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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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カテゴリー: 海外

『 アバター ファイヤー・アンド・アッシュ  』 -同じことの繰り返し-

Posted on 2025年12月30日2025年12月30日 by cool-jupiter

アバター ファイヤー・アンド・アッシュ 40点
2025年12月29日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:サム・ワーシントン スティーブン・ラング ゾーイ・サルダナ ウーナ・チャップリン
監督:ジェームズ・キャメロン

 

『 アバター ウェイ・オブ・ウォーター 』の続編ということでチケットを購入・・・ではなくポイントで交換。

あらすじ

クオリッチ大佐(スティーブン・ラング)を撃退したジェイク(サム・ワーシントン)だったが、スパイダーの安全のために彼を風の商人たちと共に基地へ送ることを決断する。しかし、その途上でヴァラン(ウーナ・チャップリン)率いるアッシュ族の襲撃を受け、一家は離散してしまう。さらに、クオリッチが銃器提供を見返りにアッシュ族と手を結び・・・

 

ポジティブ・サイド

映像は確かに素晴らしい。また、スパイダーやキリ、その周辺のキャラクターに対する深堀もされている。

 

一作目と二作目のキャラおよびクリーチャーの復帰も歓迎したい。特にトビウオは汎用性がありすぎ。もし自分で辞書を作れるのなら「キモカワイイ」の挿絵に採用したい。

 

今回はスカイ・ピープル側にも良心の持ち主がいて、彼のささやかな反抗はかなりの破壊をもたらしてくれる。このキャラも、アッシュ族のギャランと共に次作に出てきそう。

 

中途半端な奇跡を起こすばかりだったエイワが、やっと攻撃的な姿勢を見せてくれた。次作は地下世界だと思われるので、巨大地震で地割れを起こして、スカイ・ピープルの基地を一掃してほしい。そして完結編の5作目は成層圏バトル。磁力線の竜巻で宇宙船をことごとく破壊してほしい。

 

ネガティブ・サイド

ナヴィの武器に銃器が本格的に加わってしまったことで、本作のファンタジー要素がはがれ落ち、単なるSFアクションになってしまった。弓矢で戦うところがこの上なくクールだったのに、残念である。

 

キリの出自に関しての情報が明かされるが、それは今さら驚くようなことなのか?ジェイク(のアバター)の方が客観的にはるかにおかしな生まれ(?)に思えるのだが。

 

スパイダーをめぐってのジェイクとネイティリのやりとりはなんだかなあ。これまでの描写からして、その役割、逆ちゃう?

 

そのスパイダーも、基地からあっさりと脱走。人類史上でも最高級に貴重な標本を何だと考えているのか。

 

全体的に言葉が汚すぎ。地球的、もっと言えばアメリカ的な言葉を話すナヴィは、もはやナヴィではなくなりつつある。そもそも一番汚い言葉を話すスパイダーは、誰からそれらを教えられたのか。

 

また、そうした swear words を使った台詞やその他の台詞に、過去の作品からのパクリ的なものが多すぎたという印象を受けた。”You’re our only hope.” は『 スター・ウォーズ 』のレイア姫的だし、”Leave my mother alone, bitch.” は『 エイリアン2 』のリプリーの “Get away from her, you bitch!”にそっくり。またクオリッチ大佐の “Ain’t this a bitch?” も『 フルメタル・ジャケット 』の ”Ain’t war hell?” を彷彿させた。他にも「ん?これはあの映画の台詞では?」というものが多数。オリジナリティはどこへ?

 

総評

一作目は『 ポカホンタス 』を彷彿させて面白かった。二作目は急に陳腐化して、『 アフリカン・ダンク 』になった。本作ではさらにフツーの映画になってしまった。それなりに面白いのだが、似たような展開はいくらでもあり、食傷気味である。次の舞台は地下世界か?映像技術の革新という意味ではシリーズを続ける価値はあるのだろうが。鑑賞中、眠りこそはしなかったものの、10回ぐらいは大きなあくびが出てしまった。それが本作の評価である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

calibration

元々はcaliber=銃の口径で、動詞化するateがついてcalibrate=銃の射程を測るの意となり、それをさらに名詞化してcalibrationとなっている。技術の世界でキャリブレーションテストと言えば、機器を標準に設定された値に補正するためのテストのこと。JovianはAIを使ってのフィードバックが一定の水準になるように年に数回、キャリブレーションテストを行っている。技術分野の人、あるいは技術の分野に進もうと考えている人は知っておきたい語。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 ボディビルダー  』
『 YADANG ヤダン 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SFアクション, アメリカ, ウーナ・チャップリン, サム・ワーシントン, スティーブン・ラング, ゾーイ・サルダナ, 監督:ジェームズ・キャメロン, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 アバター ファイヤー・アンド・アッシュ  』 -同じことの繰り返し-

『 ナタ 魔童の大暴れ 』 -神仙妖魔の区別なし-

Posted on 2025年12月29日 by cool-jupiter

ナタ 魔童の大暴れ 75点
2025年12月28日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:田村睦心
監督:餃子

 

春ごろに一人で鑑賞したJovian妻曰はく「面白い」とのことだったのでチケット購入。確かに面白かった。

あらすじ

哪吒(田村睦心)は親友の敖丙の魂の消滅を防ぐために、仙人となり、その褒美をもって敖丙の肉体の元を得ようとする。師匠とともに崑崙山の先の仙境に赴いた哪吒は順調に試験をこなしていくが・・・

