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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 2020年代

『 トラップ 』 -シャマランらしさはあまり無し-

Posted on 2024年11月4日 by cool-jupiter

トラップ 50点
2024年11月2日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ジョシュ・ハートネット
監督:M・ナイト・シャマラン

 

Jovianのカナダ人の友人は ”I gave up on him.” と語ったが、Jovian自身はまだ少しシャマランに期待しているためチケット購入。

あらすじ

クーパー(ジョシュ・ハートネット)は愛娘ライリーが学校で好成績を収めたご褒美に、人気の歌姫レディ・レイブンの追加コンサートに連れて行く。しかし、会場は異様なまでの厳重警備。実はコンサートそのものが連続殺人鬼ブッチャーを捉えるための仕掛けだったのだ・・・

以下、逆説的なネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

あまりに色々と感想を書くと、それだけでネタバレに近づく。なのでJovianが鑑賞前に予想していたプロットをいくつか下に紹介してみたい。

 

1.実はサイコパスは父親ではなく娘の方。父親は何も知らない娘を必死で逃がそうとしているだけ。

2.実はトレイラーにある口の軽い従業員の話はジョーク。レディ・レイブンが用心深い人物なので本当に会場が厳重に警備されているだけで、クーパーは独り相撲を取っている。

3.実は『 デビル 』と同じ世界で、シリアル・キラーが悪魔に追い詰められていく。 

 

仮説1はたいていの人が思いつきそう。2はフレドリック・ブラウンのとある小説とそっくり。興味のある人は短編以外の中から探してみよう。3は『 アイム・ノット・シリアルキラー 』に着想を得た。

 

本作は視点操作がユニークで、スマホやカメラ、果ては銃のスコープなど、何かを通じて何かを見るという行為の危うさが示唆されている。また『 ザ・サークル 』のようなSNSの力がこれでもかと示されるのも現代的。

 

サスペンスとして観れば間違いなくアベレージ以上の作品。

 

ネガティブ・サイド

警察がかなり無能。というか、現場に入る心理学の博士が無能というべきか。もちろん、そうしないことには脱出は無理ゲーになるのだが、クーパーが機転を利かすというよりは博士の手腕に疑問符が付くという展開が多かったと感じた。

 

娘の同級生とその母親とのいざこざのくだりはバッサリとカットしてよかったのでは?

 

コンサート会場以外にも、車や家などからも脱出しまくる。ここまで来るとギャグの領域。

 

総評

映画や小説を楽しむ方法は、1)事前にストーリーを予測する、と2)事前情報一切なしで臨む、の二つに大別される。本作はどちらのアプローチも可能だが、できれば2)の方が望ましいのかな。理想は本作がシャマラン映画の初体験であること。まあ、そんな観客は圧倒的少数派だろうけれど。楽しむためにはシャマランらしさ=大どんでん返しを期待しないことが肝要である。できるだけ頭を空っぽにして、深く考えずライトに楽しもう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

crispy

元々は食べ物がサクサク、パリパリのような意味で、Longman Dictionary では food that is crispy is pleasantly hard on the outside = クリスピーな食べ物は外側が心地よい硬さであると定義されている。一方、urban dictionary では if something or an act that someone does is good or looks cool (by BigSexyBuffalo April 3, 2017)となっている。Jovianは大学でも教えていたので、現代日本の若者言葉にはそれなりについていけていたが、英語の現代スラングとなると少々弱い。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 破墓 パミョ 』
『 スマホを落としただけなのに ~最終章~ ファイナル ハッキング ゲーム 』
『 ヴェノム:ザ・ラスト・ダンス 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, サスペンス, ジョシュ・ハートネット, 監督:M・ナイト・シャマラン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 トラップ 』 -シャマランらしさはあまり無し-

『 拳と祈り -袴田巖の生涯- 』 -対岸の火事と思うなかれ-

Posted on 2024年10月29日 by cool-jupiter

拳と祈り -袴田巖の生涯- 75点
2024年10月26日 第七藝術劇場にて鑑賞
出演:袴田巌 袴田秀子
監督:笠井千晶

 

ボクシングファンの端くれとして、ずっと応援していた袴田巌さんが先月、遂に無罪確定。そこで本作の公開ということでチケットを購入。

あらすじ

1966年6月、強盗、殺人、放火事件の犯人として袴田巌氏は死刑判決を受ける。しかし、証拠や警察の取り調べ方法に疑義が残ることから、姉の秀子さんや支援者は再審を訴える。だが、司法が動くのに約50年の歳月を要して・・・

ポジティブ・サイド

袴田事件に関する予備知識ゼロ、あるいは2024年9月の袴田さん無罪確定のニュースを一切知らずに本作を鑑賞する向きはない。そうした読みから、袴田事件の概要や、いかに証拠として提出された衣料品が馬鹿げたものであるかを殊更に主張はしない。笠井監督のこの演出は、特に秀子さんが静岡県警本部長に掛けた言葉を考えると、正解だったと思う。

 

また笠井監督自身が冤罪に関して何らかの言葉を述べることはなく、袴田秀子さん、巌氏の二人を中心に、事実だけを淡々と映し出していくスタイルを選択したことも賢明だった。たとえば作中で医師が袴田氏の血糖値が高すぎることを注意するシーンがあるが、秀子さん自身はその日の夕食をスキップさせるぐらいで、基本は袴田さんの行動にはノータッチである。それは、医師であろうと肉親であろうと、無理やり言うことを聞かせてしまうと、警察や検察と同じ愚を犯すことになるからだ。

 

ニュースに触れている人なら袴田さんが重篤な拘禁反応を呈していることは知っているはず。本作はそこを包み隠さず映し出してしまう。普通の刑務所なら、規則正しい生活、規則正しい食事、規則正しい労働・運動、規則正しい睡眠に加えて、囚人仲間との交流が得られる。ただし死刑囚は独房生活。つまり孤独。畢竟、ストレスがたまり、精神的に追い詰められる。冤罪被害者なら尚更である。

 

袴田さんはカトリックに救いを見出した。作中での袴田さんの言動全てを理解するのは難しいが、その行動原理の大きな部分をキリスト教が占めているのは間違いない。彼の脳内ではAgnus Dei, qui tollis peccata mundi = この世の過ちを取り除きたもう神の仔羊よ、と常に讃美歌が流れているのである。つまり、自分が死ぬことで、その他の衆生(これは仏教用語だが)が救われるという理屈で、自分をイエスと同一視しているわけだ。自分は死ななくなったというのは、死んでも復活すると言っているのである。

