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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ホラー

『 この子は邪悪 』 -もっと捻りが必要-

Posted on 2022年9月6日2022年10月31日 by cool-jupiter

この子は邪悪 40点
2022年9月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:南沙良 玉木宏 桜井ユキ
監督:片岡翔

Jovianは南沙良が大好きである。広瀬すずを吹っ飛ばす女優になると思っている。なので、どんなに駄作のにおいがしてもチケットを買う。

 

あらすじ

心理内科医の窪司朗(玉木宏)は、一家で交通事故に遭い、自身は脚に障がいを、次女は顔にやけどを、妻は意識不明の重体のまま植物状態になってしまった。唯一、長女の花(南沙良)だけが無傷だったことから、花はどこか罪悪感に苛まれていた。そんな時、母が5年ぶりに目覚め、自宅に帰ってきた。しかし、花は母にどこか違和感を覚えて・・・

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

ミステリ風味ではあるが、ミステリではない。伏線の張り方は極めてフェアというか、あっけらかんとしている。意味不明の冒頭のシーンで「何だこいつ?」と思ったその感性を大事にしてほしい。「何だこいつ?」であって「誰だこいつ?」ではないことを心に留め置くべし。

 

南沙良が言い知れぬ不安に押しつぶされそうになる少女を好演。この女優は、少女漫画の映画化作品でヒロインを演じるのではなく、常にどこか陰のあるキャラを演じてほしい。天真爛漫な10代女優は毎年陸続と現れては消えていくが、陰のある役を説得力をもって演じられる若手女優は少ない。

 

ロングのワンカットが多用されており、監督の演出上のこだわりが感じられる。また、古い木造家屋を歩く時のキィキィときしむ音が効果的だった。作った音ではなく、ナチュラルな音が観客の不安を煽る。この手法は嫌いではない。

ネガティブ・サイド

ほとんど何の事前情報も入れずに鑑賞に臨んだが、すれっからしのJovianは開始30分ほど、より正確に言うと母親が帰ってきた後、父親がとある発表をするところで話のオチまで予想できてしまった。そのポイントは、過去に類似の先行作品を映画および他メディアでたくさん経験してきたからだろう。以下、それらの作品例(白字で表示)である。

 

小説『 わが体内の殺人者 』

漫画『 多重人格探偵サイコ 』

映画『 ゲット・アウト 』

  『 シェルター 』

  『 悪魔を憐れむ歌 』

 

他にも少年ジャンプで全く同じようなオチの読み切り作品が1980年代にあった(主人公の友達の名前が風太だったような)。

 

欠点は、オチの弱さ、意外性の無さだけではない。ストーリーの核心に触れて以降は、急にカメラワークや演出が陳腐になったと感じた。明らかに『 ミッドサマー 』や『 アンダー・ザ・シルバーレイク 』を意識したシーンがあったが、カメラが全然動かないし、こちらが観たいと思っている絵を映してくれない。その直後のシーンでも、登場人物たちが動かないのなんの。立ち尽くしているにしても、もっと震える、あるいは目を背けるなど、何らかの動きでキャラの心情や思考を語るべきシーンが、見事に spoil されてしまっている。前半と後半の演出上の落差がありすぎる。本当に同一人物が最初から最後まで監督したのだろうか。

 

おそらく玉木宏で女性を、なにわ男子の大西流星で女子を惹きつけようとした作品なのだろう。南沙良と桜井ユキでおっさんから青少年の層もカバー。そうしたライトなファンに各種の先行作品の優れたアイデアをごった煮にした作品を提供しよう、として作った映画にしか思えない。映画ファンをびっくり仰天させてやろうという気概に満ちた作品ではない。最初から「そこそこのヒット作」を志向している。監督は『 町田くんの世界 』の脚本などを務めており、Jovianと波長が合わないとは思わない。先行作品を敬うのはいいが、そのまま倣う必要などない。次作にとりかかる前に、商業主義的にではなくクリエイターとしての自分に向き合うべきだろう。

 

総評

主要キャストのファンなら鑑賞してもいいだろう。また、ライトな映画ファンにもお勧めできそうだ。逆に小説やら映画を相当に渉猟しているという人には勧め辛い。Jovianと同じで、一挙に結末まで予想出来てしまう人は、おそらく日本だけで数万人(その全員が本作を観るとは思えないが)はいると思われる。うーむ、誰に勧めるべきか難しい。『 NOPE / ノープ 』の監督のこれまでの作品を見て( ゚Д゚)ハァ?とならなかった人はどうぞ、と言っておこうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

hypnotize

催眠術にかける、の意。漫画『 聖闘士星矢 』世代なら、ヒュプノス=眠りの神だと知っていることだろう。似たような語に mesmerize もある。こちらの語を知りたければ、邦画ホラーの秀作『 CURE 』(主演:役所広司 監督:黒沢清)をお勧めする。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, サスペンス, ホラー, 南沙良, 日本, 桜井ユキ, 玉木宏, 監督:片岡翔, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 この子は邪悪 』 -もっと捻りが必要-

『 NOPE / ノープ 』 -ジョーダン・ピール世界へようこそ-

Posted on 2022年8月28日 by cool-jupiter

NOPE  / ノープ 70点
2022年8月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ダニエル・カルーヤ キキ・パーマー スティーブン・ユアン ブランドン・ペレア
監督:ジョーダン・ピール

Jovianは矢追純一世代だったので、UFOには一時期かなりハマっていた。そのUFOをジョーダン・ピールが料理するというのだから、観ないわけにはいかない。

 

あらすじ

馬の飼育と調教を生業にするヘイウッド家の父が、謎の死を遂げる。長男OJ(ダニエル・カルーヤ)は、父の死と空に一瞬見えた謎の飛行物体が関連していると確信。妹のエム(キキ・パーマー)と共に、謎の物体をカメラに収めようと考えるが・・・

ポジティブ・サイド

予告や内容紹介の段階では、M・ナイト・シャマランの『 サイン 』のようなストーリーなのかと思った人は多くいそう。実際に似ているところもあったし、そうでないところもあった。いずれにせよ確実なのは、ジョーダン・ピールがまたしても非常にオリジナル作品を送り出してくれたことだ。

 

オープニングのTVショーはまったくもって意味不明。また映画の各段階で馬の名前が画面に大々的に表示される。これもこの段階では意図が見えない。しかし、後々これらが本作のテーマとダイレクトにつながっていることが分かる。

