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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 配給会社:ギャガ

『 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』 -最後に愛は勝つ-

Posted on 2023年3月8日 by cool-jupiter

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 50点
2023年3月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ミシェル・ヨー キー・ホイ・クァン ステファニー・スー
監督:ダニエル・クワン ダニエル・シャイナート

繁忙期のため、簡易レビュー。

 

あらすじ

零細コインランドリーを経営するエヴリン(ミシェル・ヨー)は、優しいがあまり働かない夫ウェイモンド(キー・ホイ・クァン)、頑固で認知にも問題のある父やガールフレンドとの付き合う娘のジョイ(ステファニー・スー)と共に暮らしていた。税金の控除を申請するために役所に入ったところ、突如、夫のウェイモンドが「自分は別の宇宙から来た」と言い、「多くの宇宙の脅威になっているジョブ・トゥパキを倒してほしい」とエヴリンに頼んできて・・・

 

ポジティブ・サイド

MCUのフィジカルに移動できてしまうマルチバースに比べると、こちらのマルチバースは意識だけが移動する。その移動した先の別の自分から、特技だけを拝借してくるという設定は、どことなく『 マトリックス 』っぽい。

 

アジア人のミシェル・ヨーがカンフーで戦うのも絵面としてはあり。『 グーニーズ 』や『 インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 』をリアルタイムではないが、発売直後のVHSで観ていた世代としては、キー・ホイ・クァンの銀幕への復帰は嬉しい。まるで小学校時代の友人と再会したかのようだ。

 

全編、予想の斜め上を行くコメディ展開で突き進み、最後にホロリとさせてくる。なかなかに味わい深い作品。

 

ネガティブ・サイド

アホなことをするとヴァース・ジャンプするというアイデアは笑えない。『 2001年宇宙の旅 』やら『 スター・ウォーズ 』やらをパクりまくっているが、オマージュに見えない。これらの作品は他世界ではなく、この世界のはるか昔、あるいは未来(といっても今は2023年だが)だからだろう。マルチバースもので描くのはセンスがない。

 

意識が宇宙と宇宙の間をジャンプするのはいい。だが、その意識のジャンプを観測しているアルファ・ヴァースの連中の意識はどこにあるのだろうか?そもそも、ヴァース・ジャンプに必要なイヤホン?ヘッドホン?的なアイテムはどこから来た?意識だけ到来したアルファ・ヴァース人がこっちの世界で大急ぎで作った?そんな馬鹿な。

 

生命が発生できなかった世界にも意識が飛んでいくシーンはシュール。けど、意識が岩に宿るんかな?いや、その世界にあのイヤホン?があるの?わけが分からん。

 

総評

『 スイス・アーミー・マン 』は文句なしに面白かったが、今回のダニエル・クワンとダニエル・シャイナートのコンビとは波長が合わなかった。昨年からアメリカでの評価が異様に高かったので期待していたが、裏切られた気分である。これがアカデミー賞ノミネートなら『 クレイジー・リッチ! 』もノミネートされていたはず。観賞の際は Don’t get your hopes up. 

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

all at once

「一度に」あるいは「突然に」の意味。The students stopped talking all at once. = 生徒たちは一斉に話すのをやめた、のように使う。英検準2級、TOEIC500点レベルぐらいの表現。

 

次に劇症鑑賞したい映画

『 シャイロックの子供たち 』
『 湯道 』
『 少女は卒業しない 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, キー・ホイ・クァン, コメディ, ステファニー・スー, ミシェル・ヨー, 監督:ダニエル・クワン, 監督:ダニエル・シャイナート, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』 -最後に愛は勝つ-

『 #マンホール 』 -邦画スリラーの佳作-

Posted on 2023年2月16日 by cool-jupiter

#マンホール 60点
2023年2月12日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:中島裕翔 奈緒
監督:熊切和嘉

シチュエーション・スリラー。まさか『 CUBE 一度入ったら、最後 』のような超絶クソ駄作ではあるまいと思い、チケット購入。

 

あらすじ

社長令嬢との結婚も決まり、営業として将来を嘱望されていた川村俊介(中島裕翔)。しかし結婚式前夜の同僚たち主催のパーティーで酔ってしまい、帰り道でマンホールに転落してしまう。足を負傷し、自力での脱出ができない川村は、唯一連絡が取れた元カノの工藤舞(奈緒)に渋谷まで助けに来てほしいと頼むが、渋谷のどこにも蓋の開いたマンホールはないと言う。川村はマンホール女というSNSアカウントを作成し、ネット民たちに救出を依頼するが・・・

 

ポジティブ・サイド

日本中に無数に存在するマンホール。その中に落ちてしまう話。そんなことが起こるわけねーだろと思うが、これがなかなかに面白い。まずマンホールの中がかなり汚く、迫真に迫っている。もちろん、マンホールの中に入ったことなどないが、めちゃくちゃ不衛生な環境であることは分かる。最近の邦画だと『 AI崩壊 』で大沢たかおがやたらときれいな下水道を駆け回るシーンがあったが、本作は悪臭漂うマンホールの底という環境をリアルに追求した。ここは評価していい。

 

物語の大部分もマンホールの中で、中島裕翔の一人芝居で進んでいく。足を怪我して動けないが、『 FALL フォール 』のようにありあわせのもので治療したりと、様々な困難を打開していく。極めつけはSNSの利用だろう。男だとネット民に対しての訴求力がないので、#マンホール女なるアカウントを立ち上げる。『 電車男 』という存在が一世を風靡したが、このマンホール女も瞬く間に一つのムーブメントとなる。そしてネット民の中でも特に恐ろしい特定班が動き出す。このあたり、『 白ゆき姫殺人事件 』よりも更に踏み込んだ内容になっているし、回転ずしをはじめとする外食産業を悩ませるクソ迷惑な客の個人情報がどんどん明かされてしまう現実とが絶妙にマッチしている。

 

本作は序盤から結構フェアに伏線が張られているので、鵜の目鷹の目で見ることをお勧めしたい。実際に上映開始前に「ネタバレはやめてください」的な表示も出た。こういうのを見るとすれっからしのJovianは絶対に見破ってやろうと思ってしまう。ある人物についての考察は当たったが、別の人物については見事に裏切られた。うーむ、悔しい。この作品(ネタバレ注意!)を思い浮かべなかったのは痛恨の極みだ。

 

電話で淡々と対応してくれる元カノの奈緒もいい。電話越しの穏やかな声音と口調に独特の味わいがある。他にもアホなネット民を思いっきりコケにするようなシーンもあり、笑わせてくれる。本作を最大限に楽しむには、謎解きに専念せずに、むしろ中島裕翔に感情移入して観るといい。

 

