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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 配給会社:ファインフィルムズ

『 バニシング 未解決事件 』 -臓器売買の闇に迫る-

Posted on 2022年5月17日2022年5月17日 by cool-jupiter

バニシング 未解決事件 65点
2022年5月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ユ・ヨンソク オルガ・キュリレンコ
監督:ドゥニ・デルクール

『 流浪の月 』を鑑賞したかったが、指定席とも言うべきシートが取れず、次点の本作をチョイス。なかなかの硬派な映画だった。

 

あらすじ

ソウルで女性の遺体が発見されるが、腐敗が進行しており、身元の割り出しに難航する。パク班長(ユ・ヨンソク)はフランスの法医学者ロネ教授(オルガ・キュリレンコ)に助力を求める。彼女が採取した指紋から、遺体は行方不明になっていた中国人女性と判明する。捜査を進めるパク班長とロネ教授は、臓器売買の謎に迫っていき・・・

ポジティブ・サイド

韓国映画と見せかけて、これは実はフランス映画。つまり少ない登場人物でも、巧みにミステリやサスペンスを盛り上げる。舞台を韓国に移しても、そうしたフランス文芸・フランス映画の特色はしっかりと維持されていた。

 

まずユ・ヨンソク演じるパク班長が従来の韓国警察の刑事のイメージを大きく覆す。韓国といえば『 ビースト 』のような汚職や暴力を厭わぬ刑事か、あるいは『 暗数殺人 』のひらすらに黙々と事件を追う刑事の印象が強いが、ドゥニ・デルクール監督はそんな刑事はお呼びでないとばかりに、全く新しい刑事像を打ち出してきた。演じるユ・ヨンソクは『 建築学概論 』の嫌な先輩役だったそうだが、本作ではそんなマイナスのオーラは一切出さず、理知的な刑事を演じきった。発音は韓国なまりだが、普通に英語は上手い。パッと聞いた感じだけなら、チェ・ウシクの英語と比べても遜色ないように感じた。姪っ子を溺愛し、手品も上手いという特徴が、中盤以降に物語の本筋にしっかりと関連してくる。

 

バディを組むことになるロネ教授ことアリスも静かに、しかし確実に法医学のプロフェッショナルとしての印象を観る側に刻み付けた。難解な専門用語を交えて流暢に講義を行い、腐敗が進んだ死体からも見事に指紋を採取する。しかし、単なる職業人としてだけではなく、パーソナルな部分にも人間味がある。序盤にパク班長との会話で不可解な受け答えをするのだが、その謎が明らかになる中盤、そしてそれに決着をつける終盤の展開には心を揺さぶられる。

 

二人がロマンチックな雰囲気になりながらも、プロフェッショナルに徹するところも潔い。特に、パク班長からのごく私的な問いにアリスが敢えてフランス語で真摯に答えるシーンは、男女というよりも人間同士の心の響き合いだった。

 

死体遺棄事件の元にある臓器売買事件の闇に迫る二人に思いがけぬ事実が立ち現われてくる。事件は一応の解決を見るが、臓器売買ネットワークは残ったまま。そして、食い物にされる中国人女性や、臓器を買い取る富裕層という格差の構図は何も解決されぬまま。それでも、パク班長とアリスの淡い別れに、今後も二人が機を見て reunite し、新たな事件に取り組む可能性を感じさせて物語は閉じていく。

 

ネガティブ・サイド

臓器売買のネットワークは、そのまま人身売買のネットワークでもあるだが、それを仕切っていると思しき韓国ヤクザの描写があまりにもしょぼい。『 ザ・バッド・ガイズ 』は荒唐無稽ではあったが、国際的な犯罪ネットワークを構想する気宇壮大な韓国ヤクザが出てきた。それぐらいの巨悪を描いても良かったのではないか。

 

臓器売買の片棒を担ぐ医師が、意外(でもないが)な主要人物とつながっていることで、アリスの心的なトラウマは解消されても、全く別の方面で救われない人物が生じてしまっている。もちろん、違法な臓器売買を阻止する=助からない命が出てくるわけで、問題はその助からない命に大して、我々が大きく感情移入してしまうことである。アリスのキャラを立てるためとはいえ、この展開は観ていて心苦しかった。

 

