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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 青春

『 四畳半神話大系(DVD) 』 -原作小説の秀逸な分解・再構成-

Posted on 2022年7月9日 by cool-jupiter

四畳半神話大系 80点

2022年7月4日~7月5日に視聴

出演:浅沼晋太郎 坂本真綾 吉野裕行

監督:湯浅政明

 

本業の大学関連業務で忙殺されているので簡易レビューを。


あらすじ

薔薇色のキャンパスライフを夢見る「私」(浅沼晋太郎)は、大学の様々なサークルから勧誘を受ける。だが、どのサークルに所属しても小津(吉野裕行)という悪友に出会い、黒髪の乙女との交際は遠のいてしまい・・・

 

ポジティブ・サイド

原作小説のテンポの良さはそのままに、浅沼晋太郎が「私」に見事に生命を吹き込んでいる。坂本真綾も、どこか冷笑的だが人間味のある明石さん役を好演。悪童・小津を演じた吉野裕行の愛の込められただみ声も印象深い。

 

小説中の様々なエピソードを見事に膨らませ、様々なサークルに所属しながら無為で無意義な大学生活を繰り返してしまうという原作ストーリーの根幹部分をうまく補強している。

 

オープニングの下鴨幽水荘のループ的な映像演出が素晴らしい出来映えで、各話の冒頭からエンディングまでの流れが一種の様式美にまで昇華している。各キャラクターの動きを最小限に抑えていることが、逆に小説の静的なイメージとも共通していて良い感じ。

 

最終11話の出来が特に秀逸。確かに英訳が The Tatami Galaxy になるのもうなずける。

 

小津の「藪用」が野暮用になっていた。Nice correction.

 

ネガティブ・サイド

天の采配はそのままだった・・・

 

総評

小説『 四畳半神話大系 』のアニメ化で、『 犬王 』の湯浅政明が監督。『 四畳半タイムマシンブルース 』の予習にと再鑑賞したが、全4章の原作を11エピソードのアニメに巧みに分解・再構成している。一つひとつはぶつ切りかつ独自のエピソードだが、順番通りに見ることが大きな意味を持つようになっている。小説を読んだ人は、ぜひ映像でも楽しもうではないか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

maze

「迷宮」の意。『 キラー・メイズ 』でもメイズという言葉が使われているように、入り組んだ構造のことを指す。対照的に、labyrinth = ラビリンスは『 迷宮物語 』のラビリンス*ラビリントスのように、入る(そして出る)箇所が一つに絞られるような迷路を指す。もう一つよく言われるのは、メイズもラビリンスも迷路だが、屋根がないものがメイズ、屋根があればラビリンスだというもの。昔、同僚ネイティブに maze と labyrinth の違いを尋ねたが、彼は呻吟するばかりであった。その後、「癇に障る」と「癪に障る」の違いは何だ?「桁外れ」と「桁違い」の違いは何だ?と反撃された。英語マニアだけが知っていればいい違いと言えるだろう。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, A Rank, アニメ, ファンタジー, 吉野裕行, 坂本真綾, 日本, 浅沼晋太郎, 監督:湯浅政明, 青春Leave a Comment on 『 四畳半神話大系(DVD) 』 -原作小説の秀逸な分解・再構成-

『 四畳半神話大系 』 -青春とは何かを知るための必読書-

Posted on 2022年7月2日 by cool-jupiter

四畳半神話大系 90点
2022年6月15日~6月29日にかけて読了
著者:森見登美彦
発行元:角川文庫

『 ペンギン・ハイウェイ 』のレビューで本作を読み返すと誓っていたが、ここまで遅くなってしまった。仕事で京都の某大学の課外講座を受け持つことになり、その期間中に地下鉄烏丸線や叡山電鉄の車内で本書を読むという、ちょっと贅沢な楽しみ方をしてみた。

 

あらすじ

薔薇色のキャンパスライフを夢見ながら2年間を無為に過ごしてしまった私は、その原因をサークル仲間の小津に帰していた。黒髪の乙女との交際を夢想する私は「あの時、違うサークルに入っていれば・・・」と後悔するが・・・

 

ポジティブ・サイド

多分、読み返すのは4度目になるが、何度読んでも文句なしに面白い。その理由は主に3つ。

 

第一に、文体が読ませる。京大卒の小説家と言えば故・石原慎太郎をして「使っている語彙が難しすぎる」と評された平野啓一郎が思い浮かぶが、森見登美彦の文章にはそうした難解さがない。まず地の文が軽妙洒脱でテンポが良い。各章冒頭の「大学三回生の春までの二年間」から「でも、いささか、見るに堪えない」までのプロローグはまさに声に出して読みたい日本語である。

 

第二に、キャラクターが個性的かつ魅力的である。どこからどう見てもイカ京(近年ではほとんど絶滅しているようだが)の「私」の、良い言い方をすれば孤高の生き様、悪い言い方をすれば拗らせた生き方に、共感せずにいられない。言ってみれば中二病=自意識過剰なのだが、そこは腐っても京大生。衒学的な論理を振りかざして、必死に自己正当化する様がおかしくおかしくてたまらない。また、悪友の小津、樋口師匠、黒髪の乙女の明石さんなど、誰もがキャラが立っている。濃いキャラと濃いキャラがぶつかり合って、そこから何故か軽佻浮薄なドラマが再生産されていく。かかるアンバランスさ、不可思議さが本書の大いなる魅力である。よくまあ、こんな珍妙な物語が紡げるものだと感心させられる。

 

第三に、パラレル・ユニバースの面白さがある。流行りの異世界ではなく並行世界を描きつつ、各章ごとに互いが微妙に、しかし時に大きく相互作用しあう組み立ては見事としか言いようがない。今回は電車の中だけで読むと決めていたが、初めて読んだときは文字通りにページを繰る手が止まらなかった。薔薇色のキャンパスライフを求め、黒髪の乙女との交際を希求する「私」の狂おしさがことごとく空回りしていく展開には大いなる笑いと一掬の涙を禁じ得ない。「私」と自分を重ね合わせながら、あの時の自分がああしていれば、それともこうしていれば・・・と後悔先に立たず。今ここにある自分の総決算を自ら引き受けるしかないのである。

 

四畳半の神話的迷宮から脱出した「私」がたどり着いた境地とは何か。読むたびに世界の奥深さと人生のやるせなさ、そして気付かぬところに存在する矮小な、しかし確かに存在する愛の切なさを痛切に味わわせてくれる本書は、SFとしても青春ものとしても、珠玉の逸品である。

 