 

ハリウッドのはずれのはずれにある広大な馬の飼育場、その上空の雲の中に得体の知れない存在がいる。そして、それはどうやら人や馬を襲う。この正体不明の存在との闘争・・・ではなく、とにかくこいつを写真や映像にしてビッグになってやろう、というところが現代風で面白い。また、その奇妙なモチベーションに対しても、歴史的な説明が付け加えられているのが興味深い。

 

主人公OJを演じるダニエル・カルーヤは、『 ゲット・アウト 』とはガラリと異なる寡黙な男。しかし馬および野生動物に対する造詣が深く、そのことが物語上で大きな意味を持っている。また馬の調教師であるというバックグラウンドに対しても、歴史的な説明が付け加えられているのは興味深い。映画産業の初期の初期から現代に至るまで、我々は物語(往々にしてそれは事件)をカメラという媒体で撮られ、スクリーンという媒体に映写されるものだと思ってきた。しかし、本当の事件が自分の身にリアルに起きた時、人はどう対応するのか。これが本作の裏テーマなのではないかと思う。

 

徐々に正体を現すUFOと、それをカメラに収めようとするOJとMの兄妹や、奇妙な協力者エンジェル、自身の経験が裏目に出て被害に遭ってしまうジュープなど、それぞれの登場人物が物語に意味と味わいを与えている。個人的に最も印象に残るのは、後半に登場する老カメラマン。常にPCモニターで「あるもの」を見ているのだが、本作ではそれは痛烈な皮肉に見えてくる。UFOで始まり、ハリウッドの新たな神話の誕生で終わる。何を言っているのか分からない?だったら劇場で観るべし。

以下、マイナーなネタバレあり

 

ネガティブ・サイド

序盤から中盤にかけての展開がスリリングだったのに対して、終盤にかけての展開は少しテンポが落ちたと感じる。「あれは何だ?」、「もっとちゃんと見せろ」という中盤までのテンションが、後半にまで持ち越されていない。謎の存在をカメラに収めるというミッションに、途中で別キャラが入り込んでくるからだろう。もしも牧場の倉庫に主導のフィルムカメラが眠っていて「ひいひいひいお爺ちゃん、ありがとう!」という展開であれば、また異なる印象を受けたと思う。

 

これはトレーラーの罪なのだろうが、Mがしきりに “Don’t look, don’t look.” と言いながら歩くシーンは盛大なネタバレだった。

 

UFOが『 ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒 』的な変形を見せるのはちょっといただけない。もっと無機質なままで良かったのにと思う。写真に収めるべきは馬に乗ったOJであるべきだったと思う。

 

総評

『 ゲット・アウト 』のような意表を突いたSF的な要素もありながら、常に社会批判も盛り込んでくるのがジョーダン・ピール流。今作でも伝統的な映画業界やパパラッチ、YouTuber を皮肉る一方で、エンターテイメントとしての面白さもしっかり追求できている。ジャンルとしてはSF+ホラーになるのだろうが、このホラー映画は観る人を選ばない。ある意味で、『 ゲット・アウト 』や『 アス 』よりも、本作の方がジョーダン・ピール世界への入門編としては適しているかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Nope

No のくだけた言い方。No をクイックに歯切れよく発音すると、語尾に p の音がついてくる。同じことは Yes にも言える。これをインフォーマルに言うと Yep となる。いずれの表現もかなりカジュアルな表現なので、ビジネスの場では使わないようにしたい。

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, SF, アメリカ, キキ・パーマー, スティーブン・ユアン, ダニエル・カルーヤ, ブランドン・ペレア, ホラー, 監督:ジョーダン・ピール, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 NOPE / ノープ 』 -ジョーダン・ピール世界へようこそ-

『 サイレントヒル リベレーション 』 -残念な続編-

Posted on 2022年8月16日 by cool-jupiter

サイレントヒル リベレーション 30点
2022年8月13日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:アデレイド・クレメンス キット・ハリングトン キャリー=アン・モス ショーン・ビーン
監督:マイケル・J・バセット

『 マインド・ゲーム 』がまだレンタル中。なので『 サイレントヒル 』の続編を借りてくる。ホラー色が薄まり、宗教色が最初から色濃く出ていたのは色々と残念だった。

 

あらすじ

ヘザー(アデレイド・クレメンス)は、ある事情から父親クリス(ショーン・ビーン)と共に各地を転々としながら生活していた。しかし、18歳の誕生日を目前にして、ヘザーの前に謎の人物が現れ、また父親も姿を消してしまう。家には「サイレントヒルに来い」という血文字が残されていた。ヘザーは同級生ヴィンセント(キット・ハリングトン)と共にサイレントヒルに向かうが・・・

 

ポジティブ・サイド

出るわ出るわのクリーチャーたち。ゲームと映画の『 サイレントヒル 』のugly系のクリーチャーは本作でも見事に表現されている。一押しは人体マネキンパーツで出来た蜘蛛のようなクリーチャー。まるでスティーブン・キング作品に出てきそうな雰囲気。また前作で描かれなかったセクシー看護師アーミーの残虐殺戮描写も本作ではたっぷり登場。グロ描写ファンを喜ばせてくれた。

 

父親クリストファーの尽きることのない娘、そして妻への愛は感動的ですらある。それがヴァルティエル派の信徒の狂信性と鮮やかなコントラストになっている。どちらも人間本来の姿なのが皮肉なところ。クリーチャー(非人間) vs 人間という単純な二項対立ではなく、人間そのものが一種の分裂的な気質を備えた生き物なのだろう。アレッサという虐げられた個人を通して、本作はそのことを強く訴えかけているようである。

 

ネガティブ・サイド

ゲーム、そして前作の大きな特徴でもあった静寂の中に突如混ざる雑音という演出がなくなった。割と速いテンポで次から次へとクリーチャーが出てくるのは良いが、そこにお約束的演出がなくなってしまったのはいただけない。サイレントヒルのサイレントという部分がごっそりそぎ落とされたのは残念至極である。

 

