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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ホラー

『 禍禍女 』 -クレイジーな三角関係-

Posted on 2026年2月11日2026年2月11日 by cool-jupiter

禍禍女 40点
2026年2月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:南沙良
監督:ゆりやんレトリィバァ

最初のトレーラーが出た時にはスルー予定だったが、南沙良主演と知り、チケット購入。

あらすじ

早苗(南沙良)は同じ大学の宏に恋焦がれるも、彼は別の女の子に夢中で振り向いてくれない。なんとか宏に好かれようとする早苗だが、その宏が謎の怪異、禍禍女に取りつかれてしまい・・・

ポジティブ・サイド

『 もみの家 』の頃から切に願っていたこと、すなわち南沙良のハンドラーたちは彼女に決して凡百の恋愛漫画の映像化のキャラを演じさせないでほしい、という願いは確実に届いているようである。南沙良がまたもエキセントリックな役を見事に演じきった。ストーカー気質女子にして、変態プレゼントを作成してしまう、かつ言葉そのままの意味で芸術的な自慰行為に耽るというキャラで、この役をオファーされて引き受ける女優は日本には10人もいないのではないか。本人およびハンドラーたちにはぜひともこの路線を継続してもらいたい。

説明台詞に頼るのではなく、わざとらしいキャラの配置で物語の方向性を示すというのは悪くない。田中麗奈が『 ナイトフラワー 』とほとんど変わらない役柄だったが、なっちゃんはしばらくこの路線で安泰か。

ネガティブ・サイド

何もかもが中途半端に感じられた。禍禍女が好いた相手を100パーセント殺し、両目を持ち去るのが怖いのか。それとも想い人が死んでなお思い続け、あまつさえ怪異に対して復讐を果たそうとする早苗が怖いのか。それとも呪いの力をほしいままにしようとする人間が怖いのか。二兎どころか三兎を追って、バランスを崩したか。

南沙良への追い込みも足りない。アトリエで宏の像相手に壮大な自慰行為(あくまで比喩だが)をさらすシーンはロングのワンショットで観たかった。また宏へのとんでもないプレゼントを作るシーンも見せるべきだった。イッた目であれを処理する女子大生を演じられるのは南沙良ぐらいしかいないのだから、そこに彼女を追いこむべき。

食べ物への異物混入は社会情勢的にありなのか?近年は「本作撮影時に動物に危害は加えられていない」云々の宣言が出るが、本作がきっかけで「本作の撮影に際して食べ物を粗末に扱うようなことはしておりません」という表示が出るようになる、というのは考えすぎか。

色々なホラー・ジャパネスクに対するオマージュが盛り込まれていたが、それらがオマージュではなくクリシェになっていた。オマージュは敬意から来る遊び心であって、定番のシーンや構図を入れておけばいいというものではない。クズ男が怪異に無残に殺される、さらに霊能者もあっさり殺されるというのは『 来る 』で見た。禍禍女そのものも『 リゾートバイト 』でそっくりのやつがいた。

独自の恐怖のセンス、たとえば禍禍女が人間に変化する、あるいは人間が禍禍女に変化する。そのスイッチが好かれている側の気持ちではなく、そのことに嫉妬する者の気持ちだったら?そうしたプロットに集中すれば、呪いの女と異常な恋心の女のバトルという新しい路線を生み出せたのでは?これは監督ではなく脚本家への注文か。

爆破エンドですっきりするのは監督以外にいるのか?

総評

観終わった直後、「何じゃこりゃ?」だった。ちょっと無理をして詰め込み過ぎ、かつホラーなのか、コメディなのか、リベンジスリラーなのか、ジャンルもはっきりしなかった。シェアハウスはノイズ。狂った女はストーリーの中では早苗だけでいい。本当は30点だが、南沙良の演技で10点おまけしておく。南沙良ファンなら必見。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

banned words

職業側、使ってはいけない言葉を受講生に教えていたが、よくよく考えるとこれは矛盾している。近年のAIキャラと会話できるアプリの進化は凄まじいが、そこで使用禁止語句が設定されているものは実は結構珍しい。そうした禁止語句は banned words と呼ぶことが多い。本作では南沙良がとんでもない banned words を連発するシーンが白眉である。

次に劇場鑑賞したい映画

『 ペンギン・レッスン 』
『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, コメディ, スリラー, ホラー, 南沙良, 日本, 配給会社:K2 PicturesLeave a Comment on 『 禍禍女 』 -クレイジーな三角関係-

『とれ! 』 -平均以上の青春ホラーコメディ-

Posted on 2026年1月18日2026年1月18日 by cool-jupiter

どれ! 60点
2026年1月17日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:中島瑠菜 まいきち
監督:コウイチ

 

『 蔵のある街 』の中島瑠菜主演ということでチケット購入。

あらすじ

母親と二人暮らしの美咲(中島瑠菜)は高校卒業後の進路として心ならずも就職を希望していた。ある日、親友の皐月(まいきち)に触発されて撮影した動画に心霊現象と思しきものを捉えていたことからバズってしまう。これが収益になると思った二人は、さらなる心霊動画を撮ろうと画策して・・・

ポジティブ・サイド

主な登場人物は美咲、皐月、美咲の母、霊能者、これだけ。舞台も学校、家庭、廃墟だけ。非常にコンパクトで、人間関係も理解しやすい。

また物語もシンプル。将来に悩む女子高生が、その悩みは金で解決できると思い、動画収益で一攫千金狙いというもの。バカバカしいがリアルでもある。中島瑠菜とまいきちはそろって童顔なので女子高生っぽさがあった。