ネガティブ・サイド

ケチをつけるところがほとんどない作品だが、言葉の誤用が見られるのが残念なところ。藪用は「野暮用」の誤用だし、天の采配も「天の配剤」の誤用である。

 

総評

Jovianは現役時に京都大学を受験し、見事に不合格であった。それから四半世紀になんなんとする今でも、時々「あの時、京大に合格できていれば・・・」などと夢想することがある。アホである。Silly meである。だからこそ、あり得たかもしれない自分の姿を思う存分「私」に投影してしまう。常に変わらぬ青春がそこにある。下鴨幽水荘≒吉田寮≒国際基督教大学第一男子寮である。アホな男子の巣窟で青春の4年間を過ごした自分が「私」とシンクロしないでいらりょうか。複雑玄妙な青春を送った、送りつつある、そしてこれから送るであろうすべての人に読んで頂きたい逸品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

sidekick

親友、相棒の意。「私」にとって小津は腐れ縁の悪友だが、客観的に見ると親友だろう。best friend や close friend という言い方もあるが、小津のような男は sidekick と呼ぶのがふさわしい。英語の中級者なら、sidekick という語は知っておきたい。

 

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Posted in 国内, 書籍Tagged 2000年代, S Rank, SF, ファンタジー, 日本, 発行元:角川文庫, 著者:森見登美彦, 青春Leave a Comment on 『 四畳半神話大系 』 -青春とは何かを知るための必読書-

『 ブルーサーマル 』 -もっと空を飛ぶことにフォーカスせよ-

Posted on 2022年6月9日 by cool-jupiter

ブルーサーマル 60点
2022年6月5日 塚口サンサン劇場にて鑑賞
出演:堀田真由
監督:橘正紀

『 トップガン マーヴェリック 』を2週連続で鑑賞して、頭が機内モードならぬ飛行機モードである。地元の映画館でグライダーの映画をやっていると知り、チケットを購入。

 

あらすじ

サークル活動や恋など、夢野キャンパスライフに憧れて青凪大学に入学した都留たまき(堀田真由)は、テニスサークルへの体験入会中に航空部のグライダーの翼を破損させてしまう。弁償するため航空部に雑用係として入部したたまきは、主将の倉持が操縦するグライダーで初めて空を飛んだことで、空に魅了されてしまい・・・

ポジティブ・サイド

空を飛ぶ映画というと『 BEST GUY 』や『 風立ちぬ 』、『 トリガール! 』などが思い浮かぶが、本作では内燃機関あるいは人力などの動力源なしに飛ぶグライダーという点が非常にユニーク。『 天空の城ラピュタ 』でパズーとシータが乗り込む凧型グライダーぐらいしか思いつかない。そんなグライダーを駆って、大空を舞う航空部の存在というのをJovianは本作で初めて知った。鳥人間コンテストはある時期から半分以上ぐらいのコンテスタントはお笑い要員だったが、航空部は機体に登場するにあたって医師による健康診断も必要と、相当に本格的である。こういった細かな描写がしっかりしているところが素晴らしい。リアリティが実感できる。

 

グライダーには動力がないので、風を捕まえて飛ぶしかない。そこで上昇気流を利用するわけだが、稀に雲(積乱雲をイメージすると言い)などがない場所で発生する認識しづらい上昇気流をブルーサーマルと呼ぶらしい。幸せの青い鳥ならぬ青い上昇気流である。ただ、blue thermal という英語はググった限りでは存在しないようである。おそらく和製英語、それもグライダー界隈のジャーゴンであると思われる。

 

閑話休題。たまきが所属することになる航空部の面々も多士済済。なぜか友達になるより前に付き合う(?)ことになってしまう空知や技量抜群のパイロットである倉持らとの出会いが、たまきを大きく変えていくこと。ベタではあるが、青春の爽やかなビルドゥングスロマンになっている。特に印象的なのは、たまきが他大学との合同練習で出会うライバルおよび意外な人物。典型的な関西人が現れてたまきに突っかかってくる。また、たまきに心理的なプレッシャーを与えてくるもう一人の人物は、観る側もささくれだった心持ちにさせる。たまきがこのねじれた人間関係にどうアプローチしていくのかが物語の大きな見どころになる。

 

もう一つ、空自体の高さや広さも見どころである。遠くの景色や地面の描写が丁寧で、『 トップガン マーヴェリック 』とまではいかないが、空を飛ぶ感覚を味わわせてくれる。いくつかある飛行シーンはなかなかのカタルシスをもたらしてくれる。疾走するような飛行ではなく、風をつかむ飛び方、浮遊感のある飛び方である。絶対ないのだろうが、4DXやMX4Dで体験してみたいと思わせてくれた。

ネガティブ・サイド

飛ぶ楽しさは堪能できるものの、その前に必要な座学がまったく共有されないので、たまきが空知や他の部員たちに色々と叱られる部分で共感できない。『 トップガン マーヴェリック 』でマーヴェリックがF-18の極太の戦技マニュアルをゴミ箱に捨てていたが、あれは ”If you think, you’re dead.” な本能型の天才パイロットの成せる業。本来ならば、空を飛ぶとはどういうことかを、ほんの3分程度で良いのでたまきに学ばせるシーンを映すことで、観る側にも翼が破損することの危険性、機体整備の重要性、航空力学、気象学などをダイジェストで伝えるべきだった。それがないためにたまきが工具を紛失するところや、逆に機体のバンク角はどれくらいが適切で、どれくらいが攻めた角度になるのかが分からなかった。少なくともJovian妻はそのあたりがチンプンカンプンだったとのことである。

 

全体的に内容を詰め込みすぎとの印象である。その割には様々な人間関係が深まっていかない、あるいは追求すべきドラマが放置されたままというのが多い。倉持や空知以外の部員との関係も特に描かれないし、ライバル大学の部員たちの関係も深堀りされない。ここなどは、倉持とたまきの師弟関係とのコントラストを描く絶好の機会なのに、脚本ではみすみすスルーしてしまっている。誠に惜しいと言わざるを得ない。

 

たまきが序盤に心肺能力の高さを見せるのはスポーツのバックグラウンドがあることから納得できるが、グライダーのバンク角を正確に推測する眼力あるいは体性感覚の鋭さについては、なにも情報はなし。たまきが天性のフライヤーで、説明はつかないものの、天才的な飛行の感性や感覚を披露していくのか?と思わせて、そういった展開もなし。キャラの深堀りが適切になされていなかった。同様のことは空知や倉持、朝比奈や羽鳥にも当てはまった。

