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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ペ・ドゥナ

『 あしたの少女 』 -社会を覆う無責任の構造-

Posted on 2023年9月11日 by cool-jupiter

あしたの少女 70点
2023年9月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:キム・シウン ペ・ドゥナ
監督:チョン・ジュリ

簡易レビュー。

 

あらすじ

高校生のソヒ(キム・シウン)は大手ISPの下請けコールセンターで実習生として働き始める。ソヒはオペレーターとしてストレスフルな仕事を何とかこなしていた。しかし、厳しくも優しかった男性上司が会社の駐車場で自殺したことを知ったソヒは、徐々に精神的に摩耗していき・・・

 

ポジティブ・サイド

キム・シウンがいかにも韓国女子高生という気の強い役を見事に演じている。好きなダンスに真摯に打ち込む姿勢、友達との友情とその友情に徐々に入っていく亀裂、そして徐々に自分を失っていく様など、どれもリアリズムたっぷりに演じていた。こういう役者を抜擢して、妥協のない演出を施すあたりが韓国映画界らしい。邦画はいつになったら追いつけるのか。

 

実習生と聞けば、日本でも技能実習制度を思い起こさずにはいられない。ほっこりするエピソードが報じられることもあるが、過労死が疑われるケースや雇用側の暴力、被用者の逃亡など、ネガティブなニュースの方が圧倒的に多い気がする。それは隣国でも同じらしい。

 

後半はソヒの死を捜査する刑事オ・ユジンが主役となる。もっとも観ている側はソヒがどのように追い詰められていったのかをつぶさに見ているわけで、捜査で何の真実が明らかになるのかと思う。そこが本作の味噌で、学校や企業、役所、果ては家庭に至るまで無責任の構造が浸透していたことが明らかになる。これはショッキングだ。しかも、ユジンとソヒの意外な接点も明らかになり、刑事としてのユジンではなく一個人としてユジンも、ソヒの死に激しく揺さぶられることになる。

 

前半と後半の実質的な二部構成と、それぞれの主役である二人の女優の演技に圧倒される。そして物語そのものがもたらす苦みを忘れることは難しい。

 

ネガティブ・サイド

全体的にやや冗長な印象。ソヒのパートを70分、ユジンのパートを50分の合計120分にできなかっただろうか。

 

ソヒの父ちゃんがなんとなく『 焼肉ドラゴン 』のキム・サンホ的で、なんだかなあ・・・ もう少しちゃんと子どものことを見ようぜ、と思わされた。

 

ソヒの親友、ボーイフレンド、別の男の先輩との関係をもう少し丹念に描いてくれていれば、ソヒが特殊な境遇の女の子ではなく、どこにでもいる普通の高校生であるという事実がもっと強調されたと思われる。

 

総評

重厚な映画。『 トガニ 幼き瞳の告発 』のような後味の悪さというか、社会全般への怒りと無力感の両方が強く感じられる。ヘル・コリアなどと揶揄されることが多い韓国だが、日本社会も似たようなもの。韓国映画界は社会の暗部をさらけ出す映画を製作することを恐れないが、日本はどうか。『 福田村事件 』のような気骨のある作品を今後生み出せるだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ソンベ

先輩の意。韓国映画やドラマではよく聞こえてくる。ソンベニム=先輩様という使われ方もあるらしい。「先輩」という概念はあっても、それが実際に言葉として存在するのは日本と韓国ぐらいではないだろうか。中国映画もある程度渉猟して中国語ではどうなのか、いつか調べてみたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 兎たちの暴走 』
『 アステロイド・シティ 』
『 さらば、わが愛 覇王別姫 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, キム・シウン, サスペンス, ヒューマンドラマ, ペ・ドゥナ, 監督:チョン・ジュリ, 配給会社:ライツキューブ, 韓国Leave a Comment on 『 あしたの少女 』 -社会を覆う無責任の構造-

『 ベイビー・ブローカー 』 -家族像を模索する-

Posted on 2022年6月30日 by cool-jupiter

ベイビー・ブローカー 80点
2022年6月26日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ソン・ガンホ カン・ドンウォン イ・ジウン ペ・ドゥナ イ・ジュヨン
監督:是枝裕和

 

