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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 配給会社:20世紀フォックス映画

『 28日後… 』 -復習再鑑賞-

Posted on 2025年5月7日2025年5月7日 by cool-jupiter

28日後… 60点
2025年5月4日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:キリアン・マーフィー ナオミ・ハリス
監督:ダニー・ボイル

 

『 28年後… 』の復習のために、約20年ぶりに鑑賞。たしか東京で一人暮らししている時に、近所のTSUTAYAで借りた記憶がある。

あらすじ

動物愛護活動家が研究所を襲撃、チンパンジーを脱出させるが、そこから人間を狂暴化させる未知のウィルスが蔓延した。28日後、病院で目覚めたジム(キリアン・マーフィー)は、人っ子一人見当たらないロンドンの街を彷徨するが・・・

 

ポジティブ・サイド

「ゾンビ(実際は違うが)が走るのは反則やろ」と思ったことぐらいしか覚えていなかったが、観ているうちにだんだんと思い出した。人気(ひとけ)の絶えたロンドンをとぼとぼと歩くジムが妙に絵になる。

 

2020年前半のコロナ禍を経た上で本作を再鑑賞すれば、我々が未知の病原菌のキャリアや感染者に対して抱く本質的な恐れの感情は、時代や地域によって変わるものではないということがよく分かる。

 

地球の歴史からすれば人間が存在してきた時間の方が圧倒的に短く、人類が滅んでも、それは地球が平常運転に戻るだけだという考え方は西洋的というよりも東洋的で、個人的にはこの上なく首肯できる。一方で感染の前でも後でも、この世界では人が人を殺す、homo homini lupus あるいはbellum omnium contra omnesな世界であるというイングランド哲学者のホッブス的な観念も開陳されていたのは面白かった。

 

生き残った者たちの連帯の儚さ、そして無秩序の中で秩序を確立しようとする軍人たちとの戦いは、暴力ではなく知力の戦いがメインでそこそこ説得力を感じることができた。

 

ネガティブ・サイド

色々と細かい設定があるのだろうが、それがあまり追究されなかったのは残念。個人的には感染者の認知能力をもっと深掘りしてほしかった。感染者は非感染者を視覚、嗅覚、聴覚の何で区別しているのか。また鏡を効果的に使うシーンでは、感染者には鏡像認知能力が保たれていることがうかがえたが、そうしたシーン(感染者にも一定の知性がある)を序盤もしくは中盤に少し見せてくれていれば、なお良かった。また感染者がどれくらいで餓死するかを観察するのは超がつくほど重要だが、だったら雨水が飲めてしまうような場所に閉じ込めておくのはおかしい。隊の誰も突っ込まなかったのか。

 

最終盤にジムが覚醒するのが、かなり唐突に感じられた。確かに途中で野球バットをぶん回すシーンはあったが、あれをきっかけに軍人相手に大立ち回りができるほどに開き直ったというのは考え難かった。

 

総評

感染ジャンルの中では平均的な面白さか。コロナを経験してから見ると、人間がいかに疑心暗鬼に陥りやすいか、他者を攻撃あるいは排除しやすいかが分かる。平和な時に見ればゾンビものの変化球扱いされるのだろう。映画の評価は時代によって大きく変わりうることを証明する作品の一つ。復習再鑑賞したいという向きも多いはず。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

in a heartbeat

直訳すれば「心臓の一回の鼓動の内に」となる。心臓は1分あたり65~85回ぐらいの鼓動を刻むとされるので、一回の鼓動は1秒以下となる。つまり、「あっという間に」「一瞬で」の意味となる。

A: If you took this job offer, you’d have to move.
この内定を受諾するということは引っ越ししなければなりませんよ。

B: In a heartbeat!
すぐに引っ越します!

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は 』
『 ゴーストキラー 』
『 新世紀ロマンティクス 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, C Rank, イギリス, キリアン・マーフィー, ホラー, 監督:ダニー・ボイル, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 28日後… 』 -復習再鑑賞-

『 アビス 』 -海洋SFの佳作-

Posted on 2023年3月21日 by cool-jupiter

アビス 65点
2023年3月19日 レンタルDVDにて観賞
出演:エド・ハリス マイケル・ビーン メアリー・エリザベス・マストラントニオ
監督:ジェームズ・キャメロン

『 タイタニック 』の再上映に世間は湧いていた。代わりと言っては何だが、本作を近所のTSUTAYAでレンタル。

 

あらすじ

アメリカ海軍の原潜が謎の事故により消息を絶った。救助活動の基地として海底油田採掘施設のディープコアが選ばれた。バッド(エド・ハリス)たちクルーに、コフィ大尉(マイケル・ビーン)たちと、ディープコアの設計者リンジー(メアリー・エリザベス・マストラントニオ)が合流する。しかし、バッドとリンジーは離婚間近の夫婦で・・・

 

ポジティブ・サイド

『 エイリアン2 』の宇宙船と同様に、海底という一種の極限閉鎖環境内で、愉快で、なおかつ緊張感のある人間関係が繰り広げられる。キャメロン監督の好物テーマというか、撮っていて楽しいのだろう。

 

深海は2020年代の今でも、まだまだ未知の世界。100億光年彼方の光すらも捉える現代天文学と比較すれば、海の底の方が遠いとも言える。そこに未知の生命がいて、地上人にメッセージを発するというのは面白い。

 

CGも頑張っている。自在に形を変える水が『 ターミネーター2 』のT-1000につながったことは有名。また、バッドが終盤に通ることになるゲートは、どう見ても『 2001年宇宙の旅 』のスターゲートにインスパイアされている。

 

様々な意味でキャメロンの嗜好が色濃く反映された作品。

 

ネガティブ・サイド

何をどう考えても素潜りは無理だろう。確か原潜が沈んだのが600メートルぐらいで、ディープコアは400メートルぐらいの深さだと言っていたような。こんな深海、普通の人間どころか、素潜りの世界記録保持者でも一発でお陀仏のはず。とある人物も、こんな環境からよく蘇生できたな・・・

 

最後の最後に強烈なカタストロフィを回避するが、普通に考えて世界中で何千という数の船舶が海の藻屑と消えたことだろう。これでめでたしめでたしと考えられてしまうのは、カナダが海洋国家ではないからかな。

 

総評

マイケル・ビーン演じる軍人さんの行動に若い世代は???となるかもしれないが、『 ゴジラ1985 』などを観れば分かる通り、この時代は核戦争の脅威が現実に存在した。同時に『 コクーン 』のような、どこか1950年代のSF小説的な楽天さも併せ持った、どこかアンバランスな作品。深海で何か大発見があれば、また再評価される時も来るだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

be pressed for ~

劇中ではバッドが”We’re a little pressed for time.”=ちょっと時間がないんだぞ、的に言っていた。be pressed for ~ = ~が足りない、だが、ほとんどの場合 be pressed for time または be pressed for money である。

X: Do you have a minute?
Y: Sorry. I’m pressed for time right now.

