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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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カテゴリー: 海外

『 ザ・ホエール 』 -珠玉の人間ドラマ-

Posted on 2023年5月1日 by cool-jupiter

ザ・ホエール 80点
2023年4月29日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞

出演:ブレンダン・フレイザー セイディー・シンク ホン・チャウ
監督:ダーレン・アロノフスキー

 

元同僚のカナダ人友人の強い勧めで鑑賞。今年の海外映画のベストの一作であることは間違いない。

あらすじ

チャーリー(ブレンダン・フレイザー)は過去のある出来事から、過食に走ってしまい、歩行器なしでは歩けないほどの肥満になってしまった。友人であり看護師のリズ(ホン・チャウ)に支えられながら生活していたが、うっ血性心不全の発作から自らの死期が近いことを悟る。チャーリーは、かつて自らが捨ててしまった娘のエリー(セイディー・シンク)と再会するが・・・

 

ポジティブ・サイド

クジラ=巨体、クジラ=脚がない、クジラ=鯨飲馬食(馬は違うか・・・)のようなイメージをそのまま演じきったブレンダン・フレイザーに拍手。男同士のまぐわうポルノ動画を観ながら、突如心臓発作を起こし、偶然に尋ねてきた宗教勧誘員にエッセイを音読してくれと頼む姿に、一気に物語世界に引き込まれてしまった。

 

チャーリーと親友リズの心地よい関係とその関係の反転、娘エリーとの縮まらない距離感、執拗に宗教に勧誘してくるトーマスとの距離感、そして元妻との間にある断絶と、しかしエリーという娘の存在によってつなぎとめられる絆。2時間の中でチャーリーと彼を取り巻く人間たちのドラマが大きなうねりとなって観る側を飲み込んでいく。

 

娘エリーがとんでもないクソガキなのだが、彼女の取る行動の一つが思いもかけない福音となる。人間、何が救いになるのか分からない。同時に、とあるキャラクターのとある行動がチャーリーを大いに苦しめる。まあ、そらそうなるわな。人間、何が攻撃になるかなんて分からない。

 

虎は死んで皮を残すと言われるように、クジラの死骸は海底で独自の生態系を形成する媒体となる。チャーリーの職業は大学の講師で、時々大学の正課・課外授業を担当するJovianとそっくり。人間が死後に残せるのは言葉。そしてその言葉の力は時に奇跡を起こす。リズの言う “I’ll wait downstairs.” という台詞が非常に寓意的だ。死を迎えんとするチャーリーが起こす奇跡に我あらず涙してしまった。

 

ネガティブ・サイド

宗教批判をするなら、ニューライフではなく、普通のキリスト教のセクトか、あるいはモルモン教(これは一瞬だけ言及されていたか)やエホバの証人の名前を使えばよかったのに。なにか不都合があったのだろうか。

 

総評

主な登場人物は5人。舞台はほとんどすべてチャーリーのアパート内。時間にしてわずか1週間足らず。それでこれだけ濃密な人間ドラマが描けるのだから、やっぱり脚本というのは大事だなと実感。同時にその脚本の文字を映像に昇華させる監督の演出力。そして監督のビジョンを体現する役者と裏方スタッフの努力。『 ザ・メニュー 』で強烈な印象を残したホン・チャウは本作でも素晴らしかった。間違いなく今年のベストの一作。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

debt

借金の意。デットと発音する。序盤でリズがチャーリーに Being in debt is better than being dead. =死ぬより借金の方がましよ、と告げるシーンが印象的だった。debt と dead が韻を踏んでいることにも注目したい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 』
『 放課後アングラーライフ 』
『 不思議の国の数学者 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, アメリカ, セイディー・シンク, ヒューマンドラマ, ブレンダン・フレイザー, ホン・チャウ, 監督:ダーレン・アロノフスキー, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 ザ・ホエール 』 -珠玉の人間ドラマ-

『 聖地には蜘蛛が巣を張る 』 -イラン社会特有の病理と思うなかれ-

Posted on 2023年4月30日 by cool-jupiter

聖地には蜘蛛が巣を張る 70点
2023年4月26日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:メフディ・バジェスタニ ザーラ・アミール・エブラヒミ
監督:アリ・アッバシ

 

監督の名前だけでチケット購入。

あらすじ

イランの聖地マシュハドで、娼婦だけを狙うスパイダー・キラーという連続殺人鬼が出現。住民は不安に慄くが、犯行を支持する者もいた。女性ジャーナリストのラヒミ(ザーラ・アミール・エブラヒミ)は独自に事件を追っていくが・・・

ポジティブ・サイド

娼婦ばかりを狙う殺人鬼では『 チェイサー 』が思い出されるが、本作は社会の底辺で繰り広げられる追跡劇ではなく、広く社会全般に蔓延する空気の淀みに息が詰まる。そしてその空気とは女性蔑視。

 

ただのオッサンが淡々と娼婦を買い、淡々と殺しては淡々と捨てていく。それを追うジャーナリストの女性が周囲から受ける奇異の眼差しが突き刺さる。

 