総評

恋愛感情は否定しないが、それが芽生える瞬間の説得力が非常に弱い。そこは思い切って全部省いて、2時間弱のすべてをグライダーの整備や操縦、様々なパイロットたちとの切磋琢磨を描くことに費やすべきだったと感じる。ただ、青春アニメ映画なので色恋の一つや二つは許容すべきなのかもしれない。底が気にならない向きであれば、グライダーで空を飛ぶ若者たちの豊饒な物語が味わえることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

replacement

「代わり」の意。代わりを見つける= find a replacement というのはよく使われるコロケーションである。英会話初級から中級ぐらいの人は知っておきたい。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, アニメ, 堀田真由, 日本, 監督:橘正紀, 配給会社:東映, 青春Leave a Comment on 『 ブルーサーマル 』 -もっと空を飛ぶことにフォーカスせよ-

『 Ribbon 』 -メッセージのある青春映画-

Posted on 2022年3月3日2022年3月3日 by cool-jupiter

Ribbon 65点
2022年2月27日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:のん 能年玲奈 山下リオ 渡辺大知
監督:のん 能年玲奈

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のん(能年玲奈)による主演・脚本・監督作品。メジャーな舞台への復帰を模索するばかりでなく、今後はこういった方向の表現者であることを希求するのも良いのではないか。そう思える出来映えだった。

 

あらすじ

2020年、突如訪れた新型コロナ禍により、大学の卒業制作展が中止となった。制作意欲を失った美大生のいつか(のん)は、手持無沙汰のままステイホームする。ある時、運動不足解消のために散歩を始めたいつかは、近所の公園で不審な若い男性と遭遇するようになり・・・

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ポジティブ・サイド

『 ちょっと思い出しただけ 』や『 真・鮫島事件 』でもコロナ禍は描かれていたが、本作は物語の根幹にコロナ禍が据えられているという点で意義深いと思う。Jovianは一応、2020年春から大学での語学教育に携わっているので、いつかの物語をかなり自分の教え子の経験に重ねて観ることができた。

 

コロナ禍というタイムリーかつシリアスな問題を扱いながらも、のん演じるいつかのアンニュイな日常生活風景には、どこか牧歌的な感じも漂う。いつかの母、父、そして妹が次々といつかのアパートにやって来るが、これが非常に濃い面々。完全防御の汗だくの格好でやってきて手料理を振る舞ってくれる母に、不審者撃退用さすまたを持ち運んでいて職質されたという父に、これまた職質上等スタイルの妹。この上なく深刻なはずの世相が、とてもユーモラスなものになっている。受けて立つのんもなかなかの演技。『 私をくいとめて 』の充実したおひとり様ライフとは対照的に、グダグダの日常を送る姿にも説得力があった。

 

印象に残ったのは圧倒的に母親。いくらなんでも描きかけの絵を捨てるかと思うが、こういう母親は実際に結構な数が存在しているように思う。Jovianも大昔、一人暮らしをしているところに訪ねてきた母親によって、部屋の掃除をしてもらいつつも、大学時代のノートや思い出の品をゴミとして処分されそうになった経験がある。なので、いつかの怒りに共感するところ大だった。

 

コロナ禍によって顕著に変化したのは、人と人との距離だろう。ソーシャル・ディスタンスという物理的な距離も変化したし、ZoomやGoogle Meetなどのツールによって、リアルスペースで出会うことなく仕事をしていくことにも我々は慣れてきた。しかし、見逃してはならないのは、自分と自分との距離まで離れてしまったことだろう。離人症とまでは言わないが、コロナ禍という現実を受け入れられず、精神を病み、休学・退学になってしまった学生もたくさん出たのである。本来あるべき自分になろうとしていたのに、それを阻まれてしまった。その苦悩は若者ほど大きいだろう。「私ってこんなに承認欲求強かったんだあ」といつかと平井は自覚する。その欲求の根源、いつかにとっては中学時代の忘れてしまっていた青春の一コマをやがて回想するようになるという脚本はなかなかの手練れだと感じた。

 

マスクで顔の半分が見えず、誰が誰だか確信が持てない、あるいは素顔を知らないというのは現代人あるあるで、のんが渡辺大知演じる公園の男と絶妙な距離を保つ一連の流れは非常に上質なコント。いや、笑ってはいけないのだが、これはのんがこうした距離感を呵々として笑い飛ばしたいという願望をストレートに表現したのだと受け取ろうではないか。

 

最後にささやかに開かれる卒展に、芸術は人の心を動かす力を持っているのだというメッセージを受け取った。新人監督かつ新人脚本家・のんのまっすぐな心意気は確かに伝わった。

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ネガティブ・サイド

タイトルのリボンがいちかの心情を表していたのだろうが、いかにもCGといった演出には感心しない。美大生の心をリボンの色と動きで表現しようと試みたのだろうが、それならいつかを絵描きではなく、ダイレクトにファインアート作家の卵に設定すればよかった。その方がより自然である。または、いつかが色とりどりのペンキを心象風景のキャンバスにぶちまける様をリボンで表しても良かった。それならリボンの意味もあろうというものだ。いつかの美術のバックグラウンドとリボンがあまり結びついていないのは残念である。

 

親友の平井との諍いは不要。物語を大きく動かしたかったのだろうが、もっと静かに動かしつつ、なおかつ迫真性のあるドラマは生み出せたはず。たとえば、卒展が中止になり、涙ながらに自らの作品を破壊する学生たちの姿が冒頭で映し出されたが、そこから急遽、大学側がオンラインでバーチャル展覧会を開催すると決定、学生たちには歓喜と混乱が広がり・・・という筋立てであれば、多くの大学の2020年および2021年の大学祭と重なるところが多く、リアルな人間ドラマにつなげられただろうと思う。

 

終盤のシーンでも、大声やら大きな音を出してはいけないシチュエーションで思いっきり大声や騒音を出すのはどうかと思った。それが青春の一つの形だとは思うが、リアリティは感じなかった。同じく、BGMを多用しすぎだと感じた。色々と凝りたくなるのだろうが、思い切ってそぎ落とす方が効果的な場合もある。

 

総評

多くの娯楽や芸術に「不要不急」というレッテルが貼られた2020年。確かに不急かもしれないが、不要ではないだろうと思う。そうした憤りや不満を、文書や動画ではなく、映画作品として発表してしまうのだから、大したものだと思う。多くの映画人が記者会見やホームページ、SNSなどで意見を発してきたが、作品という形で「芸術は人間にとって必要なものなのだ」と静かに、しかし高らかに宣言したのは邦画では本作が初めてではないか。ぜひ多くの映画ファンに鑑賞いただきたいと思う。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a job offer

