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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 配給会社:東和ピクチャーズ

『 ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング 』 -Adios, Luther-

Posted on 2025年5月27日2025年5月27日 by cool-jupiter

ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング 70点
2025年5月24日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:トム・クルーズ
監督:クリストファー・マッカリー

 

トム・クルーズが好き勝手にやるためのシリーズ。前作『 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 』のPART TWOではなく、ファイナル・レコニングというサブタイトルが意味深長である。

あらすじ

エンティティの秘密につながる鍵を手にしたイーサン・ハント(トム・クルーズ)だが、核保有国が疑心暗鬼に陥り、アメリカも先制攻撃を辞さないという姿勢に。イーサンはエンティティを使っての世界支配をもくろむガブリエルを追うために、米大統領の呼びかけに応じて・・・

ポジティブ・サイド

かなり丁寧に導入部を描いてくれたおかげで、前編の記憶が割と簡単によみがえってきた。同じように感じた観客は多かったと思われる。

 

前作で少し分かりにくかった脅威が、今作では核保有国全ての核兵器がエンティティに乗っ取られる恐れありという非常に分かりやすいものだった。『 ミッション・インポッシブル フォールアウト 』では世界最大の水源の汚染が目論まれたが。今回はターミネーター並みに分かりやすい破滅のビジョン。

 

とにかくアクションの連続で、イーサンが走って走って走りまくる。トム・クルーズが普段から相当に節制していること、そして映画作りに情熱を注ぎ込んでいることがこれでもかと伝わってくる。地上のみならず、海でも空でも大暴れ。特に空では『 トップガン マーヴェリック 』を超えるアクロバティック飛行を見せてくれた。

 

新キャラをチームに入れたが、ルーサーとベンジーの御両所がそろっていれば、それだけで満足。続編が作られるかどうかはトム・クルーズのみぞ知る。

ネガティブ・サイド

『 デッドレコニング 』のキャラクターから引き続き登場すべきだったヴァネッサ・カービーが一切姿を見せなかったのは何故なのか。

 

散々イーサンを引っ掻き回したガブリエルの最期が恐ろしいほどに呆気ない。もっと悲惨な死に方をしてほしかった。

 

世界よりもチームを優先してきたイーサンが、チームをベンジーに託すというのは半分は納得できたが、半分は納得できなかった。

 

総評

非現実的なアクションシーンは多々あれど、3時間近い映画で緊張感を持続させながらも一定の満足感を与えてくれる作品に仕上がっているのは間違いない。土曜のレイトショーでもかなりの客の入りで、トム・クルーズの star power を目の当たりにした。『 ミッション・インポッシブル フォールアウト 』を遥かに超える危機を防いだわけで、これでシリーズの幕となっても不思議ではない。シリーズファンならずとも必見と言いたいが、実際はシリーズの予習が必須となっているので、そこは注意のこと。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

in the field

現場で、の意味。フィールドには野原の意味もあれば分野という意味もあるが、このフレーズには現場という意味がある。ちょうど新入社員が研修を終えて部署に配属されつつある時期だが、営業などは商談研修のイロハを終えて、これからOJTが始まるのだろう。ちゃんとした先輩に同行して in the field で商談や交渉の何たるかを学んでほしいものである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 新世紀ロマンティクス 』
『 金子差入店 』
『 か「」く「」し「」ご「」と「 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アメリカ, トム・クルーズ, 監督:クリストファー・マッカリー, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング 』 -Adios, Luther-

『 クワイエット・プレイス:DAY 1 』 -少々ネタ切れ気味-

Posted on 2024年7月11日 by cool-jupiter

クワイエット・プレイス:DAY 1 50点
2024年7月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ルピタ・ニョンゴ ジョセフ・クィン
監督:マイケル・サルノスキ

 

『 クワイエット・プレイス 』、『 クワイエット・プレイス 破られた沈黙 』に続くシリーズ第三作。

あらすじ

末期癌のためホスピスで暮らすサミラ(ルピタ・ニョンゴ)は、マンハッタンでショーを観る。その後に思い出のピザを食べようと思っていたが、突如街に隕石が降り注ぎ、音を立てるものを何であれ襲う謎の攻撃者が現われる。介助猫のフロドと、偶然に知り合ったエリック(ジョセフ・クィン)と共に、サミラは死ぬ前に思い出のピザを食べたいとピザ屋を目指すが・・・

ポジティブ・サイド

前二作のエミリー・ブラントは「これ以上失うことができない」というキャラだったが、今回のルピタ・ニョンゴは「もはや失うものがない」というキャラ。甲斐甲斐しい男性ナースに対しても「友達ではない」と言い切ってしまう。そんな一種の厭世家が、介助猫のフロドにだけは気を許す。『 マトリックス レザレクションズ 』ではないが、我々は愚かなことに猫には弱い。そしてこの猫が『 落下の解剖学 』の犬のスヌープに優るとも劣らない存在感を放つ。

 

サミラの目的が「生き残る」、「生き延びる」ではなく、「生きたことを実感する」である点がユニーク。”I wanna get pizza” という彼女の欲求は、どこか『 パルプ・フィクション 』のユマ・サーマンの ”I wanna dance, I wanna win, I want that trophy” に通じるものがあった。続編の予感を漂わせた完結の仕方に、ハリウッドの商魂たくましさを垣間見た。

 

ネガティブ・サイド

「音を立てたら超即死」という設定の妙味も、さすがに三作目となると薄れてくる。というわけで、『 ロード・オブ・ザ・リング 』よろしくお供を連れての旅路というプロット自体は悪くないが、そのおかげで緊張感が薄れてしまった。

 

