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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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カテゴリー: 未分類

『 アバター ウェイ・オブ・ウォーター 』 -オリジナリティはどこに?-

Posted on 2022年12月31日2022年12月31日 by cool-jupiter

アバター ウェイ・オブ・ウォーター 50点
2022年12月29日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:サム・ワーシントン ゾーイ・サルダナ スティーブン・ラング シガニー・ウィーバー
監督:ジェームズ・キャメロン

 

妻が3Dで観たいというのでチケットを購入。

あらすじ

ジェイク(サム・ワーシントン)ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)は子宝にも恵まれ、パンドラの森で幸せに暮らしていた。しかし、クオリッチ(スティーブン・ラング)がアバターとして復活し、ふたたびパンドラに武力制圧に乗り出してきたことで、ジェイクは一家を連れて、海の民メトケイナ族のところに身を寄せるが・・・

ポジティブ・サイド

3Dで鑑賞したが、森の木々や葉の重なりの表現には驚かされた。前作『 アバター 』でジェームズ・キャメロンは「観客をパンドラに連れていくのではない。そこに住んでもらうんだ」と語っていたが、その映像世界への没入感はさらに上がったと言える。海のシーンでもそれは同じ。透き通った水の世界への没入感はすごかった。特にサンゴ礁的な場所で次男ロアクが大ピンチに陥るシーンは、呼吸できない水中ならではの緊迫感とも相まって、まさに息もできないほどだった。

 

中盤以降のドンパチ満載のアクションは大迫力の一言。『 エイリアン2 』や『 ターミネーター2 』に勝るとも劣らない大スペクタクルで、この水中、水上、船上、船内のバトルの連続だけでご飯が3杯は食べられるほど。CGを駆使したアクションの迫力だけなら『 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 』や『 アベンジャーズ / エンドゲーム 』よりも間違いなく上だろう。製作費が2億ドル超らしいが、その予算を正しく使ったのだと言える。

 

本作は『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 』と同じテーマを追求している。すなわち、父親とは誰かという問いに対する答えを提示しようとしている。GoGでは、産みの親なのか、それとも育ての親なのかという二者択一の問いだったが、本作は父親であろうとしないジェイク、そして父親であることを拒否するクオリッチという対比が非常にユニークだ。これはジェイクとネイティリの子どもたちが直面するアイデンティティ・クライシスにもつながる問題で、This family is our fortress. = 家族こそが砦だ、と言い切るジェイクの弱さにドラマの焦点が当てられている。ナヴィという種族に惹かれたというよりも、ネイティリという個人に惹かれたという印象の強かったジェイクは、ある意味で成長していない。父親であろうとするよりも司令官であろうとする。それがある意味で、すぐに自分の子どもに向かって “Who’s your daddy?!” と説教するアメリカ人的(ジェームズ・キャメロンはカナダ人だが)だ。対するクオリッチは、スパイダーという自分の生物学的な息子をナヴィ後の便利な通訳ぐらいにしか考えていないが、その姿勢が最後に変化する。このコントラストの鮮やかさが本作のドラマ上のハイライトと言える。

 

疑似的な父子の関係を追求は『 トップガン マーヴェリック 』でも見られたが、これはアメリカ人(キャメロンはカナダ人・・・)の好物テーマ。ということは日本人好みのテーマでもあるということ。アクションだけではなくドラマもかなり盛り上がったと感じる。

ネガティブ・サイド

超上空から超大熱量のレーザーで撃ってくる地球人に、「すわ、パンドラに危急存亡の秋か?」と緊張が走るが、元々は鉱物資源の採掘に来たのではないの?貴重な資源にまでダメージを与えそうな超兵器をいきなり使うのはどうなの?と思ったら、今度はパンドラのトゥルカンの脳髄からゲットできる脳漿(?)のようなものが地球人の不老につながる???だからトゥルカンを狩りまくる???アバターを生み出せるほどの科学技術があるなら、その謎の不老物質もラボで生み出せるのでは?このトゥルカン狩りの指揮者がコテコテのブリティッシュ・イングリッシュ・スピーカーで、新天地の富を収奪するのはアメリカ人ではなく英国人という意味不明な印象操作。ジェームズ・キャメロンのアイデンティティーはどうなっているのか。

 

トルーク・マクトという伝説の英雄的なポジションに就きながらも、ジェイクがあっさりとその立場を放棄して、森の民を捨てて、森から離れてしまうのかがよく分からない。いや、それはあんな超兵器を見せられたら逃げるしかないのは分かるが、普通に考えればその宇宙船もサリー一家が逃げる先に移動できるわけで、なぜ海にまで追ってこないのか。単に舞台を海に移したいがためだけに出てきた超兵器なのか。

 

水の映像は文句なしに美麗だが、海という環境、そこに住まう生物に関してはオリジナリティが全く感じられなかった。前作のトルークはまあまあ独特な生物だと感じられたが、今作ではクオリッチもあっさりと乗りこなしてしまったことでプレミア感がダウン。また、代わりに登場する絆を結ぶ相手が思いっきりトビウオ。もっと異星感を出せなかったのか。トゥルカンもまんまクジラで、人とクジラは絆を結べ=クジラを食べるな、とでも主張しているのか。前作の、ヨーロッパ人が新大陸アメリカを発見した的な世界観はまだ許せるが、その新世界にもアメリカ的なルールを持ち込みますというのは頂けない。というか、ジェームズ・キャメロンは何がしたいんや。自分の息子やキリなどの、いわゆる混血児が疎外されてしまう問題を「家族の絆」で乗り越えようというのは理解できないこともないが、動物との関係をどう考えてるの?