またサイレントヒルに迷い込むことはあっても、サイレントヒルからは逃れられないという前作の悲劇的な結末を、割とご都合主義的に破ってくるのもいかがなものか。前作でクリスタベラを失った教団が、前作以上の影響力を保持しているのも説明がつけがたい。指導者を失った教団に優秀な跡継ぎ(イエスに対するペテロなど)がいれば何とかなる。前作にはそのような描写はなかったし、今作でも一切フォローがなかった。

 

看護師アーミーは個人的にはツボだが、ウッフーン、アッハーンみたいな声は必要か?ゲームを実際にプレーしていないのだが、無言でサクサク相手を滅多刺しにしていく方が共感を呼び起こすと思うが。

 

最大の恐怖のひとつだった三角頭がアレッサの守護者というのは、何か拍子抜けに感じた。二大クリーチャー同士の一騎打ちはアクション映画としては面白いが、ホラー映画としては「なんだかなあ・・」である。

 

最大の問題は、前作が非常に巧みに展開した、怪異に浸食された街とそこで狂信者として生きる集団の恐ろしさの見せ方のバランスが壊れてしまっていることだろう。本作は最初から最後まで怖いのは人間というスタンスである。いや別にそれでもいいのだが、だったらサイレントヒルをタイトルに冠する必要はないわけで。そもそも続編自体が不要だったのかな。それともプロデューサーの監督や脚本家の人選がイマイチだったか。

 

総評

舞台はアメリカだがゲーム制作自体は日本。その日本的な静謐なテイストを良い意味でも悪い意味でもアメリカナイズして映像化したのが本作である。前作を楽しめたのなら、本作は鑑賞不要。まさか本作から鑑賞する奇特な向きはないだろうが、本作から鑑賞したなら、楽しめた楽しめなかったに依らず、前作『 サイレントヒル 』を鑑賞されたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

sanctuary

「聖域」や「聖堂」の意。一定以上の年齢層であれば漫画『 聖闘士星矢 』でお馴染みだろう。animal sanctuary = 動物保護区、wildlife sanctuary = 野生動物保護区のような使われ方をすることも多い。英検準1級やTOEFL、IELTSで言って以上のスコアを目指すのなら知っておきたい。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, E Rank, アデレイド・クレメンス, アメリカ, キット・ハリングトン, キャリー=アン・モス, ショーン・ビーン, ホラー, 監督:マイケル・J・バセット, 配給会社:プレシディオLeave a Comment on 『 サイレントヒル リベレーション 』 -残念な続編-

『 サイレントヒル 』 -ゲーム原作の王道ホラー-

Posted on 2022年8月14日 by cool-jupiter

サイレントヒル 70点
2022年8月12日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ラダ・ミッチェル ショーン・ビーン ローリー・ホールデン デボラ・カーラ・アンガー
監督:クリストフ・ガンズ

『 マインド・ゲーム 』がずっと借りられっぱなし。『 女神の継承 』の恐怖体験から回復するためにも普通のホラーを観ようと本作をセレクト。

 

あらすじ

娘のシャロンは夢遊病の中でサイレントヒルという地名を口にする。ローズ(ラダ・ミッチェル)はアメリカ・ウエストバージニア州にサイレントヒルという街があることを探り当て、シャロンと共にそこを訪れる。しかし、謎の人影を避けようとしたことで交通事故を起こす。目覚めた時、車内にはシャロンの姿がなかった。ローズはシャロンを探すために、廃墟となったサイレントヒルに立ち入るが・・・

 

ポジティブ・サイド

Jovianはプレーしなかったが、大学寮の先輩や同級生が本作と『 バイオハザード3 』をプレーしていた。なので本作の世界観やキャラは何となく知っている。映画化されたのは知っていたが、観るのはこれが初めてである。

 

まず雰囲気が素晴らしい。序盤、暗い夜のシャロンの奇行。明るい日中のサイレントヒル行きの話。そして切りと煙に包まれたサイレントヒルの昼とも夜とも言い難い空気感がゲームの世界観とマッチしていた。もったいつけずにあっという間にシャロンとローズがサイレントヒルに着くのもスピーディーで良い。

 

シャロンを探すローズと、そのローズとシャロンを探すクリスという二つの視点で物語が進む。内部からサイレントヒルの謎に迫るローズと、外部からシャロンの出自とサイレントヒルの謎に迫るクリス。この二つの軸により、ホラー要素とミステリ要素が程よい塩梅でミックスされている。

 

ゲームに出てくる異形のクリーチャーの再現度も高い。Jovianは上半身も下半身も脚というクリーチャーに震えあがった記憶があるが、腕がない、目がないクリーチャーたちは普通にキモイし怖い。三角頭の再現度も非常に高く、とあるキャラの内臓を引きずりだして殺すシーンは震えた。無駄にセクシーな看護師軍団も怖い。CG的には粗いのだが、元々がPlayStationのゲームなので気にならない。

 

徐々に見えてくる教団、そして”アレッサ”の意図。宗教と政治のつながりが云々される現代日本にとって示唆的な内容とも言える。魔女狩りと称して誰かを裁くことで団結するのは古今東西の世の常だが、それによって疎外される側が思想や行動をより先鋭化させるのも歴史的事実。製作から10年以上経て、単なるホラーゲームの実写化という意味以上の意味を帯びるという、何とも数奇な作品である。

 

ネガティブ・サイド

ベネット巡査とローズの奇妙な関係をもう少し深堀できなかったか。反目し合う二人が、いつしか様々な面で同化するというのはありきたりではあるが、王道でもある。王道ホラーの本作には、そうした王道的人間関係の追求と描写が似合ったはず。またその描写が、石頭のグッチ警部とそれに反発し続けるクリスの関係と鮮やかなコントラストになったのではないかとも思う。

 

ゲームでは無線に雑音が入るとクリーチャーが近くにいるということを示していたが、その演出が序盤にしか使われていなかったのは残念である。ベネット巡査の無線やローズの携帯を適宜に使えば、サスペンスやスリルをもっと盛り上げられる場面はあっただろうと思う。ただ、本作で本当に怖いのは人間なので、クリーチャーの登場と人間の業のバランスを考えると、致し方のない選択だったのかもしれない。

 

