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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 配給会社:キノフィルムズ

『 ファミリア 』 -新たな家族像を提示する-

Posted on 2023年1月16日 by cool-jupiter

ファミリア 50点
2023年1月14日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:役所広司 吉沢亮 MIYAVI
監督:成島出

昨年末から気になっていた作品。『 ヤクザと家族 The Family 』とは異なる形で、新しい時代の家族の在り方を提示する野心作。

 

あらすじ

プラントエンジニアの学(吉沢亮)は、アルジェリア赴任中に現地で知り合ったナディアと結婚し、陶芸家の父・誠治(役所広司)のもとに彼女を連れてきた。その夜、地元の半グレ集団とトラブルに陥ったブラジル人のマルコスが誠治の仕事場に迷い込んできた。暴れるマルコスを誠治と学は必死で匿って・・・

ポジティブ・サイド

社会問題・時事問題をふんだんに盛り込んだ作品。特に、Jovianは2008年に某信販会社を辞めて、同年10月に富士重工関連会社から内定取り消しを食らった。リーマン・ショックの煽りで派遣切りが横行していた頃だ。また2013年当時は、大阪の某英会話スクールで日揮の社員のいるクラスを担当していたので、色々と話を聞かせてもらったことがある。なので本作の鑑賞中は、頭の中を色々なことが駆け巡った。

 

働いている業界が業界なので、Jovianの周りは国際結婚だらけである。同僚には夫もしくは妻がアメリカ人、カナダ人、イングランド人、メキシコ人、ペルー人、韓国人、中国人まで様々だ。なので学がナディアと結婚することを素直に受け止めることができたし、実際に今後はこうした国際結婚がどんどん増えていくのは間違いない。学というキャラクターの先駆的なところは、日本に来る外国人と結婚するのではなく、日本の外でパートナーを見つけたこと。これはJovianの周りでも二人しかいないので、かなり珍しい。今はそうした日本人は珍しいが、今後はもっと出てくるはず。それを予感させてくれたのは良かった。

 

MIYAVIは『 ヘルドッグス 』と同じような役だったが、『 BLEACH 』の頃に比べて演技力は格段に向上した。そう感じるのは、彼が弊社の某アンバサダーを務めているからではない。純粋にパフォーマーとしてまだまだ成長できるし、本人がそれを志向しているのだろう。愛する家族を失ったがゆえに暴走するという、役所広司とは異なるベクトルの狂気を巧みに表していた。その役所広司の演技は堂に入ったもの。『 ハルカの陶 』に登場してもおかしくなさそうな指使いで土ひねりをする様には見入ってしまった。吉沢亮との父子の関係もナチュラルで、まさに日本の俳優の大御所である。

 

ブラジル人(別にベトナム人でも中国人でもインド人でも良い)という異質な存在を社会がどう受け入れるのか、または疎外するのか。そうした状況において、個人と個人はいかなる関係を結べるのか、または結べないのか。今後、日本社会のあちこちで進行していくであろうこうした物語を、かなり極端な形ではあるが、本作は描いている。老若男女問わずに観て、そして考えてほしい作品である。

ネガティブ・サイド

ストーリーが全体的にちぐはぐ。息子を失った父の暴走の方向が『 空白 』とは全く違った形で炸裂する中盤の展開は、ホンマかいなと感じてしまった。日本の政治家や役人が海外のテロに何か手が打てるわけがないし、情報が手に入れられるわけでもない。これは歴史的史実。それよりも学とナディアを日本に帰還させて「自己責任!」という言葉を浴びせかける日本社会を描写した方が、もっと強力な社会風刺映画になったことだろう。

 

提示したい家族像が強すぎるというか、届けたいメッセージが強烈すぎるような気がする。愛する妻と娘を失った男が狂気に駆られ、愛する息子を失った男が狂気に駆られるも、最終的には新たな家族を見出すというのは、ちょっとご都合主義が過ぎる。受け取りようによっては、血のつながりは代替可能であるとも取れてしまう。また誠治にそれが可能なのは、彼自身が孤児だったという背景にその要因があるという描写も個人的には受け入れがたかった。

 

半グレやヤクザが在日ブラジル人の若者をとことん痛めつけるが、北野武の映画かいなというぐらいの暴力描写。それはもちろん構わないのだが、そこが一種の見せ場になっているのはどうなのかなあ。公園で遊ぶ小学生ぐらいの子どもたちが無意識に、あるいは意識的に見せる差別意識やいじめの描写を入れることで、逆にエリカやマルコスがどのような艱難辛苦を現在も味わい続けているのかを観る側に想像させる方が、より大人な映画作りであると思うのだが。

 

マルコスが陶芸作りに興味を持ったきっかけが不明瞭だと感じた。色んなあらすじでは、「誠治に亡き父の面影を見出し・・・」的なことを書いているが、そんな描写あったっけ?ここを深堀りしないとタイトル詐欺になるのだが・・・

 

総評

非常に示唆的なドラマと、物語のために無理やり過剰に盛り上げるドラマが混在する作品。結局のところ、役所広司というスーパーな俳優の包容力によってかろうじて成り立つ物語である。ただ『 しあわせのマスカット 』のように時事問題・社会問題を大胆に取り入れた点は評価できる。愛と狂気は表裏一体だが、MIYAVIのキャラが地元有力者の御曹司という点が気になった。ただの一般人が憎悪に駆られていく。その一方で、ただの一般人は愛情を見出していく。そんな対比があれば、もっと上質な人間ドラマになったはず。役所広司やMIYAVIのファンなら鑑賞しても損はない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

take care of ~

~の世話をする、の意味。劇中では「息子をよろしく頼みます」=Please take care of my son. と訳されていた。今後、日本でも国際結婚が増加する。これぐらいの簡単な英語ぐらいは知っていてもいいだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 』
『 そして僕は途方に暮れる 』
『 死を告げる女 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, MIYAVI, ヒューマンドラマ, 吉沢亮, 役所広司, 日本, 監督:成島出, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 ファミリア 』 -新たな家族像を提示する-

『 キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱 』 -伝記映画の佳作-

Posted on 2022年11月3日 by cool-jupiter

キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱 70点 
2022年10月30日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:ロザムンド・パイク サム・ライリー アニャ・テイラー=ジョイ
監督:マルジャン・サトラピ

 

怪作『 ハッピーボイス・キラー 』の監督が、マダム・キュリーを料理するという。そして演じるは円熟味を増したロザムンド・パイクということでチケット購入。

あらすじ

マリ・スクウォドフスカ(ロザムンド・パイク)は、大学で満足なラボを与えられずにいた。そんな中、マリはピエール・キュリー(サム・ライリー)と出会い、交際し、結婚してキュリー夫人となる。二人は共同で研究を積み重ね、ついにマリは大発見を行うが・・・

