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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 中国

『 銀幕の友 』 -朋あり遠方より来る、亦た楽しからずや-

Posted on 2025年2月23日2025年2月23日 by cool-jupiter

銀幕の友 50点
2025年2月22日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:チョウ・シュン ワン・イーボー
監督:チャン・ダーレイ

 

妻が「短編は配信されないので劇場で観たい」というのでチケット購入。

あらすじ

1990年、北京でのアジア競技大会が終わった頃、チョウ(チョウ・シュン)は中国のとある街の工場労働者向けの映画のチケットを配布していた。そこに旅から帰ってきたというリーが友人を訪ねてきて・・・

 

ポジティブ・サイド

北京に集結したアジア各国の代表たちと今度は広島で会おうと誓う歌が、中国各地に散った同胞および同朋との出会いとパラレルになっている。

 

何気ない街の日常を静かに見つめるという点では男女が逆だが『 パターソン 』に似ていると感じた。非日常から日常に回帰する時、同郷の友の訪問を受ける。何気ない営為がとても尊く、愛おしく感じられる瞬間でもある。

 

皆が一つの目的でそこに集い、一つの体験を同時に共有できるという意味で、映画館は同好の士との出会いの場と言える。実際に『 熱烈 』を通じて劇場で意気投合したマダムたちもいたのである。

 

ネガティブ・サイド

24分で1300円は高い。テアトルさん、一律1000円でも良かったのでは?

 

かなりのスローペースで、物語らしい物語はない。背景情報だけは間接的に渡すので、そこから物語を自身で構築してくださいというのは、芸術映画にしても無責任すぎ。

 

もう少しパンパン(パンダの大型模型)の搬送シーンでのチョウの視線などにクローズアップしていれば、無くなっていくものへの寂しさとそれを心に刻みつけることの大切さ、そしてそれを追体験させてくれる映画という媒体の尊さのようなものを観る側に感得させやすくなったのではないかと思う。

 

総評

ワン・イーボーのファン以外にはお勧めしない。逆に言えばワン・イーボーのファンなら観る価値はあると言える。30分に満たない短編だというのに座席は4割以上は埋まっていた。パッと見た限り男性客はJovianと最前列のもう一名だけ。その一名もおそらく妻に引っ張り出されたのだろう、と推測する。同病相憐れむ、か。彼とJovianは言葉も視線も交わさなかったが、友になったのかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

再見

ザイヂェンと発音する。アクセントは後半のチェン。読んで字のごとく、再び会おうの意。英語なら Good bye もしくは See you again. となる。おそらくニーハオ、シエシエに次いで知られた中国語ではないだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 メイクアガール 』
『 マルホランド・ドライブ 』
『 幻魔大戦 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, D Rank, チョウ・シュン, ヒューマンドラマ, ワン・イーボー, 中国, 監督:チャン・ダーレイ, 配給会社:彩プロLeave a Comment on 『 銀幕の友 』 -朋あり遠方より来る、亦た楽しからずや-

『 FPU 若き勇者たち 』 -中国の国策映画-

Posted on 2025年1月13日 by cool-jupiter

FPU 若き勇者たち 65点
2025年1月10日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:ワン・イーボー
監督:リー・タッチウ

 

年末から始まった謎の感冒症状がなかなか治らない。が、本作は少し気になったのでチケット購入。

あらすじ

反政府武装勢力と政権との内戦が続くアフリカ某国に、国連からの要請でFPUが派遣されることになった。任に当たる中国警察の面々は個々の能力には秀でるものの、チームワークに難があった。その中には若き狙撃手ヤン(ワン・イーボー)の姿もあり・・・

ポジティブ・サイド

アフリカの部族間抗争の延長線上の内戦を描いている。そうした抗争の根っこはほとんどすべて欧米列強のアフリカ支配で、勝手な国境線の取り決めや特定部族の優遇や特定部族の排除の歴史が今につながっている。中国はそうした歴史とは無縁(アフリカでは、という意味。他地域はまた話が別)なので、実際にPKOを行ったり、こうしたプロパガンダ映画を作りたくなるのもむべなるかな。

 

アクションのビルドアップが良い。最初は小競り合い、そこから投石や火炎瓶にエスカレートしていき、そしてスナイパーによる狙撃まで。赴任の Day 1 から打ちのめされるFPUと、そこから徐々に現地住民になじんでいく過程はシンプルながら興味深かった。自衛隊もイラクでこんな感じだったのだろうと想像が膨らんだ。

 

中国語だけでなく、フランス語や英語も飛び交い、近年の韓国映画的でもある。とあるキャラの言う “Justice knows no border.” はまさに cinematic な台詞で、邦画もこれぐらいは頑張ってほしいもの。

 

主役のワン・イーボーと隊長の間に因縁が用意されているのも、ベタではあるがプロットには活きていた。

 