 

生物学の専門家ではないJovianの目から見ても、スキムウイング(パンドラのトビウオ)が海面を飛び出て飛ぶようになったには、捕食者から逃れるか、または海面上にエサがあるからだろう。後者の描写はなく、おそらくトゥルカンがスキムウィングの捕食者なのだろうが、だとすれば片方でスキムウィングに乗りつつ、トゥルカンと絆を結ぶメトケイナ族とはいったいどんな二枚舌部族なのか。というか、トゥルカンは魚類なのか哺乳類なのか。というのも体を左右に振る魚式の泳ぎ方と上下に振るクジラ式の泳ぎの両方を見せていたから。クジラと同じく頭のてっぺんから潮を吹く生物が魚だとは考えにくいが、スタッフの誰もこの泳法の違いには気付かなかったのだろうか。

 

総評

3時間超の作品だが、映像体験としては文句なし。アクションに次ぐアクションで尿意を感じる暇もなかった。その一方で、ストーリーとしてはツッコミどころ満載かつオリジナリティに欠ける。『 ポカホンタス 』のアナザーストーリーをあと何回観ればよいのだろうか。次は地下か?それとも雲の上?クオリッチがある意味、不死者になってしまったため、エイワの力によって色々なキャラを復活させないと、今後のドラマは作りにくそう。まあ、そういったあれこれを考察するだけのドラマはしっかりと用意されている。生物学だの文化人類学だのの観点から考えなければ、スリリングな3時間を過ごすことはできる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

fortress

「砦」の意。音楽をやっていた人ならフォルテ=強く弾くという用語を知っているだろう。これはラテン語の fortis = strong から来ている。英検準1級レベルであれば、stronghold ≒ fortress というのも知っているはず。戦争映画や戦争ゲームでよく出てくる語なので、そのジャンルのファンなら知っておいて損はない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SFアクション, アメリカ, サム・ワーシントン, シガニー・ウィーバー, スティーブン・ラング, ゾーイ・サルダナ, 監督:ジェームズ・キャメロン, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 アバター ウェイ・オブ・ウォーター 』 -オリジナリティはどこに?-

『 Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック 』 -お下劣ムービーの佳作-

Posted on 2022年12月30日 by cool-jupiter

Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック 70点
2022年12月26日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:マイア・ミッチェル カミラ・モローネ
監督:オーガスティン・フリッゼル

 

A24スタジオの2018年の作品。なぜ今公開なのか分からないが、面白そうだったので、あらすじも見ずにチケット購入。お下劣お馬鹿ムービーの佳作だった。

あらすじ

アンジェラ(マイア・ミッチェル)とジェシー(カミラ・モローネ)は高校をドロップアウトしてルームシェアをして暮らす親友。同じ家にはジェシーの兄も住んでいる。アンジェラはジェシーの誕生日にガルヴェストンのビーチで過ごすために家賃用の金を使ってチケットを買う。その穴埋めのために二人はバイトのシフトを増やすが・・・

ポジティブ・サイド

高校を中退してルームシェアをしている女子二人組が、極貧生活にあえぎながらも17歳の誕生日をリゾートとして名高いビーチで過ごそうとする。パーティーとは無縁の学校生活だったが、最後くらいは思いっきり羽目をはずしたいという『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』と、どこか似ているように感じる。ただし優等生女子二人組と違って、こちらは中退女子の二人組。上品さなどかけらもない。しかし、それがたまらなく面白い。

 

ジェシーのリゾート行きのバカンスを予約したせいで、家賃にまで手を付けてしまったアンジェラだが、バイトのシフトを増やせば何とかなると楽観的。ここまで順調そうに見えるが、同居しているジェシーの兄貴がやらかしたおかげで、家に警察が来る羽目に。そこで二人の部屋から見つかるドラッグの痕跡・・・ あえなく御用になるアンジェラとジェシーだが、ここでのジェシーのとあるやせ我慢が最後の最後まで物語を引っ張るとは・・・

 

無事に拘置所から出られた二人だが、とにかくやることなすこと全てがしっちゃかめっちゃか。無軌道な青春物語らしいと言えばらしい。刹那的にその瞬間だけを楽しめるのは若さの特権。やっていることは犯罪すれすれというか、最後はもろに犯罪なのだが、ここでアンジェラとジェシーを応援してしまうのは、自分もまあまあオッサンになってしまったからだろうか。

 

アホなのは主役の二人だけにとどまらない。ジェシーの兄貴もその友達も馬鹿者揃い。金欠だからと、最後にこの兄貴たちとアンジェラたちがたどり着く結論が同じになるのも笑える。兄貴たちはアホな男子中学生のノリで、アンジェラたちは小悪魔女子校生的。ここから意外な人物の登場で、シチュエーションはクライマックスへ。そこでぶちまけられたものとは・・・

 

10代女子にこれをやらせるオーガスティン・フリッゼル監督に脱帽。そして本作をPG12に指定した映倫のファインプレーも称賛に値する。これがR15やR18だと、中学生や高校生たちが本作を鑑賞できない。賛否両論ある判断だろうが、Jovianは賛である。『 スウィート17モンスター 』と並ぶ、無軌道なお下劣青春映画の佳作だ。

ネガティブ・サイド

アンジェラとジェシーの高校退学の背景を少し知りたかったと思う。また、ジェシーの方は明らかに家庭に問題を抱えていたのが分かったが、アンジェラの背景は見えてこなかった。

 

二人がダイナーで働くシーンをもう少し映し出すべきだった。ダメダメな仕事をしているのは分かったが、その中でも何かひと工夫したり、あるいは気の利いたことをして客からチップを多めにもらったりといったシーンが少しでもあれば、ラストシーンで二人に不安ではなく希望を抱くことができたのにと思う。

 

総評

冒頭からガール二人のお下劣トークから始まるが、この二人のテンションが最初から最後まで落ちない。マシンガントークで全編を突っ切る。その中身もキャピキャピのガールズトークではなく、純情高校生男子が耳にしたら背筋が凍るような下ネタにエロネタに犯罪ネタのオンパレード。こうしたしゃべりを楽しめるなら、本作は当たりのはずだ。デートムービーにはならないだろうが、仲の良い女子二人組で鑑賞すればめちゃくちゃ盛り上がるのでは?

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

True that.