 

廃墟のシーンはそれなりに怖さの演出があった。貼り紙はけっこう古典的なネタだが、凝りすぎておらず女子高生が考え付きそうにも思える。神と悪霊、両方が憑くのは珍しい。しかも、悪霊はサラリーマンで、いかにもサラリーマンという無念と呪いに満ちている。それが滑稽というか哀れというか。悪霊に同情して、神様に怒ってしまうというのもユニークだ。

 

最後はちゃんと美咲の成長物語になっていて、ホラーっぽいオチもついた。

 

ネガティブ・サイド

ネタバレぎりぎりのラインで言えば、神様の元ネタは『 千と千尋の神隠し 』のカオナシかな。神様が憑くというアイデアは間違いなく希少性が高いのだから、そのアイデアはもっと独自に発展させてほしかった。

 

看護師の母がいて、看護師の知り合い多数のJovianからすると、奥菜恵演じる美咲の母はかなりエキセントリックに感じられた。普通の会社勤務の女性と比べると、女性看護師の未婚・独身率の低さ、かつ離婚率の高さには驚くべきものがある。さっさと結婚して、気に入らなければすぐに離婚するのが看護師である。そうした多くの看護師の中で、美咲母は草々なマイノリティだろう。

 

子どもが家の経済状態を心配するのは有難迷惑だが、ちょっとネットで看護師の収入を調べれば、音大や美大には行けなくとも、地元の公立なら十分行かせてくれると思うはずだが・・・

 

総評

ホラー風味の青春映画 feat. 家族 という映画である。インディーズっぽさ全開だが、それなりに趣向を凝らしていて楽しめる。霊能者が有能なのも珍しい。また神様が日本的な八百万の神という感じなのも個人的にはポイントが高い。個人的には中島瑠菜で本格ホラーが見たい。というか、誰か中島瑠菜で『 富江 』の新作を撮ってみてはくれないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Evil spirit, be gone!

悪霊退散の意。たしか『 パラノーマル・アクティビティ 』で使われていた。直訳すれば「邪悪な霊よ、消え失せろ」となる。除霊系のホラーでそれなりに使われている表現と思われる。ハロウィーンの時期にホラー映画マラソンをする向きは、この表現が聞こえてくるかどうか耳を澄まされたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 MERCY マーシー AI裁判 』
『 長安のライチ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, コメディ, ホラー, まいきち, 中島瑠菜, 日本, 監督:コウイチ, 配給会社:KADOKAWA, 青春Leave a Comment on 『とれ! 』 -平均以上の青春ホラーコメディ-

『 悪魔のいけにえ 』 -4Kデジタルリマスター鑑賞-

Posted on 2026年1月13日 by cool-jupiter

悪魔のいけにえ 75点
2026年1月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ガンナー・ハンセン
監督:トビー・フーパー

 

風邪で体調イマイチなので簡易レビュー。

あらすじ

サリー、ジェリー、フランクリン、カーク、パムの5人は、テキサス州のフランクリンの実家を目指す途上で屠殺場で働く男を乗せる。しかし男は不審な言動を見せ、果てはフランクリンをナイフで傷つける。男を放り出した5人は何とか目当ての館に到着するが・・・

ポジティブ・サイド

構成やらショットなど、既視感を覚えるものばかりだが、それは逆に本作がそれらのクリシェを生み出したということ。言い換えればこの分野の古典的な作品になっているということだ。

 

面白いのは、ボロボロの館ではなく、外見がきれいに整った館の方に殺人鬼が潜んでいるのは新鮮だった。

 

効果音もBGMもなく、いきなり殺されていく面々。このテンポの良さよ。グロ描写は一切なし。それでいて観る側が凄惨な殺人シーンを想起するのは、屠殺方法の話、動物や人間の骨、そしてチェーンソーの駆動音によるところが大きい。低予算ゆえの怪我の功名か。

 

結局、最も恐ろしいのは超自然的なホラーよりも、理解できない人間の方なのだ。ラストの荒れ狂うレザーフェイスで、『 母なる証明 』のラストシーンを思い出した。ポン・ジュノ監督が本作からインスピレーションを得ていたとしても何の不思議もない。アカデミー賞で監督賞を受賞した際にテキサス・チェーンソーに言及しているからだ。

ネガティブ・サイド

ほうきでペチペチ叩くシーンはギャグにしか見えなかった。

 

元焼肉屋としては、屠殺場で働く人々に偏見を与えかねない作品になっているところが気になった。

 

総評

4Kリマスターでなければ、おそらく夜の逃走と追跡シーンなどは、かなり見づらい絵になっていたのでは?その意味でも劇場鑑賞する価値はあると言える。『 13日の金曜日 』のジェイソンや『 ハロウィーン 』のマイケル・マイヤーズといった仮面の大男の原点はレザーフェイスにあり。今の目で見るとチープかもしれないが、古典だと思って鑑賞しよう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

have seen better days

直訳すれば「(人・物が)より良い日々をすでに見た」となるが、実際のニュアンスは「(人・物が)ピークを過ぎた」ということ。We’ve got to admit Nishikori has seen better days. =錦織の全盛期は終わったということを認めなければならない、のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 万事快調 オール・グリーンズ 』
『 とれ! 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1970年代, B Rank, アメリカ, ガンナー・ハンセン, ホラー, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 悪魔のいけにえ 』 -4Kデジタルリマスター鑑賞-