 

ポジティブ・サイド

キュリー夫人というとラジウム発見のイメージが強い。というか、それしか知らなかった。本作を鑑賞して、かなり脚色されている点はあるのだろうが、単なる科学者ではない人間マリ・キュリーが分かった気がする。

 

本作は非常にユニークな構成だ。いきなりキュリー夫人の死亡直前から始まる。そして、彼女が自身の人生を走馬灯のように振り返る形で、物語が提示されていく。不遇の研究者時代に出会った夫ピエール、結婚、出産、放射能の発見、ノーベル賞受賞などがドラマチックに描かれていく。印象的なのは、明らかにキュリー夫人の死後のイベントも回想されるところ。たとえばヒロシマへの原爆投下や、チョルノービリ(チェルノブイリ)の原発事故などがある。自身の発見が、世界を良い方向にも悪い方向にも変えうるということは作中でも言及されていたが、それを具体的なビジョンとして見せることで、キュリー夫人の卓越した想像力を見事に表していた。

 

ロイ・フラーとピエール・キュリーの交流も個人的に興味深かった。フラーが当時の最先端科学と踊りを融合させようとしたことはよく知られている。その後、スピリチャルな方面に傾倒していったのも史実。観ているうちは「自分には興味深いが、このパート要るかな?」と感じてしまったが、これは浅慮だった。このフラーとの交流が、中盤以降に思いがけない形で人間マリ・キュリーをクローズアップすることにつながる。マルジャン・サトラピ監督はかなりの手練れである。ロイ・フラーについて知りたいという人は『 ザ・ダンサー 』を鑑賞されたし。

 

悲惨極まる戦争に対しても、殺傷のためではなく人命救助のために物理学の知識と技術を応用したことを不勉強にして知らなかった。フローレンス・ナイチンゲールより2世代ほど下のマリ・キュリーであるが、ほぼ同時代人と言ってよいだろう。ナイチンゲールも知識と技術をクリミア戦争の野戦病院で発揮したが、マリ・キュリーもそうだったのか。女性として、妻として、母として、そして科学者として生きるマリ・キュリーの生涯と、過去・現在・未来をすべて俯瞰するかのような構成がよくよくマッチしている。『 ドリーム 』よりもシリアスさは上だが、そちらを楽しめた向きは、きっと本作も堪能できるはず。

ネガティブ・サイド

マリ・キュリーの苦闘を描くことに多大な時間を費やしているが、厳しさや険しさが前面に出すぎていたと感じる。彼女にもほのぼのとした家族の団らんや、夫婦としての睦まじい関係性はあったはず。そうした面に光を当てることがなかったのは残念である。当時の世相や、彼女自身の在フランスのユダヤ系ポーランド人というバックグラウンドがあったのは事実だろうが、もう少し想像力を発揮して、人間味のあるマリ・キュリーを描き出してほしかった。

 

娘夫婦もノーベル賞を受賞したことに触れられなかったのは何故なのだろう。

 

邦題が今一つ。キュリー夫人というのは馴染みのある名前であるが、敢えて「マリ・キュリー 天才科学者の愛と情熱」のような邦題にしても良かったのではないか。映画が描いたのは夫人としての面だけではなく、母親や科学者としての面も多かったのだから。

 

総評

猿橋勝子も苦労したが、それよりもっと苦労したのがキュリー夫人なのだなと、しみじみ思う。こうした作品を観ると、人類は進歩しているのか、それとも進歩していないのか分からなくなってくる。一つ言えるのは、作り手はそんな短絡的な結論は求めていないということ。放射能の放つ妖しい光を、美しいものにできるのか、それとも破滅的なものにしてしまうのか。それはマリ・キュリーの後半生の生き方を参考にしてください、というのがマルジャン・サトラピ監督のメッセージなのだろうと思う。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

speak for oneself

「自らのために語る」が直訳だが、これはしばしば無生物を主語に取る。

His achievement speaks for itself.
彼の業績は(誰かが語るまでもなく)素晴らしいものである。

These facts speak for themselves.
これらの事実を見れば(誰かが説明しなくても)分かる。

The results spoke for themselves.
結果がすべてを物語っていた(誰かが説明せずともすぐに分かった)。

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 窓辺のテーブル 彼女たちの選択 』
『 天間荘の三姉妹 』
『 王立宇宙軍 オネアミスの翼 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アニャ・テイラー=ジョイ, イギリス, サム・ライリー, ヒューマンドラマ, ロザムンド・パイク, 伝記, 歴史, 監督:マルジャン・サトラピ, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 キュリー夫人 天才科学者の愛と情熱 』 -伝記映画の佳作-

『 アフター・ヤン 』 -アンドロイドを悼むということ-

Posted on 2022年10月23日 by cool-jupiter

アフター・ヤン 75点
2022年10月22日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:コリン・ファレル ジョディ・ターナー=スミス ジャスティン・H・ミン マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ 
監督:コゴナダ

 

妻のリクエストで大阪ステーションシティシネマへ。客層はほぼ中高年といった感じ。

あらすじ

茶葉店を営むジェイク(コリン・ファレル)と妻カイラ(ジョディ・ターナー=スミス)、幼い養女ミカ(マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ)、アンドロイドのヤン(ジャスティン・H・ミン)は幸せに暮らしていた。しかし、ある日、突然、ヤンが故障してしまう。ヤンを修理する方法を探す過程で、ジェイクはヤンに毎日数秒だけの映像記録が残るメモリーが内臓されていることを知り・・・

ポジティブ・サイド

シンボリズムに溢れた作品。白人の父、黒人の母、アジア系の養子にアジア系のアンドロイドと、diversity を象徴するような家族が冒頭から映し出される。その家族がそろって踊る、しかし、皆が躍るのを止めてもヤンだけが踊り続ける。最初は戸惑ったが、後にこれが本作の Establishing Shot であると分かった。

 

ヤンの故障に最も過敏に反応するのがミカというのも、当たり前と言えば当たり前だが、その反応には注意を払う必要がある。I want him back! と叫ぶミカは、ヤンが死んだとは理解していない。あくまで故障であって、修理すれば元に戻ると信じている。ミカはほんの子どもであるが、死の概念が理解できないほど幼いわけではない。この世界にどれほど深くアンドロイドが根付いていて、しかしその歴史はまだそれほど古くはないことが示唆されている。本作は常に、説明することを拒否する。観る側に絶えず考察することを要求する。

 

