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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: アメリカ

『 オールド 』 -時間スリラーの不発作(シャマラン基準)-

Posted on 2021年8月30日 by cool-jupiter

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210830001236j:plain

オールド 60点
2021年8月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル ヴィッキー・クリープス アレックス・ウルフ トマシン・マッケンジー 
監督:M・ナイト・シャマラン

 

その名前だけでチケット購入が決定する監督は何人かいる。シャマランはその一人である

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あらすじ

ガイ(ガエル・ガルシア・ベルナル)とプリスカ(ヴィッキー・クリープス)の夫妻は、子どもたちをバカンスに連れてきていた。リゾート・ホテルからプライベートビーチを案内された一家はもう一組の家族と共にそこへ向かう。美しいビーチで過ごす彼らは、しかし、そこで女性の水死体を発見する。さらに、自分たちの子どもたちが異様な速度で成長していることまで分かり・・・

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ポジティブ・サイド

冒頭でM・ナイト・シャマランから直々にオーディエンスにメッセージがある。シャマランと家ば・・・ではなく言えば、『 ヴィジット 』、そして『 ミスター・ガラス 』を作る際に、自分の家を抵当に入れて資金を捻出したことが知られている。そんな彼がコロナ禍において映画を劇場で公開できることを心から喜んでいることが伝わってくる映像だ。『 パラサイト 半地下の家族 』でもポン・ジュノが映像を冒頭に挟んでいたが、こうした試みはもっと多くの監督も採用して良いのではないだろうか。

 

アイデア一発勝負の本作であるが、そのアイデアがなかなか秀逸。特定のシチュエーションでは時間がどんどん速く過ぎていくというのは、SFでは真新しくもなんともない(例『 ナビゲイター 』など)が、それをスリラーに当てはめてしまうところを評価したい。そうすることで現実に急速な老化が自身に、あるいは家族に起こったらという想像が働く。最初から虚構の色合いの強いSFではなく、ひょっとしたら現実にあり得るかもしれないと思わせるスリラーというジャンルに本作のアイデアを持ってきたのは良かった。

 

子どもにとっての成長とは身体の変化であるし、大人にとっての成長とは老化=身体の衰えである。そのことを分かりやすく映像化できていた。特に出産シーンのサスペンスは異様だ。ようやく高速老化現象の種明かしを大人たちが始めたところでは展開の遅さに少々閉口したが、この妊娠・出産のシークエンスだけで一気に興味を取り戻した感がある。

 

ラストのドンデン返しも悪くない。おそらくコロナ禍がなければ ( ゚Д゚)ハァ? となって終わりだったと思われるが、コロナ禍およびそれに伴っての人類初の複数種類のmRNAワクチンの開発及びその実践投入という現実世界の事実により、本作の面白さと価値は間違いなくアップした。本当は55点だが、ネタのタイムリーさを考慮して5点プラスしておく。

 

以下、ややネタバレあり

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ネガティブ・サイド

序盤の車内での家族の会話は、あまりにも露骨すぎた。時間の感覚や年齢、成長に関する言葉が短時間の中で不自然なまでに盛り込まれていて、かえって説明的すぎると感じた。

 

一方で、初日の夜のガイとプリスカの夫婦喧嘩のセリフの字幕は、さらに輪をかけて説明的。英語でそこまで言っていないのだが、物分かりが悪い観客に”忖度”して、敢えてこのような訳にしたのだろう。逆に車内での会話もこれぐらい曖昧なセリフの応酬で良かった。このあたりの説明的なセリフの有無、そのトーンのちぐはぐさ jarring だった。

 

ラッパーの男性は血友病か何かの血液凝固に問題がある病気で、現に鼻血が止まっていなかったが、だったら何故にナイフ傷がすぐに治ったのかが分からない。また普通に考えれば急速に老化する=新陳代謝が異常に亢進しているわけで、子どもであろうと大人であろうとめちゃくちゃ腹が減るはずである。そのあたりの説明を一切行わなかったのは賢明だが、それならビーチに面した岩壁が云々のような科学的な説明も不要である。どこかにサイエンスを持ち出すと、全体にサイエンスを適用しなければならなくなる。やるとすれば極限までリアリティを追求して、ごくごく一部でだけ嘘をつくべきだ。その成功例として『 シン・ゴジラ 』がある。本作はリアリティを感じさせる演出面では中途半端になってしまい失敗している。

 

プリスカの腫瘍切除の場面や出産シーンは、もっと直接的な描写を目指してほしかった。カメラがパンして返ってきたり終わり、というのは拍子抜けもいいところである。また終盤近くの osteoporosis 絡みの恐怖シーンも、もっと直接的な描写をしてほしかった。ある意味でリアル『 エクソシスト 』的なシーンにできるチャンスだったはずだ。恐怖を感じさせる演出がどれもこれも弱かったと感じられたのは残念であった。

 

総評

シャマランのクオリティを期待すると少々拍子抜けさせられる。逆に言えば、それほど期待値を上げずに臨めば、それなりに楽しめるはず。イチローでも大谷でもそうだが「こいつはヒットを打つ!」と信じてしまうと、凡退時に通常よりもガッカリさせられる。それは相手へのリスペクトの証明でもある。シャマランのファンならばチケットを買うべし。そしてガッカリしよう。そうすることでシャマランの次回作をより楽しめるようになるはずだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Ready or not, here I come.

