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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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カテゴリー: 未分類

『 クリード 過去の逆襲 』 -父親殺しに失敗-

Posted on 2023年6月4日 by cool-jupiter

クリード 過去の逆襲 50点
2023年5月28日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:マイケル・B・ジョーダン ジョナサン・メジャース テッサ・トンプソン
監督:マイケル・B・ジョーダン

好物のボクシングもの。スタローンが出演しないのが吉と出るか凶と出るか。

 

あらすじ

アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)は世界王者として引退し、家族と共に幸せに暮らしながら、ジムの後輩の面倒を見ていた。ある日、刑務所から出てきた幼なじみのデイム(ジョナサン・メジャース)が現れ、かつての夢だった世界王者を目指したいと言う。負い目のあるアドニスはデイムをジムに招き、世界王者のフェリックスのスパーリングパートナーにするが・・・

 

ポジティブ・サイド

『 クリード 炎の宿敵 』でドラゴの息子との二度の激闘を経て、これ以上語るべきドラマがあるのかなと思っていたところ、確かにあった。『 クリード チャンプを継ぐ男 』で、引き取られる前のアドニスは荒くれ非行少年だった。ここに物語の鉱脈を見出した脚本家は did a good job だろう。

 

デイムを演じたジョナサン・メジャースのヴィランっぷりが素晴らしかった。『 アントマン&ワスプ クアントマニア 』のカーンには「ギャグかな?」と感じたが、本作では根っからの悪人ではなく正当性のある悪人、執念の悪人を演じきった。監督でもあるジョーダンの演出なのか、本人の役作りなのか。凄みのある演技だった。売れてきたところで、いきなりキャリア終了の危機だが・・・ 

 

デイムがいきなり世界戦というのは荒唐無稽にもほどがあるが、作中で述べられていた通り、『 ロッキー 』自体がそういう荒唐無稽な話だったし、その元ネタであるチャック・ウェプナーの経歴がデイムとよく似ている。色々な意味でクリードの物語ながら、ロッキーへのオマージュも忘れていない。

 

スタローンが出てこない=『 ロッキー 』シリーズからの独立、とも言える。もちろん、権利関係でスタローンが色々と主張していて、残念ながらそこに法的根拠がないことは明白。ならばと、アポロ・クリードの息子たるアドニス・クリードが前二作を通じて、アポロという父を失い、ロッキーという父を得て、さらに本作で自らが父となり、そして精神的・文学的な意味でロッキーという父親を敢えて殺すために、自らの少年時代と決別する、つまり完全に大人になる、というプロットは筋が通っていた。

 

ネガティブ・サイド

フェリックスの線が細すぎて、とてもヘビー級とは思えない。せいぜいスーパーミドル級ぐらいにしか見えない。もっといかにもヘビー級然とした役者をキャスティングできなかったのか。

 

少年時代の過ちに決着をつける必要があるというのは分かるが、デイムに耳を傾けてもらう方法がリングの中で戦うことだけだとは思えない。たとえば、アドニスにメディアの前で過去の罪を自白させるとか、あるいはF・メイウェザーがやっていたようなエキシビション・マッチを提案することもできただろう。それでは一般大衆が納得しない、ということでアドニスの現役復帰というストーリーなら納得できたのだが。

 

二人の対決が観客を置き去りにした、監獄の中での殴り合いになる演出は悪くないと思うが、そこに至るまでのドラマがリングの中にない。アドニスが引退試合でデイムから得た観察力を発揮していたり、あるいはデイムが獄中でもアドニスのすべての試合をつぶさに観ていた、ということが感じられるようなシーンがなかった。そうした二人だけが理解できるボクシングの世界から、観客やセコンドを置いてきぼりにした殴り合いの世界に没入するという流れは構築できなかったのか。

 

Going the distance を流すのも中途半端。ロッキーには敬意を表しつつも、クリードの物語だということを徹底して欲しかった。

 

総評

面白いと思える部分と、イマイチだなと感じる部分が同居する作品。スタローンが出てこないことで、あらためて『 ロッキー 』というシリーズの重みが感じられた。ただ、マイケル・B・ジョーダン演じるアドニスというキャラの魅力は全く損なわれていないし、『 トップガン マーヴェリック 』のように次世代への継承を大いに予感させる終わり方も悪くない。20年後にアマラがボクサーになって、『 ケイコ 目を澄ませて 』的なドラマを盛り込みつつ、レイラ・アリ vs ジャッキー・フレイジャー、またはレイラ・アリ vs クリスティ・マーティンのような試合を見せてくれるのなら、それはそれで歓迎したい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a Creed

学校では「人名には不定冠詞 a はつけない」と教えるが、実はつけることもある。一番よくあるのは a + 名前 = その一族の一人という意味。『 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 』のカイロ・レン “You are a Palpatine.” がその代表例か。他には「そういう名前の人」という用法。I’m looking for a Ken Smith. = ケン・スミスという人を探しているのですが、のように使う。もう一つは「その名前のような偉大な人」という用法。We need a Steve Jobs now. = 我々には今こそスティーブ・ジョブズのような異能の人が必要だ、のように使う。英語教師を目指す人だけ覚えておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 The Witch 魔女 増殖 』
『 65 シックスティ・ファイブ 』
『 怪物 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, アメリカ, ジョナサン・メジャース, スポーツ, テッサ・トンプソン, ヒューマンドラマ, ボクシング, マイケル・B・ジョーダン, 監督:マイケル・B・ジョーダン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 クリード 過去の逆襲 』 -父親殺しに失敗-

『 スフィア 』 -海洋SFの佳作-

Posted on 2023年5月5日 by cool-jupiter

スフィア 65点
2023年5月2日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ダスティン・ホフマン サミュエル・L・ジャクソン シャロン・ストーン
監督:バリー・レビンソン

『 アビス 』を鑑賞した時に、そういえば本作も海を舞台にしていたなと思い出して再鑑賞。結構面白かった。

 

あらすじ

心理学者ノーマン(ダスティン・ホフマン)、数学者ハリー(サミュエル・L・ジャクソン)、生物学者ベス(シャロン・ストーン)たちは飛行機墜落事故現場とされる海域に召集される。しかし、実際は飛行機は墜落しておらず、彼らは海底の謎の施設の調査を命じられる。そしてその中で、謎の球体を発見し・・・

 

