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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: SF

『 ザ・クリエイター/創造者 』 -イデオロギーではなくテクノロジーを見せろ-

Posted on 2023年10月23日 by cool-jupiter

ザ・クリエイター/創造者 40点
2023年10月22日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ジョン・デビッド・ワシントン マデリン・ユナ・ボイルズ ジェマ・チェン 渡辺謙
監督:ギャレス・エドワーズ

 

AIが現実の仕事や学問に巨大なインパクトを与え始めている中でタイムリーな作品が公開されたと思い、チケット購入。

あらすじ

2055年、LAでAIによる核爆発が勃発。以降、アメリカはAIを排除することを決定。ニューアジア共和国に潜伏する謎のAI開発者ニルマータを捉えるために、潜入捜査官のジョシュア(ジョン・デビッド・ワシントン)は組織の女性マヤ(ジェマ・チャン)に近づき、夫婦となるが・・・

以下、軽微なネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

日本国内でもChatGPTを禁止する大学(上智など)が出てくるなど、大学レベルですらAIに対する対応が割れるのだから、国家となると尚更のはず。中国がGoogleを遮断したりするという実例もある。本作は冒頭からロボットの発達とそこにAIが搭載されて・・・という歴史の if をダイジェストで見せてくれるが、まさに近現代のテクノロジー史の一端を見せられているようで興味深かった。このイントロがあるからこそ、ある意味荒唐無稽もいいところのメインプロットに説得力が生まれている。

 

舞台がアメリカ国外というのも良い。これまでアメリカ映画におけるアメリカ=全世界的な価値観を、本作は踏襲していない。ゾンビ映画でもモンスター・パニックでもパンデミックものでも、アメリカ=世界という等式が成り立つことがほとんどだったが、AIを拒否するアメリカとAIと共存するニューアジア共和国という対比は新鮮だった。

 

こんな感想を抱いたのはごく少数だと思うが、Jovianは途中からジョシュアがモハメド・アリに見えてきた。本作を楽しむ鍵は、ジョシュアにどれだけ感情移入できるかにあると思う。まあ、マイノリティーの意見・感想です。

ネガティブ・サイド

全体的に意外性がない。死んだと思ったヒロインが実は生きていた、というのは開始10分で分かること。要はそこにたどり着くまでの過程を以下に予想外のものにするかにあるのだが、全体的な世界観が『 ターミネーター 』および『 ターミネーター2 』の裏返しだと感じたし、人間側(というかアメリカ人)の感性も『 アイ、ロボット 』そっくり。結局は技術革新の裏で常に進行するラダイト運動のSF版という感じ。ノマドの外観および内部のデザインやレイアウトも『 エリジウム 』や『 スター・ウォーズ ローグ・ワン 』のビジュアルに酷似している。後者の方は監督が同じだからある意味で当然か。最も意外であるべき、ジョシュアが何故ミッションである最終兵器の破壊ではなく保護を選んだのかという理由についても、『 ブレードランナー2049 』が先行している。

 

舞台のニューアジア共和国というのがハッキリしない。我らが渡辺謙が登場し、やたらと日本語も聞こえてくるから日本?景色からしてラオス、カンボジア、ベトナム?ノマドを見ていると、どうもベトナム戦争時の民間人へのナパーム攻撃を想起させる点からして、やっぱりベトナム?だとするとAIは共産主義?そして最終的に勝利を収めるのも共産主義?イデオロギー的な背景など無しに、純粋にテクノロジーを受容するのか、拒絶するのかというストーリーの方がシンプルで、よりエンターテインメント性を追求できたのではないかと思う。

 

ところで・・・21世紀も半分を大きく過ぎているにもかかわらず、ニューアジア共和国は20世紀半ばの東南アジアのように見えるのは何故なのか?AIやロボットと共存している国家の生活水準があんなに低いはずがないと思うのだが。ただギャレス・エドワーズ監督は『 GODZILLA ゴジラ 』でジャンジラなる珍妙な日本を描いた前科があるからなあ・・・ アジアに対して正しい知識やリスペクトを持っていないように感じられて仕方がなかった。

 

総評

面白いのは面白いのだが、全編どこかで見た構図のパッチワーク。渡辺謙のAIロボも、どこか浮いていた。家族や愛の物語で締め括るのは『 インターステラー 』と同じ。壮大な世代交代のストーリーが、えらく小ぢんまりとまとまってしまったという印象。テクノロジーの話ではなくイデオロギーの話なので、鑑賞するかどうかは自分の嗜好をよくよく確かめて検討すること。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

turn the tide 

「流れを変える」の意。劇中では turn the tide of the war = 戦争を逆転させるのように使われていたと記憶している。日常だと

 

He mentioned the critical evidence and turned the tide of the debate.
彼は決定的なエビデンスに言及して、ディベートの流れを変えた。