ポジティブ・サイド

冒頭で前作の内容をダイジェスト的に流してくれるのはありがたい。細かい部分はどうにかして前作を観るしかないのだが、とにかく哪吒と敖丙は『 RRR 』におけるラーマとビームのような関係だと思えばよい。無二の親友となった二人だが、実は戦い合う運命だった二人だと思えばよい。

 

そんな二人が、おそらく前作で肉体的に死亡してエンド、しかし本作はその直後、師匠が二人を肉体的によみがえらせようとするところから始まる。ディズニーアニメはほとんど観ないが、これはまさにディズニーおよびピクサーのノリではないか。ミニオンが出てきても違和感がなさそう。それが不思議に合う。というか、魔童たる哪吒の悲壮感と、それを隠そうとするために作った悪ガキ感にマッチしている。

 

序盤にお下劣かつお笑いシーンがあるが、実はこれが大いなる伏線。無意味なギャグが無意味ではなかった。

 

戦闘シーンは中国の武術と神仙もしくは妖魔の超能力のミックス。それを『 ドラゴンボール 』的に見せてくる。終盤の哪吒は明らかに超サイヤ人と漫画『 HUNTER×HUNTER 』のゴンさんを模しているとしか思えない。明らかにアメリカおよび日本を意識して作られているが、それが中国国内で超絶ヒットしたというのだから興味深い。現代中国人のテイストがそれだけ成熟しているのだろう。

 

最後の最後も『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』にも存在した一種のカタルシスのシーン。こういうのを見ると、儒教的・家父長的な価値観は現代中国にも根強く残っていて、しかし中国人は実はそれを打破したがっているようだ。日本もエンタメを通じて自身の想いをぶちまける、あるいは時代や社会の閉塞感を吹っ飛ばすような願望を込めるということをもっと行っていいし、この点は中国作品から学べるはずだ。

 

ネガティブ・サイド

嘔吐はセーフだと思うが、いっぺんゲロしたものをもう一度食べようとするのはどうなのか。

 

『 封神演義 』の世界観の中で「完璧」という言葉が出てくるのは翻訳としていかがなものか。時代が全然違う。オリジナルの中国語でもそうなのだろうか。ストップなどの外来語を使うのも感心しない。これは吹替だけ?こちらもオリジナルがそうなっているのか?

 

総評

キャラ同士の人間関係や世界観を掴むのに苦労するが、ある程度理解してしまえば、あとはアクションを楽しむのみ。『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』では見られなかった、火尖槍で暴れる哪吒を堪能できる。文字通りの意味での哪吒の三面六臂の活躍が見られる。中国語で上映している劇場はないのだろうか。ぜひ隣に中国人の観客がいる状態で鑑賞してみたい。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

師父

『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』で小黒や偽ムゲンが何度も発していた語。中国語を習っているJovian妻によると、ここで使われている父という漢字は必ずしも男性性を表しているわけではなく、技術や知識を時代に継がせていく役割を担う者という意味らしい。そして師母というのは、師匠の奥さんという意味になるそうな。中国語、難しい・・・

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 ボディビルダー  』
『 アバター ファイヤー・アンド・アッシュ  』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, ファンタジー, 中国, 田村睦心, 監督:餃子, 配給会社:面白映画Leave a Comment on 『 ナタ 魔童の大暴れ 』 -神仙妖魔の区別なし-

『 WEAPONS/ウェポンズ 』 -Where are the children?-

Posted on 2025年12月16日 by cool-jupiter

WEAPONS/ウェポンズ 65点
2025年12月14日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ジュリア・ガーナー ジョシュ・ブローリン ケイリー・クリストファー
監督:ザック・クレッガー

 

子どもが消える、というあらすじ以外なにも知らずに鑑賞。メアリ・クラークの『 子供たちはどこにいる 』的なテイストを期待したが、全然別物だった。

あらすじ

深夜2時17分、17人の子どもたちがベッドを抜け出し、夜の闇の中へ走り去っていった。姿を消したのは、みな同じクラスの子たち。そして一人、アレックス(ケイリー・クリストファー)だけが残された。親たちに疑惑の目を向けられた担任教師ジャスティン(ジュリア・ガーナー)は調査を始めるが、街では奇妙な出来事が起こり始め・・・

ポジティブ・サイド

子どもたちが消えたという事象とその後の余波を、街の様々な人間の視点から見つめていく構成が面白い。最初は教師のジャスティン、次に保護者のアーチャー、続いて警察官のポールと視点が目まぐるしく変わっていく。登場人物ごとに同じものを見ていながら、異なる視点からそれを見ているというのが面白い。

 

一人の視点が別の視点に切り替わる際、常に驚きと恐怖をもたらしてくれるのが新鮮。特にハサミが出てくるシーンはかなりの恐さを感じさせてくれた。また、トレイラーでも特徴的だった子どもたちの走り方だが、あれを大人がやるとかなり怖い。そうそう、その人物絡みで『 ミッドサマー 』以上の人体破壊描写があるので、耐性がない人は鑑賞しない方がよい。

 

途中の人物でギャグもしくはコメディ担当のような人物がいるが、これは必要な措置。普通に考えれば17人もの子ども、それも小学生が一斉に消えたのなら、その行先というか潜伏先は・・・おっと、これ以上は無粋か。ただ観ている側としては「普通に考えれば□□は△△だ」と考えるが、その理由や背景が皆目見当がつかない。そこは終盤に明かされるので、楽しみにしてほしい。

 

ネガティブ・サイド

うーむ、それにしても本作も『 シェルビー・オークス 』同様にかなりの竜頭蛇尾。『 フィールド・オブ・ドリームス 』のレイの奥さんが登場してきたあたりから、ストーリーが一気にきな臭くなる。いや、本当はアーチャーが巨大な幻を空に見た瞬間から「あ、これはアカン」と感じたが、それをもっと確信させられたのが某シーンのテレビで解説されている生き物と、それと同じ発音の属性を持つ人物の登場シーン。そんなんありかと思わせてくれる。No pun intended. 