 

そうした袴田さんの姿に現実逃避を見出しても、あるいは不屈の闘志を見出してもいい。宗教の持つ力を見出してもいいだろう。しかし、決して忘れてはならないのは姉の秀子さんと多くの支援者たちの存在だ。袴田さんは元ボクサーだ。アマチュアの強豪で、プロでも年間19試合をしたというタフガイだ。日本のボクシング界の関係者が陰に日向に袴田さんを支援しようとする姿に一菊の涙を禁じ得なかった。またカナダのルービン・❝ハリケーン❝・カーターの映像まで見られるとは正直思っていなかった。笠井監督の行動力の視野の広さには脱帽である。

 

意味不明の言葉を発することが多い袴田さんだが、ボクシングに関してはきわめてまっとうな発言が多かった。印象に残ったのは「ボクシングに魂をかけているかどうかは見れば分かる」、「結局はいかにナックルパートを当てるか」、「前に出てくる相手を止めるにはジャブとワン・ツー」など(ちなみに現代だと、ジャブ、ワン・ツー、カウンターで止めるとされている)。本人は現役時代に近距離ファイターだったようだが、指導者を志しただけあって、当時としてはかなりしっかりした理論を持っていたのだ。最初は拒否していたグローブをはめて、スクリューの入った左フックを見せる袴田さんが微笑みを浮かべているところは決して見逃さないようにしたい。

 

それにしても国家、特に検察の硬直した姿勢には辟易する。元裁判官は涙ながらに謝罪し、静岡県警本部長も極めて儀礼的ながら謝罪した。しかし検事総長は袴田氏を犯人扱いする談話を発表し、名誉棄損にあたるのではないかと物議をかもしている。検事総長と言えば賭けマージャンの黒川検事長が思い出される。検察は身内や政治家、上級国民は過剰に保護するが、一般庶民にだけは厳しいという現実をわずか数年前に見せつけられていたので、今回の談話にも驚きは少ない。

 

袴田巌氏88歳、姉の秀子さんは91歳。二人の今後の人生に幸多かれと願う次第である。Dona eis requiem. 

ネガティブ・サイド

警察の取り調べの録音は、あんなものだったのだろうか。殴る蹴る水をぶっかけるなどがあったはず。あるいは、そこだけ録音を止めていたかも。いずれにせよ、昭和中ごろの警察とは思えないマイルドな取り調べだった。他にもっと警察の横暴を感じさせる箇所はあったのではないか。あるいは、存命者は少ないかもしれないが、当時の捜査員などを取材できなかったか。別に袴田事件そのものについて尋ねなくてもいい。当時はとにかく怪しい奴を見つけたら無理やり引っ張ってきて、自白するまで追い込むことは珍しくなかったという実態を語ってもらえれば、後は観る側が判断する。

 

もう一つ、刑務官OBへインタビューもできなかったのだろうか。顔や声は当然隠してOK。刑務所の中の囚人の実態をより客観的に知るには、こうした人々へのアプローチも必要であるように思う。熊本裁判官が顔出しで判決の舞台裏を暴露したのは法曹としてはアウトなのだろうが人間としてはセーフ。そうした意味で粘り強く取材すれば、袴田氏のことではなく囚人一般について語ってくれれれば、反省する人間、しない人間のことが少しわかり、また反省しない人間というのは極悪人なのか、それとも反省すべきことがない人間なのではないかということまで考えるきっかけになっただろう。

 

総評

まさに今、出るべくして出たドキュメンタリー。作中でルービン・カーターがいみじくも指摘した通り、袴田さんの身にこのようなことが起きたのなら、自分の身にも起こるかもしれない。そうなってしまった時、自分は闘えるだろうか。自分には支持者がいるだろうか。鑑賞中も鑑賞後も、ずっと自問自答している。国家権力と闘い続けたという点で、袴田巌氏は日本のモハメド・アリであると評したい。ボクシングファンのみならず、広く一般市民に観てもらいたい作品。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

free

日本語にもなっているフリーという語だが、品詞も意味も多岐にわたる。本作では Free Hakamada! のスローガンで使われていた。これは動詞で「~を自由にする、解放する」の意味。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ぼくのお日さま 』
『 破墓 パミョ 』
『 トラップ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ドキュメンタリー, 伝記, 日本, 歴史, 監督:笠井千晶, 袴田巌, 袴田秀子, 配給会社:太秦Leave a Comment on 『 拳と祈り -袴田巖の生涯- 』 -対岸の火事と思うなかれ-

『 殺人女優 』 -殺るか殺られるか-

Posted on 2024年10月20日2024年10月21日 by cool-jupiter

殺人女優 60点
2024年10月19日 シネマート心斎橋にて鑑賞
出演:ジヨン
監督:ユ・ヨンソン

 

妻の「面白いんかなあ?」の一言でチケット購入。邦画では絶対作れないであろう作品だった。

あらすじ

女優のスヨン(ジヨン)は、ある出来事がきっかけで業界を干されていた。ファンがほとんど集まらなかったサイン会の夜、同居している後輩女優と言い争いになってしまう。目覚めたスヨンは、その後輩が死んでいるのを発見してしまう。果たしてこれは自分の仕業なのか・・・

ポジティブ・サイド

韓国映画でいつも感心するのが、女優が発狂する瞬間。本作でもスヨンは様々なストレスを抱えているが、それが爆発するシーンの迫力は見もの。国民性の違いもあるのだろうが、純粋に演技に対する考え方の違いも大きいはず。

 

また流血描写に殺人描写など、暴力シーンも本作の特徴の一つ。日本の女優やアイドルなら絶対に拒否するであろうシーンが次々に出てくる。ジヨンではないが、別の女性キャラの用便シーンなどもある。韓国映画はそうした描写から決して逃げない点もポイントが高い。

 

死体が移動したり、謎のメッセージが届いたりと、謎解き要素もふんだんにちりばめられていて、それが上質なサスペンスにもつながっている。冒頭から女子高生の回想シーンがたびたび挿入され、それがジヨンの現在とどう結びついてくるのかという点も、ミステリアスかつサスペンスフルだ。