ネガティブ・サイド

『 ボーン・トゥ・フライ 』の隊長や『 熱烈 』のコーチのような、暑苦しいオッサンキャラがいなかった。FPUの隊長が本来そのポジションなのだろうが、ヤンの父親の相棒だったわりには若すぎる。オヤジというよりもアニキというキャラで、隊の中でもプロットの面でも浮いていた。

 

エンドロールが長かった。いや、インド映画だと思えばそれも許容可能だが、メイキング映像と本編の補完映像を同時に流すのはいかがなものか。見せるのならどちらかに統一を。

 

総評

こういうのは往々にして反政府側が善に描かれるものだが、本作はそうではない。中国共産党の国策映画なのだから当たり前といえば当たり前なのだが、それなりに新鮮な視点が提供されていた。ハリウッドのドンパチとは毛色の違うB級アクションだが、深く考えなければ気軽に楽しめる作品に仕上がっている。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

presidential house

大統領官邸の意。presidential palaceとも言うが、これは外装・内装ともに煌びやかなものを指す。ちなみに日本の総理官邸は Prime Minister’s office となる。英字新聞には割と出てくる表現である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 #彼女が死んだ 』
『 アット・ザ・ベンチ 』
『 港に灯がともる 』

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, C Rank, アクション, ワン・イーボー, 中国, 監督:リー・タッチウ, 配給会社:ハークLeave a Comment on 『 FPU 若き勇者たち 』 -中国の国策映画-

『 熱烈 』 -Becoming One and Only-

Posted on 2024年9月30日 by cool-jupiter

熱烈 80点
2024年9月29日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:ワン・イーボー ホアン・ボー
監督:ダー・ポン

 

『 ボーン・トゥ・フライ 』主演のワン・イーボーが今度はブレイキンのダンサー役を演じる。またしても妻のリクエストでチケット購入。

あらすじ

ブレイキンのプロチーム「感嘆符!」は、中心メンバーのケビンが財力を武器に好き放題。ある時、ケビンの代役が必要になり。コーチのディン・レイ(ホアン・ボー)は、地元のイベントで細々と活躍している、かつてのオーディション参加者チェン・シュオ(ワン・イーボー)を加入させるが・・・

ポジティブ・サイド

我が母校には Smooth Steppers というストリートダンスのサークルが2000年には既に存在していて、寮の洗面所で踊っている後輩もいたりした。五輪の種目にもなるなど、本当にストリートダンスは一般に普及したのだなと個人的に感慨深かった。

 

肝心の映画の出来はというと、これが非常に良かった。発展目覚ましい浙江省の杭州の中心で練習する感嘆符!と、実家の手伝いと洗車アルバイトと地元のイベントの掛け持ちの中でダンスの練習を積んでいくチェン・シュオの対比が残酷にすら映る。

 

しかし、チェン・シュオが代役ながらも感嘆符!入りを果たしたことで、少しずつ彼の人生も変わっていく。そこで良い味を出すのがコーチのディン・レイ。『 ボーン・トゥ・フライ 』のチャン・ティン隊長的のようなゴリゴリの軍人ながら、良き家庭人でもあるというおっさんではなく、ダンスに生き、ダンスでしか生きられないという、ある意味で永遠の少年 = puer aeternas だ。しかし、このおっさんが少年のままで居続けるのか、それとも色々と物事を割り切って大人になってしまうのかというサブプロットが、若年でありながらも母や叔父を支え続けてきたチェン・シュオの生き方との対比になっていて魅せる。

 

悪役であるケビンも単なる悪ではなく、チェン・シュオとは対照的な意味での子ども。レーシングカーコースのあるだだっ広い部屋で無言でクルマを走らせる姿は、いくら爆走しても決められたコースから外れられない自身の境遇と重なっていた。

 

アップダウンを経ながら、最終的にケビン率いるチームとのバトルに挑む感嘆符!。ここでのダンスシーンは圧巻の一語に尽きる。孤独のままに踊るケビンとチームで踊る感嘆符!という構図が、個々の力で踊るケビンのチームと観客を味方につける感嘆符!という構図に変わっていく。この過程が非常にドラマチックだ。そして最後の最後、一歩間違えれば『 少林サッカー 』的になりかねない大技が決まった瞬間のカタルシスは筆舌に尽くしがたいものがあった。

 

『 ガリーボーイ 』的なサクセス・ストーリーを、『 ピッチ・パーフェクト 』のような仲間とのビルドゥングスロマンとして、そしてダンス・パフォーマンスは『 マジック・マイク 』並みのセクシーさとパッションで見せてくれる作品。総じて『 スウィング・キッズ 』と同レベルの傑作と評してよいと思う。

 

ネガティブ・サイド

カメラワークに少々注文を付けたい。ケビンのチームの外国人助っ人たちの実力を観客および感嘆符!に見せつける、かつ五輪競技でもあるブレイキンの魅力を観客に伝えるために、真正面からの定点カメラで撮影し、映し出してほしかった。理想はBTSのDynamiteの練習動画である。

 

チェン・シュオの父親の踊っているシーンや回想、もしくは写真が見てみたかった。ディン・レイが疑似的な父親になっているのは分かるが、やはりダンサーだったというチェン・シュオの父とチェン・シュオのつながりを体感してみたかった。

 

総評

TOHOシネマズ梅田も座席はほぼ完売で、驚きの女子率&マダム率。トイレ前で「3回目なのに、また泣いちゃった」と感想を言い合う女子、エレベータの中でこれから広島や愛知に帰ると言っていたマダムたちも見かけた。ワン・イーボーは確実に中国という枠を超えてアジアのスターになりつつある。公開している劇場も少なくなってきているので、観るのならばお早めに!