ヤンの修理を試みる過程でジェイクはヤンに内蔵された数々の過去の映像を掘り起こすことになる。その中でクローンの存在についても観る側は知ることになる。人間同士の関係、人間とアンドロイドの関係、人間とクローンの関係の記憶の断片の数々から浮かび上がってくるのは、我々が生きるこの世界には未知の領域がいくらでもあるということ。たとえば自分の父と母の幼少期、自分の親友の家庭内での姿、自分の子どもの初恋など。これらの、本来であれば知り得ないような家族の秘密、さらに他人の秘密のようなものをわずかでも垣間見た時に明らかになるもの、それが歴史ではないだろうか。我々の知らないところで誰かが生きているし、我々が死んだ後も誰かが生きていく。

 

Every new beginning comes from some other beginning’s end. という歌詞がある。セミソニックの『 Closing Time 』という楽曲のそれで、結構ヒットした曲なので30代以上なら知っている人も多いだろう。本作のテーマはまさにこれで、何かが終わったとしても、それは別の何かの始まりなのかもしれない。芋虫にとっての終わりは、蝶にとっての始まり。ならばアンドロイドにとっての終わりも、何か別の事象の始まりなのではないか。本作は答えを語らない。答えは鑑賞者それぞれが想起するのだろう。

ネガティブ・サイド

個人的にはクローンに関する云々は不要であると感じた。おそらくだが、人間にとっては遠くの人間を愛するよりも、近くの動物やメカを愛する方が易しい。同様に、人間はクローンよりもロボットの方に愛着を感じやすいと考えられる。本作はロボットに焦点を集中させるべきだと感じた。

 

全編が非常に淡々と進んでいくが、もう少し何らかの起伏というか、分かりやすい起承転結があっても良かった。

 

総評

観終わって、しばらく席で沈思黙考する作品は多くない。しかし本作はそうさせてくれた一本。家族とは?生とは?死とは?文学や芸術、果ては哲学や宗教の領域にまで亘る問いが本作ひとつの中に収められている。近い将来(20~50年後ぐらいか?)に到来するであろうアンドロイドやクローンとの共生社会の一つありうべきシミュレーションとして、本作の価値は高い。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

wrap one’s head around ~

~を理解する、の意。『 ゴーストランドの惨劇 』や『 スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち 』でも紹介した表現。

I still can’t wrap my head around what this movie is all about.
この映画のテーマがなんなのか、今でも分からない。

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 秘密の森の、その向こう 』
『 窓辺のテーブル 彼女たちの選択 』
『 アムステルダム 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, SF, アメリカ, コリン・ファレル, ジャスティン・H・ミン, ジョディ・ターナー=スミス, マレア・エマ・チャンドラウィジャヤ, 監督:コゴナダ, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 アフター・ヤン 』 -アンドロイドを悼むということ-

『 犬も食わねどチャーリーは笑う 』 -ペーシングに難あり-

Posted on 2022年10月4日 by cool-jupiter

犬も食わねどチャーリーは笑う 50点
2022年10月2日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:香取慎吾 岸井ゆきの 井之脇海 中田青渚
監督:市井昌秀

『 箱入り息子の恋 』の市井昌秀監督の最新作。夫婦喧嘩は犬も食わぬとの言葉通り、夫婦のいさかいは放っておくに限るのである。

 

あらすじ

裕次郎(香取慎吾)と日和(岸井ゆきの)は円満夫婦。しかし日和は裕次郎への不満を旦那デスノートというサイトに書き込んでいた。ひょんなことから自分に当てはまる書き込みを見つけた裕次郎は疑心暗鬼に。そんな中、日和の旦那デスノートへの書き込みを基に本を出版したいという話が持ち上がり・・・

ポジティブ・サイド

サラリーマン川柳ではしばしば男、それも中年男性の悲哀が浮き彫りになるが、よくよく考えてみれば女性、特に妻の声というのは公にはあまり語られてこなかった。それを大々的に拾って公開しようという旦那デスノートというサイトは画期的である。

無邪気で仕事熱心だが、家庭人としてはダメダメである裕次郎を香取慎吾が好演している。特にホームセンターの副店長としての仕事っぷりは堂に入っている。Jovianも結婚の際に家電量販店で数十万円分の買い物をしたが、その時に数時間付き添ってくれた店員さんが、まさに裕次郎のような仕事人だった。電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、トースター、テレビ、HDDレコーダー、LED照明まで何を尋ねてもスラスラ答えてくれた。香取慎吾を見て、その時の店員さんを思い出したし、男はやっぱり仕事してナンボやなと感じたが・・・これが実は後々大きな伏線になっていたの見事。

 

岸井ゆきのも古風かつ現代風の妻を好演。嫌な顔一つせず家事をこなし、ブランチを食べているはずの夫が「これは朝食、ランチはキーマカレーがいい」と言っても、(パッと見では)素直に従ってくれるところが非常に怖い。目が笑っていないのである。キーマカレーを作ったことがある人なら分かるだろうが、肉を細かく叩くのはなかなかの手間である。カレーもレトルトならまだしも、ルーから作るとなると、最低でも40分はかかる。裕次郎の仕事能力の高さと家政能力の低さが、日和を苛立たせるのが手に取るようにわかる。

 

この、一見してどこにでもいそうな夫婦の危機が、旦那デスノートならびに周囲の人間関係も巻き込んで進行していく。サブプロットも凝っている。井之脇海のマリッジブルーや、中田青渚の裕次郎攻略などは普通に面白い。だが最大の見所はやはり夫婦の歴史だろう。一緒に選んだ家具、一緒に選んだ小物、一緒に選んだ家。結婚という制度=システムに乗ることで個人としての意思が消えてしまうかのように錯覚するのはよくあること。しかし、自分が誰かを心から愛おしく思うこと、誰かと生涯添い遂げたいと願うことは、結婚というシステムが存在しなくても、発生しうる願望だ。本作が多くの人にそのことを思い出させるきっかけとなればと思う。

 

ネガティブ・サイド

香取慎吾演じる裕次郎が、それなりにリアルではあるものの、共感するにはチト足りない。『 喜劇 愛妻物語 』の豪太のように、突き抜けた情けなさや低すぎる年収といった弱点がないからだ。男は自分と共通する欠点を見て共感はしても、優越感は抱かない。コメディであるなら、明らかな弱点設定が必要だったが、それがないことが大きなマイナスになっている。

 

作品の肝であるべき旦那デスノート、さらにそこに密かに書き込んでいる日和とそれに気付いてしまう裕次郎という、メインとなるべきプロットが序盤早々に終わってしまう。ここを面白おかしく引っ張ることで、とある事実が明らかになる中盤、そして本格的な夫婦の危機が訪れる終盤の展開がシリアスさを増す。そして、それによりエンディングのカタルシスも増していくはずではなかったか。

 