「就職内定」の意。an offer of employment もよく使われる。「内定をもらう」という動詞には、get や receive が使われることもセットで覚えておきたい。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, のん, 山下リオ, 日本, 渡辺大知, 監督:のん, 能年玲奈, 配給会社:イオンエンターテイメント, 青春Leave a Comment on 『 Ribbon 』 -メッセージのある青春映画-

『 ひらいて 』  -閉じこめられた気持ちの人々に贈る-

Posted on 2021年11月7日 by cool-jupiter

ひらいて 70点
2021年11月3日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:山田杏奈 佐久間龍斗 芋生悠
監督:首藤凜

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普通のヒロインを決して演じない期待の若手、山田杏奈。あらすじも予告編も観ず、チケット購入。

 

あらすじ

同じクラスのたとえ(佐久間龍斗)に密かに恋焦がれる愛(山田杏奈)。ある時、龍斗が隠し持つ手紙を盗み、彼が同じ学校の美雪(芋生悠)と付き合っていることを知る。複雑な想いを抱いた愛は、美雪に近づき、友達となっていくが・・・

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ポジティブ・サイド

山田杏奈が相変わらず良い。普通のヒロインは市場に溢れかえっているが、この年齢で普通ではない役ばかりを演じるのは本人も事務所も本格派志向である証明だろう。無邪気な笑顔と邪悪な笑顔を一本の作品の中で繊細に、しかし大胆に使い分けられる女優は多くはない。首藤監督の演技指導もあるのだろうが、愛という複雑な女子高生のリアリティをしっかりと引き出した。

 

対する薄幸の美少女然とした芋生悠の存在感も素晴らしい。『 ピンカートンに会いにいく 』に出演していたそうだが、印象には残っていない。しかし『 ソワレ 』や『 ある用務員 』など、Jovianが観たいなと感じていながら観る機を逸した作品で主役級を演じている。本作でも病気持ち、友達なし、かつ秘密の恋人がいる女子高生という役柄で、強烈な印象を残している。その多くは、純朴そうに見える笑顔と、戸惑いと好奇心のはざまでもだえる表情、そして強い拒絶を雄弁に物語る目の力による。美少女という印象は受けないルックスだが、実際の高校の教室にいれば、クラスで2番か3番目くらいの可愛らしさだろうと思う。

 

PG12というよりも、PG15ぐらいじゃないのかというシーンが出てくるが、もっと邦画全体でこういうシーンはあっていい。少女漫画系の映画では、ヒロインのライバルが相手の男に色仕掛けを使ったりするが、愛は龍斗と美雪に肉体関係がないと知るや、その両方と関係を持とうとする寝業師。綿矢りさの描く女性キャラはどれもこれも一筋縄ではいかないが、身勝手であざとく、それでいて純な乙女心のようなものも併せ持つキャラを山田は好演した。

 

タイトルの『 ひらいて 』を動詞の命令形と解釈するべしということがオープニングで示唆されるが、最後にはこの『 ひらいて 』は、愛が心を開いた状態で、ということを意味する接続助詞に見えてくる。一筋縄ではいかないヒロイン像を追究しようとする山田杏奈の面目躍如たる作品。

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ネガティブ・サイド

各家庭にもう少しフォーカスがあっても良かったように思う。美雪は母親が鍋を調理する傍らで、進学を機に東京に出たい=家を出たいという願望を吐露するが、そこは母に「お父さんが帰ってきたら」とかわされる。愛も、かなり暗くなるまでゲーセンで遊んでいたり、深夜に家を抜け出したりと、かなり奔放な家庭にいるが、逆の見方をすれば親は子供に無関心とも言える。こうした閉塞的、窮屈な環境についての描写がもう少しあれば、なぜ家や街を出たいのかがより鮮明に伝わる。やや同工異曲の感のある『 君が世界のはじまり 』の方が、そのあたりの環境と心理の変化の描写が巧みだった。

 

夜の教室で愛がたとえに拒絶されるシーンのセリフがぎこちなかった。原作を尊重したのかもしれないが、映画のセリフではなく小説のセリフというか、異様に芝居がかったセリフ回しで、緊張感のあるシーンの雰囲気が壊されていると感じた。

 

総評

粗はあるが、そこは主人公の愛と同じく、本作も奇妙なパワーで前進していく。愛というキャラクターを同一視するのは難しいが、青春の一時期、恋という感情に文字通りに狂わされるというのは、程度の差こそあれ、誰にでもある話。愛と美雪、愛とたとえの関係は極端であっても特異ではない。コロナ禍によって閉塞感が増した世の中だが、理屈ではなく気持ちで動いていくキャラの物語というのも、今という時代に案外マッチしているのかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

diabetes 

「糖尿病」の意。発音はダイアビーティーズ。アクセントはビーに置く。学生ならまだしも、塾や予備校だと、ディアベテスやらダイアビーツと発音するトンデモ講師が結構いる。いくらでも発音チェックするツールがあるのだから、そうしたものを活用できないエセ英語講師は退場してほしいと思う。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, 佐久間龍斗, 山田杏奈, 監督:首藤凜, 芋生悠, 配給会社:ショウゲート, 青春Leave a Comment on 『 ひらいて 』  -閉じこめられた気持ちの人々に贈る-

『 サイダーのように言葉が湧き上がる 』 -平安貴族的恋愛の勧め-

Posted on 2021年8月16日 by cool-jupiter

サイダーのように言葉が湧き上がる 70点
2021年8月14日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:市川染五郎 杉咲花
監督:イシグロキョウヘイ

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予告編の映像の色使いと”俳句”の要素に惹かれた。公開からしばらく経ってしまったが、だからこそ密になりにくいだろうとチケットを購入。

あらすじ

俳句は詠めるがコミュニケーションが苦手なチェリー(市川染五郎)。快活だが、矯正している前歯がコンプレックスになっているスマイル(杉咲花)。郊外のショッピングモールのアクシデントで互いのスマホが入れ替わってしまった二人は、徐々に交流を深めていく。ある時、チェリーのバイト先の介護施設のフジヤマさんが長年探しているレコードをチェリーとスマイルの二人も探すことになり・・・

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ポジティブ・サイド

少女漫画の映像化に精を出す業界人にこそ告げたい。本作のような作品こそ「等身大」と形容されるのですよ、と。まず主人公二人の名前が良い。チェリーは『 さくら 』で紹介した”pop one’s cherry”的な意味でのチェリーだろうし、スマイルというのもそのまま劣等感の表れだ。つまり、主人公たちが持っているコンプレックスが、複雑な人間関係(『 ママレード・ボーイ 』など)や社会的な立場の違い(『 センセイ君主 』や『 まともじゃないのは君も一緒 』など)に起因しないからである。それこそちょっとしたコミュ障だったり、ちょっとした外見の悩みは、青春を過ごす者にならほとんど100%当てはまるわけで、こういうキャラクターたちを通じてこそ「ああ、俺にもこんな青春があったなあ」と思えるわけである。