総評

これは面白い。グロ描写もあるが、なにより霧と灰に覆われた街、そして血と錆に汚された建物内部がホラー映画の真髄を思わせる。超常的な何かが起きるよりも前の雰囲気がたまらなく良い。個人、ひいては地域や集団を忌避し、疎外してしまうことで起こる悲劇の物語が非常に現代的である。ゲームの世界をちょっとだけ知っているJovianは本作を大いに楽しめた。ゲームのハードコアなファンはいざ知らず、予備知識があまり無い状態で鑑賞しても十分に堪能できるホラー映画だろう。特に現代日本の政治と宗教の汚染された関係を下敷きに本作を鑑賞してみるのも一興ではないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

sleepwalk

寝ながら歩く、の意。しばしば夢遊病を指す。必ずしも歩く必要はない。Jovianも小学校高学年ぐらいの時に、寝ながらパジャマを脱ぐことが何度もあったらしい。もしも夢遊病があまりにも長く続く、あるいはそのせいで怪我をしたということであれば、早めに受診されたし。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, B Rank, アメリカ, ショーン・ビーン, デボラ・カーラ・アンガー, ホラー, ラダ・ミッチェル, ローリー・ホールデン, 監督:クリストフ・ガンズ, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 サイレントヒル 』 -ゲーム原作の王道ホラー-

『 女神の継承 』 -古今東西のホラーミックスの怪作-

Posted on 2022年8月12日 by cool-jupiter

女神の継承 75点
2022年8月12日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:ナリルヤ・グルモンコルペチ サワニー・ウトーンマ
監督:バンジョン・ピサンタナクーン

 

『 チェイサー 』、『 哭声 コクソン 』のナ・ホンジン監督が原案およびプロデュースを担当。それだけで一筋縄ではいかない映画だとわかる。実際に有名ホラー映画のインターテクスチャリティー満載の作品であった。

 

 

あらすじ

霊媒のニム(サワニー・ウトーンマ)は女神バヤンの依代として、地域住民の悩みや病気の解決の手助けをしていた。彼女の姪のミン(ナリルヤ・グルモンコルペチ)が謎の体調不良に見舞われたことから、ニムは女神バヤンがミンを新たな依代に選んだと考えていたが・・・

 

ポジティブ・サイド

Jovianは大学で宗教学を専攻していた。より詳しく言えば古代東北アジアの思想、特にアニミズムを勉強していた。なので東南アジアのシャーマニズムについては門外漢ではあるものの、感覚的に理解できることがかなりあった。ただし本作を堪能するために専門知識は必要ない。むしろアジア人=多神教やアニミズムを何となく受け入れている民族であれば、それだけで恐怖が倍増するだろうと感じた。

 

全編通じて『 ブレア・ウィッチ・プロジェクト 』的なドキュメンタリー形式で撮影されており、随所に『 カメラを止めるな! 』的な要素もある。序盤のニムへのインタビューや、ニムの霊媒としての仕事ぶりは、ナショジオ的な趣すら感じられた。

 

姪のニムが女神バヤンの新たな継承者の兆候を見せ始めるところから、テレビ番組的な趣は消え、本格ホラーに移行していく。『 エクソシスト 』へのオマージュが散りばめられ、最後には各種ゾンビ映画のごった煮状態に昇華する。

 

その過程で観る側の神経をざわつかせるのは、ニムの変化。最初は体調不良だったのが、子どもに対する乱暴行為、それがエスカレートして大人にも暴言暴行、果てはニムの祈祷に対して緑色の吐しゃ物を出すなど、行為の変化が肉体の変化に起因することを示している。この見せ方は日本のホラーにはあまりないが、もっと取り入れても良いように思う。目が赤く光るとか、口角がありえないほど引きつるといった外見的な描写よりも、血液の色がおかしい、吐しゃ物が異常といった内部の描写に切り込む本作は、かなりの野心作である。

 

いよいよ悪霊祓いとなった時に「はあ?」という事件が発生する。これはなかなかの不意打ちだった。もはやグッドエンドは期待できない中、物語は突き進んでいく。このクライマックスの凄惨さは、映画なのか漫画なのか分からないレベル。一歩間違えればギャグにしか見えないシーンの数々を恐怖映像としてしっかりまとめ上げたピサンタナクーン監督の手腕は見事である。

 

また主演の二人の女優も印象的。ニムはいかにもタイの土着的なおばちゃんで、日本なら沖縄あたりでユタをやっていそうな感じ。ミンを演じたナリルヤ・グルモンコルペチは対照的に、西洋風な面持ちのスレンダー美女。あられもないセックスシーンから、狂乱状態のトップレス披露まで、日本のホラー映画に出てくる女優とは明らかに気合いが違う。各種の動物の形態模写から、血しぶきブシャーの殺戮シーンまで、何でもござれ。ルックスを売りにする日本の若手女優は、ナリルヤの爪の垢を煎じて飲むべきである。

ネガティブ・サイド

ドキュメンタリー風に撮るなら、もっとカメラマンが画面に映ってもいい。あちこちでカメラが切り替わるが、それはそこにカメラ・オペレータがいるから。終盤は撮影者も次々に死んでいくが、中盤あたりから「女神継承」あるいは「悪魔祓いの儀式」をカメラに収める人間たちの存在をもっとアピールしても良いと感じた。『 カメラを止めるな! 』の成功要因の一つに、これは映画を撮っている人たちを撮っている映画、と思い込ませた点がある。実際には、映画を撮っている人たちを撮っている人たちを、さらに撮っている映画だった。そこを強調する仕掛けが本作にあっても良かった。

 

犬が重要なキーワードの本作であるが、その犬の悪霊に憑かれた人間が襲う対象が少々不可解。えーと、その人は犬を〇〇している人だったっけ?むしろ、それを疑問に思っている人だったのでは?