のように返せれば、英会話中級者だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 Winny 』
『 シャザム! 神々の怒り 』
『 ロストケア 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1990年代, C Rank, SF, アメリカ, エド・ハリス, マイケル・ビーン, メアリー・エリザベス・マストラントニオ, 監督:ジェームズ・キャメロン, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 アビス 』 -海洋SFの佳作-

『 エイリアン2 』 -SFアクションの極北-

Posted on 2022年4月13日 by cool-jupiter

エイリアン2 90点
2022年4月6日 レンタルDVD鑑賞
出演:シガニー・ウィーバー マイケル・ビーン ランス・ヘンリクセン
監督:ジェームズ・キャメロン 

 

『 エイリアン 』の続編。ホラー路線を継承しては前作を超えられないという判断か、思いっきりアクション方面に舵を切った。この判断は正解である。

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あらすじ

エイリアンとの死闘から57年後。クライオスリープから目覚めたリプリー(シガニー・ウィーバー)は、会社にエイリアンの話を信じてもらえず、逆にノストロモ号を爆破したことから尋問を受け、職務停止処分となる。しかし環境改良のために送り込まれたLV-426の植民団と通信が途絶。リプリーはアドバイザーという立場で屈強な海兵隊員たちと共に、再びLV-426を目指すが・・・

 

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

前作のタグラインは”In space, no one can hear you sream”(宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない)だったのが、今作では ”This time, it’s war”(今度は戦争だ)になったように、戦争映画の文法に非常に忠実に作られていると感じる。宇宙船スラコ号で、クルーがクライオスリープから目覚めてからLV-426に降下していくまではベトナム戦争映画か何かに見えるが、それがいちいち面白いのだ。まるで『 コマンドー 』や『 プレデター 』のように、面白 one-liner がポンポンと飛び出してくる。それが単に笑えるだけではなく、この海兵隊員たちの関係性(信頼関係や力関係)が浮き彫りになってくる。

 

”Hey, Vasquez. Have you ever been mistaken for a man?”

(おい、バスケス。男に間違えられたことあるか?)

“No. Have you?”

(ないよ。お前は?)

 

このシーンだけでバスケスのファンになってしまうし、ハドソンが面白キャラであることが存分に伝わってもくる。

 

本作はほとんどすべてのキャラクターが立っているのも特徴だ。トラッシュ・トーカーのハドソンはもちろん、女性ランボーと言っていいバスケス、典型的な鬼軍曹タイプのエイポーンに、経験不足の士官ゴーマンなど。結局は誰もが死ぬわけだが、その死に様が一人ひとり異なっていて味わいがある。最後の最後までマシンガントークのまま連れ去られるハドソンに、一瞬で殺されるエイポーン、へなちょこ士官でいつの間にかリプリーに指揮権を奪われるゴーマンが、負傷したバスケスを救うシーンは胸アツだし、そこから二人して自爆するのは感動的ですらある。それだけキャラに感情移入できるのである。

 

完全版ではスペースジョッキー(エンジニア)の不時着した宇宙船にたどり着いて、しっかりフェイスハガーをもらってくる父親と半狂乱の母を見て叫ぶニュートの悲鳴の鋭さよ。ホラー映画における女優の叫び声はもはやクリシェであるが、それでもニュートの悲鳴は群を抜いて観る側を不安にさせる力を持っている。他にも、サムズアップや敬礼など、セリフ以外でも印象的なシーンが多い。女優としては本作だけしか出演していないが、ハリウッド映画史に確実に爪痕を残した子役として語り継がれていくだろう。

 

だが白眉は何と言ってもリプリー。完全版では母親属性が追加され、ニュートとの絆がさらにアップ。またヒックスとの奇妙な連帯が、リプリーが探そうともしなかった夫との関係性をしのばせる。海兵隊員が一人また一人と脱落していく中、銃器を手にニュートの救出に向かう様、そしてクイーンエイリアンとの対面シーンは何度見ても息を呑む。劇場で当時リアルタイムで鑑賞した人は、本当に呼吸が止まったのではなかろうか。卵を焼き払い、ウォーリアーを蹴散らす様は、まさに女コマンドー。またスラコ号内でパワーローダーの乗ってクイーンと対峙する際にリプリーが言い放つ “Get away from her, you bitch!” (ニュートから離れろ、このクソアマめ!)というセリフが強烈な印象を残す。前作のマザーコンピュータへの ”You bitch!” と合わせて、まさに女の戦い、母と母の戦いである。 

 

クイーンの造形も見事としか言いようがない。黒光りしながら粘液を滴らせる巨体、産卵管から卵を産み落とすグロテスクさ、そしてビショップを真っ二つに引き裂く残虐性とパワー。映画史に残るスーパーヴィランと言っていいだろう。『 エイリアン 』で個人的に感じ入ったのはフェイスハガーの死体をアッシュが念入りに調べるシーン。CGではなく現実に存在するものをカメラに収めることでしか生み出せない質感というものが確かに存在する。クイーンは中に人間二人が中に入って動かし、その他の細かい動作は外部からリモートコントロールしていたそうだが、この技術はハリウッドで継承されているのだろうか。モスラやキングギドラのピアノ線による操演はもはやロスト・テクノロジーになっているが、このように実物を作って、人間が動かして、それをカメラに収めるという映画の技術は、しっかりと継承されてほしいと切に願う(その意味で『 JUNK HEAD 』の堀貴秀は奇人であり偉人である)。

 

『 エイリアン 』がSFとホラーの完璧なマリアージュだとすれば、『 エイリアン2 』はSFとアクションの完璧なマリアージュだと言えるだろう。

 

ネガティブ・サイド

ヒックスとリプリーがニュート救出のために奮闘するのはいいが、この疑似家族形成の過程においてヒックスは華々しく討ち死にするべきではなかったか。ウォーリアーと差し違えるか、あるいはビショップの次にクイーンに切り裂かれるなどすれば、リプリーから妻という属性が消え、母という属性がさらに強められたことだろう。

 