是枝裕和監督が単身韓国に向かい、韓国人スタッフと作り上げた異色のロードムービー。家族とは何なのかを模索する是枝色が色濃く出た逸品。

あらすじ

サンヒョン(ソン・ガンホ)とドンス(カン・ドンウォン)教会のベイビーボックスに預けられた赤ん坊を養子として売るブローカー業に従事していた。ソヨン(イ・ジウン)は自分の預けた赤ん坊がいないと知り、警察に通報しようとする。サンヒョンとドンスは赤ん坊を高く買ってくれる里親を探しに行くのだと白状する。ソヨンもその旅に同行することになるが、そこには人身売買を捜査する刑事スジン(ペ・ドゥナ)らも迫っており・・・

ポジティブ・サイド

日本は昭和半ばの年間中絶数100万から順調(?)に減らして、令和の今は年間10~20万件。韓国は今は5万件を切っているようで、人口比で考えれば日本とどっこいどっこいのようである。では、中絶できず、望まれないままに生まれてしまった命はどうなるのか。赤ちゃんポスト、ベイビーボックス。どう呼んでも、その本質は同じ。育てられないにもかかわらず、産み落とされた赤ちゃんを託す場所、あるいは制度だ。このベイビーボックスを巧みに利用して裏の養子縁組仲介業を営む者たちの人間ドラマが本作の見どころである。

 

まずソン・ガンホの控えめにして重厚な存在感が素晴らしい。『 パラサイト 半地下の家族 』でも市井の人を演じたが、ソン・ガンホのどこにでもいそうな韓国のおっちゃん的な顔には安心感がある。同時に、平々凡々な顔であるからこそ、シリアスになった時のギャップに驚かされる。基本的にはクリーニング屋のオヤジなのだが、そこかしこで見せるおかしみや優しさ、その逆の悲哀や怒りが、観ている我々に痛切に伝わってくる。ダンディな中年俳優ではこうはいかない。試しに西島秀俊や竹野内豊が本作でベイビー・ブローカーをやっているところを想像してみてほしい。まったく似合わない、むしろそうした絵が浮かんでこないだろう、

 

対するペ・ドゥナによる刑事も非常に人間味に溢れている。それは慈愛や思いやりを前面に押し出しているというわけではない。詳述は避けるが、彼女の夫が張り込み中の妻に差し入れを持ってくるシーンには唸らされた。一筋縄ではいかないキャラで、夫婦関係のあれやこれやを否応なく想像させられる。その想像を下敷きに、彼女の目線でサンヒョンやドンス、ソヨンの里親探しの旅を見つめると、子を持つこと、あるいは親になることについて深く考えさせられるだろう。

 

彼女の仕掛けるおとり捜査を、ドンスが機転を利かせて回避する演出もいい。海千山千のしたたかなブローカーで、彼自身の出自、そしてそれまでの人生経験をどんな言葉よりも雄弁に語っていた。彼の手練れたブローカーっぷりと腕っぷしの強さが相棒サンヒョンと奇妙な凸凹コンビになっており、物語に上手く起伏をもたらしていた。

 

旅路の中で出会っていく里親候補たちと、彼らとの物別れを超えて形成されていくサンヒョンらの疑似家族的な関係の行きつく先は、決して温かいものでも優しいものでもない。しかし、人は人を救うことができるという確信が得られることは間違いない。『 ブリング・ミー・ホーム 尋ね人 』が強く示唆した子どもの行方不明事件とは別の角度から韓国社会の居間に迫った秀作。それでいて『 デイアンドナイト 』で描かれたような、人間の表の顔と裏の顔をシリアスかつコメディ色も交えて描いている。新しい家族観を呈示しているという意味で、『 万引き家族 』や『 朝が来る 』に並ぶ傑作である。

ネガティブ・サイド

序盤でヤクザ者が血まみれのシャツをクリーニングするように言ってくるシーンでは、もう少しサンヒョンに蘊蓄を語らせても良かったのではないかと思う。そうすることでサンヒョンは血抜きに通じている=流血沙汰に巻き込まれる顧客がいる=裏社会とつながりがある、ということを示唆できた。その方が終盤の展開に説得力を与えられたはず。また『 ただ悪より救いたまえ 』が真正面から描いた小児の人身売買の闇の部分を強調できただろうと思うのである。