一見して普通の人が大量殺人犯だったという真相の裏に、戦争で死ねなかった、あるいは戦争がもっと続けば功成り名遂げるチャンスもあったという想いがあったのではないか、という仮説を提示しているところが、なんとなく『 殺人の追憶 』を彷彿させる。

 

サイードの宗教観と、彼の家族の事件の受け止め方に戦慄させられる。これをイスラム社会およびムスリムの特異性と受け取るか、それともあらゆる文化は相対的に特異であると受け取るかで、本作の評価はガラリと変わるはずだ。

 

ネガティブ・サイド

サイードの家族だけが異様に映ってしまうが、サイードのかつての軍隊仲間の家族たちの様子や、治安の悪化を不安がっていた近所の人々のサイード逮捕後の反応なども描いていれば、イラン社会の不安定さと、それゆえの変化への希望と絶望の両方が表せたのではないだろうか。

 

裁判シーンか、それに関連するシーンをもう少し増やして、イスラム法がどのようなものなのかを観る側に知らせてくれても良かったと思う。あるいは傍聴人同士の会話や新聞、ニュース番組、SNSのやりとりなど、何故かくもサイードが支持されるのか非イスラム圏にも、もう少し伝わりやすくしてほしかった。

 

総評

『 ボーダー 二つの世界 』で描かれた、人間と人間とは異なる存在が交わることなく存在する世界同様に、本作では男と女という交わるのだが交わらない存在、その位相の非対称性が強く打ち出されている。殺害シーンはかなりショッキングなので注意のこと。本作を他山の石にできるかどうかが、その文化圏あるいは視聴する個人の一種のテストであるかのように感じられる。

 

Jovian先生のワンポイントペルシャ語レッスン

キー

誰、の意味。劇中に何度も何度も聞こえてくるので、さすがに分かる。ラテン語の qui が元になっているのかな、などとあらぬことを一瞬考えた。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・ホエール 』
『 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 』
『 放課後アングラーライフ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, ザーラ・アミール・エブラヒミ, サスペンス, スウェーデン, デンマーク, ドイツ, フランス, メフディ・バジェスタニ, 監督:アリ・アッバシ, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 聖地には蜘蛛が巣を張る 』 -イラン社会特有の病理と思うなかれ-

『 search #サーチ2 』 -珠玉のスリラー-

Posted on 2023年4月21日 by cool-jupiter

search #サーチ2 75点
2023年4月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ストーム・リード
監督:ウィル・メリック ニック・ジョンソン

簡易レビュー。

 

あらすじ

ジューン(ストーム・リード)は、恋人とコロンビア旅行に出かけた母が予定日に帰国しないことから、犯罪に巻き込まれたことを危惧し、連邦警察に連絡する。一方でジューンはSNSや各種ネットの情報を使い独自に母を探そうとするが・・・

ポジティブ・サイド

『 search サーチ 』の続編的な作品。正直なところ、同じ手法でもう一度びっくりさせるのは無理だろうと思っていたが、こちら側のそうした予想を軽く超えてきた。

 

コロナ禍で一気に浸透したZoomやGoogle Meetのおかげで、PC画面上で様々な事象が展開されることに全く違和感を覚えなくなった。前作は今思えば、少々強引な自宅内のショットや音声もあったが、今作のPCカメラ映像や音声には不自然なところは一切ない。

 

人間、誰でも秘密を抱えているもの。本作はPCからあらゆるサービスやサイトに侵入していき、様々なキャラの秘密が次々に明かされていく。『 スマホを落としただけなのに 』とは比較にならないサスペンスだ。

 

そんな中でも現地コロンビアの協力者ハビエルがすごく良い人。ネットの先にこそリアルな人間関係がある。

 

ネガティブ・サイド

大活躍のGoogle様だが、普段使っていないデバイスからアクセスされると本人に通知が行くはずだが。ジューンがあそこまで好き勝手できたことに「Google、仕事しろ」と思ってしまった。

 

いくらコロンビアでも、あそこで発砲するか?ここも納得いかなかった。

 

総評

『 search サーチ 』に負けず劣らずの秀作。form は同じながら、content をガラリと変えてきた。あまり書くとネタバレになってしまうが、前作を見た人ほど製作者側の思惑に引っかかってしまうのではないだろうか。Jovianはかなり早い段階で「ああ、黒幕はこいつだろうな」と目星をつけて大失敗。いやはや、こういう感覚は何度味わっても楽しい。本作から鑑賞して、前作に行くのも可能。今春の見逃すべからざる逸品だ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

itinerary

アイティネラリィと発音する。TOEICに頻出する語で、意味は「旅程表」や「旅行の行き先」のこと。普通に実生活でも使うので、ビジネスパーソンならずとも知っておきたい語彙である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ヴィレッジ 』
『 ザ・ホエール 』
『 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, サスペンス, ストーム・リード, スリラー, ミステリ, 監督:ウィル・メリック, 監督:ニック・ジョンソン, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 search #サーチ2 』 -珠玉のスリラー-

