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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: アメリカ

『 ランニング・マン 』 -実現しそうなディストピア-

Posted on 2026年2月10日2026年2月10日 by cool-jupiter

ランニング・マン 65点
2026年2月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:グレン・パウエル
監督:エドガー・ライト

シュワルツェネッガーの『 バトルランナー  』を、1989年前後の大みそかに家族や親せきと一緒にテレビで観た記憶がある。リメイクがどんな具合か確かめるためチケット購入。

 

あらすじ

スラムに暮らすベン・リチャーズ(グレン・パウエル)は病気の娘の治療代、さらには家族でスラムから脱出するためのカネを得るため、デス・ゲームであるランニング・マンへの出場を決意する。トライアウトを見事に通過したベンは、30日間をハンターたちから逃げ切ることができるのか・・・

 

ポジティブ・サイド

貧富の格差がさらに広がったディストピアで、下級市民は放射線被ばくのリスクのある仕事に従事するしかない、というのは日本でもアメリカでもありそうな話。スラムと都市部の間に物理的な壁が存在するのもリアル。ハリウッドなどの高級住宅地とその他の地域の間にはゲートが存在するからだ。

 

持たざる者が持てる者に反抗する一つの形としてランニング・マンは、一歩間違えば『 サークル 』のような、全国的な監視ネットワークの構築に資するもののようで恐ろしい。一方で『 ワン・バトル・アフター・アナザー 』や『 ハリエット 』のように、逃亡を助けてくれる個人が存在するのもアメリカ的と言えばアメリカ的だった。

 

ランニング・マンが定期的に送らねばならない映像が、ネットワークによって好きなように加工されてしまうというのは象徴的。たしか『 バトルランナー 』でもそうだったか。我々がメディア(それがテレビでもラジオでも新聞でもネットでも何でもいい)、つまり中間媒体を通じて情報を得る時、その情報が操作や加工をされていないという保証はないと言っているかのようだ。

 

殺人が娯楽になるとは思いたくないが、『 ザ・ハント 』や『 バクラウ 地図から消された村 』のような世界は着実に近づきつつあると感じる。コメディックに展開し、最後に救いすら感じさせるが、それすらも大衆の消費の対象に過ぎないのかもしれないと思うと、ほんの少しぞっとする。

 

ネガティブ・サイド

お守りの靴下が決定的なアイテムになるかと思ったが、そうはならなかった。また、ベンが他人の苦境を決して見捨てられない男であるという性質もあまり活かされなかった。

 

「スラムには逃げ込むな」というアドバイスがややご都合主義か。自分が主人公ならスラム街の住人同士で結束を固め、誰かがランニング・マンになった時にそのスラムコミュニティ全体で匿ってやり、10億ドルの恩恵に与ろうと画策するが。

 

中盤までは面白いが、終盤に向かって主人公の逃走が極まっていくと、逃走から反撃に転じてしまう点が腑に落ちなかった。『 バトルランナー 』は相打ちというか自爆的な攻撃だったが、本作は『 マトリックス レザレクションズ 』的な終わり方が個人的には合わなかった。

 

総評

悪い作品ではないが、エドガー・ライトに求められる水準に達しているかと言えばそうではない。ディストピアでありながら、どこか『 ショーン・オブ・ザ・デッド 』的な雰囲気になっているのがノイズに感じられた。ただ、細かいことは考えず、2時間ちょっとポップコーンをほおばりながら楽しみたいという向きには好適かもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

That’s the spirit.

これは決まり文句で「その意気やよし」、「そうこなくっちゃ」、「いい心がけだ」のような意味。若い従業員が「今月1000件テレアポします!」や「Zoomアポを20件獲得します!」のように言ったら、That’s the spirit! と声をかけてあげよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』
『 禍々女 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アクション, アメリカ, グレン・パウエル, サスペンス, 監督:エドガー・ライト, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 ランニング・マン 』 -実現しそうなディストピア-

『 MERCY マーシー AI裁判 』 -推定無罪の原則を忘れるな-

Posted on 2026年1月27日 by cool-jupiter

MERCY マーシー AI裁判 40点
2026年1月24日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:クリス・プラット レベッカ・ファーガソン
監督:ティムール・ベクマンベトフ

 

仕事で毎日AIをこき使っている者として、チケット購入。

あらすじ

警察官のクリス・レイブン(クリス・プラット)は目が覚めると、AI裁判官のマーシー(レベッカ・ファーガソン)の前にいた。罪状は妻殺し。自身の犯行ではないと90分以内に証明できなければ処刑される。クリスはデータベースの中で真相を追うが・・・

ポジティブ・サイド

現代のアメリカ社会を(報道を通して)観察する限り、『 シビル・ウォー アメリカ最後の日 』の日に近づいている・・・とまではいかないものの、分断と排斥がかなり進んでいるようだ。本作の冒頭数分で描かれるようなレッドゾーンの設置などは近い将来に現実になるかもしれないと感じさせられた。

 

人間が乗れるタイプのドローンもかっこいい。アメリカや中国なら安全性は別にして一部の場所で実際に飛ばせそうな、リアルなガジェットだ。

 

主人公はなかなかクソ野郎なのだが、警察官としては優秀で、情報を片っ端から線形分離していく。これは秀逸で、情報を非線形分離するAIとのコントラストになっていた(が、マドックス自身は情報を非線形分離していないようだったが)。人間の直感をうまくビジュアル化できていたと思う。