 

総評

日韓の才能が見事に融合した作品。隣国は、社会のダークな面を描くのが本当にうまいと思う。そのことが、社会の理不尽に抗う個の強かさを描くことに定評のある是枝の強みと結びついたのだろう。最近、トランプ前アメリカ大統領の置き土産のせいで、アメリカでは人工妊娠中絶の実施が難しくなった。アメリカでも本作のような物語がこれから生み出されていくのだろうか。そのようなことを予感させてくれる、社会派映画の良作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

complainer

クレーマーの意。日本語で言うところのクレーマーをそのままアルファベットにすると claimer となるが、この表現はあまり使われることはない。complainer というのは実際によく使うので、こちらは脳にインプットしておきたい。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, イ・ジウン, イ・ジュヨン, カン・ドンウォン, ソン・ガンホ, ヒューマンドラマ, ペ・ドゥナ, 監督:是枝裕和, 配給会社:ギャガ, 韓国Leave a Comment on 『 ベイビー・ブローカー 』 -家族像を模索する-

『 グエムル-漢江の怪物- 』 -怪物を生み育てたのは誰か-

Posted on 2020年11月21日 by cool-jupiter

グエムル-漢江の怪物- 75点
2020年11月18日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ソン・ガンホ ペ・ドゥナ ピョン・ヒボン パク・ヘイル オ・ダルス
監督:ポン・ジュノ

f:id:Jovian-Cinephile1002:20201121231529j:plain
 

『 ゴジラ 』がそうであるように、怪獣は戦争や災害、あるいは人間の業の象徴である。本作を通じてポン・ジュノは何を描こうとしたのか。英語タイトルが“The Host”であるところから、『 パラサイト 半地下の家族 』の対になる作品であることは間違いない。

 

あらすじ

在韓米軍基地は毒薬を漢江に垂れ流していた。その数年後、突如として漢江から巨大なオタマジャクシのような怪物が出現し、人間を襲っていく。怪物に娘ヒョンソをさらわれたカンドゥ(ソン・ガンホ)は家族総出でヒョンソを救出しようとするが・・・

 

ポジティブ・サイド

『 パラサイト 半地下の家族 』が韓国人家族と韓国人家族(と韓国人家族)の寄生関係を描いたものであるとすれば、本作の英語タイトルが指し示す“宿主”とは何か。それは歪な韓国社会そのものだろう。歪とはどういうことか。それは宗主国たるアメリカの軍部に言われれば、自らの国土を猛毒で汚染することもいとわない国家の体質だ。いわば、このグエムルは韓国社会の鬼子なのだ。

 

本作は怪獣映画にしては珍しく、怪獣の登場を引っ張らない。開始10分も経たないうちに怪獣が姿を現す。そして人々を襲っていく。ゴジラ級のサイズではなく、マイクロバス程度の大きさの怪獣が白昼堂々と全身を晒して人間を食べていく様は爽快ですらある。凡百の作り手ならば、グエムルの初登場は夜、それも酔っぱらって、ひとり夜風にあたろうと川べりにやってきた者を尻尾でヒュンと引き寄せて終わり、のような焦らす構成にするはず。ポン・ジュノ監督はそれをせず、怪獣の見せ場をいきなり序盤に持ってきた。そうして怪獣の社会に与えるインパクトを最大限に観客に見せつけ、そこから怪獣に対処していく韓国政府や米軍、そして娘を奪われた家族の動きに視線をフォーカスしていく。『 GODZILLA ゴジラ 』のサブプロットになりそうだった「怪獣出現によって離散してしまった(主人公とは赤の他人の)親と子の物語」を、『 エイリアン2 』でリプリーがニュートを救出せんとする勢いで展開される家族の奮闘物語は、日本の怪獣映画ジャンルではあまり見られなかったものだろう。怪獣が暴れていなくても、カンドゥの家族が当局や軍を向こうに回して奮戦して、緊張感が途絶えない。

 