『 ノック 終末の訪問者 』 -コロナ禍を下敷きに鑑賞のこと-

Posted on 2023年4月10日 by cool-jupiter

ノック 終末の訪問者 60点
2023年4月9日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:クリステン・ツイ デイブ・バウティスタ
監督:M・ナイト・シャマラン

 

簡易レビュー。

あらすじ

ゲイのカップルに育てられるウェン(クリステン・ツイ)の元に、謎の男レナード(デイブ・バウティスタ)が現れる。彼は仲間たちと共に、ウェンたち家族に世界を終末から救うために、一人を犠牲に差し出すように迫り・・・

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

個人的に非常に楽しめた。その代わりJovian妻の鑑賞後の第一声は「訳わからんねんけど・・・」だった。こういう映画は素直に鑑賞してはいけない。Jovianは看護学校中退の語学教育勤務、Jovian母は現役看護師、Jovian父は元ヒューム管運送トラックドライバーと焼肉屋。なのでJovianは終始、ウェンたち家族ではなく、レナードの側にどんどん共感していってしまった。

 

レナードは教師、その他の仲間もガス会社勤務=インフラ系、看護師=医療従事者、コック=外食産業と、ここまで言えばシャマランの言いたいことはJovian妻にも伝わった。海外諸国の事情は詳しくは分からないが、いわゆるエッセンシャル・ワーカーを冷遇してきた日本人は、A part of humanity has been judged. という台詞と共に死んでいく訪問者、およびそれと同時発生する災害と人死にを見て何を感じるのか、それとも何も感じないのか。Jovian妻は後者だった。ということは多くの日本人も・・・?

 

ウェンを演じたクリステン・ツイをはじめ、役者は皆、迫真のパフォーマンス。ほぼ善隆ペンがキャビンという限られた空間=低予算ながら、荒唐無稽な物語にそれなりの説得力を与えていたのは、役者たちの演技力(+コロナ禍)のおかげ。

ネガティブ・サイド

 

やたらとポリコレに配慮した映画に見えた。女の子がアジア系で、その父親二人はゲイ、訪問者も黒人女性とホワイト・トラッシュが混じっていて、いくらアメリカが人種のるつぼとはいえ、ここまで来ると不自然に映った。

 

レッドモンドなのかオバノンなのかもカットしてよかった。

 

世界滅亡のプロセスがよく分からない。『 アビス 』ほどではないが、6mの巨大津波が押し寄せたかと思えば、飛行機が次々に落ちていくというのは、ダイブスケールダウンしたように感じた。それこそありえないほどの落雷や乱気流が発生して、民間だろうと軍用だろうと空を飛ぶものはすべて落ちた、ぐらいの方がよかった。

 

総評

シャマランらしい外連味のある作品。『 シックス・センス 』や『 スプリット 』のようなドンデン返しを期待してはいけないが、『 オールド 』よりは面白い。チケット購入に際しては Don’t get your hopes up. 

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

be pressed for time

時間がない、の意。『 アビス 』でも紹介した表現。どちらの作品でも We’re a little pressed for time. という具合に使われていた。Jovianは務めている部署の関係でこの時期は be extremely pressed for time である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 search #サーチ2 』
『 ヴィレッジ 』
『 ザ・ホエール 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, クリステン・ツイ, スリラー, デイブ・バウティスタ, 監督:M・ナイト・シャマラン, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 ノック 終末の訪問者 』 -コロナ禍を下敷きに鑑賞のこと-

『 シャザム! 神々の怒り 』 -少年から大人へ-

Posted on 2023年3月28日 by cool-jupiter

シャザム! 神々の怒り 70点
2023年3月25日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ザカリー・リーバイ アッシャー・エンジェル
監督:デビッド・F・サンドバーグ

簡易レビュー。

 

あらすじ

普通の少年ビリー・バットソン(アッシャー・エンジェル)古代の神々の力を持つヒーロー・シャザム(ザカリー・リーバイ)に変身する力を使って、兄弟たちと街のピンチを救っていた。そんな中、アトラスの娘たちが、かつて父が奪われた力を奪還するために迫ってきて・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭のカリプソとヘスペラの襲来シーンのシリアスさと、その後のシャザムの面々が崩落していく橋から人々を救出していくシーンのコミカルさのコントラストが素晴らしい。ヒーローたちが力を合わせるのではなく、力を合わせないとヒーローになれないというのがシャザムの親しみやすさ。スパイダーマンと言いながら、中身がボーイであるピーター・パーカーに通じるところがある。

 

ハリポタから『 アナイアレイション 全滅領域 』まで、これでもかと色んな作品のパクリオマージュを取り入れている。これぐらい開き直ったほうが清々しい。特にスティーブは、昨今急激に注目を集めているChatGPTを彷彿とさせる。次作にも出番はあるはず。

 

少年から大人へ、居心地の良い家から外の世界へという、ビリーの人生の過渡期と、スーパーヒーローとしてのシャザムの活躍と葛藤が良いバランスで描かれている。最終盤に出てくるゲストは、そのBGMを聞いた瞬間に鳥肌が立った。次作も楽しみだ。