 

真相もまあまあ。いつの時代でも『 コンタクト 』の狂信者みたいな奴はいるのものである。

 

ネガティブ・サイド

構成はほとんど『 search サーチ 』と同じで、大部分はモニター画面上で進行する。残念ながら、そこに目新しさはなかった。

 

筋立てとしては『 マイノリティ・リポート 』と同じく、警察官自身が殺人の嫌疑をかけられるというもの。ただ『 マイノリティ・リポート 』は事件発生前であるため、弁護士も何もない。一方で本作では主人公の妻が殺害されている。にもかかわらず、弁護士もつかず、ろくな捜査もなく、いきなり処刑まで90分。しかも、推定有罪ときた。これが2080年とかなら、まあ分からなくもないが、2029年?3年後?

 

SFだと言われればそれまでだが、推定有罪率92%で処刑というのは誰が決めた?たとえばの話、100回中8回エンジンがかからないクルマ、100回中8回鳴らないインターホン、100回中8回起動しないPCなどがあったとして、誰がそんなものを買って、使うのか。設定があまりにも荒唐無稽すぎて、白けてしまった。

 

そもそもトレーラーが色々と余計な情報を出し過ぎ。さらにハリウッド映画を見慣れている人なら、開始から20~30分で「ははあ、真相は不明だが、多分こいつが犯人または元凶だな」と分かってしまう。Jovianも第一感で怪しいと感じた人物がそれだった。つまらん。

 

途中でAI裁判官のマドックスがグリッチを起こすが、そんな演出は不要だった。

 

総評

AI裁判官というよりも、AIアシスタントだった。また、AIは膨大なデータを非線形分離させるため、新たな判断材料が提示されるたびにアウトプットが揺れ動く。が、本作ではクリスが新たな証拠やデータを見つけても、特に数字を変えないシーンが多く、リアリティは感じられなかった。AIに目をつけるのは良いが、リアリティを求めてはだめ。手持ち無沙汰の週末に暇つぶしのために観るぐらいの気持ちでちょうどいい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

red tape

まさか先日紹介したばかりのフレーズが出てくるとは。AIがとある会社を指して「あそこは手続きが面倒くさい」と言うのだが、そこでこのフレーズが使われていた。弊社もデジタル署名が可能なのに、なぜかそれをプリントアウトして押印しなければならないという理不尽な red tape が一部の役員向けに存在する。そういう日本企業は実はかなり多いのではないだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』

 

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Posted in 海外Tagged 2020年代, D Rank, SF, アメリカ, クリス・プラット, サスペンス, レベッカ・ファーガソン, 監督:ティムール・ベクマンベトフ, 配給会社:ソニー・ピクチャーズLeave a Comment on 『 MERCY マーシー AI裁判 』 -推定無罪の原則を忘れるな-

『 悪魔のいけにえ 』 -4Kデジタルリマスター鑑賞-

Posted on 2026年1月13日 by cool-jupiter

悪魔のいけにえ 75点
2026年1月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ガンナー・ハンセン
監督:トビー・フーパー

 

風邪で体調イマイチなので簡易レビュー。

あらすじ

サリー、ジェリー、フランクリン、カーク、パムの5人は、テキサス州のフランクリンの実家を目指す途上で屠殺場で働く男を乗せる。しかし男は不審な言動を見せ、果てはフランクリンをナイフで傷つける。男を放り出した5人は何とか目当ての館に到着するが・・・

ポジティブ・サイド

構成やらショットなど、既視感を覚えるものばかりだが、それは逆に本作がそれらのクリシェを生み出したということ。言い換えればこの分野の古典的な作品になっているということだ。

 

面白いのは、ボロボロの館ではなく、外見がきれいに整った館の方に殺人鬼が潜んでいるのは新鮮だった。

 

効果音もBGMもなく、いきなり殺されていく面々。このテンポの良さよ。グロ描写は一切なし。それでいて観る側が凄惨な殺人シーンを想起するのは、屠殺方法の話、動物や人間の骨、そしてチェーンソーの駆動音によるところが大きい。低予算ゆえの怪我の功名か。

 

結局、最も恐ろしいのは超自然的なホラーよりも、理解できない人間の方なのだ。ラストの荒れ狂うレザーフェイスで、『 母なる証明 』のラストシーンを思い出した。ポン・ジュノ監督が本作からインスピレーションを得ていたとしても何の不思議もない。アカデミー賞で監督賞を受賞した際にテキサス・チェーンソーに言及しているからだ。

ネガティブ・サイド

ほうきでペチペチ叩くシーンはギャグにしか見えなかった。

 

元焼肉屋としては、屠殺場で働く人々に偏見を与えかねない作品になっているところが気になった。

 

総評

4Kリマスターでなければ、おそらく夜の逃走と追跡シーンなどは、かなり見づらい絵になっていたのでは?その意味でも劇場鑑賞する価値はあると言える。『 13日の金曜日 』のジェイソンや『 ハロウィーン 』のマイケル・マイヤーズといった仮面の大男の原点はレザーフェイスにあり。今の目で見るとチープかもしれないが、古典だと思って鑑賞しよう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

have seen better days

直訳すれば「(人・物が)より良い日々をすでに見た」となるが、実際のニュアンスは「(人・物が)ピークを過ぎた」ということ。We’ve got to admit Nishikori has seen better days. =錦織の全盛期は終わったということを認めなければならない、のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 万事快調 オール・グリーンズ 』
『 とれ! 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1970年代, B Rank, アメリカ, ガンナー・ハンセン, ホラー, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 悪魔のいけにえ 』 -4Kデジタルリマスター鑑賞-