 

舞台が郊外のショッピングモールというのも、『 君が世界のはじまり 』のような地方都市の楽しさと物悲しさが同居していてリアリティがある。そこにいたいけれども、そこから抜け出しくもある。チェリーが引っ越し(トレイラーでも出てくるのでネタバレにはならないだろう)に対して、極めてニュートラルに振る舞っているのも、そうしたアンビバレントな気持ちの表れだろう。幹線道路沿いで完結する世界というのも『 ここは退屈迎えに来て 』で、日本の多くの地方都市に共通する風景であり生活世界である。つまり、多くの人が自分を重ね合わせやすい。東京23区内あるいはその周辺というのは、実はほとんどの人間にとっては非日常だ。

 

老人介護や外国人移民、地場の店の閉鎖。多くの地方都市に共通する現在進行形の事象を交えながらも、物語は決して陰鬱にはならない。一つにはアニメーションにおける鮮明な色使いがある。原色のアピールが強い画作りが、現実との距離感を生み出している。誰もが理解や共感をしやすい状況を整え、しかし、そこに映し出される世界には適度なフィクション感がある。だからこそ感情移入はできるが、あくまでもチェリーとスマイルの物語として鑑賞することができる。

 

もう一つには not real time, not real space なコミュニケーションの可能性だろう。物語の鍵としてYAMAZAKURAというレコードの存在があるわけだが、レコードという媒体に込められたメッセージの有効性は、時間や場所には縛られない(だからこそ、その媒体自身=レコードの円盤が壊れてしまうと一巻の終わりなのだが・・・)。同じく、俳句という発話の形式も、それをTwitterなどにアップすることで半永久保存が可能になる。俳句をテーマにした邦画をJovianはほとんど知らない。ライブ配信という real time の、ある意味ではとても刹那的なコミュニケーションを楽しむスマイルが、チェリーの俳句に対して「Like」とポチるシーンは、彼女の conversion を見るようで面白かった。俳句、配信、レコード探しといった極めて間接的なコミュニケーションだけでチェリーとスマイルの関係が深まっていくところが逆にリアルに感じられる。

 

クライマックスは予想どおりは言え、十分なカタルシスを得られる出来栄え。『 ちはやふる 』の時代の平安貴族は、このようなコミュニケーションで逢瀬に勤しんだのである。最後に一句。

 

おもがくす やまざくらこそ いとあはれ

 

ネガティブ・サイド

ビーバーのグラフィティ行為はさすがにやりすぎでは?あそこまで街中に落書きしまくっていたら、補導では効かないだろう。間違いなく逮捕されるはず。冒頭のモール内での狼藉も防犯カメラにばっちり映っているのは間違いない。ビーバーのグラフィティ行為はモール屋上に留めておくべきだった。その方がクライマックスのメッセージがより際立ったと思う。

 

YAMAZAKURAのレコードがかかる瞬間は、本作のハイライトの一つ。しかし、聞こえてきたのは完全なるデジタル音声とは、これいかに。監督・脚本・演出を務めたイシグロキョウヘイはJovianと同世代。ミレニアル世代ならまだしも、レコードを一度も聞いたことがないのだろうか。フェードインで始まる感じや、ところどころに入る「プツプツ」という音が一切なかった。完全なる拍子抜けである。なかなか言語化しづらいのだが、古い写真が色褪せて味わいが出てくるのと同様に、音に味わいがある。そうしたものが一切なかったのは大きなマイナスである。

 

総評

邦画というのは、やはり良くも悪くもアニメが大きな力を持つ分野なのだなと思い知らされる。韓国映画やインド映画、最近では中国映画にもまもなく抜かれることが確定している邦画だが、アニメのクリエイターたちに適切に投資すれば、まだまだ佳作は生み出せるし、そこから世界に転送可能な才能も養成できるだろう。小難しいことは抜きにして、本作のような作品こそ、デートムービーにふさわしい。あるいは、友達以上恋人未満な相手を誘うのにこそふさわしい一本である。さあ、コミュ障男子たちよ。一歩を踏み出せ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

A haiku goes five seven five.

ア・ハイク・ゴウズ・ファイヴ・セヴン・ファイヴ、と発音する。意味はそのまま「俳句は5・7・5である」。なぜ go という動詞を使うのか、ここでの go とはどういう意味かを説明するのは至福の関係で省略させていただく。日本文化を説明する際の一節として、上のセンテンスは丸暗記しておいて損はないかもしれない。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, 市川染五郎, 日本, 杉咲花, 監督:イシグロキョウヘイ, 配給会社:松竹, 青春Leave a Comment on 『 サイダーのように言葉が湧き上がる 』 -平安貴族的恋愛の勧め-

『 サマーフィルムにのって 』 -青春の勧め-

Posted on 2021年8月14日 by cool-jupiter

サマーフィルムにのって 75点
2021年8月8日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:伊藤万理華 河合優実 祷キララ 金子大地
監督:松本壮史

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Jovianの好物ジャンルである「映画を作る映画」である。中国映画の傑作にあてられたタイミングなので、従来であれば面白不感症になっているはずなのだが、本業のあまりの多忙さのせいで、面白いと感じる閾値が下がっているのだろうか。粗削りかつパクリのにおいも強烈に漂っているが、秀作であると感じた。

 

あらすじ

時代劇好きのハダシ(伊藤万理華)は、ある日名画座で自分の描く武士のイメージぴったりの青年、凛太郎(金子大地)を見つける。出演交渉するも、渋る凛太朗。しかし、ハダシは親友のビート版(河合優実)とハワイ(祷キララ)と共に、夏をかけて時代劇制作に乗り出すが・・・

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ポジティブ・サイド

ハダシを演じた伊藤万理華がアイドルと言うにはビジュアル的に華がなく、だからこそ彼女が自分なりの青春を追い求める姿が神々しい。同じ映研で男が女に「好き」とだけ語りかけるだけの極めて陳腐(見方によっては実験的、前衛的)な映画を作るばかりの女子との対比が映える。脇を支えるビート版は『 佐々木、イン、マイマイン 』で短時間の登場ながら強烈なインパクトを残した河合優実。ハワイ演じた祷キララには『 町田くんの世界 』に出演した日比美思に通じる雰囲気を感じた。多分、ヒロインも脇役も両方こなせる女優になりそう。