日本語で言うところの「確かに」、「言えてる」のような肯定の相槌表現。スラングで、ネット掲示板などではしばしば True dat. と表記される。ビジネスの場やフォーマルな場では使うべきではないが、友人との日常会話ではバンバン使っていい。

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, カミラ・モローネ, マイア・ミッチェル, 監督:オーガスティン・フリッゼル, 配給会社:REGENTS, 青春Leave a Comment on 『 Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック 』 -お下劣ムービーの佳作-

『 マリー・ミー 』 -中年に刺さるラブコメ-

Posted on 2022年12月25日 by cool-jupiter

マリー・ミー 70点
2022年12月21日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジェニファー・ロペス オーウェン・ウィルソン
監督:カット・コイロ

塚口サンサン劇場で公開されていた時に見逃した作品。近所のTSUTAYAで準新作をレンタルしてきた。

あらすじ

世界的な歌姫であるキャット(ジェニファー・ロペス)と彼女の恋人であり人気ミュージシャンのバスティアンは、”Marry Me” という曲をリリースし、人気絶頂。歌詞そのままに結婚目前というところでバスティアンの浮気が発覚。キャットはライブに来ていて、たまたま Marry Me というボードを抱えるように頼まれていた数学教師チャーリー(オーウェン・ウィルソン)にプロポーズするが・・・

ポジティブ・サイド

ジェニファー・ロペス演じるキャットは、映画の設定上では35歳程度らしいが、ジェニロペ本人は50過ぎ。二十代半ばが高校生を演じることは日本でもアメリカでもよくある話だが、50代が30代を演じるのは珍しい。ジェニロペの forever young な姿はどこまでも charismatic である。歌もダンスもまだまだキレッキレ。まさにスターと呼ぶにふさわしい。今後、シェールのようになっていくのだろう。

対するオーウェン・ウィルソンは『 ミッドナイト・イン・パリ 』と同じく、どこか冴えない男を好演。冴えないといっても、それは風体だけのこと。数学教師としてのプロフェッショナリズム、同僚との良好な関係、娘とのちょっと微妙な距離感など、観客(特に中年男性)が自分を重ね合わせやすいキャラクターだ。

世界的に有名かつ人気の歌姫が普通の姿勢の中年男にプロポーズするというのは荒唐無稽もいいところだが、チャーリーが非常に地に足の着いたキャラであることで説得力ゼロという展開には見えない。一方で、終盤にキャットの思わぬポンコツっぷりも明らかになる。このあたりが序盤のいかにもセレブという生活と非常に鮮やかな対比をなしている。

小市民代表のようなチャーリーも最後にしっかりと教師として、父親としての見せ場を作る。予定調和にも見えるが、カタルシスもしっかりと感じられるエンディングで、Jovianのような中年のオッサンにはしっかりと刺さった。

ネガティブ・サイド

チャーリーは優しさからキャットからの突然のプロポーズをOKする。ここまではまだ分かる。そのチャーリーが本格的にキャットに惚れるまでの仮定の描き方が不十分に感じた。バスティアンに対する嫉妬の心に気が付くのも良いのだが、その前にキャットに惹かれるという説得力あるシーンが一つ二つ欲しかった。

終盤の空港のシーンは面白おかしいのだが、ここでブリティッシュのマネージャーの力を借りるのではなく、それこそ普通に歩いている市井の旅行客に色々と尋ねまくって、自体を打破するというような行動をしてほしかった。

総評

楽曲がどれもハイレベルで、まさにジェニファー・ロペスの独擅場。上流階級の男と冴えない中年女性の恋愛を描いた『 僕の美しい人だから 』の現代版と言う感じの仕上がり。10代のキラキラ恋愛が陸続と生産される邦画界も、もっと中年の恋愛ラブコメを作ってみたらいいのに。そう思わせてくれるラブコメの秀作。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

give back to ~

~に還元する、という意味。give は98%は他動詞だが、この句動詞は例外。

The successful businessman has created scholarships to give back to his school.
その成功を収めた実業家は母校に還元するために奨学金を創設した。

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 Never Goin’ Back/ネバー・ゴーイン・バック 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, オーウェン・ウィルソン, ジェニファー・ロペス, ラブコメディ, 監督:カット・コイロ, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 マリー・ミー 』 -中年に刺さるラブコメ-

『 テラフォーム 侵略 』 -やや竜頭蛇尾のSF-

Posted on 2022年12月19日 by cool-jupiter

テラフォーム 侵略 50点
2022年12月18日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ニコール・シャルモ ジャック・キャンベル
監督:エディ・アーヤ

近所のTSUTAYAで準新作コーナーにあったので、クーポンを使ってレンタル。典型的なクソB級SFだと思っていたが、どうしてなかなか面白かった。

 

あらすじ

アメリカの片田舎に隕石が落下。周辺の住民およそ1300人全員が犠牲になった。隕石落下地点では有毒ガスが発生。軍は一帯を封鎖する。謎の解明のために宇宙生物学者のローレン(ニコール・シャルモ)が召喚されるが、回収された遺体のうち49名が突如として起き上がった・・・

 

ポジティブ・サイド

侵略ものとしてはなかなか珍しい植物媒介型。Jovian的には小説『 トリフィド時代 』以来のように思える。よくよく考えれば、これは理にかなっている。新天地に最初に降り立つべきは動物ではなく植物。そして植物がガス交換して、それによって大気組成を徐々に変えていくというのは、実際のテラフォーミングの過程とも合致するはず。

 

さらに死体が起き上がるというのもなかなかのホラー。面白いなと感じたのは、死体がゾンビ化して動き回って周囲の生物を襲いまくる、ということがない。逆にどこか虚空の一点を時折見つめるのみ。これはシュールな光景で、これは『 光る眼 』とかからヒントを得ているのかな。物語が進むにつれ、ローレンの過去と今回の侵略がリンクしてくる。このへんは『 メッセージ 』の真似だろう。

 

過去の先行作品のおいしいところを頂いてくるのは別に悪いことではない。問題はしっかりと自分流の味付けができるかどうか。その意味で、本作は割と真面目に科学的な考証を行っている。ああ、そこがそうなるの?という感じで、思わぬ形で過去と現在をつなげてくる。ここはちょっと感心した。