 

ここから物語は一気に『 ロングレッグス 』的かつ『 ゲットアウト 』的になる。アメリカ人はこういうのが好きなのか?こちとら散々、『 イノセンツ 』的な展開、あるいは小説の『 スラン 』や『 アトムの子ら 』の正反対を行くような展開(それならWEAPONSという不穏なタイトルの説明もつく)を予想していたのに、裏切られた気分である。またはシオドア・スタージョンの『 人間以上 』や映画化もされた『 光る眼 』のように、子どもが子どもだけで何か特別にすごいことをする、あるいは邪悪なことをするという展開にならなかったのは残念で仕方がない。

 

最後の展開はホラーとギャグの紙一重。個人的にはギャグかな。ただ、教育や政治、あるいは戦争に関するメタファーだと言えなくはない。が、それはないか。

 

総評

結局のところ作り手と波長が合うかどうかなのだが、序盤から中盤にかけては文句なしに面白いし、否応なく引き込まれる。記事の副題にさせてもらった Where are the children?=『 子供たちはどこにいる 』も中盤までは超一級のサスペンスかつミステリで、終盤で失速する。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Woe is me.

「自分はなんてかわいそうなのだろう」という非常にアルカイックな表現。『 はじまりのうた 』での終盤で歌われる Lost Stars の歌詞の一部に Woe is me. があり、そこで知った表現。普通に学習していても、まずお目にかからない表現だが、Subzinなどで調べると映画の台詞では結構ヒットする。ただし、古風かつ大げさな表現であることには注意。わざとらしく自虐する時にだけ使うべし。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 ナタ 魔童の大暴れ 』
『 消滅世界 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, ケイリー・クリストファー, ジュリア・ガーナー, ジョシュ・ブローリン, スリラー, ホラー, 監督:ザック・クレッガー, 配給会社:ワーナー・ブラザーズ映画Leave a Comment on 『 WEAPONS/ウェポンズ 』 -Where are the children?-

『 シェルビー・オークス 』 -クリシェ満載の竜頭蛇尾-

Posted on 2025年12月14日2025年12月14日 by cool-jupiter

シェルビー・オークス 40点
2025年12月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:カミール・サリバン
監督:クリス・スタックマン

 

個人的に大好きで、英語の勉強の参考にさせてもらっていた映画批評家YouTuberのクリス・スタックマンの脚本および監督作品ということでチケット購入。

あらすじ

YouTube配信グループのひとり、ライリーがシェルビー・オークスで疾走した。仲間の惨殺死体が発見されるも、ライリーの行方は不明なまま。12年後、思いがけない形でライリーの失踪と彼女の仲間の死の真相に迫るテープを手にした姉のミア(カミール・サリバン)はライリーを探し出すためシェルビー・オークスへと向かう・・・



以下、本作品および他作品のマイナーなネタバレあり

ポジティブ・サイド

序盤は面白い。YouTubeでの配信というアイデアはリアルだし、そうした人間はどんどん過激なコンテンツを追い求めていく傾向にあるのも事実だ。

 

ヒントの出し方も巧み。いきなりマイルズが死亡するが、その最後の台詞が She finally let me go. であり、この She が誰を指すのかで観る側は疑心暗鬼になる。パラノーマルな現象が起きるシーンで気温が下がるのを吐く息が曇ることで表現するのもうまい。

 

より興味深いシーンはビデオ映像。序盤のライリーのビデオでは、窓の反射に重要なものが移っていることが後に分かるが、それは中盤のライリーのビデオでも窓の反射に注意を払えというヒントになっている。なかなか凝った趣向で、見方を必要最低限だけ提示するという、ある意味で観客を信頼した演出であると言える。

 

そうそう、最後のクレジットで出資者名がずらりと表示されるが、中に Shelby Begayさんというシェルビーの名を冠した人がいる。目に自信があれば探してみよう。

ネガティブ・サイド

ライリーをはじめとしたパラノーマル・パラノイズの面々が遭遇していた超常現象が本物なのか偽物なのかをもっと曖昧に見せるべきだった。誰もいない廃墟の小学校でいきなりドアが閉まるシーンも、カメラをドンピシャのタイミングでそっちに向ければ、「ああ、仕込みね」と思われても仕方がない。そのあたりの虚実をうまく曖昧なままにしておかないと、ホラーやスーパーナチュラル・スリラーの要素が一気に萎む。そして、本作はまさにその愚を犯した。

 

ミアがいきなりシェルビー・オークスに旅立つあたりから一気に物語は陳腐化する。基本的にすべてどこかで観たことのあるシーンや展開のパッチワークで、

 

『 ブレア・ウィッチ・プロジェクト 』
『 オーメン 』
『 ローズマリーの赤ちゃん 』
『 エクソシスト 』
『 へレディタリー/継承 』

 

のようなメジャーどころが頭に思い浮かぶ人が多いはず。

 

突っ込みどころは数々とあるが、ネタバレになるのでやめておく。ただ、どうしてもこれだけは言いたい。クリス・スタックマンは『 ミスター・ガラス 』のネタバレ・レビューで 

 

One of them should have realized he could just cover their eyes 

 

とまっとうな批判をしていたが、同じように言わせてもらえば、 

 

Either Mia or Riley should have realized she could just close the curtains 

 

となるだろうか。

 

