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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 磯村勇人

『 正欲 』 -少し語りに頼りすぎ-

Posted on 2023年11月16日 by cool-jupiter

正欲 65点
2023年11月12日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:稲垣吾郎 新垣結衣 磯村勇人
監督:岸義幸

 

傑作『 前科者 』の岸善幸の監督作ということでチケット購入。悪くはないのだが、期待値を上げすぎたか。

あらすじ

桐生夏月(新垣結衣)は、中学の時に転校していったクラスメイトの佐々木佳道(磯村勇人)と十数年ぶりに再会する。二人には奇妙な共通点があり、夏月は佳道に接近しようとする。一方で、検察官の寺井(稲垣吾郎)は不登校になった息子の教育方針を巡って、妻と徐々に折り合いが悪くなっていき・・・

ポジティブ・サイド

通常とは異なる性的志向を持つ人々に関する映画が近年特に増えてきたと感じる。2018年公開の『 カランコエの花 』、2021年公開の『 彼女が好きなものは 』、2023年公開の『 エゴイスト 』などLGBTに焦点を当てた作品は枚挙にいとまがない。アロマンティックに光を当てた『 そばかす 』も独自の面白さがあったが、本作はさらに突っ込んだ sexual orientation をテーマに持ってきた。

 

ストーリーの中心にいるのは新垣結衣と磯村勇人。中学校の同級生だが、佳道が引っ越して以来、二人の奇妙な縁は途切れていた。しかし、佳道の両親の交通事故死と佳道の帰郷から二人の奇縁が徐々に戻ってくる。その見せ方が非常に巧みだと感じた。田舎特有の人間関係の濃密さ、つまり悪気のないプライバシーの詮索や介入が爽やかに行われる。そんな中で二人が育む奇妙な関係が逆に好ましく、愛らしく思えてくる。

 

その裏側では検察官の稲垣吾郎が不登校の息子の教育方針や子育ての方針をめぐって妻と対立する。いや、対立というよりも拒絶の方が近いか。自分の理解の及ばないものは認めない。不登校YouTuberを詐欺師と切って捨てるが、あまりにも狭量だ。YouTuberの中に詐欺師がいるのは現実だが、普通に学校に行っている、普通に会社勤めをしている者の中にも詐欺師は存在する。けれども、この男の中では世の中は白と黒で割り切れて、自分が黒いと思ったものはすべて黒いのだ。この稲垣吾郎演じる検事が一種のリトマス試験紙になっていて、見る側がどれだけダイバーシティを許容できるか、あるいは許容できないのかを測る物差しになっている。

サイドストーリーとして大学生二人の不思議な関係性もフォーカスされるが、その片方の男性が突如としてメインのプロットに絡んでくるところが非常に現代的と言える。同好の士と出会うことのハードルが下がったことは、間違いなく個人を利している。しかし、そのことが社会を利すかどうかは別問題になるのが難しいところ。

 

多様な登場人物たちの群像劇となっているのは、原作者・朝井リョウの『 桐島、部活やめるってよ 』と同じ。学校という非常に狭いコミュニティから、社会という非常に広大なコミュニティにストーリーの舞台は移っているが、ある人間の言動が別の人間に思いがけず大きな影響を及ぼしていく、という点では共通している。新垣結衣と稲垣吾郎のほんのちょっとした、しかしやや奇妙な会話が、最終盤で非常に大きな意味を持ってくる。というか、稲垣吾郎が処理しきれない意味や情報となって圧し掛かってくる。彼がほんのわずかだけ見せる動揺を我々は見逃さない。それは我々も同じく動揺しているから。常識外の存在、理外の存在と思っていた相手にこそ優しや思いやりといった人間性が宿っていると気付いた時の心情はいかばかりか。それを映し出すためだけに本作は制作されたと言っても過言ではない。

 

それにしても、マジョリティの性的志向者と超マイノリティの性的志向者の違いをあっけらかんと映し出すシーンには恐れ入った。偶然なのだろうが、『 東京ラブストーリー 』かいなというセリフを新垣結衣が口にした瞬間に、最後列の誰かがポップコーンか何かをドサッと落とした音が聞こえた。セリフに動揺したのか?トレーニングみたいというセリフが聞こえたが、慣れないうちは行為の後に筋肉痛になったという男は多いはず。こういうリアルなセリフをサラッと言えるところに異質さを感じたし、だからこそ新垣結衣が検事に託す伝言の重みが増すのだろう。