ネガティブ・サイド

サスペンスのビルドアップが下手だなという印象。マンホールの底であれやこれやと苦闘する川村だが、一番の生命線はスマホ。そのスマホの充電が切れそうになる展開が一つもないのはいただけない。

 

波の花も、あれだけ瓦礫があるのなら、水がたらたら流れてくる箇所を埋めてしまえと思うが、それもしない。脚を大けがした状態で果敢に梯子を登ろうとするのだから、瓦礫を少し運ぶぐらいできるだろう。

 

クライマックスのドンデン返しで思いっきり着地に失敗しているのが最大の欠点か。そこに行くまでは主人公にイライラさせられたり、逆に不可解だった行動の意味が分かってきたりと興味深く観ていられるのだが、最後の最後が火曜サスペンス劇場になってしまう。ここをもっとちゃんと締め括ってくれていれば、もう一段階上の評価もできたはずだと思えてならない。

 

総評

全然知らないジャニーズだと思っていたが、『 ピンクとグレー 』に出てたのね。菅田将暉しか印象に残ってなかった。ただ、アイドルがここまで汚れてボロボロになるというのは邦画では珍しい。その点で希少価値はある。ストーリーも着地に失敗しているとはいえ、序盤と中盤は結構楽しめる。デートムービーにはならないだろうが、週末に予定がなければ本作のチケットを購入するのも全然ありだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

peck

劇中では Twitter の代わりに pecker なるSNSが登場していた。これは「つつく」の意味。キツツキは woodpecker と言う。ちなみに tweet は「さえずる」の意(「つぶやく」ではない)。北アメリカを旅行した人なら、鳥が「トゥイトゥイ」という感じで鳴くのを聞いたことがあるかもしれない。あれが tweet という擬音語になり、そのまま動詞になったわけである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 対峙 』
『 エゴイスト 』
『 銀平町シネマブルース 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, シチュエーション・スリラー, 中島裕翔, 奈緒, 日本, 監督:熊切和嘉, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 #マンホール 』 -邦画スリラーの佳作-

『 秘密の森の、その向こう 』 -フレンチ・ファンタジーに酔いしれる-

Posted on 2022年10月29日 by cool-jupiter

秘密の森の、その向こう 70点
2022年10月26日鑑賞 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:ジョセフィーヌ・サンス ガブリエル・サンス
監督:セリーヌ・シアマ

予備知識ゼロで鑑賞。あらすじすら読まなかった。Twitter友達から勧められたからなのだが、そういう人からのお勧めは当たり率が非常に高い。

 

あらすじ

ネリー(ジョセフィーヌ・サンス)は両親に連れられ、祖母が住んでいた森の中の一軒家を片付けに来る。しかし、母は自分の母を喪失した悲しみから、家を出て行ってしまう。残されたネリーは森を散策するうちに、母と同じ名前の少女マリオン(ガブリエル・サンス)と出会い、友達になる。ネリーはマリオンの家に招かれるが・・・

ポジティブ・サイド

何とも言えない余韻を残す作品。鑑賞中に思い浮かんだのは『 思い出のマーニー 』と『 リング・ワンダリング 』の二作。時を巡る、そして自らのルーツに図らずも迫ってしまう物語である。

 

BGMはほとんどない。しかし、それが使われる際の情景の美しさとキャラクターの心象風景とのマッチング具合は素晴らしいの一言。キャラクターも少なく、さらに台詞も多くない。台詞が発されたとしても、多くの場合は何らかの比喩というか婉曲的な表現が多く、それが観る側をぐいぐいと惹きつける。フランスといえば少ない登場人物にもかかわらず読者を翻弄するミステリの良作を生み出す国だが、映画でもその技法は存分に活かされている。

 

母マリオンが姿を消した直後に現れる、母と同じ名前の少女マリオン。ネリーとマリオンの子ども同士の無邪気な交流が、いつしか魂の交感にまで昇華される。普通なら2時間はかかりそうなものだが、シアマ監督は70分でそれをやってのける。ここまで研ぎ澄まされた演出と編集は見たことがない。

 

「人はいつか死ぬ。早いか遅いかだけだ」とは『 もののけ姫 』のジコ坊の言。死ぬ時期を知ってしまうというのはシビア極まりないことだが、同時に確実に出会える人間がいるのだ、という希望にもなる。なるほど、これは男を主軸にしては作れない物語。男の自分でも心揺さぶられるのだから、女性視点ではどうなるのだろう。有休を使って一人で観に行ったことがある意味で悔やまれる佳作だ。

ネガティブ・サイド

ネリーとマリオンはなかなか見分けがつかない。双子のキャスティングというのは吉とも凶とも出るが、今作ではその中間ぐらいだろうか。

 

ネリーの父が、終盤の手前でネリーとマリオンの両方に出会うシーン。ここにマリオンを連れてこず、ネリーと父との会話だけでもう一日だけ滞在を延ばす(予定の繰り上げをやめる、が正しいか)ようにすれば、さらにファンタジー色が強まっただろうと思う。

 

総評

『 シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢 』を鑑賞した時に近いインパクトがあった。フランス映画はたまにこういう静謐な傑作を送り出してくる。『 トップガン マーヴェリック 』では疑似的な父と息子の関係作りに失敗したマーヴェリックが、ペニーとアメリアの母と娘の関係性から学ぶ姿が印象的だったが、本作はもっと直接的に母と娘の関係性に切り込んでいく。父と息子というのは『 オイディプス王 』の時代からの古典的テーマであるが、本作は母の母と、母の娘という対極的なテーマの古典になりうる力を秘めている。

 

Jovian先生のワンポイントフランス語レッスン

Excusez-moi

エクセキューゼ・モワという感じの発音。英語で言うところの Excuse me. で、軽めの謝罪であったり、あるいはちょっと話しかけたり、ちょっと通らせてもらったり、といった時に使える。日本語の「すいません」に相当するのだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 窓辺のテーブル 彼女たちの選択 』
『 アムステルダム 』
『 天間荘の三姉妹 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, ガブリエル・サンス, ジョセフィーヌ・サンス, ファンタジー, フランス, 監督:セリーヌ・シアマ, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 秘密の森の、その向こう 』 -フレンチ・ファンタジーに酔いしれる-

『 スターリンの葬送狂騒曲 』 -ブラックコメディの秀作-

Posted on 2022年10月20日 by cool-jupiter

スターリンの葬送狂騒曲 75点
2022年10月17日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:サイモン・ラッセル・ビール スティーブ・ブシェーミ オルガ・キュリレンコ
監督:アーマンド・イアヌッチ

安倍元総理の国葬儀が終わった。故人の政治家としての評価は10年後に(ネガティブなものとして)定まるのだろう。面白いのは安倍氏の死に際して、多くのメディア関係者や政治関係者が我先にと情報発信の競争をしていたこと。そこが本作と似ているなと感じて、この度レンタルで再鑑賞。