『 WEAPONS/ウェポンズ 』 -Where are the children?-

Posted on 2025年12月16日 by cool-jupiter

WEAPONS/ウェポンズ 65点
2025年12月14日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ジュリア・ガーナー ジョシュ・ブローリン ケイリー・クリストファー
監督:ザック・クレッガー

 

子どもが消える、というあらすじ以外なにも知らずに鑑賞。メアリ・クラークの『 子供たちはどこにいる 』的なテイストを期待したが、全然別物だった。

あらすじ

深夜2時17分、17人の子どもたちがベッドを抜け出し、夜の闇の中へ走り去っていった。姿を消したのは、みな同じクラスの子たち。そして一人、アレックス(ケイリー・クリストファー)だけが残された。親たちに疑惑の目を向けられた担任教師ジャスティン(ジュリア・ガーナー)は調査を始めるが、街では奇妙な出来事が起こり始め・・・

ポジティブ・サイド

子どもたちが消えたという事象とその後の余波を、街の様々な人間の視点から見つめていく構成が面白い。最初は教師のジャスティン、次に保護者のアーチャー、続いて警察官のポールと視点が目まぐるしく変わっていく。登場人物ごとに同じものを見ていながら、異なる視点からそれを見ているというのが面白い。

 

一人の視点が別の視点に切り替わる際、常に驚きと恐怖をもたらしてくれるのが新鮮。特にハサミが出てくるシーンはかなりの恐さを感じさせてくれた。また、トレイラーでも特徴的だった子どもたちの走り方だが、あれを大人がやるとかなり怖い。そうそう、その人物絡みで『 ミッドサマー 』以上の人体破壊描写があるので、耐性がない人は鑑賞しない方がよい。

 

途中の人物でギャグもしくはコメディ担当のような人物がいるが、これは必要な措置。普通に考えれば17人もの子ども、それも小学生が一斉に消えたのなら、その行先というか潜伏先は・・・おっと、これ以上は無粋か。ただ観ている側としては「普通に考えれば□□は△△だ」と考えるが、その理由や背景が皆目見当がつかない。そこは終盤に明かされるので、楽しみにしてほしい。

 

ネガティブ・サイド

うーむ、それにしても本作も『 シェルビー・オークス 』同様にかなりの竜頭蛇尾。『 フィールド・オブ・ドリームス 』のレイの奥さんが登場してきたあたりから、ストーリーが一気にきな臭くなる。いや、本当はアーチャーが巨大な幻を空に見た瞬間から「あ、これはアカン」と感じたが、それをもっと確信させられたのが某シーンのテレビで解説されている生き物と、それと同じ発音の属性を持つ人物の登場シーン。そんなんありかと思わせてくれる。No pun intended. 

 

ここから物語は一気に『 ロングレッグス 』的かつ『 ゲットアウト 』的になる。アメリカ人はこういうのが好きなのか?こちとら散々、『 イノセンツ 』的な展開、あるいは小説の『 スラン 』や『 アトムの子ら 』の正反対を行くような展開(それならWEAPONSという不穏なタイトルの説明もつく)を予想していたのに、裏切られた気分である。またはシオドア・スタージョンの『 人間以上 』や映画化もされた『 光る眼 』のように、子どもが子どもだけで何か特別にすごいことをする、あるいは邪悪なことをするという展開にならなかったのは残念で仕方がない。

 

最後の展開はホラーとギャグの紙一重。個人的にはギャグかな。ただ、教育や政治、あるいは戦争に関するメタファーだと言えなくはない。が、それはないか。

 

総評

結局のところ作り手と波長が合うかどうかなのだが、序盤から中盤にかけては文句なしに面白いし、否応なく引き込まれる。記事の副題にさせてもらった Where are the children?=『 子供たちはどこにいる 』も中盤までは超一級のサスペンスかつミステリで、終盤で失速する。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Woe is me.

「自分はなんてかわいそうなのだろう」という非常にアルカイックな表現。『 はじまりのうた 』での終盤で歌われる Lost Stars の歌詞の一部に Woe is me. があり、そこで知った表現。普通に学習していても、まずお目にかからない表現だが、Subzinなどで調べると映画の台詞では結構ヒットする。ただし、古風かつ大げさな表現であることには注意。わざとらしく自虐する時にだけ使うべし。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 ナタ 魔童の大暴れ 』
『 消滅世界 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, ケイリー・クリストファー, ジュリア・ガーナー, ジョシュ・ブローリン, スリラー, ホラー, 監督:ザック・クレッガー, 配給会社:ワーナー・ブラザーズ映画Leave a Comment on 『 WEAPONS/ウェポンズ 』 -Where are the children?-

『 シェルビー・オークス 』 -クリシェ満載の竜頭蛇尾-

Posted on 2025年12月14日2025年12月14日 by cool-jupiter

シェルビー・オークス 40点
2025年12月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:カミール・サリバン
監督:クリス・スタックマン

 

個人的に大好きで、英語の勉強の参考にさせてもらっていた映画批評家YouTuberのクリス・スタックマンの脚本および監督作品ということでチケット購入。

あらすじ

YouTube配信グループのひとり、ライリーがシェルビー・オークスで疾走した。仲間の惨殺死体が発見されるも、ライリーの行方は不明なまま。12年後、思いがけない形でライリーの失踪と彼女の仲間の死の真相に迫るテープを手にした姉のミア(カミール・サリバン)はライリーを探し出すためシェルビー・オークスへと向かう・・・