ポジティブ・サイド

1990年代には地球表面はあらかた探査しつくされて、髑髏島のような一種のロマンはなくなっていた。その一方で深海にはまだまだミステリーがある。『 アビス 』が1989年、本作は1998年だが、2020年代の今でも深海は謎だらけ。ある意味、月よりも遠い世界。そんな深海を舞台に『 ジュラシック・パーク 』のマイケル・クライトンが想像力を大いに羽ばたかせた。

 

深海に謎の船、それがアメリカ製と判明し、なおかつ300年近く前からそこにありながらも、未来の船である可能性が示唆される。これだけでも十分にスリリングだが、そこに謎の球体=スフィアの存在が明らかになり、現実と妄想の境目があいまいになってくる。

 

SFでありながらミステリの面でも上々。様々な怪異の原因がスフィアにあるのは間違いないが、では誰がスフィアに接触したのか。ハリーは当確として、ではベスは?バーンズは?という疑惑がキャラクター達にも観る側にも生じてくる。さらに主人公のノーマンが、自分自身の心理に疑いの目を向けるところでサスペンスも最高に盛り上がる。ゲームの『 Never7 ~the end of infinity~ 』のキュレイシンドロームは本作あたりから着想を得ていたりするのかもしれない。

 

ネガティブ・サイド

明らかに『 2001年宇宙の旅 』を意識した映像を冒頭に持ってきているが、何をどうやってもスターゲートの映像は超えられないのだから、いかに”未知との遭遇”をテーマにしているとはいえ、敢えてそういったオマージュを入れる必要はなかったように思う。

 

なぜスフィアが具現化するのは恐怖だけなのか。あれだけ頭脳聡明な学者たちがそろっていて、なぜ誰もハッピーな思考を試そうとしないのか、それが一番の謎だった。

 

ベスがノーマンを無理やり眠りにつかせようとしたことで、ノーマンが深海数百メートルを泳ぐ羽目になるのだが、そんな馬鹿な・・・

 

総評

海洋SFはよっぽど低予算でない限り、ハズレになることは少ないと思っている。釣りをしたことがある人なら分かるだろうが、魚以外にウミウシやアメフラシ、クラゲ、ヒトデも連れたりする。現代では海の中にどう見ても異星生命としか思えないような地球産の動物も数多く見つかっていて、我々の想像力を刺激し続けている。今度は『 コクーン 』でも借りてきて再鑑賞しようかな。その前にYouTubeで見つけた『 リバイアサン 』かな。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a pain in the ass

a pain in the butt とも言う。直訳すると「尻の痛み」だが、実際は「悩みの種」、「嫌な奴/物」というニュアンス。My supervisor is a real pain in the ass. = うちの上司はマジで嫌な奴なんだよ、のように使う。ただし、日常で使う際には a pain in the neck と言おう。意味は同じだが、こちらの方が ass や butt よりもマイルドに聞こえる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 』
『 放課後アングラーライフ 』
『 不思議の国の数学者 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 1990年代, C Rank, SF, アメリカ, サミュエル・L・ジャクソン, シャロン・ストーン, ダスティン・ホフマン, 監督:バリー・レビンソン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 スフィア 』 -海洋SFの佳作-

『 別れる決心 』 -歪んだ純愛-

Posted on 2023年2月23日 by cool-jupiter

別れる決心 70点
2023年2月19日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:パク・ヘイル タン・ウェイ
監督:パク・チャヌク

大学の追試や試験代替課題の採点と新年度の準備と研修ラッシュ。ここから1か月半はまさに繁忙期。しばらく簡易レビュー続きになるか。

 

あらすじ

刑事ヘジュン(パク・ヘイル)は、ある男性が山頂から転落死した事件を捜査していた。殺人の可能性を見出したヘジュンは、男性の妻ソレ(タン・ウェイ)に疑惑の眼差しを向ける。しかし彼女にはアリバイがあった。捜査を進めるうちに、強くしなやかに生きるソレに、ヘジュンは徐々に惹かれていき・・・

ポジティブ・サイド

タン・ウェイの妖艶さに尽きる。別にきわどい露出や激しいラブシーンがあるわけではないが(ヘジュンと奥さんのセックスシーンはある)、その femme fatal ぶりには魅了されざるを得ない。理解したいのに理解できない。いや、理解できるが間接的にしか理解できないという刑事ヘジュンと容疑者ソレの距離感が絶妙。時に使用されるスマホの翻訳機能が二人の間の越えがたい、しかし超えられないことはないという壁を象徴している。

 

パク・チャヌクといえば『 オールド・ボーイ 』のようなエロスとバイオレンスが持ち味。しかし、本作のエロスは実に控えめ。バイオレンスなシーンもあるにはあるが、青あざと流血に彩られるようなものでもない。ヘジュンが捜査のために一方的に室内のソレを覗くシーンの演出は見事だった。こうやって、いつの間にか容疑者に同化してしまう、というのは実際にありえそうに感じた。

 

誰かが死ねば、あの刑事がやって来る。あるいは、何らかの謎さえあれば、あの男はやってくる。これをサイコパスの思考と見るか、それとも究極の愛情と見るか。セックスする相手を愛しているのか、それとも愛しているからこそセックスしないのか。様々な問いが渦巻く中、女たちは別れる決心をする。なんとも苦みと深みのある作品だった。

 

ネガティブ・サイド

実質的に二部作的な構成になっているが、これをもうちょっと縮めて2時間ちょうどにはできなかったか。

 

殺人事件そのものの捜査の描写が弱い。ヘジュンが捜査に憑りつかれているのは分かるが、客観的に見て「警部、ちょっとおかしいですよ」と言ってくれるキャラが後半になってはじめて現れるのには違和感を覚えた。

 

総評

韓国映画らしいと言えば韓国映画らしいが、パク・チャヌク映画らしいかと言われれば、あまりそうではない。それでも、巨匠の新境地と言うか、見せないことで想像力を刺激する、あるいは直接的にではなくシンボルを通じて見せるという手法に唸らされることが多かった。もう少しコンパクトにまとめられていれば、韓国映画ファン以外にも勧められる。逆に言えば、韓国映画ファンならばチケット代の価値は十分に得られる。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヨボ

韓国映画ではしばしば夫婦が互いに「ヨボ」と言って呼びかける。日本語で言うところの「あなた」や「なあ」などに当たるらしい。劇中のヘジュンが時々発する言葉だが、この言葉ひとつで距離感が近くなったり遠くなったり感じるのだから、人間関係、就中、夫婦の関係というものは難しい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エゴイスト 』
『 銀平町シネマブルース 』
『 シャイロックの子供たち 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, サスペンス, タン・ウェイ, パク・ヘイル, ラブロマンス, 監督:パク・チャヌク, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオ, 韓国Leave a Comment on 『 別れる決心 』 -歪んだ純愛-

『 トップガンナー 』 -パロディにすらなれていない-

Posted on 2023年2月9日 by cool-jupiter

トップガンナー 10点
2023年2月7日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:エリック・ロバーツ
監督:ダニエル・ラスコ

近所のTSUTAYAでレンタル。もうタイトルだけで借りてしまった。Sometimes, I’m in the mood for garbage.