その最終盤の展開も間延びしすぎ。裕次郎が日和のもとに乗り込むシーンはあまりにも緊迫感がなさすぎる。部外者がコールセンターに入れるはずがないし、あれほど受電するコールセンターであんなまねをされたら、どれだけ積滞することか。だが、このシーンの最大の問題は日和の発言や姿勢だろう。自らの仕事に誇りを感じていると裕次郎に言っておきながら、職場であの言い草はないだろう。このシーンだけで、ここまでの1時間45分がすべて吹っ飛んだと言っても過言ではない。それぐらい納得いかないシーンだった。

 

総評

夫婦で観るのが吉であるが、DINKSなのか、そうでないのかで評価がガラリと変わりそうだ。Jovianはそこそこ程度には面白いと感じたが、妻はまったく面白いと感じなかったようだ。ちなみに劇中の重要な小道具として扱われる旦那デスノートというサイトは実在する。Jovianは中を覗いて後悔した。世の諸賢も自己責任で閲覧されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

row

ロウと発音すれば「列」だが、ラウと発音すれば「口喧嘩」となる。夫婦や友人同士など親しい間柄での言い争いにはしばしば row =ラウが使われる。 I had a row with a coworker in the office today. =今日、職場で同僚と言い争いになっちゃって、のようにも言える。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 マイ・ブロークン・マリコ 』
『 LAMB/ラム 』
『 ドライビング・バニー 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ブラック・コメディ, 中田青渚, 井之脇海, 岸井ゆきの, 日本, 監督:市井昌秀, 配給会社:キノフィルムズ, 香取慎吾Leave a Comment on 『 犬も食わねどチャーリーは笑う 』 -ペーシングに難あり-

『 ブラックボックス 音声分析捜査 』 -近未来への警鐘-

Posted on 2022年1月24日2022年1月24日 by cool-jupiter

ブラックボックス 音声分析捜査 70点
2021年1月23日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ピエール・ニネ ルー・ドゥ・ラージュ
監督:ヤン・ゴズラン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20220124205255j:plain

音声データを頼りに捜査をする作品となると『 THE GUILTY ギルティ 』や『 ザ・コール 緊急通報指令室 』が思い出される。どちらも良作だった。ということで、本作のチケットを購入。

 

あらすじ

航空機が墜落し、乗客300名、乗員16名の全員が死亡するという大事故が起きる。回収されたブラックボックスの分析官ポロックは突如失踪。調査を引き継いだマチュー(ピエール・ニネ)はテロの可能性を指摘した。しかし、乗客の一人が妻に残した事故の最中の留守電の音声が、ブラック・ボックスの音声記録と3分の時間差があることにマチューは気付く。そして、事故の更なる調査にのめり込んでいくが・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20220124205308j:plain

ポジティブ・サイド

オープニング・シークエンスが非常に印象的。飛行機のコクピットから徐々にズームアウトしていき、キャビン、そして尾翼部にあるブラック・ボックスにまで一直線に引いていく絵と墜落に至る音声が聞こえてくる導入部には鳥肌が立った。

 

音声だけから状況を三次元的、四次元的に把握しようとする分析官の仕事ぶりが丁寧に導入されていたのは有難かった。Jovianも英語のリスニング問題を作ったりする際に audacity や bearaudio.com をよく使うので、あの音声データの波形をPCディスプレイ上で見て、思わずニヤリとした。 

 

主人公のマチューの神経質なところもプラスに映った。『 ちはやふる -結び- 』で周防名人が街の雑踏を極力シャットアウトしようとしていたように、マチューもその飛びぬけた聴力ゆえに、周囲に同調することが難しい。それゆえに仕事では有能だが、融通の利かない人間に映る。このことが後半以降の展開を大いにサスペンスフルにしている。マチューが実直で有能であるがゆえに、上司や同僚とはどこか距離があり、そのことがマチュー視点では彼ら全員を疑わしい存在に見せてしまう。この真相に迫っているのに、逆に遠ざかっていくような感覚に陥るというプロセスが、本作ではよく効いていた。

 

マチューとその妻ノエミや、マチューの直属の上司ポロック、その他数人だけを覚えておけば、物語の理解に支障はない。このあたりはいかにもフランスで、少ない人数でミステリとサスペンスを生み出すというフランスの小説の伝統的な技巧は映画にも活かされている。

 

真相はなかなかに現代的である。ラダイト運動の歴史を振り返るまでもなく、技術の進歩は常に人間に失業の危機感を味わわせてきた。同時に、技術の進歩は、人間が介在する余地をゼロにはできない仕事もあるのだということも我々に再確認させてきた。本作はそのことを非常に強く感じさせてくれる。

 

ネガティブ・サイド

序盤は正直なところ、眠たくなる。テロリストによる犯行が真相なわけはないのだから、その結論に至るまでのマチューの描写は、単なる導入部としか見られなかった。だいたいテロであるならば、さっさと犯行声明が出されるだろう。

 

音声分析捜査というサブタイトルのわりに、結構な量の動画分析も含まれている。別にそれを決定的なマイナスとまでは思わないが、やはりもっと音声データに焦点を当てて欲しかった。

 

職務上の機密情報がローカルドライブに置かれている描写があったが、そんなことがありうるのだろうか。IT音痴の日本の企業なら分からんでもないのだが・・・

 

真相は非常に示唆的であるが、その描写に迫真性はない。ああいう時は、以下白字まずはケーブルを抜くだろう。でなければPCを強制終了するはず。人間、パニックになればあんなものかもしれないが、やや拍子抜けする真相であった。

 

総評

サスペンス映画の佳作である。航空機(に限らずクルマでも電車でも何でもいい)に関連する技術と人間の関わり方に大いなる問いを投げかけている。序盤は少々もたもたした語り口という印象だが、中盤以降はジェットコースター的な上がり下がりの激しい展開を味わえる。真相はちょっと弱いが、そこに至るまでの緊張感をずっと維持するストーリーテリングは素晴らしい。平日の夜や週末が手持ち無沙汰なら、本作のチケットを購入されたし。

 

Jovian先生のワンポイントフランス語レッスン

putain

劇中ではピュターンと発音されていた。アクセントは後ろのターン。字幕では「くそ」となっていたように思う。2021年の夏にフランスの某サッカー選手たちが日本を侮辱する文脈で使ったとされる言葉で、アホのひ〇〇きが必死に擁護して騒動になったのを覚えている人もいるだろう。使ってはいけない言葉とされるが、ドイツ語の scheisse やロシア語の blyad など、互いの母国語の卑罵語を教え合うことで友情が深まるというのも、Jovianの経験からは、一面の真実である。 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, サスペンス, ピエール・ニネ, フランス, ルー・ドゥ・ラージュ, 監督:ヤン・ゴズラン, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 ブラックボックス 音声分析捜査 』 -近未来への警鐘-

『 カオス・ウォーキング 』 -ジュブナイル小説の映像化-

Posted on 2021年11月18日 by cool-jupiter

カオス・ウォーキング 50点
2021年11月13日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:トム・ホランド デイジー・リドリー マッツ・ミケルセン
監督:ダグ・リーマン