ダメ男であるソン・ガンホが娘のために立ち上がり、一度はあきらめかけた家族が、それでもヒョンソ救出のために一致団結して、韓国の当局や米軍をも相手に回して、堂々とグエムルに立ち向かっていく描写は、リアリスティックとは言えないが、非常に力強く上質なファミリードラマになっている。ぺ・ドゥナがアーチェリー選手というのもいい。映画の世界では『 ロード・オブ・ザ・リング 』のレゴラス、『 ハンガー・ゲーム 』のジェニファー・ローレンスに次ぐ射手で、スマートに標的を素早く射抜くのではなく、泥まみれになって必中のタイミングを待つタイプである。終盤の一撃はひたすらにかっこいい。

 

本作の背景には『 サニー 永遠の仲間たち 』で描かれたような、軍事政権に圧迫されていた民衆の蜂起の歴史がある。グエムルは鬼子であって奇形生物であり、その原因は米軍が作ったとなると、どうやってもベトナムを想起しないわけにはいかない。『 息もできない 』で描かれたように、戦争は人間の心を壊すのである。本作は、家族の再生物語でもあるのだ。『 ブリング・ミー・ホーム 尋ね人 』にも通じる、というか受け継がれたエンディングがそこにある。邦画の世界が『 朝が来る 』で提示したテーマを、韓国は10年以上前に先取りしていたようである。さらにCOVID-19やMERS以前でありながら、マスク姿の市民のパニックを正確に描き出してもいる。ポン・ジュノの慧眼、恐るべし。

 

ネガティブ・サイド

結末がちょっと・・・ 韓国の家族観には感動させられることもあるが、困惑させられることもある。本作はその両方を味わわせてくれるが、感動3:困惑7の割合である。

 

グエムルを倒すための最終兵器もやや???である。グエムルに効いて、人間相手には効いたり、効かなかったりする。もちろん米軍への皮肉なのであろうが、気象条件によっては使用できない兵器というのはいかがなものか。いっそのこと、漢江に対グエムルの物質を大量に放流するぐらいのエクストリームな展開にしてもよかったのではないかと思う。

 

最後に米軍サイドの人間にもなんらかの勧善懲悪的な展開があってほしかった・・・ これは大人の事情で難しいか。

 

総評

シンプルに面白い一作。コロナ禍の今だからこそ再鑑賞する意味や機運が高まっていると言えそう。怪物グエムルのCGっぽさに2000年代を感じさせるが、その他の家族ドラマの部分には普遍性が感じられるし、国家や社会の怪物(およびウィルス)への反応には先見性が感じられる。年末年始は里帰りせずstay homeの予定であるという向きは、本作をwatch listに入れておかれたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

be broad-minded

『 罪の声 』で三頭竜=Three-headed Dragonなど、分詞の形容詞的用法の例を紹介させてもらった続きである。序盤の米軍科学者が“The Han River is a broad river. Let’s be broad-minded.”=漢江は広い川だ。我々も広い心を持とう(そして汚染物質を川に流そう)と言うシーンがある。narrow-minded=偏狭な、狭量な、心の狭い、とセットで覚えよう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, B Rank, オ・ダルス, ソン・ガンホ, パク・ヘイル, ヒューマンドラマ, ピョン・ヒボン, ペ・ドゥナ, 怪獣映画, 監督:ポン・ジュノ, 配給会社:角川ヘラルド映画, 韓国Leave a Comment on 『 グエムル-漢江の怪物- 』 -怪物を生み育てたのは誰か-

『 ほえる犬は噛まない 』 -栴檀は双葉より芳し-

Posted on 2020年8月13日 by cool-jupiter

ほえる犬は噛まない 70点
2020年8月9日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ペ・ドゥナ イ・ソンジェ
監督:ポン・ジュノ

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200813001751j:plain
 

ポン・ジュノ監督の長編デビュー作。心斎橋シネマートで一時期リバイバル上映していたが、予定が合わず観ることかなわず。本作をポン・ジュノのベストに挙げる人もいる。Jovianは『 母なる証明 』がベストだと思っているが、本作もキラリと光る秀作である。

 

あらすじ

大学の非常勤講師であるユンジュ(イ・ソンジェ)は身重の妻に養われるといううだつの上がらない男。教授のポストをめぐるレースで同僚に後れを取り、イライラしているところで、うるさくほえる犬をマンション地下のクローゼットに発作的に閉じ込めてしまう。同時にマンション管理室に勤めるヒョンナム(ペ・ドゥナ)は、とある少女と共に迷い犬を探すことになり・・・