 

原題は Wannabe だが、これを『 殺人女優 』としたのは配給サイドの隠れたファインプレーである。

 

ネガティブ・サイド

攻撃的な知的障がい者のキャラは蛇足だったかな。本筋に全く関係なく、ただ単にバイオレンスとサスペンス、そして警察を呼び込むという装置にしか見えなかった。何かもっと説得力のある筋立てが欲しかった。

 

代表が家に帰り着くのが遅すぎる。おそらく酒席で酔っていて酔い覚ましが必要だったのもあるのだろうが、事務所の期待の星を都市部からあれほど離れた片田舎に住まわせるのかというのも大いに疑問だ。

 

スヨンの不祥事というのが普通に重犯罪で、いくら呑み助だらけの韓国社会といえど、とても許容できるものではない、つまり芸能界に留まれるものではないと思われる。もう少しソフトな不祥事(たとえば政治家もしくは財界人の愛人疑惑があったetc)を設定できなかったのか。

 

総評

ショッキングな展開が多く、バイオレンスも激しい。人によっては拒絶反応が出るだろうが、本作のポスターを見れば内容はともかく展開の予想は容易につく。なので耐性のある人だけが鑑賞するようになっているはず。鑑賞後、ロビーで大きな声で展開の仕方や真相を絶賛するおっさん二人(Jovianより15~20歳は上だったかな)が印象的だった。韓国映画は波長が合う人にはとことん合うのだ。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

アラッチ

アラッチ⤴という上り調子で使われることが多い。「分かった?」という意味で、ややくだけた表現。韓国映画を観ていると頻繁に使われる表現なので、知っているという人も多いはず。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ぼくのお日さま 』
『 若き見知らぬ者たち 』
『 破墓 パミョ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, サスペンス, ジヨン, 監督:ユ・ヨンソン, 配給会社:「殺人女優」上映委員会, 韓国Leave a Comment on 『 殺人女優 』 -殺るか殺られるか-

『 ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ 』 -フォーカスが散逸している-

Posted on 2024年10月16日 by cool-jupiter

ジョーカー:フォリ ア ドゥ 40点
2024年10月12日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ホアキン・フェニックス レディー・ガガ
監督:トッド・フィリップス

 

『 ジョーカー 』の続編。ただし前作の良かった点を薄め、さらに物語の焦点がぼやけてしまったという意味で非常に残念な出来に仕上がっている。

あらすじ

裁判を前に州立病院に収容されたアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は模範囚であるとして音楽療法への参加が認められた。そこでハーリーン・クィンゼル(レディー・ガガ)と出会ったアーサーは、すぐに彼女に惹かれていき・・・

以下、前作と本作の軽微なネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

最初は何故かアニメで始まるが、これは大いなる伏線なので、飽きずに鑑賞してほしい。

 

不気味で不安感を煽り立てるBGMという前作からの特徴は踏襲。暗澹かつ陰鬱な病院の中でも、時折見られる極彩色の色遣いが、アーサーという凡人とジョーカーという悪の道化の二面性をうかがわせる。

 

ホアキン・フェニックスの怪演も健在。ギスギスにやせ細った体と、笑いたくないのに笑ってしまう症状。見るからに哀れな男で、だからこそ観る側も同情しやすい。いや、もっと踏み込んで言えば、自身と同一視しやすい。かかる弱さがアーサーの魅力で、フェニックスはその弱さを前作に続いて完璧に体現している。そんなアーサーが世間ではアニメ化され、偶像化され、裁判を前に熱狂的なシンパも形成されている。前作で生まれた救世主はその後も健在だったのだ。

 

レディー・ガガ演じるハーリーン・クィンゼルとのデュエットやダンスはそれなりにシネマティック。ビージーズの “To Love Somebody” のデュエットは特に良かった。また劇中で『 ザッツ・エンターテインメント 』も上映される。これも小学生ぐらいの時に自宅でVHSで観たのを懐かしく思い出した。前作のアーサーのカメラに向かってのセリフが “That’s life!” だったとすれば、今作のテーマは That’s entertainment というわけかと期待が膨らむ。

 

が、楽しめたのは作品の中盤までだった。

ネガティブ・サイド

まあ、結局は作り手と受け手の波長が合うかどうかなのだが、Jovianには本作は合わなかった。前作と監督も主演俳優も同じなので、少し裏切られた気分である。

 

まず本作はフォーカスがはっきりしない。州立病院の劣悪な環境に置かれるアーサーの苦痛を描くのか。その州立病院内でのハーレイ・クインの誕生と彼女との関係の進展を描くのか。それともジョーカーの裁判とジョーカー信奉者の暴走を描くのか。本作はこれらの全てを等しく扱おうとして、全体的なトーンがバラバラになってしまっている。

 

Jovianはミュージカルは好物ジャンルで、本作の楽曲やダンスもそれなりに楽しめた。ただ本作がミュージカル形式を導入した動機が、前作で分かりにくいとされた現実と妄想の境目をはっきりさせることだとすれば、それは余計なお世話というもの。厳しい言い方をすれば、アーサーの妄想(全部でなくともよい)を読み解けなかった方のリテラシーの問題。もう一つは、前作でアーサーが若者3人を殺害した直後、トイレで踊ったダンスや、マレー・フランクリンのショーに出演する直前の階段でのダンスが好評だったからというのも理由にありそう。だったらアーサーが個室や食堂で悲哀のダンスや喜びのダンスを踊ればいいではないか。また妄想シーンも前作を予習していれば何がそうで何が現実か、見分けるのは容易いはずだ。

 

ハーリーン・クィンゼルとの関係の描き方も中途半端。彼女の語る話の内容を、それこそアーサーの妄想にしてしまえばいい。弁護士からハーリーン・クィンゼルの真実を聞かされて茫然自失するアーサーだが、そのショックをもっと大きくする方法はあったはずなのだ。

 

また裁判のシーンも冗長というか、争点がつまらない。弁護士はアーサーとジョーカーを別人格ということにしようとするが、前作から我々はアーサーとジョーカーは同一人格だということを知っている。幼少期のトラウマは確かに事実だろうが、それがすべてDID = Dissociative Identity Disorder につながるわけでもない。弁護士もそれは無理筋だと分かっていて半ば誘導尋問しようとするが、そもそもそんな事実はないのだから、そのプロットは追求しようがない。