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マット・デイモンの『 ボーン 』シリーズや、『 バリー・シール アメリカをはめた男 』や『 ザ・ウォール 』など、骨太な物語とエンタメ性を両立させる監督。しかし、今作はビミョーな出来栄えであった。

 

あらすじ

西暦2257年。女はおらず、男は思考が「ノイズ」として具現化されてしまうニューワールド。そこでは何故か女性が存在しない。地球からの植民第二波の宇宙船が事故に遭い、不時着したことで、トッド(トム・ホランド)は女性のヴァイオラ(デイジー・リドリー)と出会う。母船と連絡を取れる場所へたどり着くため、トッドとヴァイオラは旅立つが、その過程で二人は星の秘密に迫ることになり・・・

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ポジティブ・サイド

『 メイズ・ランナー 』を面白いと思える人なら、本作も面白いと感じられるだろう。謎の環境。男しかいない世界。そこに現われた1人の少女。それによって動き出す運命。本作も、時代や場所こそ違えど、大きな枠では典型的なジュブナイル小説の映画化である。

思考が具現化されてしまうというのは面白いアイデア。女性がいない世界、あるいは男性がいない世界というのはSFやファンタジーでは使い古された設定ではあるが、「ノイズ」と組み合わせることで、非常にユニークなボーイ・ミーツ・ガールに仕上がった。男という生き物は『 君が君で君だ 』を観るまでもなく、隙あらば妄想するものである。それが筒抜けになることの恐怖と滑稽さよ。

 

ありふれた世界観にユニークな現象を一つ持ち込んだ一点突破型のストーリーを、トム・ホランド、デイジー・リドリー、マッツ・ミケルセンのスターが牽引することで魅力的なものにしている。彼らのファンならば鑑賞されたし。

 

ネガティブ・サイド

悪い意味でも『 メイズ・ランナー 』そっくりである。肝腎の「ノイズ」の謎の根源には1ミリたりとも迫らない。元々、三部作の小説の第一部だけというのも『 メイズ・ランナー 』と同じ。あちらは小説を読んだのだが、テレパシー設定が映画ではバッサリとカットされていた。それが映像化の際にはプラスに作用していたが、本作はおそらく小説から映画にする際に、取り除いてはいけない要素を取り除いてしまっている。女性がいない世界、文字も存在しない世界で、なぜキスを夢想できるのか。

 

同じく、冒頭でいきなり牧師だか神父だかにトッドが折檻されてしまうが、ニューワールドにおける宗教観、あるいは世界観がイマイチ不明である。「ノイズがあれば文字はいらない」というのは、ジュブナイル小説としてはありかもしれないが、SFとしてはなしだと感じた。それでどうやって農業を営むのか。あるいは、共同体の生産力と生産物を分配するのか。

 

最大の弱点は、エイリアンの存在。第一部の引きとして、先住エイリアンのスパクルが大挙して登場、敵、それとも味方?という場面がなかった。あわよくば二部、三部に続けられたらいいな、というのは映画製作の attitude としていかがなものか。「この世界に観客を引きずり込んでやるんだ」という強い気概は今作からは感じなかった。

 

総評

SFになりきれていない。文明や世界観を描き切れていない。熱心なSFファンには訴えるものがないだろう。男女二人の長変則的ロードムービーかつ逃避行ものとして見れば、それなりの出来栄え。若者向けデートムービーというのが最も無難な評価だろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

martyr 

「殉教者」の意。『 マーターズ 』はこの語の複数形である。英検1級やTOEFL iBT100点以上を目指すなら知っておきたい。コロナ前からも存在していたが、コロナ禍によって「健康のためなら死んでもいい」、「薬やワクチンはすべて毒」という考え方がますます可視化されるようになってきた。こうした考えの人間たちは、ある意味で殉教者と呼んで差し支えないと思うのだが、どうだろう。

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アドベンチャー, アメリカ, デイジー・リドリー, トム・ホランド, マッツ・ミケルセン, 監督:ダグ・リーマン, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 カオス・ウォーキング 』 -ジュブナイル小説の映像化-

『 アンテベラム 』 -ややマンネリか-

Posted on 2021年11月14日 by cool-jupiter

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アンテベラム 60点
2021年11月7日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ジャネール・モネイ
監督:ジェラルド・ブッシュ クリストファー・レンツ

 

私生活が多忙なためレビューが遅くなってしまった。『 殺人鬼から逃げる夜 』の上映時にトレイラーを観て、面白そうだと感じた。実際に面白かったが、テーマ的にも手法的にも先行する作品はいくつかある。

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あらすじ

気鋭の論客ヴェロニカ(ジャネール・モネイ)は、友人たちと楽しいディナーを過ごしていた。一方で、エデン(ジャネール・モネイ)は南軍の支配する南部で過酷な奴隷生活を送っていた。二人の人生が交差する時、恐るべき真実が明らかになり・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭からロングのワンカットで南北戦争時代の南部プランテーションの光景をこれでもかと見せつける。まるで『 ハリエット 』の世界に放り込まれたかのようである。BGMがまた不安を煽る。非人間的な扱いを受ける奴隷たちの姿と相まって、これから展開される物語が非常にダークなものになることを示唆する establishing shot になっていた。この作りこみは見事である。

 

事実、綿花の収穫に駆り出される黒人奴隷たちの置かれた境遇は過酷の一語に尽きる。観ていて気分が悪くなるが、これが歴史的な事実だったのだからしょうがない。 現代パートでも、さりげなく、しかし確実に黒人差別が存在することを印象付けるシーンがかしこに配置されている。Deep South という言葉があるが、本当に恐ろしい地域であると思う。

 

物語はヴェロニカ視点とエデン視点で進むが、その切り替わりが夢と目覚めというのは巧みである。どうしたって『 シャイニング 』を彷彿させる不気味な少女を使うことで、スーパーナチュラル・スリラーの要素も効果的に増強されている。トランプ政権爆誕以来、The Divided States of Americaになってしまった彼の国であるが、そんな状況の中でも本作ような作品を作り上げてしまうのだから、大したものである。

 

ぶっちゃけJovianは開始15分程度で話の全貌が見えてしまった。職業柄、TOEFL iBTを教えることが多く、畢竟アメリカ史には詳しくなる。あるキャラクターがある場面でポロっと漏らす一言は実にフェアな第一の伏線であった。『 グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 』で、マット・デイモンが親友ベン・アフレックをバーでかばうシーン並みにアメリカ史に通暁していれば、ひょっとしたらもっと早い段階で見破ってしまうのかもしれない。