総評

3日間で4回観た。それぐらい楽しめた作品。ジェームズ・キャメロンは『 ターミネーター 』だけの one-hit wonder ではないことを本作で見事に証明した。闘う女性キャラと言えばエレン・リプリーか、それともサラ・コナーか、ってなもんである。とにかく緊張の糸が張りつめっぱなしだが、そこかしこに海兵隊員特有のユーモアやキャラクター同士のケミストリーが感じられ、一度見始めると止められない。CGではなく手作りのプロダクション・デザインの奥深さやキャラの魅力など、何度でも鑑賞できる大傑作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

get back on the horse

直訳すれば「馬の背に戻る」ということで「落馬しても、もう一度トライしろ」、つまり「失敗しても、もう一度頑張れ」という意味の慣用句。クリストファー・リーブを思い起こすと言いづらいが、フロンティア・スピリットを感じさせる言葉ではある。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1980年代, S Rank, SF, アクション, アメリカ, シガニー・ウィーバー, マイケル・ビーン, ランス・ヘンリクセン, 監督:ジェームズ・キャメロン, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 エイリアン2 』 -SFアクションの極北-

『 エイリアン 』 -SFとホラーの完璧な融合-

Posted on 2022年4月10日 by cool-jupiter

エイリアン 90点
2022年4月4日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:シガニー・ウィーバー トム・スケリット 
監督:リドリー・スコット

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小学生の頃に親父とVHSで観た。その後も何度か観た記憶があるが、とにかくチェスト・バスターのシーンが強烈すぎて、まともに観られなかったことだけはよく覚えている。同時期に確かジェフ・ゴールドブラム主演の『 ザ・フライ 』もテレビか何かで観て、そちらも小学生にはトラウマだった。今回、あらためて本作を鑑賞して、大傑作である。『 プロメテウス 』、『 エイリアン: コヴェナント 』の流れでこの古典的傑作をレンタル。大学の新年度開講前という超絶繁忙期だが、repeat viewingしてしまった。

 

あらすじ

貨物船ノストロモ号は謎の信号を受信、クルーは惑星LV-426に向かう。異星文明の宇宙船内部でクルーの一人が謎の生物に襲われ昏睡状態に。回復したかに見えたクルーの胸部からエイリアンが誕生。航海士リプリー(シガニー・ウィーバー)たちはエイリアンの駆除に乗り出すが・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭の宇宙船のシーンは『 スター・ウォーズ 』そっくりだが、これは両者が『 2001年宇宙の旅 』に強烈にインスパイアされているからだ。宇宙とは未知の空間で、未知であることは恐怖あるいは畏怖の対象になる。エイリアンという存在が恐怖の成分を完璧なまでに体現しており、宇宙船という典型的なSFのガジェットが、嵐の山荘や絶海の孤島といったクローズド・サークルになっており、そのことがミステリ要素とホラー要素をこれでもかというぐらいに際立たせている。

 

その宇宙船の造形は内部も外部も完璧である。CGでは出せない質感がありありと感じられ、それが物語の迫真性を大いに高めている。またLV-426に不時着している異星文明による宇宙船のあまりにも不吉すぎる外観と内部も、ホラー映画としての本作の価値を高めている。特にスペースジョッキーの謎のミイラは、死体発見=ミステリという定石通り。そこからフーダニットを否応なく考えさせられるが、本作は謎を謎のままに徹底したホラー路線へ舵を切ることで宇宙の神秘と恐怖を一挙に増幅させた。

 

1970年代といえば『 スター・ウォーズ 』と同世代。つまりCGなどなかった時代。だが、フェイス・ハガーやチェスト・バスター、ビッグチャップの造形も息を呑むほどのおぞましさ=素晴らしさ。H・R・ギーガーが手がけたこれらのデザインが構成に及ぼした影響は枚挙にいとまがない。Jovianの世代であればゲームの『 メトロイド 』が一例だし、もっとメジャーなところで言えば漫画『 ドラゴンボールZ 』のフリーザの第3形態もゼノモーフをモチーフにしていることは疑いようがない(鳥山明の作品は様々な古典映画の intertextuality の見本市である)。このエイリアンの造形の巧みさが「怖い、見たくない」と「怖い、けどもっと見たい」という二律背反の欲求を呼び起こす。

 

このエイリアンが、一人また一人とクルーを殺戮していくシーンは、ホラー映画の文法に非常に忠実。宇宙そして宇宙船という環境で怪物が人間を殺していくというのは、言葉にすると陳腐もしくはギャグに感じられるが、それらが完璧なマリアージュを果たすとこれほどの傑作になるのだと証明したリドリー・スコットの功績は果てしない。

 

アンドロイドと船を統括するマザーという人工知能の存在も、現代の視点からは逆に新鮮に映る。人工知能が人間をリードし、人間がその助言や指令を受け入れるという世界観は確実に浸透しつつある。チェスや将棋の世界ではAI無しには研究はもはや成り立たない。医学や天文学の分野でもデータ分析や画像解析はAIの独擅場である。電車や自動車でも自動運転に実現の目途が立ちつつあり、船や飛行機、さらには宇宙船も時間の問題だろう。

 

アンドロイドのアッシュの一種の反乱は、政府ではなく超巨大企業が世界を牛耳るようになりつつある現代の延長線上の近未来への警告と受け取れなくもない。また個人的にいたく感心したのが、リプリーがノストロモ号のマザーコンピュータに”You, bitch!”と叫ぶシーン。母 vs 母 という構図は『 エイリアン2 』のものだと思っていたが、実は本作の時点でそうした対決の萌芽が見られていた。これを見事に引き継いだJ・キャメロンには流石である。

 

これを映画館で観られた人が羨ましい。Jovianが生まれた年に公開された作品だが、どこかでリバイバル上映してくれないだろうか。

 

ネガティブ・サイド

会社の指令でLV-426に降り立つわけだが、そのことをウェイランド社に報告する様子がない。また、ジョン・ハートが最初に死んだ時にも会社に報告する必要があるのではないだろうか。

 

総評

『 エイリアン 』シリーズをひとつも観たことがなくても、エイリアンと聞けばグロテスクな宇宙生物をイメージする人は多いだろう。それが本作の持つ影響力の大きさである。事実かどうかは定かではないが、外国人登録の訳語として Alien Registration が使われていたが、本作公開後に一部の自治体では Foreign Registration に変えた、という話を聞いたことがある。 とにかく様々なジャンルのメディアに計り知れない影響を及ぼしたのである。コロナ禍の原因、それに対する一つの実験的対処として本作を鑑賞することも可能である。時代を超えた名作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

quarantine

「隔離」「検疫」の意。2020年以降に最も知られるようになった語彙の一つだろう。元々はラテン語の quadraginta = 40 から来ている。Valentine(ヴァレンタイン)とつづりが似ているが、発音はクウォランティーンである。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 1970年代, S Rank, SF, アメリカ, シガニー・ウィーバー, トム・スケリット, ホラー, 監督:リドリー・スコット, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 エイリアン 』 -SFとホラーの完璧な融合-