 

ポジティブ・サイド

ポン・ジュノ映画の大きな特徴の萌芽が、すでに本作でも見られる。その一つは、地下空間である。言わずと知れた『 パラサイト 半地下の家族 』の規制家族による闘争の舞台である地下空間や、『 殺人の追憶 』で容疑者(それも障がい者)を誘導尋問(という名の拷問)にかける場所であったりする。それが本作では犬を食べようとしたり、あるいは別の誰かに犬を食べられる場所である。地下=人目に触れない空間であるが、それは同時に無法地帯であることも示している。そうした領域を積極的に映し出そうとするところに、ポン・ジュノ監督の意志が見て取れる。

 

もう一つは、覗き見る視線である。クローゼットの中から警備員が犬を調理しようとするシーンは、『 母なる証明 』で、母が息子の親友のセックスを除くシーンや、『 殺人の追憶 』の刑事が下着を見て自慰する男を覗き見たり、あるいは「柔らかい手の男」の一挙手一投足をクルマの中からジーっと覗き見る、あの視線と共通するものがある。人間の無防備な瞬間を見つめる視線には、見る側の愉悦と優越、そして「もしも自分が見られる側にまわったら・・・」という不安の種の両方が内包されている。映画という“一方的に見る媒体”を通じて、「見られる」ということを意識させる作品は少ない。どちらかというと『 The Fiction Over the Curtains 』のような実験的な作品こそがそうした手法を取るもので、商業映画でこれをやりつつ娯楽性も確保するというのは、相当な手腕の持ち主でなければできない。まさに栴檀は双葉より芳しである。

 

ストーリーも魅せる。うだつの上がらない大学非常勤講師ユンジュは、大学で教鞭を執りながらも、出世の見込みはなさそう。まるでJovianではないか(といってもJovianが某大学で教えているのは業務委託によるものだが)。ユンジュは犬の失踪および死の直接の犯人でありながら、自分で自分の妻が飼ってきた犬を探す羽目になってしまう展開が面白い。単にコメディとして面白いだけでなく、その裏にあるユンジュの妻の story arc には、既婚男性の、特に共働きは、大いなる感銘を受けることだろう。

 

マンション管理事務所のドジな経理を演じるペ・ドゥナも魅せる。『 リンダ リンダ リンダ 』の頃の小動物的な可愛らしさを見せつつも、その頃よりも更にコケティッシュである。と思ったら、『 リンダ リンダ リンダ 』は2005年制作、本作は2000年制作?OL役と女子高生役の違いはあれど、ペ・ドゥナは可愛い。これは真理である。その可愛い女子が、『 チェイサー 』のキム・ユンソク並みに追走し、『 哀しき獣 』のハ・ジョンウ並みに逃げる様は、シリアスとユーモアを同居させた稀有なシーンである。黄色のパーカーのフードを深々とかぶり、あごひもをキュッと締めたてるてる坊主のような姿が残すインパクトは強烈の一語に尽きる。逃げるユンジュの赤や、追いかけてくるホームレス男性の茶色とのコントラストが映えるのだ。

 

夫婦の在り方や友情。集合団地という無機質に思える居住空間では、人目に触れない地下や屋上や室内で、無数の人間ドラマが展開されている。そして人間ドラマは美しくもアリ醜くもある。『 ほえる犬は噛まない 』というタイトルは主人公の一人ユンジュを遠回しに指すと思われるが、ワーワーギャーギャーうるさかったユンジュが、カーテンをしめて暗転していく教室の窓の向こうを眺める視線に、韓国社会という無形の生き物に、鍋にして食べられてしまった犬の悲哀が映し出されていた。社会の暗部と個人の暗部、それを上回る人間関係の美しさが紡ぎ出された傑作である。

 

ネガティブ・サイド

ぺ・ドゥナの頬のメイクアップがやや過剰だった。特にほろ酔い加減を表現する場面では、それがノイズであるように感じられた。ペ・ドゥナほどのKorean Beautyは、生のままで鑑賞したいではないか。

 

ボイラー・キム氏の小話が少々冗長だった。これほどインパクトのある不気味で、なおかつリアルな小噺を挿入するなら、それをなんらかの形でメインのプロットに組み込む、あるいは影響を及ぼすようなストーリー展開にはできなかったか。