街の衰退をひとりの人物に結び付けるのはあまりにも非合理的。そして、その理由が悪魔に憑かれていたというのはもっと非合理。そして、ミアがそう信じる契機が囚人のコメントって・・・

 

また冒頭で死亡するマイルズの刑務所入りの期間を2002年~2007年の5年間としているが、これは6年間の間違いでは?単純ミスではすまない。なぜなら、この期間にライリーの夜驚症が収まっていたことになっているから。なんでこんな設定レベルのところでミスるかな・・・

 

謎の老婆というホラーでは見飽きた設定をここでも採用。悪魔よ、本当にことを為したいなら、使うのは老婆ではなくもっと若い女性もしくは男性だぜ・・・

 

総評

料理評論家が料理の達人でないのと同様、映画のレビュワーが必ずしも優れた映画監督とは限らない・・・と結論付けるのは早い。クリスが自分の我を通した結果がこうだったのか、それとも手慣れたスタッフたちの意見に耳を貸してこうだったのかで、評価は大きく分かれるはず。ただ、いずれにしろ、映画の出来についての評価を最終的に負うのは脚本家であり監督。その意味で決して良いデビュー作であるとは言えない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

abandon

捨てる、の意味。ごみを捨てるのではなく希望や乗っている乗り物、住んでいる土地などを捨てるという文脈で使う。『 果てしなきスカーレット 』でも地獄門にラテン語でRelinquite omnem spem, vos qui intratis と刻まれていたような。英語にすると Abandon hope, all ye who enter here. で「ここに入る者は希望を捨てよ」となる。 戦争映画などでは Abandon ship! や Abandon Area 3! のように使われる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 WEAPONS/ウェポンズ 』
『 ナタ 魔童の大暴れ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, カミール・サリバン, ホラー, 監督:クリス・スタックマン, 配給会社:KADOKAWALeave a Comment on 『 シェルビー・オークス 』 -クリシェ満載の竜頭蛇尾-

『 ネタニヤフ調書 汚職と戦争 』 -他国のスキャンダルと思うことなかれ-

Posted on 2025年12月8日2025年12月8日 by cool-jupiter

ネタニヤフ調書 汚職と戦争 65点
2025年12月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ベンヤミン・ネタニヤフ
監督:アレクシス・ブルーム

 

簡易レビュー。

あらすじ

イスラエルで長期政権を築くベンヤミン・ネタニヤフ。しかし数々の贈収賄疑惑から当局による取り調べを受けていた。彼自身への尋問およびネタニヤフの妻サラやその他多くの関係者の取り調べから見えてきた構図とは・・・

ポジティブ・サイド

日本では国会議員はごくまれにしょっ引かれるが、ほとんど不起訴。それと同じことがイスラエルでも起きているらしい。元大統領がほとんど逮捕・起訴される韓国はたいしたものだと感心させられる。

 

本邦で言えば安倍晋三あたりから明らかに権力者のふるまいが変質したが、彼もある意味で妻に翻弄されていたところがネタニヤフとの共通点。そして贈収賄の疑いが非常に濃かった点も似通っている。困ったときの北朝鮮頼みと、困ったときのハマス叩きというのも共通点だと言えよう。

 

民主主義がポピュリズムと結びつき、さらに仮想的を見つけた時にどのような悲劇が起こりえるのか。まさに我々はそれをリアルタイムで目撃させられていると言える。

 

ネガティブ・サイド

アメリカ議会でのネタニヤフの演説をフルで、とは言わないまでも、もっと長く見せてほしかった。そうすることでアメリカがいかに恣意的に敵と味方を区別しているのかがもっとわかりやすくなったはず。

 

警察の質問の仕方が直球過ぎ。それでは落とせるものも落とせない。それに、もっときわどい質問や、威嚇するような取り調べもあったはずだが、そういった部分をカットしてしまったのは腰が引けていると言わざるを得ない。

 

総評

某極東の島国でも首相が「そんなことより~」と答弁したのが話題になったが、彼女とネタニヤフのやり口は同じ。すなわち国民の内政面への不満を外敵に向けるというもの(そんなことより発言はその文脈で発せられたものではなかったが)。賢明なる映画ファンは、現政権が利益誘導万歳の麻生派によって支えられ、かつ裏金議員万歳の高市による組閣で行政が動いていることと、また自民党のDNAに刻み込まれていると言ってよい献金万歳主義とネタニヤフ政権の共通点の多さに慄然とすることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

turn ~ upside down

~を(上下逆さまに)ひっくり返すの意。物理的な意味でも比ゆ的な意味でも使う。This news will turn the current administration upside down. = このニュースが明るみに出れば、現政権は上を下への大騒ぎとなるだろう、のように使う。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, イスラエル, ドキュメンタリー, ベンヤミン・ネタニヤフ, 監督:アレクシス・ブルーム, 配給会社:トランスフォーマーLeave a Comment on 『 ネタニヤフ調書 汚職と戦争 』 -他国のスキャンダルと思うことなかれ-

『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』 -MX4D鑑賞-

Posted on 2025年11月30日 by cool-jupiter

羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 80点
2025年11月30日 TOHOシネマズ難波にて鑑賞
出演:花澤香菜 宮野真守 悠木碧
監督:MTJJ

 

4DXかMX4Dで迷った末、ロケーションから難波=MX4Dを選択。

あらすじ

シャオヘイ(花澤香菜)は師匠のムゲン(宮野真守)と共に修行の日々を送っていた。しかし、ある時、会館の一つが襲撃を受けた。その容疑者とされてしまったムゲンは、ナタの屋敷に軟禁状態となる。シャオヘイは姉弟子ルーイエ(悠木碧)と共に真相究明に乗り出すが・・・