総評

タイ映画といえば『 ホームステイ ボクと僕の100日間 』や『 バッド・ジーニアス 危険な天才たち 』など、都市部の若者にフォーカスするイメージを持っていたが、それが見事に覆された。ホラーに耐性がない人はスルーのこと。ホラーに耐性がある人はぜひ鑑賞を。古今東西のホラー映画のエッセンスが詰め込まれた、まるで鍋料理のような融通無碍な味わいが得られることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

medium

原題は The Medium = 霊媒 である。med から mid 、つまり真ん中がイメージできればOK。マスコミをメディアと呼ぶのは、情報伝達の面で政府や芸能界と一般大衆の中間を担っているから。霊媒も超自然的存在と人間をつなぐ中間的存在であることから英語では medium となる。こんな語彙を知っておくべきなのは好事家だけだろうが。

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, サワニー・ウトーンマ, タイ, ナリルヤ・グルモンコルペチ, ホラー, 監督:バンジョン・ピサンタナクーン, 配給会社:シンカ, 韓国Leave a Comment on 『 女神の継承 』 -古今東西のホラーミックスの怪作-

『 ハッチング – 孵化 – 』 -子の内面に目を向けよ-

Posted on 2022年6月21日 by cool-jupiter

ハッチング – 孵化 - 55点
2022年6月18日 塚口サンサン劇場にて鑑賞
出演:シーリ・ソラリンナ ソフィア・ヘイッキラ
監督:ハンナ・ベルイホルム

北欧ホラーだが、特にフィンランドに限らず、日本でもアメリカでもブラジルでも中国でも成立するストーリーだろう。幸福かどうかの尺度を他人に委ねるべきではない・・・というのも Twitter 界隈にありがちな言説か。

 

あらすじ

ティンヤ(シーリ・ソラリンナ)は、幸福な家族像を世界へ発信する母親のために、体操を頑張っていた。ある時、ティンヤは森で奇妙な卵を見つける。誰にも秘密のまま部屋で温め続けた卵は遂に孵化して・・・

ポジティブ・サイド

一見幸せに見える家族だが、実は中身はドロドロであるというのは、洋の東西を問わずによくある設定である。それを今風にSNSを取り入れながら、なおかつ卵から孵る謎の怪物という対比で描くところがユニーク。その卵も不気味に成長するが、孵るまでもなかなかスピーディーで良い。

 

卵から孵化する怪物はCGではなく、アニマトロニクスなのだろうか。鳥の雛にネバネバの粘液がくっついたようなビジュアルで登場するが、刷り込みの本能を持っているところが鳥らしい。この怪物と主人公の少女ティンヤの知覚がシンクロして、怪物が見るものをティンヤも見えてしまうというアイデアも悪くない。『 キャリー 』が自分の中の衝動を押さえられなかったように、ティンヤも自らの隠されたストレスや不安、暗い願望を怪物を通して見てしまう。心理ホラーであると同時に、クリーチャー系のホラーでもあるわけだ。

 

この怪物をティンヤが育てる展開がグロい。内臓ビローンのようなシーンはないが、人間大の鳥の雛に忠実に給餌するシーンを再現すると、なかなかキツイ絵になる。こんな構図、誰が考え着いたのだろうか。凄い想像力である。この怪物がティンヤ自身でも気付かぬ願望を次々に叶えていく、つまり周囲の動物や人間を傷つけていく。その過程で怪物自身も思わぬ姿に変態していく。これは完全に予想外だった。

 

主人公のティンヤを演じたシーリ・ソラリンナの二面性のある演技、そして韓国女優に優るとも劣らない発狂シーンを見せつける母を演じたソフィア・ヘイッキラの絶叫など、フィンランド人に対する見方が変わりそうである。『 かもめ食堂 』(まあ、これは邦画だが)のイメージで臨むと、そのギャップに唖然とさせられるだろう。

 

いったいどこでどう決着させるのかと不安になってきたところで、思いがけぬ結末が用意されていた。映画で言うと『 光る眼 』や『 ビバリウム 』、小説なら今邑彩の『 繭の密室 』を彷彿とさせる。日本でも毒親なる言葉が人口に膾炙するようになって久しいが、これは一定以上の水準の家庭に必然的に生まれる鬼子(鬼親?)なのだろうか。

ネガティブ・サイド

冒頭でいきなり母がカラスを縊り殺すが、この演出は不要だろう。ティンヤが上手く捕まえたカラスを母親が裏庭に持っていく。ティンヤが後から「あの鳥はどうしたの?」と尋ねると、「自然に返した」との答え。しかし、隣に越してきたレータの飼い犬がティンヤの家の庭の一角を掘ると、そこにはカラスの死体が・・・といった展開の方が良かったように思う。

 

ティンヤの母の毒っぷりを描くのに、浮気相手の男は不要だろう。赤ん坊を重要な小道具として見せる意図があったのだろうが、それは蛇足。父親がティンヤのベッドの血を見て勘違いした時、観る側は「いや、これはそうではなくて・・・」と思うと同時に、「あれ、母ちゃんはまだ現役か?」と勝手に邪推する。ホラー映画においては、見せるよりも想像させる方が恐怖や不安を喚起するには有効で、本作は心理的なホラーの要素が少し弱かった。

 

弟がキービジュアルのお面を被っているシーンが一か所だけあるが、何だったのだろうか。SNS向けに外側に発信しているものは仮面であって、一皮はいでみればドロッドロですよ、という意味ではなかったのか。仮面についても劇中で見せる必要はなかったと思われる。この仮面はティンヤだけがかぶっておらず、彼女だけは裏表がない・・・のではなく、裏表に気づいておらず、したがって仮面で裏の顔を隠せないのだろう。そのティンヤ自身が気付かない、鳥=アッリの凶行の原理が、自分の中の秘められた願望であると知って愕然とするシーン、あるいは比ゆ的に仮面を身に着けようとするシーンが欲しかったと思う。

 

総評

怪物が出てくるものの、一番怖いのはやっぱり人間である。効果音とCG一辺倒のハリウッドのホラーよりも、人間心理の暗部を視覚化したホラーの方が観ていて心地よい。嫌ミスならぬ嫌ホラーとでも言おうか、後味の悪さも相当なものである。ホラー・ジャパネスクの夜明けは遠いが、北欧ホラーはまだまだ元気いっぱいのようである。

 

Jovian先生のワンポイントフィンランド語レッスン

Hei hei

英語で Bye bye の意。発音は「ヘイヘイ」である。劇中で2度ほど聞こえてきた。語学はやはり耳+状況設定で行うものだなと再確認。いつかフィンランド旅行をすることがあれば、使ってみたいと思う。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, シーリ・ソラリンナ, ソフィア・ヘイッキラ, フィンランド, ホラー, 監督:ハンナ・ベルイホルム, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 ハッチング – 孵化 – 』 -子の内面に目を向けよ-

『 きさらぎ駅 』 -都市伝説を換骨奪胎した異色ホラー-

Posted on 2022年6月15日 by cool-jupiter

きさらぎ駅 55点
2022年6月12日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:恒松祐里 佐藤江梨子
監督:永江二朗