 

ネガティブ・サイド

ちょっと全体的に説明セリフが多すぎると感じた。目立ってそう感じたのは2つのシーン。一つは稲垣吾郎が不登校YouTuberについて妻と言い争うシーン。もう一つは大学の空き教室のシーン。いずれも思いをストレートに言葉にしすぎ。もっと表情や身振り手振りや立ち居振る舞いで見せてほしい。小説の映画化なので言葉に頼りたくなるのは分かるが、それだと小説を読めばすんでしまう。映像にするにあたって、もっと観客に感じ取ってもらえるような演出をすべき。

 

登場人物の行動でひとつ腑に落ちなかったのは夏月が佳道の家に突撃するシーン。同好の士、あるいは同病相憐れむ仲だと思っていた相手に裏切られたと感じたのか?普通の恋愛感情や異性への性欲が理解できないにしては、部屋の明かりが消えたことの意味を悟ったのは何故なのか?たとえば回転寿司屋で、佳道の連れの女性がセルフサービスの水を持ってくる、そして、その水を美味しそうに飲む、のようなカットが一瞬でもあれば良かったのだが。編集でカットされたのだろうか。

 

あとは夏月と佳道の生活か。卵焼きをシェアするのも良いが、たとえば風呂場やトイレ、台所で二人が恍惚とするシーンが一切なかった。または公共料金の請求書に二人して唖然とする、あるいは大笑いするのようなシーンもなかった。これも編集でカットされたのだろうか。二人がいわゆる「普通」とは違うというシーンをもう少し見せるべきだったと思う。

 

総評

かなり野心的な作品。ストーリーは文句なしに面白いし、演技に関しても安定の磯村勇人や新鋭の東野絢香が堪能できる。ただ、映画的なカメラワークはまったく無いし、とある「物」をきれいに映し出してはいるが、艶めかしさまでは感じさせなかった。物語としては◎だが、映像作品としては△か。ただし、現代的なテーマを扱い、単純なハッピーエンドで終わらせないところは買い。エンドロールの際に胸に去来する想いの強さが、おそらくその人の想像力と共感力の強さだろう。それらを測る映画であると言える。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

-phile

ファイルと読む。これは接尾辞で「~が好き」「~に親しんでいる」という意味を作り出す。Jovianが高校生ぐらいだったかな。雑誌か何かで「Xファイルの熱烈ファンをX-Phileと呼ぶ」のような記事を読んで、それで -phile の意味を学んだことを覚えている。本作の場合だと、aquaphile となるだろうか。パッと見で意味が分かりそうだが、実際に調べるのは映画の鑑賞後にどうぞ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 月 』
『 デシベル 』
『 花腐し 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, ヒューマンドラマ, 新垣結衣, 日本, 監督:岸義幸, 磯村勇人, 稲垣吾郎, 配給会社:ビターズ・エンドLeave a Comment on 『 正欲 』 -少し語りに頼りすぎ-

『 渇水 』 -この流れは変わるのか-

Posted on 2023年6月17日 by cool-jupiter

渇水 75点
2023年6月11日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:生田斗真 磯村勇人 門脇麦 山崎七海 柚穂
監督:高橋正弥

 

簡易レビュー。

 

あらすじ

水道局員の岩切(生田斗真)は、水道料金未納者の自宅を訪れ、日々黙々と停水を執行していた。ある日、とある母子家庭で見かけた恵子(山崎七海)と久美子(柚穂)の姉妹に、別居して暮らしている我が子の姿を見出した岩切は、生き方の流れを変えたいと徐々に思い始め・・・

 

ポジティブ・サイド

生田斗真といえば『 土竜の唄 』シリーズのイメージが強いが、本作のような陰のある男の役も板についてきた。少し年の離れた相棒かつ友人の木田を演じる磯村勇人も等身大の公務員を好演した。

 

日照り続きで給水制限あり、断水も視野に入る中、一軒一軒を停水させていく。規則だからと言えばそれまでだが、手洗い所、風呂場、台所、トイレのすべてが使えなくなるわけで、健康で文化的な最低限度の生活を破壊する行為だろう。もちろんカネさえ払えばOKなのだが、借金の取り立ての方がまだ精神衛生を保てるのではないか。

 