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

ガンベイ

乾杯の意。劇中でもやたらと一気飲みをするが、漢字を見れば納得である。Jovianの学生時代を振り返っても、確かに Chinese American や Chinese Australian は、一気に盃を空けていた。一気飲みは自己責任で!

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 シュリ 』
『 シビル・ウォー アメリカ最期の日 』
『 犯罪都市 PUNISHMENT 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, スポーツ, ヒューマンドラマ, ホアン・ボー, ワン・イーボー, 中国, 監督:ダー・ポン, 配給会社:彩プロ, 青春Leave a Comment on 『 熱烈 』 -Becoming One and Only-

『 YOLO 百元の恋 』 -オリジナル越えの傑作-

Posted on 2024年7月17日 by cool-jupiter

YOLO 百元の恋 80点
2024年7月16日 Tジョイ梅田にて鑑賞
出演:ジア・リン ライ・チァイン
監督:ジア・リン

 

『 百円の恋 』の中国リメイク。『 ソウルメイト 七月と安生 』が『 ソウルメイト 』としてリメイクされたのと同じくらいの、リメイク成功と言える。

あらすじ

ドゥ・ローイン(ジア・リン)は一度は就職したものの、すぐに離職。以来10年間、実家で親のすねかじりをしていたが、妹と大ゲンカしたことでローインは衝動的に家を出る。ある時、ひょんなことから知り合ったボクサーのハオ・クン(ライ・チァイン)への思慕から、ローインはボクシングジムに通い始め・・・

ポジティブ・サイド

『 百円の恋 』の安藤サクラも痛々しいキャラ設定だったが、本作のローインはそれに加えて100キロの巨体。恋人も親友もいるが、実はその二人が自分に隠れて付き合っているという、笑うに笑えない状況で物語は始まる。このあたりはオリジナルに上手く「肉付け」しているだけだが、中盤でローインが妹の提案に乗って、とある仕事を引き受けたあたりから「呆れるほどに痛く」なる。

 

そして突如として鳴り響く、あの楽曲!そして、春夏秋冬、トレーニングを通じてみるみる痩せてゆくローインをこれでもかと映し出す。これまでのボクシング映画が実はほとんどフォーカスしてこなかった、文字通りの意味での迫真の減量である。壮絶とはまさにこのこと。ロバート・デ・ニーロもこれは称賛するに違いない。

 

そしてローインの初の試合。ここでは『 クリード チャンプを継ぐ男 』にもあった、1ランドすべてをワンカットで見せる手法を採用。ジア・リンは監督としても相当に先行作品をリスペクトしているようである。

 

最後は『 プラダを着た悪魔 』のアン・ハサウェイよろしく、颯爽と去っていくローイン。このあたりもオリジナルと同じではあるが、カタルシスの度合いはこちらの方が上。奔放の駄作『 レッドシューズ 』も、せめてこのような絵作りが出来ていれば評価ももう少し上がっただろうにと思わされた。

 

エンドクレジットでは、ジア・リンがローインになっていくシーンが克明に映し出される。『 百円の恋 』の試合前の入場シーンは安藤サクラの悲壮感と決意が前面に出ていて印象的だったが、本作ではそこ「生まれ変わり」のシーンだったのだなということが、より鮮烈な印象を伴って想起された。

 

ネガティブ・サイド

あの彼氏と親友には最終盤にもう一度だけ出てきてほしかった。

 

総評

傑作。『 百円の恋 』を観ていなくても楽しめるし、鑑賞済みであればもっと楽しめる。「あの音楽」を聞いて自動的にアドレナリンが出るような人は、今すぐにでもチケットを購入して劇場鑑賞してほしい。中国映画界はハリウッドや邦画からも学ぶ姿勢が見られるが、それは「近いうちに追い抜いてやる」という意思表示に他ならない。韓国映画に抜かれて久しい日本の映画業界だが、中国映画界に本格的に

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

姐

ジエと発音する。「姉」の意。劇中で何度かローインがこう呼ばれる。日本語でも姉の「し」と読むので、なんとなく音も近く感じる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 朽ちないサクラ 』
『 キングダム 大将軍の帰還 』
『 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, ジア・リン, スポーツ, ヒューマンドラマ, ボクシング, ライ・チァイン, 中国, 監督:ジア・リン, 配給会社:東映ビデオLeave a Comment on 『 YOLO 百元の恋 』 -オリジナル越えの傑作-