また全二作の主人公が白人女性だった反動か、サミラが道々で白人男子および白人男性を助けて行くという筋立ては、かなり不自然に感じられた。ストーリーを面白くするのに、そんなポリコレ要素は不要だと思うのだが。

 

あとは攻撃者の神秘性を剥ぎ取るような、とあるシーンは蛇足だった。生物なのか、それとも生物型の兵器なのか、という謎は謎のままにしておくべきだったのではないだろうか。

 

総評

話もコンパクトにまとまっていて、サクサク進む。攻撃者がなぜ音にこだわるのか、どこから来たのか、何を狙っているのかはどうでもいい。とにかくハラハラドキドキする設定の中で必死に生きる人々の姿を見守る作品だと思えばいい。続編が製作されればある程度の収益は見込めそう。同時に franchise fatigue =シリーズ疲れも見て取れる。続編の可能性は、結局は観客動員と売上だろう。 

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

service cat

劇中では「介助猫」と訳されていた。そんな猫が存在するのかどうかは寡聞にして知らないが、介助犬は service dog と言う。その中でも最もポピュラーな盲導犬は seeing-eye dog と言う。英検準1級以上を目指すなら知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 朽ちないサクラ 』
『 密輸 1970 』
『 キングダム 大将軍の帰還 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, ジョセフ・クィン, スリラー, ルピタ・ニョンゴ, 監督:マイケル・サルノスキ, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 クワイエット・プレイス:DAY 1 』 -少々ネタ切れ気味-

『 トップガン マーヴェリック 』 -ScreenX + DolbyAtmos鑑賞-

Posted on 2024年6月30日 by cool-jupiter

トップガン マーヴェリック 90点 
2024年6月29日 T・ジョイ京都にて鑑賞
出演:トム・クルーズ マイルズ・テラー
監督:ジョセフ・コジンスキー

 

姫路のScreenXは吹き替えだったため見送っていたが、京都が字幕版を上映するということでチケット購入。

あらすじ

マーヴェリック(トム・クルーズ)は、予定されていたダークスターのテスト飛行がキャンセルされると聞いたが、クルーと共にフライトを強行し、マッハ10を達成する。処罰の対象になるかと思われたマーヴェリックだが、盟友であり提督となったアイスマンの取り計らいにより、トップガンにおいて難関ミッションに挑む若きパイロットたちの教官となる。しかし、そこにはかつての相棒グースの息子、ルースター(マイルズ・テラー)も加わっており・・・

 

ポジティブ・サイド

ScreenXは初めて体験したが、アクション映画と相性ばっちりだと感じた。すべての場面で270度のスクリーンが機能するわけではなく、飛行シーンのみで全方位を見渡せるようになるのは面白かった。まるでパイロット視点を体験しているように感じられた。もしくは疑似VR体験に近かったとでも言おうか。

 

DolbyAtmosも良かった。ライブ音響上映ほどではなかったが、冒頭の Top Gun Anthem や Danger Zone の音圧も肌で感じることができた。まさに “Revvin’ up your engine, listen to her howlin’ roar” だった。

 

劇場自体もかなりの入り。老若男女がまんべんなく来ているという印象で、同作の相変わらずの人気の高さを証明していた。

 

ネガティブ・サイド

見るたびに思うが、戸田奈津子大先生の字幕が・・・ F-14 = a museum piece を「ポンコツ」と訳してしまうと、それはそのままマーヴェリックにも当てはまってしまう。ここはやはり骨とう品や年代物= an old relic と訳すべきだった。他にも突っ込みどころ満載だったが、いつか英語字幕上映とかやってくれないだろうか。

 

総評

ScreenXは関西では京都か姫路にしかないので、行ける人は今のうちに行っておこう。スマホやテレビでコンテンツを楽しむのもいいが、大画面と大音量でこそ堪能できる作品もある。TGMは間違いなくそうした作品。ScreenXは4DXやMX4Dと並んで、(作品さえ正しければ)劇場に客を呼び込める舞台装置だと感じた。ぜひこの機にパイロット視点を体験しようではないか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

ahead of schedule

ハングマンが No harm in being ahead of schedule = 予定より早くても害はない、と劇中では言っていた。実際の軍事作戦では予定通り = on schedule が求められる。また、仕事はしばしば予定より遅れてしまうが、その場合は behind schedule と表現する。3点セットで覚えておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 THIS IS LIFE スマホから見る中国人の人生 』
『 スリープ 』
『 朽ちないサクラ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, S Rank, アクション, アメリカ, トム・クルーズ, マイルズ・テラー, 監督:ジョセフ・コジンスキー, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 トップガン マーヴェリック 』 -ScreenX + DolbyAtmos鑑賞-

『 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 』 -色々と詰め込みすぎ-

Posted on 2023年8月1日 by cool-jupiter

ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 60点
2023年7月22日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:トム・クルーズ ヘイリー・アトウェル
監督:クリストファー・マッカリー

 

繁忙期のため、簡易レビュー。

あらすじ

ロシアの潜水艦が謎の事象により沈没。そこには恐るべき新技術の存在があった。イーサン・ハント(トム・クルーズ)はその技術を手にせんとする者との攻防を繰り広げることになるが、相手はハントがIMFに所属するきっかけを作った因縁の人物で・・・

 

ポジティブ・サイド

トム・クルーズが走ること、走ること。もはや恒例行事だが、この年齢でここまで出来るということを証明し続けるのは、それだけで尊敬に値する。クルーズがナルシストであるのは間違いないが、自己愛を証明し続けるのは誰にでもできることではない。

 

序盤の空港でのやりとりは、IT技術も交えた非常に現代的な攻防。さらにそこにエンティティ=人工知能の脅威を持ってくることで、緊迫感をさらにリアルなものにしている。

 