そんな心を無にした公務員が、過酷な家庭環境・社会環境で生きることを余儀なくされる幼い姉妹に心動かされ、行動までも変えていく姿を感動的にではなく悲壮感たっぷりに描くところが独特にして秀逸。

 

門脇麦が出ている作品はだいたい面白いという個人的仮説がまた補強された一作。

 

ネガティブ・サイド

岩切の決定的な変わり目を描く滝のシーンで、ギターのBGMは必要だったか?うるさいだけに感じたが。

 

最後の最後がファンタジー展開。誰もが天気予報にかじりついているであろう状況で、あの展開は白けてしまった。

 

総評

着地に失敗した感は否めないが、そこまでの展開はほぼパーフェクト。姉妹二人で生きようとする姿は『 火垂るの墓 』の清太と節子を思い起こさずにはいられなかった。それを乾いた眼差しで見つめる男が、いつしか人間らしさを取り戻していく様は非常に見応えがある。生田斗真ファンならずともチケット購入を推奨したい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

tap water

「水道水」の意。TOEICでもたまに出るかな?昔のTOEFL ITPだと、Listening の Part B で結構よく出ていた気がする。The tap is dripping / The faucet is leaking. = 蛇口から水道水がぽたぽた漏れている、という表現は知っておいていいだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 水は海に向かって流れる 』
『 M3GAN/ミーガン 』
『 ザ・フラッシュ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 山崎七海, 日本, 柚穂, 生田斗真, 監督:高橋正弥, 磯村勇人, 配給会社:KADOKAWA, 門脇麦Leave a Comment on 『 渇水 』 -この流れは変わるのか-

『 さかなのこ 』 -Normal is overrated-

Posted on 2022年9月5日 by cool-jupiter

さかなのこ 60点
2022年9月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:のん 磯村勇人 柳楽優弥 井川遥 夏帆
監督:沖田修一

 

『 ダーウィンが来た! 』などに時々出てくるさかなクンの半生を、どういうわけかのんが演じる。

あらすじ

ミー坊(のん)は魚に夢中な女の子。長じてもそれは変わらず、高校では変人扱い。ある時、不良の総長(磯村勇人)に呼び出しを食らったミー坊だったが、何故かそこから学校でカブトガニを育てることにつながり・・・

 

ポジティブ・サイド

とにかく魚好きという気持ちが強く伝わってくる作品。かといって、無邪気に魚を愛でるだけではない。魚を食べまくるし、タコにいたっては基本に忠実に岩に打ち付けて身を柔らかくしたりする。この時点で映画はファンタジーではなく、自伝の様相を帯びてくる。普通はタコをバンバン岩に叩きつける描写など入れないだろう。ここで監督や製作者たちの気合が伝わってきた。

 

のん演じるミー坊が総長たちといつの間にか仲良くなったり、他校の不良とも打ち解けたりの流れがコミカルで楽しい。勉強はできないけれど、魚好きという気持ちは周囲に確実に伝わっていく。周りは大人になっていくし、状況は変化していく。それはとりもなおさず、生き方を変えていくことに他ならない。しかし、ミー坊は変わらない。小学校の同級生がシングルマザーとして転がり込んできても、ミー坊は魚好きであることをやめない。井川遥演じる母親がミー坊の気持ちを常に肯定する、一種の親の鑑になっている。

 

当たり前だが、好きを貫くだけで世の中を渡っていけるほど甘くはない。実際にミー坊の人生にも数々の試練が訪れる。ただ、それを跳ね返すだけの強さがミー坊にあり、またミー坊によって人生を変えられた人間たちの助力もあって、ミー坊はさかなクンになっていく。日本は突き抜けた天才が出てこない国だが、それに対する解答というか、解決策のひとつを本作は示しているかもしれない。

 

さかなクンと言えば、最初は「ご」が「ギョ」になる変なオッサンぐらいに思っていたが、知るにつれてすごい、いや、すギョい人だと認識するようになった。その男性のさかなクンを女性ののんが演じることで、ファンタジー性が生まれている。それによって、本作の持つファンタジックなメッセージ性に逆にリアリティが付与されているように感じた。魚好きが昂じて魚ばかり食べたり、図鑑を読みふけったり、水族館に入り浸ったりというのは、子どもにならよくあること。しかし、それが高校生ぐらいになっても継続するとなると、ちょっとおかしいと感じられるかもしれない。『 女神の見えざる手 』で、フォードがスローンに”Normal is overrated” = 普通がなんだ、と諭すように言うシーンがある。普通でないのなら、それもOK。逆に突き抜けるぐらい different であろうではないか。