パク班長とアリスの別れ際も、もうちょっと余韻というか、今後の二人の再会と活躍を予感させるようなものの方が良かった。アリスが韓国に残ることを予感させるよりも、パク班長がアリスに姪っ子と時々ビデオ通話する仲になってほしいと頼む方が、劇中で「感情表現に乏しい」とされた韓国人っぽいではないか。しかし、韓国人が感情表現に乏しいというのはフランスの脚本家の手によるもの?よく共同脚本家の韓国人がそれOKしたなと思ってしまう。

 

総評

テンポが良く、サスペンスも適度に盛り上がり、思わぬ人間関係も終盤に見えてくる。韓国語、英語、フランス語、中国語が飛び交う国際色豊かな作品である。『 マスカレード・ホテル 』のような変則バディものがイマイチと感じられる向きにこそ本作を勧めたい。そうそう、日本のサラリーマンは主人公のパク班長の英語力を一つの目標にするといい。情報を得る、あるいは与える、問題を提示する、あるいは解決する、そして相手との信頼関係を築くというのは、必ずしも準ネイティブ級の語学力を必要としないことが分かるだろう。語彙を増やしたりTOEICスコアを追求するのではなく、コミュニケーション能力を磨こうではないか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Would you be able to V?

相手に何かを依頼する丁寧な表現。普通のビジネスパーソンなら

Could you V?
Would you be able to V?
It would be great if you could V. 
I was wondering if you could V. 

あたりを口頭あるいはメールのやりとりでは使いまわせばよい。

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, C Rank, オルガ・キュリレンコ, サスペンス, フランス, ユ・ヨンソク, 監督:ドゥニ・デルクール, 配給会社:ファインフィルムズ, 韓国Leave a Comment on 『 バニシング 未解決事件 』 -臓器売買の闇に迫る-

『 ノンストップ 』 -コメディOK、アクションOK-

Posted on 2021年2月20日2021年2月20日 by cool-jupiter

ノンストップ 70点
2021年2月18日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:オム・ジョンファ パク・ソンウン
監督:イ・チョルハ

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アクション風味の韓国産コメディだと思い、軽い気持ちでチケットを購入。しかし、なかなかどうして、人間ドラマ要素もしっかりしており、適度なドンデン返しもありの佳作。当たり前のことではあるが、韓国が輸出(あるいは日本が輸入)してくる作品というのはハズレが少ない。

 

あらすじ

揚げパン屋を営むミヨン(オム・ジョンファ)はジャンクショップで働く夫ソクファン(パク・ソンウン)と一人娘ナリの3人で、偶然に当選したハワイ旅行のため、機上の人に。しかし、そこには北朝鮮のテロリスト集団も乗り込んでいた。この状況に、ミヨンの隠してきた能力が発揮され・・・

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ポジティブ・サイド

オム・ジョンファの魅力が爆発している。Jovianよりかなり年上だが、若々しさはあちらの方がはるかに上。芝居の一つひとつがとてもエネルギッシュだ。ことあるごとに「オッケー」とジェスチャー付きで言うのだが、その笑顔もとびっきりチャーミング。石田ゆり子とほぼ同年代ながら、石田ゆり子には決して出せない韓国のアジュンマ(韓国語でおばちゃんの意)のオーラも発揮している。そして過去は凄腕の工作員で、その格闘能力や戦術眼は今も健在というギャップ。キャラ属性だけ見ればよくあるタイプだが、その奥行きが深く、幅が広いのだ。

 

夫役のパク・ソンウンも負けていない。はっきり言ってうだつの上がらないダメ夫にしてダメ父親。駄々をこねるかの如く叫びまくる演技に、一瞬役者本人の精神年齢を疑ってしまうが、それだけ迫真の演技になっているということである。邦画や日本のテレビドラマでは、これほどストレートに妻への愛情を表現する男というのはなかなか見られない。

 

この夫に負けず劣らずのコミックリリーフが機内の男性CA。スパイ活劇に憧れを持っており、平常時もピンチの時も、とにかくそこにいるだけで場をしっかりと和ませ、時に大いに笑わせてくれる。もともと三枚目の役者だが、それに輪をかけて顔芸が最高である。とにかく韓国の役者の芝居はエネルギーに満ち溢れており、アホな演技をする時は突き抜けてアホである。なので、こちらも演技力や演出に注目する必要なく、素直にクスクス、ワハハと笑うことができる。

 