『 真・鮫島事件 』の永江二朗監督の最新ホラー。夏恒例の糞ホラーだと思い込んでいたが、それなりに面白いところもあった。

 

あらすじ

大学で民俗学を学ぶ堤春奈(恒松祐里)は、かつて2chに投稿された神隠し譚の「きさらぎ駅」についてリサーチしていた。投稿者である「はすみ」こと葉山純子(佐藤江梨子)への対面聞き取り調査で、ふとしたことから異世界への行き方のヒントをつかむ。春奈がその方法を実地に試したところ、電車は本当に「きさらぎ駅」に到着してしまい・・・

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

科学の進展が著しく、かつネットの普及によって知識が行き渡ったことによって、心霊現象や未知の生物、怪物といったものは段々と恐怖の対象になりにくくなった。そんな中、日本の文学界(と言っていいのかどうか難しいが)では、いわゆる「なろう系」≒異世界転生ものを発見した。そのジャンルが面白いかどうかは別にして、異世界に行って、そこから帰ってくるという本作の設定は受け入れられやすくなっている。その意味で『 真・鮫島事件 』とほぼ同時代の「きさらぎ駅」だが、映画化のタイミングは良かったのではないか。

 

本作がホラーとしてユニークなのは、怪異を攻略するところ。1周目の「はすみ」のターンはPOVで進み、まるでサウンドのベルゲームをプレーしているかのような感覚を覚えた。こういったゲーム的視点は『 悪女 AKUJO 』のようなバリバリの武器を使ったアクションだけではなく、ホラーというジャンルにも適用可能性があるというのは大きな発見だと感じた。

 

2周目の「春奈」のターンでは、春奈と視聴者が見事にシンクロする。これもループものではお馴染みだが、ホラーというジャンルにこれを適用するのも面白かった。同じ人間が何度もループすることで、絶望的な状況にもどんどん対応できるようになる映画では『 オール・ユー・ニード・イズ・キル 』が想起されるが、本作は短時間で『 オール・ユー・ニード・イズ・キル 』的な爽快感をもたらすことに成功している。混ぜるな危険と思わせて、混ぜてみると楽しい。そんな新しい発見がある。

 

順調に異世界を攻略していく春奈だが、最後の最後に結構なドンデン返しが待っている。怖いのは異世界の怪異と見せかけて・・・という展開である。さらにポストクレジットシーンもあるので要注意。帰ってしまう人を数人見かけたが、もったいない。予想通りのエンディングだが、これはこれで観る側の想像力を刺激する。『 牛首村 』や『 犬鳴村 』のエンディングに満足できなかった人は、本作で溜飲を下げようではないか。

 

ネガティブ・サイド

基本的には夏恒例の糞ホラーと同じく、効果音とカメラワークによるこけおどしの jump scare のオンパレードである。鑑賞しながら「はい、3、2、1」とビックリ演出まで心の中で余裕でカウントダウンできるシーンが少なくとも10個はあった。これで怖がれ、というのは無理な注文である。

 

謎の太鼓の音は日本的な心理的不快感を催させるのに効果的なはずだが、それがトンネルの中でまで聞こえてくるのはいかがなものか。いや、別に聞こえてもいいのだが、だったらトンネルの中らしい反響音を響かせて、純子らに「まずい、トンネル内に誰かいる!」と思わせなければならない。あるいは、トンネル外の太鼓の音がトンネル内で小さく、しかし不気味に反響しているように編集すべきだった。

 

佐藤江梨子の喋りがあまりにも平板で抑揚がなさ過ぎた。怪異が跋扈する異世界において、この暢気すぎる喋りは確実に恐怖感を削いだ。1周目は恐怖パート、2周目は「強くてニューゲーム」あるいは考察・検証パート。なので1周目の佐藤江恵理子は声だけで観る側(聞く側?)に不安感、焦燥感、不快感、恐怖感などの負の感情を惹起させる必要があった。監督の演出の弱さもあるのかな。

 

異世界エレベーターの原理が弱いと感じた。あの程度で異世界に行ってしまうのなら、一年に一人ぐらいはきさらぎ駅に行ってしまうのではないか。Jovianも過去に京都→尼崎と行くべきところを、京都→三宮→大阪→尼崎という寝過ごし2回乗車を2回やったことがある。きさらぎ駅行きの電車に乗るには、リアリティの面でもうひと手間あっても良かったのではないか。

 

総評

劇場公開から10日目の日曜日の夜だが、劇場は4割ほどの入り。ほとんどは10代、20代のカップルだった。ただし、女子が「キャッ!」と言って、男の腕に抱きついてくるようなシーンはなかったように思う。主人公が怪異をガンガン撃退するというホラーとしては異色の展開ながら、同工異曲の『 貞子3D 』のようなアホらしさはない。恐怖度は控え目なので、だからこそデートムービーにふさわしいのかもしれない。きさらぎを冠する作品としては佐藤祐市監督のワンシチュエーション・コメディの『 キサラギ 』が絶品の面白さなので、ぜひチェックされたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

urban legend

「都市伝説」の意。Urban legend has it that S + V. = 都市伝説によるとSがVする、のように使うことがある。本作で言うと Urban legend has it that there is a station called Kisaragi station. = きさらぎ駅と呼ばれる駅があるという都市伝説がある、と言えるだろう。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ホラー, 佐藤江梨子, 恒松祐里, 日本, 監督:永江二朗, 配給会社:イオンエンターテイメントLeave a Comment on 『 きさらぎ駅 』 -都市伝説を換骨奪胎した異色ホラー-

『 ザ・スイッチ 』 -コメディ・ホラーの良作-

Posted on 2022年6月5日 by cool-jupiter

ザ・スイッチ 70点
2022年6月1日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:ヴィンス・ヴォーン キャスリン・ニュートン
監督:クリストファー・ランドン

公開時、MOVIXあまがさきで見逃してしまった作品。コメディ色の強いヴィンス・ヴォーンが殺人鬼・・・ではなく殺人鬼の体に乗り移った女子高生を演じる。この設定だけで惹きつけられるではないか。

 