ネガティブ・サイド

さかなクン本人が出演する必要はあったのだろうか。いや、別に出演してくれてもよいのだが、変質者もどきである必要性が認められない。また、トレードマークのハコフグの帽子に何らかの神秘性というか、妙な光を放って頭から取れないという描写も不要だった。というか、さかなクンの出演パート全てが不要だった。プロデューサーの職権乱用ではないだろうか。

 

ある時点からミー坊の人生が大きく開けていくことになるが、それが全て旧友たちの伝手によるものというのは少々いただけない。おそらくターゲットをかなり低年齢にも広げている作品だと思われるが、「がんばっていればともだちがたすけてくれる」(全て平仮名)という甘い観念を植えつけたりはしないだろうか。「好き」を貫くことの素晴らしさと難しさ、「普通」と「普通ではない」の境界。そういった社会の矛盾というか、ちょっとおかしなところを子どもたちと大人、両方に考えてもらえる塩梅にはなっていなかった。

総評

さかなクン出演パートをどう見るかで印象がガラリと変わりそう。さかなクンのファンの子どもたちが「たいほ」や「にんいどうこう」なる言葉を知っているとは思えない。本作はそうした子どもを対象にしていないと考えるには、ミー坊が大人になった後のドラマの数々があまりにも大人向けだ。ただ日本における教育、日本における子育てが、どこかせせこましいものになっていることをやんわりと指摘する作品としては悪くない。のんのファンならチケットを買って損をすることはないだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

normal

普通の意。日本語にもなっている語だが、この形容詞の基になっている norm という語となると、知っている人が激減する。norm = 規範、基準という意味である。normal とは規範通りである、基準に従っているという状態を指す。abnormal が異常と解釈されるのも、norm から離れているからなのだ。

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, C Rank, のん, ヒューマンドラマ, 井川遥, 伝記, 夏帆, 日本, 柳楽優弥, 監督:沖田修一, 磯村勇人, 配給会社:東京テアトルLeave a Comment on 『 さかなのこ 』 -Normal is overrated-

『 PLAN 75 』 -姥捨て山は他山の石たりえるか-

Posted on 2022年6月25日 by cool-jupiter

PLAN 75 75点
2022年6月19日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:倍賞千恵子 磯村勇人 河合優実
監督:早川千絵

 

なんかこんな小説読んだなと思っていたが、小説『 七十歳死亡法案、可決 』と本作は全く別物だった。それでも10年前に提起された問題が、そのまま2022年に持ち越されているところが日本らしいと言えば日本らしい。

あらすじ

社会保障費増大の原因とされる高齢者が殺害される事件が頻発。満75歳から安楽死を選択できる法律、通称「プラン75」が施行された。客室清掃員の角谷ミチ(倍賞千恵子)は突然、ホテルを解雇されてしまう。仕事や、それまでの人間関係も失ってしまたミチはプラン75への申し込みを検討するが・・・

ポジティブ・サイド

冒頭でショッキングな事件が描かれる。高齢者施設に銃を持った男が侵入し、大量殺人を犯す。その後、速やかにプラン75成立までが描かれる。ここの描写に時間を使わなかったのは英断。『 図書館戦争 』で昭和から正化への移り変わりをダイジェスト的に描いていたのと同様の手法である。

 

ホテルの客室清掃員のミチを演じる倍賞千恵子が、どこまでも真に迫っている。70代後半でありながら年金暮らしではなく、日々あくせく仕事をしながら、同僚や友人を持ち、社会とつながりを保っている。しかし、同僚の一人が仕事中に倒れてしまったことから「高齢者を働かせるとは何事か」との投書があり、ミチらは解雇されてしまう。ここから日本社会の冷たさというか、早川千絵監督の描きたいものが見えてくる。社会参加の意思があり、その能力もあるにも関わらず、拒絶される。このあたり、Jovianは仕事柄、よく経験している。語学企業の教務トレーナーとして、学校・企業・官公庁でレッスンを担当する講師を採用・育成・オブザーブ・研修しているが、特に学校は65歳あるいは70歳以上の講師はNGというところが本当に多い。能力的にも体力的に、もちろん認知の面で問題ない講師でも、年齢だけで弾かれる。人間が人間ではなく数字で判断されてしまう世の中なのである。

