Skip to content

英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

  • Contact
  • Privacy Policy
  • 自己紹介 / About me

月: 2024年4月

『 ゴジラxコング 新たなる帝国 』 -怪獣映画ならぬ怪作映画-

Posted on 2024年4月29日 by cool-jupiter

ゴジラxコング 新たなる帝国 30点
2024年4月26日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:レベッカ・ホール ケイリー・ホトル 
監督:アダム・ウィンガード

 

ゴジラ映画ということで意気揚々と公開初日のレイトショーのチケットを購入。しかし、ゴジラ映画ではなくコング映画、もっと言えば悪趣味な怪獣プロレス映画だった。

あらすじ

ゴジラは地上、コングは地底と棲み分けていたが、モナークは地底世界からの謎のシグナルをキャッチ。それは一種の救難信号だった。モナークとコングは、その未探査領域で思いがけぬ存在と接触し・・・

ポジティブ・サイド

序盤でコングのキャラクターを深掘りできていたと思う。元々人間寄りの怪獣だったが、前作や前々作のように安易に手話に頼らず、コングの生活描写を通じてコングの心情をある程度描き出せていた。

ネガティブ・サイド

ゴジラがゴジラではなくなってしまった。パワーアップするのは別に構わんが、走ったり飛び跳ねたりするのは、作り手がはしゃいでいるというか、自分たちが子どもの頃に夢中になったおもちゃを自分たちの手で思い通りに動かしたいという願望をかなえたようにしか見えない。ゴジラというキャラクターには歴史と伝統があって、それを重んじたいと感じた節は皆無。アメリカ産のコングの美女好きという属性は時代に合わないからと都合よく抹消しておきながら、日本産ゴジラは自分たちの思うように作り変えるという創作姿勢にはまったく賛同できない。伊福部音楽を使わない時点でゴジラはゴジラでなくなってしまった。

 

プロットも浅い。コングが同種族を見つけて、そこでボス猿になっていく。それだけ。素カーキングとやらも典型的なヴィランで深みがない。はぐれ猿のコングが仲間に受け入れられるかどうかという葛藤やドラマを描く代わりに、悪い奴がいるからコングにやっつけさせようという分かりやすい方向に逃げただけ。1対1では尺が足りないから新怪獣を出して、ゴジラにはそいつの相手をしてもらおうというのも薄っぺらすぎ。これならモンスターバースではなく単独コング映画でよかった。

 

人間キャラもお寒い限り。何の役にも立たないのに続投出演するブロガーに、新登場で特に何もしない歯医者。レベッカ・ホールと養子のジミの物語もあまりにも陳腐。コングと心通わせる文明社会に居場所を見出せない少女がアメリカナイズされていく様は見るに堪えない。You belong with me って、テイラー・スウィフトかいな(いや、Jovianはテイラーの音楽は大好きだが)。

 

総評

『 オッペンハイマー 』を産み出せるアメリカがゴジラの描き方をここまで誤るとは。結局は誰が作品の方向性を決めるのか次第なのか。ゴジラはコングの引き立て役ではないのだが。モンスターバースはまだまだ続きそうだが、その場合、監督もしくはプロデューサーはマイケル・ドハティにしてほしい。どうせクレイジー路線で行くなら、ゴジラおよび怪獣にリスペクトを持った人物に託したい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

the Ice Age

氷河期の意。『 GODZILLA ゴジラ 』では、the Stone Age =石器時代が言及されていた。東宝は今でこそ『 シン・ゴジラ 』や『 ゴジラ‐1.0 』を制作できているが、それ以前には dry spell =乾期・製作が進まない時期があった。dry spell は英検準1級以上を目指すなら知っておきたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 貴公子 』
『 ザ・タワー 』
『 キラー・ナマケモノ 』

 

 にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村  

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, ケイリー・ホトル, レベッカ・ホール, 怪獣, 怪獣映画, 監督:アダム・ウィンガード, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 ゴジラxコング 新たなる帝国 』 -怪獣映画ならぬ怪作映画-

『 変な家 』 -変なストーリー-

Posted on 2024年4月25日 by cool-jupiter

変な家 20点
2024年4月21日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:間宮祥太朗 佐藤二朗 川栄李奈
監督:石川淳一