鬼ごっこ(hide and seek)の鬼(it)が「今から探しに行くぞ」と教える時の言葉。これは実際にかつての同僚アメリカ人主催イベントで子どもたちと鬼ごっこをした時に聞いたことがある。初めてこの表現を聞いたのは中学生の頃、VHSで『 NBA スーパースターズ2 』を観たとき。Tim Hardaway と Chris Mullin のやりとりだった。ちょうどこの動画でも確認できる。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アレックス・ウルフ, ヴィッキー・クリープス, ガエル・ガルシア・ベルナル, スリラー, トマシン・マッケンジー, 監督:M・ナイト・シャマラン, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 オールド 』 -時間スリラーの不発作(シャマラン基準)-

『 ザ・ハント 』 -D・トランプが問題視した良作-

Posted on 2021年8月29日 by cool-jupiter

ザ・ハント 70点
2021年8月23日 レンタル Blu rayにて鑑賞 
出演:ベティ・ギルピン ヒラリー・スワンク エマ・ロバーツ
監督:クレイグ・ゾベル

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近所のTSUTAYAで発見。「全米が封印した問題作」とは大層なキャッチフレーズである。敢えてそれに乗ってみたが、なかなかのB級作品であった。

 

あらすじ

ある日、突然見知らぬ場所に集められた12人の男女。草原の真ん中で武器を発見した途端に銃撃されてしまう。どうやらそこはマナーゲートの中で、セレブが娯楽のために庶民をさらってきて「狩り」をする場所らしく・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭から優雅に上級民がくつろいでいる。そこへ下層民の闖入者。いきなり無残に殺されてしまい、「なるほど、これが本作のテーマか」と納得した。いきなりの血液ドバドバ描写は、確かに一部の映画ファンにはきついだろう。だが逆に言えば、一部の映画ファンには好評であるに違いない。現実で忌避されるからこそ、グロとバイオレンスは小説や映画などのフィクションでは根強い人気があるジャンルである。本作もそういう映画であることが開始2分で分かる。これは親切な introduction である。

 

目覚めた男女らが次々に訳も分からず殺されていく過程もサクサクと良い感じに進んでいく。「このキャラの目線で物語が進行していくのかな?」というキャラが一人また一人と、ある意味で面白いように倒れていく。『 NERVE 世界で一番危険なゲーム 』で主演も張ったエマ・ロバーツがいきなり死ぬのはかなり度肝を抜かれた。それもなかなかのグロ描写。他には穴に落ちてしまう女子の死に様は必見。どう見ても低予算映画だが、結構な額をこのシーンに費やしたのではと思える力の入れようである。

 

ストーリー展開もなかなか大仰で良い感じである。アメリカだけではなく、ある意味で世界的なスケールでマナーゲートおよびその領内での「ハント」が行われているが、そのことにリアリティがある。日本でも沖縄本島の森林地域のかなりの面積が近年になってようやく米国から返還されたというニュースがあったが、そうした治外法権地帯で何が行われていたかを我々には知る術がない。そしてそうした地域は世界中にある。

 

そうした中で奮闘するベティ・ギルピンがひたすらにクールでかっこいい。アフガン帰りの猛者で、道楽で人をハントする金持ちセレブを知恵と戦闘能力で逆に次々と撃破していく。まさに溜飲が下がる思いがする。大ボスとの対決でもハードなアクションを連発。女は怒らせると怖いのである。低予算映画ながら、バイオレンスに注力した佳作で、好きな人にはたまらなく面白いと感じられることだろう。

 

以下、ややネタバレあり

 

ネガティブ・サイド

冒頭と終盤のコメディ的な要素は確かに笑えるが、中盤にはその色が薄まった。局部ネタはコメディとは言えないだろう。作品全体を通じて乾いた笑いをもたらしてくれる要素が均等に埋め込まれていたら、大傑作になれたかもしれない。

 

マナーゲートを作ろうというエリート集団の動機が弱い。下層民の陰謀論に乗るのではなく、素直に下層民の作り上げた陰謀論が現実を突いていた、で良かったのではないかと思う。人間は本当のことよりも信じたいことの方を信じる生き物なのだから。

 

総評

『 バクラウ 地図から消された村 』と同工異曲のゲテモノ・バイオレンス・グロ映画である。先の米大統領のD・トランプが本作をかなり問題視したらしい。『 パラサイト 半地下の家族 』にケチをつけるという審美眼の持ち主が問題視する=良作と考えて良かろう。事実、Jovianは本作を楽しみながら鑑賞してしまった。謎が謎を呼ぶ展開にアクションも良好。カタルシスもある。人がどんどん死んでいくというストーリーに耐性があるのであれば、是非とも鑑賞されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

No need.

「要らない」、「不要」、「必要なし」の意。

Should I wear a tie? ネクタイはつけるべきでしょうか?

No need. その必要はない

のように使う。『 シン・ゴジラ 』でも石原さとみが”No need.”と切り返す場面があった。割とよく使う表現なので、覚えておいて損はない。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, エマ・ロバーツ, スリラー, ヒラリー・スワンク, ベティ・ギルピン, 監督:クレイグ・ゾベル, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 ザ・ハント 』 -D・トランプが問題視した良作-

『 ウィッチサマー 』 -凡百の夏ホラー

Posted on 2021年8月27日 by cool-jupiter

ウィッチサマー 50点
2021年8月22日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:ジョン=ポール・ハワード パイパー・カーダ
監督:ブレット・ピアース ドリュー・T・ピアース

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サム・ライミが絶賛していたと聞いて、期待に胸を躍らせて2021年2月のこと。コロナによって劇場鑑賞の気を逸し、満を持してレンタルにて鑑賞。やはり Don’t get your hopes up.

 

あらすじ

両親が離婚したベン(ジョン=ポール・ハワード)は、ひと夏を父の経営するヨットクラブでのバイトのために費やそうとしていた。ある時、隣家の女性の様子がおかしいことに気付く。調べるうちに、その女性は人間の記憶を消す魔女であることが分かり・・・

 

ポジティブ・サイド

魔女というのは何も『 ウィッチ 』のように中世を舞台にする必要はない。アイデア次第でいくらでも勝負できるジャンルであると感じる。本作も、チャレンジ精神は評価したい。面白いなと感じたのは、魔女の特性。記憶を消すというのはどちらかというと超能力の類に思えるが、それを魔女の力であると納得させてくれる。周りの人間の記憶がどんどん消され、自分だけが記憶と正気を保っているというのは、観ていてかなりスリリングだった。周囲の誰も分かってくれず、自分だけが恐怖の存在に気付いているという点で『 イット・フォローズ 』とよく似ている。

 

魔女という荒唐無稽な存在を対極に、ティーンエイジャーのひと夏の体験要素を盛り込むことで、『 13日の金曜日 』シリーズの初期作品のような空気が流れていた。Campyであるが、たまにはこういう nostalgy も悪くない。

 

魔女そのもののビジュアルもなかなか。それなりに怖いし、けれども何か立ち向かえそうな気もする。魔女の住処にベンが乗り込んでいって対決する終盤は、まんま『 IT 』(特にテレビ映画の方)のクライマックス。これまた懐かしい空気である。