 

そうして社会から孤立を深めていくミチとは対照的に、プラン75の受付業務に精勤するヒロム(磯村勇人)が描かれる。典型的な役人なのだが、そこに長く音信不通になっていた叔父が現れ、プラン75に申し込んでくる。ここで黙々と職務に励むヒロムと、叔父の死への旅路を自分が用意してしまうことに葛藤を覚える。このあたりの対照も非常に際立っている。なぜなら、叔父のプラン75を受け付けつつも、その一方で公園のベンチでホームレスが寝られないようにする仕切り金具をあれやこれやと試して、「ああ、これはもたれにくい」、「これなら寝られないな」と無邪気に感想を述べる。名前のない人間に対して、人はいともたやすく冷酷になれる。それは職務に忠実だからこそで、それこそまさにハンナ・アーレントが呼ぶところの「凡庸な悪」である。悪意のない悪と言ってもいい。

 

もう一人の重要人物として、フィリピンから来日したマリアの存在が挙げられる。祖国にいる病気の子どもを助けるための治療費捻出のために、教会から非常に shady な仕事を紹介される。それがプラン75で亡くなった人々の遺品処理。キリスト教の教会がそんな仕事の仲介をしているのにもビックリするが、では遺体の処理はどうなっている?という疑問が、ヒロムやミチの物語に絡んでくる。なるほどなと思わされた。脚本の妙である

 

切った爪をゴミ箱に捨てずに植木鉢=土に還すミチの姿に、命に対する彼女の考え方が静かに、しかし如実に表れている。人間だれしも年老いてしまえば「吾日暮れて途遠し」となる。しかし、そこで国家が「故に倒行して之を逆施す」となってはならない。残念ながら、日本は逆施倒行している。「年金は100年安心」と言いながら、「老後に自分で2000万円貯めろ」とも言っている。正直なところ、プラン75のような法案が日本で可決される可能性は2〜3%あるのではないかと疑ってしまう。社会派の硬質な映画が送り出されてきたなと思う。

ネガティブ・サイド

プラン75に対して「最初は反発していたけれど、孫のためならしょうがないかな」という女性の声があったが、こうした pro-Plan 75 の声をもっと紹介するべきだったと感じる。別にプラン75そのものが素晴らしいからという意味ではなく、プラン75へのニーズは潜在的に存在するという現実もあるからだ。Jovianの祖母が亡くなった数年後に、Jovian父はNHKの老老介護の番組を観ながら「おふくろは寝たきりになる前に死んでくれたなあ」と口にしたことがある。なんちゅうこと言うんや、と思いはしたものの、老老介護による共倒れという現実がそこにある以上、一個人の極めて健全な感想と受け取るしかない。そうした市井の声を劇中でもっと紹介してくれれば、個人の声も国家に届くということが逆説的に示されたのではないだろうか。

 

河合優実演じるコールセンター職員・成宮とミチが実際に出会う展開は興ざめ。必要なのはコールセンター側の人間の想像力であって、想像力を喚起するのは出会いではなく、声だけの触れ合いの方だろう。ミチとの電話のやり取りを通じて、成宮の社会を見る目、人を見る目が変化しつつある、ということを感じさせる演出こそがふさわしかったのでは?

 

総評

劇場はかなりの入りで、その多くが中年以上、あるいは高齢者だった。彼ら彼女らは本作が高齢者を虐げる物語ではないと直感的に感じ取ったのだろう。だからといって、高齢者を肯定する物語でもない。淡々と進行しながらも、物語の奥行きが広い。命についての深い考察がある。『 Arc アーク 』や『 いのちの停車場 』で慨嘆させられた映画ファンは、本作で大いに留飲を下げることができるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

abort

「途中でやめる」の意。プラン75はいつでも止められるということだが、この場合の止めるに当てる訳語は abort がふさわしい。stop と言ってしまうと restart してしまう可能性があるが、abort は止めてしまって、もう元には戻らない。中絶を abortion という言うわけである。  

 

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Posted in 国内, 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, カタール, ヒューマンドラマ, フィリピン, フランス, 倍賞千恵子, 日本, 河合優実, 監督:早川千絵, 磯村勇人, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 PLAN 75 』 -姥捨て山は他山の石たりえるか-