 

ポイント消費のために鑑賞決定。変な映画だった。

あらすじ

動画配信業の雨宮(間宮祥太朗)はマネージャーから購入予定の一軒家について相談される。間取りに奇妙な点があると感じた雨宮は、ミステリー愛好家の設計士・栗原(佐藤二朗)を尋ねる。雨宮と栗原は様々な仮説を立てていくが・・・

以下、ややネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

YouTuberが話題性を求めて不法侵入やら何やらをするのは、まあ分からんでもない。その話題性を家の不可思議な間取りに求めるのもそれなりに説得力がある。赤穂城や姫路城、彦根城や二条城などを訪れれば、たいていはボランティアのおっちゃんが城郭の防御の仕組みや城内の間取りの糸などを詳しく教えてくれる。城にはパッと見では意味の分からないあれやこれやに意味があるものだ。そうした個人的な経験を下敷きに鑑賞したので、最初の20分程度まではそれなりに楽しめた。

ネガティブ・サイド

原作となった動画や小説は未見だが、この映画と同じくらい ( ゚Д゚)ハァ? という展開の連続なのだろうか。

 

だいたい何故にそんな変な設計図が通るのか。そして、それを業者が素直に作るのか。いや、それもすべて本家の息のかかった設計士や施工業者だったのだと言ってしまえばそれまでだろうが、だったら何故にそんな設計図を残すのか。そして家ごと売りに出してしまうのか。秘密裏に作って秘密裏に壊せばいいだけの話だろう。

 

また佐藤二朗演じる栗原の仮説も道理がまったく通らない。謎の家の間取りを利用して殺人代行をしていたというが、何故に子どもにそんな真似をさせるのか。殺したい相手も大人だったのなら大人がやればいい。それに風呂場で凶行に及ぶというのも合点がいかない。相手が背を向けている状態で風呂の床を抜いて上がり込むというのか。そんな馬鹿な。いや、それ以前に殺人を代行するための家だというのなら、そこに殺したい人間を招く必要がある。ということは住人はターゲットの知り合いか、それ以上の関係性を持っていなければならない。つまり、ターゲットが死んだ時、あるいは行方不明になった時、高確率で警察の捜査の対象になる。そんなアホな殺人代行業が存在していいのか。

 

実はこのあたりから少しうつらうつらしてしまった・・・

 

まあ、他にも都合の良い幻覚剤だったり、他人の家を勝手に盗撮して、しかもそれをどこの馬の骨とも知れない人間にほいほい見せてしまう都合の良い隣人だったりと、デウスエクスマキナを乱用してくれる。そして行き着く先が『 犬鳴村 』的な因習村。どこまでワンパターンなのか。明治時代の呪いを昭和だか平成だかの霊媒師の助言で解こうというところが腑に落ちない。というか、まずはその妾さんを丁重に弔いなさいよ。そのうえで当主自らお供え物や供養の祈りを捧げなさいよ。そのうえで神主あるいは坊主に相談しなさい。それもせず霊媒師にアドバイスを求めるようなメンタリティで、どうやって富を蓄積できるというのか。リアリティがさっぱり感じられないし、呪いに対するアプローチがそもそも的外れだ(その意味で『 リング 』はよくできていたと感じる)。

 

公開から1か月以上経つが、劇場の入りは凄まじかった(その分、ずっと喋り続ける女子中学生ぐらいの集団、スマホをいじり続ける若い女性、いびきをかいて寝る男性など、客層も終わっていたが)。まあ、客層と映画の出来に相関があろうはずもないが、邦画の現状および未来に対して一抹の不安を抱かせる劇場体験だった。

 

総評

端的に言ってクソ映画。原作を散々レ〇プして生まれた作品だろうと感じる。ミステリならミステリ、ホラーならホラーとその特徴を打ち出すべきだが、初っ端からホラー風味→ミステリ風味→ホラー風味→ミステリ風味と行き来するものだからイマイチ物語世界に入っていけなかった。案の定というか、大学の教え子たちと少し雑談する中で「あれ、意味分からないですよね?」と言われ、然りとしか答えられなかった。中高生をビビらせるだけのチンプンカンプン物語がヒットするという邦画の現状は喜ぶべきではなく憂うべきである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. I need to forget about this awful film ASAP.