『 ボーン・トゥ・フライ 』 -中国産の国威発揚映画-

Posted on 2024年7月7日2024年7月7日 by cool-jupiter

ボーン・トゥ・フライ 55点
2024年7月6日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:ワン・イーボー ユー・シー フー・ジュン チョウ・ドンユイ
監督:リウ・リャオシー

 

ワン・イーボーというブレイク中の俳優の出演作らしく、妻のリクエストでチケット購入。

あらすじ

パイロットのレイ・ユー(ワン・イーボー)は、テストパイロットチーム隊長のチャン・ティン(フー・ジュン)からスカウトされる。次世代ステルス戦闘機に乗れるチャンスをつかめるかもしれないと、レイはチームに参加。そこでライバルとなるドン・ファン(ユー・シー)と出会い・・・

ポジティブ・サイド

CGによる冒頭の空中戦シーンはアメリカのB級レベルだが、それでも夜間戦闘にして不鮮明な機影だらけだった『 空母いぶき 』に比べれば、はるかに良かった。

 

内容的には中国版の『 トップガン 』とも言うべきもの。現場や大会で実績を積んだパイロットたちが、過酷な訓練を経て選抜されるというもの。トム・スケリット演じるジェスターは、今作ではフー・ジュン演じるチャン・ティン隊長。このオッサンが素晴らしいキャラだった。

 

Jovianは先月から部署が変わって、アプリ開発に携わっているが、仕事の一つにテストがある。すなわち、devやstaging環境のアプリを色々と触って、不具合などがないかどうかチェックしている。アプリを触っていて死ぬことはないが、テストパイロットの場合は死ぬことがある。そんな隊長が語る「命」と「使命」のシーンでは、不覚にも感動してしまった。他にも脱出用パラシュートを梱包する裏方スタッフにも光が当てられたりと、思いがけず細やかなシーンが見られたのも良かった。

 

アメリカを思いっきり仮想敵国にしているが、よくよく考えればかつてのソ連やロシア、それに中国を仮想敵国にしたハリウッド映画を我々は散々観てきた訳で、エンタメはエンタメと割り切る必要がありそう。戦争をゲームや漫画、映画などのコンテンツとして享受できる世界を作りたいものである。

 

ネガティブ・サイド

『 ソウルメイト 七月と安生 』と『 少年の君 』のチョウ・ドンユイが出演しているということでチケットを購入した面もあったが、果たしてこのキャラは必要だったのか?悪いが軍医系のキャラは全カットして、1時間50分ぐらいにコンパクト化してくれればなお良かった。

 

いくらアメリカが傍若無人な国家でも、海上基地の間近をあんな低空でフライバイするか?マーヴェリックは自分の基地や空母の管制塔にフライバイするが、よその土地でそんなことはするはずがない。もしも他国でそれをやったら香港の定期輸送便に就航させられる程度の処分ではすまないと思うが・・・ ここはさすがに非現実的すぎた。

 

中国の国産戦闘機がロシアのSu-27に瓜二つなのは何故?原爆と同じくイチから作ったことを誇るなら、架空でよいのでオリジナルのデザインにできなかったのだろうか。

 

レイ・ユーのライバルのはずのドン・ファンが、それほど空を飛ばない。というか、あんまり活躍しない。隊長のシーンを少し減らして、ドン・ファンに与えるべきではなかったか。ここは編集がうまく行っていないと感じた。

 

総評

こういう映画を作れてしまうこと自体に驚いてしまう。日本も『 トップガン 』に触発されて『 BEST GUY 』を製作したが、今の邦画界が『 BEST GUY GOKU 』とか『 BEST GUY 2 』とかを作れるのだろうか?両国の勢いの差がここに見て取れる。アメリカのプロパガンダをたっぷり浴びてきた身としては、一瞬のデトックスのようにも感じられた。同じように感じる人がいるかどうかは分からないが、それなりに爽快な時間を持てることは保証する。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

バ

語気助詞と呼ばれるもの。動詞の最後にくっついて語気を変化させる。劇中では開始バ=開始しよう、チーバ、チーバ=食べて、食べて、のように使われていた。語気助詞は日本語にもあるが、英語には存在しない。中国映画やドラマではこれでもかと聞こえてくるので、機会があれば耳を澄ましてみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 THIS IS LIFE スマホから見る中国人の人生 』
『 クワイエット・プレイス:DAY 1 』
『 朽ちないサクラ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アクション, チョウ・ドンユイ, フー・ジョン, ユー・シー, ワン・イーボー, 中国, 監督:リウ・リャオシー, 配給会社:ツインLeave a Comment on 『 ボーン・トゥ・フライ 』 -中国産の国威発揚映画-

『 劇場版 再会長江 』 -中国社会の今に迫るドキュメンタリー-

Posted on 2024年5月10日 by cool-jupiter

劇場版 再会長江 80点
2024年5月6日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:竹内亮 小島瑠璃子
監督:竹内亮

 