 

The sales rep turned the tide of the negotiation by offering the client a big discount.
営業担当は顧客に大幅値引きを提供することで交渉の流れを変えた。

 

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 オクス駅お化け 』
『 リゾート・バイト 』
『 月 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SF, アメリカ, ジェマ・チェン, ジョン・デビッド・ワシントン, マデリン・ユナ・ボイルズ, 渡辺謙, 監督:ギャレス・エドワーズ, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 ザ・クリエイター/創造者 』 -イデオロギーではなくテクノロジーを見せろ-

『 クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 』 -微グロ耐性は必須-

Posted on 2023年8月21日 by cool-jupiter

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 50点
2023年8月19日 T・ジョイ梅田にて鑑賞
出演:ビゴ・モーテンセン レア・セドゥ クリステン・スチュワート
監督:デビッド・クローネンバーグ

クローネンバーグ作品は『 スキャナーズ 』、『 ザ・フライ 』、『 イグジステンズ 』だけ観た。

 

あらすじ

人類は痛みという感覚をなくし、新しい臓器が発生するという病のある未来に暮らしていた。加速進化症候群に侵されたソール・テンサー(ビゴ・モーテンセン)は相棒のカプリース(レア・セドゥ)と共に、内臓にタトゥーを施して、それを摘出するというショーで人気を博していた。しかし、こうした進化を好ましくないと感じる政府は、ティムリン(クリステン・スチュワート)を派遣し、ソールとカプリースの動向を注視していて・・・

ポジティブ・サイド

内臓摘出ショーを新しい形のセックスだと捉えるのは凄い視点だと感じた。たしかに人類の進化が悪い方向に進んでしまえば『 JUNK HEAD 』のような世界が到来するだろう。本作は現代と『 JUNK HEAD 』の中間地点の世界を提示しているように感じられた。

 

臓器の摘出=新しい形のセックスという見方も面白い。恥骨をぶつけ合うのではなく、互いを切り刻み、血を流すソールとカプリースの姿は確かに官能的と言えなくもない。レア・セドゥはヌードを披露。クローネンバーグに情念を一身に受け止めてしまったか。臓器摘出マシーンを操作する手つきのエロティシズムを表現できる女優はなかなかいないだろう。

 

進化する人類と、それを好ましくないと見なす政治的権力の対立という構図はSFでは珍しくもなんともないが、プラスチックを消化してしまう臓器の存在が、俄然本作を興味深いものにしている。言うまでもなくプラスチックによって汚染されてしまった海域とそこに住まう生物、さらにマイクロプラスチックに汚染されていると言われる現代人をグロテスクに映し出しているわけだ。悪趣味な変態映画人が鬼才と呼ばれる所以である。

ネガティブ・サイド

英語で一言で評するなら graphic となるだろうか。ビゴ・モーテンセン演じるソールの内臓摘出ショーは悪趣味の一語に尽きるし、臓器にもリアリティはない。骨や筋肉、腹膜、脂肪が一切ないのは、低予算映画ゆえか?製作やキャスティングを見るに、予算不足とは考えづらいが。

 

あの妙な食事介助椅子は何なのだろうか。結局自分で食べてるし。加速進化症候群患者に反応してあのように動くようだが、呈示される判断材料がちょっと少なすぎではないだろうか。

 

It’s time to listen. のダンサーは何のシンボル?痛みに対して悲鳴を上げるべき人体が、もはやその悲鳴を上げることができない云々を表しているのかと思うと、そうでもなく・・・ 特にストーリーに起伏やアクセントを与えるでもなく・・・ 

 

Graphicな作品である一方で、クリステン・スチュワート演じるティムリンがかなり饒舌(=説明好き)だったり、あるいはショーの観客が結構な長広舌を振るったりするのが気になった。『 A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー 』でもバーで延々としゃべる男がいてノイズに感じたが、それと同じだった。

 

総評

間違ってもデートムービーだと思ってはならない。アートな映画だという雰囲気に騙される大学生カップルが出ないことを祈る。『 スキャナーズ 』や『 ザ・フライ 』のような人体破壊に耐性がないと鑑賞は厳しいだろう。上映中の『 ビデオドローム 4K ディレクターズカット版 』も観るべきだろうか。ただ、同僚の急死および会社が欠員補充を当面はしない方針、かつ大学の後期が開講間近ということで土日も半日もしくは全日出勤になりそう。映画観る時間とれるんかな?

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You’d be surprised.