あらすじ

冴えない女子高生ミリー(キャスリン・ニュートン)は、ホームカミングの夜に伝説の殺人鬼ブッチャー(ヴィンス・ヴォーン)に襲われる。しかし、不思議な短剣がミリーの肩に突き立てられた瞬間、二人の体が入れ替わってしまい・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭から夏恒例の糞ホラー映画そのままの展開。酒を飲みながら怪談に興じ、セックスに耽る。これは100%死ぬサインである。ここでの殺しのシーンもなかなかグロテスクで見応えがある。内気な少女が運悪く連続殺人鬼に襲われるところまではあらすじにある通りだが、そこに至るまでにミリーの家族関係、学校での人間関係、そして物語上の重要な伏線の全てが無理なく詰め込まれている。なかなか練られた脚本である。

 

入れ替わり後は、ミリーのパートはホラーに、ブッチャーのパートはコメディとなる。ここでの主役二人の演技は見物である。見る者すべてを獲物として捉えるサイコパスの目をしたミリーは、あらゆる場面で惨劇の予感をもたらす。一方で巨大中年殺人鬼のブッチャーは、その表情、しゃべり、所作、立ち居振る舞いの全てが女子校生で、その一挙手一投足に笑ってしまう。この入れ替わってしまった二人が元に戻るためにスラップスティック・コメディとスプラッター・ホラー的な展開が同時進行するというところが独特で秀逸。特にブッチャーの体に入ってしまったミリー/ブッチャーが、親友のナイラとジョシュに自分こそがミリーだと信じてもらうために奮闘する一連の流れには笑わずにはいられない。一方で、ブッチャー/ミリーが気に食わない教師を殺害するシーンは、まさに『 13日の金曜日 』。

 

24時間以内に儀式を行わないと、両者の魂は入れ替わったまま。儀式のために奮闘するミリー/ブッチャーとナイラ、ジョシュの3人と、その周囲の人間も巻き込んで物語は加速する。友情あり、恋愛あり、見失っていた家族愛の再発見ありと、これでもかと詰め込みつつも、軽妙なテンポで物語は進んでいく。序盤のちょっとした一言が大きな伏線になっているなど芸も細かい。最後の最後まで観る側を飽きさせはしないぞ、というサービス精神も嬉しい。

 

設定だけで勝負しているように見せて、さにあらず。ヴィンス・ヴォーンは思いっきり女子校生になりきっているし、キャスリン・ニュートンはシリアルキラーが憑依したかのような鬼気迫る演技を見せる。映画を良作にするのは、脚本と演技の両方だなとあらためて得心した。

 

ネガティブ・サイド

冒頭以外の殺害シーンにゴア要素が足りない。いけ好かない技術の教師をブッチャー/ミリーが殺すシーンは、それこそ精巧な人体模型を作って撮影してほしかった。『 ザ・ハント 』のような低予算映画でも内臓やら血しぶきやらが飛び散るシーンには力を入れていたのだから、本作でも頑張って欲しかった。パーティーの裏で殺される男子3人も同様。あまりやりすぎると、ミリーがミリーの体に戻った時にピンチに陥ってしまうのは分かるが、そんなことまで気にする視聴者はいない。

 

終盤でダンス・パーティーが中止にされてしまうが「廃工場でやればいい」というブッチャー/ミリーのアイデアにまるで全校生徒が乗ったのかというぐらいに人が集まったが、あれだと兄弟姉妹や友人などを通じて一発で親や警察にばれるだろう。魂の入れ替わりという非現実な設定のためにも、その他のプロットは極力現実的にすべきだった。

 

総評

コロナ禍の最中に劇場公開されたホラー映画という点で『 ウィッチサマー 』と重なるが、完成度はこちらの方がはるかに上。ゴアに課題を残すも、ティーンの友情や家族愛もしっかり描写されるし、若い男女の淡い恋愛を、少年と中年オヤジの形で描いてしまうのには、笑ってしまいつつも感動してしまう。コメディ色が薄れつつあった近年のヴィンス・ヴォーンが原点に立ち返った面白コメディである。冒頭の血みどろの殺人シーンさえクリアできれば、ティーンの友情物語を堪能できるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Que Será, Será

What will be, will be. の意。英語スペイン語とでも言おうか。意味としては「なるようになる」で ”Let it be” に近い。元々のスペイン語にはない表現。その意味では『 ターミネーター2 』の ”No problemo” 的であるとも言える。「ケセラセラ」自体は日本語にもなっているはずだが、大学生ぐらいの若者にはまったく通じない。これは世代のせいなのか、それとも時代のせいなのか。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, ヴィンス・ヴォーン, キャスリン・ニュートン, コメディ, ホラー, 監督:クリストファー・ランドン, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 ザ・スイッチ 』 -コメディ・ホラーの良作-

『 ダニエル 』 -イマジナリーフレンドの恐怖-

Posted on 2022年5月14日 by cool-jupiter

ダニエル 65点
2022年5月11日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:マイルズ・ロビンス パトリック・シュワルツェネッガー
監督:アダム・エジプト・モーティマー

近所のTSUTAYAの準新作コーナーで発見。100円クーポンで借りてきた。なかなか面白いではないか。

 

あらすじ

家族に問題を抱えるルーク(マイルズ・ロビンス)は、自分の家を出て大学に入学する。しかし、社交性の無さから上手くいかない。ルークは、少年時代に母親によって封じ込められたイマジナリーフレンドのダニエル(パトリック・シュワルツェネッガー)に助けを求める。ダニエルの助言によって前向きになれたルークは友人や恋人もでき、順風満帆な生活を満喫するようになったが・・・

 

ポジティブ・サイド

主演のマイルズ・ロビンスは『 テルマ&ルイーズ 』のスーザン・サランドンと『 ショーシャンクの空に 』のティム・ロビンスの子だという。二世俳優なわけだが、オーラのようなものは一切感じさせない、いわゆる陰キャがよく似合っている。対するは『 ミッドナイト・サン タイヨウのうた 』のパトリック・シュワルツェネッガー、言わずと知れたアーノルド・シュワルツェネッガーの息子で、父親譲りのカリスマ性を見せつつも、影や闇を感じさせるキャラを好演した。

 

イマジナリーフレンドは多重人格と同じく、それ自体が解き明かされるべき謎であることが多いが、本作ではそこから一歩踏み込んで、イマジナリーフレンドに翻弄され、支配される恐怖を描いている。ただし、そこに至るまでにダニエルによってルークが世界へと一歩を踏み出し、様々な人間関係を作り上げていく、信頼や尊敬を得ていく過程が詳細に描かれる。そこにフェアな伏線も張られている。ダニエルはイマジナリーフレンドなのか、それとも何かそれ以上の存在なのか?

