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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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月: 2021年8月

『 オールド 』 -時間スリラーの不発作(シャマラン基準)-

Posted on 2021年8月30日 by cool-jupiter

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オールド 60点
2021年8月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル ヴィッキー・クリープス アレックス・ウルフ トマシン・マッケンジー 
監督:M・ナイト・シャマラン

 

その名前だけでチケット購入が決定する監督は何人かいる。シャマランはその一人である

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あらすじ

ガイ(ガエル・ガルシア・ベルナル)とプリスカ(ヴィッキー・クリープス)の夫妻は、子どもたちをバカンスに連れてきていた。リゾート・ホテルからプライベートビーチを案内された一家はもう一組の家族と共にそこへ向かう。美しいビーチで過ごす彼らは、しかし、そこで女性の水死体を発見する。さらに、自分たちの子どもたちが異様な速度で成長していることまで分かり・・・

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ポジティブ・サイド

冒頭でM・ナイト・シャマランから直々にオーディエンスにメッセージがある。シャマランと家ば・・・ではなく言えば、『 ヴィジット 』、そして『 ミスター・ガラス 』を作る際に、自分の家を抵当に入れて資金を捻出したことが知られている。そんな彼がコロナ禍において映画を劇場で公開できることを心から喜んでいることが伝わってくる映像だ。『 パラサイト 半地下の家族 』でもポン・ジュノが映像を冒頭に挟んでいたが、こうした試みはもっと多くの監督も採用して良いのではないだろうか。

 

アイデア一発勝負の本作であるが、そのアイデアがなかなか秀逸。特定のシチュエーションでは時間がどんどん速く過ぎていくというのは、SFでは真新しくもなんともない(例『 ナビゲイター 』など)が、それをスリラーに当てはめてしまうところを評価したい。そうすることで現実に急速な老化が自身に、あるいは家族に起こったらという想像が働く。最初から虚構の色合いの強いSFではなく、ひょっとしたら現実にあり得るかもしれないと思わせるスリラーというジャンルに本作のアイデアを持ってきたのは良かった。

 

子どもにとっての成長とは身体の変化であるし、大人にとっての成長とは老化=身体の衰えである。そのことを分かりやすく映像化できていた。特に出産シーンのサスペンスは異様だ。ようやく高速老化現象の種明かしを大人たちが始めたところでは展開の遅さに少々閉口したが、この妊娠・出産のシークエンスだけで一気に興味を取り戻した感がある。

 

ラストのドンデン返しも悪くない。おそらくコロナ禍がなければ ( ゚Д゚)ハァ? となって終わりだったと思われるが、コロナ禍およびそれに伴っての人類初の複数種類のmRNAワクチンの開発及びその実践投入という現実世界の事実により、本作の面白さと価値は間違いなくアップした。本当は55点だが、ネタのタイムリーさを考慮して5点プラスしておく。

 

以下、ややネタバレあり

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ネガティブ・サイド

序盤の車内での家族の会話は、あまりにも露骨すぎた。時間の感覚や年齢、成長に関する言葉が短時間の中で不自然なまでに盛り込まれていて、かえって説明的すぎると感じた。

 

一方で、初日の夜のガイとプリスカの夫婦喧嘩のセリフの字幕は、さらに輪をかけて説明的。英語でそこまで言っていないのだが、物分かりが悪い観客に”忖度”して、敢えてこのような訳にしたのだろう。逆に車内での会話もこれぐらい曖昧なセリフの応酬で良かった。このあたりの説明的なセリフの有無、そのトーンのちぐはぐさ jarring だった。

 

ラッパーの男性は血友病か何かの血液凝固に問題がある病気で、現に鼻血が止まっていなかったが、だったら何故にナイフ傷がすぐに治ったのかが分からない。また普通に考えれば急速に老化する=新陳代謝が異常に亢進しているわけで、子どもであろうと大人であろうとめちゃくちゃ腹が減るはずである。そのあたりの説明を一切行わなかったのは賢明だが、それならビーチに面した岩壁が云々のような科学的な説明も不要である。どこかにサイエンスを持ち出すと、全体にサイエンスを適用しなければならなくなる。やるとすれば極限までリアリティを追求して、ごくごく一部でだけ嘘をつくべきだ。その成功例として『 シン・ゴジラ 』がある。本作はリアリティを感じさせる演出面では中途半端になってしまい失敗している。

 

プリスカの腫瘍切除の場面や出産シーンは、もっと直接的な描写を目指してほしかった。カメラがパンして返ってきたり終わり、というのは拍子抜けもいいところである。また終盤近くの osteoporosis 絡みの恐怖シーンも、もっと直接的な描写をしてほしかった。ある意味でリアル『 エクソシスト 』的なシーンにできるチャンスだったはずだ。恐怖を感じさせる演出がどれもこれも弱かったと感じられたのは残念であった。

 

総評

シャマランのクオリティを期待すると少々拍子抜けさせられる。逆に言えば、それほど期待値を上げずに臨めば、それなりに楽しめるはず。イチローでも大谷でもそうだが「こいつはヒットを打つ!」と信じてしまうと、凡退時に通常よりもガッカリさせられる。それは相手へのリスペクトの証明でもある。シャマランのファンならばチケットを買うべし。そしてガッカリしよう。そうすることでシャマランの次回作をより楽しめるようになるはずだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Ready or not, here I come.

鬼ごっこ(hide and seek)の鬼(it)が「今から探しに行くぞ」と教える時の言葉。これは実際にかつての同僚アメリカ人主催イベントで子どもたちと鬼ごっこをした時に聞いたことがある。初めてこの表現を聞いたのは中学生の頃、VHSで『 NBA スーパースターズ2 』を観たとき。Tim Hardaway と Chris Mullin のやりとりだった。ちょうどこの動画でも確認できる。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アレックス・ウルフ, ヴィッキー・クリープス, ガエル・ガルシア・ベルナル, スリラー, トマシン・マッケンジー, 監督:M・ナイト・シャマラン, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 オールド 』 -時間スリラーの不発作(シャマラン基準)-

『 ザ・ハント 』 -D・トランプが問題視した良作-

Posted on 2021年8月29日 by cool-jupiter

ザ・ハント 70点
2021年8月23日 レンタル Blu rayにて鑑賞 
出演:ベティ・ギルピン ヒラリー・スワンク エマ・ロバーツ
監督:クレイグ・ゾベル

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近所のTSUTAYAで発見。「全米が封印した問題作」とは大層なキャッチフレーズである。敢えてそれに乗ってみたが、なかなかのB級作品であった。

