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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: アメリカ

『 FALL フォール 』 -シチュエーション・スリラーの秀作-

Posted on 2023年2月8日2023年2月8日 by cool-jupiter

FALL フォール 75点
2023年2月5日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:グレイス・キャロライン・カリー ヴァージニア・ガードナー ジェフリー・ディーン・モーガン
監督:スコット・マン

妻が観たいというのでチケット購入。個人的には優先順位は低い作品だったが、予想以上に面白かった。

 

あらすじ

ベッキー(グレイス・キャロライン・カリー)は、フリークライミング中の夫の事故死の悲嘆から抜け出せずにいた。事故から一年後、デンジャーDとして活躍する親友のハンター(ヴァージニア・ガードナー)が訪問してくる。夫の死を乗り越えるために、高さ600メートルの旧テレビ塔の頂上まで昇ろうと誘ってきて・・・

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

高さ600メートルは想像しがたい。東京スカイツリーと言われても、関西人にはピンと来ない。しかし、梅田のスカイビルの3倍以上の高さと言われるとギョッとするし、あべのハルカスの展望台の2倍の高さと言われると冷や汗をかいてしまう。高所恐怖症の人がいる反面、高いところが怖くない人もいる。しかし、本作の描く高所に恐怖を感じない人はいないはずだ。本国のキャッチコピーの通り、Fear reaches new heights. である。

 

トレーラーの時点では承認欲求モンスターの女子二人が繰り広げる迷惑劇だと思い込んでいたが、『 フリーソロ 』とまでは行かないまでも、クライミングのバックグラウンドがあることを描いてくれたのは良かった。高いところに昇るというのは、それだけでかなり危険な行為なのだ。

 

テレビ塔の頂上につくまでの描写も不穏である。振動で揺さぶられて緩くなったり外れてしまうネジなどをこと細かく映すことで、いつベッキーとハンターは窮地に陥るのか、とサスペンスを盛り上げていく。冷静に考えれば頂上にたどり着くまではピンチになるはずがないのだが、観ている間は結構ハラハラドキドキさせられた。スコット・マン監督の手腕はお見事。

 

頂上に到達するも、梯子が壊れて降りられない。電波もない。人影もない。さあ、どうする?本作はスリラーであると同時にサバイバル映画でもある。水が少量で食い物なし。トイレもなし。ベッドも無し。着替えも無し。二人が持っているものを最大限に使って、なんとか状況を打開していこうとあがく様は素直に応援したくなるし、試みが上手く行きそうで上手く行かないという展開の連続で非常に疲れる。そんな中で、二人の間に思わぬ不協和音も聞こえてくる。状況だけでも非常にサスペンスフルなのに、ここにきて人間関係までもが・・・ ここから先の展開は是非劇場で確かめられたし。

 

サバイバルの先にはホラー展開も待っている。高度600メートルで何が襲ってくるのか?とも感じたが、その正体は序盤で明らかにされている。これには純粋に恐怖を感じた。逃げ回ろうにも逃げられない。文字通り、一歩間違えれば転落死するのだから。だが本作はある意味で『 127時間 』も真っ青の展開で主人公を生かす。諦めなければ人間ここまで出来るのか、とホラーと人間賛歌を同時に行うという離れ業も見せてくれる。これもぜひ劇場で確認されたい。本作鑑賞後、しばらく高層ビルには登りたくなくなること請け合いである。

 

ネガティブ・サイド

物語にケチをつけるとすれば、最後の最後の救出劇がすべて省略されていたところか。

 

『 海底47m 』のスタッフが再集結、みたいな宣伝は不要に思う。いや、まあ宣伝側の意図は分かるが、おかげで劇中のとある展開が予想できたというか、あっさり見破れてしまった。

 

字幕翻訳者にも喝。ベッキーの好きなWWEレスラーの名前がバウティスタになっていたが、それは役者としての名前。レスラーとしての名前はバティスタだ。

 

最後の最後、Let’s go home. は無いわ・・・。普通に警察に逮捕される案件やろ。

 

総評

女子二人だけで、ここまで観る側をグイグイ引っ張り続ける力を持った作品は近年だと『 17歳の瞳に映る世界 』と『 Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック 』ぐらいか。スリラーとしても、これでもかと観客をハラハラドキドキさせ続けてくれて、まさにサービス満点。この恐怖と緊迫感はまさに劇場の大画面と大音響で味わうべきだ。ぜひチケット購入を!

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You got this.

『 トップガン マーヴェリック 』(追いトップガン6回目)でも紹介した表現。You can do this. の意味。劇中ではハンターが何度も何度もベッキーをこう言って励ます。日常でも職場でも使える表現。ぜひ知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エンドロールの続き 』
『 イニシェリン島の精霊 』
『 日本列島生きもの超伝説 劇場版ダーウィンが来た! 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, イギリス, ヴァージニア・ガードナー, グレイス・キャロライン・カリー, ジェフリー・ディーン・モーガン, スリラー, 監督:スコット・マン, 配給会社:クロックワークスLeave a Comment on 『 FALL フォール 』 -シチュエーション・スリラーの秀作-

『 宇宙戦争(2005) 』 -人間ドラマが中途半端-

Posted on 2023年2月5日 by cool-jupiter

宇宙戦争(2005) 55点
2023年2月1日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:トム・クルーズ ダコタ・ファニング ティム・ロビンス
監督:スティーブン・スピルバーグ

『 そばかす 』で言及されていた作品。当時、東京の劇場で観たのを覚えているが、結末以外の中身を完全に忘れていた。

 

あらすじ

レイ(トム・クルーズ)は離婚した妻との間の子どもであるロビーとレイチェル(ダコタ・ファニング)たちと面会していた。だが、街は突如謎の嵐と落雷に見舞われた。その直後、地面の下から巨大マシーンが現れ、人々を消し去っていく。レイは子どもたちを連れて必死に逃げようとするが・・・

 