アクションも相変わらず豪華だが、変装や対話シーンも多く、IMFのエージェントらしい活躍をたくさん目にすることができた。特に孤立無援のはずなのにあれやこれやの物資を調達してくるルーサーに拍手。Guy in the chair でありながら漫画『 エリア88 』のマッコイ爺さんのようだ。Part Twoは間違いなくルーサーがエンティティを解析しているシーンから始まるはず。期待したい。

 

ハントの過去、就中、IMFのエージェントとなるきっかけを作った人物がヴィランということで、シリーズの総決算になりそうな予感。第一作以来の登場のキトリッジもそれを予感させる。

ネガティブ・サイド

トム・クルーズのエゴが色濃く反映されている気がする。序盤の砂漠のシーンとかは『 ザ・マミー/呪われた砂漠の王女 』のリベンジをしたかったのだろうか。終盤の列車シーンも同作の冒頭の飛行機内シーンとそっくりに見えた。そもそも列車の上で戦うのも『 ミッション:インポッシブル 』へのオマージュというか焼き直し。さらに黄色の小型車でのカーチェイスはさすがにやりすぎ。これなら『 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 』のモロッコのカーチェイスの方が楽しめた。

 

アクションは凄いことは凄いのだが、どれもこれもシリーズ過去作の焼き直しに見える。トレーラーで盛んに喧伝されていた崖からのダイブも『 ミッション:インポッシブル / フォールアウト 』のパリ上空の軍用機からのダイブに劣る。全体的にイーサン・ハントというキャラクターではなく、トム・クルーズの「これをやりたい」欲求が強く出すぎていると感じた。ここらへんがハリソン・フォードがインディ・ジョーンズを演じる時と、トム・クルーズがイーサン・ハントを演じる時の違いのように思う。

 

エンティティ(字幕では文字数の関係でそれと訳されている)の脅威が今ひとつ伝わってこないのも惜しい。ロシアの原潜を自滅させ、銀行や政府も容易にハッキングし、無線でベンジーに成りすますというのは確かに多芸だが、オリジナルかと言われればそうでもない。最近だと『 M3GAN / ミーガン 』、古典的なところだと『 2001年宇宙の旅 』がAIの反乱を描いている。本作だけでは、エンティティが世界破滅の序曲だと感じられない。Part Two のオチが『 エクス・マキナ 』にならないことを切に祈る。

総評

やや期待外れか。さすがいつものIMFメンバーも高齢化が激しい。ヘイリー・アトウェルの新加入は良いのだが、『 M:I-2 』のナイアとキャラがかぶっていると感じるのは自分だけか。Part Two が(『 ローン・ガンメン 』+『 ボーン・アルティメイタム 』)÷2にならないことを祈る。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

state-of-the-art

芸術作品状態の、転じて「最新型の」、「最新鋭の」の意。

In the movie “Top Gun Maverick”, Maverick flew an F-14 and shot down two state-of-the-art SU-57s, which I believe is a feat that nobody can pull.

のような感じで使う。コロナ禍で日本の企業の多くがMS TeamsやZoomといった state-of-the-art technology をなかなか使いこなせなかったのは多くの人の記憶に新しいはず。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 キングダム 運命の炎 』
『 イノセンツ 』
『 658km、陽子の旅 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アクション, アメリカ, トム・クルーズ, ヘイリー・アトウェル, 監督:クリストファー・マッカリー, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 』 -色々と詰め込みすぎ-

『 ミッション・インポッシブル フォールアウト 』 -シリーズの最高作-

Posted on 2023年7月29日 by cool-jupiter

ミッション・インポッシブル フォールアウト 80点
2023年7月19日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:トム・クルーズ 
監督:クリストファー・マッカリー

大学の前期が終了しつつあり、また繁忙期になってきたが、本作を復習鑑賞する時間は確保した。

 

あらすじ

プルトニウム回収のミッション達成間際、イーサン・ハント(トム・クルーズ)と仲間たち何者かにプルトニウムを奪われてしまう。「シンジケート」の残党によって構成される「アポストル」の関与が疑われ、ジョン・ラークという男が捜査線上に浮上する。ラークと接触するという謎の女、ホワイト・ウィドウに接近しようとするハントに、CIAのエージェントのウォーカーが監視目的で同行してきて・・・

 

ポジティブ・サイド

本作の売りは息を呑むようなアクション・シークエンスの数々。パリでのバイクチェイスは隠密を命とするスパイにあるまじき行動だが、最後にはスパイらしくちゃっかりと逃げ延びてしまう。ロンドンでの建物の屋上をひたすら全力疾走するシーンはトム・クルーズの真骨頂。パキスタンのヘリコプターアクションはマーヴェリック並みの操縦の腕前を発揮。最後の山肌での決闘では『 M:I-2 』の謎の冒頭シーンの伏線回収と、まさにシリーズの集大成とも言うべき作品だ。

 

とにかくアホかと言うぐらいにアクションがてんこ盛り。CGには極力頼らず、スタントマンもほとんど使わず、トム・クルーズがトム・クルーズ自身をプロデュースする作品なのだが、それでもべらぼうに面白い。理由は簡単でイーサン・ハントの人間性がこれまでよりもはるかに鮮明になったから。はからずも長官自身が語るように、世界の命運よりも一人の仲間の命を重んじてしまうがゆえに、エージェントとして、一人の人間として信頼できる。観ているこちらもIMFの一員になった気持ちにさせられる。これまでの作品もそうなのだが、本作は特にそうだ。


終盤のパキスタンでは人間イーサン・ハントを最も色濃く出してしまう人物が登場する。この瞬間に、イーサン・ハントの使命感ではなく生き様が爆発する。絶対不可能なミッションを達成したハントが満足するのは、数十億の命が救われたことよりも、自らに近しい数名が救われたことだった。冒頭のマッド・サイエンティストを騙すシーンとの対比になっている点も素晴らしい。修身斉家治国平天下という言葉がある。自分を律して自分の周囲を安全安心にしていけば、それが最終的に世界平和につながる。イーサンは確かに英雄的な人物だが、その生き様は実は多くの人間にとって、実は achievable なのではないか。

 

ネガティブ・サイド

CIAが間抜けすぎる。というか、何をシレっと美味しいとこどりをしているのか。普通に考えれば長官のクビが飛ぶ案件では?『 グレイマン 』でも感じたが、CIA長官はアメリカ大統領より偉いのか? 