 

あらすじ

ある日、突然見知らぬ場所に集められた12人の男女。草原の真ん中で武器を発見した途端に銃撃されてしまう。どうやらそこはマナーゲートの中で、セレブが娯楽のために庶民をさらってきて「狩り」をする場所らしく・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭から優雅に上級民がくつろいでいる。そこへ下層民の闖入者。いきなり無残に殺されてしまい、「なるほど、これが本作のテーマか」と納得した。いきなりの血液ドバドバ描写は、確かに一部の映画ファンにはきついだろう。だが逆に言えば、一部の映画ファンには好評であるに違いない。現実で忌避されるからこそ、グロとバイオレンスは小説や映画などのフィクションでは根強い人気があるジャンルである。本作もそういう映画であることが開始2分で分かる。これは親切な introduction である。

 

目覚めた男女らが次々に訳も分からず殺されていく過程もサクサクと良い感じに進んでいく。「このキャラの目線で物語が進行していくのかな?」というキャラが一人また一人と、ある意味で面白いように倒れていく。『 NERVE 世界で一番危険なゲーム 』で主演も張ったエマ・ロバーツがいきなり死ぬのはかなり度肝を抜かれた。それもなかなかのグロ描写。他には穴に落ちてしまう女子の死に様は必見。どう見ても低予算映画だが、結構な額をこのシーンに費やしたのではと思える力の入れようである。

 

ストーリー展開もなかなか大仰で良い感じである。アメリカだけではなく、ある意味で世界的なスケールでマナーゲートおよびその領内での「ハント」が行われているが、そのことにリアリティがある。日本でも沖縄本島の森林地域のかなりの面積が近年になってようやく米国から返還されたというニュースがあったが、そうした治外法権地帯で何が行われていたかを我々には知る術がない。そしてそうした地域は世界中にある。

 

そうした中で奮闘するベティ・ギルピンがひたすらにクールでかっこいい。アフガン帰りの猛者で、道楽で人をハントする金持ちセレブを知恵と戦闘能力で逆に次々と撃破していく。まさに溜飲が下がる思いがする。大ボスとの対決でもハードなアクションを連発。女は怒らせると怖いのである。低予算映画ながら、バイオレンスに注力した佳作で、好きな人にはたまらなく面白いと感じられることだろう。

 

以下、ややネタバレあり

 

ネガティブ・サイド

冒頭と終盤のコメディ的な要素は確かに笑えるが、中盤にはその色が薄まった。局部ネタはコメディとは言えないだろう。作品全体を通じて乾いた笑いをもたらしてくれる要素が均等に埋め込まれていたら、大傑作になれたかもしれない。

 

マナーゲートを作ろうというエリート集団の動機が弱い。下層民の陰謀論に乗るのではなく、素直に下層民の作り上げた陰謀論が現実を突いていた、で良かったのではないかと思う。人間は本当のことよりも信じたいことの方を信じる生き物なのだから。

 

総評

『 バクラウ 地図から消された村 』と同工異曲のゲテモノ・バイオレンス・グロ映画である。先の米大統領のD・トランプが本作をかなり問題視したらしい。『 パラサイト 半地下の家族 』にケチをつけるという審美眼の持ち主が問題視する=良作と考えて良かろう。事実、Jovianは本作を楽しみながら鑑賞してしまった。謎が謎を呼ぶ展開にアクションも良好。カタルシスもある。人がどんどん死んでいくというストーリーに耐性があるのであれば、是非とも鑑賞されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

No need.

「要らない」、「不要」、「必要なし」の意。

Should I wear a tie? ネクタイはつけるべきでしょうか?

No need. その必要はない

のように使う。『 シン・ゴジラ 』でも石原さとみが”No need.”と切り返す場面があった。割とよく使う表現なので、覚えておいて損はない。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, エマ・ロバーツ, スリラー, ヒラリー・スワンク, ベティ・ギルピン, 監督:クレイグ・ゾベル, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 ザ・ハント 』 -D・トランプが問題視した良作-

『 ウィッチサマー 』 -凡百の夏ホラー

Posted on 2021年8月27日 by cool-jupiter

ウィッチサマー 50点
2021年8月22日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:ジョン=ポール・ハワード パイパー・カーダ
監督:ブレット・ピアース ドリュー・T・ピアース

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サム・ライミが絶賛していたと聞いて、期待に胸を躍らせて2021年2月のこと。コロナによって劇場鑑賞の気を逸し、満を持してレンタルにて鑑賞。やはり Don’t get your hopes up.

 

あらすじ

両親が離婚したベン(ジョン=ポール・ハワード)は、ひと夏を父の経営するヨットクラブでのバイトのために費やそうとしていた。ある時、隣家の女性の様子がおかしいことに気付く。調べるうちに、その女性は人間の記憶を消す魔女であることが分かり・・・

 

ポジティブ・サイド

魔女というのは何も『 ウィッチ 』のように中世を舞台にする必要はない。アイデア次第でいくらでも勝負できるジャンルであると感じる。本作も、チャレンジ精神は評価したい。面白いなと感じたのは、魔女の特性。記憶を消すというのはどちらかというと超能力の類に思えるが、それを魔女の力であると納得させてくれる。周りの人間の記憶がどんどん消され、自分だけが記憶と正気を保っているというのは、観ていてかなりスリリングだった。周囲の誰も分かってくれず、自分だけが恐怖の存在に気付いているという点で『 イット・フォローズ 』とよく似ている。

 

魔女という荒唐無稽な存在を対極に、ティーンエイジャーのひと夏の体験要素を盛り込むことで、『 13日の金曜日 』シリーズの初期作品のような空気が流れていた。Campyであるが、たまにはこういう nostalgy も悪くない。

 

魔女そのもののビジュアルもなかなか。それなりに怖いし、けれども何か立ち向かえそうな気もする。魔女の住処にベンが乗り込んでいって対決する終盤は、まんま『 IT 』(特にテレビ映画の方)のクライマックス。これまた懐かしい空気である。

 

最終盤のどんでん返しも、まあまあである。

 

ネガティブ・サイド

80年代の量産型ホラーの雰囲気を漂わせるなら、お色気シーンも作るべきだった。プールのシーンは期待させてくれたが、男の裸を見せてどうする。

 

ジャンプ・スケアをやたらと多用するのはいかがなものか。雰囲気は80年代でもいいが、演出の技法まで昔のものを使ってどうする。とはいうものの、今に至るまでジャンプ・スケアは一つの様式美で、これを使わないホラーというのも考えにくいという皮肉ではあるが。

 