 

最終盤のどんでん返しも、まあまあである。

 

ネガティブ・サイド

80年代の量産型ホラーの雰囲気を漂わせるなら、お色気シーンも作るべきだった。プールのシーンは期待させてくれたが、男の裸を見せてどうする。

 

ジャンプ・スケアをやたらと多用するのはいかがなものか。雰囲気は80年代でもいいが、演出の技法まで昔のものを使ってどうする。とはいうものの、今に至るまでジャンプ・スケアは一つの様式美で、これを使わないホラーというのも考えにくいという皮肉ではあるが。

 

どんでん返しがかなり読みやすい。記憶がなくなるという一種のトリックをミステリならどう料理するかを考えれば、答えはおのずと見えてくる。Jovianお勧めの『 ムゲンのi 』を律儀に読了した人なら、途中でピンと来るはずだ。

 

最大の問題は、ラストシーン。映画の印象のかなりの部分はラストのインパクトあるいは余韻で決まる。本作のようなホラーは、観る側に「え、これってまさかそういうこと?」と考えさせるべきで、「ああ、そうなのね」と納得させるような終わり方は悪手である。そう考えると『 殺人の追憶 』のラストは、インパクトという面でも余韻を残すという面でもパーフェクトだったなあと思い起こされる。

 

総評

「全米で5週連続興収1位」というのは歴然たる事実だが、コロナ禍で映画館がどこも壊滅状態、新作も延期に次ぐ延期という中で達成されたこの記録にまんまと騙されてしまった。クソホラー映画とまでは言わないが、極めて凡庸なホラーとしか言えない。ホラー好きなら、格安レンタルまたは配信まで待つのが吉である。スルーも当然、選択肢である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Don’t forget me.

「忘れないでね」の意。ディズニー映画の Theme Song に ”Remember Me”というのがあったが、 意味はほとんど同じである。forgetという動詞は「忘れる」以外にも類似の多彩な意味があり、これを使いこなせれば英語中級者以上である。その一例として Forget it. というものがある。気になる人はこちらを参照のこと。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, ジョン=ポール・ハワード, パイパー・カーダ, ホラー, 監督:ドリュー・T・ピアース, 監督:ブレット・ピアース, 配給会社:AMGエンタテインメントLeave a Comment on 『 ウィッチサマー 』 -凡百の夏ホラー

『 フリー・ガイ 』 -R・レイノルズの代表作になるか-

Posted on 2021年8月21日 by cool-jupiter

フリー・ガイ 75点
2021年8月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ライアン・レイノルズ ジョディ・カマー リル・レル・ハウリー タイカ・ワイティティ ジョー・キーリー
監督:ショーン・レヴィ

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ライアン・レイノルズ作品。ほとんどが箸にも棒にも掛からない作品なのだが、たまに傑作が混じっている。本作は個人的には傑作である。ただし、波長が合わない人にとっては間違いなく地雷である。

あらすじ

「フリー・シティ」というオンライン参加型のゲーム内のNPC(Non-Playable Character)であるガイ(ライアン・レイノルズ)は、謎の女性モロトフ(ジョディ・カマー)に一目惚れ。ある時、モロトフのかけている眼鏡をかけることで、ガイは自分の世界がゲームであると認識してしまい・・・

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ポジティブ・サイド

ゲームの世界を舞台にしている点で『 竜とそばかすの姫 』そっくりだが、視点をプレイヤーではなくモブキャラに持ってきたのは割と斬新なアイデアなのではないか。ドラクエやFFで村人に話しかけたら、いつもと違う答えが返ってきたらプレイヤーは腰を抜かすだろう。本作はそうした「NPCの自律」を実はテーマにしている。

ライアン・レイノルズの普通の男っぷりが魅せる。人生に疑問を持たずに生きてきた男が、運命の女性 = Ms. Right を見つけて奮闘する・・・というのはありきたりもいいところのプロット。だが、本作がユニークなのはNPCが色々な経験を積んでレベルアップしていくこと、さらには他のNPCをも巻き込んで、ゲーム全体にまで影響を及ぼしていくところだろう。『 マトリックス 』シリーズとは真逆の発想で、世の中には凄いことを考える人がいるのだなと感心させられる。

ゲーム世界と現実世界のつながりにしっかりと意味がある点も評価できる。『 レディ・プレイヤー1 』のように「ゲームが居場所である」と言いながらも「やっぱり現実サイコー!」になってしまう作品よりも、よっぽど物語の骨格がしっかりしている。モロトフとしてゲームをプレーしているミリーには、ゲームをしなければならない理由があり、そのことがガイというNPCの設定に実は深く結びついているという脚本の妙には痺れた。

単純にアクションとして鑑賞するのも楽しい。ガイがゲームのアイテムを使用してプレイヤーから逃げるシーンは、緊迫感とユーモアが両立する稀有な演出。NPCが大冒険で経験値を積み上げてレベルアップしていくのにも笑ってしまうと同時に、その発想の非凡さに唸らされた。ガイ以外のゲームキャラも楽しい。特にバディを演じたリル・レル・ハウリーは『 ゲット・アウト 』の超面白キャラのノリを保っていて、ガイとの掛け合いは愉快の一言。またゲーム会社のボスであるアントワンも味のある悪役。演じるタイカ・ワイティティは『 ジョジョ・ラビット 』のイマジナリーフレンドのヒトラー役でも怪演したが、今作でもその chew up the scenery な演技は全開であった。

クライマックスはハチャメチャの一語に尽きる。『 ゴジラvs.コング 』のMonsterVerseのように、異なる映画世界を一つにまとめ上げていくのは最早一つのトレンドだが、ここでそう来たか、と。『 レディ・プレイヤー1 』のガンダムとメカゴジラの激突に匹敵する壮絶なパロディが炸裂する。TPPの黒幕である某社の面目躍如である。さあ、大いに笑おう。そして、人生を誰かにコントロールされているかもしれない自分自身を少し顧みてみようではないか。

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ネガティブ・サイド

YouTuberたちや世界の色々なゲーマーたちがガイに注目していっているのに対して。フリー・シティの開発会社の面々が本気で対策に乗り出さない理由の描写が弱かったと思う。アントワンから「奴を消せ、しかし奴の中身のデータは見るな」的な指示によって社内に波紋が広がるようなサブプロットがあっても良かったように思う。