ポジティブ・サイド

マーヴェリックでもなくイーサン・ハントでもなく、ジャック・リーチャーでもないトム・クルーズが、何かに向かっていくのではなく何かから逃げ惑う姿は新鮮だった。トム・クルーズは爽やか系だけではなく、『 レインマン 』や本作のように嫌な奴も演じられる。感情移入しづらいタイプの主人公に、どういうわけか徐々に共感させられてしまうのは、元の『 宇宙戦争(1953) 』になかった人間ドラマの要素のおかげ。ダメ親父がダメ親父なりに必死になるシーンの連続に、中年で胸を打たれずにいるのは難しい。

 

娘役のダコタ・ファニングも、栴檀は双葉より芳し。割とエキセントリックな役を演じることが多いが、子役の時からしっかりした演技派やったんやね。

 

訳が分からないままにひたすら蹂躙されていく展開はSFというよりもホラー。前作で家の中に侵入してきたチューブを切り落とすシーンを、ひたすら隠れて逃げるというシーンに改変したのもその流れに沿ったもので適切だったと感じた。9.11がアメリカ人の精神に生じさせた陰影は、当時はまだまだ濃かったということが思い出された。

 

唐突に(科学的にではなく政治的に)コロナ禍を終わらせようとする日本政府的な終わり方も、それなりに味わい深い。

 

ネガティブ・サイド

主人公レイの背景が物語にほとんど生きてこない。せいぜいクルマのコイルを交換しろというアドバイスくらい。港湾リフトを凄腕で操作する男という背景が、彼が逃げる、あるいは闘うシーンで活かされなかったのは残念。

 

原作は隕石の飛来から侵略が始まったが、本作ではマシーンは太古の昔から地中に埋まっていたという。だったらなぜ『 ”それ”がいる森 』と同じ失敗をしているのか。いや、正しくは『 ”それ”がいる森 』が失敗を繰り返したと言うべきか。いずれにしても火星人が過去に地球に来たことがあるという設定は蛇足である。

 

火星人のマシーンを内側から爆破するシーンは不要であるように感じた。日本でマシーンの撃退に成功したのが東京ではなく大阪だったのには笑わせてもらったが、アメリカ本土は徹頭徹尾逃げ惑う展開にした方がホラーやサスペンスの要素がさらに強まったように思う。

 

長男のロビーが父親に反発するのは良いとして、なぜに自ら死地に赴こうとするのか。そこがよく分からなかった。また、最後にはシレっと生存していて、このあたりは究極のご都合主義に感じられた。

 

総評

ホラーやサスペンスとして鑑賞すればそこそこ面白いが、SFやパニックものとして鑑賞すると凡庸に感じられる。原作通りに人間ドラマを極めて薄くするか、あるいは振り切って人間ドラマに全振りするかだったように思う。ただ、近年の天文学の発達で太陽系が実は豊かなオーシャン・ワールドだったと明らかになった。さらに地球外生命体が発見された時、本作はそれにどうコンタクトすべきかを考えるきっかけとして再評価されるのではないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

be careful with ~

be careful と来たら of を思い浮かべる人が多いだろう。be careful of ~ = ~に気を付ける、という意味だが、be careful with ~ は、~を大事に扱う、という意味。劇中では Be careful with the glove. = そのグローブ、大切に扱えよ、という感じで使われていた。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エンドロールの続き 』
『 イニシェリン島の精霊 』
『 グッドバイ、バッドマガジンズ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, SF, アメリカ, ダコタ・ファニング, ティム・ロビンス, トム・クルーズ, ホラー, 監督:スティーブン・スピルバーグ, 配給会社:UIPLeave a Comment on 『 宇宙戦争(2005) 』 -人間ドラマが中途半端-

『 宇宙戦争(1953) 』 -元祖・特撮映画-

Posted on 2023年1月31日 by cool-jupiter

宇宙戦争(1953) 70点
2023年1月30日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジーン・バリー アン・ロビンソン
監督:バイロン・ハスキン

『 そばかす 』でトム・クルーズの『 宇宙戦争(2005) 』に言及されていたのを聞いて、再鑑賞しようとTSUTAYAを訪れる。そのDVDの隣に元ネタがあったので、そちらも併せてレンタルしてきた。

 

あらすじ

ロサンゼルス近郊に隕石が落下。天文物理学者のクレイトン・フォレスター(バリー・ジーン)は、調査に乗り出すも、隕石の正体は分からない。やがて、隕石の中から謎の浮遊マシーンが出現し、周囲の人間や建造物を焼き払っていく。隕石は世界各地に落ち、マシーンも続々と現れ、人類は絶体絶命の危機に落ちるが・・・

 

ポジティブ・サイド

古き良き、という表現は個人的にはあまり好まないのだが、本作に関してはまさに古き良き特撮映画の香りがプンプンする。何もかもがCGである現代映画に比べると、大道具や小道具が活き活きと仕事をしていた姿が目に浮かぶ。その後の東宝の『 ゴジラ 』、『 モスラ 』、『 ラドン 』などの大怪獣特撮映画は、本作から多大なインスピレーションを得ているのは間違いない。隕石状でやって来る侵略者というのはキングギドラだ。

 

浮遊マシーンの造形や、そこから伸びてくるチューブの造形もいい。このデザインはなんとなくだが、ディズニーの隠れた秀作『 ブラックホール 』のロボット、マクシミリアンに引き継がれているようにも思う。

 

火星人の侵攻に対するアメリカ人の反応にもリアリティーがある。当時、内戦以外でアメリカ国内が戦場になったことはないが、本作で描かれる逃げ惑う人々、暴徒と化す人々、教会で従容と死を待つ人々の姿には迫真性があった。

 

米軍が徹底抗戦し、浮遊マシーンがケロッとしている様も特撮の粋という感じがした。原爆まで持ち出すのは、まさに冷戦前夜という感じだが、全翼の爆撃機は実にかっこよかった。核攻撃を含む米軍の全火力が無意味だったというシークエンスは『 インデペンデンス・デイ 』に引き継がれたように思う。

 

もはや一巻の終わり・・・というところで、火星人が地球の微生物になすすべなく侵され、死んでいくという描写も、コロナ禍を経験した我々の目には新鮮かつ説得力あるものとして映る。

ネガティブ・サイド

冒頭で金星がスキップされたのは何故?