『 ボディビルダー  』 -エンディングに不満あり-

Posted on 2026年1月6日2026年1月6日 by cool-jupiter

ボディビルダー 70点
2026年1月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ジョナサン・メジャース
監督:イライジャ・バイナム

 

『 ジョーカー 』そっくりだと聞き、チケット購入。

あらすじ

片田舎で祖父と二人暮らしのキリアン・マドックス(ジョナサン・メジャース)は、ボディビルダーとして一花咲かせたいという願望を抱いていた。しかし、キリアンは怒りの感情のコントロールに難を抱えていて・・・



ポジティブ・サイド

非常に少ない登場人物だけで物語が進んでいく。まるでフランス映画的だ。しかし、そこにはミステリの風味もロマンスの予感もない。あるのはキリアンの非常に孤独な生活のみ。ストイックにボディビルに打ち込む姿には孤高という言葉も似合いそうだが、さにあらず。彼は孤独なのだ。

 

『 ジョーカー 』におけるアーサーと同じように、キリアンは両親に対して問題を抱え、好意を寄せる女性に対する接し方に問題があり、肝腎かなめのボディビルに対してもステロイドを使うという反則技を使っている。いくらハードにトレーニングをして、食事制限をしていても、これでは駄目だ。

 

『 アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル 』のフィギュアスケートもそうだが、評価がすべて他者の評価によって決まってしまう競技とは、なんと残酷であることか。得点競技ではなく採点競技の難しいところだ。すぐに How to make people like you などとググってしまうところに、彼の承認欲求以前の幼稚さが現れている。

 

キリアンの問題は至極簡単。自分が人を好きになれないから、人は自分を好きになってくれない。つまり、愛された経験の欠如によって歪んでしまった。あるいは子どものメンタルのまま、体だけが大きくなってしまった。子どもとは性と労働から疎外された者と社会学的に定義されるが、異性と付き合えない、セックスもできない、仕事もできないというキリアンはまさに体が大きいだけの子どもなのだ。何をやっても上手く行かず、怒りを爆発させても、そのしっぺ返しを食らう。彼は人生の弱者であり敗者である。

 

このあたりから物語は一気にジョーカー色を帯びてくる。なにもかもダメなキリアンの元に舞い込む一報。上向くかと思われた人生。しかし・・・ 『 ショーシャンクの空に 』では、ブルックスは娑婆になじめなかった。遅れて出てきたレッドも娑婆になじめず、命を絶とうとした。キリアンの選択は・・・  

 

ネガティブ・サイド

個人的にはラストの10分は蛇足。観る側を虚実皮膜のあわいに落とし込むような締めくくり方で十分だった。たとえば『 国宝 』で喜久雄が最後に目にしたのは、父親の死の情景と重なるきらめきだった。喜久雄は父親のように、あるいは俊介のようになったのか。それとも、その境地に達しただけなのか。その解釈は観る側に委ねられている。そういう結末の描き方を模索できなかったか。

 

時代設定はどうなっているのだろうか。2016年のコンペティションで云々かんぬんというセリフから、それ以降の時代だと思われるが、一方でアメリカンプロレスの話題の中でテイカーとケインの破壊兄弟が出てきたが、それは2000年前後。また、スマホが出てこない。たまに電話が出てきても、それはすべて固定電話。またYouTubeが存在しながらも、ボディビルの大会映像はすべてVHS。いったい、どういう世界線なのだろうか。

 

総評

レイトショーで鑑賞したのもあるだろうが、十数人ほどいた観客の中で女性はJovian妻一人だけ。あとはすべて中年男性だった。どこの劇場もこのような有様なのだろうか。人が悪に染まる要因は、元々のパーソナリティなのか、それとも環境なのか、それらの複合なのか、それ以外なのか。じっくりと見極めてみてほしい。間違ってもデートムービーだと思ってはいけない。本作ほどデートに向かない作品はない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

go out with ~

~と一緒に外出する、転じて「~とデートする」の意味。文脈なしでも、ほぼ間違いなくデートの誘いだと解釈される表現。連れだって何かをしたい時、恋人、あるいは意中の相手には Do you want to go out with me? を、友人や同僚には Do you want to hang out with me? を使おう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 YADANG ヤダン 』
『 この本を盗む者は 』

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, サスペンス, ジョナサン・メジャース, スリラー, 監督:イライジャ・バイナム, 配給会社:トランスフォーマーLeave a Comment on 『 ボディビルダー  』 -エンディングに不満あり-

『 アバター ファイヤー・アンド・アッシュ  』 -同じことの繰り返し-

Posted on 2025年12月30日2025年12月30日 by cool-jupiter

アバター ファイヤー・アンド・アッシュ 40点
2025年12月29日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:サム・ワーシントン スティーブン・ラング ゾーイ・サルダナ ウーナ・チャップリン
監督:ジェームズ・キャメロン