ポジティブ・サイド

詳細は『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』参照のこと。

 

バトルシーンや飛行機のシーンでは、MX4Dの真価が発揮されていた。それ以外のルーイエとシャオヘイの追跡シーンでも浮遊感や疾走感を味わうことができた。

 

3度目の鑑賞となると細かい点にも気付くことができる。冒頭のムゲンの料理シーンの直後にファーストフード(おそらくデリバリー)をムゲンとシャオヘイが食べていたり、逆に鶏の数が足りないと気付いたムゲンのシーンの直後にルーイエが乞食鶏を作っていたり、色々と食に関する中国人のこだわりが感じ取れた。

 

そのルーイエも厳しくも優しい。疲れ果てたシャオヘイのために車を徴用したり、飛行機でわざわざシャオヘイを窓側に座らせてあげたりと、姉弟子としてというよりも一人の妖精として元々持っている優しさが垣間見えた。

 

ネガティブ・サイド

詳細は『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』参照のこと。

 

ルーイエがシャオヘイを初めて名前で呼ぶのは「頼りにしてる」のところの方が望ましかった。

 

総評

吹替えだったので観客にはほとんど中国人がいなかった(中国語っぽい話し声が聞こえたので少数はいたかも)が、それでも70~80人は入っていたかな。+1300円をものともしないファンが結構いるようだ。中には「昨日見た4DXよりMX4Dの方がええよな?」「うん」という会話をしていた女性二人組もいた。今風に言えば羅小黒の沼に落ちた、となるだろうか。「真実」という謎めいた言葉の意味をあれこれ考えているが、それは3で明らかになるのだろう。2年以内に続編が見たい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Open fire.

Cease fire. が「撃ち方止め」なら、Open fire. は「撃ち方始め」である。これも戦争映画ではお馴染みの表現。似たような表現に open war がある。これは読んで字のごとく「開戦する」の意。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 ネタニヤフ調書 』
『 WEAPONS/ウェポンズ 』

 

現在、【英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー】に徐々に引っ越し中です。こちらのサイトの更新をストップすることは当面はありません。

I am now slowly phasing over to https://jovianreviews.com. This site will continue to be updated on a regular basis for the time being.

 

羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 80点
2025年11月30日 TOHOシネマズ難波にて鑑賞
出演:花澤香菜 宮野真守 悠木碧
監督:MTJJ

 

4DXかMX4Dで迷った末、ロケーションから難波=MX4Dを選択。

 

あらすじ

シャオヘイ(花澤香菜)は師匠のムゲン(宮野真守)と共に修行の日々を送っていた。しかし、ある時、会館の一つが襲撃を受けた。その容疑者とされてしまったムゲンは、ナタの屋敷に軟禁状態となる。シャオヘイは姉弟子ルーイエ(悠木碧)と共に真相究明に乗り出すが・・・

 

ポジティブ・サイド

詳細は『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』参照のこと。

 

バトルシーンや飛行機のシーンでは、MX4Dの真価が発揮されていた。それ以外のルーイエとシャオヘイの追跡シーンでも浮遊感や疾走感を味わうことができた。

 

3度目の鑑賞となると細かい点にも気付くことができる。冒頭のムゲンの料理シーンの直後にファーストフード(おそらくデリバリー)をムゲンとシャオヘイが食べていたり、逆に鶏の数が足りないと気付いたムゲンのシーンの直後にルーイエが乞食鶏を作っていたり、色々と食に関する中国人のこだわりが感じ取れた。

 

そのルーイエも厳しくも優しい。疲れ果てたシャオヘイのために車を徴用したり、飛行機でわざわざシャオヘイを窓側に座らせてあげたりと、姉弟子としてというよりも一人の妖精として元々持っている優しさが垣間見えた。

 

ネガティブ・サイド

詳細は『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』参照のこと。

 

ルーイエがシャオヘイを初めて名前で呼ぶのは「頼りにしてる」のところの方が望ましかった。

 

総評

吹替えだったので観客にはほとんど中国人がいなかった(中国語っぽい話し声が聞こえたので少数はいたかも)が、それでも70~80人は入っていたかな。+1300円をものともしないファンが結構いるようだ。中には「昨日見た4DXよりMX4Dの方がええよな?」「うん」という会話をしていた女性二人組もいた。今風に言えば羅小黒の沼に落ちた、となるだろうか。「真実」という謎めいた言葉の意味をあれこれ考えているが、それは3で明らかになるのだろう。2年以内に続編が見たい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Open fire.

Cease fire. が「撃ち方止め」なら、Open fire. は「撃ち方始め」である。これも戦争映画ではお馴染みの表現。似たような表現に open war がある。これは読んで字のごとく「開戦する」の意。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 ネタニヤフ調書 』
『 WEAPONS/ウェポンズ 』

 

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, アニメ, ファンタジー, 中国, 宮野真守, 悠木碧, 監督:MTJJ, 花澤香菜, 配給会社:アニプレックスLeave a Comment on 『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』 -MX4D鑑賞-

『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』 -絶対領界音域&字幕版鑑賞-

Posted on 2025年11月16日2025年11月16日 by cool-jupiter

羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 80点
2025年11月15日 Tジョイ梅田にて鑑賞
出演:花澤香菜 宮野真守 悠木碧
監督:MTJJ

 

前回は吹き替え版だったので、今回は字幕版を鑑賞。

あらすじ

シャオヘイ(花澤香菜)は師匠のムゲン(宮野真守)と共に修行の日々を送っていた。しかし、ある時、会館の一つが襲撃を受けた。その容疑者とされてしまったムゲンは、ナタの屋敷に軟禁状態となる。シャオヘイは姉弟子ルーイエ(悠木碧)と共に真相究明に乗り出すが・・・