笑いだけではなく、社会的な風刺もところどころでしっかり効いている。国会議員が非常時でも横柄な態度を取り、上流階級のマダムは臨月の息子の嫁をハワイに連れていき、そこで出産させようとしている。とある映画監督と映画スターの秘話(あくまでストーリー内での)もこっそりと盛り込まれており、韓国の映画業界そのものをチクリとやりつつ、笑いのネタにもしている。当然、北と南の緊張関係が下敷きにあるので、コミカルな中にもシリアスが、しかしシリアスな中にもコミカルさがある。ハイジャックものというと、どうしてもシリアスな展開にならざるを得ず、そこは本作も例外ではない。敵であるテロリストたちの内部分裂あり、意外な黒幕の登場ありと、序盤のユーモアはどこへやらというハラハラドキドキの終盤から、ちょっとしたドンデン返しの利いたハッピーエンドまで、まさにノンストップだ。

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ネガティブ・サイド

予告の段階でミヨンが元凄腕のエージェントだということは判明しているのだから、序盤のちょっとしたパン作りのシーンに、ミヨンには非凡な身体能力や運動神経が備わっているということを見せる演出が欲しかった。機内のビジネスクラスでマカデミアナッツをピシュンと放る演出は、タイミング的に遅く、また演出としても大仰すぎる。

 

韓国映画で毎回思うのは、北朝鮮のスパイや工作員が有能すぎるということ。まさか本当に『 サスペクト 哀しき容疑者 』のドンチョルのような奴が定期的に出てくるはずもないだろう。

 

冒頭の潜入作戦の時のミヨンをアン・セラ、回想シーンのソクファンの馴れ初めの時のミヨンをオム・ジョンファが演じるというのは、少々無理があると感じた。これならミヨンは全てオム・ジョンファ、その代わりにアン・セラ役の女優のシーン、たとえば機内の映画のアクションシーンや中盤以降のバトルシーンでのアシストなどで増やした方が、一貫性は保たれたと思われる。

 

総評

韓国産の映画の勢いはなかなか衰えない。コメディにしてもヒューマンドラマにしても、役者が振り切れた演技を見せるからだろう。テンポも良く、ユーモアも冴えている。韓国映画の入門としては、本作ぐらいがちょうど良い。高校生や大学生のデートムービーにもなりうるが、やはり本作は中年または熟年カップルにこそ観てもらいたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

OK

そのまま「オーケー」の意味。使い方は日本も韓国も変わらないようだ。ただし、この語が応答ではなく形容詞になると話が変わってくる。この場合、OKというのは「まあまあ」とか「可もなく不可もなく」という意味になる。

 

A: How did you like that restaurant?

  あのレストラン、どうだった?

B: It was OK.

  まあまあだったな。

 

X:Did you watch this movie?

  この映画は観た?

Y:Yeah, that was an OK comedy.

  ああ、可もなく不可もないコメディだったよ。

 

などが用例である。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, オム・ジョンファ, コメディ, パク・ソンウン, 監督:イ・チョルハ, 配給会社:ファインフィルムズ, 韓国Leave a Comment on 『 ノンストップ 』 -コメディOK、アクションOK-

『 きっと、またあえる 』 -インド発・寮生活の勧め-

Posted on 2020年8月26日2021年2月23日 by cool-jupiter

きっと、またあえる 80点
2020年8月23日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:スシャント・シン・ラージプート シュラッダー・カプール
監督:ニテーシュ・ティワーリー

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『 ダンガル きっと、つよくなる 』のニテーシュ・ティワーリー監督の最新作。タイトルが『 きっと、うまくいく 』に似ているのは、内容もちょっと似ているから。原題はヒンディーでChhichhore。意味を調べてみたところ、「軽佻浮薄な野郎ども」となるらしい。このあたりを見るに脚本も手掛けたティワーリー監督は、3 idiots = 『 きっと、うまくいく 』のことも意識していたのは間違いない。

 

あらすじ

アニは、受験に失敗した息子がマンション構想階のベランダから転落したという知らせを受け、離婚した元・妻とともに病院に駆けつける。自分を「負け犬」だと卑下する息子に生きる気力を与えるために、アニは負け犬だった自らの大学生時代の思い出を語る。そして、大学時代の親友たちを一人また一人と招き、息子に紹介していく・・・

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ポジティブ・サイド

アニの息子はICU(集中治療室)に入ったと聞いて、不謹慎にも笑ってしまった。Jovianの母校もICU(国際基督教大学)だからである。そして、Jovianは今はもう取り壊されて久しい第一男子寮の出身で、大学の四年間を帰国子女や留学生らと共に二人部屋三人部屋で暮らしていた。つまり、主人公のアニに思いっきり感情移入することができたのだ。