 

ユンジュの大学教授職を巡る一連のストーリーに時間を割きすぎているとも感じた。教授や同僚との飲みのシーンを5分削り、その分をユンジュの妻との生活(閨房という意味ではなく)や、あるいはヒョンナムとの犬探しに時間を使ってほしかった。映画全体のメインのプロットとサブのプロットのバランスが取れていなかった。犬をさらった男が犬を探す羽目に陥るところに本作の面白さがあるのだから、そこをもっと掘り下げてほしかったと思うのである。

 

総評

粗削りではあるが、ポン・ジュノらしさが十分に表現されている。『 ベイビー・ドライバー 』を観た後に『 ショーン・オブ・ザ・デッド 』を観れば、エドガー・ライト監督のらしさが分かるのと同じである。犬食に対して嫌悪感を催す向きにはお勧めしない。しかし、鯨食をぎゃあぎゃあ外野に言われるのがうるさいと感じる人なら、本作の持つユーモアを楽しめることだろう。もちろん、ペ・ドゥナならば必見である。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ペゴパ

『 トガニ 幼き瞳の告白 』でも紹介したフレーズ。意味は「おなか減った」である。どことなく「腹ペコ」と語感が似ているので、覚えやすいだろう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, B Rank, イ・ソンジェ, ブラック・コメディ, ペ・ドゥナ, 監督:ポン・ジュノ, 配給会社:ファイヤークラッカー, 韓国Leave a Comment on 『 ほえる犬は噛まない 』 -栴檀は双葉より芳し-

『 トンネル 闇に鎖された男 』 -閉所恐怖症は観るべからず-

Posted on 2020年8月5日 by cool-jupiter

トンネル 闇に鎖された男 60点
2020年8月4日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ハ・ジョンウ ペ・ドゥナ オ・ダルス
監督:キム・ソンフン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200805232318j:plain
 

北海道の豊浜トンネル岩盤崩落事故を思い出させる内容である。あの時は現場責任者が被害者家族をマスコミと勘違いして「偉そうに言うな!」みたいなことを言って大問題になっていたっけ。当時高校生だったJovianは連日連夜、マスコミがニュースでこの事故を時に真剣に、おちゃらけて取り上げていたのを覚えている。

 

あらすじ

家族の元へと車を飛ばすイ・ジョンス(ハ・ジョンウ)は、トンネルの突然の崩落事故で生き埋めになってしまう。手元にあるのはスマホ、ペットボトル2本分の水、そして娘へのプレゼントであるケーキのみ。彼は救助が来るまで生き延びることができるのか・・・

 

ポジティブ・サイド

シチュエーション・スリラーと見せかけて、サスペンスでもありファミリードラマでありヒューマンドラマでもある。適度に韓国の大企業や政府への批判も織り交ぜられているのも韓国映画らしいところ。地震大国の日本でも、本作のようなアクシデントは起こりうるし、実際に1990年代後半にはJR西日本の新幹線のトンネルでコンクリート剥落事故が多発したことを覚えている人も多いだろう。コンクリートというものは、いつかは劣化するものなのだ。荒唐無稽なシナリオに思えるが、実は十分にリアルな状況設定なのだ。

 

閉じ込められることになるハ・ジョンウの演技力が素晴らしい。しぶとく生き残った男の安堵と不安の両方を一人芝居で演じきった。特に印象的だったのはペ・ドゥナ演じる妻と電話で話すシーン。「朝ごはんをしっかり食べろ」という台詞のあまりの場違いさにズッコケると同時に、その台詞の重み、すなわち、トンネル内で生き埋めになっていても大丈夫、お前はお前の日常を生きろ、という夫から妻へのメッセージに、胸が押しつぶされそうに感じた。自分が同じ状況に陥った時、こんな言葉が口から出てくるだろうか、と。トンネル内にもう一人と一匹の生存者がいると分かってからのジョンスの行動も重い。自分なら貴重な水を分け与えられるだろうかと思う。状況がリアルなため、ジョンスというキャラクターに感情移入がしやすく、それゆえに彼の言葉や行動の一つひとつが観る側に問いを投げかけてくる。

 