 

結局アーサーは弁護士をクビにして、自分で自分を弁護することになる。ジョーカーのコスチュームとメイクアップで法廷に臨むアーサーに、裁判そのものを前作と同じくショーに変えてしまうのかという期待が盛り上がったが、そうはならず。唯一、面白くなりそうだったのは前作のミジェットのゲイリーの登場シーン。彼はアーサーと同じく、社会に存在を認識されない男。その男の叫びをアーサーは遂に・・・ おっと、これはさすがにネタバレが過ぎるが、ここで観る側は壮大な肩透かしを食らわされる。というか、その先の展開はもはや漫画。最後の最後に全てをうっちゃる展開に開いた口が塞がらない。フォリ・ア・ドゥって、そっちの意味かい。

 

総評

悪い作品ではないが、良作とは到底言えない。前作を観ることなく本作を観れば意味不明だろうし、前作を観たうえで本作を観れば、肩透かしを食うだろう。アーサーが支持されたのは社会への復讐を果たしたから。そのアーサーがさらに社会を擾乱するのを期待すると本作には裏切られる。これが『 ジョーカー 』の看板を背負わず、B級C級映画なら感想はかなり異なるのだろうが、残念ながら『 ジョーカー 』映画であるからには、ジョーカーのジョーカー性を否定してはならないのである。その点が非常に残念でならない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You’re fired.

お前はクビだ、の意。fire には様々な意味があるが、ここでは解雇の意味となる。I fire you. または I’m firing you. よりも、You’re fired. が圧倒的に多く使われる。WWEの元会長の瓶ス・マクマホンおよび彼とのプロレスで名を一気に売ったドナルド・トランプの得意とする台詞でもある。サラリーマンとしては言われたくない言葉の筆頭だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ぼくのお日さま 』
『 若き見知らぬ者たち 』
『 破墓 パミョ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, サスペンス, ホアキン・フェニックス, ミュージカル, レディー・ガガ, 監督:トッド・フィリップス, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ 』 -フォーカスが散逸している-

『 花嫁はどこへ? 』 -新たなインドの女性像を模索する-

Posted on 2024年10月13日2024年10月13日 by cool-jupiter

花嫁はどこへ? 80点
2024年10月11日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ニターンシー・ゴーエル プラティバー・ランター スパルシュ・シュリーワースタウ ラビ・キシャン
監督:キラン・ラオ

 

妻が「アーミル・カーンがプロデュースしていて面白そう」というのでチケット購入。確かに非常に面白かった。

あらすじ

新郎のディーパク(スパルシュ・シュリーワースタウ)は新婦のプール(ニターンシー・ゴーエル)を自分の村まで連れて帰る途中、似たようなサリーで顔をベールで覆った別の花嫁ジャヤ(プラティバー・ランター)を連れ帰ってしまう。一方、全く見知らぬ駅で降りたプールは変わった人々との出会いに戸惑いながらも、何とか自立を目指して・・・

ポジティブ・サイド

新郎が新婦を取り違えるか?と疑問に思うが、それが大いにありうるのがインド。事前にほとんど、あるいは一切会わず、似たような背格好の女性が同じような衣装、同じようなベールを身に着けていたら、確かに間違えても仕方がない。

 

そうして取り違えられた花嫁二人が正しい旦那のところに帰る・・・のではない。特にディーパクに着いてきてしまったジャヤは行動がとにかく不審。もしやロマンス詐欺?しかしインドでは女性の方が結婚に際して持参金を準備するという。それにしてもジャヤの行動は何なのだ?と観る側に強く疑念を抱かせる。そして警察でも身分を偽る。ますます怪しい。

 

その一方で、途方に暮れるばかりのもう一人の花嫁のプール。妙な出会いから宿と職場を得るが、花嫁修業はしていても世事には疎い。そんな彼女に温かく、しかし厳しく接するマンジュおばさんが、その仕事っぷりや人生哲学の面で味わい深い演技を見せる。生きる力を発揮しつつあるプールだが、夫の村の名前も言えず、実家に帰るのも恥にあたると、こちらも警察の助力を得るには至らず。ジャヤにも困ったものだが、プールもなかなかの箱入り娘。

 

正体不明なままのジャヤを捜査するマノハル警部補を演じるラビ・キシャンが怪演を見せる、いや魅せる。韓国映画の警察は無能だが、インド映画の警察は横暴である。まるで昭和中頃の腐った日本の警察か?と思わせて・・・おっと、これ以上は無粋というもの。

 

ディーパクがとにかく純粋無垢で、ジャヤの婚約者との対比で、そのピュアさが更に際立つ。花嫁を取り違えた時に、相手が人違いだと主張しなかったなどと一切非難せず、ただ自分の不注意を恥じ入り、プールの無事を祈る姿勢が美しかった。そんなディーパクの優しさの裏でコソコソと動いていたジャヤが、ディーパクの一家の家業である農業だったり、あるいは料理だったり、あるいは人間関係だったりに少しずつ変化をもたらしていく。

 

最後に訪れる大団円のカタルシスは『 バジュランギおじさんと、小さな迷子 』に匹敵する。女性の生き方のアップデートが叫ばれて久しいが、それを芸術作品ではなく、ここまで鮮やかなエンタメ作品として提示してくるのは驚き。『 RRR 』のラストでビームがラーマにお願いしたもの。それを女性がどう享受するのか。その課題は今も続いているのだろうが、しかし確実に改善されているのだろう。

 

ネガティブ・サイド

花嫁修業を修めただけのプールが、本当の意味で自活する道へ踏み出す大事なシーンで、「パコラを作ってくれ」と依頼されたシーンで、なぜかサモサを作り始めるのは何故だ?