 

あらすじ

ソ連を長年支配してきたスターリンが急死した。国葬がしめやかに執り行われるが、舞台裏ではフルシチョフ(スティーブ・ブシェーミ)やベリヤ(サイモン・ラッセル・ビール)といった実力者たちが、次期最高権力者の座を狙って暗闘を繰り広げつつあった・・・

 

ポジティブ・サイド

『 バイス 』では危機に際して権力の拡大を模索する副大統領の姿が描かれたが、本作ではガッツリと権力闘争が描かれる。しかもその闘争がまさに政治的で、それをさらに英国流のブラックユーモアたっぷりに描写するものだから、面白くないわけがない。

 

脳梗塞で倒れたスターリンを見て、ベリヤは元米国副大統領のチェイニーさながらにチャンス到来を予感する。フルシチョフやマレンコフ、モロトフなど有力政治家が次々に現れるが、誰も本気でスターリンのことを心配していない。このあたり、本邦の元総理が教団凶弾に倒れた時の多くの政治家や取り巻きだったメディア関係者、曲学阿世の徒たちとそっくりではないか。今の清和会の中身なんか、案外こんな感じなのではないだろうか。

 

別にスターリン時代のソ連について詳しくしらなくても本作は楽しめる(本当は楽しんではいけない内容だが)。ポイントは粛清である。まあ、それも北朝鮮を見ていれば分かるか。もしくは韓国の時代劇ドラマでもよい。スターリンの娘に誰が一番最初に駆けつけるかという、まさに dick measuring contest をソビエト連邦の権力者たちが大真面目にやっているのには笑うしかない。国葬にも弾圧されていた宗教関係者がゾロゾロと参列。これも社会主義以外の権威を認めないソ連ならでは。このあたりのブラックユーモアも英国流か。

 

ジューコフ元帥が登場してきたあたりがコメディのピークで、そこから先は英国俳優たちの演技バトルに突入していく。特に権力奪取に邁進するベリヤと、それを止めんとするフルシチョフの狡猾な立ち回りの緊迫感よ。そして失脚したベリヤと、彼を一気に粛清せんとする勢力の最後の舌戦はまさに演技合戦と呼ぶにふさわしい。

 

今、プーチンが失脚したらどうなるのか。そうしたことを考えてみるのに格好の材料だろう。

 

ネガティブ・サイド

これを全部ロシア語でやったら、あるいはロシア人キャストでやったら90点をつけたくなるだろうな。英語だから理解できる、英語だからより面白さが増す面はあるにしても、ロシア語でやってくれたら、きっともっとユーモアやサスペンスが増したに違いない。

 

中盤から終盤にかけては一種のポリティカル・サスペンスで、『 シン・ゴジラ 』並みの台詞に応酬になる。もっと目で味方と意思疎通し、目で政敵を刺すような、そんな演出が欲しかった。

 

総評

不謹慎かもしれないが、特別軍事作戦におけるロシアの劣勢や安倍元総理の国葬(と言っていいだろう)を下敷きに本作を観ると、公開当時とは見え方が著しく異なる。今だからこそ余計に面白いわけだが、それはタイムリーな作りになっているからではなく、ソ連特有の病理と見せかけて、実は普遍性のある事象を扱っているからだろう。ソ連史などの予習は不要。極端な話、暴力団や企業の代替わりだと思って鑑賞してもいい。大学生以上なら本作の本質を理解できるはずだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

faction

「派閥」の意。ラテン語の facio = 「行う、作る」から来ている。事実=fact も facio を語源に持つ。日本だろうとソ連だろうと、人間というのは派閥を作ってしまう悲しい生き物のようである。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ドライビング・バニー 』
『 秘密の森の、その向こう 』
『 グッド・ナース 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, イギリス, オルガ・キュリレンコ, サイモン・ラッセル・ビール, スティーブ・ブシェーミ, ブラック・コメディ, 監督:アーマンド・イアヌッチ, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 スターリンの葬送狂騒曲 』 -ブラックコメディの秀作-

『 ベイビー・ブローカー 』 -家族像を模索する-

Posted on 2022年6月30日 by cool-jupiter

ベイビー・ブローカー 80点
2022年6月26日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ソン・ガンホ カン・ドンウォン イ・ジウン ペ・ドゥナ イ・ジュヨン
監督:是枝裕和

 

是枝裕和監督が単身韓国に向かい、韓国人スタッフと作り上げた異色のロードムービー。家族とは何なのかを模索する是枝色が色濃く出た逸品。

あらすじ

サンヒョン(ソン・ガンホ)とドンス(カン・ドンウォン)教会のベイビーボックスに預けられた赤ん坊を養子として売るブローカー業に従事していた。ソヨン(イ・ジウン)は自分の預けた赤ん坊がいないと知り、警察に通報しようとする。サンヒョンとドンスは赤ん坊を高く買ってくれる里親を探しに行くのだと白状する。ソヨンもその旅に同行することになるが、そこには人身売買を捜査する刑事スジン(ペ・ドゥナ)らも迫っており・・・

ポジティブ・サイド

日本は昭和半ばの年間中絶数100万から順調(?)に減らして、令和の今は年間10~20万件。韓国は今は5万件を切っているようで、人口比で考えれば日本とどっこいどっこいのようである。では、中絶できず、望まれないままに生まれてしまった命はどうなるのか。赤ちゃんポスト、ベイビーボックス。どう呼んでも、その本質は同じ。育てられないにもかかわらず、産み落とされた赤ちゃんを託す場所、あるいは制度だ。このベイビーボックスを巧みに利用して裏の養子縁組仲介業を営む者たちの人間ドラマが本作の見どころである。

 

まずソン・ガンホの控えめにして重厚な存在感が素晴らしい。『 パラサイト 半地下の家族 』でも市井の人を演じたが、ソン・ガンホのどこにでもいそうな韓国のおっちゃん的な顔には安心感がある。同時に、平々凡々な顔であるからこそ、シリアスになった時のギャップに驚かされる。基本的にはクリーニング屋のオヤジなのだが、そこかしこで見せるおかしみや優しさ、その逆の悲哀や怒りが、観ている我々に痛切に伝わってくる。ダンディな中年俳優ではこうはいかない。試しに西島秀俊や竹野内豊が本作でベイビー・ブローカーをやっているところを想像してみてほしい。まったく似合わない、むしろそうした絵が浮かんでこないだろう、

 