どんでん返しがかなり読みやすい。記憶がなくなるという一種のトリックをミステリならどう料理するかを考えれば、答えはおのずと見えてくる。Jovianお勧めの『 ムゲンのi 』を律儀に読了した人なら、途中でピンと来るはずだ。

 

最大の問題は、ラストシーン。映画の印象のかなりの部分はラストのインパクトあるいは余韻で決まる。本作のようなホラーは、観る側に「え、これってまさかそういうこと?」と考えさせるべきで、「ああ、そうなのね」と納得させるような終わり方は悪手である。そう考えると『 殺人の追憶 』のラストは、インパクトという面でも余韻を残すという面でもパーフェクトだったなあと思い起こされる。

 

総評

「全米で5週連続興収1位」というのは歴然たる事実だが、コロナ禍で映画館がどこも壊滅状態、新作も延期に次ぐ延期という中で達成されたこの記録にまんまと騙されてしまった。クソホラー映画とまでは言わないが、極めて凡庸なホラーとしか言えない。ホラー好きなら、格安レンタルまたは配信まで待つのが吉である。スルーも当然、選択肢である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Don’t forget me.

「忘れないでね」の意。ディズニー映画の Theme Song に ”Remember Me”というのがあったが、 意味はほとんど同じである。forgetという動詞は「忘れる」以外にも類似の多彩な意味があり、これを使いこなせれば英語中級者以上である。その一例として Forget it. というものがある。気になる人はこちらを参照のこと。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, ジョン=ポール・ハワード, パイパー・カーダ, ホラー, 監督:ドリュー・T・ピアース, 監督:ブレット・ピアース, 配給会社:AMGエンタテインメントLeave a Comment on 『 ウィッチサマー 』 -凡百の夏ホラー

『 王になった男 』 -現代韓国人の歴史意識が垣間見える-

Posted on 2021年8月22日 by cool-jupiter

王になった男 70点
2021年8月21日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:イ・ビョンホン ハン・ヒョジュ リュ・スンリョン チャン・グァン シム・ウンギョン
監督:チュ・チャンミン

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『 白頭山大噴火 』前にイ・ビョンホン出演作を観ておきたくなったので、近所のTSUTAYAでレンタル。韓国映画人の歴史意識がどのようなものなのかが見えてくる良作。

 

あらすじ

光海君(イ・ビョンホン)は何物かに暗殺を企てられたことから人間不信に陥り、自身の影武者となれる者を探していた。そこで自身に瓜二つの道化師ハソン(イ・ビョンホン)をひそかに宮廷入りさせるが、光海君はケシによって意識不明の重体になってしまい・・・

 

ポジティブ・サイド

イ・ビョンホンの一人二役が冴えわたる。下品で粗野な道化師ハソンと人間不信の光海で表情が全く違う。もちろんメイクアップアーティストの力によるところも大きいし、照明の当て方で印象もがらりと変わる。それでもやはり役者本人の力が大きい。最初は簡単に見分けがついたけれども、それが場面によってどちらが本物でどちらが影武者か分からなくなるシーンがある。ハソンが「王になりたい」と言った時に描いた王のイメージ、そして我々が抱く「王様とはかくあるべし」という認識が一致するからこそだろう。本作が呈示する『 王になった男 』という像は、劇中の登場人物たちに向けてではなく、観る側に向けられている。いわばメタ構造の映画になっているのだ。

 

王の影武者として政務にあたるハソンをサポートする都承旨と内官の二人も素晴らしい。都承旨ホギュンを演じたリュ・スンリョンは『 エクストリーム・ジョブ 』の班長。コメディからシリアスまで、その演技ボキャブラリーの広さに脱帽である。宦官でもあるチョ内官は、なんと『 トガニ 幼き瞳の告発 』で一人二役を演じた恐怖の校長先生。人間の皮をかぶった悪魔というキャラが、イ・ビョンホン以外にも本作にはいた。それがまた、なんとも温かみのある宮廷人を演じている。序盤こそホラーなテイストで描かれるシーンもあるが、文字通りの意味で陰に陽に”王”を支える忠臣である。その他にもユーモア満点の立ち居振る舞いからの、あまりにもシリアスな結末を迎えてしまうト部将など、一人一人の役者の演技力の高さが目立つ。

 

名女優のシム・ウンギョンも、宮廷という伏魔殿で翻弄される女官を好演。入れ替わった王様の変化を皆で笑ったり、王様の食べ残しを有難く頂戴する序盤のシーンから、庶民の置かれた苦境、それによって人身売買に等しい行為によって宮廷入りせざるを得なかったという悲哀がダイレクトに伝わってくる。

 

政治の世界とは「1を与えて1を奪う」と都承旨ホギュンは言うが、それでは何も変わらない。持たざる者から奪うな。それが『 ジョーカー 』や『 パラサイト 半地下の家族 』の一面が訴えていたことではなかったか。それを力強く覆していく「王」の姿は感動的ですらある。格差の深刻さを訴える現代韓国映画は多いが、だからこそ平等を一時的にでも施行しようとした光海君を現代(21世紀)に蘇らせようとしたのだろう。それはとりもなおさず、現代の政治が”上級国民”を優遇し、下層民から搾り取っているからに他ならない。このあたりの感覚は、史実かどうかも疑わしいエピソードの再現にばかり凝る日本のドラマや映画製作者も見習うべきだろう。

 

ネガティブ・サイド

前半のコメディタッチが少々強すぎだと感じた。王の排泄物を医官が詳しく調べるのは『 宮廷女官チャングムの誓い 』でもお馴染みだったが、食べて味を確認するシーンは必要だったか・・・ 排泄分云々かんぬんに力を入れるのは『 悪魔を見た 』だけで充分である。

 

政務パートにもう少し力を入れてほしかった。2010年代といえば、すでに国策として映画を作り始めていたはず。ということは外国もマーケットだったわけで、もう少し当時の李氏朝鮮の情勢というものを、実際の政治を通じて見せてくれても良かったのではないか。皆が皆、韓国紙に詳しいわけではないのだから。

 

ハソンが見たくて見たくてたまらなかったハン・ヒョジュの笑顔は見られずじまい。なんたること・・・

 

総評

韓国史、あるいは一般的な王制や封建制度・貴族制度に関する知識がないと、宮廷で何が行われているのかが分からないだろう。逆に言えば、そうした知識がある程度あれば、なぜ韓国映画人が、史実に虚構の要素を交えながら本作を制作したのかが浮かび上がってくる。イ・ビョンホンの迫力やハン・ヒョジュの美貌だけではなく、脇を固めるキャストの確かな演技力が本作の物語性を豊かにしてくれている。韓国の歴史ドラマ好きなら観て損はないだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