 

総評

これまでも仲間想いだったイーサンというキャラクターが、明確に仲間 > 任務という姿勢を明確にする。その一方で、仲間というファミリーと本当のファミリーの対比も描かれ、スパイとしてのスーパーアクションと人間としての内面の葛藤の対比も浮き彫りになった。アクションとドラマという二つの異なる要素が互いを引き立て合うという素晴らしい脚本と演出。新作は本作を超えられるのだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

crystal

結晶という意味だが、会話の中では crystal clear = 結晶のようにクリアである、という風に使うことがある。あるいは省略して crystal とだけ答えることもある。劇中では

ハント:Is that clear?
ウォーカー:Crystal.

と使われていた。そういえば『 ア・フュー・グッドメン 』でアンソニー・ホプキンスに “Are we clear?” と詰め寄られたトム・クルーズも “Crystal.” と返答していたなあ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 』
『 658km、陽子の旅 』
『 神回 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, A Rank, アクション, アメリカ, トム・クルーズ, 監督:クリストファー・マッカリー, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 ミッション・インポッシブル フォールアウト 』 -シリーズの最高作-

『 トップガン マーヴェリック 』 -マサラ上映-

Posted on 2022年11月13日 by cool-jupiter

トップガン マーヴェリック 90点 
2022年11月12日 塚口サンサン劇場にて鑑賞 
出演:トム・クルーズ マイルズ・テラー ヴァル・キルマー 
監督:ジョセフ・コジンスキー

 

劇場鑑賞7回目。マサラ上映への参加は実は初めて。『 バーフバリ 王の凱旋 』のマサラ上映を神戸国際松竹で鑑賞しようとするもタイミングが合わなかった。ボリウッド映画以外でもマサラ上映はありだなと感じた。

あらすじ

マーヴェリック(トム・クルーズ)は、予定されていたダークスターのテスト飛行がキャンセルされると聞いたが、クルーと共にフライトを強行し、マッハ10を達成する。処罰の対象になるかと思われたマーヴェリックだが、盟友であり提督となったアイスマンの取り計らいにより、トップガンにおいて難関ミッションに挑む若きパイロットたちの教官となる。しかし、そこにはかつての相棒グースの息子、ルースター(マイルズ・テラー)も加わっており・・・

ポジティブ・サイド

入り口で「マサラ上映ですけど、大丈夫ですか?」の問いに然りと回答。するとクラッカーを2つ渡される。なるほど、良きタイミングで鳴らせというわけか。劇場内はほぼ10割の入り。初対面のおじさんから「これ、使ってください」と紙吹雪の束を渡される。前後左右にサイリウム持ちもチラホラ。異様な熱気である。

 

マサラ上映前の劇場スタッフのコスプレとインストラクションが素晴らしかった。どこまで本当か分からないが、『 トップガン マーヴェリック 』のマサラ上映は世界でも塚口サンサン劇場だけとのことだった。スクリーン上の “Don’t think, just do. It’s today.” の文言にテンションが上がる。

 

オープニングの『 ミッション:インポッシブル 』の最新作のトレイラーの時点で、紙吹雪が舞い、クラッカーがパンパンと鳴らされる。特にあのテーマ曲に合わせてポン、ポン、ポンポン、ポン、ポン、ポンポンとクラッカー鳴らしていた集団はマサラ上映のプロ参加者たちか。

 

”トップガン・アンセム” からの “Danger Zone” で劇場のテンションは最高潮。紙吹雪も上がる上がる、クラッカーも発射されまくり。今回の参加者の大半は、おそらく劇場鑑賞5回以上、または配信もしくは円盤で本作を相当回数観ている人たちだろう。機関砲射撃やミサイル発射、その他の印象的なシーンでドンピシャでクラッカーが鳴らされる。いったい何発用意してきたのだろうか。

 

思いがけない副産物としてMX4D鑑賞の時以上に火薬の匂いが感じ取れた点が挙げられる。ジェットがアフターバーナーに点火した時、フレアをばらまく時、爆弾投下した時などに漏れなくクラッカーが鳴り響き、むせかえる程の火薬の匂いが臨場感をいや増すのを感じた。

 

最近、YouTubeでずっと「Fighter Pilots React to TOP GUN MAVERICK」という動画シリーズを視聴していて、映画のどこが現実に即していて、どこが現実離れしている、あるいは完全なフィクションなのか、かなり細部まで study していた。そのことで鑑賞時の楽しみが薄れるかと懸念していたが、それは杞憂だった。本作は何回観ても面白いし、軍人さんのツッコミ内容を知っても尚面白い。またインド映画以外でもマサラ上映と相性の良い作品があることを映画ファンに知らしらめたというのは素晴らしい。あらためて今年のベストであると確信した。

 

ネガティブ・サイド

あまりにもクラッカーがうるさいのが幸いして、台詞を聴くのではなく、字幕を読むことに集中できた。そのうえであらためて感じたのが、戸田奈津子御大の英訳のまずさ。Talk to me, dad. や He called you a man, Phoenix. などの字幕は酷い。これは作品の問題ではないので減点はしない。

 