 

ポジティブ・サイド

詳細は『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』参照のこと。

 

劇場は9割ぐらい埋まっていたが、おそらく半分は在日中国人ではなかったか。Jovianの隣とその隣も間違いなく中国人だった。何が面白かったかというと、そのリアクション。こちらはわずか1週間のインターバルで二度目の鑑賞なので記憶が非常にフレッシュ。しかし、彼女たちはおそらくこれが初の鑑賞。ということで、中国人の素のリアクションが間近で体験できて面白かった。

 

ナタの屋敷にムゲンが感心しているところで、ナタが自室の戸をパッと開けたシーンでは劇場のあちこちから失笑が漏れていた。ナタのゲームシーンもかなり笑いが聞こえたな。またナタがついにバトルに立ち上がるシーンでは、隣の隣の女子は体は座りながらも上半身はシャドーボクシングをしていた。また最終盤の某キャラの勘違い台詞でも劇場のあちこちから笑い声が聞こえた。とにかくナタは中国人にかなり愛されているようである。

 

字幕で鑑賞したが、中国人声優の声の演技に違和感は全くなし(まあ、当たり前だが)。日本語吹き替えは、オリジナルの声を相当に意識して作られたものだろう。シャオヘイ、ムゲン、ルーイエ、その他のキャラの声は極めて自然だった。月末にもし4DXかMX4Dで鑑賞するなら字幕版を選びたいと思った。

 

『 ウインド・リバー 』で触れられていた「死を受け入れろ。そうすれば死者は思い出の中で笑ってくれる」という真理を、本作は豊かな映像で示す。ルーイエというキャラクターを早い段階ではなく最後に描き切ることで、師姐たるルーイエが、師匠の視点から小黒を観ることができるようになったという彼女の変化と成長を実感させるという手法には唸らされた。ルーイエというキャラクターに悲劇的なドラマの背景を与えつつも、女性性を一切持たせないところが中国アニメと日本アニメの違いか。

 

ネガティブ・サイド

詳細は『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』参照のこと。

 

某国で300年前に妖精が滅ぼされたというのは、かなり真に迫っている。1720年前後のアメリカはネイティブ部族が戦争で敗北し、ビーバーに代表されるネイティブの生物が狩り尽くされた時代。それと同時期に妖精が姿を消したというのは説得力があるが、これはちょっと身贔屓が過ぎないか。中国でも『 再会長江 』で描かれたように、少数民族は苦境に置かれていて、その原因の多くは中央政府たる共産党の政策によるものではないか。

 

と、まあ、政治的にフェアな描写がされているかというと怪しいが、それは米国にもそっくりそのまま当てはまる批判ではある。

 

総評

中国人の反応は楽しめた。今度はアメリカ人、もしくはカナダ人の友人と観てみたいが、英語吹替えや英語字幕は not available のようである。Tジョイ梅田の映画宣伝ポスターや予告編の多くが美少女を売りにしたアニメになっていて、ガラパゴス化はある意味で正しいが、正しいからといって世界的に売れるとも限らないと思わされた。”The most personal is the most creative.”というスコセッシ翁の言葉を少し変えさせてもらえば、”The most indigenous is the most universal.”となるだろうか。ジブリ映画はかつてそうだった。中国アニメが今後その跡を継いでいくかどうか注視したい。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

姐

『 シスター 夏のわかれ道 』で紹介した姉=姐=ジエ。今作では師姐=シージエとして多用されている。日本語にすると姉弟子か。ちなみに師匠は師父=シーフーとなっている。日本もそうだが、韓国や中国は相手を肩書で呼ぶ、あるいは肩書を尊称として名前に付けて呼ぶことが非常に多い。シージエ、シーフー以外に大人=ダーレンも多用されている。字幕版を鑑賞する人は、これらにも耳を傾けてみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ミーツ・ザ・ワールド 』
『 ひとつの机、ふたつの制服 』
『 ある精肉店のはなし 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, アニメ, ファンタジー, 中国, 宮野真守, 悠木碧, 監督:MTJJ, 花澤香菜, 配給会社:アニプレックスLeave a Comment on 『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』 -絶対領界音域&字幕版鑑賞-

『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』 -吹き替え鑑賞-

Posted on 2025年11月12日2025年11月12日 by cool-jupiter

羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 80点
2025年11月9日 Tジョイ梅田にて鑑賞
出演:花澤香菜 宮野真守 悠木碧
監督:MTJJ

 

『 羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~ 』の続編。今作も面白かった。

あらすじ

シャオヘイ(花澤香菜)は師匠のムゲン(宮野真守)と共に修行の日々を送っていた。しかし、ある時、会館の一つが襲撃を受けた。その容疑者とされてしまったムゲンは、ナタの屋敷に軟禁状態となる。シャオヘイは姉弟子ルーイエ(悠木碧)と共に真相究明に乗り出すが・・・

ポジティブ・サイド

前作に続いて人間と妖精の共存を模索している。前作が妖精から人間へ干渉していく物語だったが、本作は人間が妖精に干渉してくる。もちろん、そこには妖精同士の政治的な駆け引きにも似た思惑が介在しているのだが、それがどこか現実世界に通じているようにも感じられた。

 

強すぎる執行人のムゲンが出張ってしまうと、あっという間に話が終わってしまう。では、どうするか。本作は説得力がある、それでいて絶対にそれが真相ではないと観る側に確信させる方法で序中盤はムゲンに退場してもらう。MCUにおけるマグニートー的なパワーの持ち主であるムゲンには、人間の通常兵器は効果がないからだ。もちろん、いかに効果がないのかを見せつけるシーンもあるので、彼のファンは安心してよい。