『 エイリアン: コヴェナント 』 -一作目の不完全リメイク-

Posted on 2022年4月5日 by cool-jupiter

エイリアン: コヴェナント 50点
2022年4月1日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:マイケル・ファスベンダー キャサリン・ウォーターストーン
監督:リドリー・スコット

 

先月の残業時間が危険水域に入った。今月もやばそうなので簡易レビューを。

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あらすじ

植民船コヴェナントは航行中に事故に遭い、クルーを冬眠から目覚めさせた。夫を失ったダニエルズ(キャサリン・ウォーターストーン)らは失意に沈む。しかし、船にはとある信号が届いていた。それは近傍の居住に適した惑星から発せられていた。クルーは調査のためにその惑星に赴くが・・・

 

ポジティブ・サイド

グロいシーンが前作『 プロメテウス 』よりも増。特に最初に背中を突き破られるシーンはなかなかに disturbing で良かった。

 

ネオモーフの白さも味わい深い。エイリアン=ゼノモーフ=黒というイメージが非常に強いが、白い個体がデイビッドと奇妙な信頼関係を築きかけようとするシーンは示唆的だった。繁殖できないアンドロイドと寄生しなければ繁殖できないエイリアンには不思議なコントラストがある。

 

話が『 ターミネーター 』的な世界観で駆動されているが、それはそれで現代の感覚が反映されていて、納得できないものでもない。

 

全体的に『 エイリアン 』を彷彿させるシーンや構図が多かったのも好印象。

 

エンジニア ⇒ 人類 ⇒ アンドロイド ⇒ エイリアン ⇒ エンジニア という奇妙な連環はどこか『 ガニメデの優しい巨人 』的だが、リドリー・スコットの世界観あるいは人間観がよく現れているとも言える。『 ブレードランナー 』で人間とレプリカントの違いを追究せんとしたスコット翁は、本作によってエイリアン=異質なる者とは異星生物ではなく「被造者」による「被造者」であるという仮説を打ち出した。AIのシンギュラリティが現実に視界に入った現代、創造者と被造者の関係が可変的であるというのは、独特かつ説得力ある視座であると評価してよいだろう。

 

ネガティブ・サイド

どんな偶然が起きれば、ニュートリノ・バーストに遭遇するというのか。そして、たまたまニュートリノ・バーストに遭遇した場所のすぐ近くで、ジョン・デンバーの『 カントリー・ロード 』を受信するなどといったことがあるものか。普通に考えれば、行うべきは通信であって着陸探査ではない。前作に引き続き、宇宙船のクルーがアホすぎる。

 

そのクルーも、やはり呼吸可能というだけで宇宙服もヘルメットも着用しないという非常識っぷり。前作に引き続き、同じ愚を犯している。特にコロナが終息せず、マスクをはずすことが今でもためらわれる今という時代の視点からすると、未知の惑星でこれほど無防備な宇宙飛行士というのは、アホにしか見えない。エイリアンは第一義的には寄生生物(しかも宇宙最悪レベル)なのだから、通常の生物の生体防御を巧みにかいくぐる様を描くべきだった。人間がアホなので寄生に成功しました、ではなく、人間も対策を打っていましたがエイリアンはもっと上手でした、という展開こそが必要だった。

 

エンジニアもエンジニアでアホすぎる。理由があって生物兵器の実験場惑星で冬眠していた同朋が数万年ぶりに母星に帰ってくるというのは、確かに種族総出で出迎えるべき一大イベントだろう。J・P・ホーガンの『 巨人たちの星 』でも似たような描写はあった。しかし、この世界の知的生命体というのは通信を行わないのだろうか。人類がアホなのは創造者譲りなのか。

 

最後の最後に、セックスしたら死ぬというホラー映画のクリシェを持ってくるのも気に入らない。何故にわざわざ自分から三流ホラー路線に入っていくのか理解できない。

 

総評

かなり微妙な出来と言わざるを得ない。『 プロメテウス 』よりもエンタメ色が強まった分、様々なクリシェが生じてしまい、逆に展開が読みやすくなってしまっている。というか、マイケル・ファスベンダーではなく、もっとマイナーな役者でないと、この twist は生きないだろう。三作目もあるらしいが、スコット翁にどのようなビジョンが見えているのか、少々不安でならない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

covenant

ぶっちゃけJovianも本作を飛行機で観るまでは知らなかった語。しかし、旅先のカナダのバンクーバーの街中で Covenant House を見かけて、「お、コヴェナントや」と思い、その場でググったことを今でも覚えている。Covenant House = 家などに居場所がない人の避難所である。英検1級を目指すのであれば知っておいて良いと思うが、そうでなければ無視してよい。

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2010年代, D Rank, SF, アクション, アメリカ, キャサリン・ウォーターストーン, マイケル・ファスベンダー, 監督:リドリー・スコット, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 エイリアン: コヴェナント 』 -一作目の不完全リメイク-

『 プロメテウス 』 -エイリアン前日譚の不発作-

Posted on 2022年4月3日 by cool-jupiter

プロメテウス 45点
2022年3月28日 WOWOW録画にて再鑑賞
出演:ノオミ・ラパス マイケル・ファスベンダー
監督:リドリー・スコット

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土曜出勤が続きすぎて、映画館に行く力が出てこなかった。手元の円盤を適当にあさっていると本作が出てきた。劇場鑑賞してイマイチだったので、これを機に再鑑賞。

 

あらすじ

古代遺跡が共通して指し示す星に人類の創造主エンジニアがいる。そう確信するエリザベス・ショウ(ノオミ・ラパス)博士たちは、ウェイランド社の支援を受けて、宇宙船で旅立つ。無事に目的にたどり着いた一行だが、そこには謎の遺跡が待ち受けていて・・・

 

ポジティブ・サイド

プロダクションデザインは流石のリドリー・スコットと言える。地球およびLV-223の遺跡や壁画、宇宙船、様々なガジェットに至るまで、精巧かつ緻密に形作られている。LV-223も地球と似て非なる惑星の雰囲気がよく出ていた。

 

『 エイリアン 』シリーズのひとつの醍醐味であるショッキングな描写もなかなかのもの。詳しくは書けないが、この時の人間をこうするとどうなるの?というシリーズ恒例の疑問にしっかり答えてくれる。

 