 

ディーパクのじいさんはギャグ扱いだろうが、牛の方はもう少し面白く深掘りできなかっただろうか。たとえばばあちゃんと牛が会話らしきものを交わすとか(半分冗談だが)。

 

総評

大スターを前面に押し出さず、むしろ若手ばかりを主役級に据えて本作を製作したこと、それ自体が一つのメッセージなのだろう。既存の権威に頼らず、あるいはそれに囚われず、新しい映画製作の在り方を追求していこうというアーミル・カーンとキラン・ラオ監督の意気込みが、そのまま次代のインドを担う若者たちへのエールなのだ。ダンスシーンはないが、確かにこれも一級のインド映画である。

 

Jovian先生のワンポイントヒンディーレッスン

パコラ

アルファベットでは pakora と表記する。揚げ物の意。インド料理やカレーショップでは鶏の唐揚げであることがほとんどだが、実際は油で揚げる料理全般を指すようだ。Jovianも月に1~2度は梅田の某カレーショップに行くが、パコラを3ピース頼むのが定番になっている。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ぼくのお日さま 』
『 ジョーカー:フォリ ア ドゥ 』
『 若き見知らぬ者たち 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, インド, スパルシュ・シュリーワースタウ, ニターンシー・ゴーエル, ヒューマンドラマ, プラティバー・ランター, ラビ・キシャン, 監督:キラン・ラオ, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 花嫁はどこへ? 』 -新たなインドの女性像を模索する-

『 犯罪都市 PUNISHMENT 』 -シリーズの折り返し地点-

Posted on 2024年10月12日 by cool-jupiter

犯罪都市 PUNISHMENT 70点
2024年10月6日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:マ・ドンソク キム・ムヨル パク・ジファン
監督:カン・ユンソン

 

『 犯罪都市 NO WAY OUT 』の続編にしてシリーズの4作目。8作目までが構想されているらしいので、これでちょうど半分消化ということになる。

あらすじ

剛腕刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)は、アプリを利用した麻薬売買事件の捜査の中で、アプリ開発者がフィリピンで殺害されたことを知る。オンライン・カジノが捜査の糸口になると確信したソクトは元ヤクザのチャン・イス(パク・ジファン)をアドバイザーにする。しかし、その先にはIT企業の社長の下で働く元傭兵ペク・チャンギ(キム・ムヨル)が暗躍しており・・・

ポジティブ・サイド

今度はIT犯罪、しかもオンライン・カジノがフォーカスされているではないか。IR事業が云々かんぬんと喧しい隣の大阪府も、本作を観て「カジノ、やばくね?」と思い直してほしい。

 

というのはもちろん冗談だが、IT犯罪を追うことでソクトのアナログっぷりが際立ち、それが巧まざるユーモアにつながっている。また第一作の『 犯罪都市 』のヤクザで、『 犯罪都市 NO WAY OUT 』のラストにも少しだけ出てきたチャン・イスが、コミック・リリーフとして大活躍。いや、本当はかなり優秀な捜査アドバイザーなのだが、顔も面白ければ行動も面白いので、マ・ソクトの恰好のいじられ役としてハマっている。

 

こうした面白おっさんコンビのユーモアが、その他の場面でのソクトの怪力剛腕アクションを際立たせている。またヴィランのチャンギもどこかで見た顔だと思ったら『 悪人伝 』の熱血刑事ではないか。今回は残虐非道なナイフ使いを演じており、熱血とは程遠い冷血漢。この男の冷酷無比な様も、上司であるIT社長のおとぼけっぷりにより際立っている。韓国映画はこうしたキャラの対比によって人情味や非情さを際立たせるのが相変わらず上手い。

 

室内やバスの中など、狭いところで戦うことで強制的に拳と拳の勝負になるのが本シリーズのお約束。今回の舞台は飛行機のファーストクラス。そんなものが武器になるわけないやろ・・・、って、え?そう来るか?という展開には唸った。

 

今回はソクトのヒョン=兄貴と呼ぶ、弟分の活躍も目だったり、サイバー捜査のために若い男女が2名加わったりと、チームの今後に期待が持てる内容だった。また最初の犠牲者の母親との約束を守る姿勢や、殉職した先輩の妻が切り盛りする店に足繫く通ったりと、これまで全く描かれてこなかったソクトの「私」の部分をうかがわせる描写も本作の見どころ。おそらくソクトの過去、あるいは家族関係がシリーズの後半に向けて深掘りされていくのではないかと思う。期待して待ちたい。

 

ネガティブ・サイド

いくらフィリピンの片田舎とはいえ、ロードサイドで重機をぶん回して破壊活動をすれば、現地の警察も動くだろう。それ以前に、チャンギがフィリピン警察をあっさりと冒頭で殺害しておきながら、高飛び先がまたもフィリピンというのは不用心すぎないか。ボディカメラはないにしても、パトカーにダッシュカメラは絶対についていて、犯行の一部始終がフィリピン警察ならびにインターポールにまで共有されているはずだが・・・

 

チャンギの右腕的存在のアクションはイマイチ腰が安定しておらず、迫力にもリアリティにも欠けた。チャンギを演じたキム・ムヨルのアクションが『 アジョシ 』のテシクを思わせる迫真のナイフ使いだっただけに残念。

 

総評

このシリーズ自体がそうだが、頭を空っぽにしたい時に最適な一本に仕上がっている。ソクトの刑事としての出世はおそらくここらへんで終わりなので、ここからはソクトの過去や現在のプライベート=公私の私の部分にフォーカスしたサイドストーリーが展開されていくと思われる。だが「鉄拳がすべてを解決する」というポリシーは決して変わらないはず。スカッとしたい時にちょうどいい作品である。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

オンマ

お母さんの意。他人が別人の母親をこう呼んでも良いところが日本語と韓国語の共通点の一つか。オモニが英語で mother なら、オンマは英語では mom となる。なんとなく分かっていただければ幸いである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ぼくのお日さま 』
『 花嫁はどこへ? 』
『 ジョーカー:フォリ ア ドゥ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, キム・ムヨル, パク・ジファン, マ・ドンソク, 監督:カン・ユンソン, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオ, 韓国Leave a Comment on 『 犯罪都市 PUNISHMENT 』 -シリーズの折り返し地点-

『 シビル・ウォー アメリカ最後の日 』 -ロードムービー&戦争ドキュメンタリー-

Posted on 2024年10月8日 by cool-jupiter

シビル・ウォー アメリカ最後の日 70点
2024年10月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:キルステン・ダンスト ケイリー・スピーニー
監督:アレックス・ガーランド

 