 

ストーリーの肝はGC=General Championshipで、球技からカバディ、そしてチェスなどの10種競技の成績を大学の各寮対抗で2か月かけて競い争うというイベント。これもJovianが現役時代に(今もあるのかな?)存在した男子寮対抗の年2回のサッカー大会(岡田杯)と年1回のラグビー大会(細木杯)と、規模こそ違えど中身はそっくり。しかも、GCでの成績が振るわないのを何とか好転させるためにアニやセクサ、マミーらの多士済々の面々が自分の大好きなものを断つ、と決断するところが面白い。なぜなら我が第一男子寮にも上記のイベントごとに「オナ禁週間」が設けられていたからだ。古き良き時代という表現は好きではないが、確かにあれは古き良き日々だった。

 

酒やたばこ、母親への電話、エロ本&AV鑑賞など、様々なものを断っていく4号寮の面々だが、主人公のアニは、後に妻になり、現在猛烈にアプローチ中のマヤ(シュラッダー・カプール)との連絡・接触を断つという荒行に出る。Jovianが一年生の時に全く同じことをやっていたSという4年生の先輩がいて、実際のサッカーの試合でも決勝点を決めていた。とにかく、大学で寮生活をしたことがある者が観れば、心に突き刺さりまくり、思い出がよみがえりまくるのだ。アホなことをやっているものだと軽蔑することなかれ。我々のオナ禁も彼らの好きなもの断ちも、相手ではなく自分に負けないという気概を涵養するためのものなのだ。それこそがアニが自殺未遂を図った息子に伝えたいメッセージなのだ。

 

物語そのものの面白さもかなりのものだが、社会派としての一面も併せ持っている。過去と現在が交錯していく作品として『 サニー 永遠の仲間たち 』という傑作が思い起こされるが、この作品も韓国の血みどろの民主化運動が背景にあった。現在の繁栄は先人の流した血の上に成立しているのだというメッセージである。本作『 きっと、またあえる 』の社会的なメッセージは何か。それは、負け犬は一か所に集めろ、出来る奴も一か所に集めて、それを外部に見せろという姿勢への批判である。3号寮のライバルがスポーツ万能のアニをスカウトする時に「外国からの留学生は3号寮に集まる。だから、3号寮には特に出来の良い学生を集めるんだ」と語るが、当然アニはこの誘いを毅然と断る。経済成長と国際社会での地位向上の著しいインドへのメッセージだろう。カーストを隠すな、取り繕うなと言っているわけだ。だからといって被差別者に立ち上がれ、体制をぶっ壊せ的なメッセージを発したりはしない。倒すべきは自分の弱い心で、自分で自分に負けてはいけないのだということこそが本作の眼目だ。

 

かといってシリアスになるばかりでもない。寮生活はお下劣で非衛生的で、上下関係も緩く、友情と連帯感にあふれている。そして、GCの様々な競技で劣勢に立たされる4号寮が、アニの策略によって次々に相手を撃破していく過程は卑怯でもありながら、ぎりぎりで合法的な策略でもある。携帯電話が一般に普及していない時代だからこそ、なおかつ女子が極端に少ない工科大学だからこその謀略が炸裂するシーンは、自身の大学生活を思い起こして、笑いを押し殺すのに必死になってしまった。別に寮暮らしの経験がなくとも本作のアニとその仲間のLOSERSの奮闘には、大いに笑えるし涙も出てくることだろう。

 

それにしても『 PK 』のアヌシュカ・シャルマといい、本作のシュラッダー・カプールといい、インドの女優さんの美しさには目が眩むばかりである。

 

『 スラムドッグ$ミリオネア 』のように、エンディングのクレジットシーンの途中から壮大な歌と踊りが展開されるので、よほど膀胱が限界だという人以外は席を立ってはならない。

 

ネガティブ・サイド

ほとんど欠点が見当たらないが、二つだけ。セクサ以外のキャラが現在どのような仕事しているのかが見えてこないのが少し残念。セクサは「ムンバイは物価が高いな」と外国慣れとインドの物価上昇の両方をさりげなくアピールしていたが、こういった描写や演出が他キャラにも欲しかった。

 

もう一つ、LOSERSのTシャツを作る、あるいは着用して写真を撮るシーンが大学時代に欲しかったと思う。

 