 

レイチェルが特に何か大きな役割を果たすわけではないのがビミョーなところ。まあ、フォレスター博士自体も役立たずで終わってしまうのだが。

 

前線が破られた際に、後方に新たな防衛網を築きに向かった軍人さんはその後どうなったのだろう?

 

総評

特撮ファンならぜひ鑑賞しよう。非常にオーガニックな映像を楽しめるだろう。SFファンも鑑賞すべきであると思う。人間ドラマを楽しみたい向きにはお勧めできない。ただ、コロナ禍によって、目に見えない微生物やウィルスの存在を否応なく意識させられるようになった現代、本作の価値が再び高まっているのは間違いない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Take my word for it.

私の言葉をそのまま受け取ってくれ、転じて「信じてくれ」、「本当なんだ」という意味になる。劇中では「早くワシントンに知らせて増援を呼んでくれ」というような台詞の前で使われていた。何か強調したいこと、強く主張したいことがある時に使いたい表現である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 エンドロールの続き 』
『 イニシェリン島の精霊 』
『 グッドバイ、バッドマガジンズ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1950年代, B Rank, SF, アメリカ, アン・ロビンソン, ジーン・バリー, 監督:バイロン・ハスキンLeave a Comment on 『 宇宙戦争(1953) 』 -元祖・特撮映画-

『 モービウス 』 -二番煎じのオンパレード-

Posted on 2023年1月28日 by cool-jupiter

モービウス 35点
2023年1月28日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:ジャレッド・レト マット・スミス アドリア・アルホナ
監督:ダニエル・エスピノーサ

 

劇場公開時にはスルーした作品。近所のTSUTAYAで準新作になったので、クーポン使用でレンタル。

あらすじ

天才医師マイケル・モービウス(ジャレッド・レト)は、自らが患っている血液難病の治療法を探していた。ある時、コウモリの血清を使った治療法を自分自身に試した結果、マイケルは異能の力を授かってしまう。同時に、抑えようのない血液への渇望に苛まされるようになり・・・

 

ポジティブ・サイド

メインのキャラを演じた俳優たちは皆、ハマっていた。ジャレッド・レトは言うに及ばず、親友かつ宿敵となるマイロを演じたマット・スミスも『 ラストナイト・イン・ソーホー 』同様に、心に闇を抱えたキャラを好演した。

 

マイケルの同僚マルティーヌを演じた女優は美人だなと感じた。

 

ネガティブ・サイド

何もかもに既視感を覚えた。キャラもそうだし、ストーリーもそう。オリジナリティが決定的に欠如している。

 

ヴィランと見せかけてヒーローでした、は既に『 ヴェノム 』でやったこと。さらに主人公に立ちはだかるヴィランが主人公と同じパワーを持っているという筋立ても『 インクレディブル・ハルク 』以来、使い古されたプロット。幼い患者を救おうと結成を投与したらヴィランになってしまった。倒すためではなく止めるため、または元に戻して別の治療を施すために自らも結成を投与して患者であった少女と対峙する・・・のようなストーリーなら相当にドラマが盛り上がるはずなのだが。

 

マイケルとマイロのバトルも、まるでファンタビを観ているかのよう。コウモリがバトルをするのかどうかは知らないが、エコーロケーションによって死角からの攻撃も交わしてしまう、あるいは暗闇でも闘えるといった、コウモリらしさが感じられなかった。

 

血の臭いにすこぶる敏感になっていたマイケルだが、街中に出たら混乱するのでは?ちょっと下品かもしれないが、雑踏の中には「現在、生理中です」という女性などいくらでもいただろう。そうした臭いに反応してしまってもすぐに自制できる。しかし、マルティーヌの血の臭いには抗いがたい何かがある・・・といった描写をほんの少し入れてくれれば、それだけでマイケルが一気に人間臭くなり、感情移入しやすくなったと思う。

 

総評

近年のMCUの傾向を中耳になぞるかのように、一つの映画が一つの長大なインフォマーシャルになってしまっている。エンディングのカットシーンを観ても、もはや興奮できない。義理で鑑賞しているように感じ始めたMCUだが、あと1~2年で劇場鑑賞から離脱するのが吉かもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

work

上手く行く、の意。劇中では It worked. = 実験が成功したわ、のように使われていた。日本語でも「このプランは本当にワークするのか?」のように、一部の業界人は日常的に使っているのではないか。しばしば work like a charm = 魔法のように上手く行く = 実に上手く行く、見事に効く、という形で使われる。英会話中級者なら耳にしたことはある表現だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 そして僕は途方に暮れる 』
『 ヒトラーのための虐殺会議 』
『 エンドロールの続き 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, アクション, アドリア・アルホナ, アメリカ, ジャレッド・レト, マット・スミス, 監督:ダニエル・エスピノーサ, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 モービウス 』 -二番煎じのオンパレード-

『 ウィロー 』 -王道ファンタジー-

Posted on 2023年1月28日 by cool-jupiter

ウィロー 75点
2023年1月27日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ワーウィック・デイビス ヴァル・キルマー
監督:ロン・ハワード

これは確か小4の夏休みに大阪の映画館で家族で観たのを覚えている。『 イウォーク・アドベンチャー 』と『 エンドア 魔空の妖精 』とともに、VHSでその後何度か鑑賞したのも覚えている。

 

あらすじ

悪の女王バヴモルダは魔術によって権力を欲しいままにしていたが、自身を滅ぼすと予言された特別な子の誕生を案じていた。国中の妊婦を探す女王だが、予言の子は助産婦によってその世界へと密かに解き放たれていた。農夫ウィロー(ワーウィック・デイビス)は偶然にも赤ん坊を見つけ、彼女を人間の世界に還そうと仲間と共に旅に出るが・・・