対するペ・ドゥナによる刑事も非常に人間味に溢れている。それは慈愛や思いやりを前面に押し出しているというわけではない。詳述は避けるが、彼女の夫が張り込み中の妻に差し入れを持ってくるシーンには唸らされた。一筋縄ではいかないキャラで、夫婦関係のあれやこれやを否応なく想像させられる。その想像を下敷きに、彼女の目線でサンヒョンやドンス、ソヨンの里親探しの旅を見つめると、子を持つこと、あるいは親になることについて深く考えさせられるだろう。

 

彼女の仕掛けるおとり捜査を、ドンスが機転を利かせて回避する演出もいい。海千山千のしたたかなブローカーで、彼自身の出自、そしてそれまでの人生経験をどんな言葉よりも雄弁に語っていた。彼の手練れたブローカーっぷりと腕っぷしの強さが相棒サンヒョンと奇妙な凸凹コンビになっており、物語に上手く起伏をもたらしていた。

 

旅路の中で出会っていく里親候補たちと、彼らとの物別れを超えて形成されていくサンヒョンらの疑似家族的な関係の行きつく先は、決して温かいものでも優しいものでもない。しかし、人は人を救うことができるという確信が得られることは間違いない。『 ブリング・ミー・ホーム 尋ね人 』が強く示唆した子どもの行方不明事件とは別の角度から韓国社会の居間に迫った秀作。それでいて『 デイアンドナイト 』で描かれたような、人間の表の顔と裏の顔をシリアスかつコメディ色も交えて描いている。新しい家族観を呈示しているという意味で、『 万引き家族 』や『 朝が来る 』に並ぶ傑作である。

ネガティブ・サイド

序盤でヤクザ者が血まみれのシャツをクリーニングするように言ってくるシーンでは、もう少しサンヒョンに蘊蓄を語らせても良かったのではないかと思う。そうすることでサンヒョンは血抜きに通じている=流血沙汰に巻き込まれる顧客がいる=裏社会とつながりがある、ということを示唆できた。その方が終盤の展開に説得力を与えられたはず。また『 ただ悪より救いたまえ 』が真正面から描いた小児の人身売買の闇の部分を強調できただろうと思うのである。

 

総評

日韓の才能が見事に融合した作品。隣国は、社会のダークな面を描くのが本当にうまいと思う。そのことが、社会の理不尽に抗う個の強かさを描くことに定評のある是枝の強みと結びついたのだろう。最近、トランプ前アメリカ大統領の置き土産のせいで、アメリカでは人工妊娠中絶の実施が難しくなった。アメリカでも本作のような物語がこれから生み出されていくのだろうか。そのようなことを予感させてくれる、社会派映画の良作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

complainer

クレーマーの意。日本語で言うところのクレーマーをそのままアルファベットにすると claimer となるが、この表現はあまり使われることはない。complainer というのは実際によく使うので、こちらは脳にインプットしておきたい。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, イ・ジウン, イ・ジュヨン, カン・ドンウォン, ソン・ガンホ, ヒューマンドラマ, ペ・ドゥナ, 監督:是枝裕和, 配給会社:ギャガ, 韓国Leave a Comment on 『 ベイビー・ブローカー 』 -家族像を模索する-

『 ハッチング – 孵化 – 』 -子の内面に目を向けよ-

Posted on 2022年6月21日 by cool-jupiter

ハッチング – 孵化 - 55点
2022年6月18日 塚口サンサン劇場にて鑑賞
出演:シーリ・ソラリンナ ソフィア・ヘイッキラ
監督:ハンナ・ベルイホルム

北欧ホラーだが、特にフィンランドに限らず、日本でもアメリカでもブラジルでも中国でも成立するストーリーだろう。幸福かどうかの尺度を他人に委ねるべきではない・・・というのも Twitter 界隈にありがちな言説か。

 

あらすじ

ティンヤ(シーリ・ソラリンナ)は、幸福な家族像を世界へ発信する母親のために、体操を頑張っていた。ある時、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。誰にも秘密のまま部屋で温め続けた卵は遂に孵化して・・・

ポジティブ・サイド

一見幸せに見える家族だが、実は中身はドロドロであるというのは、洋の東西を問わずによくある設定である。それを今風にSNSを取り入れながら、なおかつ卵から孵る謎の怪物という対比で描くところがユニーク。その卵も不気味に成長するが、孵るまでもなかなかスピーディーで良い。

 

卵から孵化する怪物はCGではなく、アニマトロニクスなのだろうか。鳥の雛にネバネバの粘液がくっついたようなビジュアルで登場するが、刷り込みの本能を持っているところが鳥らしい。この怪物と主人公の少女ティンヤの知覚がシンクロして、怪物が見るものをティンヤも見えてしまうというアイデアも悪くない。『 キャリー 』が自分の中の衝動を押さえられなかったように、ティンヤも自らの隠されたストレスや不安、暗い願望を怪物を通して見てしまう。心理ホラーであると同時に、クリーチャー系のホラーでもあるわけだ。

 

この怪物をティンヤが育てる展開がグロい。内臓ビローンのようなシーンはないが、人間大の鳥の雛に忠実に給餌するシーンを再現すると、なかなかキツイ絵になる。こんな構図、誰が考え着いたのだろうか。凄い想像力である。この怪物がティンヤ自身でも気付かぬ願望を次々に叶えていく、つまり周囲の動物や人間を傷つけていく。その過程で怪物自身も思わぬ姿に変態していく。これは完全に予想外だった。

 

主人公のティンヤを演じたシーリ・ソラリンナの二面性のある演技、そして韓国女優に優るとも劣らない発狂シーンを見せつける母を演じたソフィア・ヘイッキラの絶叫など、フィンランド人に対する見方が変わりそうである。『 かもめ食堂 』(まあ、これは邦画だが)のイメージで臨むと、そのギャップに唖然とさせられるだろう。

 

いったいどこでどう決着させるのかと不安になってきたところで、思いがけぬ結末が用意されていた。映画で言うと『 光る眼 』や『 ビバリウム 』、小説なら今邑彩の『 繭の密室 』を彷彿とさせる。日本でも毒親なる言葉が人口に膾炙するようになって久しいが、これは一定以上の水準の家庭に必然的に生まれる鬼子(鬼親?)なのだろうか。

ネガティブ・サイド

冒頭でいきなり母がカラスを縊り殺すが、この演出は不要だろう。ティンヤが上手く捕まえたカラスを母親が裏庭に持っていく。ティンヤが後から「あの鳥はどうしたの?」と尋ねると、「自然に返した」との答え。しかし、隣に越してきたレータの飼い犬がティンヤの家の庭の一角を掘ると、そこにはカラスの死体が・・・といった展開の方が良かったように思う。

 

