な八百万の神という感じなのも個人的にはポイントが高い。個人的には中島瑠菜で本格ホラーが見たい。というか、誰か中島瑠菜で『 富江 』の新作を撮ってみてはくれないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Evil spirit, be gone!

悪霊退散の意。たしか『 パラノーマル・アクティビティ 』で使われていた。直訳すれば「邪悪な霊よ、消え失せろ」となる。除霊系のホラーでそれなりに使われている表現と思われる。ハロウィーンの時期にホラー映画マラソンをする向きは、この表現が聞こえてくるかどうか耳を澄まされたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 MERCY マーシー AI裁判 』
『 長安のライチ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, コメディ, ホラー, まいきち, 中島瑠菜, 日本, 監督:コウイチ, 配給会社:KADOKAWA, 青春Leave a Comment on 『とれ! 』 -平均以上の青春ホラーコメディ-

『 万事快調 オール・グリーンズ 』 -閉塞感を吹っ飛ばせ-

Posted on 2026年1月17日 by cool-jupiter

万事快調 オール・グリーンズ 75点
2026年1月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:南沙良 出口夏希 吉田美月喜
監督:児山隆

 

南沙良主演ということでチケット購入。

あらすじ

家ではなく路上のラップバトルに居場所を見出す朴秀美(南沙良)。母親との関係に問題を抱えるシネフィルの矢口美流紅(出口夏希)。漫画という夢を追うことためらう岩隈真子(吉田美月喜)。彼女たちは現状から脱出するために、あるビジネスに手を染めて・・・

ポジティブ・サイド

南沙良が単なる女子高生を演じていないことに安堵。本人もハンドラーたちも、少女漫画の映画化作品に主演することは演技のキャリア的に無意味であることをよくわかっている。家庭環境に問題大あり、本人の性格にも問題大ありというキャラを演じきった。小説好きとしては彼女のビブリオフィルな面は好ましいが、結局それは現実からの逃避。そのネガティブさを夜の路上でラップの即興で吐き出すという、健全とは言い難い方法でのバランスの取り方は痛々しい。が、現実的でもある。ちなみにPG12なのは、彼女が童貞や包茎というワードを口にするからではない。

 

スクールカーストのトップから転落した美流紅のキャラも好ましい。しれっと『 キャリー 』や『 哀れなるものたち 』の軽微なネタバレを挟んでくるのは微笑ましい。「TSUTAYAがなくなったら困る」というのは、最近、近所のTSUTAYAがついに閉店予定というニュースに触れたJovianに刺さった。単に知識豊富なだけではなく、しっかりと映画の台詞も自分のものにしている点がこのキャラの素晴らしいところ。『 ファイト・クラブ 』の台詞をもじって言うシーンには唸らされた。彼女のようなシネフィルが現実に存在すると信じて、Jovian先生のワンポイント英会話レッスンは続けていこうと思う。

 

岩隈子(ニックネーム)のシニカルな性格が、危ない橋を渡りたくない気持ちと、自分自身が漫画のストーリー的な世界に足を踏み入れようとするあたりから変わってくるのが心地よい。目立たないが、本作は彼女のビルドゥングスロマンの一面も持っている。活動に対してビジネスや効率化という言葉を使うことで理性的な計算の上でそうしているのだと自分を納得させているが、心が頭を上回った瞬間の笑顔は、まさに THE 笑顔 だった。

 

東海村という日本初の原子力発電所の稼働場所を舞台に、閉塞感あふれる地域と時代の空気を充満させ、それを呵々と打破しようとする女子高生たちの何と愚かで、しかし羨ましいほどに生き生きとしていることか。朴秀美という在日キャラでありながら、そちら方面のストーリーは一切なし。それもまた潔い。彼女たちの無軌道な青春をぜひ劇場で鑑賞し、その行き着く先を想像されたし。

 

ネガティブ・サイド

第4の壁を超える演出は嫌いではないが、使いどころにもっと一貫性が欲しかった。家庭環境の描写だけに使う、あるいは東海村脱出後のビジョンに対してだけ使う、というように。

 

南沙良のリズム感が残念ながらもう一つ。『 愛がなんだ 』の岸井ゆきののラップは上手かったのだと再認識した。

 

火のついた煙草をくわえながら〇〇〇〇をドバドバは無理がありすぎる。

 

総評

南沙良作品はハズレが少ない。本作は当たり。犯罪ではあるのだが、『 ナイトフラワー 』のようなどっぷり裏社会ではなく、あくまで無軌道な青春ものの範囲に収まっている。なので、ある意味、デートムービーにもなりうる。美流紅の岩隈子に教える「恋愛対象にならない男」の見分け方は、映画だけではなく買い物、食事、料理、化粧、着替えなど数多くの事柄に当てはまる。男子諸君は心して学ぶように。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

make money

金儲けする、金を稼ぐの意。仕事を通じて金を得る場合、earn moneyを使う。秀美たちはmake moneyをしたわけだ。earnは earn respect, earn trust, earn credibilityのように、努力や時間を費やして何かを得る場合に使うのだと覚えておこう。make moneyではなく、earn moneyをしたいものである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 とれ! 』
『 28年後...白骨の神殿 』
『 MERCY マーシー AI裁判 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, クライムドラマ, 出口夏希, 南沙良, 吉田美月喜, 日本, 監督:児山隆, 配給会社:カルチュア・パブリッシャーズ, 青春Leave a Comment on 『 万事快調 オール・グリーンズ 』 -閉塞感を吹っ飛ばせ-