以下、本作品および他作品のマイナーなネタバレあり

ポジティブ・サイド

序盤は面白い。YouTubeでの配信というアイデアはリアルだし、そうした人間はどんどん過激なコンテンツを追い求めていく傾向にあるのも事実だ。

 

ヒントの出し方も巧み。いきなりマイルズが死亡するが、その最後の台詞が She finally let me go. であり、この She が誰を指すのかで観る側は疑心暗鬼になる。パラノーマルな現象が起きるシーンで気温が下がるのを吐く息が曇ることで表現するのもうまい。

 

より興味深いシーンはビデオ映像。序盤のライリーのビデオでは、窓の反射に重要なものが移っていることが後に分かるが、それは中盤のライリーのビデオでも窓の反射に注意を払えというヒントになっている。なかなか凝った趣向で、見方を必要最低限だけ提示するという、ある意味で観客を信頼した演出であると言える。

 

そうそう、最後のクレジットで出資者名がずらりと表示されるが、中に Shelby Begayさんというシェルビーの名を冠した人がいる。目に自信があれば探してみよう。

ネガティブ・サイド

ライリーをはじめとしたパラノーマル・パラノイズの面々が遭遇していた超常現象が本物なのか偽物なのかをもっと曖昧に見せるべきだった。誰もいない廃墟の小学校でいきなりドアが閉まるシーンも、カメラをドンピシャのタイミングでそっちに向ければ、「ああ、仕込みね」と思われても仕方がない。そのあたりの虚実をうまく曖昧なままにしておかないと、ホラーやスーパーナチュラル・スリラーの要素が一気に萎む。そして、本作はまさにその愚を犯した。

 

ミアがいきなりシェルビー・オークスに旅立つあたりから一気に物語は陳腐化する。基本的にすべてどこかで観たことのあるシーンや展開のパッチワークで、

 

『 ブレア・ウィッチ・プロジェクト 』
『 オーメン 』
『 ローズマリーの赤ちゃん 』
『 エクソシスト 』
『 へレディタリー/継承 』

 

のようなメジャーどころが頭に思い浮かぶ人が多いはず。

 

突っ込みどころは数々とあるが、ネタバレになるのでやめておく。ただ、どうしてもこれだけは言いたい。クリス・スタックマンは『 ミスター・ガラス 』のネタバレ・レビューで 

 

One of them should have realized he could just cover their eyes 

 

とまっとうな批判をしていたが、同じように言わせてもらえば、 

 

Either Mia or Riley should have realized she could just close the curtains 

 

となるだろうか。

 

街の衰退をひとりの人物に結び付けるのはあまりにも非合理的。そして、その理由が悪魔に憑かれていたというのはもっと非合理。そして、ミアがそう信じる契機が囚人のコメントって・・・

 

また冒頭で死亡するマイルズの刑務所入りの期間を2002年~2007年の5年間としているが、これは6年間の間違いでは?単純ミスではすまない。なぜなら、この期間にライリーの夜驚症が収まっていたことになっているから。なんでこんな設定レベルのところでミスるかな・・・

 

謎の老婆というホラーでは見飽きた設定をここでも採用。悪魔よ、本当にことを為したいなら、使うのは老婆ではなくもっと若い女性もしくは男性だぜ・・・

 

総評

料理評論家が料理の達人でないのと同様、映画のレビュワーが必ずしも優れた映画監督とは限らない・・・と結論付けるのは早い。クリスが自分の我を通した結果がこうだったのか、それとも手慣れたスタッフたちの意見に耳を貸してこうだったのかで、評価は大きく分かれるはず。ただ、いずれにしろ、映画の出来についての評価を最終的に負うのは脚本家であり監督。その意味で決して良いデビュー作であるとは言えない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

abandon

捨てる、の意味。ごみを捨てるのではなく希望や乗っている乗り物、住んでいる土地などを捨てるという文脈で使う。『 果てしなきスカーレット 』でも地獄門にラテン語でRelinquite omnem spem, vos qui intratis と刻まれていたような。英語にすると Abandon hope, all ye who enter here. で「ここに入る者は希望を捨てよ」となる。 戦争映画などでは Abandon ship! や Abandon Area 3! のように使われる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 WEAPONS/ウェポンズ 』
『 ナタ 魔童の大暴れ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, カミール・サリバン, ホラー, 監督:クリス・スタックマン, 配給会社:KADOKAWALeave a Comment on 『 シェルビー・オークス 』 -クリシェ満載の竜頭蛇尾-

『 ハンサム・ガイズ 』 -ホラーとコメディの融合作-

Posted on 2025年10月17日2025年10月17日 by cool-jupiter

ハンサム・ガイズ 60点
2025年10月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イ・ソンミン イ・ヒジュン コン・スンヨン
監督:ナム・ドンヒョプ

 

シリアスな作品を連続で鑑賞したので、箸休めに本作のチケットを購入。

あらすじ

強面のジェピル(イ・ソンミン)と筋骨隆々のサング(イ・ヒジュン)は山奥に夢のマイホームを購入。しかし、近くに遊びに来ていた大学生グループのミナ(コン・スンヨン)を湖から助けたことから、大学生たちに殺人鬼だと勘違いされ・・・

ポジティブ・サイド

おっさん二人で家を買うという関係性がいい。「ハンサムな俺たちがモテないのは、モテようとしていないからだ」という発言も笑ってしまう。なるほど、この映画は一見して冴えない二人がモテるようになるストーリーなのだな、と分かりやすく予感させてくれる。

