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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ヒューマンドラマ

『 湯道 』 -もっと銭湯そのものにフォーカスを-

Posted on 2023年3月15日 by cool-jupiter

湯道 55点
2023年3月12日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:生田斗真 濱田岳 橋本環奈
監督:鈴木雅之

 

温泉や銭湯の愛好家なら要チェックに見える本作。Jovianも風呂は大好きである。したがってチケット購入。

あらすじ

東京で建築家として働く三浦史朗(生田斗真)だが、仕事が来ない。そんな中、父の訃報が入るが、多忙を理由に帰郷もしなかった。しかし、いよいよ実家の銭湯「まるきん温泉」を畳むべきだと考えた史朗は、実家を訪れる。住み込みで働くいづみ(橋本環奈)と弟・悟朗(濱田岳)と出会った史朗は、なりゆきでしばらく銭湯で働くことになり、個性豊かな常連客たちと触れあっていき・・・

ポジティブ・サイド

生田斗真と濱田岳が兄弟に見える。雰囲気が、というよりも見た目が。ヘアドレッサーやメイクアップ・アーティストの方々が素晴らしい仕事をしたのだろう。トレイラーの時点では「この二人が兄弟?」と感じたが、実際に鑑賞して違和感はゼロだった。

 

昭和は昔になりにけりと思うことが多い令和の時代だが、確かに昔の銭湯は男湯と女湯の距離が近かった。Jovianも小さなころはたまに家族で銭湯に行っていたが、そういう時は親父に「もうそろそろ上がるって、お母さんに言うてきて」と言われて、番台前ののれんをくぐって、女湯に入って、伝言していたなあ。育った地域にもよるだろうが、40代以上の世代なら、子供の頃にそうした経験をしたことがある人が多いのではないだろうか。本作はそうしたノスタルジーも呼び起こしてくれる。

 

常連客も多士済済。寺島進や笹野高史はベテラン夫婦の味わい深いやりとりを披露してくれるし、天童よしみは意外な人物とのデュエットを披露、その美声が健在であることを教えてくれる。

 

こうした愉快で人情味あふれる地元の常連たちとの触れ合いと、銭湯をやめさせたい兄と銭湯を続けたい弟の確執のコントラストがドラマのひとつの軸になっている。そこにいづみが絡むことで、深刻なはずの対立が緩和される。いづみは番台に花を活けているが、いづみ自身がしっかりとまるきん温泉の花になっている。

 

本作の表のテーマをそのまま湯道とするなら、裏のテーマは時代に取り残された遺物をどうすべきか、ということになるのだろう。色々な撮影上の制約もあるのだろうが、本作では銭湯に入ろうとする子どもがいない。客はごく一部を除けば、すべて中高年である。つまり、若い世代は昔ながらの銭湯に魅力を感じていないのだ。そして、高齢者ばかりが銭湯で憩う。そうした現状は憂うべきなのか、それとも理の当然と受け入れるべきなのか。

 

ひとつ確かなのは、風呂は入る人間を幸せにするということだ。そして、幸せとは今まで気づくことがなかった小さなことを喜べることがその本質である。トレイラーに出てきた五右衛門風呂には、Jovianも二度ほど入ったことがある。友人の実家の広島の田舎に五右衛門風呂があったのでそこで入った。さらに、大学生時代に寮の裏庭で先輩や同級生たちとドラム缶を調達してきて、そこで入った。広島では貴重な体験をしたぐらいにしか思わなかったが、大学時代に寮の裏庭で五右衛門風呂に浸かった時は確かに気持ち良かった。ただ、次の瞬間に、まさに生田斗真がポツリと呟く台詞と同じことをJovianも感じた。その後の某キャラの教えも印象的。太陽ほど身近な存在はないが、その光に我々は実はどれほど多くを負っているのか。当たり前のことを当たり前と受け取るのではなく、蛇口をひねれば清潔で安全な水が出るということが、どれほど有難いことなのかを思い起こす必要がある。

ネガティブ・サイド

冒頭から刺青入りのヤクザが登場する。尼崎市民のJovian的には杭瀬あたりの銭湯でかつてよく見た光景だが、映画でやることか?ヤクザがかっこいいなどと思う若者が出てこなければいいが・・・

 

映画の根本を否定するように聞こえてしまうかもしれないが、湯道のパートは必要か?日米首脳会談の裏に湯道があったとか言われても、面白くもなんともないし、寒い親父ギャグの連発にも笑えない。風呂に入る時の所作が云々というのも、それを小日向文世が実際に自宅の風呂やまるきん温泉で実践するシーンを見せてくれないと意味がないのでは?撮影しなかった?それとも編集で削った?いずれにせよ『 湯道 』というタイトルながら湯道パートがまったくもって必要であるとは感じられなかった。

 

源泉かけ流し至上主義というのも意味不明。吉田鋼太郎のキャラ自体、必要か?各家庭に風呂がついていることと公衆浴場が存在することは全く矛盾しない。どの家にもキッチンがあるのだから外食産業は無意味だ、と言っているのに等しい。この温泉評論家の先生は完全なる蛇足に感じられたし、この先生抜きでもまるきん温泉の常連客たちと史朗、悟朗、いづみが一致団結できる展開は描けたはず。

 

全体的にもうちょっと銭湯らしさおよび銭湯愛好家の風情を出してほしかったとも思う。役者も忙しいのだろうが、風呂上りで頭をふきふきしているシーンがいくつかあったが、明らかに濡れていない。というか風呂上がりに見えない。もっと入浴後という心も体も温まっているというシーンを視覚的にアピールすべきだった。風呂場のケンカで二人ともずぶ濡れのはずなのに、次の瞬間には完全に乾いているのには苦笑した。

 

総評

鈴木雅之監督の作品としては『 プリンセス・トヨトミ 』に次いで面白い作品。ただし、風呂そのものへのフォーカスという点では『 テルマエ・ロマエ 』の方が優れている。Jovianは「古き良き」という形容があまり好きではないが、銭湯はスーパー銭湯よりも番台のある昭和型の銭湯の方が好きである。我が尼崎は一時期は150以上の銭湯が営業していたが、今では30と少しらしい。近所の昭和温泉には月一程度で通おうと思う。昭和にノスタルジーを感じる中年以上の世代にお勧めしたい映画。もちろん、若い世代の鑑賞も歓迎である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

retirement money

 

読んで字のごとく退職金の意。retireは定年退職するという動詞で、その名詞はretirement。それにmoneyをつければ、そのまま退職金となる。我々の世代は退職金はもらえるのか?もらえても、アホみたいに課税されるのだろうか?