あなたは驚くだろう、というのが直訳だが、実際は文脈によって意味するところが変わる。

X: Cooking seems hard.
「料理は難しそうだ」
Y: You’d be surprised.
「(そんなに難しくないから、実際に料理をしてみれば)驚くかもね」

のように使う。こういうフレーズをサラっと使えるようになれば英会話中級者以上、CEFRでB1+だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 神回 』
『 セフレの 品格 プライド 』
『 ヴァチカンのエクソシスト 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SF, カナダ, ギリシャ, クリステン・スチュワート, スリラー, ビゴ・モーテンセン, レア・セドゥ, 監督:デビッド・クローネンバーグ, 配給会社:STAR CHANNEL MOVIES, 配給会社:クロックワークスLeave a Comment on 『 クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 』 -微グロ耐性は必須-

『 デウス/侵略 』 -英国SFの珍品-

Posted on 2023年7月16日 by cool-jupiter

デウス/侵略 20点
2023年7月11日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:クラウディア・ブラック
監督:スティーブ・ストーン

近所のTSUTAYAで何となく手にした準新作。クソ映画だろうなという予感通りクソ映画だった。

 

あらすじ

地球人口が100億をはるかに超えた近未来、火星の軌道上に謎の球体を発見する。グレイ(クラウディア・ブラック)をはじめとした6名のクルーが調査のため火星軌道に派遣されるが、球体は地球上のあらゆる言語で「デウス=神」という意味の語を発信してきて・・・

 

ポジティブ・サイド

『 2001年宇宙の旅 』や『 エイリアン 』、近年の作品だと『 パッセンジャーズ 』を彷彿させる巨大宇宙船を大写しにするスタートに期待感が高まる。そしてそこが全てだった。

 

そうそう、宇宙船AIのミズはなかなかチャーミングだった。小説『 巨人たちの星 』のヴィザーのようだった。ChatGPTやGoogle Bardがこのレベルに来るのに、あと何年かかるだろうか。

 

ネガティブ・サイド

アイデアが陳腐すぎる。地球人口が爆発したので、それを間引いてやろうというプロットはは腐るほど観たり読んだりしてきた。謎の球体も『 スフィア 』のパクリに見えるし、序盤のアキレス号船内の展開も『 サンシャイン2057 』の後半にそっくり。最後の展開も『 ターミネーター3 』とそっくり同じ。そして最終盤は『 インターステラー 』でフィニッシュ。他にも色々な先行映画がいくつも思い浮かんだ。とにかくオリジナリティの欠如が甚だしい。

 

『 エイリアン2 』と同じく、クルーの誰もかれもが非常に口汚くしゃべる。ただ、エイリアンの世界では宇宙貨物船が当たり前の時代で、こちらは火星に6人を送り込むのがやっとの文明・技術レベル。そんな船に乗っている人間がこんな低レベルな喋りをするとは考えられない。個人的にはスラングは大好きだが、これもリアリティに欠ける演出だった。そもそも火星軌道と地球でリアルタイムに通信ができるなら、それは超光速通信を実現してしまっているわけで、だったら恒星間移住とは言わないまでも、とっくに火星に移住したり、あるいは地球環境を劇的に改善できていてしかるべきだろう。

 

SFを作るなら、もう少し scientifically correct を目指すべきだ。

 

総評

悪く言えばクソ映画。上品に言えば珍品。SFを作りたいはずが、ホラーやサスペンスの要素を中途半端に盛り込んでしまい、肝心のストーリーが盛り上がらず、キャラも深掘りされないという悪循環。まあ、しかし、数多くのクソ映画の上に傑作が成り立つのだから、今後も定期的にクソ映画を鑑賞して、ほんのわずかでも製作者に還元はしなければならないのだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

go fuck yourself

これは時々ドラマや映画で聞こえてくるし、『 サウスパーク 』的な友人がいれば日常でも使っていい。意味は「うるせえ、ボケ、死ね」ぐらいだろうか。映画のいちばん最後のクレジットシーンでこの台詞の応酬がある。人工知能がこういう台詞を正しく使い始めれば、人間はAIと適切な距離を取れているのだろうと個人的には思う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 』
『 君たちはどう生きるか 』
『 交換ウソ日記 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, SF, イギリス, クラウディア・ブラック, 監督:スティーブ・ストーン, 配給会社:ツインLeave a Comment on 『 デウス/侵略 』 -英国SFの珍品-

『 リバー、流れないでよ 』 -タイムループものの秀作-

Posted on 2023年7月10日 by cool-jupiter

リバー、流れないでよ 70点
2023年7月2日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:藤谷理子
監督:山口淳太

嫁が観たいというのでチケット購入。『 MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 』に次ぐタイムループものの秀作だった。

 

あらすじ

京都・貴船の老舗旅館で働くミコト(藤谷理子)は、ある時、自分が特定の2分間を繰り返していることに気づく。そしてそれは自分だけではなく、旅館の他の従業員や宿泊客も同じだった。一同は何とかしてループから抜け出そうと知恵を絞るが・・・