本番ミッションで渓谷内に橋があるが、事前の調査で分かっておらず、現場でとっさに判断してかいくぐったようだった。これは海軍情報部の重大な落ち度、というよりも脚本上の重大な欠点だろう。

 

総評

マサラ上映は後片付けがなかなか大変だが、上映終了後は観客に一体感が生まれているので、一致団結して掃除も順調に進んだ。記念写真も良い思い出。SNSにアップ不可ということは、多分ブログにもアップ不可だろうと解釈した。もしも本上映の参加者がいたら、ほとんど全員が空軍式の敬礼をしている中、数少ない海軍式の敬礼をしている中の一人がJovianである。本作の劇場公開もさすがに全国的にも終わりつつあるが、劇場で映画を観るということの楽しさを思い出させてくれた功績は計り知れない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

joyride

乗り物に乗って楽しむことを指す。特に盗難車の場合が多い。マーヴェリックがペニーをF-18に乗せ、それがバレたせいでボスニア送りにされたエピソードが披露された。この場合、盗んだのは戦闘機。しかも一般人(といっても軍のお偉いさんの娘ではあったが)を乗せたというのだから、無手勝流のマーヴェリックらしい。Take me on your mighty wings ならぬ Take me on a joyride とペニーが頼んだのだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 窓辺のテーブル 彼女たちの選択 』
『 警官の血 』
『 窓辺にて 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, S Rank, アクション, アメリカ, ヴァル・キルマー, トム・クルーズ, マイルズ・テラー, 監督:ジョセフ・コジンスキー, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 トップガン マーヴェリック 』 -マサラ上映-

『 トップガン マーヴェリック 』 -追いトップガン6回目-

Posted on 2022年9月19日2022年12月31日 by cool-jupiter

トップガン マーヴェリック 90点
2022年9月18日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:トム・クルーズ マイルズ・テラー ヴァル・キルマー
監督:ジョセフ・コジンスキー

9月16日から行われている『 トップガン 』と『 トップガン マーヴェリック 』の連続上映。back to back で鑑賞すると、新作は前作のオマージュに満ち溢れていて、なおかつエンタメ一直線路線も受け継いでいることにあらためて気づかされる。

 

あらすじ

マーヴェリック(トム・クルーズ)は、予定されていたダークスターのテスト飛行がキャンセルされると聞いたが、クルーと共にフライトを強行し、マッハ10を達成する。処罰の対象になるかと思われたマーヴェリックだが、盟友であり提督となったアイスマンの取り計らいにより、トップガンにおいて難関ミッションに挑む若きパイロットたちの教官となる。しかし、そこにはかつての相棒グースの息子、ルースター(マイルズ・テラー)も加わっており・・・

ポジティブ・サイド

6回目の鑑賞で、何もかも分かっているのだが、それでも中だるみを感じることがない。これは素直にすごいことだと思う。ダークスターのテスト飛行からの事故、左遷と思わせてのトップガンへの復帰、ペニー・ベンジャミンとの再会、ルースターら新世代のトップガン卒業生との訓練、盟友アイスマンとの別れなど、すべてのプロットが戦闘機のスピードで疾走していく。

 

自分が単純なのもあると思うが、アイスマンとの対話と抱擁は何度鑑賞しても胸がいっぱいになるし、マーヴェリックが2分15秒で峡谷を突破して爆撃を成功させるシーンでは息が止まるほどの緊迫感がある。F-14を駆ってSu-57とのドッグファイトは、まさに “It’s not the plane, it’s the pilot.” の極致。現実だと100回やって10回も勝てないだろうが、それでも勝ってしまうだけの説得力がマーヴェリックにあった。

 

前作でトム・スケリット演じた共感バイパーやM・アイアンサイド演じたジェスターのキャラクターの一部がサイクロンに投影されているのも面白い。下限高度にうるさいのは当たり前として、前作でバイパーに “Is that clear?” と言われて “Yes, sir.” としか返せなかったマーヴェリックが、今作ではすかさず文書を提出するところに、彼の30年間での成長が見て取れた。フェニックスとハングマンを同時に相手するときの、”Leaving your wingman. There’s (That’s じゃなかった・・・) a strategy I haven’t seen in a while.” というのは、かつての訓練で僚機を捨ててバイパーを追うというミスを犯した自分に言及しているのかと、6回目の鑑賞で気付いた。

 

フェニックスは良いキャラで、変に誰かの love interest になったりしないところや、女性特有のあれやこれやがプロットに組み込まれていないのも良かった。訓練や撮影時に、演じたモニカ・バルバロだけが唯一嘔吐しなかったと言われているが、そうしたプラスの描写やエピソードがなかったことも良かったと思う。女性だとか男性だとかに囚われず、トップガン卒業生として横一線で勝負するところが素晴らしいのである。

 

全体的に前作をトレースするシーンが多かったが、生徒だったマーベリックが教官マーヴェリックに成長する上では避けて通れない描写だった。前作のファンを喜ばせるための措置が、そのまま本作のプロットの必然性につながっていた。これは脚本家の功績。素晴らしい。大学で正課および課外講座を受け持つことがあるJovian先生も、マーヴェリックを見習って、今後はクラス中にもう少しだけチーム制のアクティビティを取り入れていこうと思う。

 

身もふたもない言い方をすれば、トム・クルーズが自分のナルシシズムを成就させるために生み出した作品。それがこれほど面白いのだから、エゴも突き抜ければ他者を満足させるのか。ハリソン・フォードといえばハン・ソロ、シルベスター・スタローンといえばロッキー・バルボア、トム・クルーズといえばピート・”マーヴェリック”・ミッチェルと言えるだけの代表作を生み出したと言える。良くない例かもしれないが、『 セブン 』のブラピ演じる刑事キャラの名前とかパッと出てこないでしょ・・・

 

閑話休題。分かる方がいれば是非お知らせください。何度観てもフェニックスとハングマンの掛け合いは面白いのだが、いつも音声ばかり聞いて、字幕表示が分からない。

 

Maverick: Leaving your wingman? There’s a strategy I haven’t seen in a while. 
僚機(ウィングマン)を見捨てる?こんな戦法を見るのは久しぶりだ。

 

Hangman: He called you a man, Phoenix. You’re gonna take that?
フェニックス、マーヴェリックが man だと言ってるぞ?受け入れるか? 