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 Winny 』
『 シン・仮面ライダー 』
『 シャザム! 神々の怒り 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, コメディ, ヒューマンドラマ, 日本, 橋本環奈, 濱田岳, 生田斗真, 監督:鈴木雅之, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 湯道 』 -もっと銭湯そのものにフォーカスを-

『 シャイロックの子供たち 』 -カタルシスとディテールが弱い-

Posted on 2023年3月11日 by cool-jupiter

シャイロックの子供たち 50点
2023年3月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:阿部サダヲ
監督:本木克英

仕事が繁忙期なので簡易レビュー。

 

あらすじ

東京第一銀行・長原支店に務めるお客様係の西木(阿部サダヲ)は、同支店で発生した100万円の現金紛失事件を密かに調査していた。そこには支店の不可解な融資が絡んでいるらしいと気付いた西木は、やがて支店を超えた銀行の闇に迫っていく・・・

ポジティブ・サイド

銀行のブラック体質がよくよく描けている。Jovianの大学の先輩、同級生、後輩は銀行員だらけだが、だいたい皆ソッコーで辞めていく(まあ、ICU卒はだいたいどんな職場ですぐに辞める傾向が強いのだが)。とある先輩が銀行での業務を「毎日がクロイワとファイナル前だよ」とおっしゃっておられた、その空気が本作からありありと感じられる。

 

*クロイワというのは、まあ、大昔のICU第一男子寮のイニシエーションの一環。興味のある方はここにその一端が書かれているので、読んでみるのも乙かもしれません。

 

出演する俳優たちの多くに力があり、演じているのではなく、もともとそういう人なのだと感じられるぐらいにハマっていた。特に橋爪功と忍成修吾は最高だった。古典の名作と、そこに込められたメッセージを上手く融合させた佳作。

ネガティブ・サイド

銀行は15時ピッタリに窓口が閉まって、現金やら伝票の照合をして、それを本店に報告して、本店はさらにお上に報告する。何かが足りなければ、それこそシュレッダーの紙クズすら丹念に見ていくと聞いたことがある。そうした銀行の実態からすると、あるキャラのある行動はあまりにも軽率。というか、ご都合主義的。

 

担保もないのに億のカネを融資するというのもリアリティに欠ける。不動産会社の取引先となるデベロッパーについても、よくよく調べてこそ銀行。そのあたりを全部すっ飛ばすのは尺の関係で仕方がないのかもしれないが、結果として綿密に練られた悪事が最後にすべて白日の下に晒されるというカタルシスではなく、当事者だけがダメージを受ける展開に矮小化されてしまった。

 

総評

池井戸潤作品としてはカタルシスが弱い。『 七つの会議 』や『 空飛ぶタイヤ 』の方が個人的には波長が合った。ただ『 アキラとあきら 』が銀行と大企業の話だったのに対して、本作は銀行と市井の人々の話。その意味で、こちらの方が親しみやすいし共感しやすいという人も多くいるだろう。苦みのあるエンディングとはいえ、勧善懲悪ものとして見れば悪い作品ではない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Payback is a bitch!

たしか『 ローグ 』でも紹介した表現。「やられたら倍返し!」の私訳(というかWWEなどからのパクリ)。I’ll pay you back double! は字義的かつお上品に聞こえる。別に文字通りに2倍をお返しするというわけではなく、やられた以上にやり返すという意味なので、上の表現でいいと思う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 湯道 』
『 少女は卒業しない 』
『 Winny 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ヒューマンドラマ, 日本, 監督:本木克英, 配給会社:松竹, 阿部サダヲLeave a Comment on 『 シャイロックの子供たち 』 -カタルシスとディテールが弱い-

『 レッドシューズ 』 -演出と脚本に課題あり-

Posted on 2023年2月26日 by cool-jupiter

レッドシューズ 35点
2023年2月25日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:朝比奈彩 市原隼人 佐々木希
監督:雑賀俊朗

Jovianはボクシングファンである。これまでにYouTubeやDVD交換なども含めて何千試合と観てきたし、BoxRecの修正もちょっとだけしたこともある。そんなマニアの目からすると、本作はボクシング的リアリティが欠落していると言わざるを得ない。

 

あらすじ

真名美(朝比奈彩)はシングルマザーのボクサー。収入が安定しないことから、娘の親権を義母と争う事態に。そんな中、正義感から同僚をかばった真名美は、職場を解雇されてしまう。新たに介護施設で働き始めるも、そこでも理不尽な入所者がおり・・・

ポジティブ・サイド

冒頭シーンにはハッとさせられた。ボクシングは足でやる、とはジムなどでよく言われることだが、足さばきだけを見せるシーンは日本のボクシング映画では斬新。これは期待してよさそうだ。

 

シングルマザーの社会的・経済的な陥穽をよくよく描けている。20年前から、日本というのは一度すべり落ちてしまうとセーフティネットに引っかからない社会になっているが、真名美もその一例になっている。

 

その真名美を演じた朝比奈彩は、『 100円の恋 』や『 ケイコ 目を澄ませて 』に続く新たな女性ボクサー像を生み出した。鏡の前で愚直にワン・ツーを繰り出すシーンでは、背骨を軸にした体の使い方ができていた。『 ボックス! 』の市原隼人がトレーナー兼会長として存在感を放っていた。漫画『 リクドウ 』を映画化するなら、所沢京介を市原に演じてほしい。

ネガティブ・サイド

大きな弱点が2つ。1つはストーリー上の破綻。何故に弁護士の親友がいて、親権についてだけ相談しているのか。弁当屋を理不尽に解雇されたことや、介護施設でのセクハラ被害や恫喝被害、それに傷害容疑についても普通に正当防衛を主張すべきだし、それが認められる可能性も高い。相手は前科(という言葉は不適当だが)多数で、杖を振りかざす、暴言を吐く、体を触る、かつ目撃者多数、被害者が複数なら正当防衛成立やで。別に顔面にパンチ入れたわけでもないし。セクハラジジイが警察に通報したとしても、真名美がすべきは弁護士の親友を呼ぶことだし、施設がすべきも警察に事象を正確に伝えることだった。いきなり留置場に入れられるのもおかしい。真名美に逃亡やら罪証隠滅やらの恐れがあるのか?韓国映画の警察ならいざ知らず、ほんまに日本の警察か?