 

ネガティブ・サイド

ユニコーンの活躍がもう少し長く見たかった。

 

ラドンの名前を冠するからには、ラドンらしく超音速飛行ぐらいしてくれないと。もっさりとした飛行はいただけない。

 

DCEUへの本格参戦が決まったようだが、最後の最後がインフォマーシャルにしか見えなかった。シリーズがMCU的にならないことを切に祈る。

 

総評

おバカ映画とシリアス映画のバランスが良い塩梅。『 アクアマン 』と並んで、全く暗くないDCヒーローだ。ヒーローものでありながら、ファミリーものでもある。血のつながり以上のものでつながっているファミリーという描写は近年のトレンドだが、そうした物語はMCUよりもDCUの方が巧みかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

breathe down one’s neck

直訳すれば「首に息を吹きかける」だが、転じて「ずっと見張っている」、「じっと監視している」の意。前の職場の同僚アメリカ人が “〇〇 sensei’s always breathing down my neck.” とぼやいていたなあ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ロストケア 』
『 マッシブ・タレント 』
『 search #サーチ2 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アッシャー・エンジェル, アメリカ, ザカリー・リーバイ, 監督:デビッド・F・サンドバーグ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 シャザム! 神々の怒り 』 -少年から大人へ-

『 アビス 』 -海洋SFの佳作-

Posted on 2023年3月21日 by cool-jupiter

アビス 65点
2023年3月19日 レンタルDVDにて観賞
出演:エド・ハリス マイケル・ビーン メアリー・エリザベス・マストラントニオ
監督:ジェームズ・キャメロン

『 タイタニック 』の再上映に世間は湧いていた。代わりと言っては何だが、本作を近所のTSUTAYAでレンタル。

 

あらすじ

アメリカ海軍の原潜が謎の事故により消息を絶った。救助活動の基地として海底油田採掘施設のディープコアが選ばれた。バッド(エド・ハリス)たちクルーに、コフィ大尉(マイケル・ビーン)たちと、ディープコアの設計者リンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)が合流する。しかし、バッドとリンジーは離婚間近の夫婦で・・・

 

ポジティブ・サイド

『 エイリアン2 』の宇宙船と同様に、海底という一種の極限閉鎖環境内で、愉快で、なおかつ緊張感のある人間関係が繰り広げられる。キャメロン監督の好物テーマというか、撮っていて楽しいのだろう。

 

深海は2020年代の今でも、まだまだ未知の世界。100億光年彼方の光すらも捉える現代天文学と比較すれば、海の底の方が遠いとも言える。そこに未知の生命がいて、地上人にメッセージを発するというのは面白い。

 

CGも頑張っている。自在に形を変える水が『 ターミネーター2 』のT-1000につながったことは有名。また、バッドが終盤に通ることになるゲートは、どう見ても『 2001年宇宙の旅 』のスターゲートにインスパイアされている。

 

様々な意味でキャメロンの嗜好が色濃く反映された作品。

 

ネガティブ・サイド

何をどう考えても素潜りは無理だろう。確か原潜が沈んだのが600メートルぐらいで、ディープコアは400メートルぐらいの深さだと言っていたような。こんな深海、普通の人間どころか、素潜りの世界記録保持者でも一発でお陀仏のはず。とある人物も、こんな環境からよく蘇生できたな・・・

 

最後の最後に強烈なカタストロフィを回避するが、普通に考えて世界中で何千という数の船舶が海の藻屑と消えたことだろう。これでめでたしめでたしと考えられてしまうのは、カナダが海洋国家ではないからかな。

 

総評

マイケル・ビーン演じる軍人さんの行動に若い世代は???となるかもしれないが、『 ゴジラ1985 』などを観れば分かる通り、この時代は核戦争の脅威が現実に存在した。同時に『 コクーン 』のような、どこか1950年代のSF小説的な楽天さも併せ持った、どこかアンバランスな作品。深海で何か大発見があれば、また再評価される時も来るだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

be pressed for ~

劇中ではバッドが”We’re a little pressed for time.”=ちょっと時間がないんだぞ、的に言っていた。be pressed for ~ = ~が足りない、だが、ほとんどの場合 be pressed for time または be pressed for money である。

X: Do you have a minute?
Y: Sorry. I’m pressed for time right now.

のように返せれば、英会話中級者だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 Winny 』
『 シャザム! 神々の怒り 』
『 ロストケア 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1990年代, C Rank, SF, アメリカ, エド・ハリス, マイケル・ビーン, メアリー・エリザベス・マストラントニオ, 監督:ジェームズ・キャメロン, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 アビス 』 -海洋SFの佳作-

『 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』 -最後に愛は勝つ-

Posted on 2023年3月8日 by cool-jupiter

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 50点
2023年3月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ミシェル・ヨー キー・ホイ・クァン ステファニー・スー
監督:ダニエル・クワン ダニエル・シャイナート

繁忙期のため、簡易レビュー。

 