簡易レビュー。

あらすじ

映像作家の竹内亮は、長江源流の最初の一滴に迫るために旅に出る。それは10年前に訪れた長江流域で出会った人々との再会の旅路であり、10年間の中国社会の変化に触れる旅路でもあった。

ポジティブ・サイド

長江の雄大さを伝える映像が多く、ドキュメンタリー作品ではあるが非常に cinematic な作品でもある。長江流域で出会う個性的な人々や少数民族との交流も純粋に興味深い。『 天空のサマン 』を鑑賞した後に本作を観ることで、失われつつある民族の文化への危機感と、逆にそれらを育んだ長江の豊かな恵みへの憧憬を同時に感じる。

 

世界的な大河である長江も、その源流は氷河から滴る雫、そして小さな名もなき川の集合体。現在の中国におけるマジョリティである漢民族の社会と歴史は、多くの少数民族たちの有形無形の財産・遺産から成り立っているのだと感じた。

ネガティブ・サイド

あらゆる民族がプートンファを話すことに対して、日本語ネイティブである竹内監督からその良し悪しについて語ってほしかったと思う。

 

総評

一言、傑作。変わらない文化と不断の変化を続ける社会という相反する2つの要素を、流れ続けながらも常にそこに存在する大河という存在を通じて描き出す手法には脱帽せざるをえない。語学学習を志す人にとってもお勧めしたい作品。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

チュングォ

漢字では「中国」と書く。つまり中国のこと。作中で何度も聞こえてくる。ちなみに中国語で日本はリーベンだが、中世ではジッポン。これを聞いたマルコ・ポーロが「さらに東方にジパングがあるのか」と思い、それが英語ではさらに Japan に変化した。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 青春18×2 君へと続く道 』
『 不死身ラヴァーズ 』
『 関心領域 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, ドキュメンタリー, 中国, 小島瑠璃子, 監督:竹内亮, 竹内亮, 配給会社:KADOKAWALeave a Comment on 『 劇場版 再会長江 』 -中国社会の今に迫るドキュメンタリー-

『 兎たちの暴走 』 -やや竜頭蛇尾-

Posted on 2023年9月16日 by cool-jupiter

兎たちの暴走 60点
2023年9月9日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:リー・ゲンシー ワン・チエン
監督:シェン・ユー

簡易レビュー。

 

あらすじ

シュイ・チン(リー・ゲンシー)は父と継母、弟と暮らしているが、家に居場所がない。また学校でも本当の友達はいなかった。しかし、ある時、自分を生んですぐに行方をくらませた母チュー・ティン(ワン・チエン)が16年ぶりに帰ってきた。過去のわだかまりをなくしたシュイ・チンは、母に居場所を求めていく。しかし、母にはとある秘密があって・・・

ポジティブ・サイド

高校の校舎および雰囲気が中国映画『 少年の君 』や韓国映画『 不思議の国の数学者 』のそれとよく似ている。学校=一種の監獄という構図が見て取れる。家にも学校にも、本当の居場所がないというシュイ・チンの境遇が映像だけで伝わってきた。

 

元々存在しなかった母親と親子というよりも友情に近い関係性を求めてしまうのもむべなるかな。その過程がアメリカ映画『 レディ・バード 』と対照的で面白かった。

 

色々と荒い面はあるが、主要キャラクターの感情や思考が言葉ではなく振る舞いで表されている。たった一組の母と娘の関係性を描きながら、中国社会の暗い位相が浮き彫りにした手腕は見事。

ネガティブ・サイド

ぴょんぴょんと元気に跳ね回る兎たちが、最後の最後に大暴走・・・なのだが、結末がなんとも尻すぼみ。終わりよければ全て良しと言うが、逆に言えば終わり悪ければ全て悪しになる。邦画『 MOTHER マザー 』のエンディングにも個人的には不満だったが、母たるチュー・ティンがもっと自己犠牲の精神を見せるか、あるいはさらなる暴走をして・・・と、もう一つ先の段階まで踏み込んでエンディングに繋げられなかったか。

総評

中国版の逆『 レディ・バード 』になりきれなかった作品。それでも母と娘の歪な関係の描写に、地域社会や現代中国の閉鎖性が垣間見えてくる。それにしても主役のリー・ゲンシーは良い役者だ。『 少年の君 』のチョウ・ドンユィにも驚かされたが、中国はルックスではなく演技力や監督の演出をそのまま体現できる表現力で役者が選ばれているようだ。粗削りだが、キラリと光るところもある作品。シェン・ユー監督の名前は憶えておきたい。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

元

ユアンと発音する。言わずと知れた中国の通貨単位。劇中で何度か200万元が話題になるが、何と言っているのか聞き取れなかった。2は多分、アールのはず。元はユアンとはっきり聞こえた。リスニングは難しい。が、語学学習は兎にも角にもリスニングから。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 アステロイド・シティ 』
『 さらば、わが愛 覇王別姫 』
『 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, ヒューマンドラマ, リー・ゲンシー, ワン・チエン, 中国, 監督:シェン・ユー, 配給会社:アップリンクLeave a Comment on 『 兎たちの暴走 』 -やや竜頭蛇尾-