『 前科者 』 -年間最優秀映画候補の最右翼-

Posted on 2022年2月9日 by cool-jupiter

前科者 85点
2022年2月6日 TOHOシネマズ伊丹にて鑑賞
出演:有村架純 森田剛 磯村勇人
監督:岸義幸

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『 二重生活 』や『 あゝ、荒野 』の岸義幸監督作品で、2021年期待の一作。この御仁は自分で脚本も書いて監督もする、それゆえに寡作(しかし良作率が高い)という意味で韓国の映画監督のよう。『 大怪獣のあとしまつ 』のせいで the lowest of the low point にまで盛り下がっていた気持ちを『 前科者 』は大きく押し上げてくれた。

 

あらすじ

保護司の阿川佳代(有村架純)は、殺人の前科を持つ工藤誠(森田剛)の構成と社会復帰に献身的に協力していた。しかし、保護観察期間が終わろうとする直前に工藤は姿を消してしまう。同じ頃、警察官が何者かに銃を奪われ、撃たれるという事件が発生。そして、奪われた銃によって殺人事件が繰り返され・・・

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ポジティブ・サイド

保護司という仕事については原作をLINE漫画で読んで初めて知った。凄い仕事だと驚かされたが、同時にそこに描かれる人間模様、ひいては社会の在り方について深く考えさせられた。WOWOWドラマは未視聴だが『 太陽は動かない 』と同じで、映画単体で観ても全く問題はない。

 

まずは有村架純。『 るろうに剣心 最終章 The Beginning 』の巴役はまあまあだったが、今作では阿川佳代のシンクロ率が非常に高かった。漫画原作のビジュアルや体形、表情まで、相当に研究してドラマ、そして映画に臨んだと思われる。これまでは如何にもヒロイン然とした役柄ばかりを演じてきた(あるいは演じさせられてきた)せいか、役者としての力量が見えてこないことが多かった。しかし、本作の一見すると冴えない女性だが、その芯に強さと弱さの両方を内包したキャラクターを見事に血肉化したと思う。

 

対する森田剛はJovianのまさに同世代なのだが、いつの間にか立派なおっさんになっているではないか。こちらも物静かだが、しかし内に秘めた人間らしさ(それは社交性とは限らない)が垣間見える瞬間がとてもチャーミングで好ましく映った。森田演じる工藤誠の更生への道が本作のメイン・プロット。仕事先で真面目に働き、社員登用も視野に入った工藤が、まさに保護観察期間の終了直前に突如姿を消す。同時に、街では殺人事件が発生する。これが警察もの、探偵ものであればサスペンスも何も感じないが、無力な保護司が主人公となると話が変わってくる。

 

もちろん警察も動くわけで、事件を捜査する刑事の一人が佳代の元同級生(磯村勇人)にして、因縁のある初恋の相手というのがサブ・プロットになっている。焼け木杭に火がつく展開と見せかけて、そうはならないので安心してほしい。同時に、磯村演じる若い刑事の過去に、佳代が保護司になるきっかけとなった出来事があったのだ。このあたりの過去と現在の関わりが明らかになっていく過程は見応えがあった。ベッドイン直前のシーンで途中でやめてしまう磯村を不審に思うだろうが、それにもちゃんと理由があるのだ。

 

一見するとなぜ殺されるのか分からない市井の人々が殺されていくが、それを行う犯人、そしてその犯人に協力する工藤の生い立ち、そして社会との関係。そうしたことが明らかになっていくにつれ、犯罪とは何か?という疑問が生まれる。罪を犯す原因は元々の人間性なのか、それとも環境によるものなのか。それはとりもなおさず、更生とは本人の努力次第なのか、それとも環境次第なのかという問いに転化する。我々はついつい「一人暮らしの若い女性が前科者を部屋に入れて大丈夫なのか?」と訝ってしまうが、そう思わせるのが本作の眼目なのだ。佳代の保護下にある前科者のみどりが言う「お前らが普通の人間面していられるのは、私らみたいな前科者がいるおかげだ」というセリフが何とも痛烈だ。

 