あらすじ

零細コインランドリーを経営するエヴリン(ミシェル・ヨー)は、優しいがあまり働かない夫ウェイモンド(キー・ホイ・クァン)、頑固で認知にも問題のある父やガールフレンドとの付き合う娘のジョイ(ステファニー・スー)と共に暮らしていた。税金の控除を申請するために役所に入ったところ、突如、夫のウェイモンドが「自分は別の宇宙から来た」と言い、「多くの宇宙の脅威になっているジョブ・トゥパキを倒してほしい」とエヴリンに頼んできて・・・

 

ポジティブ・サイド

MCUのフィジカルに移動できてしまうマルチバースに比べると、こちらのマルチバースは意識だけが移動する。その移動した先の別の自分から、特技だけを拝借してくるという設定は、どことなく『 マトリックス 』っぽい。

 

アジア人のミシェル・ヨーがカンフーで戦うのも絵面としてはあり。『 グーニーズ 』や『 インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 』をリアルタイムではないが、発売直後のVHSで観ていた世代としては、キー・ホイ・クァンの銀幕への復帰は嬉しい。まるで小学校時代の友人と再会したかのようだ。

 

全編、予想の斜め上を行くコメディ展開で突き進み、最後にホロリとさせてくる。なかなかに味わい深い作品。

 

ネガティブ・サイド

アホなことをするとヴァース・ジャンプするというアイデアは笑えない。『 2001年宇宙の旅 』やら『 スター・ウォーズ 』やらをパクりまくっているが、オマージュに見えない。これらの作品は他世界ではなく、この世界のはるか昔、あるいは未来(といっても今は2023年だが)だからだろう。マルチバースもので描くのはセンスがない。

 

意識が宇宙と宇宙の間をジャンプするのはいい。だが、その意識のジャンプを観測しているアルファ・ヴァースの連中の意識はどこにあるのだろうか?そもそも、ヴァース・ジャンプに必要なイヤホン?ヘッドホン?的なアイテムはどこから来た?意識だけ到来したアルファ・ヴァース人がこっちの世界で大急ぎで作った?そんな馬鹿な。

 

生命が発生できなかった世界にも意識が飛んでいくシーンはシュール。けど、意識が岩に宿るんかな?いや、その世界にあのイヤホン?があるの?わけが分からん。

 

総評

『 スイス・アーミー・マン 』は文句なしに面白かったが、今回のダニエル・クワンとダニエル・シャイナートのコンビとは波長が合わなかった。昨年からアメリカでの評価が異様に高かったので期待していたが、裏切られた気分である。これがアカデミー賞ノミネートなら『 クレイジー・リッチ! 』もノミネートされていたはず。観賞の際は Don’t get your hopes up. 

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

all at once

「一度に」あるいは「突然に」の意味。The students stopped talking all at once. = 生徒たちは一斉に話すのをやめた、のように使う。英検準2級、TOEIC500点レベルぐらいの表現。

 

次に劇症鑑賞したい映画

『 シャイロックの子供たち 』
『 湯道 』
『 少女は卒業しない 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, キー・ホイ・クァン, コメディ, ステファニー・スー, ミシェル・ヨー, 監督:ダニエル・クワン, 監督:ダニエル・シャイナート, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』 -最後に愛は勝つ-

『 マジック・マイク ラストダンス 』 -Don’t Think. Just Dance.-

Posted on 2023年3月5日 by cool-jupiter

マジック・マイク ラストダンス 60点
2023年3月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:チャニング・テイタム サルマ・ハエック
監督:スティーブン・ソダーバーグ

あらすじ

家具職人として働いていたマイク(チャニング・テイタム)はパンデミックにより失業。バーテンダーとして働いていたところ、かつて自分が警察官に扮して侵入した学生寮の卒業生キムに出会う。キムの働きかけを通じて資産家マックス(サルマ・ハエック)と知り合ったマイクは、彼女のためにストリップを披露し、一夜を共にする。その後、マックスはマイクに「ロンドンに一緒に来てほしい」と言い・・・

ポジティブ・サイド

コロナ禍を反映した映画が徐々に生まれてきているが、本作もそれにあたる。その中でも、本作が特にユニークなのは、パンデミックによって何もかも奪われてしまった中年男、という全世界で数百万人はいるであろう男性像に着目したこと。そしてその男性が人生を取り戻す様を芸術的に、しかし力強く描いているところである。

冒頭で『 マジック・マイク 』で一瞬だけ出演したキャラの再登場があり、マイクの一瞬の回想のシーンが鮮やかだ。ここでマイクが自分はストリッパーだったということを思い出す。またティトやデカマラ・リッチーからも電話があり、過去2作と本作のつながりも示される。そこからあれよあれよの勢いで、マックスの前で踊ることになるマイク。そのダンスがまた何とも官能的。セックスよりもセクシーという形容がよく合っている。

 