ティンヤの母の毒っぷりを描くのに、浮気相手の男は不要だろう。赤ん坊を重要な小道具として見せる意図があったのだろうが、それは蛇足。父親がティンヤのベッドの血を見て勘違いした時、観る側は「いや、これはそうではなくて・・・」と思うと同時に、「あれ、母ちゃんはまだ現役か?」と勝手に邪推する。ホラー映画においては、見せるよりも想像させる方が恐怖や不安を喚起するには有効で、本作は心理的なホラーの要素が少し弱かった。

 

弟がキービジュアルのお面を被っているシーンが一か所だけあるが、何だったのだろうか。SNS向けに外側に発信しているものは仮面であって、一皮はいでみればドロッドロですよ、という意味ではなかったのか。仮面についても劇中で見せる必要はなかったと思われる。この仮面はティンヤだけがかぶっておらず、彼女だけは裏表がない・・・のではなく、裏表に気づいておらず、したがって仮面で裏の顔を隠せないのだろう。そのティンヤ自身が気付かない、鳥=アッリの凶行の原理が、自分の中の秘められた願望であると知って愕然とするシーン、あるいは比ゆ的に仮面を身に着けようとするシーンが欲しかったと思う。

 

総評

怪物が出てくるものの、一番怖いのはやっぱり人間である。効果音とCG一辺倒のハリウッドのホラーよりも、人間心理の暗部を視覚化したホラーの方が観ていて心地よい。嫌ミスならぬ嫌ホラーとでも言おうか、後味の悪さも相当なものである。ホラー・ジャパネスクの夜明けは遠いが、北欧ホラーはまだまだ元気いっぱいのようである。

 

Jovian先生のワンポイントフィンランド語レッスン

Hei hei

英語で Bye bye の意。発音は「ヘイヘイ」である。劇中で2度ほど聞こえてきた。語学はやはり耳+状況設定で行うものだなと再確認。いつかフィンランド旅行をすることがあれば、使ってみたいと思う。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, シーリ・ソラリンナ, ソフィア・ヘイッキラ, フィンランド, ホラー, 監督:ハンナ・ベルイホルム, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 ハッチング – 孵化 – 』 -子の内面に目を向けよ-

『 流浪の月 』 -善悪の境目はどこにあるのか-

Posted on 2022年5月24日 by cool-jupiter

流浪の月 70点
2022年5月21日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:松坂桃李 広瀬すず
監督:李相日

『 悪人 』、『 怒り 』の李相日監督の作品。今回も人間社会の善悪や強弱について、非常に示唆に富む作品を送り出してきてくれた。

 

あらすじ

家に居場所のない10歳の少女・家内更紗は、ある夏、佐伯文(松坂桃李)の家で過ごすことになる。しかし、文は警察に逮捕され、更紗は元の家に帰ることに。15年後、恋人と同棲する更紗(広瀬すず)は、思わぬ場所で文と再会することになり・・・

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

まずは主演の松坂桃李と広瀬すずの脱皮に感銘を受けた。広瀬すずは冒頭からベッドシーンを披露。見せてはいないが、脱いではいるし、触らせてもいる横浜流星爆発しろ。『 ラストレター 』のような静かな役もあったが、基本的に天真爛漫な役ばかりを演じてきた広瀬すずが、初めて陰のあるキャラクターになりきったように思う。バイトに恋人との生活にと、充実した生活を送っているように見えるが、その目は常に空虚だった。文と再会してからの目とそれまでの目、あるいは文を見る目と恋人の亮君を見る時の目の違いに注目してほしい。この目の演技は素晴らしいの一語に尽きる。李相日監督の演技指導もあるだろうが、広瀬自身の演技力向上も大きいだろう。

 

松坂桃李も負けていない。『 空白 』では徐々に目から生気が抜けていく青年を演じたが、本作では最初から最後まで空っぽの目をしていた。その空っぽの目の奥には、しかし、ある光景が焼き付いていた。人生のある時点で目にしてしまったその光景によって、文の目には現実ではなく「自分」しか映らなくなってしまった。しかし、そこに更紗という存在が現れ、空っぽの目に徐々に力が戻っていく、という『 空白 』とは逆の演技を見せた。役者として着実にレベルアップしているという印象である。また、脱ぎっぷりという意味では『 娼年 』に次ぐ、ショッキングなシーンがある(『 いのちの停車場 』でも脱いでいたが、あれはノーカウント)。Jovianは看護学校で習った内容をうっすら覚えていたが、文はかなりの確率で先天的な染色体異常だろう。まあまあの確率で男は美形になるが不能になるという疾患があったと記憶している。その意味では松坂桃李のキャスティングは正解である。

 

かつての二人の幸せだった時間を回想しつつ、物語は現在を冷静に追っていく。誘拐の被害者として憐憫の情を集める更紗と、前科者としての烙印を押されっぱなしの文が、それゆえに互いを求め合うという展開には胸を打たれる。弱者とは誰なのか?善とは、そして悪とは何であるのか?当人ではどうにもならない属性をもって人を判断する、あるいは当人のものではない属性をその人に押し付ける行為を差別と定義づけるならば、更紗と文は紛れもなく被差別者であり、二人の周囲の人間の多くは差別者である。

 

「死んでもバレてほしくないことがバラされてしまう」という序盤の文の言葉、さらに「人は見たいように人を見る」という更紗の言葉から、文は真性のロリコンではなく、ロリコンを隠れ蓑に自分の性的不能を誰からも隠し通したかった、というのが真相か。だからこそ、過去のトラウマからセックスに嫌悪感を抱く更紗との奇妙な連帯関係が成立したのだろう。

 

様々に歪な親子の関係をまざまざと見せつけ、家族というものに対する希望を消していく。『 真っ赤な星 』同様に寄る辺ない二人の逃避行を予感させて物語は静かに閉じていく。この何とも言えない苦味の余韻こそ、本作が観る側に与えたかったものなのだろう。現代社会における人間関係、就中、家族に代わる新しい関係性の模索こそが、一種のタブーでありながらも今まさに求められていることであると思う。

ネガティブ・サイド

松坂桃李も子役をもっと使えなかったのだろうか。少年院に入ったということは犯行当時は未成年。『 娼年 』の時点で大学生役はギリギリセーフだが、今作での大学生役は相当無理があった。

 

広瀬すずの子役は顔の造形がそっくりでびっくりしたが、少女時代の方が声が低いとはこれいかに。まあ、似た顔と似た声なら、似た顔の方が探しやすいか。

 

ファミレスでのバイトで本名を名乗るのは現代ではほとんどないと思われる。冒頭、スマホを観ていたガキンチョどもが2007年のニュースを指して「15年前か」のように言っていたが、2022年ならファミレスでもコンビニでもコールセンターでも、労働者はほぼ全員が源氏名を名乗っている。特に更紗のようなバックグラウンドの持ち主が馬鹿正直に本名を名乗るのは非現実的に過ぎる。

 

児童相談所に通報があったわけでもないのに、いきなりリカを保護する道理はいくら警察でもないだろう。また逮捕状がない=任意同行を求めているはずなのに、実力行使に出る警察を見て、頭がクラクラした。元警官のJovian義父なら憤慨したことだろう。

 

総評

邦画特有の弱点も抱えているが、完成度の高い非常にシリアスな物語である。現代社会への鋭い問題提起も行うという、李相日監督らしい作品である。松坂桃李、広瀬すず共に表現者としての階段を確実に一歩昇ったという印象を受ける。高校生、大学生の子どもがいる親御さんは、家族で鑑賞してみてはどうか。親子関係、友人関係などについて考察を深める良いきっかけとなることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

drift away

徐々に消えていく、の意。劇中で更紗が文に語る「二人で流れていこう」の私訳。ネタバレ回避のためにそのやりとりを英語にすると

文: People might take notice of us.
更紗:Then, we can drift away.