 

ポジティブ・サイド

非常にオーガニックな作りで、今の目には逆に新鮮に映るし、製作者の美学がよりクリアに繁栄されているように感じられる。ミジェットが100人以上で集落を作ることで、この物語世界の広さに説得力が生まれている。

 

剣と魔法の王道的な中世ファンタジーで、味方の剣士と敵側のプリンセスの禁断のロマンスもベタベタながら、ジョージ・ルーカスの思想の反映だろう。『 スター・ウォーズ 』っぽさがあり、個人的にこういった展開は好ましい。

 

あちこちにその後の作品をインスパイアした要素が散見される。印象に残ったのは「君の愛は一千の死に勝る」というマッドマーティがんのセリフ。萩原一至の漫画『 BASTARD!! -暗黒の破壊神- 』で「君の愛は十億の死に勝る」か何かに言い換えられていた。

 

ネガティブ・サイド

ウィローたちの冒険にもっと必然性があれば尚よかった。予言の赤子をダイキニの元に還すというだけではなく、自分たちで予言を成就させるべく冒険の旅に出るというプロットにすれば、もっとドラマが盛り上がったと思われる。

 

総評

本作が現代になってドラマ化されるというのは、映画公開当時に本作に大いにインスパイアされた少年少女が、コンテンツ制作業界の意思決定権者になりつつある、あるいはなった、ということだろう。なのでリアルタイムで本作を楽しんだ今の40代は、ぜひ子どもたちに本作を観せてあげよう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

go bonkers

go crazy の意味。すなわち「頭がおかしくなる」と「大騒ぎして楽しむ」ということ。村の長老が旅のリーダーに任じられた時、腕の立つボンカーを呼び寄せる様は、まさに go bonkers という感じだった。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 そして僕は途方に暮れる 』
『 ヒトラーのための虐殺会議 』
『 エンドロールの続き 』

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Posted in 映画, 海外Tagged 1980年代, B Rank, アドベンチャー, アメリカ, ヴァル・キルマー, ファンタジー, ワーウィック・デイビス, 監督:ロン・ハワード, 配給会社:MGM映画会社Leave a Comment on 『 ウィロー 』 -王道ファンタジー-

『 インターステラー 』 -尻すぼみであること以外はパーフェクト-

Posted on 2023年1月9日 by cool-jupiter

インターステラー 80点
2023年1月7日 WOWOW録画にて鑑賞
出演:マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ ジェシカ・チャステイン
監督:クリストファー・ノーラン

諸事情あってなかなか映画館に行けないので、過去のWOWOW録画DVDを手に取る。中に入っているのは『 インターステラー 』と『 コンタクト 』で、前者を選ぶ。

あらすじ

ダストボウルの大量発生により土壌で作物が育たず、酸素も近い将来に生存不可能なレベルにまで低下することが予想される世界。元パイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)は娘マーフの部屋で起きる奇妙なサインから座標を読み取る。そこではNASAが、人類救済ミッションを密かに進めており、クーパーは土星付近のワームホールを目指すミッションに参加することになる・・・

ポジティブ・サイド

地球滅亡ではなく人類滅亡という設定がいい。しばしば発生する砂嵐は dust bowl =ダストボウルと呼ばれる、1930年代にアメリカとカナダの農業に大打撃を与えたものである。もちろん Jovian はダストボウルを直接に経験した世代ではないが、これはアメリカ近代史ではしょっちゅう触れられるのでよく知っていた。

ワームホールの説明や描写もSF入門レベルにまで dumb down してくれているのも有難い。ワームホールの説明として、紙を折り曲げて二点をくっつけるというのは定番中の定番だが、二次元平面の紙の上の穴(hole)は三次元空間では球(sphere)になるという説明は秀逸だと感じた。

ワームホールの先の別の銀河で訪れる移住先の星々の描写も光っている。ブラックホール近傍の惑星あるいはステーションというのは『 ブラックホール 』でもお馴染みで、それ自体にオリジナリティはない。しかし、ブラックホールの重力圏内と圏外での時間のずれが生むドラマは、ベタながら見応えがあった。

ノーラン監督は初期から「時間」をテーマにした作品作りで知られていて、本作でもそれは一貫している。『 TENET テネット 』で見せた見事な物語の円環的構造は、実は本作でも示されていて、劇場で始めた鑑賞した時、WOWOWで二度目に鑑賞した時、そして今回と、毎回その構造の巧みさに舌を巻く。

本作の最大の功績はTARSかもしれない。R2-D2やBB-8とはまた違った魅力のあるロボットである。コミュニケーションの設定に正直度やユーモアがあったが、これは案外現実世界で似たようなロボットが作られた際、取り入れられる設定かもしれない。また、安易に人型にするのではなく、TARSのような造形の方がモビリティも確保できるだろうなと感じた。

SFにはファンタジーの領域にどっぷり浸かったものと、現実的な科学技術に立脚しつつ、ほんの少しのフィクションを混ぜたものがある。どちらも面白いのだが、本作は数あるSF作品の中でもファンタジーの領域と現実の領域が見事な配分でミックスされていると感じる。ここでいうファンタジーとは「愛」の力。いかなる科学も超越する親子の奇妙な愛の絆は、何度見ても感動させられてしまう。俺もだいぶ単純になってもうたな・・・

ネガティブ・サイド

親子の愛だけに留めておけばよかったのに、なぜアン・ハサウェイ演じるブランド博士をクーパーの love interest にする必要があったのか。ここが解せない。友愛に近い感じで良かったのでは?