『 シン・オクトパス 』 - タコ映画の珍作-

Posted on 2022年12月17日 by cool-jupiter

シン・オクトパス 40点
2022年12月16日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:リウ・ムー キャンディス・ツァオ
監督:フランク・シィァン

『 マーズ・ミッション2042 』のCMで本作を知って、少し興味を持った。近所のTSUTAYAにあったので、クソ映画と知りつつ借りてしまった。

 

あらすじ

海辺で食堂を営むフォン(リウ・ムー)は、漁で珍しいタコを捕獲する。フォンはこのタコを元恋人で科学者のズーモー(キャンディス・ツァオ)に渡す代わりに、縒りを戻すために食事に誘うも、ズーモーは首を縦に振らず、「そのタコは誰にも売るな」と言う。その夜、海から巨大なタコが現れ、フォンの食堂を破壊する。そのドサクサに紛れて、珍しいタコが何者かに奪われてしまう。フォンとズーモーはタコをなんとか奪還しようとするが・・・

 

ポジティブ・サイド

最初に登場する子ダコがえらく可愛い。これが低予算アメリカ映画だと、もっとおどろおどろしい感じになるのだろう。何と言っても devilfish なのだから。しかし中国映画になると、なんか可愛い子ダコになる。このあたり、日本ならゴジラの息子がミニラになるのと共通するものを感じる。

 

タコのCGのレベルもまあまあ。タコは各触腕の根元に脳に匹敵する神経網があり、それぞれの腕がバラバラに動くことで知られている。そのタコの特徴がよく出ていたと感じる。

 

ごく一部の狂ったサメ映画のサメを除けば、海洋モンスターものというのは地上であれば、あるいは陸地であればかなりの程度の安全が確保されるが、タコに関しては陸上でもそれなりに活動できてしまう。そうした水生生物ながら陸にも上がれてしまうタコの脅威もそれなりに描かれている点も好感度が高い。

 

情けないばかりのフォンが、中盤に差し掛かる時点でのとある出来事によって、一皮むける。以後、ズーモーのために無茶を承知で危険を冒していく姿は、ベタではあるが見直した。

 

タコと言えば触腕、触腕と言えば触手ということで、触手を使ったエロいシーンも少しだけあるよ。サメも少しだけ出るので、海洋モンスター・海洋パニック系が好きな人にお勧めしたい。

 

ネガティブ・サイド

シーフードに詳しいはずのフォンが、最初に捕獲した子ダコを見て、特に何も思わず「珍しいやつだから、これをネタにズーモーに会おう」と思うところが解せない。いくらなんでも呑気すぎやしないか。

 

フォンの弟分二人も、海に潜む巨大不明生物が大暴れした翌日に船で海に繰り出すとは、本当に海辺に暮らす人間なのか。いかにも中国という感じの愛すべきおバカキャラがここで退場してしまうのは脚本上どうなのか。それともこの二人はフォンの覚醒を促す人身御供に過ぎないとでも言うのか。納得できん。

 

ゲイル将軍率いるソルジャーの集団は揃いも揃って脳筋集団。タコに構うよりも先に、変異遺伝子の入手場所に向かいなさいよ。なんでわざわざ子ダコを使って、大ダコを呼び寄せて、弾薬を消費して、貴重な兵力を損耗させてしまうのか。まあ、それを言うとドンパチ成分が絶対的に足りなくなるが、大海原でタコの触腕にひたすら撃ちまくる画はなかなかにシュール。ただ個人的には、このタコには得意の擬態能力を駆使して、洞窟の岩壁などから突如触腕がニュルンと現れてくるようなシーンが観たかった。そうすれば、ドンパチだらけのアクションの中にサスペンス要素も織り交ぜられたのではないか。

 

変異遺伝子の研究にドイツが唐突に登場するのもお約束と言えばお約束だが、中国ではダメな理由でもあるのだろうか。日本が731部隊を擁していたぐらいだから、中国にもっとすごい機関や組織がありました・・・でも別に問題ないように思うが。

 

エンディングはそれなりに微笑ましいが、この展開だとまた70年後に大パニックが起こってしまうのでは?

 

大ダコの全体像をもっと映し出して欲しかったが、予算が足りなかったか。

 

総評

個人的に大ダコというと『 ドラえもん のび太の海底鬼岩城 』のイメージが強いのだが、このタコは多分それよりも更にでかい。ただ、タコの特徴はよく掴んでおり、CGも健闘している。主人公のキャラが前半と後半でビックリするぐらい変わってしまうが、これを是と見るか非と見るかは意見が分かれるところだろう。ヒロインのズーモーは正統派の Chinese Beauty なので、フォンが理解しがたいという人は、このキャラを応援しながら鑑賞すべし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Full speed ahead