 

他にも、えみの親権を母親の真名美と祖母の松下由樹(キャラの名前は?)が争うこと自体が疑問。そもそも祖母は「親」ではないので親権は得られない。家裁や弁護士は何やってるの?というか、祖母に一定の経済的援助をするようにアドバイスしたり、その代わりに「お祖母ちゃんと過ごす日」を一定数必ず設けるなどの離婚調停&親権争いにありがちな提案は無理なのか?松下由樹が再生医療を研究しているのも、ストーリーに直接影響を与えていない。そこは目をつぶるとしても、半年で論文を書き上げて大学院に進んだというのは、???だ。そりゃ子育てしながらの論文執筆はさぞしんどかっただろうと察するが、そこは学部レベル。本当にしんどいのは修士や博士課程では?

 

もう1つの弱点はボクシングそのもの。監督は少しでもボクシングを観戦したのかな?ボクシング界を少しでもリサーチしたのかな?最初の真名美の試合で、真名美がホールディングを注意されるが、同時に相手選手にもキドニー・ブローの注意を与えなさいよ。右のまぶたをカットして流血してるシーンでも、カットマンの市原が薄めたアドレナリンを塗ったスティックを、傷の様子も見ずに押し当てるシーンもあったが、あんな処置は論外。血が自然に止まっているかもしれないところに、いきなり圧力かけて、それで傷が開いたらどうするの?一瞬でいいから傷に目をやれ。見ていて頭を抱えたわ。

 

6か月でチャンピオンになります宣言も同様に頭を抱えた。国内王者ならまだしも、世界王者?WBMがどういう団体かは知らないが、まあ、WBAかWBC、またはWBOに相当する団体だろう。ランク7位の真名美と売り出し中の新人の勝者が、挑戦者決定戦?そして世界王者が日本人?韓国やアフリカ、中南米勢は存在しないのか?しかも会場が東京や大阪ではなく、北九州市?真名美のどこにそんな集客力が?思いっきり野次られてたやんけ。スポンサーの安川電機様の力か?(ちなみに同社は弊社の上得意先のひとつ。いつもお世話になっております!!!)

 

ボクシングの練習も色々とおかしい。普通はミット打ちでパンチのコンビネーションやガードやブロック、ボディワークやフットワークの形を作る。しかし、ミットの位置と実際の人体の弱点の位置は必ずしも一致しない。そこをスパーリングで実際の人間を相手にすることで微調整する。ところが真名美のやっているトレーニングはこれの反対。スパーしてからミット打ち。セオリー無視も甚だしい。

 

肝心のチャンピオンに挑む試合前にも、トレーナーの市原は左右のスイッチからの左アッパーを提唱。いや、右こぶしを痛めているのだから、別にその戦術は否定しないが、アッパーをぶち込める間合いを作る下準備はないんかな。ビデオを見ると、グイグイ前に出てくるタイプで、フライ級としては標準的な身長と体格。一方の真名美はフライ級とは思えない長身とリーチ。だったら、出てくる相手を止めるために

1.ジャブで止める
2.ワン・ツーで止める
3.カウンターで止める

などのセオリーをまずは叩き込むべきでは。真名美も自分で自分の長所にフットワークを挙げておきながら、試合中に自分でコーナーを背負ったりする。モハメド・アリやパーネル・ウィテカーが戦術的にロープを背負って、ロープ・ア・ドープをすることはあったが、自分からコーナーを背負うのは自殺行為やで。それに敗戦明けの最初のロードワークの走りは、とてもアスリートのそれには見えなかった。その他のボクシング映画は現役あるいは元プロやボクシング経験者が製作に携わっているが、本作のクレジットを見る限り、北九州のジムの名前くらいしか出てこなかった。アドバイザーは絶対に必要だったと思われる。

 

その他にも、セクハラを断罪するような前半と打って変わって、中盤以降の市原の距離の近さと身体接触の多さは、ちょっとトレーナーとトレーニーを超えている。連打連打でグロッキーになってリングに倒れて息も絶え絶えになっている真名美に向かって「気持ちいいだろ」と言い放つのは雑賀監督の欲望の発露か。これじゃあ、介護施設のセクハラジジイと一緒やないか。本当に気持ち悪い演出だった。

 

その他にも未就学児童のえみが簡単に外に出て、あちこち行けてしまうのは何なのか。船にまで乗っていたが、検札はしないのか。船着き場で普通に迷子のアナウンスをしたり、場合によっては警察に通報しなければおかしい。ボクシング会場でもリングサイドにまで行けるというのは、映画的には必要だろうが、現実にはまったく考えられない。

 

終わり方も拍子抜け。結局問題は何一つ解決しないまま、お涙頂戴で幕となる。生活とボクシング、そのどちらも追求できないまま終わるのは、脚本家の力不足と断じるしかない。

 

総評

ボクシング映画というのはハズレが少ないジャンル。女性ボクサーものとなると尚更だ。しかし、残念ながら本作は明確にハズレである。実力のあるキャストが精一杯演じてはいるが、監督の演出が悪く、脚本の質も悪いため、物語そのものの面白さが感じられない。キャストのファンなら観賞はありかもしれないが、ボクシングというスポーツあるいは映画ジャンルのファンにはお勧めしない。チケットの購入は自己責任でどうぞ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

single mother

日本語と同じで、シングルマザーは single mother と言う。というか、日本語が英語と同じか。ポリコレ的な配慮から、single parent という呼称の方がよく使われる。知っておくべき表現の一つ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エゴイスト 』
『 銀平町シネマブルース 』
『 シャイロックの子供たち 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, E Rank, スポーツ, ヒューマンドラマ, ボクシング, 佐々木希, 市原隼人, 日本, 朝比奈彩, 監督:雑賀俊朗, 配給会社:SDPLeave a Comment on 『 レッドシューズ 』 -演出と脚本に課題あり-

『 対峙 』 -緊迫の対話劇-

Posted on 2023年2月20日 by cool-jupiter

対峙 75点
2023年2月18日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ジェイソン・アイザックス マーサ・プリンプトン リード・バーニー アン・ダウド
監督:フラン・クランツ

日本は犯罪者だけではなく、その家族にも異様に厳しいが、犯罪大国アメリカはそのあたりどうなのか。本作は非常に緊迫感のある対話劇であった。

 

あらすじ

高校生による銃乱射事件が発生。多くの生徒が死亡し、犯人も図書室で自らを撃って死亡した。事件から数年後、被害者の息子の父ジェイ(ジェイソン・アイザックス)と母ゲイル(マーサ・プリンプトン)はセラピストの勧めにより、とある教会で加害者の父リチャード(リード・バーニー)と母リンダ(アン・ダウド)と出会い、対話を持つことに・・・