ポジティブ・サイド

タイムループものは小説でも映画でも数多く生み出されてきたが、ループの幅が2分というのは異例の短さではないだろうか。本作は2分という限られた時間のループをひたすら繰り返すことで、「次はどうなる?」、「え、これってどういうこと?」という観る側の思考を次から次に刺激してきて飽きさせない。

 

キャラクターたちの掛け合いも、基本全員が関西人(京都人)なのでノリがいい。高速の会話劇が旅館内部で、時には道路を挟んだ別館まで巻き込んで、従業員たち、そして宿泊客たちも巻き込んで、毎ループごとに少しずつ物語を進めていく。

 

途中で、ループの真相というか原因が明かされ、「まあ、京都やしな」と一瞬納得させられてしまう。だがしかし、真相はそんなものではなかった。正直、デウス・エクス・マキナなのだが、そこに至るまでが面白いので許せてしまう。『 ファウスト 』ならずとも「時よ止まれ」と思うことは誰にでもある。しかし未来は否応なくやって来る。現在とは、それを受け止める準備をすることなのだろう(つまり、本作は京都らしいハイデガー哲学の映画化なのだ)。

 

そうそう、ひとつ感心したのが、ミコトがループの最初に戻った瞬間に野鳥(コガラ)のディーディーディーという鳴き声が聞こえる時と聞こえない時があるが、それが聞こえる時にはミコトは真っ先に他の従業員のところに向かっていく(ように思えた)。だとすると山口監督、相当な手練れである。これから鑑賞する方はコガラの鳴き声にも注意されたし。

 

ネガティブ・サイド

刃傷沙汰になったり、自殺したりと、途中で結構ハラハラする展開になるのだが、ミコトが殺されるルートがありそうと思わせてなかったのは何故?絶対あの作家先生が行き詰っていた原因である、キャラクターの死生観とリンクしてくると思った。鞍馬山で、あの世界観の中で「私は天狗です」とか言ったら、かなりの確率で一回は撃たれると思うのだが。

 

総評

『 四畳半神話大系 』や『 四畳半タイムマシンブルース 』の脚本を担当してきた上田誠が、またしても京都を舞台にした良作を送り届けてくれた。記憶喪失ものとタイムトラベル or タイムループものは、オープニングが抜群に面白く、しかし最後は尻すぼみというパターンが非常に多い。本作もまさにそのパターンにはまっているのは残念。けれど、まあ、そこに至るまでに散々楽しませてくれるから良しとしようではないか。ちなみにJovianはこの夏もしくは秋に嫁さんと貴船旅行に行くことにした。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

break the loop

ループを解く、の意。反対は get stuck in a loop = ループにはまる。近年でも『 パーム・スプリングス 』が製作されたように、タイムループものは定期的に出てくる。なので、映画ファンかつ英語学習者なら、これらの基本的な表現は知っておいていいだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 忌怪島 きかいじま 』
『 探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 』
『 Pearl パール 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, SF, ヒューマンドラマ, 日本, 監督:山口淳太, 藤谷理子, 配給会社:トリウッドLeave a Comment on 『 リバー、流れないでよ 』 -タイムループものの秀作-

『 M3GAN/ミーガン 』 -古い革袋に新しい酒-

Posted on 2023年6月22日2023年6月22日 by cool-jupiter

M3GAN/ミーガン 65点
2023年6月17日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:アリソン・ウィリアムズ バイオレント・マッグロウ
監督:ジェラルド・ジョンストン

簡易レビュー。

 

あらすじ

玩具メーカー勤務のジェマ(アリソン・ウィリアムズ)は交通事故で両親を亡くした姪のケイディ(バイオレント・マッグロウ)を引き取った。しかし、仕事に忙殺される自分と両親喪失を乗り越えられないケイディはすれ違うばかり。そこでジェマは密かに開発していたAIロボット、Model 3 Generative ANdroid、通称M3GAN(ミーガン)をケイディに与えて・・・

ポジティブ・サイド

まあ、色んな先行作品のいいとこどりをしているなあ、というのが第一印象。姪っ子ケイディが元々ゲームやおもちゃにハマりやすい性格というのもあるが、対話型インターフェースと違和感なくコミュニケーションが成立するのは『 her 世界でひとつの彼女 』だし、おもちゃが恐怖の対象になるのは言わずもがなの『 チャイルド・プレイ 』、終盤のアクションの某シーンは『 エイリアン2 』&『 リアル・スティール 』そのまんまで、直後のシーンは思いっきり『 ターミネーター 』と『 ターミネーター3 』へのオマージュ。以前からよくある要素を現代風に味付けし直しており、ある意味で非常に鑑賞しやすくなっている。最後のオチも『 エクス・マキナ 』と『 モーガン プロトタイプL-9 』そっくり。

 

アンドロイドが実用化される日は遠そうだが、ChatGPTやGoogle Bard、Bing Chatが人間と verbal communication を取る日は近そう。人型ロボットが暴走する未来は遠いが、本作が提示する世界観は確実に真実味を帯びつつある。