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ネガティブ・サイド

今というタイミングだからこそセンセーショナルに感じるが、先行作品はいくらでも思い浮かぶ。以下、白字。

『 ザ・ハント 』

『 アス 』

『 ヴィレッジ 』

他にも今年(2021年)亡くなった劇画家の第3巻にも非常によく似たエピソードがある。種明かしされれば気付く類の伏線の数々が周到に張られてはいるものの、これらが少し大げさすぎた。もっと控え目でよかったのだが。

 

ジョーダン・ピールが関わっているわけではないが、ヴェロニカの親友の太っちょは『 ゲット・アウト 』のリル・レル・ハウリーの女性バージョン。『 ゲット・アウト 』は潜在的に白人が黒人を恐れ、なおかつ憧れているからこそ成り立つストーリーで、奇妙なユーモアがあった。だからこそ面白キャラの居場所があったの。しかし、本作のような黒人差別バリバリの話の中では、彼女の存在はひたすら浮いていたように感じた。

 

総評

ネタバレ厳禁というのは確かにその通りであろう。ただ、トレイラー自体が結構なネタバレになっている。また、ストーリー進行が前半は特に重く感じられ、そこでヴェロニカとエデンの切り替わりさながらに眠りの世界に旅立ってしまう人も多そうだ。ミステリ映画好きなら、あっさりと見破ってしまうだろう。逆にそうでなければ気持ちよく big twist に酔うことができるだろう。実際に、Jovian妻は感心することしきりであった。

 

Jovian先生のワンポイントラテン語レッスン

bellum

戦争を意味するラテン語。『 竜とそばかすの姫 』で、bellum omnium contra omnes = war of all against all = 「万人の万人に対する闘争」という格言に触れたが、bellという語は英語にも大きな影響を及ぼしている。英検2~準1級なら rebel, rebellion あたりを、英検1級なら bellicose, belligerence あたりを知っておきたい。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, ジャネール・モネイ, スリラー, 監督:クリストファー・レンツ, 監督:ジェラルド・ブッシュ, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 アンテベラム 』 -ややマンネリか-

『 モーリタニアン 黒塗りの記録 』 -日本はアメリカを笑えない-

Posted on 2021年11月3日 by cool-jupiter

モーリタニアン 黒塗りの記録 70点
2021年10月30日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:ジョディ・フォスター タハール・ラヒム シャイリーン・ウッドリー ベネディクト・カンバーバッチ
監督:ケビン・マクドナルド

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また出てきたイラク戦争関連映画。黒塗りの記録という副題が付されているのは、配給会社の Good job だと言える。また本作の製作は英国。つまりは『 オフィシャル・シークレット 』と同じく、反省と将来同じ過ちを繰り返すまいという英国人の意識の表れと取ることができる。

 

あらすじ

9.11の実行者たちをリクルートしたとの容疑から米当局に逮捕されたモハメドゥ(タハール・ラヒム)だが、起訴されることなく数年間拘束され続けていた。人権派弁護士のナンシー(ジョディ・フォスター)はモハメドゥの弁護を無償で引き受ける。そして、モハメドゥ拘束の裏にある非人道的な行為の数々が明らかになり・・・

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ポジティブ・サイド

物語の視点がユニークだ。『 最後の決闘裁判 』のように、同一の事象を異なる人間が捉えたというのではなく、9.11という事件を背景に一人の人間の弁護側と検察側、両方の視点で迫っていく点に視野の広さを感じる。同時に、モハメドゥの語る言葉とモハメドゥの書く手記のギャップ、さらに米政府によって徐々に公開される資料、その黒塗りの記録の向こう側にあるMFR(Memorandoum For Record)によって明らかになる事実が、物語に更なる重層性を与えている。

 

忖度という言葉が人口に膾炙するようになって久しい日本社会であるが、それはつまり他者への迎合に他ならない。そこに自分というものはない。本作の弁護士ナンシーや検察官であるカウチ中佐は、自分の信念にどこまでも忠実だ。ナンシーはモハメドゥの弁護を手がけるものの、それは彼の無実の証明のためではなく、あくまでも米政府の手続きの瑕疵を責めるもの。モハメドゥの母親の肉声に触れながらも、女性として、あるいは母親として同情するのではなく、あくまでも推定無罪の原則にしたがって動く。カンバーバッチ演じるカウチ中佐も同じ。友人が9.11のハイジャック犯に殺害されたことから、アルカイダのリクルーターであると目されるモハメドゥを裁判で有罪にすべく奮闘するが、その過程で「これはおかしい」と気付いていく。個人の情ではなく、法律家としての哲学に忠実であり続ける。国家と個人を同一視する傾向が多くの国で見られる今、この二人の姿勢に学ぶべき点は多い。

 

モハメドゥを演じるはタハール・ラヒム。どこかで観たと思ったら『 ダゲレオタイプの女 』に出演していた。このキャラクターも一筋縄ではいかない。無実を訴えつつも、常にどこかに疑惑を感じさせる。Jovianも弁護士の先生に「弁護士を信用しているのなら、事実をありのままに語ってください。黒を白にするのは難しいが、黒を灰色にすることはできる」と教えてもらったことがある。すべてを語らないモハメドゥはすなわちナンシーを全面的に信用していなかったわけで、なにが彼をそれほど頑なにさせるのか。その秘密が情報公開請求で呈示される段ボール箱何個分になるか分からない資料の山として現われる。それが見事なまでに黒塗りだらけなのだ。ここに至って、我々日本のオーディエンスは、これは赤木ファイルやスリランカ人女性の死亡を思い出すことになる。黒塗りは、そのまま時の政治権力の闇の大きさ、闇の深さを表している。

 

黒塗り記録の向こう側にはモハメドゥを自白させた力、すなわち拷問があり、これ自体は『 ザ・レポート 』などで既に明らかにされていることだが、本作において真に恐るべきなのは、エンディングで明かされる数字だろう。「WMDを所有している」、「テロ組織を支援している」として散々イラクを攻撃しておきながら、自らの主張は嘘っぱちだった。その裏で、法律無視の非人道的な行為の数々を犯し、それを黒塗りにすることで真相を闇に葬ろうとしていたのだから、これはもうまともな国家運営とは言えない。しかし、忘れてはならない。我々はそんなアメリカのやることなすことに必ず追従する国家に生きているということを。

 

ネガティブ・サイド

シャイリーン・ウッドリー演じる弁護士がMFRを見て「モハメドゥは自白していた!」とパニックになるシーンは実話なのだろうか。普通に考えれば、そこは最初に開示された黒塗り文書の、黒塗りされていない部分に該当しそうだが。また、自白そのもの、特に不当に長期に拘留されたり、身体的精神的な拷問によって強制された自白に証拠能力などない。弁護士ならそれぐらい知っていて当たり前のはず。あるべき反応は「なぜ自白した?なぜ当局は罪状を定めて起訴しない?起訴できない?自白は強要されたもの?」のように、理路整然とした推理であるべきだったと感じる。