 

Phoenix: As long as he doesn’t call you a man. 
あんたを man と呼ばなければね。

 

のところの字幕がどうなっているか、覚えている人がいれば是非コメント欄でご一報を。なんか「男は我慢よ」みたいな文字がちらっと見えた気がしたのだが・・・

ネガティブ・サイド

最後にエド・ハリスが出てきて、ジョン・ハムと二人で苦笑いするシーンとかがあれば痛快だったろうに。まあ、そこまでいくと演出過多か。

 

総評

大げさかもしれないが、本当に老若男女問わず観てほしい作品。期せずしてロシアによるウクライナ侵攻や、台湾海峡あたりでの有事が想定される世界情勢になってしまったが、平和というのは膨大なエネルギーでもって支えられているということが如実に感じることができる作品。除隊するつもりだったマーヴェリックを、ペニーが必死に説得。見事に編隊長の座を掴み取ったマーヴェリックだったが、それは死ぬかもしれないミッションに向けて飛び立つことを意味する。台詞のないマーヴェリックとペニーの囁きと抱擁に、軍人という難しい生き方が垣間見える。それを肯定せよとは思わないが、否定もできないと感じる。爽快感の後に、ほんの少しの苦みを残す。それも時代にマッチした名作の所以か。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You got this.

「お前はならできる」の意。相手を cheer on するときに使う定型表現。出撃前にルースターがマーヴェリックに声をかけるが、甲板上の放送で邪魔されてしまう。おそらく僚機に選んでもらったことへの感謝、あるいは疑問をぶつけようとしたのだろう。You got this. というのは勿論「お前ならできる」という意味だが、取りようによっては「情実じゃない、この役目はお前が実力でゲットしたんだ」とも取れる。6回目の鑑賞でそう感じた。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, S Rank, アクション, アメリカ, ヴァル・キルマー, トム・クルーズ, マイルズ・テラー, 監督:ジョセフ・コジンスキー, 配給会社:東和ピクチャーズ『 トップガン マーヴェリック 』 -追いトップガン6回目- への2件のコメント

『 トップガン マーヴェリック 』 -追いトップガン5回目-

Posted on 2022年8月21日2022年12月31日 by cool-jupiter

トップガン マーヴェリック 90点
2022年8月21日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:トム・クルーズ マイルズ・テラー
監督:ジョセフ・コジンスキー

「追いトップガン」なる言葉が生まれていたことを最近知った。Jovianも5度目の追いトップガンである。

 

あらすじ

マーヴェリック(トム・クルーズ)は、予定されていたダークスターのテスト飛行がキャンセルされると聞いたが、クルーと共にフライトを強行し、マッハ10を達成する。処罰の対象になるかと思われたマーヴェリックだが、盟友であり提督となったアイスマンの取り計らいにより、トップガンにおいて難関ミッションに挑む若きパイロットたちの教官となる。しかし、そこにはかつての相棒グースの息子、ルースター(マイルズ・テラー)も加わっており・・・

ポジティブ・サイド

2週間前の西宮ガーデンズも凄い入りだったが、今日のMOVIXあまがさきもかなりの混雑。座席は8~9割は埋まっていた。中高年が多いが、10代男子や20代カップルもちらほら。コロナは高止まりしているが、映画館に人は帰ってきているなと強く印象付けられた。

 

多くの人々が大画面と大音響の中毒になっているのだろう。冒頭の Top Gun Anthem と Danger Zone でノリノリになっているオッサンが数名見受けられた(頭や肩がヒョコヒョコ動いているのが見えるのだ)。彼らもきっと追いトップガン組だろう。

 

5度目の鑑賞となると、字幕に目をやらず、役者のセリフに集中することができる。ハングマンとフェニックスのやりとり(フェニックスがこっそり中指を立てるところなど)は観ていて毎回とても面白いが、今回新たな発見が。

 

Maverick: Leaving your wingman? That’s a strategy I haven’t seen in a while.
僚機(ウィングマン)を見捨てる?こんな戦法を見るのは久しぶりだ。

Hangman: He called you a man, Phoenix. You’re gonna take that?
フェニックス、マーヴェリックが man だと言ってるぞ?受け入れるか?

Phoenix: As long as he doesn’t call you a man.
あんたを man と呼ばなければね。

 

めちゃくちゃ痛快なやりとりである。『 エイリアン2 』の

ハドソン:Hey Vasquez, have you ever been mistaken for a man? 

バスケス:No. Have you? 