ネガティブ・サイド

工業用ロボットあるいは災害救助用ロボットでもないミーガンが、なぜにあれほどパワフルなのか。『 GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 』の草薙素子でもあるまいに。開発者のジェマの設計思想が知りたい。さらにT3のT-Xばりの無敵のハッキング能力。こんなAIを開発できるのなら、玩具メーカー勤務ではなくアメリカの国防総省が直々にスカウトしてくるでしょ。

 

総評

ホラーというよりはSF、サスペンス、スリラーか。暴力的なシーンがいくつかあるが、それよりもミーガンのくねくねダンスが恐怖感を呼ぶ。案外、スカイネットは軍ではなく民間から生まれるのかもしれない。色々と?と感じるシーンはあるものの、緊張感を上手く盛り上げ、最後にはカタルシスと不安の両方を感じさせてくれる。高校生や大学生は、漫画原作の邦画よりも本作のような

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

be off to a good start

幸先の良いスタートを切れている、の意。劇中では、I’m not off to a very good start. のように使われていた。ちなみに「幸先の良いスタートを切る」は get off to a good start と言う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 水は海に向かって流れる 』
『 ザ・フラッシュ 』
『 告白、あるいは完璧な弁護 』

 

現在、【英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー】に徐々に引っ越し中です。こちらのサイトの更新をストップすることは当面はありません。

I am now slowly phasing over to https://jovianreviews.com. This site will continue to be updated on a regular basis for the time being.

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, SF, アメリカ, アリソン・ウィリアムズ, サスペンス, スリラー, バイオレント・マッグロウ, 監督:ジェラルド・ジョンストン, 配給会社:ジェラルド・ジョンストンLeave a Comment on 『 M3GAN/ミーガン 』 -古い革袋に新しい酒-

『 65 シックスティ・ファイブ 』 -オリジナリティが弱い-

Posted on 2023年6月10日2023年6月10日 by cool-jupiter

65 シックスティ・ファイブ 40点
2023年6月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:アダム・ドライバー アリアナ・グリーンブラット
監督:スコット・ベック ブライアン・ウッズ

 

簡易レビュー。

あらすじ

恒星間宇宙船が小惑星帯と衝突し、未知の惑星に墜落した。辛くも生き延びたパイロットのミルズ(アダム・ドライバー)は、脱出船を探す過程で生き残りの少女コア(アリアナ・グリーンブラット)を見つけ出す。2人はともに脱出船を目指すが、そこは恐竜の闊歩する地球で、しかも小惑星が刻々と迫っていた・・・

ポジティブ・サイド

言葉の通じない少女と異星からの脱出を目指す、といえばあの名作が思い浮かぶ。その異星が実は地球だった、といえばどうしたってあの古典的作品を思い起こさずにはいられない。長い旅路の果てに娘に愛想をつかされる父親といえば、近年の巨匠の某SFとそっくりである。まあ、テンプレまみれの作品で、ある意味で非常に安心して観ることができる。ここでこれを見せるということは、45分後ぐらいにこういう展開かな?という予想が当たること当たること。90分という短い中で、アダム・ドライバーと子役の二人のドラマをそれなりに堪能できた。



ネガティブ・サイド

いくら何でも6500万年前の地球近傍にやってきて、小惑星帯にぶつかって、そのまま地球に不時着してしまうというのはご都合主義もいいところ。もう少し何らかの必然性があっても良かったのではないか。

 

未知の惑星で「空気が呼吸可能」という理由だけでヘルメットを脱ぐか?このあたり

『 エイリアン: コヴェナント 』とそっくり。ホンマに恒星間飛行を当たり前のように行う文明のパイロットなのか?

 

ミルズが銃器で恐竜を撃退するというのはあまりにも陳腐。それこそバリアのようなものでも持っているのなら、不用意にヘルメットを外す行為も説明できるのだが。

 

総評

『 エイリアン2 』と『 インターステラー 』と『 猿の惑星 』を足して10で割ったような作品。頭を空っぽにして鑑賞する分には良いのだろう。ポイントやシネマイレージが貯まっているなら、本作で消費するのも手かもしれない。アダム・ドライバーの熱烈ファンなら劇場へ。そうでないなら配信やレンタルを待つのもあり。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

asteroid

アステロイド=小惑星である。asterはギリシャ語で星のこと。日本語だとアスタリスクやアストロ球団などでお馴染みだろう。英語だと astronaut や astronomy が派生語となっている。接尾辞 oid は「似たもの」という意味を生む。アンドロイドは男に似たものという意味(アンドロギュヌスで両性具有、gynusの派生語はgynecology=婦人科)となる。つまり、アステロイド=星のようなもの=小惑星である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 The Witch 魔女 増殖 』
『 渇水 』
『 水は海に向かって流れる 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, SF, アダム・ドライバー, アメリカ, アリアナ・グリーンブラット, 監督:スコット・ベック, 監督:ブライアン・ウッズ, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 65 シックスティ・ファイブ 』 -オリジナリティが弱い-