2023年から楽しみにしていた作品。事前情報は極力仕入れずにチケット購入。イメージとは違ったが、これはこれでありだと思えた。

あらすじ

内戦勃発から14か月、一度もメディアの取材を受けない大統領にインタビューを試みるため、戦場カメラマンのリー(キルステン・ダンスト)は仲間と共にワシントンDCを目指していた。ふとしたことから知り合ったカメラマン志望のジェシー(ケイリー・スピーニー)と旅路を共にするが、道中では分断されたアメリカの現実を目の当たりにすることになり・・・

 

ポジティブ・サイド

キルステン・ダンスト演じるリーと、彼女にあこがれるケイリー・スピーニー演じるジェシーのロード・トリップが前半、後半は戦闘の最前線を行く従軍カメラマンの師弟の物語だった。

 

ワシントンに向かう途上で出会うアメリカ人たちが、同胞であるはずのアメリカ人を虐待する、あるいは訳も分からず殺し合う風景に遭遇していく。ロシアのウクライナ侵攻や、イスラエルのガザ地区やレバノンへの攻撃が思い起こされるが、これを同国人同士でやってしまうのが内戦の恐ろしいところであると慄然とさせられる。

 

トレーラーにもあった、”We are American.” に対するジェシー・プレモンス演じる不気味な兵士の ”What kind of American are you?” という問いが剣呑だ。これに対する一定の答えがあるのだが、それはまさに多くの近代国家の歴史そのもの。日本とて例外ではない。もう一度、アメリカ合衆国は United States of America であるということを思い起こそう。我が兵庫県も五か国連合(摂津、丹波、但馬、播磨、淡路)で、時にヒョーゴスラビア連邦などと言われるぐらいにバラバラである。もちろん内戦をジョークにはできないが、国家としての一体感よりも、個人の収入や生活の方が大事なのだ、という局面にアメリカ、そして先進国が至っていることは間違いない。そうした状況では、分断が分裂に至ることもありえるだろうと感じる。

 

後半から終盤はワシントンの市街戦、そしてホワイトハウス陥落を描く。詳細は観てもらうしかないが、米国はアブグレイブ刑務所から特に何も学んでいないことを感じさせるものだった。それがアレックス・ガーランド監督の抱える問題意識なのだろう。銃撃戦の迫力は文句なし。砲塔を戦車で吹っ飛ばすシーンの迫力も文句なし。容赦のない破壊の行き着く先はどこになるのか。やはりアメリカ人はウサーマ・ビン・ラーディンの暗殺と死体遺棄を反省していないようである。これもアレックス・ガーランド監督の問題意識の表れなのだろう。

 

civil war とは内戦を指すが、特に the Civil War と表記すると、アメリカの南北戦争を指す。『 アンテベラム 』でも描かれたように、南北戦争は奴隷制度の有無および保護貿易(北の合衆国= United States of America)と自由貿易(南の連合国= Confederate States of America)が主な対立軸だった。

 

本作では、カリフォルニア州とテキサス州を中心とするWF(Western Forces)が連邦政府軍を相手に戦っているという、東西戦争の様相を呈している。その原因は分からないし、明示もされない。ただ、D・トランプが大統領に就任した2017年、世間では盛んにアメリカは United States ではなく Divided States になったと言われていたのは多くの人の記憶に新しいはず。また彼の支持者が選挙不正の疑いを不満に思って連邦議事堂に大挙して乗り込んだ事案は、先進国の民衆が暴徒化したという意味で衝撃的でもあった。それこそ『 ジョーカー 』のように、何かきっかけがあれば民衆は一挙に暴徒化しうるのである。

 

そういった意味で本作は確かに現代アメリカ的である。そして現代アメリカ的ということは、数年もしくは数十年後の日本的でもあるということである。

ネガティブ・サイド

途中で合流してくるジャーナリスト仲間は、もう少しプロフェッショナルに描けなかったのか。それまで筋金入りのジャーナリストとして描かれてきたジョエルやリーが、急に薄っぺらく見えてしまった。

 

最後の最後にリーが見せた行動は、従軍記者としてのキャリアの長いリーらしからぬ動作。行動については旅路の中で経験した喪失と悲嘆で説明がつく。問題はその動作。ここに説得力がなかったので、最後の最後にやや白けてしまった。

 

総評

インタビュー記事などを読むに、キルステン・ダンスト自身もメリー・コルビンを意識していたようである。本作も面白いとは感じたが、残念ながら『 プライベート・ウォー 』ほどではなかった。随所に流れる能天気なオールディーズと波長が合うかどうか。案外、本作の評価はそこで決まるようにも感じる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

secede

分離する、の意。ラテン語では se = apart、cedere = to go である。つまり「離れて行く」ということ。Brexit の際のニュースで使われることが多かったので、BBCやCNNの視聴者なら耳にした、あるいは記事で見たことがあるだろう。secessionist secessionist = 分離独立運動のように使う。cede = 行くだと理解していれば、precede = 先行する、proceed = 前進する、exceed = 超過する、succeed = 成功する(どんどん行く)、concede = 譲歩する(共に行く)などもパッと整理して理解できるだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 犯罪都市 PUNISHMENT 』
『 ぼくのお日さま 』
『 花嫁はどこへ? 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, キルステン・ダンスト, ケイリー・スピーニー, スリラー, 監督:アレックス・ガーランド, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 シビル・ウォー アメリカ最後の日 』 -ロードムービー&戦争ドキュメンタリー-

『 熱烈 』 -Becoming One and Only-

Posted on 2024年9月30日 by cool-jupiter

熱烈 80点
2024年9月29日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:ワン・イーボー ホアン・ボー
監督:ダー・ポン

 

『 ボーン・トゥ・フライ 』主演のワン・イーボーが今度はブレイキンのダンサー役を演じる。またしても妻のリクエストでチケット購入。

あらすじ

ブレイキンのプロチーム「感嘆符!」は、中心メンバーのケビンが財力を武器に好き放題。ある時、ケビンの代役が必要になり。コーチのディン・レイ(ホアン・ボー)は、地元のイベントで細々と活躍している、かつてのオーディション参加者チェン・シュオ(ワン・イーボー)を加入させるが・・・

ポジティブ・サイド

我が母校には Smooth Steppers というストリートダンスのサークルが2000年には既に存在していて、寮の洗面所で踊っている後輩もいたりした。五輪の種目にもなるなど、本当にストリートダンスは一般に普及したのだなと個人的に感慨深かった。