 

ちなみにこれ、元ネタというか、着想は漫画『 風の谷のナウシカ 』から得てるよね。

 

ネガティブ・サイド

序盤にローレンと一緒に出てくる男性科学者はちょっと問答をしただけで、あとは全然役立たず。『 メッセージ 』におけるジェレミー・レナ―的なポジションのはずだろうに。このキャラはばっさりカットしても良かった。 

 

仮説段階とはいえ、異星文明由来の物質を吸い込んだ人間相手に、スタンダード・プリコーションで接近したらダメでしょ。

 

異星人がいよいよ本領発揮してくるという時に、ドラマ『 X-ファイル 』的な演出をするのは少々気になった。映画が映画のオマージュを取り込むのはいいが、ドラマの演出をそのまま使うというのはどうもなあ。

 

最後の最後の展開、必要かな?『 アクセル・フォール 』並みに唐突な終わり方。一応伏線は張ってあるものの、だからどうしたの?としか言えない。

 

総評

『 アド・アストラ 』思弁的なSFが好き、または『 ザ・メッセージ 』のようなB級作品を楽しめるという向きなら、本作もそこそこ楽しめるはず。a rainy day DVD もしくは a stay-at-home day DVD として、ウォッチ・リストに入れておいてもいいかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I’m listening.

直訳すれば「私は聞いている」、字幕では「それで?」だった。普通の会話の中でも割と出てくる表現で、「それで?」や「ということは?」や「つまり?」のように、「あなたの話を聞いている。その続きを話してほしい」を簡潔に表現していると思えばいい。会話に自信がなく、うなずいてばかりの人は、一度 “I’m listening.” を使ってみよう。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ホワイト・ノイズ 』
『 夜、鳥たちが啼く 』
『 ケイコ 目を澄ませて 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SF, アメリカ, オーストラリア, ジャック・キャンベル, ニコール・シャルモ, 監督:エディ・アーヤLeave a Comment on 『 テラフォーム 侵略 』 -やや竜頭蛇尾のSF-

『 グリーン・ナイト 』 -エスクワイアの旅物語-

Posted on 2022年12月19日 by cool-jupiter

グリーン・ナイト 55点
2022年12月17日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:デブ・パテル アリシア・ヴァイキャンダー ジョエル・エドガートン
監督:デビッド・ロウリー

古代や中世のファンタジーは定期的に観たくなる。DQやFFといったゲームで育ったJovian世代なら尚更である。

 

あらすじ

アーサー王の甥であるサー・ガウェイン(デブ・パテル)は、クリスマスの日、円卓の騎士たちが集う王の宴に招かれた。そこに緑の騎士が現れ、自分の首を切り落とす者はいないかという遊び事を持ちかけてきた。ガウェインはその遊び事に乗り、緑の騎士の首を落とす。しかし、騎士はガウェインに「1年後にミドリの礼拝堂へ来い。その時、自分がお前に同じことをする」と言い残し、去っていった・・・

ポジティブ・サイド

中世(といっても古代に近い中世か)の英国の雰囲気が画面全体に溢れている。石造りの建造物はやはりエキゾチックに感じる。ガウェインの旅路の大自然の豊饒さと荒々しさも素晴らしい。

 

ガウェインが行く先々で経験するイベントが非常に王道RPG的。『 アクアマン 』とは違い、これらのイベントが物語の侵攻を助けるのではなく、あくまでもエスクワイア=騎士見習いであるガウェインの成長や内省につながっている。

 

最後にたどり着く緑の礼拝堂で再会する緑の騎士との対話、そこでガウェインの脳裏を駆け巡るビジョンは、まさに騎士としての生き様の成就だったのだろう。そこまでなら普通の中世ファンタジーなのだが、面白いのはガウェインが追い求めた名誉。名誉とは他者からの称賛なしには得られない。しかし、旅路の中で出会う人々は騎士としての名誉を時に傷つけ、時に無理解、無関心を示す。そう、本当の騎士は認められるものではなく、自らそうあろうとする者なのだ。

 

ネガティブ・サイド

ダークファンタジーだからといって、本当に画面を暗くしてどうする。一部、本当に何も見えないシーンがあった。映画ファンが不満たらたらだった『 GODZILLA ゴジラ 』のMUTOとゴジラの夜の決戦シーンよりも暗い。誰が何をやっているのか見えない。何故にこんな画を複数も撮ってしまったのか。

 

肝心のグリーン・ナイトに関する知識をもっと共有してほしかった。緑に関する哲学的な問答が終盤にあるのだが、もっとグリーン・ナイトそのものに関してキャラクターたちに語って欲しかった。『 MEN 同じ顔の男たち 』のグリーン・マンもかなり謎の存在だったが、彼らには何か共通点があるのだろうか。アーサー王の物語なら解説は不要に思うが、英国とグリーン・ナイトやグリーン・マンといった超常的な存在については説明不足に感じた。

 

主演のデブ・パテルは『 ホテル・ムンバイ 』でははまり役だったが、今作では今一つ。この時代のグレート・ブリテン島にインド人はいないはず。デブ・パテルは悪い役者ではないが、このキャスティングが最適だったとは思えない。

 

総評

ある程度アーサー王伝説について知っておく必要がある・・・とまでは言わないが、その知識があることが望ましいのは間違いない。その意味で、間口が広い映画とは言えない。ただ古典的なRPGゲーム程度の知識があれば、ガウェインが行く先で経験するあれやこれやのイベントを楽しむことはできる。GOGのグルートのモデルはグリーン・ナイトなのかな?といったような疑問を楽しみながら鑑賞すればいい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

believe in ~

劇中では “Do you believe in magic?” =「あなたは魔法を信じますか?」という感じに使われていた。

believe ~ = ~を(良いもの、または正しいものだと)信じる
believe in ~ = ~の存在・能力・価値などを信じる

としっかり区別して覚えよう。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ホワイト・ノイズ 』
『 夜、鳥たちが啼く 』
『 ケイコ 目を澄ませて 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アイルランド, アメリカ, アリシア・ヴァイキャンダー, カナダ, ジョエル・エドガートン, デブ・パテル, ファンタジー, 監督:デビッド・ロウリー, 配給会社:トランスフォーマーLeave a Comment on 『 グリーン・ナイト 』 -エスクワイアの旅物語-