 

対するは、よくあるイケイケの大学生グループ。これが車で黒山羊を轢き殺してしまったことで、悪魔がよみがえってしまう。何を言っているのかわからないかもしれないが、『 破墓 パミョ 』みたいなものだと思えばよろしい。

 

ミナが殺人鬼に捕らえられたと勘違いした一団が、一人、また一人とアホな死に方をしつつ、死ぬことで悪魔の手先として復活する展開には笑った。と、同時にとある大学生の死にざまと復活は極めてまっとうなホラーになっていたりもする。バランスがいい。序盤の家のリフォーム作業や、その際に見つかった以前のオーナー神父の所有物も、終盤にしっかり効いてくる。

 

最後はほのぼの。モテるとは、不特定多数の異性から人気抜群になることではない。得難い異性の友を得ること、それができれば、そいつらはきっとハンサムだ。

 

ネガティブ・サイド

大学生がミナの奪還に乗り出す理由が弱い。もっと『 愚行録 』的な内容だったら、その後の言動との整合性がより強くなったと思うのだが。

 

ジェピルが理不尽にボコボコにされるシーンは、何らかの方法でもっとシリアスさを減じることはできなかったか。かなり胸が痛むシーンだった。男子大学生は、このシーンがあろうとなかろうと、すでに十分に嫌な奴。なので、彼にヘイトを集めるという意味も薄かった。

 

I don’t know English. と言っていた神父が(文字通りに)大きく成長して登場。なので、本当の意味での成長も見てみたかった。ラテン語を読めると思えるシーン(病室の床頭台の上のテクスト)があったのだから、『 エクソシスト 』のカラス神父よろしく、ラテン語を話すぐらいはしてほしかった。

 

総評

最初の30分ぐらい、本気でジェピル=イ・ソンミンだと気付かなった。それぐらいメイクも濃かったし、表情の作り方も違う。本当にカメレオン俳優だと思う。ホラーというにはコメディでありすぎ、コメディというにはホラーでありすぎる。ジャンル・ミックスの成功作品で、韓国宗教に関する知識がなくとも問題なく楽しめるライトな作品。度を越したグロ描写はないが、想像するのもはばかられるような死に方が一つあるので、そこだけは注意のこと。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヌグセヨ

韓国ドラマや映画でしょっちゅう聞こえてくる。意味は「どちら様ですか」で、ドア越しでも電話でも使える。意味としては Who is it? もしくは Who are you? である。次に韓国のドラマや映画を観る時には、ぜひ耳を澄ましてみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 さよならはスローボールで 』
『 ハウス・オブ・ダイナマイト 』
『 恋に至る病 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, イ・ソンミン, イ・ヒジュン, コメディ, コン・スンヨン, ホラー, 監督:ナム・ドンヒョプ, 配給会社:ライツキューブ, 韓国Leave a Comment on 『 ハンサム・ガイズ 』 -ホラーとコメディの融合作-

『 8番出口 』 -平々凡々な脚本-

Posted on 2025年9月8日2025年9月8日 by cool-jupiter

8番出口 40点
2025年9月6日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:二宮和也 河内大和 浅沼成
監督:川村元気

 

鑑賞予定はなかったが、本作のモデル駅がJR大阪天満宮駅だという説に興味を惹かれた。なぜならJovianは毎日同駅の8番出口から会社に向かっているから。というわけでチケット購入。

あらすじ

地下鉄で派遣先へ向かっていた男(二宮和也)は、不思議な空間に迷い込み、出られなくなってしまう。異変がなければ進み、異変があれば引き返し、そして8番出口から出ることという謎のルールに従って、男は前へ進んでいくが・・・

ポジティブ・サイド

なんといっても謎のおじさんを演じた河内大和が抜群の存在感を放っている。あの歩き方、曲がり方、表情の作り方、止まり方、そのすべてがリアル。ここでいうリアルとは、こんなおじさんは絶対に存在しないはずなのに存在してしまっているという意味。

 

ゲームに忠実で、異変のあるべき場所もだいたい同じ(だった気がする)。通路の雰囲気も確かに大阪天満宮駅の8番出口脇から伸びて左に曲がっていくやや上りのスロープの場所とよく似ていた。9番出口を出てちょっと北に進むと某専門学校がある。KOTAKE CREATEはこの学校出身なのかもしれない。

ネガティブ・サイド

最初の5分でストーリーの展開と着地点が見えてしまった。ある程度映画を見慣れている人の多くがそう感じたのではないだろうか。そうしたキャラクターの背景を一切抜きにして、理不尽かつ意味不明なゲームの世界をまず最初に提示する。そして通路のポスターなどを、たとえば病院主催のパパママ教室にするなどして、主人公の葛藤を言葉ではなく主人公の表情やたたずまいから感じ取らせる。そういう演出は不可能だったか。

 

主人公のキャラクターがほとんどそのまま『 グーニーズ 』のマイキーだったり、異変とともに出てくるクリーチャーが古今東西でおなじみの姿だったり、異変の一つが『 シャイニング 』のパクリだったり、とにかくオリジナリティがない。

 

そもそも基のゲームに存在した理不尽なゲームオーバーがない。おじさんがいきなり目の前に迫ってくるという異変に対して背を向けることができずにゲームオーバー、そして → 0番出口 の掲示の前からリスタート・・・のような理不尽さがないと、異変の危険度というか、異変をどれくらい真剣に捉えなければならないかといった真剣度が高まらない。