 

肝心の映画の出来はというと、これが非常に良かった。発展目覚ましい浙江省の杭州の中心で練習する感嘆符!と、実家の手伝いと洗車アルバイトと地元のイベントの掛け持ちの中でダンスの練習を積んでいくチェン・シュオの対比が残酷にすら映る。

 

しかし、チェン・シュオが代役ながらも感嘆符!入りを果たしたことで、少しずつ彼の人生も変わっていく。そこで良い味を出すのがコーチのディン・レイ。『 ボーン・トゥ・フライ 』のチャン・ティン隊長的のようなゴリゴリの軍人ながら、良き家庭人でもあるというおっさんではなく、ダンスに生き、ダンスでしか生きられないという、ある意味で永遠の少年 = puer aeternas だ。しかし、このおっさんが少年のままで居続けるのか、それとも色々と物事を割り切って大人になってしまうのかというサブプロットが、若年でありながらも母や叔父を支え続けてきたチェン・シュオの生き方との対比になっていて魅せる。

 

悪役であるケビンも単なる悪ではなく、チェン・シュオとは対照的な意味での子ども。レーシングカーコースのあるだだっ広い部屋で無言でクルマを走らせる姿は、いくら爆走しても決められたコースから外れられない自身の境遇と重なっていた。

 

アップダウンを経ながら、最終的にケビン率いるチームとのバトルに挑む感嘆符!。ここでのダンスシーンは圧巻の一語に尽きる。孤独のままに踊るケビンとチームで踊る感嘆符!という構図が、個々の力で踊るケビンのチームと観客を味方につける感嘆符!という構図に変わっていく。この過程が非常にドラマチックだ。そして最後の最後、一歩間違えれば『 少林サッカー 』的になりかねない大技が決まった瞬間のカタルシスは筆舌に尽くしがたいものがあった。

 

『 ガリーボーイ 』的なサクセス・ストーリーを、『 ピッチ・パーフェクト 』のような仲間とのビルドゥングスロマンとして、そしてダンス・パフォーマンスは『 マジック・マイク 』並みのセクシーさとパッションで見せてくれる作品。総じて『 スウィング・キッズ 』と同レベルの傑作と評してよいと思う。

 

ネガティブ・サイド

カメラワークに少々注文を付けたい。ケビンのチームの外国人助っ人たちの実力を観客および感嘆符!に見せつける、かつ五輪競技でもあるブレイキンの魅力を観客に伝えるために、真正面からの定点カメラで撮影し、映し出してほしかった。理想はBTSのDynamiteの練習動画である。

 

チェン・シュオの父親の踊っているシーンや回想、もしくは写真が見てみたかった。ディン・レイが疑似的な父親になっているのは分かるが、やはりダンサーだったというチェン・シュオの父とチェン・シュオのつながりを体感してみたかった。

 

総評

TOHOシネマズ梅田も座席はほぼ完売で、驚きの女子率&マダム率。トイレ前で「3回目なのに、また泣いちゃった」と感想を言い合う女子、エレベータの中でこれから広島や愛知に帰ると言っていたマダムたちも見かけた。ワン・イーボーは確実に中国という枠を超えてアジアのスターになりつつある。公開している劇場も少なくなってきているので、観るのならばお早めに!

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

ガンベイ

乾杯の意。劇中でもやたらと一気飲みをするが、漢字を見れば納得である。Jovianの学生時代を振り返っても、確かに Chinese American や Chinese Australian は、一気に盃を空けていた。一気飲みは自己責任で!

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 シュリ 』
『 シビル・ウォー アメリカ最期の日 』
『 犯罪都市 PUNISHMENT 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, スポーツ, ヒューマンドラマ, ホアン・ボー, ワン・イーボー, 中国, 監督:ダー・ポン, 配給会社:彩プロ, 青春Leave a Comment on 『 熱烈 』 -Becoming One and Only-

『 あの人が消えた 』 -パクリなのか、オマージュなのか-

Posted on 2024年9月29日 by cool-jupiter

あの人が消えた 50点
2024年9月28日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:高橋文哉
監督:水野格

 

妻が「面白そう」というのでチケット購入。

あらすじ

配達員の丸子(高橋文哉)は、担当地域のとあるマンションへの出入りを繰り返す中で、ある住人が自分の大好きなネット小説の作者であると知る。しかし、そのマンションには奇妙な住人が住んでいて・・・

ポジティブ・サイド

物語の早い段階から『 ピンクとグレー 』みたいなストーリーか?と少し身構えていたが、全然違った。予想が外れて満足な時もあれば、不満なこともある。本作はその意味では満足できた。

 

トリックに関しては伏線の張り方がフェア。というか、少々あからさますぎると感じたが、鑑賞直後の劇場内での観客の反応を見聞きするに、これぐらいがちょうどいい塩梅なのか。これから鑑賞する向きに一つだけ(本当は10個ぐらい出したいが)ヒントを与えるとするなら、Tシャツとなるだろうか。おっと、ヒントが二つになってしまった。

 

『 クリーピー 偽りの隣人 』でも感じたが、本作の舞台となるマンションをスタッフはよく見つけてきたなと思う。あの構造は気持ち悪い。

 

コロナ禍を「過去」にしてしまっているが、トラック運転手に代表される配達員への感謝の気持ちを忘れてはいけないというメッセージは個人的に高く評価したい。

 

ネガティブ・サイド

某作品と某作品の重大なトリックを全くと言っていいほど換骨奪胎せずに取り込んでしまうのはいかがなものか。『 レディ・プレイヤー1 』が『 シャイニング 』のネタバレをかましたのとは訳が違う。それとも本作を劇場に観に来るような層は某作や某作を観ない、製作側は決めつけているのだろうか(TOHOシネマズの観客はポップコーンを床に散乱させる率が高いのは確かだが)。

 

トリックに重きを置くのは分かるが、住人から聞く話と丸子が実際に見聞きする話が都合よく一致するのは何故なのか。特にごみの分別ネタ。住人の方はともかく、トラック運転手がそこまで観察できるものなのか。また痴話喧嘩に対する苦情の話も大いなる矛盾。作っていて、あるいは脚本段階でおかしいと思わなかったのだろうか。

 

あの交番勤務の巡査長、普通にけん責食らうか、降格やで。

 