 

『 アバター ウェイ・オブ・ウォーター 』の続編ということでチケットを購入・・・ではなくポイントで交換。

あらすじ

クオリッチ大佐(スティーブン・ラング)を撃退したジェイク(サム・ワーシントン)だったが、スパイダーの安全のために彼を風の商人たちと共に基地へ送ることを決断する。しかし、その途上でヴァラン(ウーナ・チャップリン)率いるアッシュ族の襲撃を受け、一家は離散してしまう。さらに、クオリッチが銃器提供を見返りにアッシュ族と手を結び・・・

 

ポジティブ・サイド

映像は確かに素晴らしい。また、スパイダーやキリ、その周辺のキャラクターに対する深堀もされている。

 

一作目と二作目のキャラおよびクリーチャーの復帰も歓迎したい。特にトビウオは汎用性がありすぎ。もし自分で辞書を作れるのなら「キモカワイイ」の挿絵に採用したい。

 

今回はスカイ・ピープル側にも良心の持ち主がいて、彼のささやかな反抗はかなりの破壊をもたらしてくれる。このキャラも、アッシュ族のギャランと共に次作に出てきそう。

 

中途半端な奇跡を起こすばかりだったエイワが、やっと攻撃的な姿勢を見せてくれた。次作は地下世界だと思われるので、巨大地震で地割れを起こして、スカイ・ピープルの基地を一掃してほしい。そして完結編の5作目は成層圏バトル。磁力線の竜巻で宇宙船をことごとく破壊してほしい。

 

ネガティブ・サイド

ナヴィの武器に銃器が本格的に加わってしまったことで、本作のファンタジー要素がはがれ落ち、単なるSFアクションになってしまった。弓矢で戦うところがこの上なくクールだったのに、残念である。

 

キリの出自に関しての情報が明かされるが、それは今さら驚くようなことなのか?ジェイク(のアバター)の方が客観的にはるかにおかしな生まれ(?)に思えるのだが。

 

スパイダーをめぐってのジェイクとネイティリのやりとりはなんだかなあ。これまでの描写からして、その役割、逆ちゃう?

 

そのスパイダーも、基地からあっさりと脱走。人類史上でも最高級に貴重な標本を何だと考えているのか。

 

全体的に言葉が汚すぎ。地球的、もっと言えばアメリカ的な言葉を話すナヴィは、もはやナヴィではなくなりつつある。そもそも一番汚い言葉を話すスパイダーは、誰からそれらを教えられたのか。

 

また、そうした swear words を使った台詞やその他の台詞に、過去の作品からのパクリ的なものが多すぎたという印象を受けた。”You’re our only hope.” は『 スター・ウォーズ 』のレイア姫的だし、”Leave my mother alone, bitch.” は『 エイリアン2 』のリプリーの “Get away from her, you bitch!”にそっくり。またクオリッチ大佐の “Ain’t this a bitch?” も『 フルメタル・ジャケット 』の ”Ain’t war hell?” を彷彿させた。他にも「ん?これはあの映画の台詞では?」というものが多数。オリジナリティはどこへ?

 

総評

一作目は『 ポカホンタス 』を彷彿させて面白かった。二作目は急に陳腐化して、『 アフリカン・ダンク 』になった。本作ではさらにフツーの映画になってしまった。それなりに面白いのだが、似たような展開はいくらでもあり、食傷気味である。次の舞台は地下世界か?映像技術の革新という意味ではシリーズを続ける価値はあるのだろうが。鑑賞中、眠りこそはしなかったものの、10回ぐらいは大きなあくびが出てしまった。それが本作の評価である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

calibration

元々はcaliber=銃の口径で、動詞化するateがついてcalibrate=銃の射程を測るの意となり、それをさらに名詞化してcalibrationとなっている。技術の世界でキャリブレーションテストと言えば、機器を標準に設定された値に補正するためのテストのこと。JovianはAIを使ってのフィードバックが一定の水準になるように年に数回、キャリブレーションテストを行っている。技術分野の人、あるいは技術の分野に進もうと考えている人は知っておきたい語。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 ボディビルダー  』
『 YADANG ヤダン 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SFアクション, アメリカ, ウーナ・チャップリン, サム・ワーシントン, スティーブン・ラング, ゾーイ・サルダナ, 監督:ジェームズ・キャメロン, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 アバター ファイヤー・アンド・アッシュ  』 -同じことの繰り返し-

『 WEAPONS/ウェポンズ 』 -Where are the children?-

Posted on 2025年12月16日 by cool-jupiter

WEAPONS/ウェポンズ 65点
2025年12月14日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ジュリア・ガーナー ジョシュ・ブローリン ケイリー・クリストファー
監督:ザック・クレッガー

 

子どもが消える、というあらすじ以外なにも知らずに鑑賞。メアリ・クラークの『 子供たちはどこにいる 』的なテイストを期待したが、全然別物だった。

あらすじ

深夜2時17分、17人の子どもたちがベッドを抜け出し、夜の闇の中へ走り去っていった。姿を消したのは、みな同じクラスの子たち。そして一人、アレックス(ケイリー・クリストファー)だけが残された。親たちに疑惑の目を向けられた担任教師ジャスティン(ジュリア・ガーナー)は調査を始めるが、街では奇妙な出来事が起こり始め・・・