 

拷問シーンの苛烈さがもう一つ伝わってこなかった。もっと過激にモハメドゥを痛めつけるシーンを作っていれば、モハメドゥが見せる普通の振る舞いの意味がより強調され、さらにエンディングで明かされる数字のインパクトも更に増したに違いない。

 

総評

英国人がイラク戦争関連の事象を描くとこうなるのかというお手本のような作品。アメリカ人だと『 ボーイズ・オブ・アブグレイブ 』のような、一見反省しているように見せかけて、実は単なるアメリカの個人主義的英雄譚の焼き直し作品になってしまう恐れが常にある。日本も法治国家であり続けたいなら、そして法治国家の国民であり続けたいなら、本作を観て、推定無罪の原則や公文書管理の重要性などをあらためて学ぶべきだろう。120%不可能だろうが、邦画の世界で入管によるスリランカ人女性の殺人(と敢えて呼ぶ)を映画化したら、それだけで国内ムービー・オブ・ザ・イヤーだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

See you later, alligator.

受験英語ではまず触れられないが、キッズ英会話などでは割とお馴染みの表現。意味はそのまま「じゃあね、アリゲーター」で、later と alligator が韻を踏んでいる。劇中でも触れられるが、こう言われたら”After a while, crocodile.”と返すのがお約束になっている。これも while と crocodile が韻を踏んでいる。ただ、大人が使うことはまずない。大人の先生がキッズ英会話の受講生に言ったり、小児科医が患児に言ったりすることはあるが、ビジネスの文脈ではほぼ間違いなく使われない。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, イギリス, サスペンス, シャイリーン・ウッドリー, ジョディ・フォスター, タハール・ラヒム, ベネディクト・カンバーバッチ, 監督:ケビン・マクドナルド, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 モーリタニアン 黒塗りの記録 』 -日本はアメリカを笑えない-

『 ANNA アナ 』 -スタイリッシュなスパイアクション映画-

Posted on 2021年4月3日 by cool-jupiter

ANNA アナ 70点
2021年3月30日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:サッシャ・ルス ルーク・エヴァンス キリアン・マーフィ ヘレン・ミレン
監督:リュック・ベッソン

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『 ニキータ 』の昔からスタイリッシュな女性キャラクターを描き出すことにご執心のリュック・ベッソン御大の作品。劇場公開時に見逃したこともあるが、ジェシカ・チャステイン主演の『 AVA/エヴァ 』のトレーラーを観て、同工異曲の本作が気になった。ゆえに近所のTSUTAYAでレンタル。

 

あらすじ

1990年のソ連。不遇な環境に生きるアナ(サッシャ・ルス)は、KGBのアレクセイ(ルーク・エヴァンス)からスパイとしてスカウトされる。彼女はエージェントとして頭角を現し、数々の困難なミッションを遂行していくのだが・・・

 

ポジティブ・サイド

『 レッド・スパロー 』の虚々実々の騙し合いの駆け引きと『 アトミック・ブロンド 』の肉弾バトルと銃撃アクションを見事に融合している。主演のサッシャ・ルスはまさに佳人薄命。ろくでもない恋人のせいでどん底の生活をしていたところを、アレクセイにスカウトされる。その時の台詞がしびれる。「5分前まで未来がなかったのに、今は5年後の心配か?」

 

KGBに属することになったその先で出会う女上司のオルガの存在感がまた抜群だ。『 グッドライアー 偽りのゲーム 』でも貫禄の演技を見せたヘレン・ミレンが、現場上がりの管理職の凄みを見せる。五体満足ではこの稼業はできないんだぞ、ということをアナにも観る側にも伝えてくる迫力は本物。

 

アクションもスタイリッシュかつ、血みどろの泥臭さ。レストランに乗り込んでの大立ち回りは『 悪女 AKUJO 』の冒頭のシークエンスを彷彿とさせた。カッコよくぶっ殺すのだが、返り血もしっかり浴びる。『 アトミック・ブロンド 』と同じく、敵をちぎっては投げるが、本人もゼェゼェハァハァ状態。闘う女性の美しさをフレームに収めてきたリュック・ベッソンが、血糊というメイクアップをふんだんに使ってきた。それだけサッシャ・ルスという素材が魅力的だったのだろう。実際にそうなのだ。ファッションモデルからコールガールまで違和感なく演じ、バイセクシャルでもある。単なるキリング・マシーンになっていないところがいい。ロシア人だとかKGBだとかは、何やら得体の知れない怖さがあるが、アナのヒューマンな部分がそうしたところをうまく中和してくれている。

 

KGBのアレクセイを演じるルーク・エヴァンスのロシア人っぽさが微妙に笑えるし、うさん臭さと軽佻浮薄さを漂わせながら目が笑っていないキリアン・マーフィも良い味を出している。男ならどこか彼らに自分を同一視してしまうのではないだろうか。男は美女に翻弄されてナンボなのだろう。

 

アナが終盤で見せる暗殺劇と脱出も手に汗握るガンアクションの連続。アクションができる女優というのは、魅力が200%増しに見える。実際にルーク・エヴァンスとキリアン・マーフィをある意味で手玉に取ってしまうのだから、魔性の女でもある。頭脳明晰、容姿端麗、それでいて凄腕のエージェント。けれどその中身は、何よりも自由と解放を希求する一人のか弱い乙女というギャップ。リュック・ベッソンの趣味が全部ぶちこまれたキャラクターの爆誕と言える。波長が合う人にとっては大傑作だろう。波長が合わない人にとっても佳作だと言えるはずだ。

 

ネガティブ・サイド

過去の回想シーンが結構な頻度で挿入されてくるが、それによってストーリーテリングのテンポが悪くなっている。「3年前」の後に「半年後」みたいな構成は混乱の元だろう。もちろん、そうすることで観客を驚かせたい、キャラクターの背景を深掘りしたいという意図があるのは百も承知だが、このあたりの回想をもっとコンパクトにまとめることはできなかったのか。

 

1990年のソ連崩壊前夜、またはその数年前が舞台のはずだが、ノートパソコンが普通にバンバン登場する。いや、ノートパソコンそのものは当時も存在したガジェットだが、もっと小さかったはず。まあ、ソ連の科学の粋だと思うことにしよう。だが決定的におかしいのはメールに動画メッセージを添付して送信できるところ。これにはズッコケた。そんなもん、当時の技術や通信インフラの水準で出来るわけないやろ、と。『 真・鮫島事件 』でも思ったが、動画をカジュアルにやりとりできるようになったのはたゆまぬ技術革新のおかげで、それは2000年代後半以降のこと。時代考証はしっかりとすべし。

 

総評

普通に面白い。スパイ映画に出てくる人物というのは、『 ミッション・インポッシブル 』イーサン・ハントだとか『 007 』のジェームズ・ボンドのようなキャラ以外は、基本的にダブル・エージェントであることがお約束である。つまり、スパイ映画の文法に忠実でありながら、それ以外の部分での面白さも追求できている。本邦でも『 奥様は、取り扱い注意 』なる地雷臭が漂う作品が公開間近だが、土屋太鳳や山本舞香といったアクションができる女優を使ったスパイアクション映画を作ってほしいものだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Trouble never sends a warning.