裏の主人公であるキーズの見せ場が少なかったか。アントワンと対峙するも、口論であっさり敗退・・・という強烈なシーンがあれば「男は黙ってコードを書く」的なキャラの印象がもっと強まったはずだ。

総評

ライアン・レイノルズがついに『 デッドプール 』以外の代表作を手に入れたか。同僚カナダ人に”Most of his movies are garbage.”と評されてしまうライアンだが、『 名探偵ピカチュウ 』と本作によって、コメディとシリアスの間を自在に行き来できる役者であることがあらためて証明された。デッドプールの第3作も期待できるかもしれない。ある程度、映画やゲームのバックグラウンドがある人であればかなり楽しめるかもしれないし、逆に「ふざけるな!」と憤慨してしまうかもしれない。いずれにせよ、現状に閉塞感を感じる人にこそ本作は鑑賞してほしい。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Don’t have a good day. Have a great day!

日本語にするのが難しいが、相手との別れ際の挨拶として”Have a ポジティブな形容詞 + 名詞”というのが定番である。時間帯によっては day = 昼だったり、evening や night も使うし、週末であれば weekend となる。旅行という文脈では Have a nice trip. や Have a nice stay. が定番である。great は good よりも「良い」の意味合いが強い。映画『 エアレース 』でも、”If he’s good, I’m great.” = 「あいつが good なら、俺は great だ」というセリフもあった。great > good なのである。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アメリカ, ジョー・キーリー, ジョディ・カマー, タイカ・ワイティティ, ライアン・レイノルズ, リル・レル・ハウリー, 監督:ショーン・レヴィ, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 フリー・ガイ 』 -R・レイノルズの代表作になるか-

『 ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』 -もう一度コンセプトを見直せ-

Posted on 2021年8月20日 by cool-jupiter

ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 60点
2021年8月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イドリス・エルバ マーゴット・ロビー ジョン・シナ
監督:ジェームズ・ガン

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デイヴィッド・エアー版の『 スーサイド・スクワッド 』をジェームズ・ガンがリブート。エアー版より良くなっているところもあるが、やはり悪者軍団の魅力が描き切れていないのではないだろうか。

 

あらすじ

減刑10年と引き換えに集められた犯罪者たち。彼ら彼女らに与えられたミッションは、南米の小国にある施設ヨトゥンヘイムに侵入し、世界の平和をおびやかす研究を破壊すること。そのためにブラッドスポート(イドリス・エルバ)やハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)らがタスクフォースXとして現地に派遣されるが・・・

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ポジティブ・サイド

開始から数分で前作のキャラがドンドン退場していく。そのあまりの小気味の良さに笑ってしまう。しかも、まあまあのゴア表現もあり、なかなかよろしい。いきなり仲間内から裏切り者が出て、その裏切り者もあっさりと殺されてしまう。これでこそ悪人ぞろいのスーサイド・スクワッドという感じがした。

 

新生したザ・スーサイド・スクワッドの各メンバーも多士済済。前作では、ディアブロが強すぎ、キャプテン・ブーメランが弱すぎという、かなりアンバランスな構成で、見せ場の多くはデッド・ショットが持って行ってしまった。今作ではブラッドスポートがデッド・ショット的なポジションながら、スクワッドのメンバーがちゃんと ensemble cast になっている。このへんの匙加減が『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 』を思わせる。

 

中盤のハーレイ・クインの大暴れが一番の見どころ。結構な殺しっぷりだが、『 ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY 』同様に、人間がカラフルな紙吹雪状になって散華していく様はやっぱり笑ってしまう。ブラッドスポートとピースメイカーの殺し合い合戦もユーモラス。「こやつら、かなりできる」と観客に思わせてからのオチにも笑った。

 

極悪隊員たちが怪獣に挑むというスペクタクルは圧巻。敵の倒し方にも説得力がある。スーパーパワーで敵を倒しては興ざめで、ちゃんとスクワッドのメンバーの固有の能力で倒してくれたのが良かった。

 

フラッグ大佐や真の悪党アマンダおばさんが続投してくれていることで、DCEUとのつながりも保たれている。またジョーカーが一切出てこないので、ストーリーの軸がぶれない。続編があるなら(そして”Pop Goes the Wiesel”な展開になるなら)、映画館で観てみようかと思う。

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ネガティブ・サイド

やはり何か違う。前作では、なぜDCの正統的なスーパーヒーロー、たとえばスーパーマンやワンダーウーマンが出張って来ないのか分からなかった。今作でもそれは同じ。言ってみれば、アメリカの暗部に直結する dirty work = 汚れ仕事をこなす汚れ役、それがスーサイド・スクワッドであり、ザ・スーサイド・スクワッドでもある。ただ、相手が宇宙生命体にして怪獣である(トレイラーに散々映っているので spoiler ではないだろう)となれば、大げさに言えば地球の危機。ならばゴジラかスーパーヒーローを呼んで来いという話になる。極悪人に、同じくらいの極悪人をぶっ殺してこいというミッションなら分かるが、これでは刑務所にいる悪党どもを集める意味がそもそもないではないか。

 

フラッグ大佐のキャラのトーンが前作と違うのも気になった。前作では「どうやってこいつらをまとめ上げればいいんだ」と苦悩する生真面目な軍人風味だったのが、今作ではどこか抜けた雰囲気の軍人になってしまった。かと思うと、アマンダの非道っぷりは変わらず。このあたりのキャラを続投させるなら、前作の性格をちゃんと引き継がせてほしかった。

 

総評

爽快感は間違いなくある。アクションは派手かつコミカルで、人間ドラマの要素もしっかりと組み込まれている。しかし、何かが違う。悪人が結局、善人になってしまっては面白くもなんともない。最終的に家族ドラマに落ち着いてしまっては、前作と同じ、かつアメリカ的な正統なイデオロギーから脱していない。つまり、スーパーヒーロー映画と根本的に同じになってしまう。「 “極”悪党、集結 」などという邦題に期待しなければ、楽しめる作品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

suicide

「自殺」の意。形態素解析すると、それぞれラテン語で sui + cide となる。sui = self, cida = killer である。cida が英語になる際に cide と綴りが変わった。cide = killer と覚えておけば色々と応用が利く。pesticide = 小さな動物を殺すもの = 殺鼠剤、殺虫剤となるし、homicide = 人間を殺すもの = 殺人となる。英検一級を目指すなら、regicide や fratricide を知っておきたい。 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アクション, アメリカ, イドリス・エルバ, コメディ, ジョン・シナ, マーゴット・ロビー, 監督:ジェームズ・ガン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 』 -もう一度コンセプトを見直せ-