 

異変を見逃さないということは、逆に言えば我々はそれだけ世の中の変化を見逃している、あるいは世の中の変化を拒んでいるとも言える。それを一つのテーマに挙げるのは結構だが、そのことを主人公が悟るのではなく、まったく別のキャラクターの口から語らせるのは、凡百の邦画がやってしまう安易な方法で、本作もその陥穽にはまってしまっている。やたらけばけばしい女子高生キャラクターは不要だった。もっと言えばおじさんのパートも不要だった。

 

本作は二宮やら小松やらの名のある俳優が出てくるが、それがノイズになっているように感じた。『 侍タイムスリッパー 』や『 最後の乗客 』のように、無名だが実力あるキャストをそろえて撮影してほしかった。そうすれば観ている側も感情移入できるし、代り映えのしない駅のコンコースにもより注意を向けられるようになると思うのだが。

総評

Jovianは原作は未プレイ。だが、Jovian妻がHIKAKINの配信動画を観ていたのを時々横から眺めてはいた。映画にするならゲームに忠実に作りつつ、オリジナルなアイデアを盛り込んでほしかった。本作は残念ながら原作の再現度もオリジナル要素もどちらも中途半端。駄作とまでは言わないが、面白いとも言えない。貯まっているポイントを消化して無料鑑賞するのはあり。配信やレンタルを待つのもありだ。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

anomaly

異変や異常を指す単語。はじめて知ったのは小説『 星を継ぐもの 』の原著 “Inherit the Stars”でだった。解剖学的異常など、医学の分野で使うことが多いが、同小説では月のレゴリスの放射性同位元素の不均衡な分布を指してアノマリーという言葉を使っていた。調べてみたところ、『 8番出口 』の異変も anomaly と訳されている。英語学習者はこれを機に本単語も覚えてみよう。

次に劇場鑑賞したい映画

『 蔵のある街 』
『 侵蝕 』
『 ブロークン 復讐者の夜 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, スーパーナチュラル・スリラー, ホラー, 二宮和也, 日本, 河内大和, 浅沼成, 監督:川村元気, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 8番出口 』 -平々凡々な脚本-

『 近畿地方のある場所について 』 -見るも無残な映画化-

Posted on 2025年8月10日 by cool-jupiter

近畿地方のある場所について 20点
2025年8月9日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:赤楚衛二 菅野美穂
監督:白石晃士

 

小説『 近畿地方のある場所について 』の映画化ということでチケット購入・・・ではなく、ポイントで無料鑑賞。この判断は結果的に正解だった。

あらすじ

オカルト雑誌の編集長が特集記事の校了を前に失踪した。編集者の小沢(赤楚衛二)は旧知のライターの千紘(菅野美穂)と共に編集長の行方と彼の追っていた対象の謎を探ろうとするが・・・

 

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

首吊り屋敷の和室や子ども部屋は、活字だけでは出せないおどろおどろしさがあった。

 

団地の子供たちの遊びのシーンからは原作同様の不穏さが感じられたし、自分で想起していた真っ白様(小説では真っ白様なのである)のイメージにもマッチしていた。

 

ネガティブ・サイド

小説と異なる構成になるのは仕方がないが、再構成の仕方を派手に間違えている。

 

第一に、原作の有していた断片的なエピソードの数々が少しずつ重なり合っていく過程がすっとばされてしまったこと。第二に、雑誌の読者が編集部に送ってくる多数の気味の悪いエピソードが全カットされてしまったこと。第三に、原作が何度も繰り返す「近畿地方のとある場所についてはこれで終わりです」という不穏なフレーズに代わるシーンあるいはセリフが用意できなかったこと。

 

原作では行方不明なのは小沢だが、まあ、それはいいだろう。問題は編集長。私用PCに仕事の情報を全部詰め込んでいるなどというのは、普通なら懲戒ものだ。というか私用でも会社用でもいいからクラウド使わんかい。脚本家は二重の意味でアホなのだろうか。また編集長の残した膨大なデータのごく一部だけしかないと言いながら、そのどれもが核心に迫るものばかりだというのはご都合主義すぎないか。

 

原作ではじいさんが語るまさるのエピソードをばあさんが語る昔話にしてしまったが、それはもう昔話ではなく怪談。しかも別に怖くない。原作のエピソードを再現しようとすると『 犬鳴村 』の亜種になるので変更したのだろうが、そこは『 福田村事件 』を参考にすればいいだろう。

 

その後、どこかで見たようなシーンや演出のオンパレード。編集長の死に方に脚本家も監督も分かっていないと慨嘆させられた。そこは頭ではなく目を貫くところ。その描写から逃げている時点でホラーとして失格。ほかにも中途半端なシーンのオンパレード。最後も『 NOPE / ノープ 』と『 トゥルース・オア・デア 殺人ゲーム 』のパクリかな。

 

漫画家の芦原妃名子氏が亡くなる前の日テレかどこかのドラマ脚本家たちの座談会で、ひとりが「私は原作者ではなく原作さえあればいい」というような発言をしたとされている。今回の監督および脚本家も似たような意識を持っていたのでは?ヒットした小説がある。それを映画にできる。割のいいビジネスだ。ぐらいにしか感じていなかったのかな。原作者は本作を観て何を思うのだろうか。

 

最後の最後も脱力させられた。エンディング曲がなぜか東京を事細かく描写。近畿地方がテーマちゃうんかい・・・

 