総評

大学生時代のアニを演じたスシャント・シン・ラージプートが2020年6月14日に死亡したことが報じられた。本作は彼の遺作の一つとなる。本作のメッセージである「お前は負け犬じゃない」は、彼には届かなかったのか。冥福を祈る。三浦春馬といいラージプートといい、何故に好き好んで鬼籍に入るのか。虎は死んで皮を残すと言うが、その皮の見事さについては、誰かが細々とでも語り継いでいかなければならないだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

pressure

名詞なら「圧力」、動詞なら「圧力をかける」の意。しばしば、以下のような形で使う。

 

He’s getting a lot of pressure from his girlfriend to get a decent job.

彼は恋人からまともな仕事に就くようにと多大なプレッシャーを受けている。

 

My wife is always pressuring me to get a promotion and make more money.

うちの嫁さんは俺に出世してもっと金を稼げといつもプレッシャーを与えてくるんだ。

ついでに Rod Stewart の “When We Were The New Boys”も紹介しておきたい。学生時代の友情は unforgettable である。

www.youtube.com

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, A Rank, インド, シュラッダー・カプール, スシャント・シン・ラージプート, 監督:ニテーシュ・ティワーリー, 配給会社:ファインフィルムズLeave a Comment on 『 きっと、またあえる 』 -インド発・寮生活の勧め-

『 犯罪都市 』 -韓流・マル暴奮闘記-

Posted on 2020年7月9日 by cool-jupiter

犯罪都市 65点
2020年7月8日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:マ・ドンソク ユン・ゲサン チン・ソンギュ
監督:カン・ユンソン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200709234413j:plain
 

『 エクストリーム・ジョブ 』の面白刑事チン・ソンギュが悪役を演じてブレイクしたという映画。安定のマ・ドンソク劇場であり、適度なユーモアがあり、韓国テイストの暴力描写もある。

 

あらすじ

衿川警察の強力班の刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)はその強面と腕っぷしで地元ヤクザのいざこざを解決してきた。しかし、中国からやってきたチャン・チェン(ユン・ゲサン)率いる朝鮮族マフィアが台頭。事態は警察、韓国ヤクザ、中国マフィアの三つ巴の抗争の様相を呈し始めて・・・

 

ポジティブ・サイド

マ・ドンソクの魅力が本作でも爆発している。その腕っぷしでヤクザでも何でも平手で張り倒して、問答無用で言うことを聞かせる。それがなんともユーモラスだ。なんとなくNBAの往年のスター、チャールズ・バークレーやシャキール・オニールを思わせる。ガキ大将がそのままデカく成長しただけのように見える。そこが逆にかっこいい。警察というガッチガチの縦割り組織に身を置きながらも、どこか自由人的な雰囲気も感じさせる。お世辞にも美男子とは言えないが、顔の美醜を超越したカリスマ的なオーラもある。中尾彬をごつくしたような渋さもある。

 

主人公がこれだけキャラが立っていると、悪役側も相当な悪でなければ務まらないが、ユン・ゲサンとチン・ソンギュ演じる朝鮮族の高利貸し男の冷酷無比かつ残忍、さらに狂暴なキャラ設定は、確かにマ・ドンソクと鮮やかなコントラストを成している。序盤に出てくる韓国ヤクザをとことんまで舐め腐った態度に、有無を言わせぬ暴力。はっきり言って人間を人間と思っていない。それはそのまま、彼ら朝鮮族の延辺やハルビンでの扱われ方なのだろう。日本の半グレというのがどの程度のワルの集団なのかはよく知らないし知りたくもないが、この朝鮮族のような失うものがない人間たち、目の前の人間から奪い取ることしか考えない人間の集団ではないことを祈りたい。

 

本作では銃火器が使用されない。その代わりに『 聖女 Mad Sister 』でも使われた長柄ハンマー、『 哀しき獣 』のミョン愛用の手斧など、『 アジョシ 』のテシクのナイフなど、ダメージを与える以上に痛みを与える武器が多用される。視覚的に痛いのだ。よくここまでやれるなと呆れると同時に感心させられる。

 