エイリアンと人類の戦いに焦点を当てないという決断も尊重したい。人間とは何か?何故存在するようになったのか?アンドロイドとは人類にとってどのような存在なのか?人類とアンドロイドの関係は、創造主たる神と人類の関係のアナロジーたりうるのか?『 エイリアン 』シリーズは常にアクションとSFの比重を変えながら存続してきたが、今作によって非常に思弁的なSFとしての性質も手に入れた。その方向性の変化(だけ)は良い意味で評価したい。

 

ネガティブ・サイド

キャラクターの行動原理がとにかく意味不明の一語に尽きる。スポンサーであるウェイランド個人の希望や欲求が大きくものを言ったのは分かるが、それでも異星文明が存在すると思しき惑星を見つけたなら、まずは徹底的な観測、そして通信を試みるだろう。いくら2094年とはいえ、いきなり恒星間航行はとんでもない飛躍だと感じる。

 

宇宙船プロメテウスのクルーの行動もむちゃくちゃである。どこの宇宙飛行士が未知の惑星上でヘルメットをはずすのか。仮に呼吸可能な空気だとして、空気中にどんな微生物や花粉などの微笑物質が存在するか分かったものではない。これだけでも目まいがしてくるというのに、1メートル超はあろうかという蛇のような異性生物に触ろうとするか?いったいどこまでアホなのか?

 

見せ場の一つでもある手術用の機器も、なぜクルーに女性がいるのに男性用の手術しかできないのか。シャーリーズ・セロン演じるヴィッカーズがアンドロイドなのかと疑わせたいのだろうが、だったら船長のアイドリス・エルバとあれやこれやのトークをさせる必要はないだろうと思うし、そもそもハイバネーションからの覚醒直後にタフネスぶりを見せつける描写も必要ない。こういうのは観る側を惑わせるぐらいがちょうど良いのである。

 

人類誕生の秘密を創造主に尋ねようというのは、SF小説としては面白いが、ホラー要素とアクション要素の両方がてんこ盛りのSF映画シリーズのひとつとしてはどうなのだろうか。それをやるなら、『 エイリアン 』の一環ではなく、独立した作品を企画してほしかった。エンジニアと人類の遭遇にしても、エンジニアが人類を創造した動機にしても、ぼやかされた感が強い。もっとストレートに観る側をびっくりさせるようなアイデアはなかったのか。この分野にはJ・P・ホーガンの小説『 星を継ぐもの 』と『 ガニメデの優しい巨人 』という金字塔(ホラー路線ではなく純粋なハードSF)があるが、リドリー・スコットなら敢えてそうした高いハードルを超えようとする姿勢が求められるのではないか。拍子抜けとしか言えない作品である。

 

総評

再鑑賞しても、it didn’t grow on me. 『 エイリアン 』シリーズ(一作目と二作目)のファンなら本作は評価できないだろう。または『 エイリアン 』シリーズの超上級ファンなら、本作を高く評価するのだろうか。エイリアン関連の映画でなければ、毎年、夏にいくつか出てくるB~C級SF映画という扱いで終わりだろう。もし観ようと思うのなら、まずは『 エイリアン 』と『 エイリアン2 』この続編である『 エイリアン: コヴェナント 』は新婚旅行の行きと帰りの飛行機の中で2回字幕なしで観た。6割ぐらいしか理解できなかったと記憶しているので、そちらも近々レンタルしてこようかな。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Poor choice of words

字幕では「失礼な言い方でした」だったが、これは意訳。直訳すれば「貧相な言葉の選択」ということ。日常会話でもたまに耳にする表現。『 ダークナイト 』のジョーカーもほとんど同じセリフを言っている。気になる人は、この動画でチェックしてみよう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, SF, アメリカ, ノオミ・ラパス, マイケル・ファスベンダー, 監督:リドリー・スコット, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 プロメテウス 』 -エイリアン前日譚の不発作-

『 ソラリス 』 -会えない人に会うということは?-

Posted on 2021年12月27日 by cool-jupiter

ソラリス 60点
2021年12月21日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジョージ・クルーニー
監督:スティーブン・ソダーバーグ

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『 ドント・ルック・アップ 』という地球滅亡もの、さらになかなか終わらないコロナ禍のせいで、ついつい本作に手を出してしまった。古い方の『 惑星ソラリス 』は確か高校生ぐらいの時にテレビ放送で観た。こちらは確か大学卒業後に観た記憶がある。約20年ぶりの再鑑賞である。

 

あらすじ

精神科医のケルビン(ジョージ・クルーニー)は、惑星ソラリスの軌道上で観測任務にあたる友人から「来てほしい」との依頼を受ける。現地に赴いたケルビンは一部のクルーの死亡を知る。残ったクルーに話を聞くが、要領を得ない。そんな中、ケルビンの元に亡き恋人、ハリーが現れて・・・

 

ポジティブ・サイド

SFというジャンルは基本的に論理による面白さを追求するものである。論理とは科学的な思考である。その意味でSF=Science fictionである。けれども、f の字を fantasy であると解釈することもある。『 スター・ウォーズ 』はSFと見せかけたファンタジーであり、おとぎ話である。では本作はどうか。これは fiction と fantasy を上手い具合に配分していると言える。

 

死人が生き返るというのは邦画では結構お馴染みで『 黄泉がえり 』や『 鉄道員(ぽっぽや) 』など、これまで数多く作られてきている。ただ、本作のユニークなところは舞台が地球ではなく宇宙空間であるところ。つまり、生き返っても絶対にそこには来れない場所であるところである。この蘇ってきた存在が持つ記憶というのも非常にユニーク。恩田陸の小説『 月の裏側 』の着想はおそらく本作および原作だろう。

 

アッと驚くとまでは言わないが、ある種のミステリを読み慣れている、あるいは観慣れている人なら予想できる展開だろう。それでもJovianも初見では唸らされた。この人間ではない存在と人間の奇妙な交流と、人間の定義 - つまり見た目なのかコミュニケーション能力なのか、それとも記憶なのか - が本作の眼目である。『 アド・アストラ 』や『 ミッドナイト・スカイ 』のような思弁的な物語を好む向きに、コロナ禍の今こそ鑑賞いただきたい作品である。逆の意味で会いたくなくなったりするかもしれないが。

 

ネガティブ・サイド

オリジナルの『 惑星ソラリス 』も本作も、悪いけれども退屈極まりない。探査船内のショットにしても、クルー以外には誰もいないことを強調するためのアングルで構成されているが、そんなことは観る側全員が分かっている。だからこそ、いるはずのない子どもを追うケルビンの表情であったり、その逸る足取りであったりを映すなど、緊張感やサスペンスを生み出すようなカメラワークが欲しかった。