 

あらすじ

へリング大佐(エリック・ロバーツ)はやんちゃな新人パイロットたちを育成していた。ある時、最新鋭戦闘機ヴァルキリーが基地に緊急着陸。降りてきた海兵隊員たちは。ロシアの開発した恐るべき生物兵器を一刻も早く処理しなければならないと言う。そして基地にはロシア空軍の最新鋭戦闘機が迫りつつあり・・・

 

ポジティブ・サイド

いかにも『 トップガン 』を意識した夕焼けと、そこに浮かび上がるシルエットだけは良かった。本作の良さはそこで終わりである。

 

ネガティブ・サイド

基地はメキシコ近くにある、みたいな設定なのに、なぜロシアから飛んできた海兵隊がやってくるのか。アラスカとかの間違いでは?

 

海軍ではなく空軍なのにトップガンナーなどというタイトルをつけるセンスを疑う。そして空軍なのに、空中戦ではなく地上戦がメイン。いや、メインではないが、タイトルにもある Gun を使うのが地上と空中で半々というのは詐欺に近いのではないか。DVDのジャケットに「この大空で最強<トップ>の射手<ガンナー>が決まる」みたいに書いていて、地上の射撃戦を見せられてもなあ。そこでも、海兵隊に「単射にしろ」と言われた直後に連射でぶっ放したりと、意味不明な展開が多数。

 

肝心の空中戦もビジュアルは非常に低クオリティ。low budget movie だからしゃーないとはいえ、Ace Combat Zero レベルのCGはさすがに2020年の映画でやってはいかんだろう。

 

3機のF-18が意気揚々とSu-57に挑むもあっさりと返り討ち。というか、一機がやられた直後に、一機がおとりになって、そのすきに最後の一機が相手の後ろを取る・・・って、3対1でも負けるのに、敢えて一時的にとはいえ1対1に持っていくのは何故なのか。そしてせっかく奪ったSu-57の背後を機銃で撃たず、イジェクトして神風アタックを仕掛けるのか。いや、撃てよ。なんで機体を敵機にぶつけようとするのか。こいつら米空軍を名乗った旧大日本帝国空軍か?

 

ヴァルキリーを飛ばすシーンで、遂に胸躍る空中戦か?と思わせて、映っているのはずっと機内の映像。モニターに表示される敵機を撃って撃墜・・・って、そこで大空を映せないのか?最初の空中戦でCGにかける予算を全部使ってしまったのか。監督、脚本、プロデューサーがどいつもこいつもそろって能無しだったか。

 

総評

クソ映画愛好家にしかお勧めできない。こっちは低クオリティでもいいので、とにかくスカイアクションがたくさん観たいのだが、意味の分からん地上戦と役者の顔面アップの長い台詞回しが延々と続く。まあ、でも作っている側も傑作を作る気など毛頭ないだろう。熱心な映画ファンが全世界に1億人いるとして、そのうちの1000人に一人がレンタルや配信で視聴してくれれば元が取れるのだろう。それくらいの低クオリティである。ゴミでも観るか、という心づもりで鑑賞を。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. I need to forget about this load of turd.

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エンドロールの続き 』
『 イニシェリン島の精霊 』
『 日本列島生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た! 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, F Rank, アクション, アメリカ, エリック・ロバーツ, 監督:ダニエル・ラスコLeave a Comment on 『 トップガンナー 』 -パロディにすらなれていない-

『 グッドバイ、バッドマガジンズ 』 -コメディではなくシリアスドラマ-

Posted on 2023年2月6日 by cool-jupiter

グッドバイ、バッドマガジンズ 70点
2023年2月4日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:杏花
監督:横山翔一

シネ・リーブル梅田で予告編を何度か観て、面白そうだと感じたのでチケット購入。コメディ要素はあるものの、結構シリアスな人間ドラマに仕上がっていた。

 

あらすじ

女性誌編集を希望しながらも、男性向け成人誌の編集で採用された詩織(杏花)。卑猥な画像や物品に囲まれたオフィスで仕方なく働くも、女性編集者の澤木やライターのハルに影響を受け、徐々に仕事に打ち込むようになっていく。そして女性向け成人誌の創刊というチャンスを掴むことになるが・・・

ポジティブ・サイド

東京オリンピックに関しては2023年の今でも超巨額の談合やら何やらが今も捜査されているが、その巨大スポーツ利権イベントの裏でコンビニの店頭から消えたエロ雑誌とそれらを作る人々のドラマに焦点を当てたのはかなり目の付け所が秀逸であると感じる。

 

まずは主演の杏花の演技が素晴らしい。就職難の中、コネで雑誌社に就職するも、配属先は男性向け成人誌の編集部門。うら若き乙女にとってかなりアウェイの職場だろう。死んだ魚の目で来る日も来る日も女性のヌードがプリントされた紙をシュレッダーにかけていく日々。新人は雑用が主な仕事とはいえ、これはなかなかキツイ。しかしわずか数か月でたくましく成長する詩織。後輩社員に変わってキャッチコピーを考える様は圧巻。電光石火の早業で、次々に刺激的なエロの見出し語を生み出していく詩織の成長に、オッサンであるJovianは目頭が熱くなった。

 

詩織が成長できたのも自己研鑽だけではなく、周囲の仕事人の助けもある。落ち目のエロ本業界にあっても、良いものを作ればユーザーはついてくるという信念を持った仕事人がいるからこそ。逆にそうした人々が独立を志向して会社を去っていくのがリアルだった。残された面々も、しばしば営業と対立。これはどこの業界のどこの会社でも見られる光景だろう。うちのような語学教育会社でも、営業がクライアントに「弊社なら可能です!」とか堂々と宣言して、レッスンプランを考えたり講師に研修を実施するJovianのような教務担当が頭を抱えるというのは、日常茶飯事とまで言わないが、年に2~3回はある(口八丁の営業、ホンマええ加減にせえよ・・・)。