『 リバイアサン 』 -海洋ホラーSFの佳作-

Posted on 2023年5月13日 by cool-jupiter

リバイアサン 65点
2023年5月13日 YouTubeにて鑑賞
出演:ピーター・ウェラー
監督:ジョルジ・バン・コストマス

『 アビス 』、『 スフィア 』に続いて、懐かしの映画鑑賞。確か、親戚の家でテレビ放送されていたのを観た記憶がある。字幕なしでも、まあまあ理解できた自分を褒めたい。

 

あらすじ

地質学者のベック(ピーター・ウェラー)率いる海底探査チームのメンバーが、ソ連の沈没船『リバイアサン』から回収した酒を飲んでしまった。これにより、メンバーの肉体が遺伝的に変異し、人を襲う化け物になってしまい・・・

 

ポジティブ・サイド

当時はまったく気付かなかったが『 エイリアン 』と『 エイリアン2 』にプロットやキャラクター、プロダクションデザインまで何もかもがそっくり。オリジナリティの無さと見ることもできるが、Jovianはオマージュだと捉えたい。

 

海底基地は宇宙船ノストロモ号の雰囲気とよく似ているし、その中を静かに徘徊しながら成長するモンスターというのも、まんまゼノモーフ。そして本社は本社でベックら現場の人間のピンチにもかかわらず、彼ら彼女らを切り捨てるかのような判断を下す。これもまんまウェイランド・ユタニ社。さらにコンピュータに問いかけて、答えをもらおうとするのもマザーと同じ。だが、このシーンはAIの登場によって古さどころか先見の明を示した優れたシーン(を換骨奪胎したもの)として再評価されるべきだろう(そもそも『 エイリアン 』も『 2001年宇宙の旅 』へのオマージュ満載なのだから)。

 

ホラーとしてもなかなかに秀逸。クルーの手のひらに口ができるシーンは、『 ブレードランナー 』の目潰しシーンや『 ザ・フライ 』の耳がポロリと落ちるシーンと並んで、Jovian少年にトラウマを植えつけた。

 

いつの頃からかCG全盛になってしまったが、1980年代あるいはそれ以前の映像からは生の質感が強く感じられる。個人的には「古き良き」という表現は好きではないが、本作はその形容詞がふさわしいと思う。

 

ネガティブ・サイド

ピーター・ウェラーのキャラが弱い。序盤から中盤にかけては海洋や地学の知識を生かして状況を前に進めていくが、アクションおよびホラーが全面に出てくる後半ではそうした背景が生きてこない。このあたり、『 エイリアン 』で宇宙船を知り尽くしていたリプリーとは大きな差がつく。

 

『 スフィア 』や『 アビス 』同様に、「いやいや、そこは泳がれへんやろ」というところを平気で泳いでいく。これはもう海洋ホラーの一種の様式美として受け入れるしかないのだろうか。

 

最後のサメは必要だったか?むしろ海面に上がってきたクリーチャーがホオジロザメを一瞬で血祭にあげるようなシーンこそが求められていたのでは?

 

総評

海洋モンスターパニックものとして結構面白い。このジャンルが好きならば、ぜひ鑑賞を。CGではないクリーチャーの質感、とくにネバネバヌメヌメ系が好みなら尚のことお勧めである。ピーター・ウェラーの代表作は文句なしに『 ロボコップ 』だが、本作は次点に来てもいいような気がする。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

could use ~

『 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 』でも紹介した表現。~があるといい、の意味。劇中では Hell, I could use a day off! = 私だって丸一日の休みが欲しいわ!のように使われていた。今年度はクライアント大学のテストが大幅増となり、毎日が早出残業のJovianは Hell, I could use a week off! という気分である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 放課後アングラーライフ 』
『 不思議の国の数学者 』
『 高速道路家族 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1980年代, C Rank, SF, アメリカ, イタリア, ピーター・ウェラー, ホラー, 監督:ジョルジ・バン・コストマス, 配給会社:松竹富士Leave a Comment on 『 リバイアサン 』 -海洋ホラーSFの佳作-

『 スフィア 』 -海洋SFの佳作-

Posted on 2023年5月5日 by cool-jupiter

スフィア 65点
2023年5月2日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ダスティン・ホフマン サミュエル・L・ジャクソン シャロン・ストーン
監督:バリー・レビンソン

『 アビス 』を鑑賞した時に、そういえば本作も海を舞台にしていたなと思い出して再鑑賞。結構面白かった。

 