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 貴公子 』
『 ザ・タワー 』
『 ゴジラxコング 新たなる帝国 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村    

Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, E Rank, ホラー, ミステリ, 佐藤二朗, 川栄李奈, 日本, 監督:石川淳一, 配給会社:東宝, 間宮祥太朗Leave a Comment on 『 変な家 』 -変なストーリー-

『 存在しない時間の中で 』 -本邦SFの佳作-

Posted on 2024年4月21日 by cool-jupiter

存在しない時間の中で 70点
2024年4月18日~2024年4月20日にかけて読了
著者:山田宗樹
発行元:角川春樹事務所

 

最寄り駅のエキナカの書店で購入。

あらすじ

天山大学のカピッツァ・クラブの発表会に闖入者が現れる。彼はホワイトボードに長大な数式を書き残し、忽然と姿を消した。その数式を解析したところ、この世界は別次元の世界の影であること、すなわち世界は上位の存在によって作られたものであるということが示唆されて・・・

 

ポジティブ・サイド

久々に論理の面白さを堪能できる作品に出会えた。物語の設定としては山本弘の『 神は沈黙せず 』に近いし、途中で起こる超常現象はどうしたってグレッグ・イーがんの『 宇宙消失 』を思い起こさせる。著者もある程度意識して書いたことだろう。

 

本作の本筋というかユニークな面はカピッツァクラブの面々よりも人間の精神世界、もっと言えば宗教観や死生観を色濃く反映する莉央のパートにあると感じた。政界宗教汚染なるコラムが注目を集める一年も前に本書が刊行されていたことが著者の炯眼を物語っている。人間は論理で割り切れるものを信じて、論理で割り切れないものは受け入れないという生き物ではない。マス=大衆が人生に意味を見出せなくなったときのシミュレーションとしてよくできている。

 

最後は映画『 インターステラー 』的に着地するのかなと予想していたが、きれいに外れた。なるほどなあ、広げた大風呂敷をうまく畳むにはこれが最善か。この世界も実は『 イエスタデイ 』みたいに出来ていて、「存在しない時間」を生きた人がいるのかな・・・と感じた。預言者とは実はこうして生まれてきたのかな?などとあらぬことも少し考えさせられた。

 

ネガティブ・サイド

序盤に第四の壁を超えて語り掛けてくるページがいくつかある(「以下の数理的な説明は難しければ読み飛ばしていいよ」的なもの)が、これは結構ノイズだと感じた。また、次元についての説明が不足しているとも感じた。次元とは方向のことで、たとえば虚数も実数とは別方向に伸びている数列だと明らかになっている。このあたりの次元の説明をもっとかみ砕いた形で提示してくれていれば、もっと readability が上がったはず。

 

総評

小川一水の短編『 幸せになる箱庭 』を思いっきり換骨奪胎すると本作になるのだろう。10次元だとか26次元だとか非可換幾何学だとかポアンカレ予想によると宇宙がドーナツ型だとか、宇宙は必然なのか偶然なのかますます分からなくなってきている。万が一、宇宙が被造物だと判明した時の心の準備のために本作を一読しておくのも一興だろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

nonexistent

科学もしくは形而上学の文献ではしばしば目にする表現。

Extra terrestrial intelligence seems to be nonexistent in the universe. 
地球外知性は存在しないようである

のように使う(実際は存在するだろうが、我々が観測可能な時間と空間にはいなさそう)。本書が英訳されるとすればタイトルは In Nonexistent Time となるだろうか。あまりに直訳すぎるかな。

 

次に読んでみたい書籍

『 6月31日の同窓会 』
『 百年法 』
『 代体 』

 
存在しない時間の中で (ハルキ文庫 や 18-2)

存在しない時間の中で (ハルキ文庫 や 18-2)

  • 作者:山田 宗樹
  • 角川春樹事務所
Amazon

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村    

 

Posted in 国内, 書籍Tagged 2020年代, B Rank, SF, 山田宗樹, 日本, 発行元:角川春樹事務所Leave a Comment on 『 存在しない時間の中で 』 -本邦SFの佳作-