Jovianは工藤誠および彼が協力した殺人犯の姿に『 ジョーカー 』のアーサー・フレックを思い起こした。環境こそが人間を悪に走らせるのだろう。事実、劇中で明かされる工藤の生い立ちには一掬の涙を禁じ得ない。我々は往々にして犯罪者を人間扱いしないが、何が人を犯罪に走らせるのかといえば、それは我々の非人間性なのではないかと思う。工藤と彼の協力者が受けた過酷な仕打ちは、普通の人間のちょっとした弱さやミス、あるいはその時代の常識に従ったことが積み重なった結果である。そのことに慄かずにはいられない。

 

工藤に切々と語りかける佳代、それをうけて大粒の涙(と鼻水)を垂らす工藤の姿は、『 17歳の瞳に映る世界 』のカウンセリングのシーンに匹敵する。救いようのない物語の結末に用意された、一筋の救いの光、あるいは蜘蛛の糸。保護司と前科者ではなく、人が人に関わろうとする姿に胸を打たれずにいられようか。そうした意味で本作はまさしく『 すばらしき世界 』の後継作品である。同作のレビューで述べた感想を引いて、ポジティブ・サイドを終わる。

 

ほんのわずかでも自分を理解してくれる人がいたら・・・ほんのわずかでも自分を支援してくれる人がいたら・・・ほんのわずかでも自分のために涙を流してくれる人がいたら・・・そんな世界を見出すことができれば、それは充分に「すばらしき世界」ではないのだろうか。

 

ネガティブ・サイド

拳銃が劇中の事件の大きなパートを占めるのだが、それの扱いなどが相当に現実離れしている。ホルスターに収められた拳銃を奪おうとして警察官と揉み合いになっている最中に複数ある安全装置を外して撃つなどできるものか。

 

また一度でも銃を撃ったことがある人なら分かるだろうが、動いている標的相手に片手で構えて撃って命中させることなどできない。動かない的に5メートルの距離から40発撃って、ほとんど全部外したJovianが断言する。

 

後は磯村勇人とマキタスポーツのコンビか。演技が悪いというわけでは決してない。しかし警察OBのJovian義父が見たら間違いなく憤るであろうシーンには閉口させられた。それとも警察の息のかかった病院だとでもいうのだろうか。

 

総評

伊丹市出身の有村架純に敬意を表してTOHOシネマズ伊丹に赴いたわけではないが、混雑もしておらず、マナーの良い客層ばかりで結果的に良かった。本作は間違いなく、兵庫県民・有村架純の代表作である。期間限定で人気の女優とばかりに思っていたが、本格派として飛躍し始めたようである。とんでもない駄作を直前に観たせいか、評価がインフレしている気がしないでもないが、それを割り引いて考えても、本作にはチケット代の価値は十分に認められるものと思う。単なるお涙頂戴物語ではなく、人が人に関わることの意味をあらためて世に問う野心作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a volunteer probation officer

保護司の英語訳。probationという語を知っていれば英検準1級レベルはあるのかな。『 セント・オブ・ウーマン/夢の香り 』で、Misters Havemeyer, Potter, and Jameson are placed on probation for suspicion of ungentlemanly conduct. というセリフがあるので、興味がある人は鑑賞されたし。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, A Rank, ヒューマンドラマ, 日本, 有村架純, 森田剛, 監督:岸義幸, 磯村勇人, 配給会社:WOWOW, 配給会社:日活Leave a Comment on 『 前科者 』 -年間最優秀映画候補の最右翼-

『 東京リベンジャーズ 』 -タイムリープものの珍品-

Posted on 2021年7月21日2021年7月21日 by cool-jupiter

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東京リベンジャーズ 50点
2021年7月17日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:北村匠海 吉沢亮 山田裕貴 磯村勇人
監督:英勉

 

土曜日も短期集中課外講座の季節になってきて稼働中。吉沢亮と磯村勇人を見に来た。

 

あらすじ

フリーターのタケミチ(北村匠海)は、唯一の恋人だった橘ヒナタとその弟・ナオトが、半グレ集団の東京卍曾とヤクザの抗争に巻き込まれ死亡したことを知る。翌日、駅のホームで線路に転落したタケミチは、不良学生だった10年前にタイムスリップしてしまい・・・

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ポジティブ・サイド

登場人物の多くが17歳時と27歳時を演じ分けなければならないが、それが出来ていた一人として磯村勇人が挙げられる。ヤンキーと半グレ、そして社会人のそれぞれで印象的なオーラを放っていた。特にとある社会人像は一瞬だけではあるが、劇中で語られたとある行為とそこに込められた思いが別の角度から表現されていて、非常に味わい深いものになっていた。磯村は個人的には2021年最優秀国内俳優の候補になっている。