そのブランド博士やその他の面々も、人類を救うと言いつつ、移住候補先の星の大地に星条旗の旗を立てるのか?これが英国籍と米国籍を持つクリストファー・ノーランの植民に対する意識の表れなのだろうか?うーむ・・・

天文物理学や生物学の門外漢だが、ガルガンチュアのようなブラックホールが天文単位の距離にあるような複数の惑星は、そもそも移住に向かないのでは?ブランド博士の言う通り、小惑星の衝突などが起きない(ブラックホールがそれらをすべて吸い込むか弾き飛ばす)環境では、生物の創発が喚起されない。地球ですら木星のおかげで天体衝突の確率は1000分の1になっているとされる。微生物や植物すらない環境はテラフォーム不可能な気がするのだが・・・

総評

最後の最後のクーパーの決断が個人的には受け入れがたいが、そこに至るまでの3時間近い物語には圧倒されるばかり。3度目の鑑賞でもそう感じる。ティモシー・シャラメやケイシー・アフレック、マイケル・ケインにジョン・リスゴーなど、若手から超ベテランまでが脇を固める。2010年代のSF映画の秀作の一つであることは間違いない。

Jovian先生のワンポイントラテン語レッスン

stella

ラテン語で a star の意味。interstellar は文字通り「星々の間の」、「恒星間の」という意味である。星座を constellation と言うが、色んな星が一緒になってできるのが星座ということである。似たような語に『 アド・アストラ 』の astra がある。これは astrum の複数形の対格で、こちらも意味は星だが、やや誌的な感じがする表現。これの元はギリシャ語のasterで、astronaut や astronomy はここから来ている。アスタリスクを見たら「あ、確かに星だ」と感じてもらえれば幸いである。

次に劇場鑑賞したい映画

『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』
『 ファミリア 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, A Rank, SF, アメリカ, アン・ハサウェイ, ジェシカ・チャステイン, マシュー・マコノヒー, 監督:クリストファー・ノーラン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 インターステラー 』 -尻すぼみであること以外はパーフェクト-

『 ブレイン・ゲーム 』 -色々な要素を詰め込みすぎ-

Posted on 2023年1月4日 by cool-jupiter

ブレイン・ゲーム 50点
2023年1月2日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジェフリー・ディーン・モーガン アンソニー・ホプキンス アビー・コーニッシュ コリン・ファレル
監督:アルフォンソ・ポヤート

2018年にシネ・リーブル梅田で公開していたのを覚えている。何故かこのタイミングで近所のTSUTAYAで準新作扱いだったので、クーポンを使って割引料金でレンタルしてきた。

 

あらすじ

謎の連続殺人事件を捜査するFBIのジョー(ジェフリー・ディーン・モーガン)とキャサリン(アビー・コーニッシュ)は、予知能力を持つ医師クランシー(アンソニー・ホプキンス)に助力を求める。しかし、捜査を進めるにつれて、クランシーは犯人が自分を上回る予知能力の持ち主であると気付き、捜査から降りると言い出す・・・

 

ポジティブ・サイド

序盤のいくつかの謎めいた殺人事件の現場はなかなかの迫力。異様な死に様を見せる被害者の数々に、『 セブン 』や、アンソニー・ホプキンスつながりで言えば『 羊たちの沈黙 』のような猟奇殺人事件映画の傑作の予感が漂う。カウルズ捜査官も、どことなくスターリング捜査官の雰囲気をたたえている。序盤の捜査開始シーンから真犯人のコリン・ファレル登場シーンまでは結構面白い。

 

コリン・ファレルの狂信的なまでのサイコパス殺人鬼の演技も堂に入っている。アンソニー・ホプキンスを鼻で笑うような演技はなかなかできない。『 AVA / エヴァ 』でも感じたが、この役者は老人とバトルを繰り広げるのが似合うのかもしれない。その超絶的な予知能力を物語る、とある録画映像の演出も地味ながら素晴らしい。

 

原題の Solace は慰めの意。本作のテーマに mercy killing =安楽死がある。ペインコントロールの上手く行かない末期癌患者は時に「殺してくれ」と叫ぶこともある。その瞬間の苦しみから解放するには死は最も確実かつ手っ取り早い手段だろう。『 いのちの停車場 』や『 ドクター・デスの遺産 BLACK FILE 』が扱ったトピックでもあるが、本作はさらに一歩踏み込んで、苦痛を感じ始める前に殺すという、屈折した思想を持った犯人像を作り上げた。この安楽死を単なる殺人と切って捨てるのか、それとも救いや慰めの一手段と見るのか。この部分について、ある意味で非常に剣呑な誘いをもって本作は閉じられる。この幕の閉じ方はなんとなく『 CURE キュア 』を思わせてくれた。

 

ネガティブ・サイド

ホプキンスやファレルの持つ超能力の正体がよく分からない。予知能力も物や人に手を触れて発動する場合と、不意に発動する場合がある。さらに、劇中でもたびたびフラッシュバックのように挿入されるビジョンには予知と過去視の両方があって、かなりややこしい。しかも、その能力の発動タイミングもかなり(製作者にとって)恣意的に思える。能力発動の条件があいまいなままストーリーが進むので、どうしてもご都合主義に見えてしまう。カーチェイスの最中および直後などはその最たる例だ。

 

真犯人=ファレルの存在は、あらすじどころかポスタービジュアルやDVDのカバーで明かされてしまっているが、この男の登場がとにかく遅い。1時間40分のストーリーのうち1時間ぐらい過ぎたあたりで登場してくるというのは、脚本のペース配分ミス、あるいは編集ミスだろう。あまりにバランスが悪すぎる。

 

キャスティングも、別にアンソニー・ホプキンスを起用する必要はなかったのでは?まあ、彼自身が製作総指揮に名を連ねているので、それはできない相談か。しかし、それでもクランシー博士とその娘がどうみてもお祖父ちゃんと孫にしか見えないし、妻とも相当な年齢の開きがあるように見えた。60歳ちょっとの別の役者を起用できなかったのか。役者としてのホプキンスは否定しないが『 羊たちの沈黙 』の二番煎じを狙うのは無理。ストーリーそのものは悪くないのだから、自分よりも若い役者を起用し、超知性かつ超能力の犯人を、友情と経験で追い詰めるような素直な物語にしてほしかった。

 