 

ケルビンとハリーの恋愛回想シーンもかなりくどいという印象。ソダーバーグはこれをSFではなくラブロマンスと解釈したのかもしれないが、それは原作者であるスタニスワフ・レム御大へのリスペクトに欠ける。ジャンルを変えるにしてもヒューマンドラマにしておくべきで、それなら愛憎のどちらも描くことができた。

 

BGMの使い方も気になった。楽曲のクオリティではなく、音楽そのものが果たして必要だったか疑問に感じた。ほぼ探査船内と回想シーンだけで構成されている本作からは、BGMは極力そぎ落とすべきだった。音楽の力で観る側の思考や感情に影響を与えるのは映画の技法の一つではあるが、本作本来の極めて思弁的なSFという性格を打ち出すには音楽は邪魔であったように思う。

 

総評

コロナ禍収束の兆しが世界的に見えない。日本も水際対策に失敗した後で水際対策を強化するありさま。帰省についても政府は「慎重に判断を」と言うばかり。Zoom飲み会なるものも提案され、実行された瞬間に廃れた。「直接に出会う」ということの意味が見直されている時代だからこそ、本作のような思弁的な作品が新たな意味を帯びるのだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Depends

That depends. の省略形。意味は「時と場合によりけりだ」である。How long does it take to make curry? = 「カレーを作るのにどれくらいの時間がかかる?」という質問は、レトルトなのか、それともすじ肉のワイン煮込みベースのカレーなのかで、数分から数日まで答えが変わってくる。そうした質問に対して Depends. / That depends. と返すようにしよう。

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, C Rank, SF, アメリカ, ジョージ・クルーニー, ラブロマンス, 監督:スティーブン・ソダーバーグ, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 ソラリス 』 -会えない人に会うということは?-

『 スリー・ビルボード 』 -再鑑賞-

Posted on 2021年9月28日 by cool-jupiter

スリー・ビルボード 85点
2021年9月24日 dTVにて鑑賞
出演:フランシス・マクドーマンド ウッディ・ハレルソン サム・ロックウェル ルーカス・ヘッジズ
監督:マーティン・マクドナー

 

3年前ぶりの再鑑賞。前回のレビューはこちら。『 空白 』のテーマが”赦し”であると予告編でバラされてしまい、また妻がdTVの無料お試し登録をしたところ本作が available だったので、再鑑賞とあいなった。

 

あらすじ

娘を陰惨な事件でなくしたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)は地元の警察署長ウィロビー(ウッディ・ハレルソン)を責める内容の巨大ビルボードを街はずれに掲出した。やがてビルボードを巡り、ミルドレッドや街の人々、警察との対立が深まっていき・・・

 

ポジティブ・サイド

物語の始まりから終わりまで、一貫して unpredictable である。劇場鑑賞中に「こう来たら、次はこう・・・じゃないんかーい」と一人でノリ突っ込みをしていたことを思い出した。定石をとことん外してくるのが本作なのだが、そこに説得力がある。それは、一にも二にもフランシス・マクドーマンドの鬼気迫る演技。娘をなくした母親というだけでなく、苦悩する親、後悔する親というものを、恐ろしいほどのリアリティで体現している。

 

ウッディ・ハレルソン演じるウィロビー署長、横暴差別警察官を演じるサム・ロックウェル、ミルドレッドの窮地を救うピーター・ディンクレイジなど、とにかく悪人面だが、その内には人間性が宿っている。そして男が持つとされている包容力ではなく、弱い心や傷つく心を持っている。このあたりの、いわゆる人間の二面性を、ミルドレッドと彼女を取り巻く男たちとで比較対照してみると、人間の素のようなものが現われてくる。言葉の正しい意味でヒューマンドラマである。

 

ネガティブ・サイド

エンディングの余韻が少し弱い。もう少しだけミルドレッドとディクソンの間の会話というか空気を感じさせてほしかった。人は変われるし、人は人を赦すことができる。そうした本作のテーマをもう少しだけ映像とキャラクターのたたずまいで語って欲しかった。

 

総評

大傑作である。観ながら、ストーリーの非常に細かいところまで自分が覚えていることにびっくりしたが、それ以上に数々の伏線やセリフの妙、また役者たちの繊細かつ豪快な演技、それを捉える匠のカメラワークに唸らされた。日本の片田舎を舞台にリメイクできそうだが、これだけの人間ドラマを手がけられそうな監督がどれだけいるか。『 デイアンドナイト 』のテイストでドラマを再構築できるなら、藤井道人監督にお願いしたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

put up 

直訳すれば「置いてup状態にする」ということである。劇中では put up the billboards という形で何度か使われていた。put up のコロケーションとしては、put up an umbrella = 「傘をさす」や put up a tent = 「テントを建てる」などがある。英検準1級、TOEIC730点以上なら知っておきたい(TOEICにはまず出ないが)。 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, A Rank, アメリカ, ウッディ・ハレルソン, サム・ロックウェル, ヒューマンドラマ, フランシス・マクドーマンド, ルーカス・ヘッジズ, 監督:マーティン・マクドナー, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 スリー・ビルボード 』 -再鑑賞-

『 アド・アストラ 』 -B級思弁的SF映画-

Posted on 2019年9月23日2020年4月11日 by cool-jupiter
『 アド・アストラ 』 -B級思弁的SF映画-

アド・アストラ 50点
2019年9月21日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ブラッド・ピット トミー・リー・ジョーンズ
監督:ジェームズ・グレイ

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原題はAd Astra、To the starsの意味である。Adはラテン語の前置詞で、次に来る語が対格(accusative)か奪格(ablative)かで意味が変わる。Astraは対格で、ラテン語の原義的にはInto the starsが近い感じか。Jovianのall time favoriteSF小説の一つであるJ・P・ホーガンの『 星を継ぐもの 』でコールドウェルがハントのスカウトに成功して“This calls for a drink”といって、乾杯する時に二人が言う台詞が“To the stars”だった。

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あらすじ

ロイ(ブラッド・ピット)は宇宙飛行士。ある時、リマ計画で太陽系辺縁を目指し、消息を絶った父が生きていると知らされる。そして、その父の存在が地球に甚大なダメージをもたらしかねない。ロイは父とコンタクトを取るべく、火星経由で海王星を目指すことになるが・・・

 