危険は決して警告を送ってこない、の意。字幕は忘れたが、このセリフは耳に残った。You can never check too many times because trouble never sends a warning.だと感じる繁忙期の今日この頃である。

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アメリカ, キリアン・マーフィ, サッシャ・ルス, フランス, ヘレン・ミレン, ルーク・エヴァンス, 監督:リュック・ベッソン, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 ANNA アナ 』 -スタイリッシュなスパイアクション映画-

『 秘密への招待状 』 -邦画もしくは韓国映画で再リメイク希望-

Posted on 2021年2月27日2021年2月27日 by cool-jupiter

秘密への招待状 75点
2021年2月26日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ミシェル・ウィリアムズ ジュリアン・ムーア ビリー・クラダップ アビー・クイン
監督:バート・フレインドリッチ

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タイトル(邦題)はイマイチだが、ミシェル・ウィリアムズとジュリアン・ムーアの共演および対決というだけでチケット購入。期待以上の出来栄え。大人のテーマを大人の映画技法で語りつくした逸品。

 

あらすじ

インドで孤児院を運営するイザベル(ミシェル・ウィリアムズ)は、200万ドルの支援を検討している会社経営者テレサ・ヤング(ジュリアン・ムーア)に会いにニューヨークへ向かう。「娘の結婚式に来てくれればもっと話せる」というテレサの招待に応じたイザベルだが、そこで目にしたのはテレサの夫はかつての恋人オスカー(ビリー・クラダップ)だった・・・

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ポジティブ・サイド

ジュリアン・ムーアの演技力が光っている。カリスマ的な会社経営者、精力的に働くキャリアウーマン、良妻賢母(という表現はもしかしたらアメリカではnot PCかもしれないが)のすべてを情感たっぷりに演じている。見どころは、イザベルとのとある会食前のシーン。友人たちとにこやかに談笑したかと思えば、自分の部下を恐ろしく口汚い言葉で罵る。ジェットコースターのように気分があちらこちらへと瞑想・・・ではなく迷走する。ラストの慟哭も観る者に深く、痛く突き刺さる。

 

ミシェル・ウィリアムズは対照的に抑えた演技で魅せる。二度だけ声を荒げるが、その他のシーンは基本的には感情を押しとどめている。逆に、所作で存分に語っている。靴を脱ぎ捨て、足早に階段を下りていくシーンに彼女の内面の怒りや混乱がよく表れている。こうした演出の方が逆に彼女の内面をよりはっきりと伝えてくれる。監督の演技指導やカメラマンの腕前もあるのだろうが、日本の女優もミシェル・ウィリアムズが本作で見せる演技を参照してほしい。

 

全体的なストーリーテリングも巧緻だ。イザベルとオスカーの口論や、グレイスとイザベルがアルバムを一緒に見るシーンなど、過去に何があったのかを断片的に物語ってはいるものの、全体像や真実は決して明らかにしない。それは、本当に重要なのは「今」であるという作り手の信念の反映なのだろう。グレイスが父オスカーに“Did you love her?”と問い、さらに“Do you?”と重ねて尋ねるシーンがそのことを証明していると思う。

ドラマチックなシーンでも妙に凝ったカメラワークやBGMに頼らず、あくまで俳優たちのエモーションを淡々と映し出し続けたのが心地よかった。『 私は確信する 』でも感じたことだが、テンプレに沿って映画を作っている日本の監督たちは、時には調味料なしで素材の味だけで勝負する度胸を持って欲しい。

 

家族とは、結婚とは、子育てとは、仕事とは、人間関係とは。様々な問いが渦巻く本作では、明確な答えは示されない。巨大な企業で、白人、黒人、アジア系、男性、女性の区別なく人を雇い、血のつながらぬ子供も血を分けた子どもも育てたテレサ。ひっそりと孤児院を運営するイザベラとは対照的だが、血縁者以外を家族として扱う点では同じ。そのことは、彼女たちだけではなく今後の世界では広く共有されるべき価値観となるはず。イザベラの言う“It’s your life. You decide.”という信念・理念がそれを表しているように思えてならない。彼女自身、息子のように育てている孤児のジェイに人生の選択を委ねるシーンには何とも言えない苦みと少しのさわやかさが残る。日本では『 ヤクザと家族 』が家族の意味を問い直してきたが、アメリカでも家族の意味を再定義する時期に差し掛かってきているのだろう。

 

ネガティブ・サイド

色々な解釈の余地を残す本作で、逆にそれが心地よいのだが、一つだけ気になる点が。テレサがイザベラのニューヨーク訪問を強硬に主張した理由の真相は何だったのか。偶然だったのか、必然だったのか。

 

イザベラおよび施設のマザーらしき女性がカネにこだわるのは大いに理解できる。しかし、そのカネへの執着に説得力を持たせるには、第一にインドの子ども達が置かれている窮状、惨状をよりつぶさに映し出すこと。そして第二にニューヨークのホテルの部屋をスイートからスタンダードに変えてくれ、その差額を寄付金に加えてくれという要求。この二つが少なくとも必要だったのではないか。

 

総評

上質なドラマである。『 ブリング・ミー・ホーム 尋ね人 』のように養子制度にあまり抵抗のなさそうな韓国、『 朝が来る 』で養子という制度への気づきが高まった日本でも、機を見てリメイクしてほしいもの。『 おとなの事情 スマホをのぞいたら 』のように、各国が自国の特色を盛り込めることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

grace

楽曲『 アメージング・グレース 』でお馴染みの語。意味は「恩寵」。スペイン語のありがとう=グラシアス(gracias)やイタリア語のありがとう=グラッツェ(grazie)などと語源を同一にする語。大河ドラマ『 麒麟がくる 』の主人公・明智光秀の娘たまが細川ガラシャとなるが、ガラシャというのはラテン語のGratia=英語のgraceである。Every picture tells a story. Every word tells a story, too.

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アビー・クイン, アメリカ, ジュリアン・ムーア, ヒューマンドラマ, ビリー・クラダップ, ミシェル・ウィリアムズ, 監督:バート・フレインドリッチ, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 秘密への招待状 』 -邦画もしくは韓国映画で再リメイク希望-

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