「全速前進」の意。戦争映画で、特に艦船ものでよく聞こえてくる。似たような表現で Full throttle というのもある。これは日本語でもフルスロットルと言うので分かりやすい。たしか『 ジョーズ 』で Full throttle, full throttle! と叫ぶシーンがあった気がする。どちらも覚えておくと洋画の乗り物、特に船舶のシーンを楽しめるようになる。

次に劇場鑑賞したい映画

『 ホワイト・ノイズ 』
『 夜、鳥たちが啼く 』
『 ケイコ 目を澄ませて 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アクション, キャンディス・ツァオ, リウ・ムー, 中国, 監督:フランク・シィァンLeave a Comment on 『 シン・オクトパス 』 - タコ映画の珍作-

『 シスター 夏のわかれ道 』 -家族の在り方を問う-

Posted on 2022年12月6日 by cool-jupiter

シスター 夏のわかれ道 75点
2022年12月3日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:チャン・ツィフォン ダレン・キム シャオ・ヤン
監督:イン・ルオシン

妻が観たいというのでチケット購入。チャン・ツィフォンとイオ・ルオシン監督のコンビは、チョウ・ドンユイとデレク・ツァン監督のコンビに並ぶほどのポテンシャルがあるのではないかと感じた。

 

あらすじ

看護師のアン・ラン(チャン・ツィフォン)は、ある日、両親を交通事故で失う。両親と疎遠だったアン・ランは初めて自分に幼い弟ズーハン(ダレン・キム)がいたことを知る。医師になるために北京に進学しようとするアン・ランは、ズーハンを養子に出そうとするが・・・

ポジティブ・サイド

中国の一人っ子政策が廃止されたというニュースは記憶に新しい。調べてみると2015年のことだった。ということは現在の10代、20代、30代の大部分は一人っ子ということになる。本作の主人公のアン・ランも20代で、まさに一人っ子政策のど真ん中の世代だ。本作はこの一人っ子政策とアジア、特に中国(韓国や日本もだが)に根強く残る男尊女卑的な社会の在り方を鋭く批判している。

 

冒頭、いきなりの交通事故でアン・ランの両親が死亡するが、肝心の葬式やその後の親戚の集いでもアン・ランはあまり悲しそうではない。それもそうで彼女は両親とは疎遠にしていた。そのあたりの事情はおいおい明らかになっていくのだが、その見せ方が非常に巧みであると感じた。生まれてくることを望まれなかったアン・ラン、そして決して映像で見せられることはないが、甘やかされて育った(それは愛されて育ったとも言い換えられる)ことが明らかなズーハンの姿に、アン・ランとの残酷な対比が否が応でも浮かび上がってくる。

 

このズーハンを何とか自分の人生から追い出そうとする前半、我々はアン・ランに激しく感情移入する。自分で自分の人生を切り拓こうとする人間は、どうしたって応援したくなるではないか。その転機はいくつかある。アン・ランとズーハンの両親の事故の原因となった可能性のあるタクシー運転手の子どもが、ズーハンと同じ幼稚園に通っているのだ。当然、火種となる。また、アン・ランとボーイフレンドの間にも、いつもと異なる空気が流れるようになる。ここでアン・ランが感じるボーイフレンドとの距離というか隔たりに、男と女、上流階級と下層民、医師と看護師など、あらゆる格差が浮き彫りになる。

 

このあたりから北京に行くという夢と、自分が決して持つことのなかった家族を持ちたいというアン・ランの願望がせめぎ合い始める。その心情の細やかな移り変わりはぜひ直接鑑賞されたい。

 

それにしてもチャン・ツィフォンの演技力には恐れ入る。抑えつけられてきた女性が爆発するシーンは韓国映画ではお馴染みだが、中国の女性も似たようなものなのか。韓国女優に勝るとも劣らない抑圧された者の凄みを見せる。子役のダレン・キムも負けていない。父母の死を理解できない甘えん坊が、ある瞬間から姉を思いやれる心優しい子に変わっていく。この、姉を思いやるがゆえに姉と自分は離れた方が良いと思い込む姿には泣けてしまう。邦画なら、ここで情けないボーイフレンドと対比するために、頼りがいのある同世代の男子を投入するのだろうが、本作はそこでズーハンの成長と、ギャンブル中毒ながら、親戚の中で唯一アン・ランの味方をしてくれた叔父、そして同じ女性として夢を諦めた叔母を映し出す。家族とは所与のものではなく、自分で作る、あるいは見出すものなのだ。本作はそうした新時代の中国の家族観を提示する試みだと言える。

 

ネガティブ・サイド

『 共謀家族 』のシャオ・ヤンにもう少し見せ場が欲しかった。アン・ランは何度か両親の墓参りに来るが、そこに誰のものか分からないお供え物がある、あるいはお墓が何故かいつもきれいだった、という描写があれば、アン・ランは叔父を見直すシーンの感動がもっと深まったはず。

 

アン・ランが最後に選ぶ選択肢が少々陳腐に感じた。詳しくはネタバレになるので書けないが、本当に見たいのは、この選択の先、5年後、10年後だ。無茶苦茶なアイデアかもしれないが、アン・ラン自身が北京で誰かの養子になる、のようなエクストリームな展開を模索してみてもよかったのではないだろうか。