のような感じになるだろうか。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 広瀬すず, 日本, 松坂桃李, 監督:李相日, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 流浪の月 』 -善悪の境目はどこにあるのか-

『 ミスターGO! 』 -頭を空っぽにしたい時に-

Posted on 2022年1月8日 by cool-jupiter

ミスターGO! 60点
2022年1月5日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:シュー・チャオ ソン・ドンイル オダギリジョー
監督:キム・ヨンファ

f:id:Jovian-Cinephile1002:20220108142841j:plain

観終わって身も心も消耗するタイプの映画ばかりを立て続けに観たので、a change of pace が必要だと思い、近所のTSUTAYAで本作をピックアウト。リフレッシュするにはちょうど良い作品だった。

 

あらすじ

四川省の大地震で祖父を亡くしたウェイウェイ(シュー・チャオ)は、雑技団メンバーと野球の打撃を特技とするゴリラのリンリン、そして支払いきれない借金を託されてしまった。途方に暮れるウェイウェイだったが、韓国の万年再建中のプロ野球団ベアーズがリンリンと契約したいと言い・・・

 

ポジティブ・サイド

よくまあ、こんな奇想天外な設定を思いついたものだと感心するやら呆れるやら。日本でも『 ミスター・ルーキー 』という珍作があり、確かに「覆面をしてプレーをしてはならない」とは野球協約には書いていないらしい。同じく、性別を理由にプロへの門戸が閉ざされることがないのはどこの国でも同じなようで、『 野球少女 』ではプロ野球選手を目指す女子の姿を描いた。しかし、ゴリラをプロでプレーさせようとは・・・ ところがこのCGゴリラ、相当な凝りようだ。中国の『 空海−KU-KAI− 美しき王妃の謎 』のCG猫はひどい有様だったが、このゴリラは『 ライオンキング 』とは言わないまでも、かなり真に迫っている。

 

無垢な中国の少女をなかば騙すかのような形で強引に契約を結んでしまうベアーズのエージェント・ソンが韓国映画お得意の悪徳商売人・・・と見せかけて終盤に思わぬ感動を呼んでくれる。

 

ゴリラ使いのウェイウェイの操るウッホウッホなゴリラ語(?)も、照れなどは全くなく、むしろ外連味たっぷりで笑わせてくれる。指令を受けるゴリラのリンリンも規格外のホームランを連発し、それに対抗する他チームの投手陣は、あの手この手で打たせまいとしてくるが、それらを全て弾き飛ばすリンリンの打撃がとにかく痛快だ。

 

途中で読売と中日のオーナーがやって来るが、韓国球界が日本をどう見ているのかが垣間見えて、なかなかに興味深い。2020年5月に以下のようなツイートがなされて、野球ファンの間で結構話題になったのを覚えている人もいることだろう。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20220108143527j:plain

極めて妥当な評価だと思う。韓国球界からすれば、スターを日本に高く売りつけるのは、NPBがスターをメジャーにポスティングするようなものだろう。韓国や台湾で活躍した選手が日本で苦労するのは李承燁や王柏融など、打者では枚挙にいとまがない。投手は結構成功している印象で、日本の打者もメジャーではさっぱりだが、投手はなぜか成功することが多いのとよく似ている。

 

閑話休題。リンリン以外の野球シーンも結構本格的で、ダブルプレーを独特なカメラアングルで捉えたりするなど、工夫のほどがうかがえる。終盤にはリンリンの対とも言うべき、ゴリラの投手レイティが現われ、200km/hの剛速球を投げる。当然、人間に打てるはずもなく、畢竟、物語はリンリンとレイティのゴリラ対決につながっていく。その結末は見届けてもらうほかないが、よくこんなことを考えたなと感心させられた。序盤に野球協約がゴリラのプレーを禁じていないことに言及したことで、野球のルールのちょっとした盲点になっているところを上手く突きつつ、そこに説得力を与えている。

 

韓国の俳優たちが結構な量の日本語を割と流ちょうに操っているので、そうしたシーンを楽しむのもいいだろう。頭を空っぽにして楽しめるし、あるいは日韓比較スポーツ文化論の材料にもなりうるだろう。

 

ネガティブ・サイド

ウェイウェイとエージェント・ソンのヒューマンドラマは不要だったかな。もっと「ゴリラが野球をする」という部分にフォーカスをしていれば、コメディとしてもっと突き抜けることができただろう。また、ウェイウェイの演技が going overboard =大げさだったと感じる。感情を爆発させるお国柄ではあるが、その部分にもう少しメリハリが必要だった。

 

リンリンが打撃専門となるまでの描写も必要だったように思う。CG製作に時間も金もかかるというのなら、ベアーズの首脳陣がミーティングをする場面でもよい。リンリンが一塁手だったら、または捕手だったら・・・と誰でも想像するだろう。打撃でWARを積み上げるが守備でそれを帳消し、あるいはチーム構成上守備は困難という、野球にもっとフォーカスした場面が欲しかった。

 

最終盤のチェイスとアクションは完全に蛇足。乱闘が野球の華だったのは平成の中頃まで。それは韓国でもアメリカでも同じだろう。

 

総評

スポーツコメディとしてまずまずの出来。ソンが日本語で罵詈雑言をがなり立てるシーンはかなり笑える。野球はしばしば人間ドラマや人生の縮図に還元されるが、それをゴリラを使って実行してしまえという構想力には感心すると同時に呆れてもしまう。重苦しい映画を立て続けに観たことによる心身の重さはこれにて回復。天候やコロナのせいで出歩けないという終末に、頭をリセットするにはちょうど良い作品ではないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

The Doosan Bears

斗山ベアーズの英語名である。スポーツチーム名は、それが複数形である場合、まず間違いなく頭に定冠詞 the がつく。

僕はニューヨークメッツの一員になりたい。
I want to be a New York Met.