『 マーズ・ミッション2042 』 -中国発の竜頭蛇尾のSF-

Posted on 2022年12月4日 by cool-jupiter

マーズ・ミッション2042 15点
2022年12月1日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:スオ・シャオクン
監督:リウ・ナー

『 ムーンインパクト 』がアホ極まりないUSA産SFだったので、ならば中国産はどうか?とということで近所のTSUTAYAでレンタル。竜頭蛇尾のダメSFだった。

 

あらすじ

火星移住計画が進行中の2042年。中国やアメリカは火星の軌道上および地表で様々な実験や研究を行っていた。そんな中、火星に小惑星が接近しているとの報が入る。時を同じくして、火星に謎の生命体が出現。地表探査チームは宇宙船で脱出するが、巨大生物に襲われ不時着を余儀なくされる。アメリカは中国に救助を要請。中国のエウロパ探査宇宙船ワン・フー乗組員は火星に着陸するが・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭の15分は『 オデッセイ 』そのまんま。マット・デイモンが火星に取り残されてしまうシークエンスを中国が再構成してみた、という感じ。word for word, scene for scene の再構築ではないが、明らかにオマージュのレベルを超えている。こうした姿勢は悪くないと思う。技術的に進んだ相手の手法をそのまま真似てみるというのは、芸術を学ぶ上で不可欠。模写はその最たる例。映画でもそういう試みはあっていい。

 

火星の大気中を遊泳するクジラはなかなかの迫力。アメリカ人が宇宙生命体を描くと『 ライフ 』のカルヴィンのようなクリーチャーになってしまうが、中国が描くクジラやトカゲはアジア的なセンスが素直に反映されていて、個人的には受け入れやすい。

 

ネガティブ・サイド

科学的な考証は無きに等しい。いちいちツッコミを入れるのも馬鹿らしいが、火星と地球の距離を考えろ。『 オデッセイ 』がなぜあれほどハラハラドキドキとヤキモキした感じを生み出せたのか。それは通信に要するタイムラグ。地球と火星で通信すると、往復で30分弱かかる。それが本作ではリアルタイムに通信できている。超光速通信だ。そんな技術があれば、火星のテラフォーミングなど、とっくに達成されていそうに思えるが。

 

アメリカ人を悪者にするのは別にOK。アメリカもソ連やロシア、中国などを散々悪者に描いてきた。問題は、アメリカ人の研究者個人が悪いのであって、アメリカが悪いのではないという描き方。もっと踏み込んでええんやで、中国さん。せっかくの宇宙SF。もっとスケールの大きい話しようや。また中国人俳優の中で英語を喋るのが1~2人しかいない。韓国やインドをもっと見習って、俳優に語学を勉強させるべき。エンタメ分野でも世界制覇を目指すなら英語は今後マストだろう。邦画は無理でも、中国映画界にはそのポテンシャルがあってしかるべき。

 

俺の屍を越えてゆけ的な展開が短時間で二度発生。これは萎える。こういう感動の押し売りが受け入れられるのは一つの映画につき1回までと心得よ。また最後は父と息子の葛藤と和解の物語に着地してしまうが、そこに至るまでの人間ドラマの描写が圧倒的に弱い。冒頭の展開だけで脚本家が力尽きて、予算も使い果たしのだろうか。

 

総評

一言、ダメ映画である。冒頭シーンの迫力に期待を持ってはいけない。そこがピークである。a rainy day DVD にもならない。小説『 三体 』が世界を席巻して以来、中国発のSFの良作を待っているが、まだまだ時間がかかるのかもしれない。配信やレンタルで見かけてもスルーするのが吉。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. Hardly anything was impressive after the first 15 minutes.

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 サイレント・ナイト 』
『 母性 』
『 グリーン・ナイト 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, E Rank, SF, スオ・シャオクン, 中国, 監督:リウ・ナーLeave a Comment on 『 マーズ・ミッション2042 』 -中国発の竜頭蛇尾のSF-

『 MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 』 -アイデアの勝利-

Posted on 2022年11月15日 by cool-jupiter

MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 75点
2022年11月15日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:円井わん マキタスポーツ
監督:竹林亮

どこのラノベだと思わせるタイトルだが、これがべらぼうに面白かった。『 カメラを止めるな! 』に迫る低予算のアイデア一発勝負映画の秀作だ。

 

あらすじ

小さな広告代理店に勤める吉川(円井わん)は、大手広告代理店への転職を目指し、職場に泊まり込む毎日を過ごしていた。ある日、二人の後輩から、自分たちが同じ1週間を何度も繰り返していることを知らされる。吉川たちはこのタイムループを原因は永久部長が身に着けているブレスレットにあると睨み、なんとかそれを破壊するための算段を練ろうとするが・・・

ポジティブ・サイド

タイムループものは小説でも映画でも数多くの秀作が生産されてきた。実際に劇中でも『 オール・ユー・ニード・イズ・キル 』や、『 ハッピー・デス・デイ 』、『 恋はデジャ・ブ 』などが言及される。本作も秀作である。

 

まず、タイムループの現場を会社にしたのがユニーク。その会社もかなりハードな様子。ネタなのか事実なのか分からないが、ブラック企業勤務の人が「とうとう iPhone が会社を自宅だと認識し始めた」みたいなことを言うが、まさにそんな会社。これだけで同じサラリーマンとして吉川やその他の面々に大いに感情移入してしまう。

 