『 ドント・ブリーズ2 』 -第3作に続くか-

Posted on 2021年8月19日 by cool-jupiter

ドント・ブリーズ2 70点
2021年8月14日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:スティーブン・ラング ブレンダン・セクストン3世 マデリン・グレース
監督:ロド・サヤゲス

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前作『 ドント・ブリーズ 』の脚本家が続編を監督。普通に面白かった。『 クワイエット・プレイス 破られた沈黙 』のように続編も前作のオリジナルを保っていて、なおかつ『 ボーダーライン 』で主役だったエミリー・ブラントが、続編『 ボーダーライン ソルジャーズ・デイ 』では退場、主役をベニシオ・デル・トロが引き継いだ構図とよく似ている。

 

あらすじ

盲目の元ネイビーシールズ隊員のノーマン(スティーブン・ラング)は、少女フェニックス(マデリン・グレース)を、厳しくトレーニングしながら養育していた。ある日、自宅が謎の男レイラン(ブレンダン・セクストン3世)たちに襲撃される。応戦するノーマンだったが、フェニックスをさらわれてしまい・・・

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ポジティブ・サイド

前作では家そのものが一つの巨大なキャラクターのようだったが、本作でもそうした雰囲気は健在。序盤で男たちが家に侵入してきた際に、家屋内を縦横無尽にワンカットで移動していくカメラワークには痺れた。終盤のとあるロケーションでの闘いも、視覚によって聴覚と触覚を表すという演出が素晴らしく印象に残った。

 

ゴア強めのアクション要素がアップしたのは個人的には嬉しい。第一作は、盲目の老人が超強い+相手の家から出ようにも出られないという、二つのホラー要素が上手くハマった。まともに戦えば勝てないが、相手は盲目。しかし、場所は相手のホームグラウンドという設定が絶妙だった。逆に言えば、一回こっきりでしか使えないアイデアだった。今作では相手も元軍人にすることで、バトルに緊迫感をもたらした。このホラー路線からアクション路線への変更は奏功したと言っていい。

 

盲目老人のがハンデを次々に克服して、レイラン一味を追い詰めていく方法にも、まあまあ説得力がある。またレイランがフェニックスを狙う理由もなかなかに狂っていて、人間の業を感じさせる。ある意味、エゴとエゴがぶつかり合っているわけだが、観る側はレイランよりもノーマン老を応援したくなる。その仕掛けは、ぜひ劇場でお確かめあれ。

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ネガティブ・サイド

Don’t breathe = 息をするな、という要素がなくなってしまった。それどころか、序盤では2度ほど”Breathe”=「息をしろ」というシーンが作られていて、「これは終盤に”Don’t breathe!”なシーンが来るという伏線だな」と感じさせられたが、それもなし。クライマックスの「煙幕」シーンで、”Don’t breathe!”と叫ばせることも可能だったのではないだろうか。

 

犬の扱いが雑ではないか。前作では良い味を出していた黒犬のシャドウもそうだが、もう一頭の方は節操がなさすぎる。もちろん、元の飼い主のレイランの言動もちょっとアレだが、もう少しノーマンが犬を手懐けるために行っているほんのちょっとした技のようなものを見せておいてくれれば、中盤以降の展開にもっと説得力が生まれる。

 

エンディング(ポスト・クレジット前)のシーンはまんま『 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 』のエンディング。重要なシーンだからこそ、もう少しオリジナリティが欲しかった。

 

総評

主人公の変態属性が薄まったが、戦闘能力は健在。アウェーでもそこそこの説得力のある戦いになっており、ホラー色が薄まったものの、アクション要素がパワーアップ。前作の恐怖要素に辟易した向きも、本作になら入っていきやすいのではないか。ほんのわずかだがポスト・クレジットの映像があるので、最後まで御覧あれ。期待せずに待とうではないか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

go home

家に帰る、の意。よくある間違いとして go back home というものがあるが、これはしばらく家に帰っていない人が使う表現。たとえば単身赴任している人が久しぶりに家に帰る時などに使う。職場や学校などで「今日は何時に家に帰る?」というのは、”What time are you going to go home today?”と言う。 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アメリカ, スティーブン・ラング, ブレンダン・セクストン3世, マデリン・グレース, 監督:ロド・サヤゲス, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 ドント・ブリーズ2 』 -第3作に続くか-

『 イン・ザ・ハイツ 』 -傑作ミュージカル-

Posted on 2021年8月9日2021年8月9日 by cool-jupiter

イン・ザ・ハイツ 80点
2021年8月1日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:アンソニー・ラモス メリッサ・バレラ
監督:ジョン・M・チュウ

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仕事の超繁忙期なので簡易レビューしか書けない・・・

 

あらすじ

ウスナビ(アンソニー・ラモス)は、発展していくNYの中でも取り残されつつあるワシントン・ハイツ地区で、移民のルーツを持つ仲間たちと必死に、しかし夢をもって生きてきた。しかし、ある真夏の夜に大停電が起き、そこで彼らの運命を変えることになる事件が起きる・・・

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ポジティブ・サイド

冒頭から圧巻の歌とダンスのシーンが繰り広げられる。その点では『 ラ・ラ・ランド 』と全く同じなのだが、あちらがいかにも人工的に作った映像と音楽だったのに比べ、こちらはそこに生きている人間の息遣いが感じられた。それは究極的には『 ラ・ラ・ランド 』は夢見る白人たちの物語であって、その世界に生きる人間の夢も、LAというエンターテイメント業界の中心地における成功以上の意味合いが感じ取れなかったから。『 イン・ザ・ハイツ 』は、社会のメインの潮流から cast out されてきた人々の連帯の物語。どちらに感情移入しやすいか、どちらに自分を重ね合わせ安いかとなると、Jovianとしては後者である。また楽曲やダンスのクオリティも『 ラ・ラ・ランド 』よりも高いと感じた。冒頭の8分間は『 ベイビー・ドライバー 』の冒頭6分間にも匹敵すると言っても過言ではない。