彼はかつてシカゴブルズの一員だった。
He used to be a Chicago Bull.

のように言えるが、a Bull や a Met の集団が、The Bulls や The Metsになる。ここでザ・シンプソンズを思い浮かべた人は good である。これは、「シンプソンという人の集団」=「シンプソン一家」ということである。ここまでくれば、The United States や The Philipines、The Bahamas、The Maldivesといった国の名前に the がつく理由も見えてくるだろう。州や島の連合体が一つにまとまっているということである。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, オダギリジョー, コメディ, シュー・チャオ, スポーツ, ソン・ドンイル, 中国, 監督:キム・ヨンファ, 配給会社:ギャガ, 韓国Leave a Comment on 『 ミスターGO! 』 -頭を空っぽにしたい時に-

『 目撃者 』 -韓流サスペンスの常道-

Posted on 2021年11月1日 by cool-jupiter

目撃者 65点
2021年10月29日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:イ・ソンミン キム・サンホ クァク・シヤン
監督:チョ・ギュジャン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211101010128j:plain

『 ビースト 』のイ・ソンミンの迫力に気圧されてしまい、もう一度彼を見てみたいと思い、近所のTSUTAYAでレンタル。終盤のプロットに納得がいかないものの、韓国人俳優たちの演技力の高さ、映画人の問題意識の高さが垣間見える一本であった。

 

あらすじ

妻と娘と共に新居のマンションへと移り住んだサラリーマンのサンフン(イ・ソンミン)は、ある夜泥酔した帰宅した。深夜2時、女性の助けを求める声を聴いたサンフンはベランダから殺人現場を目撃してしまう。そして殺人鬼は上を見上げ、サンフンの部屋に明かりがついていることを確認して・・・

 

ポジティブ・サイド

まず大前提として、日本の警察と韓国の警察は違うのだ、ということを認識しておく必要がある。いや、市民の警察に対する信頼度の違いと言うべきか。普通の感覚なら「さっさと110番通報しろ」ということになるが、韓国映画における警察とは無能の象徴である。まったく頼りにならない。そのことが分かっているかどうかで、本作の感想は大きく異なる。本項は、韓国警察=無能という前提に立てる人向けのレビューとなる。

 

まず冒頭のサンフンの仕事っぷりからして小市民である。保険会社の調査員であるが、すべてが事なかれ主義である。こうした姿に「何だこいつは!」と義憤を募らせるか、「ああ、俺も実はこんな風に仕事してるわ」と思えるかで、またもや本作のイメージはがらりと変わる。もちろん、本項は後者向けのレビューである。

 

殺人の現場を目撃してしまう。そして、自分がそれを目撃したということを相手にも知られてしまう。それによって次なるターゲットが自分になってしまう。それは恐怖である。しかし、もっと恐ろしいのは、殺人鬼のターゲットが自分の家族にまで及ぶことだ。本当ならサンフンは妻に告げるべきなのだが、そのこと自体が妻に恐怖を与えるし、また妻がそれによって用心した行動を取っていることが殺人鬼にばれてしまえば、妻や娘に対する危険度が逆に上がってしまう。ここまでのサンフンの苦悩が言葉ではなく、表情と動き、ちょっとした仕草で伝えられる。素晴らしい演技力であり、演出である。そそっかしい人なら、「なにやってんだ、このオッサン」と感じるかもしれないが、本項は visual storytelling を解する人向けである。

 

殺人鬼が神出鬼没で、犯行の動機も何もかもが不明。サンフン以外の目撃者を始末していく。またサンフンとその家族に対してもその毒牙を向けようと動いていく。そこで『 焼肉ドラゴン 』のキム・サンホが人情味あふれる刑事として事件を捜査していく。警察=無能という図式は維持しつつ、そうした組織で奮闘する個人は別。こうしたキャラに感情移入できる中年男性は多いのではないか。この刑事の機転の利いた捜査方法から事態が思わぬ方向へ発展し、無理なくアクションシーンを挿入することにも成功している。この脚本家はなかなかの手練れである。

 

『 殺人鬼から逃げる夜 』ほどではないが、本作も走る走る。また、『 ほえる犬は噛まない 』や『 はちどり 』と同じく、巨大集合住宅における人間関係の希薄化を浮き彫りにした作品である。本作と相性が良いと感じた人はぜひ鑑賞されたし。

 

ネガティブ・サイド

 

以下、ネタバレあり

 

やはり最後の最後に、サンフンが直接殺人鬼と「ケリをつける」という展開は無理がある。殺人鬼を追撃するというのは『 チェイサー 』的だが、あちらは元刑事、こちらは保険会社員。バックグラウンドが違いすぎる。散々追いかけてきた相手を積極的に追うのではなく、もっと不自然さを感じさせない方法でサンフンと殺人鬼を対峙させるプロットはなかったか。

 

マンションの自治会会長的な女性の最後の言葉もおかしい。サンフン一家が売り払って引っ越ししていくマンションを「4億ウォン以下で売らないで」と言ってくる。マンション相場の維持に躍起なのだろうが、目と鼻の先で大規模土砂災害が起きてしまうマンションが、価格を維持できるわけがない。長期的には分からないが、少なくとも短期的な値崩れはどうしようもないし、それをサンフンに転嫁しようとするこのオバちゃんの言動は不可解の一語に尽きる。

 

総評

実に韓国らしい映画。謎の殺人鬼。小市民の主人公。役立たずの警察。それでいてサスペンスは抜群で、社会的なメッセージもズバリと発してくる。Jovianもマンション住まいだが、本作の最後のシーンにはゾクリとさせられた。韓国のみならず、世界の多くの都市部に共通する人間関係の希薄化の怖さの一面を感じさせられた。イ・ソンミンのカメレオン俳優っぷりを堪能されたい向きはぜひ鑑賞を。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

witness

「目撃者」という名詞、「目撃する」という動詞、どちらにも使える。英検1級を目指す人なら、bear withness to ~ という成句を覚えておきたい。「~を証言する」「~証明する」という意味である。Many trophies bear witness to his achievements. = 多くのトロフィーが彼の実績を証明している、のように使う。 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, イ・ソンミン, キム・サンホ, クァク・シヤン, サスペンス, 監督:チョ・ギュジャン, 配給会社:ギャガ, 韓国Leave a Comment on 『 目撃者 』 -韓流サスペンスの常道-

『 殺人鬼から逃げる夜 』 -韓流スリラーの秀作-

Posted on 2021年10月16日 by cool-jupiter

殺人鬼から逃げる夜 75点
2021年10月14日 TOHOシネマズなんばにて鑑賞
出演:チン・ギジュ ウィ・ハジュン パク・フン キル・ヘヨン
監督:クォン・オスン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211016093435j:plain