チューナー

「殿下」の意。韓国の歴史ドラマを見ると、1話で10回以上使われているのではないかと思う。大昔が舞台、たとえば『 太王四神記 』では為政者はペーハー=陛下と呼ばれている。これは当時の朝鮮半島が中国の冊封体制に組み込まれていたかどうか、早い話が属国だったかどうかで変わる。独立国ならペーハー、属国ならチューナーとなるわけである。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, イ・ビョンホン, シム・ウンギョン, チャン・グァン, ハン・ヒョジュ, リュ・スンリョン, 歴史, 監督:チュ・チャンミン, 配給会社:CJ Entertainment Japan, 韓国Leave a Comment on 『 王になった男 』 -現代韓国人の歴史意識が垣間見える-

『 孤狼の血 LEVEL2 』 -狼は滅びていない-

Posted on 2021年8月22日2022年5月7日 by cool-jupiter

孤狼の血 LEVEL2 75点
2021年8月21日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:松坂桃李 鈴木亮平 村上虹郎 西野七瀬
監督:白石和彌

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『 孤狼の血 』の続編。松坂桃李がキャラクターとしても役者としても成長していることを証明したが、対する鈴木亮平がもっと恐ろしかった。

あらすじ

平成3年、広島。かつての仁正会と五十子会の抗争は、大上と日岡(松坂桃李)の奮闘によって手打ちに終わり、治安が取り戻されていた。しかし、超武闘派の上林(鈴木亮平)の出所により2代目五十子会に亀裂が入り、尾谷組との対立構造も先鋭化していく。日岡は騒乱を防ぐべく、チンタ(村上虹郎)をS=スパイとして上林組に送り込むが・・・

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ポジティブ・サイド

鈴木亮平演じる上林が言葉そのままの意味でヤバすぎる。まさに『 仁義なき戦い 』の世界観で、弱きを助け強きを挫くという任侠道などあったものではない。弱きを挫き、強きも挫くという、まさに悪い意味での極道。一般人が抱くヤクザへのイメージを極限まで肥大化させるとこんな奴になるのだろうという極悪人になっている。ただ悪いだけではなく頭も切れる。殺人事件の捜査でアジトに不意打ちをかけてきた日岡の尋問に対する切り返しは見事だったし、”ビジネス”を食らい、自身の叔父貴にあたる人物まで食らうという貪欲さとカリスマは、単なる暴力男に出せるオーラではなかった。白石監督の演出もあるのだろうが、鈴木亮平の役作りも大きい。デニーロ・アプローチが注目されがちだが、今作でも野生の肉食獣のような肉体美を披露してくれた。凶暴ヤクザを演じる力があるのが証明されたが、やりすぎである。これを超える演技は無理に思える。ヤクザ役のオファーはしばらく来ないだろう。Jovianのトラウマでもある目潰しをやりまくるのもポイントは高かった。『 ドント・ブリーズ2 』でも「勘弁してくれ」と感じたが、立て続けに見ること目潰しへのトラウマが少し減った気がする。

上林と対峙する日岡は前作から大きく成長した。オーソドックスな役よりも普通ではない役の方が成長できるのか。ヤクザをコントロールしようとしてヤクザそのままになってしまった大上の後継者に成長しつつあるように思えた。特に血まみれ、泥まみれになって戦うシーンが数多く出てくる。かなりきつめのアクションシーンが長めのワンカットで収められているが、事前の稽古は相当に大変だっただろう。正に体当たり。糞便を食わされた前作の大上の域には達していないが、それはまだまだ成長の余地があるということと解釈しておこう。

演技者として他にも印象に残ったのはチンタを演じた村上虹郎。在日のチンピラだが、ヤクザになりきれない半端者。普通のあんちゃんの顔とヤクザに取り込まれてしまった男の顔へ変貌する様はこの若い役者の確かな実力を感じさせる。チンタの魅せる実の親への盲目的な愛と上林が見せる盃ごとの親への盲目的な愛が奇妙な相似形になっていて、上林の上昇とチンタの転落のコントラストが大きく際立っている。

劇中でとあるキャラクターが共産党をユーモラスにディスるシーンは二重の意味で面白い。自分の行いを悪だと分かって悪行に手を染める者と、自分の行いを善だと信じて悪行に手を染める、いわゆる確信犯との違いを嗤うシーンだが、ここでは共産党員を嗤いながら、自分の信念に忠実な上林というヤクザと、これまた自分の信念に忠実な日岡という刑事が嗤われている。「お前らは根っこでは同じだよ」というわけだ。

物語は全編を通じて説教臭さとはほとんど無縁。重厚な人間ドラマだった前作の世界観を引き継ぎつつ、作風をガラリと変えてアクション方向に踏み切った判断は正解。最近の邦画がなかなか描けない人間が生きて人間が死んでいくという濃厚な物語に仕上がった。是非とも劇場でご覧いただきたい。

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ネガティブ・サイド

前作から引き続き登場する安芸新聞の記者が言う「表現の自由」は、「報道の自由」の間違いだろう。なぜこのようなミスがチェック段階で発見されず、なおかつ撮影まで行ってしまったのだろうか。

吉田鋼太郎のヤクザの親分役はさっぱりだった。元々のイメージも実際の演技もコミカルすぎて、物語世界から浮いていた。ミスキャストのように感じた。

西野七瀬の演技は悪いものではなかったが、平手打ちの力のなさや、声を張り上げるべき場面での声量の小ささは減点せざるをえない。

前作で大上が抱えていた秘密の大きさと深さから受けた衝撃があるので、今作のとある展開には驚きがなかった。「警察とはそういう組織である」ということを日岡は前作で学んだのではないか。

総評

どう考えても LEVEL3 に続くのだろう。日岡が狼の幻影を探し求めるのは、かつての大上、そして自身の中にある凶暴性の幻影を追っているように思えてならない。松坂桃李は『 不能犯 』、『 娼年 』あたりから演技の幅を如実に広げてきたが、本作でさらにその印象を強めた。さらに強烈なインパクトを残したのは鈴木亮平。小栗旬よりもハリウッドに近いのでは?ヤクザの没落と悲哀を描いた『 ヤクザと家族 The Family 』や『 すばらしき世界 』が目立つ2021年であるが、本作のような正統的なヤクザ映画もまだまだ面白さを保っている。日岡という刑事、松坂桃李という役者のビルドゥングスロマンとして必見である。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

freedom of the press

「報道の自由」の意。どういうわけか the freedom of the press や the freedom of press、freedom of press のように微妙に間違った形が散見される(特に受験業界)。