総評

映画化ではなくドラマ化した方がよかったのでは?一話30~45分の全6~8話程度の深夜ドラマにすればよかったのでは?その方が原作の持つ、断片的な情報が徐々に輪郭を成していく過程をもっと上手く描き出せただろう。まあ、夏恒例の糞ホラーのひとつとして割り切ろうではないか。原作を読んだのなら本作の鑑賞は必要なし。本作を観て納得がいかなければ、竜頭蛇尾ではあるが原作を読んでみよう。途中のサスペンスは間違いなく小説の方が上である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

sacrifice

犠牲、身代わりの意味。旧約聖書の昔からあった概念で、最も古く、かつ有名なのはアブラム(後のアブラハム)のイサク献供だろう。本作の陳腐さの大部分はオリジナリティの無さに起因することを記録する意味で、この語を紹介しておきたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 桐島です 』
『 エレベーション 絶滅ライン 』
『 ジュラシック・ワールド/復活の大地 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, E Rank, ホラー, 日本, 監督:白石晃士, 菅野美穂, 赤楚衛二, 配給会社:ワーナー・ブラザーズ映画Leave a Comment on 『 近畿地方のある場所について 』 -見るも無残な映画化-

『 28年後… 』 -ツッコミどころ満載-

Posted on 2025年7月2日 by cool-jupiter

28年後… 30点
2025年6月29日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:アルフィー・ウィリアムズ アーロン・テイラー=ジョンソン ジョディ・カマー レイフ・ファインズ
監督:ダニー・ボイル

 

『 28日後… 』と『 28週後… 』の続編ということでチケット購入。

あらすじ

レイジウィルスによってイギリス全土が隔離されて以来、28年。ある島で細々と生き残っていた人々がいた。ジェイミー(アーロン・テイラー=ジョンソン)は12歳の息子スパイク(アルフィー・ウィリアムズ)を連れて、本土のゾンビ刈りに同行させるが・・・

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

新型ゾンビ・・・ではなく感染者が環境に適応しているというのは、それはそれで面白かった。森に生きる感染者と平原で生きる感染者が異なった生態を示していたのは説得力があった。また異種感染しないという『 28週後… 』の設定も引き継がれていたことが確認できた。感染者を生化学的に分析・攻略するシーンもあり、人間が生きるためにはサイエンスが物を言うことを再確認した。

 

アルファというボスゾンビ・・・ではなくボス的感染者はゲーム『 バイオハザード 』のタイラントあるいはネメシスみたいな感じで、割とすんなり受け入れられた。

 

ネガティブ・サイド

いくら前作で米軍が同士討ちもあって壊滅したとはいえ、世界がイギリスをここまで放置するか?いや、本土はいいとして、離島で生き残った人は保護されてしかるべきだろう。それとも、多くのブリティッシュが自認するようにイギリスは嫌われていることを殊更に明示しているのか。

 

島の人々が Tom Jones の Delilah の大合唱をしていたが、いったい時代はいつなのか。仮に2025年だとしても、さすがに60年前の歌を年寄りだけではなくそれなりに若い世代まで歌えるのか?レコードなどの機械はいっさい見当たらなかったが。

 

そもそも何故に安全な島から出て、本土を目指すのか。もちろん医薬品やら衣料品やら日用品やら使える物は色々と見つかるだろうが、28年も経過してしまうとそれも望み薄だろう。だったら男子のイニシエーションなのか?学校はなくても、子どもを軍事教練に駆り出しているシーンがあったが、学校でこそ感染者の実態を教え込むべきだろう。ジェイミーが実地でスパイクに色々と教え込んでいたのは、フィールドワークならありだが、サバイバルでは愚の骨頂。

 

島そのものが天然の要害になっているが、干潮時の防御がなにもないとはこれ如何に。アルファが矢を10本食らっても倒れなかったというデータがあるなら、矢を20本打つとか、あるいはボーガンを作って威力を上げる、トラバサミのような罠を使うなど、色々と対策はあったはず。それが全くなかったというのは28年あれば人間はアホになるということか。

 

感染者の妊娠というのは中盤で明示されていたし、アイデアとしては誰でも思いつく。漫画『 寄生獣 』で似たようなアイデアはすでに出ていたし。問題はその子どもが〇〇〇だということ。胎盤の奇跡とは・・・仮に胎盤がウィルスをシャットアウト(できるわけないが)したとして、普通に分娩時に経産道感染するはず・・・ なので子どもは『 28週後… 』同様に無症候型キャリアで良かった。また、子どもの父親はアルファであると暗示されていたので、それを元に280年後あるいは28世紀後の地球をゾンビ・・・じゃなかった多数の感染者と本当に細々とだけ残った原始人的人類の物語につなげられただろうに。

 

スパイクが医者を求めてドクター・ケルソンのもとを目指すのは分からんでもないが、まともな教育を一切受けていないスパイクがケルソン先生の診察過程や診断内容を理解できたようには到底思えない。にもかかわらず、あの結末を母親だけではなくスパイクが受け入れる?ちょっと考えづらいのだが。

 

というかケルソン先生も感染者に効くモルヒネとかを、どこでどう調達して28年も維持できたのか。医者というよりも薬学者、それも西洋ではなく漢方薬寄りの学者である。トリカブトやらスズランやら、普通に感染者を安全に殺せそうな毒をこの先生なら調合できそうだが、そういうわけでもないらしい。というか、アルファをストップさせたのなら、そこでもっと大量にモルヒネをぶち込んで殺さんかい、と思ってしまう。

 