そこからロンドンに一直線。冴えない男がパトロンの力を得て、ステージ・パフォーマンスの演出家になる。そして世界中からタレントを結集して、誰も見たことがない芝居を作り上げる。そのスカウトやオーディションの映像も圧倒的。前二作の役者たちのダンスも素晴らしかったが、本職のダンサーは違いますなあ。役者にダンスをさせるのではなく、ダンサーに演技をさせる。そうしたコンセプトで演者を集め、革新的な舞台を模索していく。その裏で、演出家たるマイクとパトロンであるマックスが様々にぶつかっていく。映画監督と映画プロデューサーのぶつかり合いも、きっとこんな感じなのだろう。

 

最後に出来上がった一連のダンスは圧巻の一語に尽きる。あらゆるジャンルが混淆したダンスの連続で、大トリを飾るのはもちろんマジック・マイク。雨の中でバレリーナを相手に扇情的なダンスを披露する。その動きの一つひとつが、マックスへの敬意であり愛情の表現になっていた。これまでのマジック・マイクは「女性たちを癒やす」というテーマの元に踊っていたが、ここで初めて「一人の女性を癒やす」という目的のために踊る。三作を通じてマイクがたどり着いたのは、愛だったというわけか。

ネガティブ・サイド

タンパのストリッパー仲間とはビデオ・カンファレンスで連絡を取り合っているが、ブルックのことは思い出さないのか。マックスに恋愛関係を質問された時に、回想シーンの一つぐらいは入れて欲しかったと思う。ダラスやキッドについても、ほんの少し思い返すシーンがあっても良かっただろうに。

 

マックスの娘ゼイディにダンスを小説的かつ哲学的にあれこれと語らせるが、これは正直なところノイズだった。まだ小学校高学年か中学生ぐらいなのに耳年増なキャラにしてどうする。過激なダンスシーンで執事に目隠しをされ、超セクシーなシーンでは劇場外に連れ出されてしまうが、そこでじっと待つのではなく、おもむろにノートPCを取り出して、今までに書いてきた小説を一気に手直しする。そうすればゼイディもマイクのダンスにインスパイアされたのだと伝わる。足でフンフン♪とリズムを取っているというのは演出としては少々弱い。

 

シリーズ全体を通じての弱点だが、男性視点から見た女性視点というものを強く感じる。もちろん、ストリップショーに癒される女性が存在することは間違いないし、Jovian妻もムキムキの肉体は大好きらしい。けれど、一方では『 マジック・マイク 』のブルックのような女性も確実に存在する。そうした女性に、では男性として何ができるかを考えた時に、ストリップを文化的に有意なダンスに昇華させようとソダーバーグは目論んだのだろうが、肝心のそうした女性が作品世界に存在しないので、ダンスによる交感がマイクとマックスの関係に集約されてしまい、そこから普遍的な男女の在り方にまでつながっていかない。

 

総評

個人的には、前二作のアホな男たちによるバカ騒ぎ的なノリが好きだったので、本作は少し落ちるかなという印象。ただ、10年後に再鑑賞すれば評価は間違いなく上昇するという予感はある。チャニング・テイタムはこのトリロジーをもって代表的なキャラを得られたと思う。スタローン=ロッキー、シュワルツェネッガー=ターミネーター、T・クルーズ=マーヴェリックのように、チャニング・テイタム=マジック・マイクになったのだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

theater

劇中で Are you ready to transform theater forever? という台詞があったが、残念ながら字幕が誤っていた。字幕は「この劇場を改革するぞ」みたいな感じだったが、正しくは「演劇というものを永久に変える準備はいいか?」である。theater は a や the などの冠詞がつけば「劇場」、なにもつかなければ「演劇(という概念やジャンル)」である。

次に劇症鑑賞したい映画

『 シャイロックの子供たち 』
『 湯道 』
『 少女は卒業しない 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, サルマ・ハエック, チャニング・テイタム, 監督:スティーブン・ソダーバーグ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画, 青春Leave a Comment on 『 マジック・マイク ラストダンス 』 -Don’t Think. Just Dance.-

『 マジック・マイク XXL 』 -青春に別れを告げるロードトリップ-

Posted on 2023年3月4日 by cool-jupiter

マジック・マイク XXL 70点}
2023年3月1日 WOWOW録画にて鑑賞
出演:チャニング・テイタム ドナルド・グローヴァー アンバー・ハード
監督:グレゴリー・ジェイコブズ

『 マジック・マイク 』の続編。やはり『 マジック・マイク ラストダンス 』への備えとして再鑑賞。

 

あらすじ

ストリップの世界からは足を洗い、家具職人として慎ましく生活するマイク(チャニング・テイタム)に、かつての仲間から「ダラスが旅立った」と告げられる。通夜に訪れたマイクだが、ダラスはアダムと共に天国ではなく中国に旅立っていた。一同はそれぞれの人生を歩み始めるために、最後にストリップの大会に参加しようと、マートル・ビーチに向けてロードトリップに出るが・・・

 

ポジティブ・サイド

前作のラストで踊ることを拒否したマイクが、今作では自分の職場でBGMに乗せられて不意に踊りだす。家具職人として汗水たらして働きながらも、マイクはやっぱりマジック・マイクだった。ストリッパー、本作の言葉を借りれば男性エンターテイナーとしての残り火が残っていた。夜の世界で1ドル札の雨を降らすのではなく、昼間の世界でこつこつと働く。その姿に我々はホッとすると同時に、ちょっぴりガッカリもさせられる。誰もが大人にならなければならないが、青春と決別するのはなかなかに難しい。本作は、マイクだけではなく、かつての仲間たちすべてが青春に別れを告げる物語である。