ポジティブ・サイド

超長距離宇宙航行については、我々はワープ航法やクライオ・スリープ技術に慣れてしまっているせいか、宇宙という絶対的に孤独な空間で長時間を過ごす人間の精神にかかる負担というものを見過ごしがちである。『 インターステラー 』でも、23年を孤独に過ごした男がいたが、彼にはTARSがいた。ロイは通信もシャットダウンし、孤独に宇宙を旅したが、そこで去来する多くの想念をブラピの表情だけで描き切るという、予算があるのだかないのだか分からない撮り方をしたことが、結果的に上手くいった。宇宙は本来、人間にとって優しくも温かくもない存在で、究極的に人間に無関心である。そうした存在と孤独に対峙した時に人はどうなるのかを、心理テストに必ずパスするロイというキャラクターを通じて、ブラピは見事に描出した。このあたりが評論家に受けているのだろう。

 

月面や火星の星空が、さすがの美しさだった。CGとはいえ、NHKのコズミック・フロントで時々やっている5~15分の星空+音楽のショートプログラム、あれを彷彿させる。科学がどれだけ進んでも、人間がどれほど想像力をたくましくしても、星母子の世界には本当の意味でたどり着くことはできない。『 君の名は。 』でも感じたが、

星(多くの文化ではそれは太陽と月だ)は死と再生、破壊と創造のモチーフだ。地球外知的生命体との邂逅を求めて宇宙に飛び立った父、海王星付近で発生するサージという現象、そして本質的な意味での父の愛に飢えていたロイが、その父との再会を果たすべく目指す星の世界を見れば、これは父と息子という、ちょっと風変わりな star-crossed lovers の物語なのだ。静謐で、思弁的な、我々が忘れかけていたSF的なSFである。

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ネガティブ・サイド

過去の優れたSF作品へのオマージュが散りばめられている、と表現できればよいのだが、実際はデジャヴを感じるばかりである。『 ゼロ・グラビティ 』、『 火星の人 』、『 インターステラー 』、『 コンタクト 』など、どこかで見た構図やショットで溢れていて、オリジナリティは見出せなかった。

 

また冒頭でその姿を明らかにして、観る者の度肝を抜く軌道エレベータも、なぜEVA(というか単純に屋外作業か)を行う時に命綱その他の安全装置や器具をつけないのか。あの世界では軌道エレベータ作業員には『 フリーソロ 』が義務付けられているというのか。そんな馬鹿な話があるはずがないだろう。

 

また、月面での車両ドンパチも意味不明である。人間の愚かしさ、尽きることのない領土的野心を描きたかったのかもしれないが、本作は思弁的SFのはず。アクションも入れておかないと観客が寝てしまうと思ったのなら、それは大間違い。もっと文明と人間の精神の関係を掘り下げるような描写・演出を用いれば、SFファンはついてくる。近年でも『 メッセージ 』(監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ)のように、極力アクション要素を排除しても高い評価を得るSFが生み出されている。

 

JovianはSF小説やSF映画は好きだが、科学的な知識の幅や量は並みか、それより少しはマシという程度である。そんなJovianでも、わずか80日足らずで火星から海王星に到達できるということには驚愕した。月面にマスドライバーでも設置して、そこから更に月軌道上に設置したローンチ・リングで再加速でもさせないと無理だろう。火星から海王星までは光速でも4時間。光速の1%などという、宇宙警察にでも反則切符を切られそうなスピードでも400時間。これで約16日。実際は80日ほどかかっており、加速と減速も加味すれば、やはりロケットの最高速度は光速の1%は出ているように思える。うーむ、ハードSFとして見れば、これは荒唐無稽もいいところだ。反物質は確かに実在するが、それを燃料として計算できる量を確保するには、地球よりも遥かにでかい捕獲&貯蔵装置が必要と何かのSF小説で読んだ記憶がある。機本伸司の『 僕たちの終末 』か、山本弘だったか。いずれにせよ、本作はハードSFとして科学的に頑強な基盤を持った作品ではない。というか、たった80日で行けるのなら、これまでに既に何度も海王星行きミッションが組まれていないとおかしいだろう。人類の危機なのだろう?考えれば考えるほど、本作のプロットには科学的、論理的な穴が見えてくる。

 

では、思弁的なSFとしてはどうか。地球外知的生命体探査というのは胸躍るミッションであるが、クルー同士で諍いを起こして実質的にミッション・アボートでは話にならない。知性ではなく、心で感じる何かを大切にしましょう系のメッセージなのかと思ったが、終盤の親子を巡る超展開に茫然。トミー・リー・ジョーンズは何がしたいのだ。いや、探査がしたいのは分かる。だが、これでは小説『 地球最後の男 』や映画『 猿の惑星 』を足して2で割ったようなプロットにすらならないではないか。これなら『 インターステラー 』でアン・ハサウェイがどうしようもなくマット・デイモンを追いかけようとした、またマシュー・マコノヒーがそのアン・ハサウェイを追いかけようとした不条理ながらも力強い愛というもの、という演出の方が遥かに説得力があった。

 

 

総評

骨太なSFを期待するとがっかりさせられる。いや、何が骨太なのかは、鑑賞する者の嗜好やバックグラウンドによって様々だろうし、そうあるべきだ。ブラピのファンであれば2時間まるまるブラピである。迷わず劇場へGoだ。しかし、ハードコアなSFやスペース・オペラ、スペース・ファンタジーを期待しているファンは、呆気にとられるか、または心地よい眠りに誘われるかのどちらかだろう。鑑賞前によくよく検討されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I am feeling good, ready to do my job to the best of my abilities.

 

to the best of one’s ability / abilities で「力の限り」、「全力で」、「精一杯に」の意味である。ラグビーのワールドカップが、本記事の時点で進行中である。ラグビーにもフォーカスした『 インビクタス/負けざる者たち 』でも、モーガン・フリーマン演じるネルソン・マンデラが“All I ask is that you do your work to the best of your abilities and with good heart.”と述べる印象的なシーンがある。外資系に転職する際の面接、あるいは勤務初日のあいさつにでも使ってみたいフレーズである。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, SF, アメリカ, トミー・リー・ジョーンズ, ブラッド・ピット, 監督:ジェームズ・グレイ, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『 アド・アストラ 』 -B級思弁的SF映画-

『 X-MEN:ダーク・フェニックス 』 -X-MENシリーズ、着地失敗-

Posted on 2019年7月8日2020年4月11日 by cool-jupiter

X-MEN:ダーク・フェニックス 45点
2019年7月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ソフィー・ターナー ジェームズ・マカヴォイ マイケル・ファスベンダー ジェシカ・チャステイン
監督:サイモン・キンバーグ