『 トップガン マーヴェリック 』 -ライブ音響上映-

Posted on 2024年4月20日2024年4月20日 by cool-jupiter

トップガン マーヴェリック 90点 
2024年4月17日 MOVIXあまがさきにて鑑賞 
出演:トム・クルーズ マイルズ・テラー 
監督:ジョセフ・コジンスキー

 

およそ1年半ぶりの劇場鑑賞。ライブ音響上映に惹かれてチケット購入。

あらすじ

マーヴェリック(トム・クルーズ)は、予定されていたダークスターのテスト飛行がキャンセルされると聞いたが、クルーと共にフライトを強行し、マッハ10を達成する。処罰の対象になるかと思われたマーヴェリックだが、盟友であり提督となったアイスマンの取り計らいにより、トップガンにおいて難関ミッションに挑む若きパイロットたちの教官となる。しかし、そこにはかつての相棒グースの息子、ルースター(マイルズ・テラー)も加わっており・・・

 

ポジティブ・サイド

ライブ音響上映ということで、冒頭のF-18の空母からの発艦、空母への着艦シーン、そこで流れる Danger Zone の音圧に文字通り押しつぶされそうに感じた。「映画の半分は音楽である」とは押井守の言だが、本作を鑑賞して氏の言葉の正しさがあらためて証明されたと感じた。要所で流れる Top Gun Anthem や、The Man, The Legend などの音量も爆音で聞くことで、こちらの感情の揺さぶられ方もより激しくなった。

 

何度も劇場鑑賞およびBlu-ray鑑賞したり、YouTubeで元&現役軍人が色々とコメントしたりしている動画を観ているので色々と粗が目に入りはするが、そんなものはどうでもいいと思えるほどの迫力がある。最も感動したのはF-14の離陸前のBGM、次に感動したのはマーヴェリックとルースターが空母に帰還するシーンのBGM。音響と音楽の持つインパクトは大きいのだなとあらためて感じさせられた。

 

ネガティブ・サイド

敢えて字幕に集中してみたが、結構ひどい。museum piece を骨董品と訳すのは漢字の制限があって難しいにしても、年代物とかではダメなのか。ポンコツはひどすぎる訳。フェニックスとハングマンの掛け合いもめちゃくちゃ。まあ、これは映画というよりも翻訳者の問題か。字幕翻訳はかくも難しい。

 

総評

面白いものは何度見ても面白い。日曜日に本作のサントラをいくつか Walkman に入れてしまった。『 オズの魔法使 』や『 テルマ&ルイーズ 』のように、傑作だという評価が定着している作品は、映像をリマスターするとか音響をパワーアップさせるなどして、劇場リバイバル上映をもっと頻繁に行っていいのではないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Literally

「文字通りに」という意味。近年最も乱用されている英語の一つと言っても過言ではない。I literally died laughing out loud. = 笑い過ぎてホンマに死んだわ、のような感じで使われる。ということは日本語でも乱用および誤用されている?劇中では存在感ゼロだったボブが I’ve been here the whole time. と言い、それに対してハングマンが The man’s the stealth pilot. =ステルスのパイロットかよ、と反応したのを、その後にマーヴェリックがまったく同じようにハングマンとルースターに気づかれず、Been here the whole time. と言っていた。細かいところも面白い。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 貴公子 』
『 ブルックリンでオペラを 』
『 ゴジラxコング 新たなる帝国 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村    

Posted in 映画, 海外Leave a Comment on 『 トップガン マーヴェリック 』 -ライブ音響上映-

『 あまろっく 』 -尼崎市民、観るべし-

Posted on 2024年4月16日 by cool-jupiter

あまろっく 70点
2024年4月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:江口のりこ 中条あやみ 笑福亭鶴瓶
監督:中村和宏

 

尼崎市民としては鑑賞すべきだろうということでチケット購入。

あらすじ

東京でコンサルタントとして働いていた優子(江口のりこ)だったが、理不尽なリストラにより尼崎の実家に戻ってくることになった。自堕落な生活を送っていたところ、父の竜太郎(笑福亭鶴瓶)が20歳の早希(中条あやみ)と再婚すると言う。遥かに年下の義理の母の出現に困惑する優子だったが・・・

 