ポジティブ・サイド

4人の親たちの台詞のみが部屋に響く。そこに派手な効果音や観る側の情緒を揺さぶるようなBGMは一切ない。これにより、ドキュメンタリー的な作品とは一味違うリアリティのある作品に仕上がっている。カメラワークも、序盤はひたすら定点カメラからの映像で、ここはドキュメンタリー的に感じる。しかし、終盤からは手振れのあるカメラワークとなり、まるで観ている自分もその場にいるかのように感じさせられた。

 

肝心のストーリーはどうか。非常に珍しい。低予算映画ほど台詞だらけになりがちだが、本作は演じる役者たちが、言葉に魂を乗せている。愛する者を失った者の悲嘆や、理不尽な死に対する怒りなどが、観客に存分に伝わってくる。

 

本作の特徴として「見せない」ということが挙げられる。数々の写真のやりとりがなされるが、どれ一枚として映されることはない。また、悲惨極まりない銃乱射事件やその余波についても大いに語られるが、回想シーンも全くない。本作は観る側の想像力を信頼している。それは、そのまま「あなたが被害者の親になったとしたら?」、「あなたが加害者の親になったとしたら?」という問いにつながっている。

 

この被害者の両親と加害者の両親が出会い、言葉を交わすことの意味とは何か。ここで対峙する彼ら彼女らの言葉について語るのは無粋だろう。なので、ちょっと違う角度から。本作の原題は Mass である。これは日本語で「ミサ」の意。Jovianは一応、国際基督教大学で宗教学(といってもキリスト教ではなく古代東洋思想史だったが)を専攻していたし、先輩後輩同級生にはキリスト者がたくさんいたし、そんな学生やOYRと呼ばれる留学生たちとミサに出たこともある。ミサとはめちゃくちゃ分かりやすく言うと、人間関係の完成である。

 

キリスト教の教えの一つに「汝の敵を愛せ」というものがある(余談だが、国際基督教大学から割りと近い府中市には「酒は人類の敵である。汝の敵を愛せ」という看板を掲げた酒屋があった)。もちろん、劇中で誰かが Love your enemies などと言うわけではない。しかし、舞台が教会でタイトルが「ミサ」ということは、本作が提示するひとつの結論は融和であると言える。馴染みのある人は多くないかもしれないが、本作を鑑賞する際はキリスト教的価値観を少しだけ意識してみてほしい。

 

ネガティブ・サイド

オチが弱いというか、アメリカ人的な死生観というか人生観というか、そういったものは結局『 ウインド・リバー 』で開陳されたものと何一つ変わらない。結局のところ、アメリカ人の精神に刻まれた陰影の濃さは、昔も今もあまり変わらないということなのだろう。

 

序盤のジェイとゲイルの車内の会話はカットしてよかった。同様に最後の最後にリンダによって語られるエピソードも不要であると感じた。見せないことで想像させる手法を貫いたのだから、語らないことで想像させる手法も貫くべきだった。

 

総評

非常にユニークな作品。ひたすら語りで進んでいくが、その言葉の一つひとつが非常に重い。まるで舞台劇を観ているかのように感じられる。日本をはじめとする東洋では、個人の罪によって三族皆殺しがありうる。過激極まりない考え方だが、この思想は現代にも残っている。高畑淳子がとっくに成人した息子の犯罪でコテンパンに叩かれたのは記憶に新しい。家族が犯罪加害者になってしまった、あるいは犯罪被害者になってしまった時、自分は何に、どのように向き合うべきなのか。それを示唆する、非常に現代的な作品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

in hindsight

「今にして思えば」、「後から思い起こしてみると」のような意味。ほぼ同じ意味の表現として in retrospect もあるが、こちらの方が少しフォーマルな印象がある。英語中級者なら知っておきたい表現。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エゴイスト 』
『 銀平町シネマブルース 』
『 シャイロックの子供たち 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, アン・ダウド, サスペンス, ジェイソン・アイザックス, ヒューマンドラマ, マーサ・プリンプトン, リード・バーニー, 監督:フラン・クランツ, 配給会社:トランスフォーマーLeave a Comment on 『 対峙 』 -緊迫の対話劇-

『 イニシェリン島の精霊 』 -内戦の擬人化劇-

Posted on 2023年2月13日 by cool-jupiter

イニシェリン島の精霊 75点
2023年2月11日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:コリン・ファレル ブレンダン・グリーソン ケリー・コンドン バリー・コーガン
監督:マーティン・マクドナー

カナダ人元同僚が絶賛していたのでチケットを購入。『 スリー・ビルボード 』には及ばないが、佳作であると言える。

 

あらすじ

1923年、イニシェリン島。パードリック(コリン・ファレル)は親友コルム(ブレンダン・グリーソン)から一方的に絶交を宣言される。パードリックは自分に何か至らぬことがあっただろうと真摯にコルムに謝罪するが、コルムは「これ以上関わるなら自分の指を切り落とす」とまで宣言して・・・

ポジティブ・サイド

イギリス映画の特徴である乾いた空気感は本作でも健在。対照的に人間関係は非常にウェットである。田舎の特徴と言ってしまえばそれまでだが、この島に登場する人々は老いも若きも他人との距離が近い。というか距離がない。プライベートな領域に遠慮会釈なく踏み込んでくる。こうした島だからこそ、コルムの突然の絶交宣言にはパードリックのみならず周囲の人間も困惑させられる。

 

絶交とはいうものの、パードリックとコルムはそれなりに言葉を交わせる。絶交とは?と観ている側が疑問に思い始める頃に、コルムは有言実行、自らの指を切り落とす。まさに衝撃の展開となるわけだが、パードリックはそこで怯まない。それでもコルムとの友情を取り戻そうともがく。だがコルムは全く応えない。当てつけのように、島を訪れた音大生たちと夜な夜なパブで交流を持つ。このあたりからパードリックも変わり始めていく。コルムとの友情ではなく対立を選んでいく。その過程で、コルムが音大生と交流し始めたように、パードリックも横暴な経験の息子ドミニク(バリー・コーガン)と奇妙な交流を持っていたが、その関係も壊れていく。妹のシボーン(ケリー・コンドン)もやがて島から去っていく。

 