総評

序盤から中盤にかけての面白さは文句なし。ただし、いったんコリン・ファレルが現れてからは「なんじゃ、そりゃ・・・」という展開のオンパレード。超能力対決というのは『 スキャナーズ 』の昔から陸続と生み出されてきたが、本作はその中でも凡庸な部類に入る。ヒューマンドラマのパートにもっと力を入れるか、あるいは犯人と刑事&博士の対決にもっと尺を取れば、もう少し面白さも増したはず。アンソニー・ホプキンスのファンなら鑑賞もありだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

precognition

 

予知の意。『 マイノリティ・リポート 』好きならプリコグという言葉を覚えているはず。あれは precognition の派生語、precognitives の省略形だ。cognition というのは取っ付きにくい語だが、この元のラテン語の cognosco は、同じ意味のギリシャ語 gnosis に由来する。gnosis は知識という意味で、ニュースアプリの「グノシー」の社名はまず間違いなくここから来ている。また、診断=diagnosis というのも、gnosis を含んでいる。身体診察や問診を通じて(dia = through)病気を「知る」ということである。

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, SF, アビー・コーニッシュ, アメリカ, アンソニー・ホプキンス, コリン・ファレル, サスペンス, ジェフリー・ディーン・モーガン, 監督:アルフォンソ・ポヤート, 配給会社:ポニーキャニオンLeave a Comment on 『 ブレイン・ゲーム 』 -色々な要素を詰め込みすぎ-

『 ナイト・ウォッチャー 』 -ドンデン返しが少し弱い-

Posted on 2023年1月3日 by cool-jupiter

ナイト・ウォッチャー 60点
2023年1月1日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:タイ・シェリダン アナ・デ・アルマス ジョン・レグイザモ ヘレン・ハント
監督:マイケル・クリストファー

新年一発目は近所のTSUTAYAの準新作コーナーから、『 ザ・メニュー 』のジョン・レグイザモ出演作の本作を pick out 。

 

あらすじ

アスペルガー症候群持ちのバート(タイ・シェリダン)は、ホテル受付の夜間シフトで働いている。彼は秘密裡に客室を盗撮し、人間同士のやりとりから普通のコミュニケーションを学んでいた。ある夜、ホテルで殺人事件が発生。バートのカメラに犯人とその犯行が映っていたが、彼はそれを警察に知らせることができず、逆に第一発見者として警察にマークされてしまう。系列の別ホテルに異動となったバートは、懲りずに盗撮を行うが、そこに謎めいた美女のアンドレア(アナ・デ・アルマス)が客として訪れ・・・

 

ポジティブ・サイド

タイ・シェリダンがアスペルガー役を好演。合わない視線、過剰な答え、あるいは質問に対する返答拒否ともいえる応答、相手の気持ちや会話の流れをぶった切る発話など、まさに言葉の正しい意味でのコミュ障である。客室を盗撮・盗聴して、そこでのやりとりから普通の人のコミュニケーションを研究するというのだから、まさに他人の気持ちが理解できていない。この主人公に感情移入するのはなかなか難しいが、母親やホテルの経営者が良き理解者になってくれているので、観ている側は一定の距離でバートを見守ることができる。

 

序盤の終わり、アナ・デ・アルマス演じるアンドレアの登場からシチュエーションが一気に動く。コミュ障であるバートがいかにしてこの美女と距離を縮めていくのか。このプロセスが、アスペルガーだけではなく、広くコミュ障全般、いや、ある程度青臭い男性全般に当てはまるような描き方をされているので、観ている側(特に男性)はここで一気にバートを応援したくなる。この流れの絶妙さは、是非とも鑑賞の上で確認を!

 

殺人事件の第一発見者であるバートを第一容疑者として追う刑事が、厳しさと優しさを併せ持っていて、彼の存在もバートの難しいパーソナリティをオーディエンスが理解することを助けている。観ている我々はバートが犯人ではないことを知っていて、しかしバートはそのことを刑事には伝えられず、なおかつ刑事はバートを追わざるを得ないという、観ている側がキャラに感じるジレンマと、キャラがキャラに対して感じるジレンマが複雑に入り組んだプロットは本当にもどかしい。それが観る側をストーリーに引き付ける。最後に「え?」と思わせる展開も待っており、低予算映画としては満足のいくクオリティのサスペンスに仕上がっている。

 

ネガティブ・サイド

バートがどういうきっかけで盗撮・盗聴からコミュニケーションを勉強しようと思い立ったのかが分からない。『 ベイビー・ドライバー 』のベイビーがテレビをザッピングしながら色々なセリフを吸収していくのと同じようなシーンが少し挿入されていれば、バートなりのアスペルガーのコーピングがどういうものなのか理解しやすくなったのだが。

 

アンドレアが語るアスペルガーの弟の話は必要だっただろうか。アスペルガーが転帰して死に至ることは普通はない。こうした一種の障がいを描く映画は、必ずしもその障がいをユニークかつポジティブなものとして描く必要はないが、だからと言って誤った情報、あるいは誤解を与えかねないような描写は慎むべきではないだろうか。

 

最後のドンデン返しがちょっと弱いと感じる。というよりも、やはりアンドレアの弟の話を抜きにクライマックスを構成すべきだったと思う。相手がアスペルガーであろうと普通人であろうと、態度を変えないのがアンドレアの長所であるべきではなかったか。

 

総評

90分と非常にコンパクトな作品で、サスペンス風味でありながら、最後にミステリの様相も帯びる作品。ドンデン返しに少々不可解さも残るが、バートという青年の一種のビルドゥングスロマンだと思えば、納得いくクオリティだと言える。アナ・デ・アルマスのヌードも拝めるので、スケベ映画ファンはそれを目当てに視聴するのもありだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

die from ~

~が原因で死ぬ、の意。

die of 直接的な死因

die from 間接的な死因

と覚えよう。普通は die of cancer =ガンで死亡する、のように of を使うが、劇中では die from love =愛で死ぬ、のように使われていた。

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』

 