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

映画の宣伝で江口のりこがあまりにも無気力だったが、実際は頑張って演技していた。中条あやみも標準語の時よりも良い演技を披露できていたように思う。

 

家族とは何か。『 焼肉ドラゴン 』(この舞台は隣町の伊丹。ちなみにこの作品での焼肉の焼き方監修をした人が尼崎で商売をしておられる。山里食品ではない、念のため)でも追究されたテーマで、家族とはそもそも壊れて、新しく生まれる、あるいは作るものだった。

 

本作は65歳の男性と20歳の女性の再婚を通じて、年下の義理の母親はありなのか?適齢期を過ぎても結婚しないパラサイトはありなのか?シングルマザーに支えは必要なのか否か?

こうした新たな問いに一定の答えを出そうというのが本作である。赤の他人の優子と早希の距離が徐々に縮まっていく過程はユーモラスであり現実的でもある。

 

尼崎市民は観ていて楽しめるだろう。Jovianの家の目と鼻の先のうどん屋だったり、散歩コースのすぐ脇の工場が近松鉄工所だったり、魚釣り公園や寺町など、まさにご当地ムービー、おらが町の映画だと感じられた(阪急沿線民には不評かもしれない)。

ネガティブ・サイド

冒頭からいきなり「尼ロックなんか誰も知らんわ!」という台詞が聞かれるが、ホンマかいな。今も昔も尼崎市内の結構な数の小学校が社会科見学で尼崎閘門に行っているはずなのだが。

 

工場でとあるアクシデントが起きるが、工都・尼崎の工場職人がこんな杜撰なことをするんかな?ちょっと無理のある脚本に思えた。

 

ブランクが何年もあるはずの優子がいきなり第一線のコンサルタント然として話し出すシーンには違和感ありあり。普段から経済ニュースや経済紙に目を通していたという描写があれば、少しは説得力も生まれるのだが。

 

2018年の台風を元ネタにしたと思しきシーンがあるが、地元民としては少し複雑。尼ロックが水害を防いだのは確かだろうが、あの時はとんでもない暴風被害が出て、杭瀬の工務店のおっちゃんが「2か月で3年分の仕事量や!」と特需を享受していた。フィクションだと思えばいいのだろうが、だったら阪神淡路大震災を持ち出すのもやめてほしかった。

 

『 ハルカの陶 』でも思ったが、地理がめちゃくちゃ。まあ、突っ込んでも意味がないんやけどね。ただJR沿線民と阪神沿線民は楽しいはず。

 

総評

実際は60点だが、地元民のよしみで10点おまけしておく。某映画サイトでやたらと高評価されているが、これは兵庫県民、特に尼崎市民が先行上映を観て星を与えていることに注意されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

complete strangers

「赤の他人」の英訳。他にも total strangers という表現もある。劇中では「あんたと私は赤の他人や!」というのがあったが、英語だと You and I are complete strangers! となるだろうか。間違っても red strangers とは言わないように。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 貴公子 』
『 ブルックリンでオペラを 』
『 ゴジラxコング 新たなる帝国 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村    

Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 中条あやみ, 日本, 江口のりこ, 監督:中村和宏, 笑福亭鶴瓶, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 あまろっく 』 -尼崎市民、観るべし-

『 パスト ライブス/再会 』 -初恋は実らない-

Posted on 2024年4月14日 by cool-jupiter

パスト ライブス/再会 65点
2024年4月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:グレタ・リー ユ・テオ
監督:セリーヌ・ソン

 

大学開講の第1週で多忙につき、簡易レビュー。

あらすじ

12歳のノラ(グレタ・リー)とヘソン(ユ・テオ)は互いに思いあっていたが、ノラの両親のカナダ移住に伴って離れ離れになってしまう。24歳でオンラインで再会を果たす二人だったが、やがて疎遠になってしまう。そして36歳、ヘソンは休暇でニューヨークを訪れ、ノラと再会することになり・・・

ポジティブ・サイド

監督の自伝的要素が非常に強く、パーソナルな面で突き刺さるものが多かった。特に Facebook のような Social Media でかつての知人友人を見つけて連絡が取れてしまうというのは過去にはありえない、現代に特有の事象。似たような経験があるという30代、40代、50代は多いのではないだろうか。

 

イニョンという考え方はアジア、特に仏教圏、輪廻転生の概念が普及している地域の人間には分かりやすい。イニョンとはいわゆる縁起のこと。本作がアカデミー賞にノミネートされたというのは、ここらへんがアメリカ人に新鮮だったのもあるからでは?