 

ケンカのシーンが多いが、ほとんどの場面で主人公のタケミチが一方的にボコられるだけ。それが逆にこのキャラクターの好感度を高めている。ヤンキーでブイブイ言わせていた奴が冴えない人生を送っても自業自得にしか思えない。しかし、ヤンキーをやっていたせいで自分よりも強い奴に理不尽な目にあわされるばかりの人生に突入してしまったのなら、まだ同情の余地はある。北村匠海の幼さと若さの両方が上手く表現されていたと感じた。

 

吉沢亮も、相変わらず闇を秘めたキャラの演技が似合う。意外と言っては失礼だが、アクションもまあまあ出来る。学校の乱闘シーンの振り向きざまの左フックなどは、背骨を軸に骨盤を回して、その力を左の腕に上手く伝えていた。相当トレーニングして、なおかつファイト・コレオグラファーと打合せもしているのが分かる。タケミチやドラケンと一緒にいる時とそれ以外の時の表情、特に口角の微妙な上がり下がりがわざとらしくなく、それでいてさり気なさすぎないという良い塩梅になるところを見極めている。原作漫画は未読だが、子のキャラを相当に掘り下げていることが容易にうかがえる。

 

山田裕貴演じるドラケンもとにかく見せ場が多い。中盤は「あれ、主人公ってドラケンなのか?」と勘違いさせられそうになるほど。ヒナタの死の原因に間接的につながるキーパーソン。ナンバー1である総長のマイキーではなく、ナンバー2のドラケンが東京卍會という組織の在り方や行き先を決めるというのは説得力がある設定だ(デレク・シヴァーズの『 社会運動はどうやって起こすか 』を参照のこと)。ヤクザ役あるいは暴力刑事役も観てみたい。

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ネガティブ・サイド

はっきり言って主要キャラ以外で褒めるところがない。タイムリープ現象について、あまりにも説明が不足している。そう感じさせるのは、変にプロジェクターなどを使って中途半端に説明シーンを入れるから。そんなものは不要。タイムリープを何度か繰り返すことそこに法則性を見出していく。そうすることで観る側はタケミチと同一化できていく。原作漫画がそうした説明的なシーンを入れているのかもしれないが、漫画という媒体と映画という媒体で全く同じことをやる意味はあるのか。そのあたりは原作者と脚本家の間でもっと色々と練り上げていくべきだろう。

 

原作通りなのだろうが、刑事になったナオトの言動にもクエスチョンマークがつくものばかり。姉の死に間接的につながる人物に接触できる → そいつを殺せ というのは、警察官とは到底思えない。普通は「逮捕に協力してほしい」だろう。姉の死に取り乱すのは分かるが、ナオトの凝り固まった考え方には共感ができなかった。

 

思わせぶりなキャラにまあまあ知名度のある俳優をあてているのは、続編ありきの作りだからか。「アンサンブル・キャストにせよ」とまでは言わないが、物語の焦点をはっきり絞るのか、それとも世界観を拡げるのか。方針をはっきりさせて作るべきだった。

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総評

『 夏への扉 ーキミのいる未来へー 』で上手くいかなかった邦画のタイムトラベル・ムービーだが、今作でもやっぱりダメだった。が、タイムトラベルものは硬派なSFでもない限り、本格的な考証は不要。その部分に目くじらを立てず、なおかつヤンキーの描写を受け入れられれば、漫画的な面白さはある。どうせタイムトラベルものを作るなら、佐藤藍子主演で不発に終わった高畑京一郎の小説『 タイム・リープ あしたはきのう 』をアニメでリメイクしてほしい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I have taken to you.

マイキーの言う「俺はお前を気に入った」の試訳。take to ~ には様々な意味があるが、「~を好きになる、気に入る、~にハマる」の意味を押さえておけば、まず大丈夫である。ちなみに対象を人間以外にしてもいいし、主語が人間以外になってもいい。

My cat never seems to take to the new toy.

うちの猫はあたらしいおもちゃを気に入ってくれる様子がない。

のようにも使う。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, アクション, 北村匠海, 吉沢亮, 山田裕貴, 日本, 監督:英勉, 磯村勇人, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 東京リベンジャーズ 』 -タイムリープものの珍品-

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