 

時代劇をこよなく愛するというハダシの設定が良い。時代劇というジャンルは、西部劇と同じく、ある時代に固定されているがゆえに時を超える。その時々の流行りすたりを映像化した作品には出せない味がある。たとえば『 サッドヒルを掘り返せ 』ではエンニオ・モリコーネが『 続・夕陽のガンマン 』を指して「1000年先も残る」とある意味で自画自賛していたが、それはおそらく正しい。それは映画のクオリティはもちろんだが、ジャンルに依るところも大きい。その意味で、勝新太郎への愛とリスペクトをハダシと凛太郎の両方が共通して持っていることの説得力は大である。

 

映画を作るに際して最も大事なのは役者ではなく裏方である。その意味でも本作には好感が持てる。マジョリティに理解や受容をされるわけではないが、自分なりに芯の通った青春を過ごす者たちの連帯は見ていて清々しい。『 鬼ガール!! 』と同じく、最後の最後に言葉そのままの意味で theatrical なスペクタクルが展開される。チャンバラは時代劇の華。舞台は文化祭。甘ったるいばかりの青春映画が量産される邦画の世界で、本作のような作品こそ、高校生や大学生たちに広く観てほしいと思う。映画を作る映画というのはJovianの好物である。本当は70点であるが、ここでは5点をオマケしておく。

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ネガティブ・サイド

プロットの大筋は法条遥の小説『 リライト 』そっくりである。オマージュではなくパクリとの誹りを免れるのは難しい。

 

ハダシと凛太郎の時代劇をめぐる会話は非常に面白いし、よく練られていたと思う。惜しむらくは、言葉ではなく動作や立ち居振る舞いでもって、座頭市や藤枝梅安などの魅力を伝えてほしかった。そうしたシーンもあったのだが、量が足りない。『 サッドヒルを掘り返せ 』でボランティアたちが決闘シーンを再現したり、『 ピープルvsジョージ・ルーカス 』で『 スター・ウォーズ 』のキャラクターやインディアナ・ジョーンズになりきる熱狂的ファンが活写されていたのと同じで、ファンならば憧れの役にもっとなりきって欲しかった。そして、ハダシと凛太郎の間でしか通じない、しかし二人の間では確実に通じるような殺陣を演じてほしかった。

 

総評

邦画の世界の青春映画というと、胸キュンものかヤンキーものだが、もっとこういった創作系の青春ものが制作されてほしいもの。ミニシアターではなくTOHOシネマズなどで公開されれば、高校生たちにも観てもらえる。映画ファンだけではなく、まさに夏休み中の若者たちに観てほしい。デートムービーにもちょうど良いだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

film

言葉そのままにフィルムの意。『 映画大好きポンポさん 』ではフィルムをスプライシングするシーンがあったが、デジタル全盛の今となってはフィルムで映画を撮る業界人はマイノリティだろう。映画一つ一つは数えることができる( a film や films と言える)が、フィルムという物質そのものを指す場合は、常に film (不可算名詞)である。理由は、切ったり貼ったりして、数が増えたり、一つになったりするから。filmは、受験英語の指導者だけではなく英会話スクールの講師などですら結構な頻度で可算不可算を間違える語である。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, 伊藤万理華, 日本, 河合優実, 監督:松本壮史, 祷キララ, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオ, 金子大地, 青春Leave a Comment on 『 サマーフィルムにのって 』 -青春の勧め-

『 映画大好きポンポさん 』 -映画という沼にハマれ-

Posted on 2021年6月22日 by cool-jupiter

映画大好きポンポさん 75点
2021年6月12日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:清水尋也 小原好美
監督:平尾隆之

 

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タイトルだけで鑑賞決定。『 ビューティフルドリーマー 』や『 鬼ガール!! 』と同系列の、映画を作る映画である。好物ジャンルの鑑賞前は Don’t get your hopes up. が鉄則であるが、本作は期待に胸を膨らませた状態で鑑賞しても、十分に面白かった。

 

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あらすじ

ジーン(清水尋也)は映画以外に好きなものが何もない青年。ニャリウッドの地で敏腕映画プロデューサーのポンポさん(小原好美)のもとでアシスタントを務めていた。ある新作映画の15秒のティーザー・トレイラーを作るように言われたジーン。腹をくくって作ったトレイラーはなかなかの出来。そこでポンポさんは自身が執筆した脚本を映画化する、その監督はジーンだと告げてきて・・・

 

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ポジティブ・サイド

『 くれなずめ 』でJovianの後輩が映画のプロデューサーを務めていたが、その仕事がどういったものであるかを分かりやすく見せてくれる作品。映画監督がプロ野球の監督だとすれば、映画プロデューサーはプロ野球チームのゼネラルマネージャーと言えるだろうか。

 

舞台がニャリウッドというハリウッドのパロディであり、ポンポさんという深夜のアニオタ向けアニメのキャラのような少女がプロデューサーである。つまり現実味がない。そこが良い。キャラは立ってなんぼである。奥泉光の言葉を借りれば「本当のことほどつまらないものはない」のである。ジーンというキャラも個性的だ。よくいる凡百のネクラオタクと思うことなかれ。オタクの特徴に批評家であることが挙げられる。またクリエイターであることが多いのもオタクの性である。ストーリーとして面白いのは間違いなくクリエイトする方だろう。漫画『 げんしけん 』もクリエイターである荻上が加わってから面白さのレベルが一段上がった。

 

男なら一度はオーケストラの指揮者、プロ野球の監督、または映画監督をしてみたいと言われる。ジーンが監督として奮闘する姿は、限りなくリアリスティックでありながら、同時にロマンティックでもある。面白いと感じたのは、ジーンがポストプロダクションで泥沼にハマってしまうところ。まるで期限のはるか前に書き上げた卒論を何度も何度もリライトしたかつての自分を思い出した。またジーンというキャラはどことなくハリウッドという生態系に生きづらさを感じた映画人が投影されているように思う。『 スター・ウォーズ 』のジョージ・ルーカスなどが好個の一例だろう。

 

映画撮影現場でのアイデア出しや撮影の雰囲気もよく伝わってくる。またプロデューサーの権力や職掌についても分かりやすく描かれている。なんか妙なアニメだなと敬遠することなかれ。自らをもってシネフィルを任じるなら鑑賞すべし。

 

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ネガティブ・サイド

ミスティアというキャラの使い方が中途半端に思えた。『 累 かさね 』で女優の生活の一端が惜しみなく開陳されたが、もっとそうしたシーンが必要だったように思う。

 