 

あとは物語世界の中でキャラクターたちが必死に生きる姿を追いかけるだけで良い。『 ラ・ラ・ランド 』では一方が夢をあきらめてしまったり、『 ベイビー・ドライバー 』はクライム・ドラマだったりしたが、本作にはそうしたネガティブな要素は出てこない。いや、途中で出てくるには出てくるが、そのキャラクターも一度は諦めた夢をもう一度追いかけることを決断する。そこには家族、恋人、そして地域の愛があった。陳腐な表現を使えば、現代社会で忘れられかけた連帯というものが、力強くフォーカスされていた。停電という一種の人災の中、知恵と工夫で乗り切ろうとする人々、自らの職務に愚直に邁進する人々、そうした人々の姿に大いに胸を打たれた。邦画でミュージカルをやるとだいたいコケるのだが、本作でスポットライトが当たっているラテンの世界には歌と踊りの伝統がある。『 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ 』でも描かれていたように、歓喜も悲哀も歌に昇華してしまうのがラテンのノリ。それがあるからこそミュージカルという形式がハマる。

 

貧富の格差がどうしようもなく拡大しつつある現在、それでも carpe diem な精神を持って、Home is home という生き方を体現するワシントン・ハイツの人々の生活を大スクリーンと大音響で体験されたし。

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ネガティブ・サイド

『 パブリック 図書館の軌跡 』では最大級の寒波が到来しているにもかかわらず、吐く息が全く白くならないというミスがあった。本作も同じく、熱波が到来している中での停電にもかかわらず、誰も汗を滴らせていないというのは気になった。

 

舞台を映画化したということだが、途中でライトセーバーをCGで表現したりするシーンは感心しなかった。無いものを見せる。それが表現力であるし演出力だろう。ライトセーバー特有のあのヴーンという効果音を使う方がより効果的だっただろう。

 

総評

快作である。日々のうっぷんが晴れるかのような気分になった。弱者という言葉がふさわしいかどうか分からないが、発展に取り残された街区での人々の連帯という点が、コロナ禍において行政や科学技術の面で立ち遅れた日本に暮らす自分の心を大いに射抜いた。楽曲の良さも保証できる。ミュージカルというジャンルに慣れていない人にも、ぜひ鑑賞いただきたいと思う。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

There’s no place like home.

『 オズの魔法使 』でドロシーがカンザスに帰るために赤い靴を履いて念じた言葉。本作でも、ある歌唱&ダンスのシーンで使われている。この表現自体は超有名かつ使いどころも非常に多い。たとえばsummer vacationが明けて職場に帰ってきた。同僚に”Did you enjoy summer vacation?”と尋ねられ、”Yeah, I went to Nagano, but there’s no place like home.”のように言うこともできる。Naganoというのはパッと頭に浮かんだ地名であり、何か含むところがあるわけではない。念のため。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, アメリカ, アンソニー・ラモス, ミュージカル, メリッサ・バレラ, 監督:ジョン・M・チュウ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 イン・ザ・ハイツ 』 -傑作ミュージカル-

『 17歳の瞳に映る世界 』 -学校の教材にすべき傑作-

Posted on 2021年8月3日 by cool-jupiter

17歳の瞳に映る世界 80点
2021年7月31日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:シドニー・フラニガン タリア・ライダー セオドア・ペレリン
監督:エリザ・ヒットマン

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原題は”NEVER RARELY SOMETIMES ALWAYS”、「決してない、ほとんどない、時々ある、常にある」の意味である。この原題がいったい何を意味するのかが分かるシーンは2021年屈指の名シーンであり、多くの男性を慄然とさせることだろう。

 

あらすじ

17歳のオータム(シドニー・フラニガン)は妊娠してしまう。同じスーパーでアルバイトをしている従妹のスカイラー(タリア・ライダー)は、バイト先の金を着服して、中絶のために保護者の同意が必要ないニューヨークに向かうが・・・

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ポジティブ・サイド

中絶をテーマにした作品には『 JUNO ジュノ 』や『 ヘヴィ・ドライヴ 』など、ちらほら作られてきた。特にアメリカは北部と南部でpro-choice(中絶容認)派とpro-life(中絶反対)派が激しく対立する社会で、州によって中絶の可不可がくっきりと別れている。本作の主人公オータムが暮らすペンシルバニアは中絶が可能。しかし、保険証を使うと両親に請求が行ってしまい、中絶手術が露見してしまう。それを避けたいオータムと、彼女を見守るスカイラーの旅路が本作のメインを占める。言ってみればロード・ムービーなのだが、その旅路の中で(いや、旅路の前でも)彼女たちが目にする世界には、色々と考えさせられるものがあった。

 

冒頭、何らかのイベントのステージで、次々に皆が歌を歌っていく。その中でオータムがギターの弾き語りを披露する中、客席からは”Slut!”という罵声が飛ぶ。通常の映画なら「なるほど、この声の主がオータムのロマンスの相手か、または恋路を邪魔する男なのだな」と感じるところなのだが、オータムはレストランで自分をまったく気にかけない父親を無視し、罵声を浴びせてきた相手の男の顔面に水をぶちまける。無表情ではあるが、激情型であることを明示する。

 

バイト先のスーパーでも無遠慮な男性客にセクハラ丸出しの店長と、17歳の瞳に映る世界には『 SNS 少女たちの10日間 』に出てくるような sexual predator が数多く生息していることが分かる。しかし、ここまでなら「とんでもない男がいるもんだな」で話は済む。

 

問題はこの先で、ニューヨークのクリニックで中絶に際してのカウンセリングをオータムが受けるところ。原題にある”Never, Rarely, Sometimes, Always”という表現のいずれかを使って、質問に答えるシーン。BGMもなく、音響効果も視覚効果もなく、ただただ役者の演技だけを淡々と映し続ける。ただそれだけであるにもかかわらず、胸が締め付けられてしまう。17歳にしてはオータムの性経験が豊富だなと感じるからではない。邦題にある通り、『 17歳の瞳に映る世界 』は決して安住できる世界ではないからだ。質問に対して言葉を詰まらせるオータムの姿の向こうに、色々な男性の姿が想起されてくるのだ。