本作でもう一つユニークなのが、タイムループに巻き込まれた面々の大半がタイムループに巻き込まれていることに気づいていないこと。そして、気付いた者たちが気付いていない者たちに気付きを促す流れが笑えるのだ。特に本丸である永久部長にタイムループに気付いてもらうために上申制度をそのまま使うところに笑ってしまう。どこまでサラリーマンやねん。異常事態にあっても社畜根性が抜けない。そんな彼ら彼女らの姿を笑いながら、冷や汗をかいている人も多いのではないだろうか。日本人の多くは地震や台風でも出社したがるからなあ・・・

 

閑話休題。本作はコメディでありながら、上質なヒューマンドラマにもなっている。小さな広告代理店で仕事をさばきながら、大きな広告代理店への転職が内定している吉川は、同僚や恋人への接し方に少々問題あり。しかし、そんな彼女がタイムループ脱出のために、部長の抱える問題の解決のために、一致団結して協力していく中で人間として成長していく。

 

毎日が同じ仕事の繰り返しのように感じられる人は多いはず。Jovian自身もそうだった。しかし、そういった閉塞的な状況をどう捉え、どう行動するのか。本作はそこに大きな示唆を与えてくれるという意味で、単なるコメディ以上の作品に仕上がっている。

 

ネガティブ・サイド

開始10分で「ああ、この人が実はキーパーソンやね」とすぐに気づいてしまう。ここをもう少しうまくカバーするような仕組みがあれば、中盤の驚き展開をもっと強烈にできたはず。

 

ずっとほったらかしにしてしまっていた吉川のボーイフレンドは、結局どうなったのだろう。そこも少しで良いのでフォローしてほしかった。

 

総評

サラリーマン的な世界観を提示して、それを笑わせながら、いつの間にやらそのサラリーマン的な世界観に感動させられた。決して万人受けする作品ではないだろうが、刺さる人には刺さること間違いなし。低予算であっても脚本が良ければ勝負できる。有名俳優が出演していなくても、しっかりとした演出ができればキャラにもストーリーにも説得力が生まれる。こうした王道以外の作品が邦画の世界でもっと生み出されてほしい。すまじきものは宮仕えと言うが、サラリーマンは本作を観て、明日への勇気をもらおうではないか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

make it up to someone

誰かに対して埋め合わせをする、の意味。吉川は仕事に忙殺されて、ボーイフレンドを放置してしまい、それに対して電話で「埋め合わせするから」と言う。英語字幕なら、間違いなく I’ll make it up to you. である。この表現を使うということは何らかの穴を開けてしまっているわけで、積極的に使うべきフレーズではないだろう。ただ、人間関係の中でこう言わざるを得ない場面はきっとある。知っておいて損はないはず。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・メニュー 』
『 ザリガニの鳴くところ 』
『 ドント・ウォーリー・ダーリン 』

 

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Posted in 国内, 映画, 未分類Tagged 2020年代, B Rank, コメディ, マキタスポーツ, 円井わん, 日本, 監督:竹林亮, 配給会社:パルコLeave a Comment on 『 MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 』 -アイデアの勝利-

『 トップガン マーヴェリック 』 -マサラ上映-

Posted on 2022年11月13日 by cool-jupiter

トップガン マーヴェリック 90点 
2022年11月12日 塚口サンサン劇場にて鑑賞 
出演:トム・クルーズ マイルズ・テラー ヴァル・キルマー 
監督:ジョセフ・コジンスキー

 

劇場鑑賞7回目。マサラ上映への参加は実は初めて。『 バーフバリ 王の凱旋 』のマサラ上映を神戸国際松竹で鑑賞しようとするもタイミングが合わなかった。ボリウッド映画以外でもマサラ上映はありだなと感じた。

あらすじ

マーヴェリック(トム・クルーズ)は、予定されていたダークスターのテスト飛行がキャンセルされると聞いたが、クルーと共にフライトを強行し、マッハ10を達成する。処罰の対象になるかと思われたマーヴェリックだが、盟友であり提督となったアイスマンの取り計らいにより、トップガンにおいて難関ミッションに挑む若きパイロットたちの教官となる。しかし、そこにはかつての相棒グースの息子、ルースター(マイルズ・テラー)も加わっており・・・

ポジティブ・サイド

入り口で「マサラ上映ですけど、大丈夫ですか?」の問いに然りと回答。するとクラッカーを2つ渡される。なるほど、良きタイミングで鳴らせというわけか。劇場内はほぼ10割の入り。初対面のおじさんから「これ、使ってください」と紙吹雪の束を渡される。前後左右にサイリウム持ちもチラホラ。異様な熱気である。

 

マサラ上映前の劇場スタッフのコスプレとインストラクションが素晴らしかった。どこまで本当か分からないが、『 トップガン マーヴェリック 』のマサラ上映は世界でも塚口サンサン劇場だけとのことだった。スクリーン上の “Don’t think, just do. It’s today.” の文言にテンションが上がる。

 

オープニングの『 ミッション:インポッシブル 』の最新作のトレイラーの時点で、紙吹雪が舞い、クラッカーがパンパンと鳴らされる。特にあのテーマ曲に合わせてポン、ポン、ポンポン、ポン、ポン、ポンポンとクラッカー鳴らしていた集団はマサラ上映のプロ参加者たちか。

 

”トップガン・アンセム” からの “Danger Zone” で劇場のテンションは最高潮。紙吹雪も上がる上がる、クラッカーも発射されまくり。今回の参加者の大半は、おそらく劇場鑑賞5回以上、または配信もしくは円盤で本作を相当回数観ている人たちだろう。機関砲射撃やミサイル発射、その他の印象的なシーンでドンピシャでクラッカーが鳴らされる。いったい何発用意してきたのだろうか。

 

思いがけない副産物としてMX4D鑑賞の時以上に火薬の匂いが感じ取れた点が挙げられる。ジェットがアフターバーナーに点火した時、フレアをばらまく時、爆弾投下した時などに漏れなくクラッカーが鳴り響き、むせかえる程の火薬の匂いが臨場感をいや増すのを感じた。

 