『 悪魔のいけにえ 』 -4Kデジタルリマスター鑑賞-

Posted on 2026年1月13日 by cool-jupiter

悪魔のいけにえ 75点
2026年1月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ガンナー・ハンセン
監督:トビー・フーパー

 

風邪で体調イマイチなので簡易レビュー。

あらすじ

サリー、ジェリー、フランクリン、カーク、パムの5人は、テキサス州のフランクリンの実家を目指す途上で屠殺場で働く男を乗せる。しかし男は不審な言動を見せ、果てはフランクリンをナイフで傷つける。男を放り出した5人は何とか目当ての館に到着するが・・・

ポジティブ・サイド

構成やらショットなど、既視感を覚えるものばかりだが、それは逆に本作がそれらのクリシェを生み出したということ。言い換えればこの分野の古典的な作品になっているということだ。

 

面白いのは、ボロボロの館ではなく、外見がきれいに整った館の方に殺人鬼が潜んでいるのは新鮮だった。

 

効果音もBGMもなく、いきなり殺されていく面々。このテンポの良さよ。グロ描写は一切なし。それでいて観る側が凄惨な殺人シーンを想起するのは、屠殺方法の話、動物や人間の骨、そしてチェーンソーの駆動音によるところが大きい。低予算ゆえの怪我の功名か。

 

結局、最も恐ろしいのは超自然的なホラーよりも、理解できない人間の方なのだ。ラストの荒れ狂うレザーフェイスで、『 母なる証明 』のラストシーンを思い出した。ポン・ジュノ監督が本作からインスピレーションを得ていたとしても何の不思議もない。アカデミー賞で監督賞を受賞した際にテキサス・チェーンソーに言及しているからだ。

ネガティブ・サイド

ほうきでペチペチ叩くシーンはギャグにしか見えなかった。

 

元焼肉屋としては、屠殺場で働く人々に偏見を与えかねない作品になっているところが気になった。

 

総評

4Kリマスターでなければ、おそらく夜の逃走と追跡シーンなどは、かなり見づらい絵になっていたのでは?その意味でも劇場鑑賞する価値はあると言える。『 13日の金曜日 』のジェイソンや『 ハロウィーン 』のマイケル・マイヤーズといった仮面の大男の原点はレザーフェイスにあり。今の目で見るとチープかもしれないが、古典だと思って鑑賞しよう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

have seen better days

直訳すれば「(人・物が)より良い日々をすでに見た」となるが、実際のニュアンスは「(人・物が)ピークを過ぎた」ということ。We’ve got to admit Nishikori has seen better days. =錦織の全盛期は終わったということを認めなければならない、のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 万事快調 オール・グリーンズ 』
『 とれ! 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1970年代, B Rank, アメリカ, ガンナー・ハンセン, ホラー, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 悪魔のいけにえ 』 -4Kデジタルリマスター鑑賞-

『 YADANG ヤダン 』 -裏切りと逆転の上質クライムドラマ-

Posted on 2026年1月13日2026年1月13日 by cool-jupiter

YADANG ヤダン 70点
2026年1月1月10日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:カン・ハヌル ユ・ヘジン パク・ヘジュン
監督:ファン・ビョングク

 

風邪でダウン中なので簡易レビュー。

あらすじ

麻薬犯罪者と司法取引を行い、情報を引き出すイ・ガンス(カン・ハヌル)は、地方検事のグァニ(ユ・ヘジン)と義兄弟となり、成果を挙げていく。しかし、警察を出し抜く形である大物を検察が逮捕したことで、事態は大きく動き・・・

ポジティブ・サイド

『 雨とあなたの物語 』の純朴な手紙男が、警察や麻薬の使用者、さらには売人までを手玉に取るヤダンとして大暴れ。副題が The Snitch で、これは密告者の意。『 セント・オブ・ウーマン/夢の香り 』のアル・パチーノの最後の長広舌でも悪ガキ三人が snitches と呼ばれていた。とにかく麻薬の所持や使用で捕まった者と一種の司法取引を行い、売人や購入者のネットワーク情報と引き換えに罪を減じる取引を行うのがヤダンである。

 

検察、警察、麻薬常習者、麻薬流通者、そこに財閥の御曹司かつ次期大統領候補の息子が加わり、裏切りの連続と、そこからの大逆転が非常に痛快。脚本家たちはかなりの手練れである。

 

ネガティブ・サイド

『 オールド・ボーイ 』のチェ・ミンシクさながらに体を鍛えたガンスだが、腕っぷしは強くなっていなかったのは残念。

 

皇帝のキャラをもう少し深堀りする必要があったのでは?