 

ヘソンとアーサーの距離感、またノラとアーサーの距離感が絶妙だった。アメリカ人がアメリカで異邦人の気持ちになる。これもアカデミー会員の心の琴線に触れたシーンかなと思う。

 

ネガティブ・サイド

男はいくつになっても男の子のままというある種の偏見を飲み屋に集まる変わらない面々で描くというのは少々芸がないと感じた。いや、これも一種の同族嫌悪かな。

 

結局のところ、両親のエゴに振り回された子どもたちの話だったのでは?という印象が拭えなかった。割と引っ越しばかりで、それが嫌だった自分が強く思い出されたからな気がしないでもないが。

 

総評

『 僕の好きな女の子 』をもっとドラマチックに、もっと哲学的にしたものだったなという印象。運命というにはあまりにも淡すぎて、悲恋というのはあまりにも濃い。ぜひパートナーと鑑賞してほしい。Jovianと妻の感想は多くの点で非常に対照的だった。逆に結婚という因習は、そうした互いの違いから以下に目をそらし続けるのに役立つかということが逆接的に感じられるかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Lives

lifeの複数形は正しくはライブズとスではなくズとなる。Black lives matter もブラック・ライブズ・マターと報じられていた。一方でワーナー・ブラザースのように、公式にズではなくスを使っている組織もある。まあ、発音は正確に越したことはない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 あまろっく 』
『 貴公子 』
『 ブルックリンでオペラを 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村    

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, グレタ・リー, ユ・テオ, ロマンス, 監督:セリーヌ・ソン, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオ, 韓国Leave a Comment on 『 パスト ライブス/再会 』 -初恋は実らない-

『 オッペンハイマー 』 -伝記映画の傑作-

Posted on 2024年4月7日 by cool-jupiter

オッペンハイマー 80点
2024年4月6日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:キリアン・マーフィー
監督:クリストファー・ノーラン

 

『 ソウルメイト 』や『 続・夕陽のガンマン 地獄の決斗 』を立て続けに鑑賞して、やや面白不感症気味になっていたが、本作はめちゃくちゃ面白かった。

あらすじ

物理学者のロバート・オッペンハイマー(キリアン・マーフィー)は、第二次世界大戦中のアメリカでマンハッタン計画の責任者に任命される。職務に邁進するオッペンハイマーだが、複雑な人間関係や敵対国ドイツ、同盟国ながら共産主義国家であるソ連との競争にもその身を投じていくことになり・・・

ポジティブ・サイド

なんとも重厚かつ長大な物語だった。オッペンハイマー目線での過去と現在が頻繁に行き来し、なおかつ科学者としてのオッペンハイマーだけではなく家族人(だが決して典型的なファミリー・マンではない)として実像や、一人の男として、あるいは軍事や政治におけるポスター・ボーイとして、あらゆる面が映し出されていた(ちなみに本作が鑑賞しづらかったという向きには『 インセプション 』を観てからの再鑑賞をお勧めする)。まさに伝記映画の超大作だった。

 

冒頭から原子の世界のイメージや恒星の活動や死滅のイメージがオッペンハイマーの頭の中でありありと生起されていくところが観客に共有される。これだけ想像力豊かな人物が広島や長崎で起きたことを想像できなかったということの重みは計り知れない。「原爆被害に対する描写がないのはけしからん」と気色ばむ方々は、まず第一に本作はオッペンハイマーの伝記であって、彼は戦時中、あるいは戦争直後に日本を訪れていないということを知るべきだ。また作中でも色濃く描かれているが、オッペンハイマーは非常に想像力豊かな人間で、外国に対して関心と敬意を抱き、自らのユダヤ系のルーツから差別に対しても寛容ではなかったと描かれている。そんな彼がヒロシマやナガサキの惨状を頭の中で思い描けなかったということは、繰り返しになるが、それだけ重いことなのだ。

 