 

本作がお仕事ムービーとして優れている点は、仕事で盛大にやらかしてしまう展開を見せてくれるところ。ここで某キャラがやらかすミスは、サラリーマン的には洒落にならない類のものである。ミスの発生機序やその結果がもたらす影響が非常にリアルだった。

 

衰退産業にあっても個として雄々しく生きていくことができる。題材こそエロ本だが、そこに込められたメッセージは万人向けである。

ネガティブ・サイド

「テープがなければ中身で戦えた」という台詞には共感できなかった。昔も今も書籍やレンタルビデオ、レンタルDVDは中身ではなく外側で勝負してきたはず。飲食店なんかもそう。世の中の製品というのは、まずは外側で勝負しないと始まらない。このあたりを描いた小説に『 装幀室のおしごと。 ~本の表情つくりませんか?~ 』がある。

 

物語の軸が終始定まらなかった。仕事を通じて詩織が成長していくビルドゥングスロマンなのか、斜陽産業で頑張る人々を活写するお仕事ムービーなのか。どちらも追求するのではなく、どちらかに振り切るべきだった。途中からエロ雑誌の存在意義ではなく、人は何故セックスするのかにテーマが変質していったのも気になる。最後の展開は不要に思えた。

 

次々と社員が退社していく中、クビになる人もいるのだが、「え?クビだけですむの?社会的に抹殺されへんの?」という展開には少々鼻白んだ。

 

総評

雑誌の栄枯盛衰を描く物語としては『 SCOOP! 』や『 騙し絵の牙 』を上回る面白さ。全体を通して観るとトーンが一定しないが、一瞬一瞬の面白さはなかなかのもの。主演の杏花の成長は、この職場、この業界だからこそ、万人が応援できるストーリーに仕上がっている(最後以外は)。PG12作品だが、間違っても高校生あたりがデートムービーにできるものではない。大学生でもどうだろうか。35歳以上なら男性でも女性でも、お仕事ムービーとしてもエロ本の歴史ものとしても楽しめるはず。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

dirty magazines

タイトルにあるバッドマガジンズというのは低品質な雑誌、あるいはコンテンツが邪悪な雑誌という意味。英語ではエロ雑誌、成人雑誌は概して dirty magazines と言う。別に知っておく必要はないだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エンドロールの続き 
『 イニシェリン島の精霊 』
『 日本列島生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た! 』

 

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Posted in 国内, 映画, 未分類Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 日本, 杏花, 監督:横山翔一, 配給会社:日活Leave a Comment on 『 グッドバイ、バッドマガジンズ 』 -コメディではなくシリアスドラマ-

『 パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女 』 -カーアクションは少なめ-

Posted on 2023年1月26日 by cool-jupiter

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女 70点
2023年1月22日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:パク・ソダム チョン・ヒョンジュン
監督:パク・デミン

 

仕事が繁忙期なので簡易レビュー。

 

あらすじ

クルマを運転させれば右に出る者がいないウナ(パク・ソダム)は、裏の世界の運び屋として生きている。ある日、プロ野球賭博のブローカーとその息子を運ぶという依頼が入る。しかし、アクシデントにより依頼人の幼い息子と300億ウォンの貸金庫の鍵だけを運ぶことになる・・・

ポジティブ・サイド

冒頭の数分間は『 ドライヴ 』、『 ベイビー・ドライバー 』、『 トランスポーター 』への韓国映画界なりのオマージュか。街中の路地の爆走や、静かに闇に紛れる様。クルマを駆る天才ドライバーというのは実に絵になる。パク・ソダムの無表情でのクールな演技は本作にマッチしていた。

 

子役のチョン・ヒョンジュンは『 パラサイト 半地下の家族 』ではあまり印象に残らなかったが、本作では守られるべき小さな子どもから、ヒロインを守らんとする男の子に成長する。よくこんな脚本を書いて、子どもに演じさせて、さらにそれを面白い筋立てに仕上げるものだと関心させられた。

 

韓国の警察は無能というのが定番だったが、今作の悪徳警察は特に悪辣。さっさと誰かこいつをぶっ殺せ、と心の底から思わせてくれた。

 

パク・ソダムはこれから役者としてのピークが来るだろう。続編も期待して良さそうだ。

 

ネガティブ・サイド

カーアクションが決定的に少ない。もちろん終盤の肉弾戦の迫力は否定しないが、本作の最大のアピールは華麗なるドライビング・テクニックであるべきだ。

 

国家情報院のおばちゃんに見せ場がなかった。悪徳刑事を吊し上げるのはこの人だと思ったが。

 

インドの青年にも、もう一つぐらい見せ場が欲しかった。

 

総評

『 非常宣言 』と同じく、日本ではとても作れそうにないダークな娯楽作品。ぜひ続編を作ってほしい。運び屋という裏稼業に興味のある人は、Jovianの先輩の書いた小説『 運び屋 』も読んでみよう。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

サジャン

社長の意。社 = シャ ⇒ サ、長 = チョウ ⇒ チャン。昔、うちの親父も韓国旅行していた時に「社長、社長、社長にはこれが似合う」とか言われて、高いカバンを露天商に買わされていたな。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 そして僕は途方に暮れる 』
『 ヒトラーのための虐殺会議 』
『 エンドロールの続き 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, チョン・ヒョンジュン, パク・ソダム, 監督:パク・デミン, 配給会社:カルチュア・パブリッシャーズ, 韓国Leave a Comment on 『 パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女 』 -カーアクションは少なめ-

2022年総括と2023年展望

Posted on 2022年12月31日2023年12月31日 by cool-jupiter

2022年総括

世界もさすがにコロナに慣れてきた。日本の多くの部分では旧態依然とした政治・社会体制が続いているが、職業や教育の分野がデジタル化が進みつつあるのは悪い傾向ではないと思う。そんな中で映画館もそれなりに健闘できた一年ではないだろうか。

一方で、テアトル梅田が閉館するなど、ミニシアターには厳しい時代が続いている。メガヒットと呼べるような作品も劇場公開されたが、映画館および映画文化を支えるために必要なのはブロックバスターだけではなく、静かに、しかし確実に人の心を動かすような良作、そしてそれを届けてくれる良心的な劇場であると思う。超大作をマサラ上映することでコアな映画ファンをがっちり掴む塚口サンサン劇場のように、作品選びだけではなく、作品を提供するスタイル、劇場体験そのものを売りにするのが今後の劇場のサバイバルにつながっていくのかもしれない。