島民以外の人間の存在も示唆されていたが、それがラストのあいつら?いくらなんでもあの世紀末軍団があんな見せしめ的な行為に走るだろうか。というか、感染者とのバトルで使う武器が貧相で泣けてくる。普通に体液をまき散らす武器および戦い方で、よくこれで生き延びてこれたなと感心した。

 

続編がありそうな雰囲気だが、たとえ制作されても見ない。コレジャナイ感が非常に強い作品だった。

 

総評

当初から各方面のレビューが賛否両論だった。ということは波長が合えば面白く、波長が合わなければ面白くないわけで、こういう丁半を賭けたばくちも時には必要だ。英語レビューでも賞賛はたくさんあるので、本当に監督や脚本家との相性次第だと思う。ひとつ言えるのはデートムービーではないということ。またファミリーで観るのもお勧めできない。カップルあるいはお一人様での鑑賞が無難である。

 

Jovian先生のワンポイントラテン語レッスン

Memento amare

直訳すると、Remember to love となる。Memento は singular の imperative で、amare は to love という英語のto不定詞的な形。合わせて Remeber to love となる。有名な Memento mori は Remember to die だが、ラテン語には形は受動態しかないが意味は能動態という動詞が、loquor, sequor, morior, utorなど、いくつもある。20年以上前の授業の内容でも結構覚えているもので、自分でもびっくりしている。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 フロントライン 』
『 この夏の星を見る 』
『 愛されなくても別に 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アーロン・テイラー=ジョンソン, アメリカ, アルフィー・ウィリアムズ, イギリス, ジョディ・カマー, ホラー, レイフ・ファインズ, 監督:ダニー・ボイル, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 28年後… 』 -ツッコミどころ満載-

『 近畿地方のある場所について 』 -やや竜頭蛇尾か-

Posted on 2025年6月29日 by cool-jupiter

近畿地方のある場所について 60点
2025年6月24日~26日にかけて読了
著者:背筋
発行元:KADOKAWA

 

ずっと積読にしていた作品。映画がもうすぐ公開されるらしいので、それに先んじて読んでみた。

あらすじ

取材の過程で消息を絶った小沢君の仕事を追っていく中で、私は彼が近畿地方のある場所を中心とした怪異を追っていることを知り・・・

 

ポジティブ・サイド

普通の小説とはかなり趣が異なる。登場人物がいて、時間が設定されていて、行動範囲がある程度特定されていて・・・ということがない。というのも、しばしばネットの書き込みが挿入されるから。言ってみれば、珍談奇談怪談風味の四方山話の寄せ集めなのだが、それがだんだんと近畿地方のある場所に収束していく流れは面白い。

 

怪異の始まりがアングラ系サイトというのも現代的。貞子がVHSから様々なメディアに乗り換えてたり、『 シライサン 』がネットの大海原を漂うように、怪異も時代に合わせてアップデートが必要。それを説得力ある形で提示できているところが素晴らしい。

 

個人的に面白かったと感じたのは林間学校、シール、そしてキャンプ場か。特にシールは、実際にありそうな話、というか、トクリュウ系の強盗の下見としてシールが使われているという報道があってから、街中であちこち目が行くようになってしまったので、余計にリアリティを感じた。

 

巻末に綴じられた取材資料があるのだが、これがなかなかに興味深い。個別のエピソードのネタバレ満載なので決して読了前に開くこと勿れ。

 

ネガティブ・サイド

近畿地方のある場所とぼかされてはいるが、近畿=二府四県で狭義の「県境」が存在するのは奈良と和歌山の間しかない。かつ、山があってダムもあるとなると奈良しかない。もっと廃寺やら廃小学校やら、ありふれた舞台を使えば、読みながらもっと疑心暗鬼になれるのに、と少しもったいなさを感じた。

 

怪異に関する謎が収束していく過程は楽しめたものの、収束していく先は正直なところ拍子抜け。

 

近畿地方の方言が最後のインタビュー以外、ほとんど出てこない。その最後のインタビューも、相手はかなりの年配者のはずだが、その特徴がない。おそらく取材もしていないのだろう。奈良や和歌山、あるいは大阪でも河内長野あたりを越えると明らかに標準関西弁とは異なってくる。そうした雰囲気を文字だけで伝える努力はすべきだった。

 

総評

途中まではまさにページを繰る手が止まらないが、終盤でとある調査が行われるあたりで???となり、最後のオチにはドン引き、かつ溜息が出る。でも、これはこれでいいではないか。我々は往々にして最後に残った印象で作品を判断しがちだが、そこに至るまでのゾクゾクやハラハラドキドキも評価しなければならない。そういう意味では十分に佳作以上。映画の脚本がどこを削って、どこを膨らませたのか、非常に気になる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Now that I’ve come this far,

作中に何度も出てくる「ここまで来たら」の私訳。ここまで来たら〇〇〇に行ってみる=Now that I’ve come this far, I am going to go to 〇〇〇. のように言える。come this far は物理的な距離についても使えるし、比喩的にも使える。仕事もしくはキャリアの上で飛躍できた歳に、I never imagined I could come this far. と呟いてみようではないか。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ラブ・イン・ザ・ビッグシティ 』
『 28年後… 』
『 フロントライン 』

 

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Posted in 国内, 書籍Tagged 2020年代, C Rank, ホラー, 日本, 発行元:株式会社KADOKAWA, 著者:背筋Leave a Comment on 『 近畿地方のある場所について 』 -やや竜頭蛇尾か-

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