 

シャオヘイは相変わらず子どものビジュアルを維持しているが、日々の修行により前作とは比較にならないほどパワーアップしている。「シャオヘイ、ここでお前の力を見せてくれ」とこちらが感じるシーンが都合3回訪れるが、いずれも見事なアクションを披露してくれる。もちろん、巨大化け猫変化もあるので安心してほしい。

 

しかし、今作はルーイエこそが準主役。前作におけるムゲン以上にシャオヘイの保護者というか師匠代理というか。よそよそしさを感じさせながらも、いつの間にかしっかりと姉弟子になっていく過程は、前作のムゲンの印象の変わり方以上のインパクトがある。

 

前作で金と木が特にフォーカスされた属性バトルだが、今作では土が大活躍。地上もしくは地下という場所の制約は受けるものの、自分のフィールドで戦えれば、土属性の妖精が一番強いのでは?本作ではさらに空中戦も見せ場の一つ。次の3では『 アバター ウェイ・オブ・ウォーター 』並みに水中および水上で水属性が大活躍するところが見たい。

 

前作でほとんど何もしなかったナタが、本作ではかなりの見せ場を与えられているのも嬉しい。またムゲンがマグニートー並みか、あるいはそれ以上のスーパーパワーで某国の軍を無力化していく様は圧巻。オチにも笑った。続編作る気満々の終わり方は普通はあまり好きではないが、本シリーズは早く続きが見たい。5年は待てない。2年後には観たい。

 

ちなみに・・・劇場から結構な数の中国語を話す客が出てきたが、旅行者なのか、それとも国内在住者なのか。今回は吹替で鑑賞したが、字幕版も近々鑑賞して、どのような客層なのか確かめてみたいと感じた。

ネガティブ・サイド

ヴィランが能力奪取系というのは前作と同じ。ここは少し変化が欲しかった。

 

ムゲンが通常兵器に対してほぼ無敵なのは分かるが、Ace Combat 5のSOLG、あるいはAce Combat 3のO.S.L的な超兵器にも強いというのは、さすがに少し説明、あるいは詳しい描写が必要だったように思う。

 

総評

前作に負けず劣らずの傑作。敵国がまんま『 ボーン・トゥ・フライ 』と同じだが、それは彼の国がソ連やロシアを敵国に描いてきたのと同じこと。本作で執行人の数は数百人に上ることが判明したが、逆算すれば人間界に住まう妖精は数十万から数百万は存在するのだろうか。次回作の3では、世界大戦になるのか、妖精界の内ゲバになるのか、それとも人間界の内ゲバに妖精が介入するのか。とにかく期待!

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

cease fire

しばしば命令形で、Cease fire! =撃ち方止め!の意味で用いられる。ceasefireとくっついて名詞になることもあり、実は報道などでよく使われている。イスラエルはハマスとの間の停戦協定は ceasefire deal、韓国と北朝鮮の38度線、すなわち停戦協定ラインは ceasefire line のように表現される。TOEICにはまず間違いなく出ないが、英検準1級以上なら出てくる可能性は十分ある。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 もののけ姫 』
『 ミーツ・ザ・ワールド 』
『 ひとつの机、ふたつの制服 』

 

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『 プレデター バッドランド 』 -Clan Over Family-

Posted on 2025年11月9日 by cool-jupiter

プレデター バッドランド 75点
2025年11月7日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ディミトリアス・シュスター=コローマタンギ エル・ファニング
監督:ダン・トラクテンバーグ

 

配信のプレデター作品は観ていないが、予習としては『 プレデター 』、『 プレデター2 』で十分か。余裕があれば『 エイリアンVSプレデター 』と『 AVP2 エイリアンズVS.プレデター 』も鑑賞しておけばよい。ちなみに『 ザ・プレデター 』は不要である。

あらすじ

ヤウージャの若き戦士デク(ディミトリアス・シュスター=コローマタンギ)は、弱者として父に切り捨てられそうなところを兄クウェイに助けられる。デクは自らの強さを証明するために、父ですらも恐れるカリスクをハントするため、惑星ゲンナに降り立つ。原生の危険生物に襲われながらも生き抜いていくデクは、謎のアンドロイドのティア(エル・ファニング)と出会い・・・

ポジティブ・サイド

プレデターの強さと狩りへの執着と、武士道的な精神性を冒頭の10分で描き切り、そこからは『 プロメテウス 』あるいは『 エイリアン:コヴェナント 』のように未知の世界の冒険となる。

 

デクがプレデター的な武器と戦闘術で生き残りつつも、それが通じない植物や巨大生物もおり、絶体絶命という瞬間にアンドロイドのティア登場と、ストーリー展開のテンポもいい。

 

プレデターの伝統的な武器を使い単独で戦っていたデクが、ある話をきっかけにティアやバドと共闘していくようになるのも面白いと感じた。ヤウージャの伝統的な強さの定義に当てはまらない自分が、ヤウージャの伝統的な方法でもって強さを証明しようとすることの矛盾をデクが感じ取り変化していくのは、デクのビルドゥングスロマンであり、多様性と異文化共生のメッセージを包括していた。

 

『 ブレードランナー2049 』あたりで、人間とアンドロイドの関係にさらに踏み込んだ考察を行ったリドリー・スコットやドゥニ・ヴィルヌーヴの路線を本作も共有している。ミッションを指定されたアンドロイドと、狩ることしか自身の存在を証明できないヤウージャには、それ以外の生き方を知らないという共通点がある。その二者が交わった時のケミストリーには大きな爽快感があった。