報道の自由を行使する = use freedom of the press

報道の自由を抑圧する = suppress freedom of the press

のように使う。

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, アクション, 日本, 村上虹郎, 松坂桃李, 監督:白石和彌, 西野七瀬, 配給会社:東映, 鈴木亮平Leave a Comment on 『 孤狼の血 LEVEL2 』 -狼は滅びていない-

『 フリー・ガイ 』 -R・レイノルズの代表作になるか-

Posted on 2021年8月21日 by cool-jupiter

フリー・ガイ 75点
2021年8月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ライアン・レイノルズ ジョディ・カマー リル・レル・ハウリー タイカ・ワイティティ ジョー・キーリー
監督:ショーン・レヴィ

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ライアン・レイノルズ作品。ほとんどが箸にも棒にも掛からない作品なのだが、たまに傑作が混じっている。本作は個人的には傑作である。ただし、波長が合わない人にとっては間違いなく地雷である。

あらすじ

「フリー・シティ」というオンライン参加型のゲーム内のNPC(Non-Playable Character)であるガイ(ライアン・レイノルズ)は、謎の女性モロトフ(ジョディ・カマー)に一目惚れ。ある時、モロトフのかけている眼鏡をかけることで、ガイは自分の世界がゲームであると認識してしまい・・・

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ポジティブ・サイド

ゲームの世界を舞台にしている点で『 竜とそばかすの姫 』そっくりだが、視点をプレイヤーではなくモブキャラに持ってきたのは割と斬新なアイデアなのではないか。ドラクエやFFで村人に話しかけたら、いつもと違う答えが返ってきたらプレイヤーは腰を抜かすだろう。本作はそうした「NPCの自律」を実はテーマにしている。

ライアン・レイノルズの普通の男っぷりが魅せる。人生に疑問を持たずに生きてきた男が、運命の女性 = Ms. Right を見つけて奮闘する・・・というのはありきたりもいいところのプロット。だが、本作がユニークなのはNPCが色々な経験を積んでレベルアップしていくこと、さらには他のNPCをも巻き込んで、ゲーム全体にまで影響を及ぼしていくところだろう。『 マトリックス 』シリーズとは真逆の発想で、世の中には凄いことを考える人がいるのだなと感心させられる。

ゲーム世界と現実世界のつながりにしっかりと意味がある点も評価できる。『 レディ・プレイヤー1 』のように「ゲームが居場所である」と言いながらも「やっぱり現実サイコー!」になってしまう作品よりも、よっぽど物語の骨格がしっかりしている。モロトフとしてゲームをプレーしているミリーには、ゲームをしなければならない理由があり、そのことがガイというNPCの設定に実は深く結びついているという脚本の妙には痺れた。

単純にアクションとして鑑賞するのも楽しい。ガイがゲームのアイテムを使用してプレイヤーから逃げるシーンは、緊迫感とユーモアが両立する稀有な演出。NPCが大冒険で経験値を積み上げてレベルアップしていくのにも笑ってしまうと同時に、その発想の非凡さに唸らされた。ガイ以外のゲームキャラも楽しい。特にバディを演じたリル・レル・ハウリーは『 ゲット・アウト 』の超面白キャラのノリを保っていて、ガイとの掛け合いは愉快の一言。またゲーム会社のボスであるアントワンも味のある悪役。演じるタイカ・ワイティティは『 ジョジョ・ラビット 』のイマジナリーフレンドのヒトラー役でも怪演したが、今作でもその chew up the scenery な演技は全開であった。

クライマックスはハチャメチャの一語に尽きる。『 ゴジラvs.コング 』のMonsterVerseのように、異なる映画世界を一つにまとめ上げていくのは最早一つのトレンドだが、ここでそう来たか、と。『 レディ・プレイヤー1 』のガンダムとメカゴジラの激突に匹敵する壮絶なパロディが炸裂する。TPPの黒幕である某社の面目躍如である。さあ、大いに笑おう。そして、人生を誰かにコントロールされているかもしれない自分自身を少し顧みてみようではないか。

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ネガティブ・サイド

YouTuberたちや世界の色々なゲーマーたちがガイに注目していっているのに対して。フリー・シティの開発会社の面々が本気で対策に乗り出さない理由の描写が弱かったと思う。アントワンから「奴を消せ、しかし奴の中身のデータは見るな」的な指示によって社内に波紋が広がるようなサブプロットがあっても良かったように思う。

裏の主人公であるキーズの見せ場が少なかったか。アントワンと対峙するも、口論であっさり敗退・・・という強烈なシーンがあれば「男は黙ってコードを書く」的なキャラの印象がもっと強まったはずだ。

総評

ライアン・レイノルズがついに『 デッドプール 』以外の代表作を手に入れたか。同僚カナダ人に”Most of his movies are garbage.”と評されてしまうライアンだが、『 名探偵ピカチュウ 』と本作によって、コメディとシリアスの間を自在に行き来できる役者であることがあらためて証明された。デッドプールの第3作も期待できるかもしれない。ある程度、映画やゲームのバックグラウンドがある人であればかなり楽しめるかもしれないし、逆に「ふざけるな!」と憤慨してしまうかもしれない。いずれにせよ、現状に閉塞感を感じる人にこそ本作は鑑賞してほしい。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Don’t have a good day. Have a great day!

日本語にするのが難しいが、相手との別れ際の挨拶として”Have a ポジティブな形容詞 + 名詞”というのが定番である。時間帯によっては day = 昼だったり、evening や night も使うし、週末であれば weekend となる。旅行という文脈では Have a nice trip. や Have a nice stay. が定番である。great は good よりも「良い」の意味合いが強い。映画『 エアレース 』でも、”If he’s good, I’m great.” = 「あいつが good なら、俺は great だ」というセリフもあった。great > good なのである。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アメリカ, ジョー・キーリー, ジョディ・カマー, タイカ・ワイティティ, ライアン・レイノルズ, リル・レル・ハウリー, 監督:ショーン・レヴィ, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 フリー・ガイ 』 -R・レイノルズの代表作になるか-

『 ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』 -もう一度コンセプトを見直せ-

Posted on 2021年8月20日 by cool-jupiter

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 60点
2021年8月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イドリス・エルバ マーゴット・ロビー ジョン・シナ
監督:ジェームズ・ガン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210820010613j:plain