 

フローズン・ヨーグルトを売って生計を立てるティトに、芸能プロダクションに履歴書を送りまくるケンなど、前作でそれほどフォーカスされなかった個性豊かなキャラたちの背景が見えてくる。また、ロードトリップの中でマイクと各キャラが個別に話していく中で、彼らの関係についても様々な側面が見えてくる。じっくり話したことはなかったが、実は互いに深くリスペクトしていたことが分かったり、実はわだかまりを抱いていることが判明したりと、陽キャは陽キャで色々あったんだなと感じる。

 

旅の途中で出会う人々も、それぞれにドラマがある。仏頂面のコンビニ店員を「お前のダンスで笑顔にしろ、それができれば新作ダンスだって生み出せる!」というマイクの力強い提案と、それに乗ったリッチーがバックストリートボーイズの ”I Want It That Way.” を背景に披露する渾身のダンスが本作の見どころの一つ。また、一晩泊めてもらうことになる家で、マダム達の様々な悩みに耳を傾け、励ましの言葉を掛けて、自己効力感を与えるシークエンスもハイライトの一つ。ダラスとアダムは金のために中国へ行ってしまったが、マイクをはじめ残された面々は、自分たちが癒しを提供する存在であったことに気付いていく。

 

マートル・ビーチの大会で踊ったからとて、何かが劇的に変わるわけではない。結婚を夢見たり、妻子のいる生活に憧れたり、堅実な職業を得ようとしたり、あるいは華々しい芸能の世界にしがみつこうとしたり、進路は様々だ。そう、進路。つまり、大学生が院に進んだり、あるいは就職したり、ニートになったりと、色々あるが、マイクとその仲間たちは派手なバカ騒ぎをすることで、モラトリアムの終わりを受け入れたのだ。今回のロードトリップは彼らなりの卒業旅行なのだ。

 

ラストのステージ・パフォーマンスは圧倒的。Jovianが自分の結婚式で使ったブルーノ・マーズの “Marry You” をドナルド・グローヴァーが歌うシーンが個人的には最も盛り上がった。マイクが道中で知り合ったストリッパー仲間と最後に見せるパフォーマンスも圧巻。最後に打ち上げた大きな花火は、彼らの旅の終わりを締め括るにふさわしい。歳をとってから思い起こして、ふっと笑うことができる。そうした瞬間を持つことが青春の醍醐味だし、そうした瞬間を共有できる仲間を戦友と呼ぶのだろう。

 

ネガティブ・サイド

トバイアスが事故で out となってしまったために、急遽、マイクの古い伝手でローマにMCを頼むことになる。そこは良いとして、そのローマのMCがそれほどシャープだとは感じられない。レディをクイーンと言い換えるぐらいで、何か特別にMCの才能があるようには感じられなかった。これなら前作のマシュー・マコノヒー演じるダラスの方が遥かにMCとしては上だろう。”All right, all right, all right.” だけでその場の空気を全て自分色に染め上げるマシュー・マコノヒーのオーラを上回るような決め台詞を用意すべきだった。

 

あとは、ほんの少しでいいのでブルックの出番も欲しかった。ケリー・マクギリスは『 トップガン マーヴェリック 』にとても出演できないと自己判断したそうだが、コディ・ホーンはギャラで揉めたりしたのだろうか。

 

総評

青春との盛大な決別、そのほろ苦さが存分に味わえる。一方で、修学旅行的な楽しさもある。ロードムービーとしても青春映画としても、非常に良い仕上がりになっている。女性のみならず、30代以上の男性も、本作を通じて自分の人生を見つめ直すことができる。もちろん単純に男性ストリッパーが大いに羽目を外す映画として観賞しても構わない。むしろ、若い世代はそういう見方をすべきかもしれない。そこから10年後に本作を観ることで、自らの成長や成熟を感じることもあるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

ride

仮面ライダーのライダーは ride から来ている。意味は「乗る」だが、これは名詞。劇中ではしばしば last ride という形で使われていた。プロレスラーのアンダーテイカーの決め技の一つだが、実際は You’re in for a ride. の ride に「最後の」の last がついたもの。ride には「何か楽しいこと、エキサイティングなこと」という意味もある。 マイクたちの言う our last ride というのは、みんなでやる最後のバカ騒ぎ的な意味なのだ。 

 

次に劇症鑑賞したい映画

『 シャイロックの子供たち 』
『 マジック・マイク ラストダンス 』
『 湯道 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, アンバー・ハード, チャニング・テイタム, ドナルド・グローヴァー, 監督:グレゴリー・ジェイコブズ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画, 青春Leave a Comment on 『 マジック・マイク XXL 』 -青春に別れを告げるロードトリップ-