オ・ダルス演じる救助チームの責任者キム・デギョンも人間味があふれる男である。マスコミを一喝して、スカッとさせてくれる。一方で、彼は当事者でありながら当事者ではない。警察も消防も医療従事者も、対象には「あれしなさい、これしなさい」と気軽にアドバイスを送るが、「じゃあ、あんたはやったことあるんか?」と問いたくなったことがある人は多いだろう。Jovianと同じく不惑あたりの年齢の人は、健康診断のたびに「三食バランスよく食べなさい、早寝早起きをしなさい、1週間のうち2~3日はじんわりと汗をかく運動を1時間以上しなさい、ストレスを解消しなさい、酒を減らしなさい・・・」って、ドクター、あなたはそれが全部実践できているのですか?と、いつも尋ねたくなる。このオ・ダルスも、ジョンスにめちゃくちゃなアドバイスを送るが、言うは易く行うは難しをまさに実践する。人を救う職業に従事するのに理想的な男である。

 

ジョンスの嫁を演じたペ・ドゥナも素晴らしい。出番こそ少ないが、要所要所で確実なインパクトを残す。印象的だったのは現場で働く者たちに料理を作って給仕するシーン。そして、ジョンスに電話で「死ね!」と一喝するシーンだ。鬼嫁と勘違いすることなかれ。このような嫁を持つことができる男は果報者である。だが圧巻なのは、ラジオ局のシーンである。こればかりは鑑賞してもらうしかない。『 キャスト・アウェイ 』や『 ハリエット 』など、多くの作品に共通する展開ではあるが、やはりこうしたシーンは涙なしには見られない。万感胸に迫るものがあった。

 

大企業や政治家、そして一般大衆までも巻き込んで、鋭く韓国社会を撃つ。一人の人間の命の重さを正面から描く。台風や地震で家屋が倒壊して閉じ込められた、という時のサバイバル方法を学ぶことができる点もユニークだ。最後の最後に、ジョンスが観る者を最高にスカッとさせてくる。韓国映画ファンならチェックしてみて損はないだろう。

 

ネガティブ・サイド

やや記憶があいまいになっているかもしれないが、「有線のドローンを作らせて取り寄せろ」と言われたドローン・オペレーターが「アメリカのオンタリオですよ」と返すが、オンタリオはカナダではないか?それともこれは韓流ジョークなのだろうか。

 

あるパグ犬が重要な役割を演じているのだが、この犬の story arc が最後には不明になる。『 パターソン 』のネリーに近いレベルの神演技を見せるテンイが、ジョンスの家に招き入れられないなどということがあってよいのだろうか。とうてい承服しがたい。

 

最も不満に思うのは、後半のジョンスのサバイバルの過程がぱったりと描かれなくなることだ。途中までは日が経つごとにジョンスの髭がどんどん伸びていったが、それ以外の描写も欲しかった。たとえば爪の伸びや、あるいは皮膚の垢。または、頬がかなりこけてしまっている、という絵があってもよかった。極限状態を、それでも生き抜いた男の苦闘の跡がもっと目に見える形で表現されていれば、という点が惜しまれる。

 

総評

登場人物は少ないが、それでも2時間きっちりとドラマを生み出し、観る側を引き付ける力を持っている。脚本の力、そして役者の演技力の賜物である。『 リンダ リンダ リンダ 』のペ・ドゥナがなんとも milfy になっているので、彼女のファンは絶対に観よう。フェイクニュースや、マスコミの報道の在り方、そして我々のニュースの“消費”の仕方などについても多くの示唆を与えてくれる社会派映画でもある。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ウェ

とある長官の一言。意味は「なぜ」である。英語の Why? によく似ている。これも色々な韓国映画でちらほらと聞こえてくる定番の語彙だろう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, オ・ダルス, サスペンス, ハ・ジョンウ, ヒューマンドラマ, ペ・ドゥナ, 監督:キム・ソンフン, 配給会は:アルバトロス・フィルム, 韓国Leave a Comment on 『 トンネル 闇に鎖された男 』 -閉所恐怖症は観るべからず-

『 リンダ リンダ リンダ 』 -濡れネズミたちの青春賛歌-

Posted on 2019年3月10日2020年1月10日 by cool-jupiter

リンダ リンダ リンダ 65点
2019年3月5日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ペ・ドゥナ 香椎由宇
監督:山下敦弘