TOHOシネマズ梅田では都合がつかないので、難波まで足を伸ばす。その甲斐があった。これまた韓流スリラーの秀作である。

 

あらすじ

聴覚障がい者のギョンミ(チン・ギジュ)は、ある夜、路地裏からハイヒールを投げて、か細い声で助けを求める女性に遭遇する。その女性を助けようとしたギョンミは殺人鬼(ウィ・ハジュン)に追われることになる。果たしてギョンミは逃げ切ることができるのか・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211016093450j:plain

ポジティブ・サイド

冒頭からただならぬ雰囲気が漂っている。暗い路地。一人で歩く女性。親切そうに声をかけてくる男。テンプレ通りであるが、男がサイコな殺人鬼に変貌する様がとにかく恐ろしい。まるで『 羊たちの沈黙 』と『 悪魔を見た 』のオープニング・シークエンスを足したかのうようである。そして実際そうなのだろう。全編にわたって「面白い」という評価が定まった映画のパッチワークであるように見える。見えるのだが、それがパクリではなくオマージュでもなく、一つの様式美にまで高まっている感すらある。

 

殺人鬼役のウィ・ハジュンはJovian嫁をして「こらイケメンやわ」と言わしめる handsome guy だが、普通に頭のおかしいサイコパス殺人狂。表情の変わりっぷりが常人のそれではない。チェ・ミンシクの弟子だとしか思えない。単なるイケメンで役を得ているのではない。確かな演技力があってこその配役だと実感できる。私見では『 孤狼の血 LEVEL2 』の鈴木亮平の恐ろしさの方が上であるが、ウィ・ハジュンは役者としてのキャリアはまだまだ短いし浅い。それでこれだけのパフォーマンスを見せるのだから、よほど監督の演出が凄かったのか、あるいは鈴木のように役に向き合う時間があったのだろう。

 

ただし主役はギョンミ。こちらも凄い。聴覚障がい者という点で『 ただ君だけ 』のジョンファと重なるが、障がい者=清く正しく弱く、だからこそ美しいなどという描き方は真っ向から拒否している。悪態をつきまくる手話の顧客相手に折れることなく、勤め先の会社の大口取引先の接待で、ギョンミの耳が聞こえないのをいいことに好き勝手言いまくる野郎ども相手にも次々に手話でののしり言葉を浴びせていく。簡単に諦めたり、屈服したりするキャラではないことを、言葉を使わずして雄弁に語っている。ところどころで無音となるシーンを挿入するのは『 クワイエット・プレイス 破られた沈黙 』でもあった演出だが、これによりすぐそこにいるはずの殺人鬼に観る側は気付いているのに、ギョンミが気付いてくれないというもどかしさが、最高級のサスペンスを生み出している。特にギョンミの家に侵入するシーンの恐怖とサスペンスよ。ここでは『 シャイニング 』の有名なシーンへのオマージュが観られるので期待されたし。

 

頭のおかしさは折り紙付きのこの殺人鬼、なんと善良な一般人のふりをして警察署にまでついてきて、ギョンミとその母を執拗に付け回す。そこにギョンミが目撃した怪我をした女性の兄にして元海兵隊員のジョンタクもやってきて役者がそろう。ここからギョンミが、同じく聴覚障がい者である母と共に恐怖の殺人鬼から逃げまくるのだが、これがまた緊迫感満点。『 チェイサー 』のハ・ジョンウとキム・ユンソク並みに走って走って走りまくる。入り組んだ路地。人気の少ない街はずれ。そこを三者が縦横無尽に走りまくるのだが、冒頭のシーンと同じく、クォン・オスン監督はアクションだけではなく、街のそこかしこに存在する漆黒の闇をねっとりと画面に映し出していく。ポン・ジュノ監督の『 母なる証明 』の事件現場を彷彿させてくれる。この街の闇=人間の心の闇で、これが殺人鬼のものだけではなく、広く現代人が持ってしまっているものだということを終盤の展開で見せつけてくる。人気のない街区でも、光と人にあふれる繁華街でも、ギョンミは社会的には徹底的に弱者であるということを見せつけられてしまう。ここでチン・ギジュが見せる演技は圧倒的である。必死の訴えをワンカットで演じ切るという渾身の演技。テレビドラマ畑出身のようだが、もっと映画にも出てほしいもの。

 

殺人鬼の名前だとか動機だとか、そんなものはどうでもいい。逃げる女性。追う殺人鬼。それを追う被害者の兄。こんな単純なプロットで2時間弱の間、緊張感をまったく途切れさせることなく、それでいて社会的なメッセージまで盛り込んだ作品である。観ない手はない。空いている劇場の空いている時間帯を見計らってチケットを購入されたし。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20211016093512j:plain

ネガティブ・サイド

韓国映画における警察の無能さは全世界の知るところであるが、さすがに事件の目撃者かつ被害者と思しき女性の兄を名乗る者がいれば身分証やら何やら身元確認をするだろう。また別の男と乱闘になって流血沙汰になっているのだから、調書は取るだろう。さすがに現実の韓国警察もそこまで無能ではないはずだ。

 

終盤近くにジョンタクが取る行動もおかしい。いや、取る行動というか、取らなかった行動と言うべきか。携帯を持っているなら、それでしかるべきところに通報せよ。その上で走れ。警察につながって信じてもらえなくても、それはそれで韓国警察の無能さがまた一つ浮き彫りになるだけ。ここだけはもっと常識的な行動をしてほしかった。

 

総評

これが長編デビュー作とは信じられない。が、韓国では『 国家が破産する日 』や『 藁にもすがる獣たち 』のような逸品を長編や商業作品を手がけるのは初めてという監督が作ってしまうので、本作のクオリティにも驚いてはいけないのかもしれない。『 ブラインド 』が『 見えない目撃者 』としてリメイクされたように、本作も日本でリメイクしてほしい。監督は森淳一、脚本は藤井清美で。そう感じさせてくれる、圧巻の出来栄えである。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

シバラマ

『 哭声 コクソン 』でも紹介した表現。韓国語で言うところの”F*** you”である。使ってはいけない韓国語であるが、どういうわけか韓国映画では頻繁に使われている。邦画界も上品な言葉遣いだけではなく、卑罵語をバンバン使った映画を作ってほしい。だからといって、北野武映画のような「てめえ、この野郎、バカヤロー」連発も困りものだが。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, ウィ・ハジュン, キル・ヘヨン, サスペンス, スリラー, チン・ギジュ, パク・フン, 監督:クォン・オスン, 配給会社:ギャガ, 韓国Leave a Comment on 『 殺人鬼から逃げる夜 』 -韓流スリラーの秀作-

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