梅沢富美男のネタは不要。誰得やねん。

 

総評

劇場鑑賞中に隣の妻に「これ、アレやな?」とささやいて、妻も頷くこと2回。ドンデン返しにすべてを懸ける姿勢は評価したいが、それをやるなら先行作品に最低限の敬意を表すべきだ。最低限の敬意とは、少なくとも少しは自分流のアレンジを加えること。それをしないのはパクリと言われてもしょうがない。『 オリエント急行殺人事件 』のような完全リメイク、または舞台を現代日本にしたリメイクの製作を模索すべきだったように思う。観客の評価は高いようだが、シネフィルの大半は「うーむ・・・」と悪い意味で唸る作品か。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

reincarnation

転生の意。rebirth とも言う。ただ、reincarnation は「再び肉体を得る」という意味で、ここには魂もしくは意識は維持されているというニュアンスがある。異世界転生を訳す際はこれがふさわしい。一方、『ジュラシック・ワールド リバース』は rebirth で、これは再び赤ん坊が生まれるの意。つまり、今回産み出されるジュラシック・ワールドは『 ジュラシック・パーク 』あるいは『 ジュラシック・ワールド 新たなる支配者 』(この副題は壮大な誤訳・・・)のキャストが出てくるわけではありませんよ。ということ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 シュリ 』
『 シビル・ウォー アメリカ最期の日 』
『 熱烈 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ミステリ, 日本, 監督:水野格, 配給会社:TOHO NEXT, 高橋文哉Leave a Comment on 『 あの人が消えた 』 -パクリなのか、オマージュなのか-

『 侍タイムスリッパ- 』 -時代劇への愛に満ちた傑作-

Posted on 2024年9月23日2024年12月2日 by cool-jupiter

侍タイムスリッパ- 80点
2024年9月21日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:山口馬木也 冨家ノリマサ 沙倉ゆうの
監督:安田淳一

単館上映から全国ヒットした『 カメラを止めるな! 』の再来と聞いてチケット購入。確かに近年まれにみる傑作だった。

あらすじ

時は幕末。会津藩士の高坂新左衛門(山口馬木也)は討幕派の長州藩士との決闘の最中、落雷を受けて標的の男と刃を交えた瞬間、落雷によって気を失ってしまう。目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった・・・

ポジティブ・サイド

現代人が過去、特に戦国時代にタイムスリップする邦画はいくつも製作されてきたが、江戸時代の武士を現代に連れてくるというのは相当に珍しいのではないか。このアイデアだけでも本作には価値がある。

ゴリゴリの会津藩士、すなわち保守派の武士の新左衛門を山口馬木也が好演。話しぶり、立ち居振る舞い、表情、すべてが武士だった。普通ならこんな石頭の守旧派がタイムスリップ、特に未来へのそれに順応できるはずがないのだが、飛んだ先が時代劇の撮影現場で、なおかつ見覚えのある寺が目と鼻の先にあったことが幸いした。なによりも武士の本懐(武士道とは死ぬことと見つけたり)を果たせる仕事としての斬られ役、これに出会えたことが大きい。徳川幕府の世が終わって140年。佐幕派の会津藩士としては斬る側よりも斬られる側になるべきだろう。

新左衛門とその周囲の人間とのドラマも見せる。助監督の優子寺の住職やその妻、さらに剣心会の師範らが、妙な男だと思いながらも新左衛門に親身に接していく様はそれだけで現代人が忘れかけている優しさを思い起こさせて、ほっこりとして気持ちになれた。

タイムスリップものとしてはお約束の展開が中盤に起こるが、この人物を巻き込むことで、コメディ風のドラマが一気にシリアスなものとなる。忘れてはならないが、新左衛門は死に場所を見失った武士なのである。最後の最後の殺陣のシーンは圧巻の一語に尽きる。低予算映画ゆえにスタントやCGなどを使わず、それゆえに生身の迫力を生み出せていた。

時代劇には大道具、小道具、ヘアメイク、メイクアップに、役者の独特の所作(その最たる例はもちろん殺陣)など、映画作りの基本的な要素がふんだんに詰め込まれている。かつての怪獣映画、とくにモスラやキングギドラなどは10人がかりでピアノ線を使って操演していたと言うが、これは今やロスト・テクノロジー。もちろん、古典的、伝統的なものすべてを保存しなければならないとは思わないが、日本映画の土台を維持するためにも時代劇には生き残ってほしいと本作によってより強く思わされた。

映画を作るという映画にハズレなし。このジャンルにまたも傑作が生み出された。ぜひチケットを購入して劇場鑑賞されたし。

ネガティブ・サイド

幕府滅亡から140年ということは2007年。確かにキャラクターたちはガラケーを使っていた。が、冒頭で出てきた看護師さんがナースキャップをかぶっていたのは何故?ナースキャップは2000年頃にはほとんど姿を消していたはず。現代でも時代考証は必要だ。

新左衛門がケーキの美味しさに感涙するシーンでは、説明的なセリフは不要だった。新左衛門の心情を観客の想像力に委ねる作りの方が良かったのではないかと思う。

総評

年間ベスト級の傑作である。役者の演技が際立っていて、脚本にも穴がなく、ストーリーのテンポもよく、軽妙な部分は軽妙に、重厚な部分は重厚に仕上がっている。何よりも人間ドラマとして優れている。NHKの『 歴史探偵 』で「戊辰戦争と会津」を少し前に観たこともあり、新左衛門という人間のバックグラウンドが頭にあったことも大きかった。もちろん、背景知識や時代劇に関する造詣がなくとも本作は楽しめる。時代劇はちょっと・・・という向きにも自信を持ってお勧めできるヒューマンドラマの傑作である。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

choreography

振付の意。映画ではしばしば fight choreography と dance choreography が重要で、その専門家も多数いる。本作の sword action choreography には必見である。

次に劇場鑑賞したい映画

『 愛に乱暴 』
『 ヒットマン 』
『 シュリ 』

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, A Rank, ヒューマンドラマ, 冨家ノリマサ, 山口馬木也, 日本, 時代劇, 沙倉ゆうの, 監督:安田淳一, 配給会社:ギャガ, 配給会社:未来映画社Leave a Comment on 『 侍タイムスリッパ- 』 -時代劇への愛に満ちた傑作-

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