デイヴィッド・エアー版の『 スーサイド・スクワッド 』をジェームズ・ガンがリブート。エアー版より良くなっているところもあるが、やはり悪者軍団の魅力が描き切れていないのではないだろうか。

 

あらすじ

減刑10年と引き換えに集められた犯罪者たち。彼ら彼女らに与えられたミッションは、南米の小国にある施設ヨトゥンヘイムに侵入し、世界の平和をおびやかす研究を破壊すること。そのためにブラッドスポート(イドリス・エルバ)やハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)らがタスクフォースXとして現地に派遣されるが・・・

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ポジティブ・サイド

開始から数分で前作のキャラがドンドン退場していく。そのあまりの小気味の良さに笑ってしまう。しかも、まあまあのゴア表現もあり、なかなかよろしい。いきなり仲間内から裏切り者が出て、その裏切り者もあっさりと殺されてしまう。これでこそ悪人ぞろいのスーサイド・スクワッドという感じがした。

 

新生したザ・スーサイド・スクワッドの各メンバーも多士済済。前作では、ディアブロが強すぎ、キャプテン・ブーメランが弱すぎという、かなりアンバランスな構成で、見せ場の多くはデッド・ショットが持って行ってしまった。今作ではブラッドスポートがデッド・ショット的なポジションながら、スクワッドのメンバーがちゃんと ensemble cast になっている。このへんの匙加減が『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 』を思わせる。

 

中盤のハーレイ・クインの大暴れが一番の見どころ。結構な殺しっぷりだが、『 ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY 』同様に、人間がカラフルな紙吹雪状になって散華していく様はやっぱり笑ってしまう。ブラッドスポートとピースメイカーの殺し合い合戦もユーモラス。「こやつら、かなりできる」と観客に思わせてからのオチにも笑った。

 

極悪隊員たちが怪獣に挑むというスペクタクルは圧巻。敵の倒し方にも説得力がある。スーパーパワーで敵を倒しては興ざめで、ちゃんとスクワッドのメンバーの固有の能力で倒してくれたのが良かった。

 

フラッグ大佐や真の悪党アマンダおばさんが続投してくれていることで、DCEUとのつながりも保たれている。またジョーカーが一切出てこないので、ストーリーの軸がぶれない。続編があるなら(そして”Pop Goes the Wiesel”な展開になるなら)、映画館で観てみようかと思う。

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ネガティブ・サイド

やはり何か違う。前作では、なぜDCの正統的なスーパーヒーロー、たとえばスーパーマンやワンダーウーマンが出張って来ないのか分からなかった。今作でもそれは同じ。言ってみれば、アメリカの暗部に直結する dirty work = 汚れ仕事をこなす汚れ役、それがスーサイド・スクワッドであり、ザ・スーサイド・スクワッドでもある。ただ、相手が宇宙生命体にして怪獣である(トレイラーに散々映っているので spoiler ではないだろう)となれば、大げさに言えば地球の危機。ならばゴジラかスーパーヒーローを呼んで来いという話になる。極悪人に、同じくらいの極悪人をぶっ殺してこいというミッションなら分かるが、これでは刑務所にいる悪党どもを集める意味がそもそもないではないか。

 

フラッグ大佐のキャラのトーンが前作と違うのも気になった。前作では「どうやってこいつらをまとめ上げればいいんだ」と苦悩する生真面目な軍人風味だったのが、今作ではどこか抜けた雰囲気の軍人になってしまった。かと思うと、アマンダの非道っぷりは変わらず。このあたりのキャラを続投させるなら、前作の性格をちゃんと引き継がせてほしかった。

 

総評

爽快感は間違いなくある。アクションは派手かつコミカルで、人間ドラマの要素もしっかりと組み込まれている。しかし、何かが違う。悪人が結局、善人になってしまっては面白くもなんともない。最終的に家族ドラマに落ち着いてしまっては、前作と同じ、かつアメリカ的な正統なイデオロギーから脱していない。つまり、スーパーヒーロー映画と根本的に同じになってしまう。「 “極”悪党、集結 」などという邦題に期待しなければ、楽しめる作品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

suicide

「自殺」の意。形態素解析すると、それぞれラテン語で sui + cide となる。sui = self, cida = killer である。cida が英語になる際に cide と綴りが変わった。cide = killer と覚えておけば色々と応用が利く。pesticide = 小さな動物を殺すもの = 殺鼠剤、殺虫剤となるし、homicide = 人間を殺すもの = 殺人となる。英検一級を目指すなら、regicide や fratricide を知っておきたい。 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アクション, アメリカ, イドリス・エルバ, コメディ, ジョン・シナ, マーゴット・ロビー, 監督:ジェームズ・ガン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』 -もう一度コンセプトを見直せ-

『 ドント・ブリーズ2 』 -第3作に続くか-

Posted on 2021年8月19日 by cool-jupiter

ドント・ブリーズ2 70点
2021年8月14日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:スティーブン・ラング ブレンダン・セクストン3世 マデリン・グレース
監督:ロド・サヤゲス

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前作『 ドント・ブリーズ 』の脚本家が続編を監督。普通に面白かった。『 クワイエット・プレイス 破られた沈黙 』のように続編も前作のオリジナルを保っていて、なおかつ『 ボーダーライン 』で主役だったエミリー・ブラントが、続編『 ボーダーライン ソルジャーズ・デイ 』では退場、主役をベニシオ・デル・トロが引き継いだ構図とよく似ている。

 

あらすじ

盲目の元ネイビーシールズ隊員のノーマン(スティーブン・ラング)は、少女フェニックス(マデリン・グレース)を、厳しくトレーニングしながら養育していた。ある日、自宅が謎の男レイラン(ブレンダン・セクストン3世)たちに襲撃される。応戦するノーマンだったが、フェニックスをさらわれてしまい・・・

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ポジティブ・サイド

前作では家そのものが一つの巨大なキャラクターのようだったが、本作でもそうした雰囲気は健在。序盤で男たちが家に侵入してきた際に、家屋内を縦横無尽にワンカットで移動していくカメラワークには痺れた。終盤のとあるロケーションでの闘いも、視覚によって聴覚と触覚を表すという演出が素晴らしく印象に残った。

 

ゴア強めのアクション要素がアップしたのは個人的には嬉しい。第一作は、盲目の老人が超強い+相手の家から出ようにも出られないという、二つのホラー要素が上手くハマった。まともに戦えば勝てないが、相手は盲目。しかし、場所は相手のホームグラウンドという設定が絶妙だった。逆に言えば、一回こっきりでしか使えないアイデアだった。今作では相手も元軍人にすることで、バトルに緊迫感をもたらした。このホラー路線からアクション路線への変更は奏功したと言っていい。