 

総評

中国産の駄作『 マーズ・ミッション2042 』を鑑賞直後のためか、同じ中国産の本作は光輝いて見える。そうした贔屓目を抜きにしても本作のクオリティの高さは際立っている。一人っ子政策批判=中国共産党批判だが、最近のゼロコロナ政策の緩和など、中国も政治的にマイルドになりつつあるのだろうか。社会批判と人間ドラマをハイレベルで融合させた注目の一作である。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

jiějiě

発音は「ジエジエ」、お姉さんの意である。劇中でズーハンが何度も何度もジエジエと言うので、否が応でも覚えてしまう。ちなみにエンディングの歌でも何度も聞こえてくる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 サイレント・ナイト 』
『 母性 』
『 グリーン・ナイト 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, シャオ・ヤン, ダレン・キム, チャン・ツィフォン, ヒューマンドラマ, 中国, 監督:イン・ルオシン, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 シスター 夏のわかれ道 』 -家族の在り方を問う-

『 マーズ・ミッション2042 』 -中国発の竜頭蛇尾のSF-

Posted on 2022年12月4日 by cool-jupiter

マーズ・ミッション2042 15点
2022年12月1日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:スオ・シャオクン
監督:リウ・ナー

『 ムーンインパクト 』がアホ極まりないUSA産SFだったので、ならば中国産はどうか?とということで近所のTSUTAYAでレンタル。竜頭蛇尾のダメSFだった。

 

あらすじ

火星移住計画が進行中の2042年。中国やアメリカは火星の軌道上および地表で様々な実験や研究を行っていた。そんな中、火星に小惑星が接近しているとの報が入る。時を同じくして、火星に謎の生命体が出現。地表探査チームは宇宙船で脱出するが、巨大生物に襲われ不時着を余儀なくされる。アメリカは中国に救助を要請。中国のエウロパ探査宇宙船ワン・フー乗組員は火星に着陸するが・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭の15分は『 オデッセイ 』そのまんま。マット・デイモンが火星に取り残されてしまうシークエンスを中国が再構成してみた、という感じ。word for word, scene for scene の再構築ではないが、明らかにオマージュのレベルを超えている。こうした姿勢は悪くないと思う。技術的に進んだ相手の手法をそのまま真似てみるというのは、芸術を学ぶ上で不可欠。模写はその最たる例。映画でもそういう試みはあっていい。

 

火星の大気中を遊泳するクジラはなかなかの迫力。アメリカ人が宇宙生命体を描くと『 ライフ 』のカルヴィンのようなクリーチャーになってしまうが、中国が描くクジラやトカゲはアジア的なセンスが素直に反映されていて、個人的には受け入れやすい。

 

ネガティブ・サイド

科学的な考証は無きに等しい。いちいちツッコミを入れるのも馬鹿らしいが、火星と地球の距離を考えろ。『 オデッセイ 』がなぜあれほどハラハラドキドキとヤキモキした感じを生み出せたのか。それは通信に要するタイムラグ。地球と火星で通信すると、往復で30分弱かかる。それが本作ではリアルタイムに通信できている。超光速通信だ。そんな技術があれば、火星のテラフォーミングなど、とっくに達成されていそうに思えるが。

 

アメリカ人を悪者にするのは別にOK。アメリカもソ連やロシア、中国などを散々悪者に描いてきた。問題は、アメリカ人の研究者個人が悪いのであって、アメリカが悪いのではないという描き方。もっと踏み込んでええんやで、中国さん。せっかくの宇宙SF。もっとスケールの大きい話しようや。また中国人俳優の中で英語を喋るのが1~2人しかいない。韓国やインドをもっと見習って、俳優に語学を勉強させるべき。エンタメ分野でも世界制覇を目指すなら英語は今後マストだろう。邦画は無理でも、中国映画界にはそのポテンシャルがあってしかるべき。

 

俺の屍を越えてゆけ的な展開が短時間で二度発生。これは萎える。こういう感動の押し売りが受け入れられるのは一つの映画につき1回までと心得よ。また最後は父と息子の葛藤と和解の物語に着地してしまうが、そこに至るまでの人間ドラマの描写が圧倒的に弱い。冒頭の展開だけで脚本家が力尽きて、予算も使い果たしのだろうか。

 

総評

一言、ダメ映画である。冒頭シーンの迫力に期待を持ってはいけない。そこがピークである。a rainy day DVD にもならない。小説『 三体 』が世界を席巻して以来、中国発のSFの良作を待っているが、まだまだ時間がかかるのかもしれない。配信やレンタルで見かけてもスルーするのが吉。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. Hardly anything was impressive after the first 15 minutes.

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, E Rank, SF, スオ・シャオクン, 中国, 監督:リウ・ナーLeave a Comment on 『 マーズ・ミッション2042 』 -中国発の竜頭蛇尾のSF-

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