90分はちょっと短すぎではなかろうか。Jovianは個人的に1時間40分から2時間がちょうど良いと思っている。まあ、この辺は個人の好みの問題なので。

 

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総評

映画大好きというタイトルからして映画ファンを挑発しているようだ。そして実際にそうだ。映画を作るというのは自分の美意識を現実化するということで、普段から様々な映画をあーだこーだと批評しているJovianは思いっきりジーンに自己を投影して楽しむことができた。コロナ禍が続いたにもかかわらず今年の前半は結構な豊作という印象。その中でもアニメーション作品としては(『 JUNK HEAD 』は別格としても)としては白眉であると感じた。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

cinephile
映画好き、の意味。片仮名で時々シネフィルと書いてあるのを目にするが、発音に忠実に表記するならばシネファイルとなる。cineの部分は『 アンナ・カリーナ 君はおぼえているかい 』で説明したの省略。phileは、philosophyやphilanthoropyでお馴染み。「愛する」の意味である。『 まちの本屋 』に集うような人々なら bibliophile =本好きである可能性が非常に高いだろう。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, アニメ, 小原好美, 日本, 清水尋也, 監督:平尾隆之, 配給会社:角川ANIMATION, 青春Leave a Comment on 『 映画大好きポンポさん 』 -映画という沼にハマれ-

『 くれなずめ 』 -青春を終わらせるな-

Posted on 2021年5月30日 by cool-jupiter

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くれなずめ 70点
2021年5月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:成田凌 高良健吾 若葉竜也 藤原季節 浜野健太 目次立樹  
監督:松居大悟

 

プロデューサーの和田大輔、なんとJovianの大学の後輩である。隣の寮に住んでいた脳筋の変人だったが、いつの間にやら文化人かつ商売人になっていた。今後もプロデューサーとして活躍していくと思われるので、和田大輔プロデュース作品には是非とも注目してくだされ。

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あらすじ

友人の結婚式のために久しぶりに集まった吉尾(成田凌)や明石(若葉竜也)らだったが、余興が盛大にすべってしまった。気まずい空気に包まれたまま、彼らは二次会までの時間をつぶそうとする。そして、かつての自分たちの友情を回想していき・・・

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ポジティブ・サイド

タイトルに反応して、「くれ~なず~む街の~」と口ずさむのは立派なオッサンだろう。くれなずむというのは、今の季節だと午後6:30から午後7:00ぐらいの逢魔が時が続いていく感じを指す。結婚式に出席するということは、同年代が結婚しつつあるという意味で、独身貴族の時期の終わりを予感させる。しかし、まだ一人を楽しみたい。まだ完全に大人になりたくない。そのような若者のパトスを象徴的に表すタイトルである。

 

成田凌や若葉竜也、藤原季節など売り出し中の若手のエネルギーがそのまま画面にみなぎっている。そこに混じる高良健吾が『 あのこは貴族 』の時と同じく、 condescending  な感じを出すか出さないかのギリギリの線の演技で、若者と大人、フリーターと社会人の境界線上のモラトリアム人間を好演していた。かつての親友たちが各々に成長していたり、あるいは社会参加を拒んでいたり、まるでかつての自分や自分の友人たちとの関係を思い出す世代は多いだろう。特にJovianのようなロスジェネ世代には、その傾向が強いのではないか。

 

アホな男たちのアホな乱痴気騒ぎが延々と続くが、それぞれがロングのワンカットになっているのが印象深い。ワンカットによって場の臨場感が高まるし、観ている側もその場に参加している感覚が強くなる。対照的に回想シーンでは随所にカットを入れ、カメラのアングルを変えていく。まるで記憶を色々と編集しているかのように。こういうことは結構多い。友人の結婚式などに参加して、昔の写真や映像を観ると、自分の記憶と実は少し違っていたりすることが往々にしてあるからだ。

 

主人公である吉尾とその悪友たちの現在のまじわりが、過去の様々なエピソードに繰り返し、あるいは焼き直しになっているところが面白く、リアリティがある。野郎どもの友情というのは時を超える、あるいは時を止めるのだ。おそらく本作の登場人物たちのような30歳前後の男性には、非常に突き刺さる者が多い作品であると思う。

 

割とびっくりするプロットが仕込まれているが、開始数分で非常にフェアな伏線が張られているので、これから鑑賞するという人は、そこに注意を払えれば吉である。

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ネガティブ・サイド

前田敦子は悪い演技を一切していなかったが、これは大いなるミスキャストではなかったか。観た瞬間から「ああ、このキャラの因果はこれだな」と想像がつく。

 

ある時点で舞台が切り替わるが、そこからの展開がどうしようもなく陳腐で、映像としてもお粗末だ(ガルーダ・・・)。下手なCGやVFXなど使わず、素直に高校時代の回想シーンと同じで良かった。原作の舞台のノリを持ってくるのなら、それを映画的に翻案しなければならない。映画→舞台→映画という感じで、トーンの一貫性を大いに欠いていた。

 

また結婚式場から二次会の会場に向かうはずの最終盤の「くれなずむ街」のシーンが、どう見ても盛り場からは遠く離れた場所。ロケーションありきで、絵的なつながりが無視されていた。

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総評

藤原季節が出演していること、そして青春の象徴との別れという意味では『 佐々木、イン・マイマイン 』の方が個人的には面白いと感じた。だが決して駄作ではない。良作である。モラトリアムが長くなった現代、青春ときっぱり決別するのはなかなか難しい。むしろ、青春をできるだけ長く生き続けようとする、つまり日が暮れようとしていながらも、まだまだ暮れないという人生を送る人が増えている。日暮れて途遠しとなる人も同じくらい増えているように思うが、それでも今という時代にを生きる人間にエールを送る作品に仕上がっている。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

afterparty

「二次会」の意。これは実際にネイティブも頻繁に使う表現である。ちなみに三次会はafter-afterpartyと言う。大学生の頃にアメリカ人留学生に教えてもらった時は、”You gotta be kidding me, right?”と反応してしまった。嘘のようだが、本当にそう言うのである。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, 成田凌, 日本, 浜野謙太, 監督:松居大悟, 目次立樹, 若葉竜也, 藤原季節, 配給会社:東京テアトル, 青春, 高良健吾Leave a Comment on 『 くれなずめ 』 -青春を終わらせるな-

『 BLUE ブルー 』 -生涯一ボクサー-

Posted on 2021年4月19日 by cool-jupiter

BLUE ブルー 70点
2021年4月17日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:松山ケンイチ 東出昌大 木村文乃 柄本時生
監督:吉田恵輔