 

盲目老人のがハンデを次々に克服して、レイラン一味を追い詰めていく方法にも、まあまあ説得力がある。またレイランがフェニックスを狙う理由もなかなかに狂っていて、人間の業を感じさせる。ある意味、エゴとエゴがぶつかり合っているわけだが、観る側はレイランよりもノーマン老を応援したくなる。その仕掛けは、ぜひ劇場でお確かめあれ。

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ネガティブ・サイド

Don’t breathe = 息をするな、という要素がなくなってしまった。それどころか、序盤では2度ほど”Breathe”=「息をしろ」というシーンが作られていて、「これは終盤に”Don’t breathe!”なシーンが来るという伏線だな」と感じさせられたが、それもなし。クライマックスの「煙幕」シーンで、”Don’t breathe!”と叫ばせることも可能だったのではないだろうか。

 

犬の扱いが雑ではないか。前作では良い味を出していた黒犬のシャドウもそうだが、もう一頭の方は節操がなさすぎる。もちろん、元の飼い主のレイランの言動もちょっとアレだが、もう少しノーマンが犬を手懐けるために行っているほんのちょっとした技のようなものを見せておいてくれれば、中盤以降の展開にもっと説得力が生まれる。

 

エンディング(ポスト・クレジット前)のシーンはまんま『 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 』のエンディング。重要なシーンだからこそ、もう少しオリジナリティが欲しかった。

 

総評

主人公の変態属性が薄まったが、戦闘能力は健在。アウェーでもそこそこの説得力のある戦いになっており、ホラー色が薄まったものの、アクション要素がパワーアップ。前作の恐怖要素に辟易した向きも、本作になら入っていきやすいのではないか。ほんのわずかだがポスト・クレジットの映像があるので、最後まで御覧あれ。期待せずに待とうではないか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

go home

家に帰る、の意。よくある間違いとして go back home というものがあるが、これはしばらく家に帰っていない人が使う表現。たとえば単身赴任している人が久しぶりに家に帰る時などに使う。職場や学校などで「今日は何時に家に帰る?」というのは、”What time are you going to go home today?”と言う。 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アメリカ, スティーブン・ラング, ブレンダン・セクストン3世, マデリン・グレース, 監督:ロド・サヤゲス, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 ドント・ブリーズ2 』 -第3作に続くか-

『 サイダーのように言葉が湧き上がる 』 -平安貴族的恋愛の勧め-

Posted on 2021年8月16日 by cool-jupiter

サイダーのように言葉が湧き上がる 70点
2021年8月14日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:市川染五郎 杉咲花
監督:イシグロキョウヘイ

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予告編の映像の色使いと”俳句”の要素に惹かれた。公開からしばらく経ってしまったが、だからこそ密になりにくいだろうとチケットを購入。

あらすじ

俳句は詠めるがコミュニケーションが苦手なチェリー(市川染五郎)。快活だが、矯正している前歯がコンプレックスになっているスマイル(杉咲花)。郊外のショッピングモールのアクシデントで互いのスマホが入れ替わってしまった二人は、徐々に交流を深めていく。ある時、チェリーのバイト先の介護施設のフジヤマさんが長年探しているレコードをチェリーとスマイルの二人も探すことになり・・・

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ポジティブ・サイド

少女漫画の映像化に精を出す業界人にこそ告げたい。本作のような作品こそ「等身大」と形容されるのですよ、と。まず主人公二人の名前が良い。チェリーは『 さくら 』で紹介した”pop one’s cherry”的な意味でのチェリーだろうし、スマイルというのもそのまま劣等感の表れだ。つまり、主人公たちが持っているコンプレックスが、複雑な人間関係(『 ママレード・ボーイ 』など)や社会的な立場の違い(『 センセイ君主 』や『 まともじゃないのは君も一緒 』など)に起因しないからである。それこそちょっとしたコミュ障だったり、ちょっとした外見の悩みは、青春を過ごす者にならほとんど100%当てはまるわけで、こういうキャラクターたちを通じてこそ「ああ、俺にもこんな青春があったなあ」と思えるわけである。

 

舞台が郊外のショッピングモールというのも、『 君が世界のはじまり 』のような地方都市の楽しさと物悲しさが同居していてリアリティがある。そこにいたいけれども、そこから抜け出しくもある。チェリーが引っ越し(トレイラーでも出てくるのでネタバレにはならないだろう)に対して、極めてニュートラルに振る舞っているのも、そうしたアンビバレントな気持ちの表れだろう。幹線道路沿いで完結する世界というのも『 ここは退屈迎えに来て 』で、日本の多くの地方都市に共通する風景であり生活世界である。つまり、多くの人が自分を重ね合わせやすい。東京23区内あるいはその周辺というのは、実はほとんどの人間にとっては非日常だ。

 

老人介護や外国人移民、地場の店の閉鎖。多くの地方都市に共通する現在進行形の事象を交えながらも、物語は決して陰鬱にはならない。一つにはアニメーションにおける鮮明な色使いがある。原色のアピールが強い画作りが、現実との距離感を生み出している。誰もが理解や共感をしやすい状況を整え、しかし、そこに映し出される世界には適度なフィクション感がある。だからこそ感情移入はできるが、あくまでもチェリーとスマイルの物語として鑑賞することができる。

 

もう一つには not real time, not real space なコミュニケーションの可能性だろう。物語の鍵としてYAMAZAKURAというレコードの存在があるわけだが、レコードという媒体に込められたメッセージの有効性は、時間や場所には縛られない(だからこそ、その媒体自身=レコードの円盤が壊れてしまうと一巻の終わりなのだが・・・)。同じく、俳句という発話の形式も、それをTwitterなどにアップすることで半永久保存が可能になる。俳句をテーマにした邦画をJovianはほとんど知らない。ライブ配信という real time の、ある意味ではとても刹那的なコミュニケーションを楽しむスマイルが、チェリーの俳句に対して「Like」とポチるシーンは、彼女の conversion を見るようで面白かった。俳句、配信、レコード探しといった極めて間接的なコミュニケーションだけでチェリーとスマイルの関係が深まっていくところが逆にリアルに感じられる。

 

クライマックスは予想どおりは言え、十分なカタルシスを得られる出来栄え。『 ちはやふる 』の時代の平安貴族は、このようなコミュニケーションで逢瀬に勤しんだのである。最後に一句。

 

おもがくす やまざくらこそ いとあはれ

 