ポジティブ・サイド

子どもたちが消えたという事象とその後の余波を、街の様々な人間の視点から見つめていく構成が面白い。最初は教師のジャスティン、次に保護者のアーチャー、続いて警察官のポールと視点が目まぐるしく変わっていく。登場人物ごとに同じものを見ていながら、異なる視点からそれを見ているというのが面白い。

 

一人の視点が別の視点に切り替わる際、常に驚きと恐怖をもたらしてくれるのが新鮮。特にハサミが出てくるシーンはかなりの恐さを感じさせてくれた。また、トレイラーでも特徴的だった子どもたちの走り方だが、あれを大人がやるとかなり怖い。そうそう、その人物絡みで『 ミッドサマー 』以上の人体破壊描写があるので、耐性がない人は鑑賞しない方がよい。

 

途中の人物でギャグもしくはコメディ担当のような人物がいるが、これは必要な措置。普通に考えれば17人もの子ども、それも小学生が一斉に消えたのなら、その行先というか潜伏先は・・・おっと、これ以上は無粋か。ただ観ている側としては「普通に考えれば□□は△△だ」と考えるが、その理由や背景が皆目見当がつかない。そこは終盤に明かされるので、楽しみにしてほしい。

 

ネガティブ・サイド

うーむ、それにしても本作も『 シェルビー・オークス 』同様にかなりの竜頭蛇尾。『 フィールド・オブ・ドリームス 』のレイの奥さんが登場してきたあたりから、ストーリーが一気にきな臭くなる。いや、本当はアーチャーが巨大な幻を空に見た瞬間から「あ、これはアカン」と感じたが、それをもっと確信させられたのが某シーンのテレビで解説されている生き物と、それと同じ発音の属性を持つ人物の登場シーン。そんなんありかと思わせてくれる。No pun intended. 

 

ここから物語は一気に『 ロングレッグス 』的かつ『 ゲットアウト 』的になる。アメリカ人はこういうのが好きなのか?こちとら散々、『 イノセンツ 』的な展開、あるいは小説の『 スラン 』や『 アトムの子ら 』の正反対を行くような展開(それならWEAPONSという不穏なタイトルの説明もつく)を予想していたのに、裏切られた気分である。またはシオドア・スタージョンの『 人間以上 』や映画化もされた『 光る眼 』のように、子どもが子どもだけで何か特別にすごいことをする、あるいは邪悪なことをするという展開にならなかったのは残念で仕方がない。

 

最後の展開はホラーとギャグの紙一重。個人的にはギャグかな。ただ、教育や政治、あるいは戦争に関するメタファーだと言えなくはない。が、それはないか。

 

総評

結局のところ作り手と波長が合うかどうかなのだが、序盤から中盤にかけては文句なしに面白いし、否応なく引き込まれる。記事の副題にさせてもらった Where are the children?=『 子供たちはどこにいる 』も中盤までは超一級のサスペンスかつミステリで、終盤で失速する。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Woe is me.

「自分はなんてかわいそうなのだろう」という非常にアルカイックな表現。『 はじまりのうた 』での終盤で歌われる Lost Stars の歌詞の一部に Woe is me. があり、そこで知った表現。普通に学習していても、まずお目にかからない表現だが、Subzinなどで調べると映画の台詞では結構ヒットする。ただし、古風かつ大げさな表現であることには注意。わざとらしく自虐する時にだけ使うべし。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 ナタ 魔童の大暴れ 』
『 消滅世界 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, ケイリー・クリストファー, ジュリア・ガーナー, ジョシュ・ブローリン, スリラー, ホラー, 監督:ザック・クレッガー, 配給会社:ワーナー・ブラザーズ映画Leave a Comment on 『 WEAPONS/ウェポンズ 』 -Where are the children?-

『 シェルビー・オークス 』 -クリシェ満載の竜頭蛇尾-

Posted on 2025年12月14日2025年12月14日 by cool-jupiter

シェルビー・オークス 40点
2025年12月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:カミール・サリバン
監督:クリス・スタックマン

 

個人的に大好きで、英語の勉強の参考にさせてもらっていた映画批評家YouTuberのクリス・スタックマンの脚本および監督作品ということでチケット購入。

あらすじ

YouTube配信グループのひとり、ライリーがシェルビー・オークスで疾走した。仲間の惨殺死体が発見されるも、ライリーの行方は不明なまま。12年後、思いがけない形でライリーの失踪と彼女の仲間の死の真相に迫るテープを手にした姉のミア(カミール・サリバン)はライリーを探し出すためシェルビー・オークスへと向かう・・・



以下、本作品および他作品のマイナーなネタバレあり

ポジティブ・サイド

序盤は面白い。YouTubeでの配信というアイデアはリアルだし、そうした人間はどんどん過激なコンテンツを追い求めていく傾向にあるのも事実だ。

 

ヒントの出し方も巧み。いきなりマイルズが死亡するが、その最後の台詞が She finally let me go. であり、この She が誰を指すのかで観る側は疑心暗鬼になる。パラノーマルな現象が起きるシーンで気温が下がるのを吐く息が曇ることで表現するのもうまい。

 

より興味深いシーンはビデオ映像。序盤のライリーのビデオでは、窓の反射に重要なものが移っていることが後に分かるが、それは中盤のライリーのビデオでも窓の反射に注意を払えというヒントになっている。なかなか凝った趣向で、見方を必要最低限だけ提示するという、ある意味で観客を信頼した演出であると言える。