コルムとパードリックの対立は、最後には『 スリー・ビルボード 』並みの惨事につながっていく。おかしなもので、人間同士がどこまでも対立しても、それに巻き込まれる動物に対しては、コルムもパードリックもお互いに人間らしさというか優しさを見せる。人間らしさとは何なのかと考えさせられる。Homo homini lupus. 人は人に狼という言葉を思い出した。また、パブの男たちが「昔は敵と言えばイングランド人だったが、今ではIRAだか政府軍だかで、意味が分からない」と言っていた。何のことはない台詞かもしれないが、当事者ではない者だと、昔も今も洋の東西を問わず、人間の意識はこの程度であるということを痛烈に皮肉っていると感じた。たとえばタリバンと聞いて、2001年以前にどれだけの人が認識できただろうか。Bellum omnium contra omnes. 万人の万人に対する闘争と言うが、人間は常に争うものなのか。そしてその争いには周囲は無関心なのか。そして争っている者同士の関係はいったん変質してしまえば、元には戻らない。コルムが指をなくしても、コルムはコルムである。たとえパードリックの良き友であったコルムではなくなってもコルムはコルムなのだ。国民を多少戦争で死なせても、国家の政体は変わらないのか。昔のアイルランドではなく今日のロシアを見ているとそう思えてくる。

 

コリン・ファレルの演技が絶品。100年前のアイルランドの片田舎の退屈な男をまさに体現した。対峙するブレンダン・グリーソンも偏屈ジジイを怪演。憎悪とは異なる感情から絶交するという難しい役どころを見事に解釈したと感じる。他に演技面で光ったのはバリー・コーガン。ここ数年で急激に頭角を現しつつある。本作のちょっとおかしな青年という役は、『 母なる証明 』のウォンビンのそれに匹敵するほどに感じた。

 

『 スリー・ビルボード 』が個人の赦しの物語であったとするなら、本作はその反対、つまり国家の対立を擬人化したものと言えるかもしれない。ロシアとウクライナの戦争開始から一年になんなんとし、台湾有事やら防衛費倍増やらと日本を取り巻く環境も激変している。イニシェリン島の精霊は世界のどこにでもいるのかもしれない。

 

ネガティブ・サイド

ドミニクのたどる運命というか、彼の結末が物悲しい。事故なのか、それとも自分の意志なのか。そこをあいまいにしたところに不満を感じる。ドミニクは、とある自分の行動の結果にとことん絶望したというシーンを入れてほしかった。そうすればイニシェリン島という場所の閉塞感が更に強調されたものと思う。

 

イニシェリン島のバンシーを体現していたと思われる黒衣の老婆のキャラは不要だったように感じた。

 

総評

内戦と聞くと、職業柄か個人的な嗜好からか、どうしてもアメリカ南北戦争が思い浮かぶ。が、アメリカが The United States of America であるように、英国も The United Kingdom である。『 二人の女王 メアリーとエリザベス 』から歴史が分かるように、彼の国はバラバラの国が一つにまとまっているのだ。鑑賞時にはそうした背景を知っておく必要がある。『 ウルフウォーカー 』は、ローマやイングランドに攻め込まれるアイルランドの謂いになっていたが、本作のコルムとパードリックの関係は、単なる個人同士の諍いではなく、内戦や国家間の戦争の愚かしさを傍観するしかないという無力感を味わわせてくれる。なんとも疲れる映画である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

There goes ~

~がなくなる、~がダメになる、の意。劇中では There goes that theory. = その理論はダメだ、のように使われていた。

There goes my PC. = PCが壊れた
There goes my money. = カネがなくなった

のように、結構なんにでも使える表現。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エンドロールの続き 』
『 日本列島生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た! 』
『 対峙 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, イギリス, ケリー・コンドン, コリン・ファレル, バリー・コーガン, ヒューマンドラマ, ブレンダン・グリーソン, 監督:マーティン・マクドナー, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 イニシェリン島の精霊 』 -内戦の擬人化劇-

『 グッドバイ、バッドマガジンズ 』 -コメディではなくシリアスドラマ-

Posted on 2023年2月6日 by cool-jupiter

グッドバイ、バッドマガジンズ 70点
2023年2月4日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:杏花
監督:横山翔一

シネ・リーブル梅田で予告編を何度か観て、面白そうだと感じたのでチケット購入。コメディ要素はあるものの、結構シリアスな人間ドラマに仕上がっていた。

 

あらすじ

女性誌編集を希望しながらも、男性向け成人誌の編集で採用された詩織(杏花)。卑猥な画像や物品に囲まれたオフィスで仕方なく働くも、女性編集者の澤木やライターのハルに影響を受け、徐々に仕事に打ち込むようになっていく。そして女性向け成人誌の創刊というチャンスを掴むことになるが・・・

ポジティブ・サイド

東京オリンピックに関しては2023年の今でも超巨額の談合やら何やらが今も捜査されているが、その巨大スポーツ利権イベントの裏でコンビニの店頭から消えたエロ雑誌とそれらを作る人々のドラマに焦点を当てたのはかなり目の付け所が秀逸であると感じる。

 

まずは主演の杏花の演技が素晴らしい。就職難の中、コネで雑誌社に就職するも、配属先は男性向け成人誌の編集部門。うら若き乙女にとってかなりアウェイの職場だろう。死んだ魚の目で来る日も来る日も女性のヌードがプリントされた紙をシュレッダーにかけていく日々。新人は雑用が主な仕事とはいえ、これはなかなかキツイ。しかしわずか数か月でたくましく成長する詩織。後輩社員に変わってキャッチコピーを考える様は圧巻。電光石火の早業で、次々に刺激的なエロの見出し語を生み出していく詩織の成長に、オッサンであるJovianは目頭が熱くなった。

 

詩織が成長できたのも自己研鑽だけではなく、周囲の仕事人の助けもある。落ち目のエロ本業界にあっても、良いものを作ればユーザーはついてくるという信念を持った仕事人がいるからこそ。逆にそうした人々が独立を志向して会社を去っていくのがリアルだった。残された面々も、しばしば営業と対立。これはどこの業界のどこの会社でも見られる光景だろう。うちのような語学教育会社でも、営業がクライアントに「弊社なら可能です!」とか堂々と宣言して、レッスンプランを考えたり講師に研修を実施するJovianのような教務担当が頭を抱えるというのは、日常茶飯事とまで言わないが、年に2~3回はある(口八丁の営業、ホンマええ加減にせえよ・・・)。

 

本作がお仕事ムービーとして優れている点は、仕事で盛大にやらかしてしまう展開を見せてくれるところ。ここで某キャラがやらかすミスは、サラリーマン的には洒落にならない類のものである。ミスの発生機序やその結果がもたらす影響が非常にリアルだった。

 