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190310125550j:plain

“We will rock you”や“We are the champions”のQueenには敵わないにしても、それでもTHE BLUE HEARTSはビッグネームである。 “キスしてほしい”や“TRAIN-TRAIN”を聞いたことが無いという中高生は、今でも少数派だろう。1980年代に少年時代を過ごした者がTHE BLUE HEARTSおよび甲本ヒロトから受けた影響は巨大である。その中でも一際輝くのは“リンダリンダ”であろう。そのタイトルを冠した映画ならば観ねばなるまい。

 

あらすじ

とある高校のバンドが、ちょっとしたいざこざからメンバーの脱退を招いてしまう。残されたメンバーは3日後に迫った文化祭のステージのために、韓国人留学生のソン(ぺ・ドゥナ)にボーカルとして新加入してもらい、オリジナル曲ではなくTHE BLUE HEARTSの“リンダリンダ”の練習を始めて・・・

 

ポジティブ・サイド

『 スクールガール・コンプレックス 放送部篇 』を思わせる、BGMを極力排除した学校風景にはノスタルジアを感じた。この映画には、ドラマチックな展開は特に何も起こらない。しかし、そのことがシネマティックではないということを必ずしも意味しない。映画とはリアリティの追求が第一義で、本作にはそれがある。女子高生(というか女子全般)の人間関係の軽さと重さ、その底浅さと深さが全て表現されている。具体的に語ればネタばれになるが、本編の面白さを損なわないような例を挙げるとするなら、とある教室を皆が覗き込むシーンであろう。ここでは唐突に、現在の日本映画界の大スターが登場するので期待してよい。このシークエンスにおけるペ・ドゥナの目が素晴らしい。漫画的な目とでも言おうか、本来は日本語が不自由なはずの彼女が目で思いっきり語ってくれる。いや、目だけではなく立ち姿や口の微妙な開け方など、とにかく彼女の心の動きが手に取るように分かるのだ。そして、それを見つめる仲間の女子高生たち。自分にはこんな青春は無かったが、そこにあるリアリズムは確かに受け取った。

終盤にかけて、ようやく事件らしきことが起こるのだが、それをカバーしようとする彼ら彼女らがまた良い味を出している。はっきり言って中盤の描写はかなり中弛み気味なのだが、そうした陳腐な会話劇が、彼らを単なる有象無象のキャラクターに堕してしまわないような装置としてうまく機能していたのだと知る。この脚本はなかなかに心憎い。クライマックスは『 ボヘミアン・ラプソディ 』の同工異曲である。“リンダリンダ”ともう一曲が披露されるのだが、これは反則である。これは嬉しい不意打ちというやつである。このカタルシスは、『 ボヘミアン・ラプソディ 』とは決して比較してはならないが、それでも80年代に青春を経験したという世代に激しく突き刺さることは間違いない。

 

ネガティブ・サイド

甲本雅裕のキャスティングは悪くは無いが、ややノイズのようにも感じられた。甲本ヒロトという、ある意味でフレディ・マーキュリーのような男を憧憬の対象にするからこそストーリーが立つのである。彼そして彼らバンドとの距離が遠いからこそリアリズムが生まれるのであって、その逆ではない。悪い役者でも悪い演技でもないが、どうにもミスキャストに感じられた。

そしてラストの体育館の時計。撮影時点、または編集の時点で誰も気付かなかったのだろうか。これは大きな減点要素である。

 

総評

ドラマを期待するとガッカリするかもしれない。香椎由宇の水着姿が終ったところで離脱する人がいてもおかしくない。それほど静かな立ち上がりである。しかし、じっくりと向き合えば、ぺ・ドゥナの卓越した演技力と青春の普遍性を描いた、陳腐で芳醇な友情物語が味わえる。映画ファン、そしてTHE BLUE HEARTSファンにもお勧めをしたい。そしてぺ・ドゥナという小動物的な小悪魔の魅力も堪能して欲しい。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2000年代, C Rank, ヒューマンドラマ, ペ・ドゥナ, 日本, 監督:山下敦弘, 配給会社・ビターズ・エンド, 香椎由宇Leave a Comment on 『 リンダ リンダ リンダ 』 -濡れネズミたちの青春賛歌-

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