 

総評

ユ・ヘジンの出演作はほぼ間違いなく面白いというジンクスは今回も守られた。韓国社会のダークな部分を存分に見せつけられるが、それを許さない人々の意志や、そうした闇に取り込まれた人々を救おうとする人々の善意もしっかりと描かれている。韓国らしい痛快なクライムドラマだ。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヒョン

兄の意。何度か紹介した表現。日本でも兄貴分というように、必ずしも血のつながりがなくても使える。英語でも親しみを込めて brother と相手を呼ぶことがある。ただ英語の brother よりも、韓国語のヒョンの方が、日本語の兄貴、兄貴分には近いだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 この本を盗む者は 』
『 悪魔のいけにえ 』

 

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『 ボディビルダー  』 -エンディングに不満あり-

Posted on 2026年1月6日2026年1月6日 by cool-jupiter

ボディビルダー 70点
2026年1月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ジョナサン・メジャース
監督:イライジャ・バイナム

 

『 ジョーカー 』そっくりだと聞き、チケット購入。

あらすじ

片田舎で祖父と二人暮らしのキリアン・マドックス(ジョナサン・メジャース)は、ボディビルダーとして一花咲かせたいという願望を抱いていた。しかし、キリアンは怒りの感情のコントロールに難を抱えていて・・・



ポジティブ・サイド

非常に少ない登場人物だけで物語が進んでいく。まるでフランス映画的だ。しかし、そこにはミステリの風味もロマンスの予感もない。あるのはキリアンの非常に孤独な生活のみ。ストイックにボディビルに打ち込む姿には孤高という言葉も似合いそうだが、さにあらず。彼は孤独なのだ。

 

『 ジョーカー 』におけるアーサーと同じように、キリアンは両親に対して問題を抱え、好意を寄せる女性に対する接し方に問題があり、肝腎かなめのボディビルに対してもステロイドを使うという反則技を使っている。いくらハードにトレーニングをして、食事制限をしていても、これでは駄目だ。

 

『 アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル 』のフィギュアスケートもそうだが、評価がすべて他者の評価によって決まってしまう競技とは、なんと残酷であることか。得点競技ではなく採点競技の難しいところだ。すぐに How to make people like you などとググってしまうところに、彼の承認欲求以前の幼稚さが現れている。

 

キリアンの問題は至極簡単。自分が人を好きになれないから、人は自分を好きになってくれない。つまり、愛された経験の欠如によって歪んでしまった。あるいは子どものメンタルのまま、体だけが大きくなってしまった。子どもとは性と労働から疎外された者と社会学的に定義されるが、異性と付き合えない、セックスもできない、仕事もできないというキリアンはまさに体が大きいだけの子どもなのだ。何をやっても上手く行かず、怒りを爆発させても、そのしっぺ返しを食らう。彼は人生の弱者であり敗者である。

 

このあたりから物語は一気にジョーカー色を帯びてくる。なにもかもダメなキリアンの元に舞い込む一報。上向くかと思われた人生。しかし・・・ 『 ショーシャンクの空に 』では、ブルックスは娑婆になじめなかった。遅れて出てきたレッドも娑婆になじめず、命を絶とうとした。キリアンの選択は・・・  

 

ネガティブ・サイド

個人的にはラストの10分は蛇足。観る側を虚実皮膜のあわいに落とし込むような締めくくり方で十分だった。たとえば『 国宝 』で喜久雄が最後に目にしたのは、父親の死の情景と重なるきらめきだった。喜久雄は父親のように、あるいは俊介のようになったのか。それとも、その境地に達しただけなのか。その解釈は観る側に委ねられている。そういう結末の描き方を模索できなかったか。

 

時代設定はどうなっているのだろうか。2016年のコンペティションで云々かんぬんというセリフから、それ以降の時代だと思われるが、一方でアメリカンプロレスの話題の中でテイカーとケインの破壊兄弟が出てきたが、それは2000年前後。また、スマホが出てこない。たまに電話が出てきても、それはすべて固定電話。またYouTubeが存在しながらも、ボディビルの大会映像はすべてVHS。いったい、どういう世界線なのだろうか。

 

総評

レイトショーで鑑賞したのもあるだろうが、十数人ほどいた観客の中で女性はJovian妻一人だけ。あとはすべて中年男性だった。どこの劇場もこのような有様なのだろうか。人が悪に染まる要因は、元々のパーソナリティなのか、それとも環境なのか、それらの複合なのか、それ以外なのか。じっくりと見極めてみてほしい。間違ってもデートムービーだと思ってはいけない。本作ほどデートに向かない作品はない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

go out with ~

~と一緒に外出する、転じて「~とデートする」の意味。文脈なしでも、ほぼ間違いなくデートの誘いだと解釈される表現。連れだって何かをしたい時、恋人、あるいは意中の相手には Do you want to go out with me? を、友人や同僚には Do you want to hang out with me? を使おう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 YADANG ヤダン 』
『 この本を盗む者は 』

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