最近、YouTubeでずっと「Fighter Pilots React to TOP GUN MAVERICK」という動画シリーズを視聴していて、映画のどこが現実に即していて、どこが現実離れしている、あるいは完全なフィクションなのか、かなり細部まで study していた。そのことで鑑賞時の楽しみが薄れるかと懸念していたが、それは杞憂だった。本作は何回観ても面白いし、軍人さんのツッコミ内容を知っても尚面白い。またインド映画以外でもマサラ上映と相性の良い作品があることを映画ファンに知らしらめたというのは素晴らしい。あらためて今年のベストであると確信した。

 

ネガティブ・サイド

あまりにもクラッカーがうるさいのが幸いして、台詞を聴くのではなく、字幕を読むことに集中できた。そのうえであらためて感じたのが、戸田奈津子御大の英訳のまずさ。Talk to me, dad. や He called you a man, Phoenix. などの字幕は酷い。これは作品の問題ではないので減点はしない。

 

本番ミッションで渓谷内に橋があるが、事前の調査で分かっておらず、現場でとっさに判断してかいくぐったようだった。これは海軍情報部の重大な落ち度、というよりも脚本上の重大な欠点だろう。

 

総評

マサラ上映は後片付けがなかなか大変だが、上映終了後は観客に一体感が生まれているので、一致団結して掃除も順調に進んだ。記念写真も良い思い出。SNSにアップ不可ということは、多分ブログにもアップ不可だろうと解釈した。もしも本上映の参加者がいたら、ほとんど全員が空軍式の敬礼をしている中、数少ない海軍式の敬礼をしている中の一人がJovianである。本作の劇場公開もさすがに全国的にも終わりつつあるが、劇場で映画を観るということの楽しさを思い出させてくれた功績は計り知れない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

joyride

乗り物に乗って楽しむことを指す。特に盗難車の場合が多い。マーヴェリックがペニーをF-18に乗せ、それがバレたせいでボスニア送りにされたエピソードが披露された。この場合、盗んだのは戦闘機。しかも一般人(といっても軍のお偉いさんの娘ではあったが)を乗せたというのだから、無手勝流のマーヴェリックらしい。Take me on your mighty wings ならぬ Take me on a joyride とペニーが頼んだのだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 窓辺のテーブル 彼女たちの選択 』
『 警官の血 』
『 窓辺にて 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, S Rank, アクション, アメリカ, ヴァル・キルマー, トム・クルーズ, マイルズ・テラー, 監督:ジョセフ・コジンスキー, 配給会社:東和ピクチャーズLeave a Comment on 『 トップガン マーヴェリック 』 -マサラ上映-

『 天間荘の三姉妹 』 -スカイハイだと明示せよ-

Posted on 2022年11月6日 by cool-jupiter

天間荘の三姉妹 40点
2022年11月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:のん 大島優子 門脇麦 寺島しのぶ
監督:北村龍平

漫画『 スカイハイ 』は、絵柄は好きでも、ストーリーはそんなに好きではなかった。今作も予備知識ほぼゼロで臨んだが、柴咲コウがイズコだと分かってからは、この独特の世界観を楽しめなかった。

 

あらすじ

老舗の温泉宿「天間荘」を切り盛りする若女将の天間のぞみ(大島優子)は、イルカの調教師のかなえ(門脇麦)とともに腹違いの妹、たまえ(のん)を迎え入れる。たまえは行き先を決めるまでの間、天間荘で働くことになるが・・・

ポジティブ・サイド

『 女子高生に殺されたい 』でも感じたが、アイドルだった大島優子が女優になっている。和服の着こなしだけなく、所作も旅館の女将さんらしさが出ている。それを感じさせたのは歩き方。宿の廊下をしゃなりしゃなりと歩くことができていた。長女として、また若女将として、大女優・寺島しのぶに真っ向から挑むその姿勢や善し。脱アイドル完了まであと2作品ぐらいだろうか。

 

門脇麦も相変わらずの安定感。彼女の出演作はハズレが少なく、作品がハズレでも彼女の演技がハズレであることはほとんどない。日本のジェシカ・チャステインを目指してほしい。『 あのこは貴族 』と同じく高良健吾との共演がよく似合う。また、どことなく寺島しのぶと顔の作りが似ているように感じられ、母子の感じが強く出ていた。

 

ただ。今作では寺島しのぶすら食ってしまう三田佳子御大が出演。本作の色んな面に不満があるのだが、三田演じる財前からは偏屈さと、その根っこある他者を敢えて寄せ付けないという優しさ、そして気高さが感じられた。財前とたまえのサブプロットをメインのプロットに書き換えて、それを1時間30分のたまえのビルドゥングスロマン映画にしても良かった。それぐらい三田佳子の演技は鮮烈だった。

ネガティブ・サイド

残念ながら役者の演技以外に褒められるところがない。震災で亡くなってしまった人々は確かに痛ましいとは思う。けれど最も苦しめられるのは、亡くなった人の家族や友人ではなく、見つからない人、行方不明のままの人の家族や友人ではないか。言い方は悪いが、遺体があれば、その人は死んだと受け入れられる。受け入れざるを得ない。しかし遺体が見つからないままであれば、まだ生きているのではないかという絶望的な希望にすがるしかないではないか。『 風の電話 』が傑作だったのは、まさにここに焦点を絞ったからである。

 

そもそも漫画『 スカイハイ 』は、天国に行く、現世をさまよう、復讐するの三択から一つを選ぶのではなかったか。津波によって街ごと破壊された、なので三ツ瀬という街をそのまま天と地の間に再現しようというのは、原作の世界観を破壊してはいないか。何か腑に落ちない。

 

絵師の少女の物語が今一つ。正直なところ、こんな風に孤立してしまう子は残念ながらどこにでもいる。今の大学生がどれくらいメンタルの不調を抱えて、いわゆる「配慮願い」を学校に提出してくるか、本作の制作者たちは知っているのだろうか。Jovianはこの少女の因果にまったく同情も共感もできなかった。

 