それでは個人的な各賞の発表をば。

 

2022年最優秀海外映画

『トップガン マーヴェリック 』

延期に次ぐ延期を経て、満を持して劇場公開された本作が最優秀海外映画の栄に浴する。CDやDVDの売り上げは落ちても、コンサートや芝居のチケットは売れている。「モノ消費からコト消費へ」と言われて久しいが、本作は大スクリーンと大音響での映画体験、それがもたらす興奮や高揚感を思い出させてくれた。期せずしてロシアがウクライナに侵攻。ウクライナは逃げるべきか、戦うべきかという議論が日本の識者(とされる人々)の間でもたびたび行われた。それが良いか悪いかは議論が分かれるところだが、平和という状態は軍が膨大なエネルギーを注ぎ込むことで達成され、維持されているということも示した作品だった。

 

次点

『 あなたがここにいてほしい 』

中国映画というと実験的な低予算おバカ映画と、『 シスター 夏のわかれ道 』のような超上質ドラマの二極化が進んでいるという印象を受けた。その中でも本作の完成度は非常に高く、個々人のドラマが社会の発展と相似形を成し、個々人の関係の破綻が社会の矛盾の現れとなっていた。社会性とエンタメを高い次元で融合させているという点、で2021年の『 少年の君 』に近いレベルまで来ていると感じた。

 

次々点

『 RRR 』

ハリウッドのアクション超大作のカーチェイスや銃撃戦、爆発というのは、アクションのためのアクションになっていることが非常に多い。ポップコーンが進むでしょ?というやつである。一方でインド映画、というよりもS・S・ラージャマウリ監督の映画には肉弾アクションは言うに及ばず、銃弾や火薬にまでキャラクターの心情が乗り移ったかのように感じられる。この熱量は劇場鑑賞でしか得られないと思う。まさに鑑賞する映画ではなく体験する映画だ。

 

2022年最優秀国内映画

『 前科者 』

日本も完全に格差社会になってしまった。ここで言う格差とはしばしば経済的なそれである。一度非正規雇用になってしまうと、なかなか正規雇用になれない。同じく、一度犯罪者になってしまうと前科者というレッテルをはがすことができない。「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があるが、その罪は人格によるものなのか、環境によるものなのか。本作の発する問いの意味は、今後大きくなることはあっても小さくなることはない。お好み焼きの千房の会長・中井政嗣氏が言う「反省は一人でもできるが、更生は一人ではできない」という言葉の意味を我々は噛みしめる必要があるのではないだろうか。

 

次点

『 マイスモールランド 』

diversity をダイバーシティ、inclusion をインクルージョンとしか訳せないところに日本社会の排他性が垣間見える。クルド人という寄る辺なき民の存在を、ウクライナ難民と重ね合わせずにはいられない。受け入れない者は、受け入れられない覚悟をしなければならない。しかし最初に動くべきは国ではなく、一個人なのだろう。少数の交流が多数になる必要はない。しかし、少数者との交流を妨げる理由もないはずである。

 

次々点

『 死刑にいたる病 』

興行収入10億円と、並みのヒットになってしまった。もしも日本のオーディエンスの嗜好が韓国オーディエンスのそれに近ければ、興収30億も狙えたのではないか。それぐらいにダークな作品。こうした毒のある作品がヒットする土壌を育まない限り、邦画の世界は青春キラキラ漫画の映画化に血道を上げ続けることになってしまう。

 

2022年最優秀海外俳優

チャン・ジンイー

『 あなたがここにいてほしい 』で見せたみずみずしい演技の印象はいまだに鮮烈。幼さ、無邪気さ、切なさ、弱さ、強さ、愛おしさなど、少女から女性に至るまでの様々な段階の属性を一作の中で全て出しきった。

 

次点

N・T・ラーマ・ラオ・Jr. 
ラーム・チャラン

『 RRR 』の主演二人を選出。友情と使命のはざまで翻弄される二人の男の熱き血潮のたぎるアクションとドラマは、この二人の俳優以外ではなし得なかった。

 

次々点

ロバート・パティンソン

『 THE BATMAN ザ・バットマン 』で新たなブルース・ウェインとバットマン像を打ち出したパティンソンを推す。同作のヴィランでジム・キャリーの超絶変態リドラー像を打破したポール・ダノとの接戦を制した。

 

2022年最優秀国内俳優

阿部サダヲ

『 死刑にいたる病 』の怪演で文句なし。近年の邦画の猟奇犯罪者役としては『 ミュージアム 』の妻夫木聡と双璧であると言っていい。目の奥から容易に心の闇をのぞかせるという演技は誰にでもできるというものではない。

 

次点

岸井ゆきの

ボクシング映画には基本的にハズレがないが、その中でも特に異色だった『 ケイコ 目を澄ませて 』の主演を張った岸井ゆきのを選出しないわけにはいかない。安藤サクラの後継者として、日本トップの女優を目指すべし。

 

次々点

森田剛

滅多に映画に出てこない森田剛だが、『 前科者 』の演技には度肝を抜かれた。同じV6の岡田准一とはえらい差がついたように見えるが、ヒューマンドラマをじっくりと演じさせれば森田剛の方が上だろう。

 

2022年最優秀海外監督 

コゴナダ

『 アフター・ヤン 』で見せた、断片的な視覚情報からオーディエンスの想像力を無限に喚起していくという手法には恐れ入った。今後、真似をする監督がプロアマ問わず出てくると予想されるが、コゴナダ監督の領域に達する者は数年は出てこないのは確実である。

 

次点

バンジョン・ピサンタナクーン

タイ映画には馴染みがあまりなかったが、『 女神の継承 』でホラーという分野では邦画を抜き去ったと確信した。少なくとも現時点の日本とタイのこのジャンルの作り手のトップだけを比べるならタイの圧勝だろう。一歩間違えるとギャグになってしまうシーンの数々を恐怖で塗りつぶしたピサンタナクーン監督の剛腕には恐れ入るしかない。

 

次々点

リュ・スンワン

『 モガディシュ 脱出までの14日間 』で韓国の近代史と政治、そしてアクションと人間ドラマの全てを描き切った。その卓越したバランス感覚は賞賛に値する。

 

2022年最優秀国内監督

湯浅政明

『 犬王 』

邦画のミュージカルというのは往々にして大惨事になるものだが、本作は違った。ロックオペラと言っていいほどの硬質な楽曲の数々と二人の男の時を超えた友情が見事にミックスされたミュージカルで、この水準の作品は年に一本生まれれば良い方だろう。