実は国際基督教大学の第一男子寮の一つ上の先輩がロスアラモスで研究員をやっている(ちょっとググれば出てくるし、ご本人も全く隠していない)。2023年11月にその先輩たちとZoom飲み会をした際に、本作の出来(≠内容)やアメリカでの受け止められ方を少しだけ聞くことができた(が、それは興味のある人が自身で調べればいいだろう)。

 

Jovian自身は大学時代に多くの留学生たちと一緒に『 火垂るの墓 』を鑑賞した後、とあるアメリカ人から “Why did you not surrender earlier?” と言われたこと、そして前の職場の同僚アメリカ人に “If Japan had nuclear weapons, they would have used them.”(アメリカ人は仮定法を正しく使えないのだ)と言われたことは、今でもはっきり覚えている。 一部の日本人は自分たちが戦争の被害者として正しく扱われていないと感じたいようだが、自分たちに自分たちなりの歴史認識があるように、相手にも相手なりの歴史認識がある、ということは理解すべきだ。

 

あまり映画の感想になっていないが、ヒロシマ、ナガサキに続いて福島がフクシマになりかけた日本は、オッペンハイマーの想像した破滅のビジョンに対してもっと敏感であってしかるべきと思う。批判する前に鑑賞しよう。鑑賞してから批判しよう。

ネガティブ・サイド

当時のロスアラモスにも間違いなく「研究できればそれでいいや」というマッドサイエンティストがいたはず。そうした無邪気な(だからこそタチが悪い)科学者とオッペンハイマーの対比が欲しかった。そこの描写は不十分であったように感じた。

 

アカデミーが助演男優賞を送るとしたら、ダウニー・Jr よりマット・デイモンの方がふさわしかったのではないだろうか。

 

総評

180分という上映時間も2時間程度に感じられた。それだけ密度の濃い映画だった。オッペンハイマーの生涯を描いた本作からは様々な教訓が得られる。それは観る人の年齢、性別、職業、問題意識によって異なる。一つ言えるのは「想像力を持つこと」の重要性。より良い未来を想像するのか、より悪い未来を想像するのか。自分の仕事や人生について深く考えるきっかけをもたらしてくれる傑作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Your reputation precedes you

直訳すれば「あなたの評判はあなたに先行しています」で、あなたがここに来るより先にあなたの評判が届いていますよ、ということ。『 トップガン マーヴェリック 』でもサイクロンがマーヴェリックに全く同じセリフを言っていた。ちょうど異動の季節なので、噂の新戦力がやって来た時などに使ってみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 変な家 』
『 パスト ライブス/再会 』
『 あまろっく 』

 

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村    

Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, アメリカ, キリアン・マーフィー, サスペンス, 伝記, 歴史, 監督:クリストファー・ノーラン, 配給会社:ビターズ・エンドLeave a Comment on 『 オッペンハイマー 』 -伝記映画の傑作-

最近の投稿

  • 『 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は 』 -青春の痛々しさが爆発する-
  • 『 28週後… 』 -初鑑賞-
  • 『 28日後… 』 -復習再鑑賞-
  • 『 異端者の家 』 -異色の宗教問答スリラー-
  • 『 うぉっしゅ 』 -認知症との向き合い方-

最近のコメント

  • 『 i 』 -この世界にアイは存在するのか- に 岡潔数学体験館見守りタイ(ヒフミヨ巡礼道) より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に cool-jupiter より
  • 『 貞子 』 -2019年クソ映画オブ・ザ・イヤーの対抗馬- に 匿名 より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に cool-jupiter より
  • 『 キングダム2 遥かなる大地へ 』 -もう少しストーリーに一貫性を- に イワイリツコ より

アーカイブ

  • 2025年5月
  • 2025年4月
  • 2025年3月
  • 2025年2月
  • 2025年1月
  • 2024年12月
  • 2024年11月
  • 2024年10月
  • 2024年9月
  • 2024年8月
  • 2024年7月
  • 2024年6月
  • 2024年5月
  • 2024年4月
  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2021年1月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月

カテゴリー

  • テレビ
  • 国内
  • 国内
  • 映画
  • 書籍
  • 未分類
  • 海外
  • 英語

メタ情報

  • ログイン
  • 投稿フィード
  • コメントフィード
  • WordPress.org
Powered by Headline WordPress Theme