 

終盤の『 エイリアン2 』へのオマージュとなるべきシーンにはニヤリとさせられた。デクがそれほどの脅威の存在になったと認識されたということか。本作はデクの文学的かつ文字通りの意味での父殺しの物語であると同時に、『 エイリアン 』ユニバースにおける母たる存在と『 プレデター 』ユニバースにおける母たる存在のクロスオーバーも予感させてくれる。続編が今から待ち遠しい。

 

ネガティブ・サイド

ティアはヤウージャ語を解するが、他のアンドロイドはヤウージャ語を解さないというのはご都合主義に感じた。

 

ティアの下半身アクションは真新しかったが、感覚器を持たないのになぜバトルができるのか。アンドロイドの感覚器も顔面にあるということは劇中でも描写されていた通りではないか。

 

You’re one ugly motherfucker. や Get away from her, you bitch! のような印象的な one liner が欲しかった。

 

総評

これは傑作。AVPが失敗した、本当の意味での人間vsプレデターvsエイリアンにつなげてもいいし、そこにアンドロイドを加えた四つ巴でもいいし、あるいは人間・プレデター連合軍vsエイリアン・アンドロイド連合軍のような二勢力の対決でもいい。あるいは、それらをデクのような第三極が潰していく展開も面白そう。文学、およびそれにつらなるフィクションの世界では父殺し=patricideが一大テーマだったが、今後はそこに母殺しが提起されるのか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

prey

獲物、あるいは餌食の意味。I am prey to none! =俺は誰の獲物でもない!=俺は絶対的に駆る側だ!というヤウージャの信念が印象的だった。preyはもちろん、生態学などで被食者を表す語としても使われるが、プレデターのような戦闘種族が比ゆ的に使ってもOKである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』
『 もののけ姫 』
『 ミーツ・ザ・ワールド 』

 

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『 羅小黒戦記~ぼくが選ぶ未来~ 』 -劇場再鑑賞-

Posted on 2025年11月4日 by cool-jupiter

羅小黒戦記~僕が選ぶ未来~ 80点 
2025年11月1日 塚口サンサン劇場にて鑑賞
出演:花澤香菜 宮野真守 櫻井孝宏
監督:MTJJ

 

『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』に備えて復習鑑賞。劇場は7~8割の入りとかなり盛況だった。

あらすじ

森でのどかに暮らしていた猫の妖精・小黒(花澤香菜)は、人間の開発によって住処を追われる。放浪の旅の最中に同じく妖精のフーシー(櫻井孝宏)たちと出会った小黒は、彼らの住処で共に暮らすことになる。しかし、そこに最強の執行人、ムゲン(宮野真守)が現れ、フーシーらを撃退する。小黒はムゲンに連れ去られてしまい・・・

ポジティブ・サイド

大自然や都会の情景は美麗ながら、キャラクター造形は比較的シンプルなのがいい。キャラの外見ではなく内面にこそ興味や関心を寄せてほしいという製作者側の期待もあるのだろう。

 

二度目の鑑賞で、なぜ小黒に領界が二つあるのかやっと分かった。アホな俺・・・

 

たとえとしては不謹慎かもしれないが、本作はイスラエルとパレスチナの物語的でもある。つまり極めて政治的かつ人為的な隔離の物語なのだが、それをどちらか一方の側だけが悪であるという描き方をしない点はアジア的と言えるかもしれない。

 

仙人と言っても差し支えないムゲンがクレジットカードを持っていたり、原付に乗ったり、地下鉄に乗ったり、また妖精たちがスマホで遊んでいたりと、ジブリ的な世界観と現代社会が融合している。そして違和感がない。これはまったく日本的ではなく、中国的と評すべきか。

 

人間は人間の世界に、妖精は妖精の世界にという考え方が作品世界にも浸透しているが、小黒は旅路と戦いの果てにそれとは異なる答えを見出す。ハリウッド映画ならしばしば家族に、フランス映画ならしばしば男女に、北欧映画ならしばしば友情に、韓国映画ならバディに還元しがちな価値観を、本作はある意味でスター・ウォーズ的に着地させる。これもユニーク。劇場ではすすり泣きがあちこちから聞こえてきた。ええ?あんたら、二度目の鑑賞ちゃうん?と思いつつ、Jovianの目にも妻の目にもうっすらと涙が・・・

 

ネガティブ・サイド

魔童ナタの扱いの悪さが・・・ 続編ではきっと大暴れしてくれるのだろう。

 

総評

『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』がとにかく楽しみ。銃器を持つ人間と敵対することになりそうだが、金属性のムゲンと小黒はマグニートー並みに無双できそう。そうならない何かがあるのだろう。魔童ナタの活躍も見れそうだ。副題にある「ぼくら」という言葉が誰をどこまで包摂するのか。現代中国人の意識を垣間見る良い機会にもなりそうである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Five Elements

陰陽五行の意。木火土金水(もっかどごんすい)はそれぞれWood, Fire, Earth, Metal, Waterとなる。シャオヘイやムゲンはMetal属性、フーシーはWood属性である。ちなみに西洋は古代ギリシャ思想の流れを汲んで四元素説(火、土、水、風)である。ファイナルファンタジーⅤのクリスタルがこの4つだったことを覚えているのは主として40歳以上だろう。ちなみにリュック・ベッソンの『 フィフス・エレメント 』は、この四元素の先のもうひとつのエレメントを描いた作品である。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 羅小黒戦記2 ぼくらが望む未来 』
『 代々木ジョニーの憂鬱な放課後 』
『 ミーツ・ザ・ワールド 』

 

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