並みに面白い。字幕がどう表示されたかは覚えていないが、wingman は確かに男に聞こえる。余談だが、アメリカでは定期的に大学一年生を freshman ではなく freshperson と呼ぶようにしよう、という運動が起きると聞いたことがある。けれど毎回 fizzle out するようだ。fisherman や fireman も同じらしい。映画やドラマでも firefighter より fireman の方が圧倒的に使われている頻度は高いと感じる。きっと wingman もいつまでも wingman なのだろう。

 

閑話休題。本作はリリースのタイミングもある意味で絶妙だった。ロシアによるウクライナ侵攻によって、世界は戦争を抑止するシステムが膨大な力によって成立していることを図らずも知ってしまった。同時に「死ぬのも仕事のうち」だという人々が存在するということも。たた、死ぬのが仕事のうちだからといって必ず死ななければならないわけではない。死なないに越したことはない。本作や前作『 トップガン 』で戦闘機や軍事そのものに興味を持ったという若い世代には、ぜひとも漫画『 ファントム無頼 』をお勧めしたい。日本の空にもマーヴェリックのような自衛官が飛んでいると思えるようになるだろう。

ネガティブ・サイド

マーヴェリックが単騎でミッション演習コースを駆け抜けるシーンで、峡谷を飛ぶマーヴェリックの機ではない機体の影が一瞬だけ映っている。最初の頃の鑑賞では気のせいかと思っていたが、何度見てもやはり映っている。マーヴェリックのF-18の機影ならまっすぐ動くはずだが、その影の元になった機体は上昇しているっぽい。画面に映るのは1秒ほどだが、誠に惜しいシーンである。

 

総評

何度見てもやっぱり面白い。ターミネーター=A・シュワルツェネッガー、ハン・ソロ=ハリソン・フォード、ロッキー=シルベスター・スタローンと同じレベルで、ピート・”マーヴェリック”・ミッチェル=トム・クルーズであると感じる。今年の最優秀海外俳優の座は彼のものである。『 ミッション:インポッシブル 』シリーズは4作目か5作目で観るのをやめてしまったが、やっぱり観たいと思えてきた。トム・クルーズのスターパワー、恐るべしである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

None of your business.

「お前には関係ない」の意。結構きつい表現なので職場などでは使わない方が吉。ほぼ同じ意味とニュアンスの表現に Mind your own business. がある。これらを正しく使えれば、それだけでコミュニケーションの上級者である。

 

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『 トップガン マーヴェリック 』 -IMAX with Laser 鑑賞-

Posted on 2022年8月8日 by cool-jupiter

トップガン マーヴェリック 90点
2022年8月7日 TOHOシネマズ西宮OSにて鑑賞
出演:トム・クルーズ マイルズ・テラー
監督:ジョセフ・コジンスキー

コロナ禍以降、初の実写映画での興行収入100億円超えとのこと。ご祝儀的な意味も込めて、4度目の鑑賞をIMAXレーザーで行うべく隣町へ出向く。

 

あらすじ

マーヴェリック(トム・クルーズ)は、予定されていたダークスターのテスト飛行がキャンセルされると聞いたが、クルーと共にフライトを強行し、マッハ10を達成する。処罰の対象になるかと思われたマーヴェリックだが、盟友であり提督となったアイスマンの取り計らいにより、トップガンにおいて難関ミッションに挑む若きパイロットたちの教官となる。しかし、そこにはかつての相棒グースの息子、ルースター(マイルズ・テラー)も加わっており・・・

ポジティブ・サイド

3度目の鑑賞はMX4Dで、4度目の鑑賞はIMAX with Laser。座席が動いて、本当に飛行機で飛んでいるように感じられる4Dも良いが、IMAXはスクリーン自体の大きさ、映像と音響のクリアさが印象に残った。

 

ウォーロックは見れば見るほど良いキャラ。司令官の片腕的存在で、問題児たるマーヴェリックとも目と目で通じ合う仲。各地を転戦した歴戦の勇者なのだろう。イメージ的には漫画『 沈黙の艦隊 』の山中副長、小説『 銀河英雄伝説 』のジークフリード・キルヒアイスのような組織のナンバー2キャラで、Jovianはこういう渋いキャラが大好きである。

 

本作はとことんオッサン泣かせだ。若い世代に立ちはだかり、若い世代を引っ張り、若い世代に疎まれ、若い世代と和解する。この2年間、Jovianの職場では50代がどんどんと消えていき、20代ばかりがどんどんと増えた。畢竟、自分の職場のオッサン度は相対的に上がっていく。色々と教えたり、教えられたりするが、それでも世代間闘争が生じることはある。そうした時に、オッサン(男に限定しているわけではない、念のため。年長者の意味である)にしか解決できない問題は確かにある。だからといって、若い世代のサポートなしにバリバリと働けるわけではない。老兵とまでは行かないが、確実にオッサン化しつつある自分の心の琴線に触れる物語であることは間違いない。

 

某大学の Academic Reading という授業の指定テキスト『 BBC 英語ものがたり 』の教案や試験を作ったが、その書籍内でアメリカ映画、さらには朝鮮戦争やベトナム戦争に関するニュースが英語を変化させ、さらにはグローバル化させたのが詳細に書かれている。本作の影響により、”Talk to me, 〇〇.” という台詞が『 フォレスト・ガンプ/一期一会 』の “Run, Forrest, run.” のように文化的な意味で口語表現に定着していくのではないかと感じた。それだけの影響力を本国アメリカにも、その他の国にも与えるだけのインパクトが本作にはあると感じる。

ネガティブ・サイド

観るほどに誤訳というか、不適切な訳が目につく。戸田奈津子御大の衰えには目を覆うばかりである。

 

マーヴェリックが空母艦内でチームメンバーを発表する前に言う “It’s been an honor flying with you.” = 一緒に飛べて光栄だ、は「飛べて」の時制が日本語では不明確。「これまでの訓練に感謝する」で良い。

 

また、今生の別れを予感させる出撃直前のマーヴェリックにホンドが言う ”It’s been an honor.” = 名誉に思います、も同様。「素晴らしい日々でした」とか、なにか過去から現在までを包括するような表現が求められる。特に、ホンドは3年前の不祥事による砂漠送りからの仲だったはずで。そうした過去にも思いを馳せられるような訳出がなされるべきだった。

 