本作はのんのキャラクターと合っていないようにも感じた。のんの持ち味として、たとえば『 私をくいとめて 』や『 さかなのこ 』、『 Ribbon 』のように、世間や時代に簡単に迎合しないキャラクターが挙げられる。これは彼女自身の生き様とも共通するところだろう。その一方で、本作ではいわゆるフリーターで、旅館の女中からイルカの調教師を目指すというサブプロット。偏屈な財前との絡みから、おもてなしを極めることを志すのではダメなのか?死者のメッセージを生者に届ける役目を引き受け、天地の間にたゆたう魂を昇天させるという筋立てではなダメなのか?ぶっちゃけイルカの調教師のシーンは必要か?しかも、ザバーンと水に飛び込んだ直後のシーンで、のんの髪が濡れていないという大失敗の画も・・・

 

本作は『 スカイハイ 』のスピンオフであることを明示するか、あるいは『 パッセンジャーズ 』のようなトリックを仕込むべきだった。天間荘でたまえが様々な客をもてなしていくが、実はもてなされていたのは・・・という感じである。ファンタジーを描きたいのか、ヒューマンドラマを描きたいのか。そこをはっきりさせない中途半端な作品である。

 

総評

一部はとても面白いのだが、全体を観ると凡庸というか、はっきりいって面白くない。製作者の死生観に文句をつけるわけではないが、死者側から生者側を観るという物語の必然性を感じない。『 スカイハイ 』は理不尽に命を奪われた個人が、死を受容したり、あるいは復讐するところが肝なのであって、記憶をもって蘇るというのはご都合主義が過ぎる。チケットを買うなら、役者の演技を堪能するためと割り切るべし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

near-death

ニアミスならぬニアデスで、これは臨死という意味。しばしば near-death experience = 臨死体験という使われ方をする。臨死体験は『 フラットライナーズ 』の昔から映画や小説のテーマになっているので、この表現を見聞きしたことがある人も多いのではないか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 窓辺のテーブル 彼女たちの選択 』
『 王立宇宙軍 オネアミスの翼 』
『 警官の血 』

 

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『 秘密の森の、その向こう 』 -フレンチ・ファンタジーに酔いしれる-

Posted on 2022年10月29日 by cool-jupiter

秘密の森の、その向こう 70点
2022年10月26日鑑賞 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:ジョセフィーヌ・サンス ガブリエル・サンス
監督:セリーヌ・シアマ

予備知識ゼロで鑑賞。あらすじすら読まなかった。Twitter友達から勧められたからなのだが、そういう人からのお勧めは当たり率が非常に高い。

 

あらすじ

ネリー(ジョセフィーヌ・サンス)は両親に連れられ、祖母が住んでいた森の中の一軒家を片付けに来る。しかし、母は自分の母を喪失した悲しみから、家を出て行ってしまう。残されたネリーは森を散策するうちに、母と同じ名前の少女マリオン(ガブリエル・サンス)と出会い、友達になる。ネリーはマリオンの家に招かれるが・・・

ポジティブ・サイド

何とも言えない余韻を残す作品。鑑賞中に思い浮かんだのは『 思い出のマーニー 』と『 リング・ワンダリング 』の二作。時を巡る、そして自らのルーツに図らずも迫ってしまう物語である。

 

BGMはほとんどない。しかし、それが使われる際の情景の美しさとキャラクターの心象風景とのマッチング具合は素晴らしいの一言。キャラクターも少なく、さらに台詞も多くない。台詞が発されたとしても、多くの場合は何らかの比喩というか婉曲的な表現が多く、それが観る側をぐいぐいと惹きつける。フランスといえば少ない登場人物にもかかわらず読者を翻弄するミステリの良作を生み出す国だが、映画でもその技法は存分に活かされている。

 

母マリオンが姿を消した直後に現れる、母と同じ名前の少女マリオン。ネリーとマリオンの子ども同士の無邪気な交流が、いつしか魂の交感にまで昇華される。普通なら2時間はかかりそうなものだが、シアマ監督は70分でそれをやってのける。ここまで研ぎ澄まされた演出と編集は見たことがない。

 

「人はいつか死ぬ。早いか遅いかだけだ」とは『 もののけ姫 』のジコ坊の言。死ぬ時期を知ってしまうというのはシビア極まりないことだが、同時に確実に出会える人間がいるのだ、という希望にもなる。なるほど、これは男を主軸にしては作れない物語。男の自分でも心揺さぶられるのだから、女性視点ではどうなるのだろう。有休を使って一人で観に行ったことがある意味で悔やまれる佳作だ。

ネガティブ・サイド

ネリーとマリオンはなかなか見分けがつかない。双子のキャスティングというのは吉とも凶とも出るが、今作ではその中間ぐらいだろうか。

 

ネリーの父が、終盤の手前でネリーとマリオンの両方に出会うシーン。ここにマリオンを連れてこず、ネリーと父との会話だけでもう一日だけ滞在を延ばす(予定の繰り上げをやめる、が正しいか)ようにすれば、さらにファンタジー色が強まっただろうと思う。

 

総評

『 シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢 』を鑑賞した時に近いインパクトがあった。フランス映画はたまにこういう静謐な傑作を送り出してくる。『 トップガン マーヴェリック 』では疑似的な父と息子の関係作りに失敗したマーヴェリックが、ペニーとアメリアの母と娘の関係性から学ぶ姿が印象的だったが、本作はもっと直接的に母と娘の関係性に切り込んでいく。父と息子というのは『 オイディプス王 』の時代からの古典的テーマであるが、本作は母の母と、母の娘という対極的なテーマの古典になりうる力を秘めている。

 

Jovian先生のワンポイントフランス語レッスン

Excusez-moi

エクセキューゼ・モワという感じの発音。英語で言うところの Excuse me. で、軽めの謝罪であったり、あるいはちょっと話しかけたり、ちょっと通らせてもらったり、といった時に使える。日本語の「すいません」に相当するのだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 窓辺のテーブル 彼女たちの選択 』
『 アムステルダム 』
『 天間荘の三姉妹 』

 

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