あらすじ

心理学者ノーマン(ダスティン・ホフマン)、数学者ハリー(サミュエル・L・ジャクソン)、生物学者ベス(シャロン・ストーン)たちは飛行機墜落事故現場とされる海域に召集される。しかし、実際は飛行機は墜落しておらず、彼らは海底の謎の施設の調査を命じられる。そしてその中で、謎の球体を発見し・・・

 

ポジティブ・サイド

1990年代には地球表面はあらかた探査しつくされて、髑髏島のような一種のロマンはなくなっていた。その一方で深海にはまだまだミステリーがある。『 アビス 』が1989年、本作は1998年だが、2020年代の今でも深海は謎だらけ。ある意味、月よりも遠い世界。そんな深海を舞台に『 ジュラシック・パーク 』のマイケル・クライトンが想像力を大いに羽ばたかせた。

 

深海に謎の船、それがアメリカ製と判明し、なおかつ300年近く前からそこにありながらも、未来の船である可能性が示唆される。これだけでも十分にスリリングだが、そこに謎の球体=スフィアの存在が明らかになり、現実と妄想の境目があいまいになってくる。

 

SFでありながらミステリの面でも上々。様々な怪異の原因がスフィアにあるのは間違いないが、では誰がスフィアに接触したのか。ハリーは当確として、ではベスは?バーンズは?という疑惑がキャラクター達にも観る側にも生じてくる。さらに主人公のノーマンが、自分自身の心理に疑いの目を向けるところでサスペンスも最高に盛り上がる。ゲームの『 Never7 ~the end of infinity~ 』のキュレイシンドロームは本作あたりから着想を得ていたりするのかもしれない。

 

ネガティブ・サイド

明らかに『 2001年宇宙の旅 』を意識した映像を冒頭に持ってきているが、何をどうやってもスターゲートの映像は超えられないのだから、いかに”未知との遭遇”をテーマにしているとはいえ、敢えてそういったオマージュを入れる必要はなかったように思う。

 

なぜスフィアが具現化するのは恐怖だけなのか。あれだけ頭脳聡明な学者たちがそろっていて、なぜ誰もハッピーな思考を試そうとしないのか、それが一番の謎だった。

 

ベスがノーマンを無理やり眠りにつかせようとしたことで、ノーマンが深海数百メートルを泳ぐ羽目になるのだが、そんな馬鹿な・・・

 

総評

海洋SFはよっぽど低予算でない限り、ハズレになることは少ないと思っている。釣りをしたことがある人なら分かるだろうが、魚以外にウミウシやアメフラシ、クラゲ、ヒトデも連れたりする。現代では海の中にどう見ても異星生命としか思えないような地球産の動物も数多く見つかっていて、我々の想像力を刺激し続けている。今度は『 コクーン 』でも借りてきて再鑑賞しようかな。その前にYouTubeで見つけた『 リバイアサン 』かな。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a pain in the ass

a pain in the butt とも言う。直訳すると「尻の痛み」だが、実際は「悩みの種」、「嫌な奴/物」というニュアンス。My supervisor is a real pain in the ass. = うちの上司はマジで嫌な奴なんだよ、のように使う。ただし、日常で使う際には a pain in the neck と言おう。意味は同じだが、こちらの方が ass や butt よりもマイルドに聞こえる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 』
『 放課後アングラーライフ 』
『 不思議の国の数学者 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 1990年代, C Rank, SF, アメリカ, サミュエル・L・ジャクソン, シャロン・ストーン, ダスティン・ホフマン, 監督:バリー・レビンソン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 スフィア 』 -海洋SFの佳作-

『 世界の終わりから 』 -2023年の邦画ベスト候補-

Posted on 2023年4月9日 by cool-jupiter

世界の終わりから 80点
2023年4月8日 梅田ブルク7にて観賞
出演:伊東蒼 毎熊克哉 朝比奈彩
監督:紀里谷和明

 

大学の開講週を迎えて残業と休日出勤がピークに達しているため、簡易レビュー。

あらすじ

祖母と二人暮らしのハナ(伊東蒼)だったが、祖母は亡くなってしまう。学校に居場所もなく、進学の資金もない。そんなハナに警察警備局の江崎(毎熊克哉)と佐伯(朝比奈彩)が現れ、ハナが見る夢について尋ねてくる。何の心当たりもないハナだが、その夜の入浴中に戦乱の世に巻き込まれる夢を見て・・・

ポジティブ・サイド

あらすじも何も見ず、タイトルだけでチケットを購入。これが大当たり。

 

単純に光量が足りないのではなく、意味と意図のあるダークな画作りは韓国映画的。主人公の置かれた境遇にも救いがない。『 さがす 』の伊東蒼が、同作よりもさらに深い世界の暗部、世界の終わりへと誘われていく様は見応え抜群。

 

夢を媒介に過去と現在を行き来するのは『 リング・ワンダリング 』的でJovian好み。白黒の映像も美しい。

 