衰退産業にあっても個として雄々しく生きていくことができる。題材こそエロ本だが、そこに込められたメッセージは万人向けである。

ネガティブ・サイド

「テープがなければ中身で戦えた」という台詞には共感できなかった。昔も今も書籍やレンタルビデオ、レンタルDVDは中身ではなく外側で勝負してきたはず。飲食店なんかもそう。世の中の製品というのは、まずは外側で勝負しないと始まらない。このあたりを描いた小説に『 装幀室のおしごと。 ~本の表情つくりませんか?~ 』がある。

 

物語の軸が終始定まらなかった。仕事を通じて詩織が成長していくビルドゥングスロマンなのか、斜陽産業で頑張る人々を活写するお仕事ムービーなのか。どちらも追求するのではなく、どちらかに振り切るべきだった。途中からエロ雑誌の存在意義ではなく、人は何故セックスするのかにテーマが変質していったのも気になる。最後の展開は不要に思えた。

 

次々と社員が退社していく中、クビになる人もいるのだが、「え?クビだけですむの?社会的に抹殺されへんの?」という展開には少々鼻白んだ。

 

総評

雑誌の栄枯盛衰を描く物語としては『 SCOOP! 』や『 騙し絵の牙 』を上回る面白さ。全体を通して観るとトーンが一定しないが、一瞬一瞬の面白さはなかなかのもの。主演の杏花の成長は、この職場、この業界だからこそ、万人が応援できるストーリーに仕上がっている(最後以外は)。PG12作品だが、間違っても高校生あたりがデートムービーにできるものではない。大学生でもどうだろうか。35歳以上なら男性でも女性でも、お仕事ムービーとしてもエロ本の歴史ものとしても楽しめるはず。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

dirty magazines

タイトルにあるバッドマガジンズというのは低品質な雑誌、あるいはコンテンツが邪悪な雑誌という意味。英語ではエロ雑誌、成人雑誌は概して dirty magazines と言う。別に知っておく必要はないだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エンドロールの続き 
『 イニシェリン島の精霊 』
『 日本列島生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た! 』

 

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Posted in 国内, 映画, 未分類Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 日本, 杏花, 監督:横山翔一, 配給会社:日活Leave a Comment on 『 グッドバイ、バッドマガジンズ 』 -コメディではなくシリアスドラマ-

『 そして僕は途方に暮れる 』 -逃げて、逃げて、逃げた先には-

Posted on 2023年1月29日 by cool-jupiter

そして僕は途方に暮れる 70点
2023年1月28日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:藤ヶ谷太輔 前田敦子 中尾明慶
監督:三浦大輔

『 娼年 』の三浦大輔監督が、とにかく目の前の現実から逃げる男の話を作ったと知り、面白そうだと思いチケットを購入。

 

あらすじ

フリーターの菅原裕一(藤ヶ谷太輔)は、鈴木里美(前田敦子)と同棲していた。しかし、里美に浮気を問い詰められた裕一は、発作的に家を出てしまう。そして親友の今井伸二(中尾明慶)の自宅に転がり込むが・・・

ポジティブ・サイド

元々舞台劇だったようだが、その臨場感は映画でも健在。主演と監督が舞台と同じだからだろう。冒頭から主人公が絵にかいたようなクソ野郎で、まったく共感できない。いや、クソ野郎ではなくダメ野郎か。日本のモラハラ夫の大部分ははこのようにして生まれているのだろうし、いわゆるニートの一部もこのようにして生まれていると推測される。このダメ男がなにかあるたびに次から次へと逃げていく。そして行きついた先に、自分を超えるダメ野郎と出会い、どう変わっていいのか分からないが、とにかく変わろうと決心する。ここは少し共感できた。特に藤ヶ谷太輔が見せる泣きの演技は『 志乃ちゃんは自分の名前が言えない 』の南沙良の泣きの演技に匹敵する。

 

『 そばかす 』に続き、ここでも前田敦子が絶妙な演技を披露している。Jovianはすっかり前田ファンである。この前田演じる里美も良妻賢母(今はこの言葉を使ってもいいのだろうか・・・)的なキャラと見せかけて、非常に人間味のある失敗をして、観る側を戦慄させる。いや、里美だけではなく、裕一の周囲の人間すべてがそうで、まさに共感と反感をジェットコースター的に感じられる一作に仕上がっている。

 

いくつか第四の壁を破るかのようなセリフがあるが、裕一が最後の最後に何度もこちら=観客席を振り返るのは、そういうこと。あとは世間様が何とか尻拭いしてくれるという甘い期待を抱いているのだ。実際、(Jovianの見た限りでは)劇場に訪れていた人の多くは、中年女性のおひとり様あるいは中年女性の二人組だった。嗅覚の鋭い観客たちである。

 

ネガティブ・サイド

 

映画としての絵のつなぎ方に問題多々あり。夜中のにわか雨のシーンから姉の家に転がり込むところで、小さなハンドタオルで濡れネズミの裕一の全身が拭けるはずがないし、ソファにも座るべきではないだろう。その後、姉の家を飛び出したシーンでも水たまり一つなし。さすがに不自然。

 

裕一のヒゲも変だった。鼻下だけに少し生やしているが、そんなデザインができるような生活をしていないだろう。

 

野村周平がゴジラ映画を撮っていた(?)っぽいが、映画の中に新作映画のCMは入れなくてよい。

 

総評

個人的には共感6割、反感4割の作品。自分でも学校や仕事から逃亡したことがあり、裕一のダメ野郎っぷりにイライラさせられながらも、自分を重ね合わせて見る瞬間も多かった。備わらんことを一人に求むる無かれ。人生とは詰まるところ、他人同士の尻拭いなのかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Like father, like son.

「この父親にして、この息子あり」の意。母娘の場合は、Like mother, like daughter. となる。是枝裕和監督の『 そして父になる 』の英語タイトルも Like Father, Like Son だった。英検準1級以上を目指すなら知っておきたい表現。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ヒトラーのための虐殺会議 』
『 エンドロールの続き 』
『 イニシェリン島の精霊 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 中尾明慶, 前田敦子, 日本, 監督:三浦大輔, 藤ヶ谷太輔, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 そして僕は途方に暮れる 』 -逃げて、逃げて、逃げた先には-

『 そばかす 』 -アロマンティックという生き方-

Posted on 2023年1月23日 by cool-jupiter

そばかす 75点
2023年1月21日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:三浦透子 前田敦子 伊藤万理華
監督:玉田真也

簡易レビュー。

 

あらすじ

三十路になっても結婚せず、実家暮らしを続ける蘇畑佳純(三浦透子)に業を煮やした母親は、佳純に無断でお見合いをセッティングする。半ば騙されてお見合いをすることになったが、出会ったのはいきつけのラーメン屋の店主で、しかも彼は結婚を考えるよりも仕事に打ち込みたいと言う。佳純は彼と友達付き合いを始めるが・・・