総評

TOHOシネマズ西宮OSは、朝の9:00から恐ろしいほどの人出だった。そのうちのかなりの人数が本作の鑑賞に来ていた。それも、高校生同士や20~30代と思しきカップル、オッサン一人だけ、あるいは高齢夫婦など、実に多種多様な客が劇場に詰め掛けていた。もちろん、興収100億突破というニュースそれ自体が大いなる宣伝になっているのだろうが、それ以上に劇場に客を呼ぶ力を本作が持っていることが大きい。そしてその力がオッサン以外にも届いていることが嬉しい。コロナ禍は続いているが、マナーを守った劇場鑑賞で感染対策と経済活動を両立させようではないか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

learn a thing or two

直訳すれば「一つのこと、または二つのことを学ぶ」だが、実際はそれなりの知識・情報・経験などを学ぶことを意味する。劇中では下限高度の修正を文書で申し出たマーヴェリックに “You could learn a thing or two about timing.” = 「もうちょっとタイミングというものを学びたまえ」のように言っていた。tell someone a thing or two という形で使うこともあるが、この場合は「小言を言う」の意。

 

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『 トップガン マーヴェリック 』 -MX4D鑑賞-

Posted on 2022年6月28日2022年12月31日 by cool-jupiter

トップガン マーヴェリック 90点
2022年6月25日 TOHOシネマズなんばにて鑑賞
出演:トム・クルーズ マイルズ・テラー
監督:ジョセフ・コジンスキー

 

『 トップガン マーヴェリック 』の感想で「なぜ4DXやMX4D上映は日本語吹き替えばかりなのか。航空業界の Lingua Franca は英語と決まっているのだが」と書いたところ、6月中旬から字幕版でも4DXやMX4Dが楽しめるようになった。言ってみるものである。

あらすじ

マーヴェリック(トム・クルーズ)は、予定されていたダークスターのテスト飛行がキャンセルされると聞いたが、クルーと共にフライトを強行し、マッハ10を達成する。処罰の対象になるかと思われたマーヴェリックだが、盟友であり提督となったアイスマンの取り計らいにより、トップガンにおいて難関ミッションに挑む若きパイロットたちの教官となる。しかし、そこにはかつての相棒グースの息子、ルースター(マイルズ・テラー)も加わっており・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭、”Danger Zone” と共に空母から艦載機がどんどん発艦していくシーンから、浮遊感を存分に味わえたし、KAWASAKIのバイクの疾走感も感じられた。マーヴェリックとひよっこ連中との模擬空戦や、trench run や popping up のトレーニングなどでも Four Dimensional な感覚を与えてくれる4DXは本作との相性が特に良かったと感じる。映画の世界ではカーアクションがお馴染みだが、あれは二次元機動。飛行機、特に戦闘機のように高速で激しく三次元機動するような映画は数少ないが、そうした作品は今後も4DXやMX4Dで公開してほしい。

 

一部でミュージックビデオを揶揄された前作『 トップガン 』であるが、本作は前作へのオマージュをふんだんに取り込んでいる。前作で二度聞かれた “Take me to bed, or lose me forever.” =「ベッドに連れて行って、そうじゃないとあなたとは永遠にお別れよ」と対を成すかのように、マーヴェリックがアイスマンに “I could lose him forever.” =ルースターを永遠に失ってしまうかもしれない、と吐露するシーンは素晴らしかった。ビーチバレーとビーチアメフトの対比は目立つが、もっとさり気ないところで前作へのオマージュを示している点が非常に好ましい。 

 

他にもハングマンがバーでルースターに突っかかっていくシーンで “I love this song!” =「この曲、最高だな!」と言い放つ時にかかっているのが “Slow Ride” で、これがそのままルースターの慎重な姿勢、さらにトレーニングでもスローペースで飛んでしまうことの伏線になっていた。

 

劇場はかなりの入りで、20代くらいのカップルが目立った。デートムービーとして重宝されているということだろう。時間とお金に余裕があれば、一度は本作を4Dで鑑賞されたし。

ネガティブ・サイド

戸田奈津子氏の字幕翻訳にはやはりいくつか疑問が残る。

 

ハングマンの言う “In this mission, a man flies like Maverick or a man doesn’t come back. No offense intended.” =「このミッションでは、マーヴェリックのように飛ぶ男じゃないと生還できない。(フェニックスを見ながら)悪気があって言ったわけじゃない」というのが本当のところ。字幕では No offense intended = 「偉そうかな」になっていた。ハングマンは、ウォーロックがマーヴェリックを紹介する前に “the best men and women …” と言ったところでもフェニックスをちらりと見て「女は一人だけなのに、women だってよ」みたいな目つきをしていた。そういったところを踏まえて、No offense intended はもっと直截的に「おっと、女性もいたっけ」のような皮肉にすべきだった。

 

ルースターの言う ”Talk to me, dad.” =「助けて、父さん」という訳もいかがなものか。もっとマーヴェリックに合わせて「やるぞ、父さん」とか思いっきり意訳して「父さんの声が聞こえた」とかでも良かったのでは?

 

総評

アースシネマズ姫路で視野270度の3面マルチプロジェクション上映を行っているが、吹き替えらしい。何故だ?航空業界の Lingua Franca は英語と相場が決まっている。尼崎市民のJovianは姫路に赴くのにやぶさかではない。劇場や配給会社の賢明なる判断を期待したい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

level the playing field

「競技場を平らにする」というのが直訳だが、実際の意味は「競争の条件が等しくなる」ということ。

YouTube has leveled the playing field for all the video creators.
ユーチューブによって、すべての動画制作者は等しい条件で勝負できるようになった。

のような使い方をする。

 

現在、【英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー】に徐々に引っ越し中です。こちらのサイトの更新をストップすることは当面はありません。

I am now slowly phasing over to https://jovianreviews.com. This site will continue to be updated on a regular basis for the time being.

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