『 レッドシューズ 』でイマイチだった朝比奈彩と、名バイプレーヤーの毎熊克哉も魅せてくれる。監督の演出がドンピシャだったのだろう。

 

ダメなのか?ダメなのか?で、やっぱりダメだったという『 日本沈没 』とは違い、本作は非常にユニークな運命論を展開する。こちらの世界観の方が『 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』のそれより、理解も納得もしやすい。

 

ネガティブ・サイド

湯婆婆かな?と思ったら湯婆婆だった。もっとオリジナリティを捻り出すべきだろう。

 

炎のCGがしょぼかったな。

 

総評

個人的にはめちゃくちゃ楽しめた。事前の情報ゼロで臨んだのも大きい。伊東蒼は、南咲良と並んで、出演しているだけでチケット購入決定の女優に認定したい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a kitkat bar

お菓子のキットカットがちょっとしたガジェットになっている。英語ではしばしば a kitkat bar のように bar がつく。チョコレートは不定形だが、お菓子になる時はだいたい板状あるいは棒状で、いずれも bar と呼ぶ。豆知識として知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ノック 終末の訪問者 』
『 search #サーチ2 』
『 ヴィレッジ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, A Rank, SF, ヒューマンドラマ, 伊東蒼, 日本, 朝比奈彩, 毎熊克哉, 監督:紀里谷和明, 配給会社:ナカチカLeave a Comment on 『 世界の終わりから 』 -2023年の邦画ベスト候補-

『 アビス 』 -海洋SFの佳作-

Posted on 2023年3月21日 by cool-jupiter

アビス 65点
2023年3月19日 レンタルDVDにて観賞
出演:エド・ハリス マイケル・ビーン メアリー・エリザベス・マストラントニオ
監督:ジェームズ・キャメロン

『 タイタニック 』の再上映に世間は湧いていた。代わりと言っては何だが、本作を近所のTSUTAYAでレンタル。

 

あらすじ

アメリカ海軍の原潜が謎の事故により消息を絶った。救助活動の基地として海底油田採掘施設のディープコアが選ばれた。バッド(エド・ハリス)たちクルーに、コフィ大尉(マイケル・ビーン)たちと、ディープコアの設計者リンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)が合流する。しかし、バッドとリンジーは離婚間近の夫婦で・・・

 

ポジティブ・サイド

『 エイリアン2 』の宇宙船と同様に、海底という一種の極限閉鎖環境内で、愉快で、なおかつ緊張感のある人間関係が繰り広げられる。キャメロン監督の好物テーマというか、撮っていて楽しいのだろう。

 

深海は2020年代の今でも、まだまだ未知の世界。100億光年彼方の光すらも捉える現代天文学と比較すれば、海の底の方が遠いとも言える。そこに未知の生命がいて、地上人にメッセージを発するというのは面白い。

 

CGも頑張っている。自在に形を変える水が『 ターミネーター2 』のT-1000につながったことは有名。また、バッドが終盤に通ることになるゲートは、どう見ても『 2001年宇宙の旅 』のスターゲートにインスパイアされている。

 

様々な意味でキャメロンの嗜好が色濃く反映された作品。

 

ネガティブ・サイド

何をどう考えても素潜りは無理だろう。確か原潜が沈んだのが600メートルぐらいで、ディープコアは400メートルぐらいの深さだと言っていたような。こんな深海、普通の人間どころか、素潜りの世界記録保持者でも一発でお陀仏のはず。とある人物も、こんな環境からよく蘇生できたな・・・

 

最後の最後に強烈なカタストロフィを回避するが、普通に考えて世界中で何千という数の船舶が海の藻屑と消えたことだろう。これでめでたしめでたしと考えられてしまうのは、カナダが海洋国家ではないからかな。

 

総評

マイケル・ビーン演じる軍人さんの行動に若い世代は???となるかもしれないが、『 ゴジラ1985 』などを観れば分かる通り、この時代は核戦争の脅威が現実に存在した。同時に『 コクーン 』のような、どこか1950年代のSF小説的な楽天さも併せ持った、どこかアンバランスな作品。深海で何か大発見があれば、また再評価される時も来るだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

be pressed for ~

劇中ではバッドが”We’re a little pressed for time.”=ちょっと時間がないんだぞ、的に言っていた。be pressed for ~ = ~が足りない、だが、ほとんどの場合 be pressed for time または be pressed for money である。

X: Do you have a minute?
Y: Sorry. I’m pressed for time right now.

のように返せれば、英会話中級者だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 Winny 』
『 シャザム! 神々の怒り 』
『 ロストケア 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1990年代, C Rank, SF, アメリカ, エド・ハリス, マイケル・ビーン, メアリー・エリザベス・マストラントニオ, 監督:ジェームズ・キャメロン, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 アビス 』 -海洋SFの佳作-

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