 

次点

安川有果

『 よだかの片想い 』で見せた、音響や音楽を極力使わず、役者のセリフにも頼らず、ひたすら演技で物語っていく手腕を高く評価したい。城定秀夫のライバルになってほしい。

 

次々点

片山慎三

『 さがす 』のダークな展開はまるで韓国スリラーのようだった。社会や人間心理のダークサイドを容赦なく追究しようとする作り手がもっと日本にたくさん現れてほしい。

 

2022年海外クソ映画オブ・ザ・イヤー

『 ジュラシック・ワールド 新たなる支配者 』

伝説的なシリーズの最終作ながら、原点回帰に大失敗。というか、広げまくった風呂敷を畳むつもりがゼロだったという、詐欺にも近い作り方&売り方。popcorn flick として見ても標準以下の駄作。掛けた予算と関わったスタッフを考えれば、クソ映画オブ・ザ・イヤーの栄に浴すのは必然。

 

次点

『 ソー ラブ&サンダー 』

サノスを失ったMCUの迷走を表す一作。キャラの掛け合いだけは見ていられるが、ストーリーはもうどうでもいいかな。

 

次々点

『 ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 』

ハリポタと違って、このシリーズはワクワクできない。キャラが最初から大人で成長の余地があまりなく、しかもストーリーがしばしば政治的だからだ。シリーズ打ち切りの話も出ているようだが、さもありなん。

 

2022年国内クソ映画オブ・ザ・イヤー

『 大怪獣のあとしまつ 』

よくこんなゴミを作って、なおかつ公開してくれたものだ。世が世なら監督とプロデューサーは市中引き回しの上、打ち首獄門に処されている。

 

次点

『 牛首村 』

牛の首には特に意味はないと劇中で明かされた時点で席を立つべきだった。清水崇はもうホラーを作ってはいけない。

 

次々点

『 貞子DX 』

『 N号棟 』との大接戦を制して本作をクソ映画オブ・ザ・イヤーの次々点に選出。貞子という不世出のキャラクターにとどめを刺した罪はあまりにも重い。

 

2023年展望

2023年に楽しみにしている邦画は『 ヴィレッジ 』と『 跳んで埼玉Ⅱ(仮) 』、期待の洋画は『 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』と『 Magic Mike’s Last Dance 』。逆に不安視している邦画はゴジラの新作、洋画だと『 Creed Ⅲ 』も少し怪しそう。

2023年は韓国映画やインド映画以上に、中国映画の上澄みも更に世界に発信される一年になる気がする。同時に、邦画の製作システムになんらかのブレイクスルーが求められる一年になるのも間違いない。特に大学の90分授業を集中して受けていられないという若年層をどうやって映画館に連れてくるのか。やはり物語としての面白さ以上に劇場体験そのものが付加価値になるような仕組みが求められるのだろう。

コロナ発生から4年目に入ろうとしており、映画の製作や公開に関しても旧に復しつつあるはず。しかし、業界、特に邦画の世界は元に戻るのではなく、前進をしてほしい。オリジナル脚本で作られた作品が優秀作品のトップを占めるという年をそろそろ体験したい。

 

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『 アバター ウェイ・オブ・ウォーター 』 -オリジナリティはどこに?-

Posted on 2022年12月31日2022年12月31日 by cool-jupiter

アバター ウェイ・オブ・ウォーター 50点
2022年12月29日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:サム・ワーシントン ゾーイ・サルダナ スティーブン・ラング シガニー・ウィーバー
監督:ジェームズ・キャメロン

 

妻が3Dで観たいというのでチケットを購入。

あらすじ

ジェイク(サム・ワーシントン)ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)は子宝にも恵まれ、パンドラの森で幸せに暮らしていた。しかし、クオリッチ(スティーブン・ラング)がアバターとして復活し、ふたたびパンドラに武力制圧に乗り出してきたことで、ジェイクは一家を連れて、海の民メトケイナ族のところに身を寄せるが・・・

ポジティブ・サイド

3Dで鑑賞したが、森の木々や葉の重なりの表現には驚かされた。前作『 アバター 』でジェームズ・キャメロンは「観客をパンドラに連れていくのではない。そこに住んでもらうんだ」と語っていたが、その映像世界への没入感はさらに上がったと言える。海のシーンでもそれは同じ。透き通った水の世界への没入感はすごかった。特にサンゴ礁的な場所で次男ロアクが大ピンチに陥るシーンは、呼吸できない水中ならではの緊迫感とも相まって、まさに息もできないほどだった。

 

中盤以降のドンパチ満載のアクションは大迫力の一言。『 エイリアン2 』や『 ターミネーター2 』に勝るとも劣らない大スペクタクルで、この水中、水上、船上、船内のバトルの連続だけでご飯が3杯は食べられるほど。CGを駆使したアクションの迫力だけなら『 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 』や『 アベンジャーズ / エンドゲーム 』よりも間違いなく上だろう。製作費が2億ドル超らしいが、その予算を正しく使ったのだと言える。

 

本作は『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 』と同じテーマを追求している。すなわち、父親とは誰かという問いに対する答えを提示しようとしている。GoGでは、産みの親なのか、それとも育ての親なのかという二者択一の問いだったが、本作は父親であろうとしないジェイク、そして父親であることを拒否するクオリッチという対比が非常にユニークだ。これはジェイクとネイティリの子どもたちが直面するアイデンティティ・クライシスにもつながる問題で、This family is our fortress. = 家族こそが砦だ、と言い切るジェイクの弱さにドラマの焦点が当てられている。ナヴィという種族に惹かれたというよりも、ネイティリという個人に惹かれたという印象の強かったジェイクは、ある意味で成長していない。父親であろうとするよりも司令官であろうとする。それがある意味で、すぐに自分の子どもに向かって “Who’s your daddy?!” と説教するアメリカ人的(ジェームズ・キャメロンはカナダ人だが)だ。対するクオリッチは、スパイダーという自分の生物学的な息子をナヴィ後の便利な通訳ぐらいにしか考えていないが、その姿勢が最後に変化する。このコントラストの鮮やかさが本作のドラマ上のハイライトと言える。

 

疑似的な父子の関係を追求は『 トップガン マーヴェリック 』でも見られたが、これはアメリカ人(キャメロンはカナダ人・・・)の好物テーマ。ということは日本人好みのテーマでもあるということ。アクションだけではなくドラマもかなり盛り上がったと感じる。