ネガティブ・サイド

ビーバーのグラフィティ行為はさすがにやりすぎでは?あそこまで街中に落書きしまくっていたら、補導では効かないだろう。間違いなく逮捕されるはず。冒頭のモール内での狼藉も防犯カメラにばっちり映っているのは間違いない。ビーバーのグラフィティ行為はモール屋上に留めておくべきだった。その方がクライマックスのメッセージがより際立ったと思う。

 

YAMAZAKURAのレコードがかかる瞬間は、本作のハイライトの一つ。しかし、聞こえてきたのは完全なるデジタル音声とは、これいかに。監督・脚本・演出を務めたイシグロキョウヘイはJovianと同世代。ミレニアル世代ならまだしも、レコードを一度も聞いたことがないのだろうか。フェードインで始まる感じや、ところどころに入る「プツプツ」という音が一切なかった。完全なる拍子抜けである。なかなか言語化しづらいのだが、古い写真が色褪せて味わいが出てくるのと同様に、音に味わいがある。そうしたものが一切なかったのは大きなマイナスである。

 

総評

邦画というのは、やはり良くも悪くもアニメが大きな力を持つ分野なのだなと思い知らされる。韓国映画やインド映画、最近では中国映画にもまもなく抜かれることが確定している邦画だが、アニメのクリエイターたちに適切に投資すれば、まだまだ佳作は生み出せるし、そこから世界に転送可能な才能も養成できるだろう。小難しいことは抜きにして、本作のような作品こそ、デートムービーにふさわしい。あるいは、友達以上恋人未満な相手を誘うのにこそふさわしい一本である。さあ、コミュ障男子たちよ。一歩を踏み出せ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

A haiku goes five seven five.

ア・ハイク・ゴウズ・ファイヴ・セヴン・ファイヴ、と発音する。意味はそのまま「俳句は5・7・5である」。なぜ go という動詞を使うのか、ここでの go とはどういう意味かを説明するのは至福の関係で省略させていただく。日本文化を説明する際の一節として、上のセンテンスは丸暗記しておいて損はないかもしれない。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, 市川染五郎, 日本, 杉咲花, 監督:イシグロキョウヘイ, 配給会社:松竹, 青春Leave a Comment on 『 サイダーのように言葉が湧き上がる 』 -平安貴族的恋愛の勧め-

『 海獣の子供 』 -海は異界へ通じる-

Posted on 2021年8月16日2021年8月17日 by cool-jupiter

海獣の子供 75点
2021年8月12日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:芦田愛菜
監督:渡辺歩

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つかの間の盆休み。夏らしい映画を求めて近所のTSUTAYAを渉猟。本作をピックアウトした。

 

あらすじ

学校に居場所をなくした琉花(芦田愛菜)は、父の勤める水族館に出向く。そこで偶然に空と海という、二人の少年に出会う。琉花の父は、二人は海でジュゴンに育てられたのだと言う。交流を深める3人だったが、琉花はそれが宇宙の生命誕生の秘密につながっていくことを知らなかった・・・

 

ポジティブ・サイド

暴力的なまでの映像の迫真性に冒頭から圧倒される。水族館の中とはいえ、そこも海。その海に住まう生き物たちの命の躍動をこれでもかと伝えようとしてくる映像は、しかし、ほんの序章に過ぎなかった。海、そして海洋生物をこれほどまでに神秘的かつ神々しいまでのトーンで描いた作品を他に知らない。アニメでしか表現できない、アニメだからこそ表現できる世界が全編で堪能できる。

 

ボーイ・ミーツ・ガールあるいはガール・ミーツ・ボーイは珍しくもなんともないが、ガール・ミーツ・ボーイズと複数形になるところが斬新。しかも、ひと夏のロマンスまたはアドベンチャーと見せかけて、SF風味のファンタジー。ジャンル不明の作品であるが、一つだけ言えるのは、どの要素を取り上げてもそこそこ面白くなっている。

 

人魂という謎の現象、海の生き物、なかんずくクジラの歌うソング。空から琉花へ、琉花から海へと託されていくことになる隕石。壮大な命の誕生をめぐる宇宙的な叙事詩を物語にしてやろう、映像と音楽でとことん表現してやろうという渡辺歩監督およびSTUDIO4℃の気概は買いである。

 

個人的には『 ペンギン・ハイウェイ 』に並ぶ傑作である。世界とは何か。生きるとは何か。そして、何故この世界で生きているのか。我々は知らぬ間にこの世界に投げ出されて生きているが、われわれ人間が生きるという営為が持つ意味は、実は我々のものではないのである。そうした視点を本作から得ることができる。本作は優れた哲学にして文明論である。

 

ネガティブ・サイド 

映像の美しさは文句なしだが、様々な点でオリジナリティに欠ける。というよりも、どこかで見たイメージがてんこ盛りであるとさえ言える。最も分かりやすいのは『 エヴァンゲリオン 』的な心象風景描写および創世のイメージだろう。そして、クライマックスの生命誕生シーンは、まんま『 LUCY/ルーシー 』の脳の覚醒100%のイメージ。映像の美しさと独創性は両立するはずなので、もっとそこを追求してほしい。

 

ダークマターとダークエネルギーを混同するシーンが出てくるが、いくら海洋学者といえども感心しない。宇宙の96%はダークマターではなく、ダークマター26%とダークエネルギー68%である(多少の誤差はあるにしろ)。宇宙の創世とパンスペルミア説を描く本作の製作者サイドには、もう一度宇宙論の基本的な勉強からお願いしたい。

 

総評

ある程度の自然科学的な知識の有無で評価ががらりと変わりそうな作品。多少の知識があれば面白いと受け止められるだろうが、そうでなければチンプンカンプン物語かもしれない。いや、案外、生物学や天文学、哲学などの知識を持たないまっさらな状態の方が本作を”直感的”に受け止められるかもしれない。小学生ぐらいの子どもを持つファミリーが鑑賞すると良いのかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

meteorite

「隕石」の意。商売柄、TOEFL iBTを教える際に彗星や小惑星、隕石の違いを解説することがあるが、彗星=尾を引く小天体、小惑星=惑星軌道上にある小天体、隕石=地球表面にまで落ちてきた小天体だと解説している。ちなみにmeteorという語の原義は「空から落ちてくるもの」を指す。雨も雪も雷も、基本は空から地面に落ちてくる。なので、meteorology = 気象学となる。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, B Rank, SF, アニメ, ファンタジー, 日本, 監督:渡辺歩, 芦田愛菜, 配給会社:東宝映像事業部Leave a Comment on 『 海獣の子供 』 -海は異界へ通じる-

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