『 アントマン&ワスプ クアントマニア 』 -オリジナリティ欠如が甚だしい-

Posted on 2023年2月25日 by cool-jupiter

アントマン&ワスプ クアントマニア 20点
2023年2月24日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ポール・ラッド エヴァンジェリン・リリー キャスリン・ニュートン ジョナサン・メジャーズ
監督:ペイトン・リード

 

うーむ、MCUの終わりの始まりのような映画だった。

 

あらすじ

アベンジャーズの一員として世界を救ったスコット・ラング(ポール・ラッド)はヒーローとして街の人々に愛されて暮らしていた。ある日、娘のキャシー(キャスリン・ニュートン)がハンク・ピムと共同で量子世界への探査信号を送る研究をしていると、謎の球体が現れ、スコットやホープら全員が未知の量子領域に取り込まれてしまった・・・

ポジティブ・サイド

スコットが相変わらず小市民ヒーローなのがいい。今作でもサーティワンのネタを引っ張ってくれる。スパイダーマンと並ぶ市民型のヒーローだ。本を出して、しかもそのオーディオブックを自分のクルマの中で聞いてしまう。このナルシシズムがアントマンがその他のスーパーヒーローと一線を画すところであり、魅力でもある。

 

サブアトミカという領域は、ある意味で外宇宙よりも遠い。そんな世界を舞台にするという構想自体は肯定したい。

ネガティブ・サイド

マイケル・ペーニャはもう用無しなのか。アントマンを葛藤するスーパーヒーローではなく、小市民スーパーヒーローにとどめておいてくれるはずの貴重な存在だったというのに。

 

未知の量子領域のはずが、何もかもが『 スター・ウォーズ 』に見える。どの景色が、とか、どのクリーチャーがとか、どの服装が、というレベルではない。我々はいったい何を見せられているのか。なんとなく『 スター・ウォーズ 』っぽくないかな、と感じるシーンは、しかし思いっきり『 ジョン・カーター 』っぽかったりする。さらにはロボット兵士(?)は『 ブラックホール 』のヒューマノイドそっくり。とにかく何から何までディズニー色に塗り固められている。オリジナリティはどこへ行った?

 

『 ミクロの決死圏 』の昔から、極小の世界には科学的なロマンがあったが、本作にはそれもなし。『 アントマン 』はまだしも、『 アントマン&ワスプ 』でも一切触れられなかった「可能性」、すなわちその他多くの自分という存在が次から次へ生まれるというのは、ご都合主義にもほどがある。サブアトミカでは、観測者と観測対象なので・・・のような説明も一切なし。

 

そもそもジャネットが量子領域について誰にも何も語らなかった理由が最初から最後まで謎だ。誰かに何を言われても「今は彼らを救出するのが先だ」と言って説明を拒絶する。いったい何がしたいの?相方のハンクも「この世界の時間の流れが分からない。元の世界では5分かもしれないし10年かもしれない」みたいに言っていたが、アホかーーー!量子領域に30年滞在していたジャネットは、きっちり30年分加齢して帰ってきたことを忘れたんかーーー!観ていて頭がクラクラするシーンだった。

 

肝心の征服者カーンも、その脅威がさっぱり伝わってこない。手から放つ謎のビームで量子世界のクリーチャーを一撃で消滅させるが、アントマン達には軽微なダメージを与えるだけって、弱すぎやろ。その一方で別の次元ではマイティ・ソーを倒したという発言もする。強いのか弱いのか分からない。しかし、最後の最後に倒された相手は〇〇でした、って・・・。多種多様な次元の多種多様なカーンがいるからスーパーヴィランとしての格は保たれていると言いたいのだろうか?よく分からん。テーマであるはずの Look out for the little guy. の the little guy は実はアントマンではなくカーンだった、という描き方がまったく出来ていない。このヴィランを相手に次のフェーズのアベンジャーズがどう結集するのか、悪い意味でまったく道筋が読めない。

 

とにかく一作丸ごと informercial というMCUのやり方には辟易する。義理で観続けているが、It’s about time to jump off the bandwagon. という気がしてきた。

 

総評

スコットたちが良いキャラというだけで、本作はストーリーとして完全に破綻している。『 スター・ウォーズ 』のファンなら楽しめるか?と自問自答したが、答えは否。アントマンはMCUの中でもスパイダーマンの次に好きだったが、こんな中途半端な形でキャシーに道を譲って引退するのだろうか。納得いかん。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

look out for ~ 

劇中では Look out for the little guy. = 小さい奴に注意しろ、というように使われていた。look out for ~ は ~を注意して見る、~に対して目を凝らす、のような意味。昔、大学の教会のミサで、Look out for the weakest in your community. というのを聞いたことがあったな。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エゴイスト 』
『 銀平町シネマブルース 』
『 シャイロックの子供たち 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, SFアクション, アメリカ, エヴァンジェリン・リリー, キャスリン・ニュートン, ジョナサン・メジャーズ, ポール・ラッド, 監督:ペイトン・リード, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 アントマン&ワスプ クアントマニア 』 -オリジナリティ欠如が甚だしい-

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