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『 ママレード・ボーイ 』 -ダメ映画の作り方を学びたければ本作を観るべし-

Posted on 2018年5月14日2020年1月10日 by cool-jupiter

題名:ママレード・ボーイ 15点
場所:2018年5月3日 MOVIXあまがさきにて観賞
主演:桜井日奈子 吉沢亮
監督:廣木隆一

本来ならこの映画のレビューをもっと早くすべきだったのかもしれない。なぜなら、よほど原作もしくは俳優陣に思い入れのある方でなければ、この映画を観賞することはお金と時間の浪費になるからだ。もしくはダメ映画の教材として、大学の映画サークルなどがDVD/ブルーレイ、その他デジタルメディアであーだこーだと分析しながら観る分には良いのかもしれない。

主役の二人の演技は可もなく不可もなくといったところ。吉沢亮の方は随所にポテンシャルを感じさせる若さゆえの脆さや弱さ、不安定さを感じさせるところもあった。彼の女性ファンならその点だけでも観る価値はあるかもしれない。

この映画を駄作にしている要因は主に2つ。第一に、意図の読めないカメラワーク。3~4か所ほどかなり長めのワンショットを使っていたが、カメラが無意味にズームイン、ズームアウトを行っていた。主役2人しかそこにいないということを強調したかったのかもしれないが、そこで映す=見せるべきは2人の表情や息遣いであって、監督や撮影監督の自己満足ではない。

第二に、前後のつながりを一切欠いた杜撰な脚本。主役2人がどのタイミングで相手に好意を持ったのか、そんなものは一切描かれないまま突如、2人が付き合うようになる。また朝と思わせて昼、昼と思わせて夕方だったというシーンがあったり、わずか数分で季節を一つ二つ飛ばしたシークエンスもあった。登場人物の服装や街並みのちょっとしたワンショットなどから受け手に季節の移り変わりや時間の経過を見せるのは当たり前過ぎる手法だが、今作はそれらをほぼ一切拒否。非常に斬新だ。惜しむらくはこのメソッドを取り入れよう、と思う同業者は皆無であろうと予想されること。またクライマックスの真実が明らかになるシーンでは、明らかにそこに言及する必要のない人名や人間関係が語られる。両親が語るその内容は観客に向けてのもので子どもたちに必要なものではなかった。監督、脚本家、編集担当者の誰もこのことに気づかなかったのだろうか。

とにかく脚本が致命的に悪い。そしてところどころで使われるロングのショットが物語の進行を異様にスローテンポにし、さらに主役2人の心の動きを観る者に一切読み取らせないようにするという誰も得しないカメラワーク。努々この作品を映画館で観るなかれ。時間とカネを浪費するだけに終わってしまうであろう。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, F Rank, ロマンス, 廣木隆一, 日本, 桜井日奈子, 配給会社:東映

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