 

そうそう、最後のクレジットで出資者名がずらりと表示されるが、中に Shelby Begayさんというシェルビーの名を冠した人がいる。目に自信があれば探してみよう。

ネガティブ・サイド

ライリーをはじめとしたパラノーマル・パラノイズの面々が遭遇していた超常現象が本物なのか偽物なのかをもっと曖昧に見せるべきだった。誰もいない廃墟の小学校でいきなりドアが閉まるシーンも、カメラをドンピシャのタイミングでそっちに向ければ、「ああ、仕込みね」と思われても仕方がない。そのあたりの虚実をうまく曖昧なままにしておかないと、ホラーやスーパーナチュラル・スリラーの要素が一気に萎む。そして、本作はまさにその愚を犯した。

 

ミアがいきなりシェルビー・オークスに旅立つあたりから一気に物語は陳腐化する。基本的にすべてどこかで観たことのあるシーンや展開のパッチワークで、

 

『 ブレア・ウィッチ・プロジェクト 』
『 オーメン 』
『 ローズマリーの赤ちゃん 』
『 エクソシスト 』
『 へレディタリー/継承 』

 

のようなメジャーどころが頭に思い浮かぶ人が多いはず。

 

突っ込みどころは数々とあるが、ネタバレになるのでやめておく。ただ、どうしてもこれだけは言いたい。クリス・スタックマンは『 ミスター・ガラス 』のネタバレ・レビューで 

 

One of them should have realized he could just cover their eyes 

 

とまっとうな批判をしていたが、同じように言わせてもらえば、 

 

Either Mia or Riley should have realized she could just close the curtains 

 

となるだろうか。

 

街の衰退をひとりの人物に結び付けるのはあまりにも非合理的。そして、その理由が悪魔に憑かれていたというのはもっと非合理。そして、ミアがそう信じる契機が囚人のコメントって・・・

 

また冒頭で死亡するマイルズの刑務所入りの期間を2002年~2007年の5年間としているが、これは6年間の間違いでは?単純ミスではすまない。なぜなら、この期間にライリーの夜驚症が収まっていたことになっているから。なんでこんな設定レベルのところでミスるかな・・・

 

謎の老婆というホラーでは見飽きた設定をここでも採用。悪魔よ、本当にことを為したいなら、使うのは老婆ではなくもっと若い女性もしくは男性だぜ・・・

 

総評

料理評論家が料理の達人でないのと同様、映画のレビュワーが必ずしも優れた映画監督とは限らない・・・と結論付けるのは早い。クリスが自分の我を通した結果がこうだったのか、それとも手慣れたスタッフたちの意見に耳を貸してこうだったのかで、評価は大きく分かれるはず。ただ、いずれにしろ、映画の出来についての評価を最終的に負うのは脚本家であり監督。その意味で決して良いデビュー作であるとは言えない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

abandon

捨てる、の意味。ごみを捨てるのではなく希望や乗っている乗り物、住んでいる土地などを捨てるという文脈で使う。『 果てしなきスカーレット 』でも地獄門にラテン語でRelinquite omnem spem, vos qui intratis と刻まれていたような。英語にすると Abandon hope, all ye who enter here. で「ここに入る者は希望を捨てよ」となる。 戦争映画などでは Abandon ship! や Abandon Area 3! のように使われる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 WEAPONS/ウェポンズ 』
『 ナタ 魔童の大暴れ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, カミール・サリバン, ホラー, 監督:クリス・スタックマン, 配給会社:KADOKAWALeave a Comment on 『 シェルビー・オークス 』 -クリシェ満載の竜頭蛇尾-

『 ネタニヤフ調書 汚職と戦争 』 -他国のスキャンダルと思うことなかれ-

Posted on 2025年12月8日2025年12月8日 by cool-jupiter

ネタニヤフ調書 汚職と戦争 65点
2025年12月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ベンヤミン・ネタニヤフ
監督:アレクシス・ブルーム

 

簡易レビュー。

あらすじ

イスラエルで長期政権を築くベンヤミン・ネタニヤフ。しかし数々の贈収賄疑惑から当局による取り調べを受けていた。彼自身への尋問およびネタニヤフの妻サラやその他多くの関係者の取り調べから見えてきた構図とは・・・

ポジティブ・サイド

日本では国会議員はごくまれにしょっ引かれるが、ほとんど不起訴。それと同じことがイスラエルでも起きているらしい。元大統領がほとんど逮捕・起訴される韓国はたいしたものだと感心させられる。

 

本邦で言えば安倍晋三あたりから明らかに権力者のふるまいが変質したが、彼もある意味で妻に翻弄されていたところがネタニヤフとの共通点。そして贈収賄の疑いが非常に濃かった点も似通っている。困ったときの北朝鮮頼みと、困ったときのハマス叩きというのも共通点だと言えよう。

 

民主主義がポピュリズムと結びつき、さらに仮想的を見つけた時にどのような悲劇が起こりえるのか。まさに我々はそれをリアルタイムで目撃させられていると言える。

 

ネガティブ・サイド

アメリカ議会でのネタニヤフの演説をフルで、とは言わないまでも、もっと長く見せてほしかった。そうすることでアメリカがいかに恣意的に敵と味方を区別しているのかがもっとわかりやすくなったはず。