 

このシーン、男性諸賢はよくよく噛みしめられたい。「そうか、なかなかしんどい関係を持ってきたんだな」で終わらせてはならない。このシーンを自分とパートナーの関係に置き換えて鑑賞しなければならない。たとえば自分の恋人に「いいでしょ」とか、「え、ダメなの?」とか、「大丈夫だから」とか、優しい口調で、しかしプレッシャーを与えるような言葉を発したことがない男性はどれくらいいるだろうか。よくよく自分の胸に手を当てて考えてみてほしい。

 

オータムの良き理解者であり従妹であり親友でもあるスカイラーだが、二人の距離感はなかなかに複雑だ。日本の少女漫画のようなあからさまなケンカと、お約束の仲直りなどはそこにはない。くっつきすぎず、しかし離れすぎず。道中のバスでアダム・ドライバー的な顔立ちの男がちょっかいを出してきて、これがスカイラーとなかなか良い感じになってしまう。17歳の女子など機会があればアバンチュールしてしまうものだが、こうした展開が逆にリアリティを増している。しかもこの男、下心丸出しでありながら、普通にgood guyでもある。10代の男の性欲など、鳩や犬のようなものだが、それをある意味で上手に利用するオータムとスカイラーも、搾取されるだけの弱い女子ではない。

 

特に大きな事件もない。大きな人間関係の進展や破綻もない。どこまでも淡々とした物語である。だからこそ、実は世界のどこかで常にこうした物語が現在進行形で進んでいるのではないか。そのように思わされた。

 

ネガティブ・サイド

最初のクリニックからの二度目の電話はどうなったのだろうか?

 

ラストの余韻をもう少し長く味わわせてほしかった。『 スリー・ビルボード 』のエンディングも素晴らしいものがあったが、個人的にはもう20~30秒欲しかった。本作も同じ。もう数秒から数十秒でよいので、オータムの表情にカメラに捉え続けてほしかったと思う。

 

総評

一言、大傑作である。Jovianはこの夏、多くの日本の中学生、高校生、大学生たちに本作を観てほしいと心底から願う。女子同士で鑑てもいいし、カップルで鑑賞するのもありだろう。エンタメ要素は皆無だが、これほどまでに観る者の心を打つ作品には年間でも2~3本しか巡り合えない。本作は間違いなくその2~3本である。映画ファンならば、チケット代を惜しんではならない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

positive

様々な意味を持つ語だが、ここでは「陽性」の意味・用法を紹介する。本作では妊娠検査の結果を指してpositive = 妊娠している、という意味で使われているが、現実の世界でも毎日のように市井の一般人から有名人までコロナ陽性者が報じられている。英語では「彼はテストの結果、コロナ陽性となった」=”He tested positive for corona.” のように表現する。テストの結果、陰性であると判明した場合は、”test negative”となる。ちょうど五輪たけなわであるが、ドーピング検査などでも同様の表現を使うので、英字新聞を読む人なら既によく知っている表現だろう。受験生なども今後は必須の語彙・表現になるのではないか。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, アメリカ, シドニー・フラニガン, セオドア・ペレリン, タリア・ライダー, ヒューマンドラマ, 監督:エリザ・ヒットマン, 配給会社:パルコ, 配給会社:ビターズ・エンドLeave a Comment on 『 17歳の瞳に映る世界 』 -学校の教材にすべき傑作-

『 デューン/砂の惑星 』 -復習鑑賞-

Posted on 2021年8月2日 by cool-jupiter

デューン / 砂の惑星 50点
2021年7月28日 WOWOW録画鑑賞
出演:カイル・マクラクラン
監督:デビッド・リンチ

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これは確か子どもの頃に父親がレンタルで借りてきたのを一緒に見た記憶がある。サンドワームを観て、「あ、『 スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲 』の宇宙ナメクジや!」と思ったが、本当に先なのはこちら。ヴィルヌーヴ版の公開を前に昔のDVDを引っ張り出して復習鑑賞。

 

あらすじ

巨大なサンドワームが巣食う砂の惑星アラキス、通称デューンでは「メランジ」と呼ばれる恒星間移動を可能にするスパイスが産出される。そのスパイスの採掘をめぐり宇宙皇帝、アトレイデス家、ハルコネン家の間で陰謀と闘争が繰り広げられて・・・

 

ポジティブ・サイド

『 スター・ウォーズ 』シリーズや『 トータル・リコール 』などに見られる宇宙の違う星での出来事、という感覚が全編を通じて伝わってくる。それは衣装や小道具・大道具の力によるところが大で、これが小説と映画の違い。文字で書けば20語で済むようなことでも、映像化させるとなると途轍もない手間が必要。そのミッションを完遂した裏方スタッフさんたちに満腔の敬意を表したいと思う。

 

皇帝側の送り出してくる刺客連中の醸し出す雰囲気も『 ブレード・ランナー 』のレプリカント的であり、『 マッドマックス/サンダードーム 』的でもある。これも、元祖は本作。スティングのキャスティングも、ティナ・ターナーのキャスティングと共通するものを感じる。歌手を役者にするという、ある種の時代の潮流を本作が作ったのかもしれない。

 

主人公のポールがフレーメンに合流して、サンドワームを乗りこなし、銀河皇帝を相手に一挙に蜂起していく様は爽快の一言。campyとしか言いようがない特殊技術の数々であるが、当時の技術レベルを考えれば、非常にmajesticなシーンの数々だったのではないだろうか。

 

ネガティブ・サイド

やはりストーリーが意味不明である。スパイスである「メランジ」は元々、超長寿命を手に入れられる秘薬ではなかったか。本作ではそこのところがぼやけている。

 

皇帝と様々な公爵家の関係や、銀河に存在する多くの星系同士の関係がどうしても見えてこない。超巨大スケールのスペクタクルのはずが、どうしても非常にこじんまりとした内輪もめの話にしか感じられない。

 

欠点と言ってしまうと言い過ぎかもしれないが、主人公ポールの成長過程、および妹の誕生過程の描写が薄い。もっとも、ここを丹念に描くと作品全体の長さが3時間になってしまう。それでも、アトレイデスとハルコネンの確執や、ポールが自身の力を自覚し、鍛え、成長していく中で、野望が確信に変わる様を、もっと丁寧に映し出してほしかったと思う。

 

総評

今の目で見るとなかなかキツイ。しかし、昭和のゴジラ作品や『 スーパーマン 』を鑑賞するような姿勢で臨めば、それなりに楽しめるはず。映像技術については時代背景を考慮する。ストーリーやキャラクター造形にも当時の世相がある程度反映されていることを承知しておく。是非それを心がけれられたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I am not here.