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『 アバター ウェイ・オブ・ウォーター 』 -オリジナリティはどこに?-

Posted on 2022年12月31日2022年12月31日 by cool-jupiter

アバター ウェイ・オブ・ウォーター 50点
2022年12月29日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:サム・ワーシントン ゾーイ・サルダナ スティーブン・ラング シガニー・ウィーバー
監督:ジェームズ・キャメロン

 

妻が3Dで観たいというのでチケットを購入。

あらすじ

ジェイク(サム・ワーシントン)ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)は子宝にも恵まれ、パンドラの森で幸せに暮らしていた。しかし、クオリッチ(スティーブン・ラング)がアバターとして復活し、ふたたびパンドラに武力制圧に乗り出してきたことで、ジェイクは一家を連れて、海の民メトケイナ族のところに身を寄せるが・・・

ポジティブ・サイド

3Dで鑑賞したが、森の木々や葉の重なりの表現には驚かされた。前作『 アバター 』でジェームズ・キャメロンは「観客をパンドラに連れていくのではない。そこに住んでもらうんだ」と語っていたが、その映像世界への没入感はさらに上がったと言える。海のシーンでもそれは同じ。透き通った水の世界への没入感はすごかった。特にサンゴ礁的な場所で次男ロアクが大ピンチに陥るシーンは、呼吸できない水中ならではの緊迫感とも相まって、まさに息もできないほどだった。

 

中盤以降のドンパチ満載のアクションは大迫力の一言。『 エイリアン2 』や『 ターミネーター2 』に勝るとも劣らない大スペクタクルで、この水中、水上、船上、船内のバトルの連続だけでご飯が3杯は食べられるほど。CGを駆使したアクションの迫力だけなら『 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 』や『 アベンジャーズ / エンドゲーム 』よりも間違いなく上だろう。製作費が2億ドル超らしいが、その予算を正しく使ったのだと言える。

 

本作は『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 』と同じテーマを追求している。すなわち、父親とは誰かという問いに対する答えを提示しようとしている。GoGでは、産みの親なのか、それとも育ての親なのかという二者択一の問いだったが、本作は父親であろうとしないジェイク、そして父親であることを拒否するクオリッチという対比が非常にユニークだ。これはジェイクとネイティリの子どもたちが直面するアイデンティティ・クライシスにもつながる問題で、This family is our fortress. = 家族こそが砦だ、と言い切るジェイクの弱さにドラマの焦点が当てられている。ナヴィという種族に惹かれたというよりも、ネイティリという個人に惹かれたという印象の強かったジェイクは、ある意味で成長していない。父親であろうとするよりも司令官であろうとする。それがある意味で、すぐに自分の子どもに向かって “Who’s your daddy?!” と説教するアメリカ人的(ジェームズ・キャメロンはカナダ人だが)だ。対するクオリッチは、スパイダーという自分の生物学的な息子をナヴィ後の便利な通訳ぐらいにしか考えていないが、その姿勢が最後に変化する。このコントラストの鮮やかさが本作のドラマ上のハイライトと言える。

 

疑似的な父子の関係を追求は『 トップガン マーヴェリック 』でも見られたが、これはアメリカ人(キャメロンはカナダ人・・・)の好物テーマ。ということは日本人好みのテーマでもあるということ。アクションだけではなくドラマもかなり盛り上がったと感じる。

ネガティブ・サイド

超上空から超大熱量のレーザーで撃ってくる地球人に、「すわ、パンドラに危急存亡の秋か?」と緊張が走るが、元々は鉱物資源の採掘に来たのではないの?貴重な資源にまでダメージを与えそうな超兵器をいきなり使うのはどうなの?と思ったら、今度はパンドラのトゥルカンの脳髄からゲットできる脳漿(?)のようなものが地球人の不老につながる???だからトゥルカンを狩りまくる???アバターを生み出せるほどの科学技術があるなら、その謎の不老物質もラボで生み出せるのでは?このトゥルカン狩りの指揮者がコテコテのブリティッシュ・イングリッシュ・スピーカーで、新天地の富を収奪するのはアメリカ人ではなく英国人という意味不明な印象操作。ジェームズ・キャメロンのアイデンティティーはどうなっているのか。

 

トルーク・マクトという伝説の英雄的なポジションに就きながらも、ジェイクがあっさりとその立場を放棄して、森の民を捨てて、森から離れてしまうのかがよく分からない。いや、それはあんな超兵器を見せられたら逃げるしかないのは分かるが、普通に考えればその宇宙船もサリー一家が逃げる先に移動できるわけで、なぜ海にまで追ってこないのか。単に舞台を海に移したいがためだけに出てきた超兵器なのか。

 

水の映像は文句なしに美麗だが、海という環境、そこに住まう生物に関してはオリジナリティが全く感じられなかった。前作のトルークはまあまあ独特な生物だと感じられたが、今作ではクオリッチもあっさりと乗りこなしてしまったことでプレミア感がダウン。また、代わりに登場する絆を結ぶ相手が思いっきりトビウオ。もっと異星感を出せなかったのか。トゥルカンもまんまクジラで、人とクジラは絆を結べ=クジラを食べるな、とでも主張しているのか。前作の、ヨーロッパ人が新大陸アメリカを発見した的な世界観はまだ許せるが、その新世界にもアメリカ的なルールを持ち込みますというのは頂けない。というか、ジェームズ・キャメロンは何がしたいんや。自分の息子やキリなどの、いわゆる混血児が疎外されてしまう問題を「家族の絆」で乗り越えようというのは理解できないこともないが、動物との関係をどう考えてるの?