 

警察の質問の仕方が直球過ぎ。それでは落とせるものも落とせない。それに、もっときわどい質問や、威嚇するような取り調べもあったはずだが、そういった部分をカットしてしまったのは腰が引けていると言わざるを得ない。

 

総評

某極東の島国でも首相が「そんなことより~」と答弁したのが話題になったが、彼女とネタニヤフのやり口は同じ。すなわち国民の内政面への不満を外敵に向けるというもの(そんなことより発言はその文脈で発せられたものではなかったが)。賢明なる映画ファンは、現政権が利益誘導万歳の麻生派によって支えられ、かつ裏金議員万歳の高市による組閣で行政が動いていることと、また自民党のDNAに刻み込まれていると言ってよい献金万歳主義とネタニヤフ政権の共通点の多さに慄然とすることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

turn ~ upside down

~を(上下逆さまに)ひっくり返すの意。物理的な意味でも比ゆ的な意味でも使う。This news will turn the current administration upside down. = このニュースが明るみに出れば、現政権は上を下への大騒ぎとなるだろう、のように使う。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, イスラエル, ドキュメンタリー, ベンヤミン・ネタニヤフ, 監督:アレクシス・ブルーム, 配給会社:トランスフォーマーLeave a Comment on 『 ネタニヤフ調書 汚職と戦争 』 -他国のスキャンダルと思うことなかれ-

『 プレデター バッドランド 』 -Clan Over Family-

Posted on 2025年11月9日 by cool-jupiter

プレデター バッドランド 75点
2025年11月7日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ディミトリアス・シュスター=コローマタンギ エル・ファニング
監督:ダン・トラクテンバーグ

 

配信のプレデター作品は観ていないが、予習としては『 プレデター 』、『 プレデター2 』で十分か。余裕があれば『 エイリアンVSプレデター 』と『 AVP2 エイリアンズVS.プレデター 』も鑑賞しておけばよい。ちなみに『 ザ・プレデター 』は不要である。

あらすじ

ヤウージャの若き戦士デク(ディミトリアス・シュスター=コローマタンギ)は、弱者として父に切り捨てられそうなところを兄クウェイに助けられる。デクは自らの強さを証明するために、父ですらも恐れるカリスクをハントするため、惑星ゲンナに降り立つ。原生の危険生物に襲われながらも生き抜いていくデクは、謎のアンドロイドのティア(エル・ファニング)と出会い・・・

ポジティブ・サイド

プレデターの強さと狩りへの執着と、武士道的な精神性を冒頭の10分で描き切り、そこからは『 プロメテウス 』あるいは『 エイリアン:コヴェナント 』のように未知の世界の冒険となる。

 

デクがプレデター的な武器と戦闘術で生き残りつつも、それが通じない植物や巨大生物もおり、絶体絶命という瞬間にアンドロイドのティア登場と、ストーリー展開のテンポもいい。

 

プレデターの伝統的な武器を使い単独で戦っていたデクが、ある話をきっかけにティアやバドと共闘していくようになるのも面白いと感じた。ヤウージャの伝統的な強さの定義に当てはまらない自分が、ヤウージャの伝統的な方法でもって強さを証明しようとすることの矛盾をデクが感じ取り変化していくのは、デクのビルドゥングスロマンであり、多様性と異文化共生のメッセージを包括していた。

 

『 ブレードランナー2049 』あたりで、人間とアンドロイドの関係にさらに踏み込んだ考察を行ったリドリー・スコットやドゥニ・ヴィルヌーヴの路線を本作も共有している。ミッションを指定されたアンドロイドと、狩ることしか自身の存在を証明できないヤウージャには、それ以外の生き方を知らないという共通点がある。その二者が交わった時のケミストリーには大きな爽快感があった。

 

終盤の『 エイリアン2 』へのオマージュとなるべきシーンにはニヤリとさせられた。デクがそれほどの脅威の存在になったと認識されたということか。本作はデクの文学的かつ文字通りの意味での父殺しの物語であると同時に、『 エイリアン 』ユニバースにおける母たる存在と『 プレデター 』ユニバースにおける母たる存在のクロスオーバーも予感させてくれる。続編が今から待ち遠しい。

 

ネガティブ・サイド

ティアはヤウージャ語を解するが、他のアンドロイドはヤウージャ語を解さないというのはご都合主義に感じた。

 

ティアの下半身アクションは真新しかったが、感覚器を持たないのになぜバトルができるのか。アンドロイドの感覚器も顔面にあるということは劇中でも描写されていた通りではないか。

 

You’re one ugly motherfucker. や Get away from her, you bitch! のような印象的な one liner が欲しかった。

 