直訳すれば「俺はここにいない」という矛盾した意味になるが、要するに居留守あるいはオフィスにいるのに離席中ということにしたい時にこう言う。実際にJovianの同僚は、割と頻繁にこの表現を使ってくる。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1980年代, D Rank, SF, アメリカ, カイル・マクラクラン, 監督:デビッド・リンチLeave a Comment on 『 デューン/砂の惑星 』 -復習鑑賞-

『 ブラック・ウィドウ 』 -二代目ブラック・ウィドウの誕生-

Posted on 2021年7月31日 by cool-jupiter

ブラック・ウィドウ 50点
2021年7月24日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:スカーレット・ジョハンソン フローレンス・ピュー
監督:ケイト・ショートランド

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『 アベンジャーズ / エンドゲーム 』以来のMarvel映画。Jovianは正直なところ、ゴジラとスター・ウォーズはいつまでも観ていたいが、Marvelはどれもこれも1~2回観ればいいかなと常々感じてきた(スパイダーマン除く)。本作も世評ほどの佳作には感じなかった。

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あらすじ

ナターシャ・ロマノフ(スカーレット・ジョハンソン)は、キャプテン・アメリカ側について「シビル・ウォー」を起こしたことから国際指名手配されていた。逃避先のノルウェーで謎の敵に襲われたナターシャは、ブダペストの隠れ家に向かう。そこでかつての妹、エレーナ(フローレンス・ピュー)に再会する。自分たちを超一流のスパイかつ暗殺者に育て上げた組織「レッドルーム」が今もウィドウと呼ばれる暗殺者たちを養成していると知った彼女たちは、かつての家族の助力を得ようとして・・・

 

ポジティブ・サイド

”Smells Like Teen Spirit”の女性カバーによって淡々と描かれるナターシャの成長と暗殺の歴史。ブラック・ウィドウのガールの部分は序盤で割と丁寧に描き、ウーマンやワイフにあたる部分はダイジェストにするのは間違った判断ではない。クロゴケグモよろしく、『 AVA / エヴァ 』におけるジェシカ・チャステインのような任務をいくつも性交・・・ではなく成功させてきたのだろうが、スーパーヒーローにそうした描写は似合わないし、時代が要請するものでもない。

 

ストーリーもアクション多めというのは有難い。Marvel Cinematic Universeに通暁していなくても、単にど派手なアクションを鑑賞して楽しむこともできる。特にブラック・ウィドウは肉弾戦が主体で、ビームの打ち合いになったりしないところが良い。ブダペストの隠れ家での姉妹のバトルはプロレス的な楽しさがあったし、その後のカーアクションはど派手の一言。邦画でもこれぐらいのカーアクションをもっと観たいと思わせてくれた。

 

姉妹の共闘、父親の救出、そして母親との合流など、ストーリー進行のテンポが早い。『 アクアマン 』のように、次から次へとミッションを進めながらクライマックスに向かっていく疾走感が心地よい。悪い男に操られていた女性たちが独立不羈の存在になっていくというストーリーは、ベタではあるが現代的なメッセージだと言えるだろう。

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ネガティブ・サイド

ナターシャというキャラクターで、個人的に最も知りたいと思っていたのは「なぜハルクと良い感じの雰囲気になれたのか」だったが、そうした部分に迫るような背景描写は一切なかった。アベンジャーズを疑似的ではあるが家族として捉えていたのは本物の家族がいないことの裏返しであることは分かったが、偽物の家族でも本物の家族になりうるというのは、映画一本かけて追究しようとするテーマだろうか。もちろん『 万引き家族 』という優れた先例もあるが、本作ではそれが本筋ではないように感じた。

 

フローレンス・ピュー演じる妹も、いちいちナターシャの挙動に突っ込みを入れるのは面白くなかった。ここらへんのユーモアは受け取り手ごとに感想は様々に変わるのだろうが、Jovianは「それはもう『 デッドプール 』でもうやっただろ?」としか思わなかった。

 

細部の描写もリアリティを欠く。父親のアレクセイが背中にタトゥーを彫ってもらいながら次々に色んな相手と腕相撲をしていたが、そんなことが可能か?きっと背中にはグニャグニャの刺青が入ったことだろう。この親父も父親像としてはピンとこなかった。典型的なpositive male figureとして描く必要はないが、どこらへんに父親としてのパワーがあるのか伝わってこなかった。これが例えば、上述のタトゥーが、実はかりそめに過ぎないわずか数年の間の家族への惜別の情を表したものだった、ということであれば人物像もガラリと変わるのだが、そんなことはなかった。この男に感情移入しろというのはなかなかに難しい注文だった。

 

ポスト・クレジットでは「うーん、その方法で盛り上がるのか?」というストーリーが示唆される。『 ゴジラvs.コング 』のような展開になるのは火を見るよりも明らかだ。

 

総評

つまらなくはないが、手に汗握る面白さでもない。アクションだけが見どころというわけではないが、では一体何を楽しめばいいのか、鑑賞後の今もよく分からない。『 アベンジャーズ /エンドゲーム 』以前と以後の両方をつなぐ物語としての説得力が弱いと感じた。個人的にはナターシャのウィドウとしての活躍よりも、ガールの頃をもう少し丹念に描いてほしかったと思う。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

No shit.

『 プライベート・ウォー 』でも紹介した表現。意味としては”You bet.” =「そのとおり」と同じだが、ニュアンスが違う。expletiveな語が使われているように、やや過激なニュアンスがあるが、フランクな日常会話では結構頻繁に使われる表現である。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アクション, アメリカ, スカーレット・ジョハンソン, フローレンス・ピュー, 監督:ケイト・ショートランド, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 ブラック・ウィドウ 』 -二代目ブラック・ウィドウの誕生-

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