ネガティブ・サイド

超上空から超大熱量のレーザーで撃ってくる地球人に、「すわ、パンドラに危急存亡の秋か?」と緊張が走るが、元々は鉱物資源の採掘に来たのではないの?貴重な資源にまでダメージを与えそうな超兵器をいきなり使うのはどうなの?と思ったら、今度はパンドラのトゥルカンの脳髄からゲットできる脳漿(?)のようなものが地球人の不老につながる???だからトゥルカンを狩りまくる???アバターを生み出せるほどの科学技術があるなら、その謎の不老物質もラボで生み出せるのでは?このトゥルカン狩りの指揮者がコテコテのブリティッシュ・イングリッシュ・スピーカーで、新天地の富を収奪するのはアメリカ人ではなく英国人という意味不明な印象操作。ジェームズ・キャメロンのアイデンティティーはどうなっているのか。

 

トルーク・マクトという伝説の英雄的なポジションに就きながらも、ジェイクがあっさりとその立場を放棄して、森の民を捨てて、森から離れてしまうのかがよく分からない。いや、それはあんな超兵器を見せられたら逃げるしかないのは分かるが、普通に考えればその宇宙船もサリー一家が逃げる先に移動できるわけで、なぜ海にまで追ってこないのか。単に舞台を海に移したいがためだけに出てきた超兵器なのか。

 

水の映像は文句なしに美麗だが、海という環境、そこに住まう生物に関してはオリジナリティが全く感じられなかった。前作のトルークはまあまあ独特な生物だと感じられたが、今作ではクオリッチもあっさりと乗りこなしてしまったことでプレミア感がダウン。また、代わりに登場する絆を結ぶ相手が思いっきりトビウオ。もっと異星感を出せなかったのか。トゥルカンもまんまクジラで、人とクジラは絆を結べ=クジラを食べるな、とでも主張しているのか。前作の、ヨーロッパ人が新大陸アメリカを発見した的な世界観はまだ許せるが、その新世界にもアメリカ的なルールを持ち込みますというのは頂けない。というか、ジェームズ・キャメロンは何がしたいんや。自分の息子やキリなどの、いわゆる混血児が疎外されてしまう問題を「家族の絆」で乗り越えようというのは理解できないこともないが、動物との関係をどう考えてるの?

 

生物学の専門家ではないJovianの目から見ても、スキムウイング(パンドラのトビウオ)が海面を飛び出て飛ぶようになったには、捕食者から逃れるか、または海面上にエサがあるからだろう。後者の描写はなく、おそらくトゥルカンがスキムウィングの捕食者なのだろうが、だとすれば片方でスキムウィングに乗りつつ、トゥルカンと絆を結ぶメトケイナ族とはいったいどんな二枚舌部族なのか。というか、トゥルカンは魚類なのか哺乳類なのか。というのも体を左右に振る魚式の泳ぎ方と上下に振るクジラ式の泳ぎの両方を見せていたから。クジラと同じく頭のてっぺんから潮を吹く生物が魚だとは考えにくいが、スタッフの誰もこの泳法の違いには気付かなかったのだろうか。

 

総評

3時間超の作品だが、映像体験としては文句なし。アクションに次ぐアクションで尿意を感じる暇もなかった。その一方で、ストーリーとしてはツッコミどころ満載かつオリジナリティに欠ける。『 ポカホンタス 』のアナザーストーリーをあと何回観ればよいのだろうか。次は地下か?それとも雲の上?クオリッチがある意味、不死者になってしまったため、エイワの力によって色々なキャラを復活させないと、今後のドラマは作りにくそう。まあ、そういったあれこれを考察するだけのドラマはしっかりと用意されている。生物学だの文化人類学だのの観点から考えなければ、スリリングな3時間を過ごすことはできる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

fortress

「砦」の意。音楽をやっていた人ならフォルテ=強く弾くという用語を知っているだろう。これはラテン語の fortis = strong から来ている。英検準1級レベルであれば、stronghold ≒ fortress というのも知っているはず。戦争映画や戦争ゲームでよく出てくる語なので、そのジャンルのファンなら知っておいて損はない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SFアクション, アメリカ, サム・ワーシントン, シガニー・ウィーバー, スティーブン・ラング, ゾーイ・サルダナ, 監督:ジェームズ・キャメロン, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 アバター ウェイ・オブ・ウォーター 』 -オリジナリティはどこに?-

『 Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック 』 -お下劣ムービーの佳作-

Posted on 2022年12月30日 by cool-jupiter

Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック 70点
2022年12月26日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:マイア・ミッチェル カミラ・モローネ
監督:オーガスティン・フリッゼル

 

A24スタジオの2018年の作品。なぜ今公開なのか分からないが、面白そうだったので、あらすじも見ずにチケット購入。お下劣お馬鹿ムービーの佳作だった。

あらすじ

アンジェラ(マイア・ミッチェル)とジェシー(カミラ・モローネ)は高校をドロップアウトしてルームシェアをして暮らす親友。同じ家にはジェシーの兄も住んでいる。アンジェラはジェシーの誕生日にガルヴェストンのビーチで過ごすために家賃用の金を使ってチケットを買う。その穴埋めのために二人はバイトのシフトを増やすが・・・

ポジティブ・サイド

高校を中退してルームシェアをしている女子二人組が、極貧生活にあえぎながらも17歳の誕生日をリゾートとして名高いビーチで過ごそうとする。パーティーとは無縁の学校生活だったが、最後くらいは思いっきり羽目をはずしたいという『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』と、どこか似ているように感じる。ただし優等生女子二人組と違って、こちらは中退女子の二人組。上品さなどかけらもない。しかし、それがたまらなく面白い。

 

ジェシーのリゾート行きのバカンスを予約したせいで、家賃にまで手を付けてしまったアンジェラだが、バイトのシフトを増やせば何とかなると楽観的。ここまで順調そうに見えるが、同居しているジェシーの兄貴がやらかしたおかげで、家に警察が来る羽目に。そこで二人の部屋から見つかるドラッグの痕跡・・・ あえなく御用になるアンジェラとジェシーだが、ここでのジェシーのとあるやせ我慢が最後の最後まで物語を引っ張るとは・・・

 