総評

これは傑作。AVPが失敗した、本当の意味での人間vsプレデターvsエイリアンにつなげてもいいし、そこにアンドロイドを加えた四つ巴でもいいし、あるいは人間・プレデター連合軍vsエイリアン・アンドロイド連合軍のような二勢力の対決でもいい。あるいは、それらをデクのような第三極が潰していく展開も面白そう。文学、およびそれにつらなるフィクションの世界では父殺し=patricideが一大テーマだったが、今後はそこに母殺しが提起されるのか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

prey

獲物、あるいは餌食の意味。I am prey to none! =俺は誰の獲物でもない!=俺は絶対的に駆る側だ!というヤウージャの信念が印象的だった。preyはもちろん、生態学などで被食者を表す語としても使われるが、プレデターのような戦闘種族が比ゆ的に使ってもOKである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』
『 もののけ姫 』
『 ミーツ・ザ・ワールド 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, SF, アクション, アメリカ, エル・ファニング, ディミトリアス・シュスター=コローマタンギ, 監督:ダン・トラクテンバーグ, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 プレデター バッドランド 』 -Clan Over Family-

『 さよならはスローボールで 』 -これは一種の同窓会の終わり-

Posted on 2025年10月30日 by cool-jupiter

さよならはスローボールで 75点
2025年10月26日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:キース・ウィリアム・リチャーズ
監督:カーソン・ランド

 

妻に「草野球の何がおもろいん?」と言われたが、それでもチケット購入。

あらすじ

アメリカの片田舎。ソルジャーズ・スタジアムは中学校建設のため取り壊しに。いつもそこで試合をしていたアドラーズとリバードッグズの面々は様々な思いを胸にラストゲームに臨む・・・

ポジティブ・サイド

おっさんたちがグダグダの草野球をする。それだけの映画なのに、胸に湧き上がってくるこのノスタルジアは何なのか。20代のころ、大学の先輩、同級生、後輩たちと参戦していた三鷹市民リーグを思い出した(ソフトボールだったが)。

 

野球が他のスポーツと大きく異なる点として

 

(1)攻めと守りがはっきりと分かれている
(2)太っていてもプレーできる
(3)プレー中にだらだら喋ることができる
(4)プレーの合間に余裕をもって飲食できる
(5)中年になってもプレーできる
(6)詳細なスコアカードがつけられる

 

などが挙げられる。ゴルフのように(2)が当てはまるものもあるし、(3)もゴルフに当てはまったりするが、これだけおっさん向きなスポーツはなかなかない。個人的には(6)が最も重要かつ独特であると思う。テニスのスコアカードを見て、そのポイントの詳細を思い浮かべるのは難しいが、野球は何となくそれができてしまう。

 

本作には草野球に興じるおっさん(一部若手もいる)、その試合を見守る者、そしてその試合を理解できない者の三種類の人間たちがいる。本作はその誰にも特別なドラマを用意しない。いや、一人だけいたか。それはスコアラーのフラニー。もし本作に主人公がいるとすれば、それはフラニー。何故なのかは、ぜひ劇場で鑑賞して確かめてほしい。

 

本作は野球映画であるが、とにかく野球は余白のスポーツ。本作ではプレーもフィーチャーされるが、それ以上にプレーしていない場面がフォーカスされている。外野でただ一人だけ佇立し、物思いに耽る。外野席の見物客に「うるせー、邪魔だ」と悪態をつく。あるいはベンチで野球談議に興じる。あるいは二階席でどうでもいい世間話をする。そうした無意味に思える時間も、これが最後の試合だと思うと、妙に愛おしく、そして腹立たしいものにも感じられる。この感覚は何か。これは少年時代への回帰なのだ。あるいは、売上だ、納期だ、業務改善だ、新人育成だと追い立てられることのない場所への一時的な避難、がちがちの上下関係に縛られた会社やビジネスという世界からの逃避なのだ。そしてチームメイト、あるいは対戦相手と出会うのは一種の同窓会なのである。

 

同窓会から帰りたくない、という経験はだれしもあるだろう。そんな切なさを押し殺して、黙々とプレーを続ける男たちの姿は見る者の胸を打つ。なかには「こんなゲームはさっさと終わらせよう」という者もいるのだが、それも当たり前の反応。いい年したおっさんがいつまで少年の気分に浸りたがっているのか。それもまっとうな批判だ。とにかく、本作の良さは観ないことには分からない。『 さよならはスローボールで 』とは誰がつけた邦題なのか分からないが、なかなかのセンスではないか。

 

ネガティブ・サイド

途中でさっそうと現れ、いつの間にやら消えていくリリーフピッチャーの正体をその場で明かしてほしかった。

 

フードトラックで何でピザを売っているのか?そこはホットドッグであるべきではないのか。

 

総評

非常に面白かった。ビッグプレーがあるわけでもなく、劇的な試合展開や思いもよらぬ人間関係が明らかになったりするわけでもない。おっさんたちが飽きることなく試合をしていく様がこれほど愛おしく感じられるとは。何の変哲もない男たちの向こうに、とてもありふれた、しかし尊ぶべきドラマがある。『 パターソン 』を楽しめた人なら、本作も問題なく楽しめるに違いない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

lose track of time

時を忘れるの意。”Damn, this party was so fun that I lost track of time. Gotta run. Or I will break my curfew. Have a good one, guys!”「ああもう、パーティー楽しすぎて時間を忘れてた。もう行くわ。門限やべえ。じゃあな」 のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ハウス・オブ・ダイナマイト 』
『 羅小黒戦記2 』
『 爆弾 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, キース・ウィリアム・リチャーズ, スポーツ, ヒューマンドラマ, フランス, 監督:カーソン・ランド, 配給会社:トランスフォーマーLeave a Comment on 『 さよならはスローボールで 』 -これは一種の同窓会の終わり-

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