ポジティブ・サイド

カメラワークではなく会話劇で魅せる。自宅の居間や職場の屋上など、何気ない日常のシーンをじっくりと切り取って、そこで交わされる言葉とその言外の意味でもってキャラクターの背景を語ってくれる。佳純と母親、佳純と父親、佳純と妹の会話の中身や、その声のトーンなどから、家族の人間関係が浮き彫りになってくる。非常に舞台演劇的で、Jovianは好きである。

 

三浦透子の自然体に見える演技がいい。アロマンティックやアセクシャルを公言する友人知人がいないので想像しかできなかったが、三浦の演技はその意味で非常にリアルだと感じた。村上春樹とは波長が合わないのだが『 ドライブ・マイ・カー 』にも少し興味が出てきた。

 

『 イニシエーション・ラブ 』あたりでは今一つだった前田敦子が、今や完全に女優になったなと感じる。『 食べる女 』や『 町田くんの世界 』あたりから進境著しい。Jovianは今作で前田のファンになってしまった。

 

シンデレラを書き換えるのは面白いし、実際には文学の世界では feminist theory の元、様々なおとぎ話がリライトされている。代表的なのはフィオナ・フレンチの『 スノー・ホワイト・イン・ニューヨーク 』だろうか。興味のある向きは大型図書館や大学の図書館などで借りてみよう。

 

ネガティブ・サイド

『 終末の探偵 』でも感じたが、BGMがうるさい。もっとシンプルにキャラクターのたたずないや風景だけで魅せてほしいと感じるシーンがいくつもあった。

 

最後のチェロの演奏シーンは正直ガッカリさせられた。音にではなく、演奏時の三浦の運指が音とあまり合っていなかった。『 セッション 』のマイルズ・テラーや『 ボヘミアン・ラプソディ 』のグウィリム・リーやベン・ハーディとまでは言わないが、玉田監督ならもっとリアリティにこだわって欲しかったし、三浦透子ならその期待にも十分に応えられると思うのである。

 

総評

『 僕の好きな女の子 』でも感じたが、Jovianは玉田真也監督と波長が合うらしい。男の普遍的な性質を活写する一方で、本作ではアロマンティックやアセクシャルという生き方を鮮やかにスクリーンに描き出した。本作はそうした生き方を素晴らしいと称揚しているわけではない。ただ、自分と同じ生き方を志向している人間はきっとどこかにいるのだ、ということを教えてくれる。実際にそうした人に出会えるかどうかは分からない。けれど、自分は独りではないと知ることは大きな empowerment になることは間違いない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

aromantic

ロマンティックに否定の接頭辞の a をつけたもの。意味は「恋愛感情を抱かない」。apathy = 感情がない、と構造的には同じ。sympathy = 気持ちが同じ = 共感、telepathy = 遠くの気持ち = テレパシー。asexual = 性的関心・欲求がないは生物学的にレアだと思うが、aromantic は割と普通だと思われる。romantic それ自体が元々が「ローマ的」という意味で、イクラ強力なミームであっても、一民族、一国家の性質を全人類に当てはめられるわけではないと考える。

 

ところで・・・外来語をカタカナで表記する際、元の語の成り立ちや読みやすさを考慮して、ア・ロマンティックのように書けないだろうか。最近、リスキリングという言葉が人口に膾炙するようになったが、これもリ・スキリングと書けば「スキルにイングがついて、死の前にリがついているのか」と感じられるようになる。ただ、そうするとリプレーをリ・プレーと書いたり、プレビューをプレ・ビューと書くことになるのか・・・ 外来語の翻訳と表記はかくも難しい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 そして僕は途方に暮れる 』
『 パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女 』
『 ヒトラーのための虐殺会議 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 三浦透子, 伊藤万理華, 前田敦子, 日本, 監督:玉田真也, 配給会社:ラビットハウスLeave a Comment on 『 そばかす 』 -アロマンティックという生き方-

『 終末の探偵 』 -裏社会と表社会のはざま-

Posted on 2023年1月20日 by cool-jupiter

終末の探偵 70点
2023年1月15日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:北村有起哉 武イリヤ
監督:井川広太郎

超絶繁忙期のため簡易レビュー。

 

あらすじ

しがない探偵の新次郎(北村有起哉)は、ヤクザと中国系マフィアのいざこざの元になった人物の捜索を依頼される。同じ頃、ミチコ(武イリヤ)という女性もクルド人の友人を探してほしいと依頼に訪れてきた。捜査を同時に進めていく中で、新次郎は別の巨悪の存在に近づいていき・・・

 

ポジティブ・サイド

北村有起哉の立ち居振る舞いが素晴らしい。正義の味方でもなく、ヤクザと友人関係にあるが、さりとて極悪人でもない。まさに表社会と裏社会のはざまに生きる探偵だと、ありありと感じられた。タバコをくゆらせながら旧知のヤクザと、おそらく最後となるであろう会話を交わすシーンは、

 

先日公開された『 ファミリア 』と同じく日本社会と移民の軋轢を描いているが、どうにも説教臭かった『 ファミリア 』よりも、本作の方がエンタメとしての純粋な面白さは上だと感じた。

 

『 マイスモールランド 』に続いてクルド人という、チベット人と同じく国を持たない民族出身の個人が失踪した。こうした寄る辺なき民に焦点を当てることには重要な意味があるように思う。ロシアによるウクライナ侵攻は、ある時突然自分が難民になりうるという可能性を世界に示した。そうした難民を受け入れるのか、拒絶するのか。それはそのまま自分の将来になっているのかもしれない。

 

ネガティブ・サイド

プロットがしょぼい。外国人を食い物にする者の正体は・・・って、これではテレビドラマではないか。昔の火曜サスペンス劇場を現代風に作り変えたら、こうなるのではないか。

 

ヤクザとマフィアが素手ゴロで決着というノリには個人的にはついていけなかった。『 初恋 』のような王道チャンバラでよかったのでは?