本作では印象的なアクションシーンが二つある。一つは中盤の朝鮮族マフィアと韓国ヤクザの大乱闘。特に消火器が噴霧された中でのワンカット(に編集された)チャン・チェンとイス組の組長の殺し合いは必見。もう一つは、ラストのチャン・チェンとマ・ソクトのステゴロ。その戦う環境も強烈だし、バトルそのものも周囲を破壊しまくる大迫力。パンチを決定打にするのではなく、submission maneuverを極めてしまうところが妙にリアルだ。

 

適度にひねりもあるし、オチもそれなりに痛快。スカッとした気分になりたい梅雨空の日にちょうど良いだろう。

 

ネガティブ・サイド

ラストのバトルシーンで、何箇所かスタント・ダブルを使っている。できればマ・ドンソクとユン・ゲサンにすべて演じてほしかった。興行収入で『 アジョシ 』超えと言われてもピンとこない。ウォンビンはアクションを全部自分でこなしたではないか。

 

見事な死亡フラグを立てるキャラが予想に反して生き残る。それは別に良い。だが、そこで人が変わってしまうのはどうなのか。あのようなシチュエーションを潜り抜けたら、もっと慎重に、あるいはもっと臆病になってしまうと思うのだが。某キャラクターの豹変ぶりがチト説明しづらいように思う。

 

また広域警察や公安まで出張って来る事態になるのだが、もっと中央の権威というものを呵々と笑い飛ばすような演出が欲しかった。ソウルから来た刑事に握手すると見せかけて、その手を握りつぶすシーンがあるが、この情けないオッサンを班長の代わりにはできなかったか。すなわち、各シーンでリーダーシップを発揮しようとするも微妙に浮いてしまうというキャラだ。本作は究極的にはdick-measuring contest、すなわちアホな男たちの意地の張り合いなのだ。だからこそ、体面やら中央の権威やらはノイズになるのである。

 

総評

普通に面白い作品である。朝鮮族についての背景知識がなくとも、単にヤクザの抗争だと思えばそれで充分。主人公が「気は優しくて力持ち」的な作品にはハズレが少ない。予定調和的であるが、良い意味で手堅くまとまっている。本作か『 新感染 ファイナル・エクスプレス 』を鑑賞すれば、マ・ドンソクのファンになること請け合いである。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

カッカチュセヨ

Jovianはこれまでに二回韓国に行ったことがある。そこで非常に重宝したのが、この「カッカチュセヨ」である。値切り交渉ができるところが大阪人と韓国人の共通点である(とヒョーゴスラビア共和国民のJovianが言ってみる)。このチュセヨも便利な表現で何か欲しい時には、全部これで通じる。20年前にガイドさんに教えてもらって、今でも覚えているのが「パチュセヨ(ご飯ちょうだい)」と「ムルチュセヨ(水ちょうだい)」である。これらは実際に大阪・鶴橋のおばちゃん達には通じた。カッカチュセヨも通じたが、飲食代はさすがに負けてくれないのが鶴橋である。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, アクション, クライムドラマ, チン・ソンギュ, マ・ドンソク, ユン・ゲサン, 監督:カン・ユンソン, 配給会社:ファインフィルムズ, 韓国Leave a Comment on 『 犯罪都市 』 -韓流・マル暴奮闘記-

『 RBG 最強の85歳 』 -日本からは出てこない破天荒ばあちゃん-

Posted on 2019年5月30日2020年2月8日 by cool-jupiter

RBG 最強の85歳 70点
2019年5月27日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:ルース・ベイダー・ギンズバーグ
監督:ベッツィ・ウェスト ジュリー・コーエン

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来年2020年は、アメリカ合衆国憲法修正第19条から100周年にあたる。だからこそ、ヒラリー・クリントンは大統領選に出馬したわけだ。『 ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ 』が遠因で落選したわけだが。2020年には20ドル札の表面にハリエット・タブマンがデビューする記念すべき年で、女性の社会進出およびそれを成し遂げる原動力になった人々を顕彰しようというムーブメントが起きている。ルース・ベイダー・ギンズバーグにフォーカスした『 ビリーブ 未来への大逆転 』もその一環だったわけである。

 

あらすじ

85歳という高齢でも、アメリカ合衆国最高裁判所の現役判事として活躍を続けるルース・ベイダー・ギンズバーグの人間性に迫るドキュメンタリー。彼女はいかにして法律家となり、女性差別撤廃の先鞭をつけ、現代アメリカ社会のアイコンの一つにまで登りつめたのかを活写する。

 