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『 銀の匙 Silver Spoon 』の吉田恵輔が監督および脚本も務めた作品。『 アンダードッグ 』と同じく、ボクサーの影の部分を直視している点に好感が持てる。Jovianはボクシングは多分1000試合ぐらい観ているが、吉田監督も結構なボクシング通なのではないかと感じた。生涯一書生をもじって生涯一捕手と言ったのは故・野村克也だが、生涯一ボクサーという生き方があってもよいだろう。

 

あらすじ

瓜田(松山ケンイチ)はボクシングへの愛情と情熱は人一倍だが、負けてばかりのプロボクサー。後輩の小川(東出昌大)は日本タイトルマッチを射程に入れ、小川の女友達の千佳(木村文乃)とも結婚を視野に入れた交際をしていた。そんな時、ボクシングをやってる感を出したいという楢崎(柄本時生)がジムに入門をしてきて・・・

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ポジティブ・サイド

松山ケンイチの役への没入感が素晴らしい。ボクシングジムにはこういう人が結構な確率でいる。ボクシングはマイナー過ぎて例えば難しいが、元楽天監督の平石洋介タイプとでも言おうか、選手としてはイマイチでも野球への情熱や競技を勉強する心、同門の仲間とのコミュニケーション能力がずば抜けて高いタイプと言えば伝わるだろうか。縁の下の力持ちで、ジムの風景に溶け込んでいる。いても気が付かないが、いなくなると気が付くタイプ。こういうボクサーはちらほらとだが確実に存在している。日本の9割のボクシングジムの経営は、昼間にやってくるボクササイズのおばちゃんたちによって支えられているが、そんなおばちゃん連中を邪険に扱う会長も、あの年代ならリアルに存在している。なんだかんだでこのジムが成り立っているのは瓜田のおかげなんだなということが理解できる。

 

では、なぜそんな好青年の瓜田がボクシングを始めたのか?そして、負け数ばかりを積み重ねながらもボクシングを続けているのか?その事情が紐解かれていく過程は、心温まる友情物語でもありながら、人間の心のダークサイドが垣間見える展開でもある。このあたりが本作を単なるスポコン友情物語ではなく、リアルな人間ドラマにしている要因である。松山ケンイチの演技力のなせる業である。

 

ボクシングシーンもかなり研究されているなという印象。ボクシング映画における試合のシーンは、どれもこれも現実なら即TKOになっている、あるいはタオルが投入されるような描写が多い。本作も例外ではない。では、どこに感銘を受けたかというと、瓜田と小川の二人だけの作戦会議および練習シーン。瓜田がアッパーを推奨する中で、小川は左フックを提案する。この左フックはおそらくモリソンvsラドックでのモリソンの左フックのパクリ、または井上vsマロニーでの井上の左フックのパクリだろう(ここでいうパクリとは、そこから多大なるインスピレーションを得たものという意味である)。吉田監督がボクシング通であると断言できる根拠がここにある。興味のある向きはYouTubeなどで検索されたし。

 

この二人プラス千佳だけでも成立するストーリーに、柄本演じる楢崎が入ってくること瓜田という男の光と影の部分がより鮮明になっている。ボクシングはある程度練習すると本当に強くなれるし、本当に強くなったと実感すると、もうやめるにやめられないものだ。ヘタレの楢崎がだんだんと強さを手に入れていくサブプロットは、そのまま瓜田が過去にたどった道だと思えるし、楢崎が味わった試合の充実感は、それこそ瓜田が味わった充実感と同じものだったはずだ。ボクサーという生き物は、栄光も金も勝利も求める生き物だ。けれど本当に求めているのは完全燃焼すること。『 あしたのジョー 』風に言えば、真っ白に燃え尽きることだ。楢崎の充実の表情からはそれが如実に伝わってきたし、敗戦後に部屋でひとりコンビニ弁当をほうばる瓜田からは、燃え尽きることができなかった自分への悔恨の念が溢れていた。このコントラストの鮮やかさよ。

 

主人公が栄に浴さないタイプのボクシング映画としては、近年の邦画では『 アンダードッグ 』と双璧である。生きる意味、自分が何者で何をすべきかが問い直されつつある時代だからこそ、多くの映画ファンに見てもらいたいと思う。

 

ネガティブ・サイド

ボクサーはどうしても脳へのダメージが避けられないが、小川にパンチドランカー症状を出すのが性急に過ぎたと思う。日常生活でも仕事でもあれだけ小さなミスやら物忘れを繰り返していて、ジムで会長その他のトレーナーやボクサーが気が付かないというのは腑に落ちない。もしくは、瓜田がジムで小川の異変に気づいていながら、あえてそれに目をつぶるなどの描写があれば良かったのだが。

 

劇中のとある試合でのレフェリーが介入してくるタイミング、およびドクターストップの方法が荒唐無稽であった。あれだけ猛ラッシュをかけていて、そこでドクターチェックを入れるレフェリーなど見たことがないし(レフェリー役に福地使うのはやめようぜ、邦画界よ)、傷を見た瞬間に試合を止めるドクターというのも一度しか見たことがない。その一度も、まぶたが深く切れすぎて眼球が一部だけだが露出してしまっているケースだった。普通はタオルやら何やらでいったん止血して、それでも血が止まらない場合や、またはふさがっている方の目が見えているかどうかをチェックしてからストップの判断をするものだ。よくできたボクシング物語なのにここだけ急に非現実的だった。

 

後はリング禍の描写かな。急性硬膜下血腫だと思うが、プロボクサー未満の二人をスパーリングさせるのに、トレーナーやら会長がまともに注意を払っていないのは、ボクシング関係者が見たら、頭を抱えることだろう。普通、あれだけきれいに顔面に入ったり、あごがきれいにポーンと跳ね上がったら、そこでスパーは絶対に中止だろう。楢崎の因果にリング禍は不要。マウスピースをつけずになめてかかってきた相手の前歯を折るぐらいで良かったのでは?

 

総評

いつの頃からか世の中は勝ち組と負け組に分断されるようになってしまった。経済的な成功や人間関係の充実=勝ち組とされがちな世の中に「それだけが答えではない」と言い放つ作品の登場を心から歓迎したい。ボクシングを知っている人も知らない人も、自分が何をすべきか知っている人も知らない人も、本作からは必ずなにかしらのインスピレーションを得られることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

retire

引退する、の意。引退させる、という他動詞で使われることもある。ボクサーの多くは引退を余儀なくされる。自分から引退できるボクサーは果報者である。ただし、現役復帰(=unretire)する選手が多いのもボクシングの特徴と言える。元プロ野球&MLB選手だった新庄剛志がトライアウトを受ける前にも英語メディアでは unretire が使われていた。

 

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