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Marvel Cinematic Universeが一つの区切りに達したところでMonsterVerseが本格的に指導し始めた。まさに映画の時代の区切りの感がある。そこで『 X-MEN 』シリーズの最終作品が届けられる。はっきり言ってX-MENシリーズは玉石混交である。しかし、All is well that ends well. 最終作品の評価を以ってシリーズ全体を総括することも可能であろう。では本作はどうか。残念ながら、やや駄作であった。

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*以下、ネタばれに類する記述あり

 

あらすじ

ミュータントと人類が共存する時代が到来していた。そこで宇宙探査機の事故が発生する。米政府はX-MENにレスキュー・ミッションを依頼し、プロフェッサーX(ジェームズ・マカヴォイ)は受諾。宇宙空間での救出作戦は成功したかに思えた。しかし、ジーン・グレイ(ソフィー・ターナー)の中には本人も気付かぬ変化が生じており・・・

 

ポジティブ・サイド

トレイラーにもある、列車内のアクションシーンは非常にスリリングである。それは列車という細長い空間内でカメラのアングルが縦横無尽に変化していくからだ。一方通行の戦いを多角的に見る。閉鎖空間内のアクションを堪能するために必要な工夫である。ココはとても楽しめる。

 

マカヴォイやファスベンダーら、英国で最も実力ある俳優たちが共演するのも本シリーズならではである。パトリック・スチュワートとイアン・マッケランも悪くないが、Jovian個人としてはジェームズ・マカヴォイとマイケル・ファスベンダーの方が、プロフェッサーXやマグニートーを表現しているように思うのである。特にチェスのシーンは、『 X-MEN2 』を思い起こさせてくれた。つまり、終わったと言いながらも「俺たちの戦いは終わらない」的なことを感じさせてくれたのである。実際に、続編に色気を出したエンディングを迎えているし、このあたりは『 X-MEN: アポカリプス 』と同じである。History repeats itself. 同時に『 X-MEN: ファースト・ジェネレーション 』の構図でもある。実際にサイクロップスは「自分たちが最後のファースト・ジェネレーション(First Class)だ」と明言する。セカンド・ジェネレーションの存在を力強く示唆する言葉であり、今後はディズニーの元、同じく第二世代のアベンジャーズやファンタスティック・フォーに合流していく伏線であるとも取れる。期待せずに期待したい。

 

ネガティブ・サイド

オリジナリティが無い。これが最初に目につく本作の欠点である。まず、ジーンの変化のきっかけがそのまんま『 ノイズ 』(監督:ランド・ラヴィッチ)である。そして登場する宇宙人がほとんどそのまんま『 サイン 』(監督:M・ナイト・シャマラン)である。また、ジーンの幼少期の悲劇が、これまたほとんどそのまんま『 シャザム! 』のシヴァナの見に起こった事故である。ダーク・フェニックスとなったジーンにクイック・シルバーが立ち向かっていくシーンは、そのまんま『 ジャスティス・リーグ 』におけるスーパーマンに向かっていくフラッシュの構図である。ことほど然様に本作はオリジナリティに欠ける。終盤の列車内バトルの鮮烈さと対照的である。実際に、終盤は監督を変えて最撮影したものらしい。なるほど、と得心する。これまでに製作の面でX-MENに携わってきたキンバーグであるが、監督としての才能は凡庸であった、またはこのような大作のメガホンを取るにはキャリアが浅すぎたと判断せざるを得ない。

 

キャラクターにも一貫性を欠く。これは『 デッドプール 』でも触れられていたが、タイムラインが混乱している。例えば、チャールズ・エグゼビアは『 LOGAN ローガン 』では自らの人生を悔いていた。自らの為した仕事を失敗だったと涙ながらに後悔していた。そのことは、本作の中盤までのチャールズと共通する。しかし、終盤で明らかになる彼の本心とは矛盾するというか、相容れない。また、マグニートーというキャラクターの一貫性にも混乱が見られる。『 X-MEN: ファイナル ディシジョン 』のイアン・マッケランはいとも簡単にミスティークを見捨てたが、本作ではマイケル・ファスベンダーはミスティークの死を知ったことで弔い合戦に参加してくる。ウェイド・ウィルソンの言葉をそのまま借りて言えば、「タイムラインが混乱している」のである。

 

だが最大の弱点はジェシカ・チャステインのキャラであろう。X-MENの世界にX-ファイルが入り込んできた。それがJovianの偽らざる感想である。いや、オリジナリティの欠如だけなら、まだ許せないことはない。問題は、一体全体どのようにしてジェシカ・チャステインという当代随一の女優を、これほど無味乾燥で、物語に何の彩りも添えることのないキャラクターに落としてしまうことができたのか、である。ジェシカ・チャスティンと愉快な仲間たちは、はっきり言って倒されるためだけに存在している。その仲間たちもアクションに華を加えることには役立ったが、物語にスリルやサスペンスを加えることはなかった。というか、このように地球人の皮をかぶる宇宙人と戦うに際してこそ、ミスティークの能力が輝くのではないか。ミスティークの死は、単にミュータントを集める口実にしかならない。紆余曲折を経てミュータントが一堂に会し、宇宙から脅威およびジーン・グレイに立ち向かい、その戦いの最中、ミスティークが非業の死を遂げる。そうした脚本を誰も描くことができなかったのか。それともジェニファー・ローレンスのギャラが高騰してしまうのが不都合だったのか。

 

もっとダイレクトに不満に感じることを言ってしまおう。ミュータントはそもそも共同体や社会、国家におけるマイノリティの象徴だったはずだ。そうした顧みられざる者たちが、異能の存在者として世界に居場所を見つけようとする叙事詩がX-MENだったはずだ。しかし、『 インディペンデンス・デイ 』のウィットモア大統領の演説、“We can’t be consumed by our petty differences anymore.”よろしく、安易に地球外の生命体を登場させることで「我ら皆、地球人にて候」と非常に安易な二項対立の構図に物語を収斂させてしまうことが気に食わない。ダーク・フェニックスは確かにダークな存在ではあるが、彼女が人間社会にもたらした破壊と暴力は、過去のミュータント連中、例えばマグニートーやミスティーク、ナイトクローラーのそれと比べると、一段落ちる。にも関わらず、殊更に彼女を脅威であるかのように煽るので、辛抱強くシリーズに向き合ってきた者としてはどうにも腑に落ちない。まさしく franchise fatigue の悪弊である。

 

総評

言いたいことが色々とあってまとまらないが、これでX-MENが終わりであるというには、余りにもお粗末な締めくくりである。死に際して紅蓮の炎に飛び込み、灰燼の中から復活する不死鳥のように、おそらく本シリーズもいつの日か復活するであろう。その時は練りに練った脚本と斬新な映像演出を期待したい。

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