無事に拘置所から出られた二人だが、とにかくやることなすこと全てがしっちゃかめっちゃか。無軌道な青春物語らしいと言えばらしい。刹那的にその瞬間だけを楽しめるのは若さの特権。やっていることは犯罪すれすれというか、最後はもろに犯罪なのだが、ここでアンジェラとジェシーを応援してしまうのは、自分もまあまあオッサンになってしまったからだろうか。

 

アホなのは主役の二人だけにとどまらない。ジェシーの兄貴もその友達も馬鹿者揃い。金欠だからと、最後にこの兄貴たちとアンジェラたちがたどり着く結論が同じになるのも笑える。兄貴たちはアホな男子中学生のノリで、アンジェラたちは小悪魔女子校生的。ここから意外な人物の登場で、シチュエーションはクライマックスへ。そこでぶちまけられたものとは・・・

 

10代女子にこれをやらせるオーガスティン・フリッゼル監督に脱帽。そして本作をPG12に指定した映倫のファインプレーも称賛に値する。これがR15やR18だと、中学生や高校生たちが本作を鑑賞できない。賛否両論ある判断だろうが、Jovianは賛である。『 スウィート17モンスター 』と並ぶ、無軌道なお下劣青春映画の佳作だ。

ネガティブ・サイド

アンジェラとジェシーの高校退学の背景を少し知りたかったと思う。また、ジェシーの方は明らかに家庭に問題を抱えていたのが分かったが、アンジェラの背景は見えてこなかった。

 

二人がダイナーで働くシーンをもう少し映し出すべきだった。ダメダメな仕事をしているのは分かったが、その中でも何かひと工夫したり、あるいは気の利いたことをして客からチップを多めにもらったりといったシーンが少しでもあれば、ラストシーンで二人に不安ではなく希望を抱くことができたのにと思う。

 

総評

冒頭からガール二人のお下劣トークから始まるが、この二人のテンションが最初から最後まで落ちない。マシンガントークで全編を突っ切る。その中身もキャピキャピのガールズトークではなく、純情高校生男子が耳にしたら背筋が凍るような下ネタにエロネタに犯罪ネタのオンパレード。こうしたしゃべりを楽しめるなら、本作は当たりのはずだ。デートムービーにはならないだろうが、仲の良い女子二人組で鑑賞すればめちゃくちゃ盛り上がるのでは?

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

True that.

日本語で言うところの「確かに」、「言えてる」のような肯定の相槌表現。スラングで、ネット掲示板などではしばしば True dat. と表記される。ビジネスの場やフォーマルな場では使うべきではないが、友人との日常会話ではバンバン使っていい。

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, カミラ・モローネ, マイア・ミッチェル, 監督:オーガスティン・フリッゼル, 配給会社:REGENTS, 青春Leave a Comment on 『 Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック 』 -お下劣ムービーの佳作-

『 マリー・ミー 』 -中年に刺さるラブコメ-

Posted on 2022年12月25日 by cool-jupiter

マリー・ミー 70点
2022年12月21日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジェニファー・ロペス オーウェン・ウィルソン
監督:カット・コイロ

塚口サンサン劇場で公開されていた時に見逃した作品。近所のTSUTAYAで準新作をレンタルしてきた。

あらすじ

世界的な歌姫であるキャット(ジェニファー・ロペス)と彼女の恋人であり人気ミュージシャンのバスティアンは、”Marry Me” という曲をリリースし、人気絶頂。歌詞そのままに結婚目前というところでバスティアンの浮気が発覚。キャットはライブに来ていて、たまたま Marry Me というボードを抱えるように頼まれていた数学教師チャーリー(オーウェン・ウィルソン)にプロポーズするが・・・

ポジティブ・サイド

ジェニファー・ロペス演じるキャットは、映画の設定上では35歳程度らしいが、ジェニロペ本人は50過ぎ。二十代半ばが高校生を演じることは日本でもアメリカでもよくある話だが、50代が30代を演じるのは珍しい。ジェニロペの forever young な姿はどこまでも charismatic である。歌もダンスもまだまだキレッキレ。まさにスターと呼ぶにふさわしい。今後、シェールのようになっていくのだろう。

対するオーウェン・ウィルソンは『 ミッドナイト・イン・パリ 』と同じく、どこか冴えない男を好演。冴えないといっても、それは風体だけのこと。数学教師としてのプロフェッショナリズム、同僚との良好な関係、娘とのちょっと微妙な距離感など、観客(特に中年男性)が自分を重ね合わせやすいキャラクターだ。

世界的に有名かつ人気の歌姫が普通の姿勢の中年男にプロポーズするというのは荒唐無稽もいいところだが、チャーリーが非常に地に足の着いたキャラであることで説得力ゼロという展開には見えない。一方で、終盤にキャットの思わぬポンコツっぷりも明らかになる。このあたりが序盤のいかにもセレブという生活と非常に鮮やかな対比をなしている。

小市民代表のようなチャーリーも最後にしっかりと教師として、父親としての見せ場を作る。予定調和にも見えるが、カタルシスもしっかりと感じられるエンディングで、Jovianのような中年のオッサンにはしっかりと刺さった。

ネガティブ・サイド

チャーリーは優しさからキャットからの突然のプロポーズをOKする。ここまではまだ分かる。そのチャーリーが本格的にキャットに惚れるまでの仮定の描き方が不十分に感じた。バスティアンに対する嫉妬の心に気が付くのも良いのだが、その前にキャットに惹かれるという説得力あるシーンが一つ二つ欲しかった。

終盤の空港のシーンは面白おかしいのだが、ここでブリティッシュのマネージャーの力を借りるのではなく、それこそ普通に歩いている市井の旅行客に色々と尋ねまくって、自体を打破するというような行動をしてほしかった。

総評

楽曲がどれもハイレベルで、まさにジェニファー・ロペスの独擅場。上流階級の男と冴えない中年女性の恋愛を描いた『 僕の美しい人だから 』の現代版と言う感じの仕上がり。10代のキラキラ恋愛が陸続と生産される邦画界も、もっと中年の恋愛ラブコメを作ってみたらいいのに。そう思わせてくれるラブコメの秀作。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

give back to ~

~に還元する、という意味。give は98%は他動詞だが、この句動詞は例外。

The successful businessman has created scholarships to give back to his school.
その成功を収めた実業家は母校に還元するために奨学金を創設した。

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 Never Goin’ Back/ネバー・ゴーイン・バック 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, オーウェン・ウィルソン, ジェニファー・ロペス, ラブコメディ, 監督:カット・コイロ, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 マリー・ミー 』 -中年に刺さるラブコメ-

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