ポジティブ・サイド

『 ビリーブ 未来への大逆転 』でも強調されていたことだが、RBGが輝かしいキャリアを築くことができたのは、女性の地位向上に固執したからではなく、男性が強いられる不平等の是正にも尽力したからだ。そのことが、本作ではよりクリアーに描かれている。平等というのは、もしかすると世界平和と同じくらいに達成が難しいのかもしれない。人はしばしば虐げられた状態から平等に扱われるようになったとしても、それ以上の待遇の是正を求めがちになるからだ。そのことはマルコムXの言葉、「白人は黒人の背中に30cmのナイフを突き刺した。白人はそれを揺すりながら引き抜いている。15cmくらいは出ただろう。それだけで黒人は有難いと思わなくてはならないのか?白人がナイフを抜いてくれたとしても、まだ背中に傷が残ったままじゃないか」によくよく表れている。白人を男性に、黒人を女性に置き換えてみても、この言葉に説得力があると感じるのはJovianだけではないはずだ。そして、アメリカ社会はオバマ大統領を誕生させたわけだが、彼が選択した統治の方針はマルコムXのそれではなく、RGBの(正確にはサラ・グリムキの)「私が同胞の男性諸氏に求めるのは、私たちの首を踏みつけるその足をどけてくれということ」という思想に添ったものだった。そして、そのことが黒人層の不満につながり、The Divided States of Americaを、つまりはトランプ政権の爆誕につながったのは皮肉であるとしか言いようがない。だが、だからこそRBGの現実的な感覚がなお一層強く支持され、求められるようになったとも言える。トランプ候補への彼女の苦言は、咎められはしたものの、この文脈で考えれば、必然的であったとも考えられる。

 

閑話休題。本作は、RBGの夫や子ども、それに過去の判例の関係者らの詳細な証言を集めることに成功している。特にビル・クリントン元大統領の回想シーンは、近現代のアメリカ政治史に関心を抱く者ならば必見必聴であると言えよう。彼女には彼女なりの信念があり、国家の柱石としての自負もある。彼女のワークアウトのシーンに、Jovianは思わずNHKの番組『 「素数の魔力に囚(とら)われた人々~リーマン予想・天才たちの150年の闘い」 』におけるルイ・ド・ブランジュ博士を思い出した。ドキュメンタリとしては、そこそこ面白いが、数学専門の大学生や大学院生に言わせると「色々なものを端折り過ぎ」た番組らしい。興味のある人はYouTubeで視聴してみてはどうか。

 

またまた閑話休題。RGBがどれほどのポップ・アイコンになっているかをまざまざと見せつけてくれる物まね芸人が登場するが、物まねの本質とは、目立つ特徴を適度に誇張することであることがよく分かる。完全なるコピーでは面白くないのだ。ユーモアとは対象と適切な距離を取ることで生じるが、物まねに思わず噴き出すRBGを観て、滑稽だと思うか、微笑ましく思うか。おそらくフローレンス・ナイチンゲールが現代に蘇り、自身の物まね芸人をテレビで観れば、後者の反応を見せるのではないか。象徴となったRBGと人間であるRGB。この二つの間の隔たりに思いを馳せてみれば、最近代替わりを経験した日本という国の象徴へ向ける国民の眼差しも、少しは違ってくるのかもしれない。

 

ネガティブ・サイド

RBGの妻として、そして母としての側面が強く打ち出されていたが、RBGと彼女自身の母親との関係を描くのに、もう少し時間を使って欲しかったと思う。彼女の強さは母譲りであり、また母の遺言通りなのだが、RBGという突然変異的な個体から全てが始まったのではなく、彼女の母やサラ・グリムキなどの運動家にも、もう少しだけ光を当てて欲しかったというのは望み過ぎだろうか。『 シンデレラ 』における母と娘の別離は、RBGから来たのではないかと思えてしまうぐらいのだから。

 

総評

ドキュメンタリとしては、『 サッドヒルを掘り返せ 』に次ぐ面白さである。女性が女性を差別して恥じないどこかの島国の政治家連中に強制的に視聴させてやりたい作品である。おそらくRBGも近い将来にアメリカ紙幣に載るだろう。そう確信させてくれる作品である。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, ドキュメンタリー, ルース・ベイダー・ギンズバーグ, 監督:ジュリー・コーエン, 監督:ベッツィ・ウェスト, 配給会社:ファインフィルムズLeave a Comment on 『 RBG 最強の85歳 』 -日本からは出てこない破天荒ばあちゃん-

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