 

生物学の専門家ではないJovianの目から見ても、スキムウイング(パンドラのトビウオ)が海面を飛び出て飛ぶようになったには、捕食者から逃れるか、または海面上にエサがあるからだろう。後者の描写はなく、おそらくトゥルカンがスキムウィングの捕食者なのだろうが、だとすれば片方でスキムウィングに乗りつつ、トゥルカンと絆を結ぶメトケイナ族とはいったいどんな二枚舌部族なのか。というか、トゥルカンは魚類なのか哺乳類なのか。というのも体を左右に振る魚式の泳ぎ方と上下に振るクジラ式の泳ぎの両方を見せていたから。クジラと同じく頭のてっぺんから潮を吹く生物が魚だとは考えにくいが、スタッフの誰もこの泳法の違いには気付かなかったのだろうか。

 

総評

3時間超の作品だが、映像体験としては文句なし。アクションに次ぐアクションで尿意を感じる暇もなかった。その一方で、ストーリーとしてはツッコミどころ満載かつオリジナリティに欠ける。『 ポカホンタス 』のアナザーストーリーをあと何回観ればよいのだろうか。次は地下か?それとも雲の上?クオリッチがある意味、不死者になってしまったため、エイワの力によって色々なキャラを復活させないと、今後のドラマは作りにくそう。まあ、そういったあれこれを考察するだけのドラマはしっかりと用意されている。生物学だの文化人類学だのの観点から考えなければ、スリリングな3時間を過ごすことはできる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

fortress

「砦」の意。音楽をやっていた人ならフォルテ=強く弾くという用語を知っているだろう。これはラテン語の fortis = strong から来ている。英検準1級レベルであれば、stronghold ≒ fortress というのも知っているはず。戦争映画や戦争ゲームでよく出てくる語なので、そのジャンルのファンなら知っておいて損はない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜、鳥たちが啼く 』
『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』

 

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『 Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック 』 -お下劣ムービーの佳作-

Posted on 2022年12月30日 by cool-jupiter

Never Goin’ Back ネバー・ゴーイン・バック 70点
2022年12月26日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:マイア・ミッチェル カミラ・モローネ
監督:オーガスティン・フリッゼル

 

A24スタジオの2018年の作品。なぜ今公開なのか分からないが、面白そうだったので、あらすじも見ずにチケット購入。お下劣お馬鹿ムービーの佳作だった。

あらすじ

アンジェラ(マイア・ミッチェル)とジェシー(カミラ・モローネ)は高校をドロップアウトしてルームシェアをして暮らす親友。同じ家にはジェシーの兄も住んでいる。アンジェラはジェシーの誕生日にガルヴェストンのビーチで過ごすために家賃用の金を使ってチケットを買う。その穴埋めのために二人はバイトのシフトを増やすが・・・

ポジティブ・サイド

高校を中退してルームシェアをしている女子二人組が、極貧生活にあえぎながらも17歳の誕生日をリゾートとして名高いビーチで過ごそうとする。パーティーとは無縁の学校生活だったが、最後くらいは思いっきり羽目をはずしたいという『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』と、どこか似ているように感じる。ただし優等生女子二人組と違って、こちらは中退女子の二人組。上品さなどかけらもない。しかし、それがたまらなく面白い。

 

ジェシーのリゾート行きのバカンスを予約したせいで、家賃にまで手を付けてしまったアンジェラだが、バイトのシフトを増やせば何とかなると楽観的。ここまで順調そうに見えるが、同居しているジェシーの兄貴がやらかしたおかげで、家に警察が来る羽目に。そこで二人の部屋から見つかるドラッグの痕跡・・・ あえなく御用になるアンジェラとジェシーだが、ここでのジェシーのとあるやせ我慢が最後の最後まで物語を引っ張るとは・・・

 

無事に拘置所から出られた二人だが、とにかくやることなすこと全てがしっちゃかめっちゃか。無軌道な青春物語らしいと言えばらしい。刹那的にその瞬間だけを楽しめるのは若さの特権。やっていることは犯罪すれすれというか、最後はもろに犯罪なのだが、ここでアンジェラとジェシーを応援してしまうのは、自分もまあまあオッサンになってしまったからだろうか。

 

アホなのは主役の二人だけにとどまらない。ジェシーの兄貴もその友達も馬鹿者揃い。金欠だからと、最後にこの兄貴たちとアンジェラたちがたどり着く結論が同じになるのも笑える。兄貴たちはアホな男子中学生のノリで、アンジェラたちは小悪魔女子校生的。ここから意外な人物の登場で、シチュエーションはクライマックスへ。そこでぶちまけられたものとは・・・

 

10代女子にこれをやらせるオーガスティン・フリッゼル監督に脱帽。そして本作をPG12に指定した映倫のファインプレーも称賛に値する。これがR15やR18だと、中学生や高校生たちが本作を鑑賞できない。賛否両論ある判断だろうが、Jovianは賛である。『 スウィート17モンスター 』と並ぶ、無軌道なお下劣青春映画の佳作だ。

ネガティブ・サイド

アンジェラとジェシーの高校退学の背景を少し知りたかったと思う。また、ジェシーの方は明らかに家庭に問題を抱えていたのが分かったが、アンジェラの背景は見えてこなかった。

 

二人がダイナーで働くシーンをもう少し映し出すべきだった。ダメダメな仕事をしているのは分かったが、その中でも何かひと工夫したり、あるいは気の利いたことをして客からチップを多めにもらったりといったシーンが少しでもあれば、ラストシーンで二人に不安ではなく希望を抱くことができたのにと思う。

 

総評

冒頭からガール二人のお下劣トークから始まるが、この二人のテンションが最初から最後まで落ちない。マシンガントークで全編を突っ切る。その中身もキャピキャピのガールズトークではなく、純情高校生男子が耳にしたら背筋が凍るような下ネタにエロネタに犯罪ネタのオンパレード。こうしたしゃべりを楽しめるなら、本作は当たりのはずだ。デートムービーにはならないだろうが、仲の良い女子二人組で鑑賞すればめちゃくちゃ盛り上がるのでは?

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

True that.

日本語で言うところの「確かに」、「言えてる」のような肯定の相槌表現。スラングで、ネット掲示板などではしばしば True dat. と表記される。ビジネスの場やフォーマルな場では使うべきではないが、友人との日常会話ではバンバン使っていい。

次に劇場鑑賞したい映画

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