 

総評

テレビドラマの映画化と思うほどコンパクトな作品だが、逆にもう2~3本は同工異曲の作品を作ってみてもいいのではないか。劇場の入りもかなり良かった。映画館に足しげく通うようなファンなら、本作も是非チェックされたし。ニヒルで、それでいて熱い北村有起哉が堪能できる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

scavenger 

劇中で新次郎が自身を「俺は街のどぶさらいだ」と言うが、英語にすると I’m a scavenger. となるだろうか。scavenger と聞いて『 スター・ウォーズ エピソード7/フォースの覚醒 』を思い浮かべた人はナイス。元々は腐肉食動物を指すが、転じて廃品回収業者も指すようになった。古い関西弁を知っている人なら「ああ、ガタロみたいなものか」と感じることだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 そばかす 』
『 そして僕は途方に暮れる 』
『 パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, クライムドラマ, ヒューマンドラマ, 北村有起哉, 日本, 武イリヤ, 監督:井川広太郎, 配給会社:マグネタイズLeave a Comment on 『 終末の探偵 』 -裏社会と表社会のはざま-

『 ファミリア 』 -新たな家族像を提示する-

Posted on 2023年1月16日 by cool-jupiter

ファミリア 50点
2023年1月14日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:役所広司 吉沢亮 MIYAVI
監督:成島出

昨年末から気になっていた作品。『 ヤクザと家族 The Family 』とは異なる形で、新しい時代の家族の在り方を提示する野心作。

 

あらすじ

プラントエンジニアの学(吉沢亮)は、アルジェリア赴任中に現地で知り合ったナディアと結婚し、陶芸家の父・誠治(役所広司)のもとに彼女を連れてきた。その夜、地元の半グレ集団とトラブルに陥ったブラジル人のマルコスが誠治の仕事場に迷い込んできた。暴れるマルコスを誠治と学は必死で匿って・・・

ポジティブ・サイド

社会問題・時事問題をふんだんに盛り込んだ作品。特に、Jovianは2008年に某信販会社を辞めて、同年10月に富士重工関連会社から内定取り消しを食らった。リーマン・ショックの煽りで派遣切りが横行していた頃だ。また2013年当時は、大阪の某英会話スクールで日揮の社員のいるクラスを担当していたので、色々と話を聞かせてもらったことがある。なので本作の鑑賞中は、頭の中を色々なことが駆け巡った。

 

働いている業界が業界なので、Jovianの周りは国際結婚だらけである。同僚には夫もしくは妻がアメリカ人、カナダ人、イングランド人、メキシコ人、ペルー人、韓国人、中国人まで様々だ。なので学がナディアと結婚することを素直に受け止めることができたし、実際に今後はこうした国際結婚がどんどん増えていくのは間違いない。学というキャラクターの先駆的なところは、日本に来る外国人と結婚するのではなく、日本の外でパートナーを見つけたこと。これはJovianの周りでも二人しかいないので、かなり珍しい。今はそうした日本人は珍しいが、今後はもっと出てくるはず。それを予感させてくれたのは良かった。

 

MIYAVIは『 ヘルドッグス 』と同じような役だったが、『 BLEACH 』の頃に比べて演技力は格段に向上した。そう感じるのは、彼が弊社の某アンバサダーを務めているからではない。純粋にパフォーマーとしてまだまだ成長できるし、本人がそれを志向しているのだろう。愛する家族を失ったがゆえに暴走するという、役所広司とは異なるベクトルの狂気を巧みに表していた。その役所広司の演技は堂に入ったもの。『 ハルカの陶 』に登場してもおかしくなさそうな指使いで土ひねりをする様には見入ってしまった。吉沢亮との父子の関係もナチュラルで、まさに日本の俳優の大御所である。

 

ブラジル人(別にベトナム人でも中国人でもインド人でも良い)という異質な存在を社会がどう受け入れるのか、または疎外するのか。そうした状況において、個人と個人はいかなる関係を結べるのか、または結べないのか。今後、日本社会のあちこちで進行していくであろうこうした物語を、かなり極端な形ではあるが、本作は描いている。老若男女問わずに観て、そして考えてほしい作品である。

ネガティブ・サイド

ストーリーが全体的にちぐはぐ。息子を失った父の暴走の方向が『 空白 』とは全く違った形で炸裂する中盤の展開は、ホンマかいなと感じてしまった。日本の政治家や役人が海外のテロに何か手が打てるわけがないし、情報が手に入れられるわけでもない。これは歴史的史実。それよりも学とナディアを日本に帰還させて「自己責任!」という言葉を浴びせかける日本社会を描写した方が、もっと強力な社会風刺映画になったことだろう。

 

提示したい家族像が強すぎるというか、届けたいメッセージが強烈すぎるような気がする。愛する妻と娘を失った男が狂気に駆られ、愛する息子を失った男が狂気に駆られるも、最終的には新たな家族を見出すというのは、ちょっとご都合主義が過ぎる。受け取りようによっては、血のつながりは代替可能であるとも取れてしまう。また誠治にそれが可能なのは、彼自身が孤児だったという背景にその要因があるという描写も個人的には受け入れがたかった。

 

半グレやヤクザが在日ブラジル人の若者をとことん痛めつけるが、北野武の映画かいなというぐらいの暴力描写。それはもちろん構わないのだが、そこが一種の見せ場になっているのはどうなのかなあ。公園で遊ぶ小学生ぐらいの子どもたちが無意識に、あるいは意識的に見せる差別意識やいじめの描写を入れることで、逆にエリカやマルコスがどのような艱難辛苦を現在も味わい続けているのかを観る側に想像させる方が、より大人な映画作りであると思うのだが。

 

マルコスが陶芸作りに興味を持ったきっかけが不明瞭だと感じた。色んなあらすじでは、「誠治に亡き父の面影を見出し・・・」的なことを書いているが、そんな描写あったっけ?ここを深堀りしないとタイトル詐欺になるのだが・・・

 

総評

非常に示唆的なドラマと、物語のために無理やり過剰に盛り上げるドラマが混在する作品。結局のところ、役所広司というスーパーな俳優の包容力によってかろうじて成り立つ物語である。ただ『 しあわせのマスカット 』のように時事問題・社会問題を大胆に取り入れた点は評価できる。愛と狂気は表裏一体だが、MIYAVIのキャラが地元有力者の御曹司という点が気になった。ただの一般人が憎悪に駆られていく。その一方で、ただの一般人は愛情を見出していく。そんな対比があれば、もっと上質な人間ドラマになったはず。役所広司やMIYAVIのファンなら鑑賞しても損はない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

take care of ~

~の世話をする、の意味。劇中では「息子をよろしく頼みます」=Please take care of my son. と訳されていた。今後、日本でも国際結婚が増加する。これぐらいの簡単な英語ぐらいは知っていてもいいだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 』
『 そして僕は途方に暮れる 』
『 死を告げる女 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, MIYAVI, ヒューマンドラマ, 吉沢亮, 役所広司, 日本, 監督:成島出, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 ファミリア 』 -新たな家族像を提示する-

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