 

ダニエルの支配が始まるにつれて、ルークが自身のメンタルを疑い、そのルーツを母親に求める流れも悪くない。二重人格を幼少期の虐待に帰するというのは定番中の定番だが、イマジナリーフレンドを一種の「遺伝性の疾患」だと捉えるのはユニークだと感じた。これによって、築き上げてきたポジティブな人間関係が一気に悩ましいものに転化した。

 

ダニエルの正体が陳腐であることは否めないが、そこに至る過程のサスペンスやホラーの要素は結構楽しめる。体の移り変わりや口を引き裂いての体内侵入シーンなどは、低予算映画にしてはかなり頑張っているほうだろう。最後の対決シーンも客観的に見れば子供騙しだが、そう感じさせない脚本やキャラクター設定の妙がある。万人受けはしないだろうが、ロビンス2世やシュワちゃん2世がもっと売れてくれば、再評価されるようになりそうな作品。

 

ネガティブ・サイド

ちょっとBGMや効果音が過剰だと感じた。特に人間の心理的な弱さを突くタイプのサスペンスやホラーは、音をもっと控えめにして、観る側・聞く側の自己内対話をそこはかとなく促すべきだと思う。

 

ダニエルによる虚々実々のルーク指南にもう少し時間をかけても良かったと感じる。幼少期に封じ込めた友人にしても、ある程度の年齢に達してから打ち解けるというか、受け入れるのがあまりにも早すぎた。序盤でもう少しルークがカウンセラーとダニエルの間でどっちつかずのような状態を呈していれば、ダニエルの悪魔的な魅力やカリスマ性がもっと際立ったはず。

 

総評

色々と甘いところも多いが、作り込まれているところは作り込まれている。予算がないということは、逆に制作側がやりたいことを反映しやすいということなのだろう。『 ドクター・スリープ 』や『 悪魔を憐れむ歌 』、『 シェルター 』を楽しめたという人なら、本作もそれなりに楽しめるに違いない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

nail it

それを釘付けにする、それを釘で打つという意味だが、実際は「上手くいく」、「成功する」という意味。強調する時には nail the shit out of it と言ったりもする。

Matt Reeves directed the new Batman movie and nailed the shit out of it.
マット・リーブスは新しいバットマン映画を監督し、大成功を収めた。

のように使う。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, アメリカ, パトリック・シュワルツェネッガー, ホラー, マイルズ・ロビンス, 監督:アダム・エジプト・モーティマー, 配給会社:フラッグLeave a Comment on 『 ダニエル 』 -イマジナリーフレンドの恐怖-

『 N号棟 』 -国内クソ映画・オブ・ザ・イヤー候補-

Posted on 2022年4月30日 by cool-jupiter

N号棟 10点
2022年4月29日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:萩原みのり 筒井真理子
監督:後藤庸介

超絶駄作である。ジャパネスク・ホラーは夜明け前どころか丑三つ時にすらなっていないのではないか。『 成れの果て 』の萩原みのりを目当てにしていたが、チケット購入ではなくポイント鑑賞。その判断は正しかった。

 

あらすじ

死恐怖症を抱える女子大生の史織(萩原みのり)は、元カレが卒業制作のロケハンのために廃団地に行くというので、強引について行く。団地の敷地に入るも、そこには住人が住んでいた。史織が「入居希望者です」と言うと、管理人らは親切に団地を案内してくれるが・・・

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

安楽死あるいは尊厳死の是非に対する一つの回答を呈示した点だけは評価できる。もう一つだけ評価するのは、萩原みのりの cleavage ぐらいか(Silly me! = アホな俺)。

ネガティブ・サイド

冒頭から『 ポルターガイスト 』へのオマージュと思しき真夜中のテレビの砂嵐画面だが、ちょっと待て。アナログ放送は2011年に終了している。だったら本作はGoogle Earthリリース(2005年)よりも後で、2011年よりも前?いや、スマホでGoogle Earthを使って、地方の一地点にピンを貼って、しかも人間の顔が見えるほどの高解像度の画像が得られるようになったのは震災後、2015年だとか、そのへんだったはず。冒頭の時点から「いつの時代だ、これは?」と思い、物語に入っていけなかった。

 

肝心の団地も全然怖くない。二番煎じと言われようと『 呪怨 』のようなコテコテのホラーっぽさが必要だった。親切そうな団地の面々が態度を豹変させるのも中途半端。地方の人間が突然に不機嫌になる、あるいはよそよそしくなる様については、後藤庸介監督は横溝正史を読むなどして勉強した方がいい。

 

団地の幽霊(?)も、これまた怖くない。ジャンプ・スケアにありがちなびっくりさせる効果音を多用しなかったが、それがあっても怖くなかっただろうし、あってもやはり怖くなかっただろう。というのも、すべてがテンプレ通りというか、ここでこうなりそうだ、という予感が全部的中するから。別に自画自賛しているわけではない。ちょっと映画を観慣れた人なら、次の展開、次の演出を容易に想像できるだろう。これで怖がれというのは無理がある。

 

無理があるのは団地の仕組み(?)も同様だ。謎の投身自殺はそれはそれで不気味だが、なぜ肝心の死体にクローズアップしない?なぜ肝心の死体を映さない?この人は死んだ、間違いなく死んだという印象を観る側に焼き付けるショットや演出がないために、その後の展開に驚きや戸惑いが生まれない。また、ことあるごとにカメラを回させる史織だが、役立たずの元カレが死体を撮影しないために、史織がタナトフォビアであるがネクロフォビアではない、むしろネクロフィリア的な気質が備わっているという重要な事実を描写する機会を逸している。脚本上の致命的なミスだろう。この描写が欠けているせいで、その後の史織の活劇がすべてギャグに見えてしまう。

 

白日の下でのランチや謎の踊りは明らかに『 ミッドサマー 』へのオマージュだろうが、完全に空回りしている。やるなら徹底的に白い太陽に映える白い装束、そして一糸乱れぬ踊りが名状しがたい不安感を呼び起こす。そんなシーンを模索すべきだった。それに『 ミッドサマー 』へのオマージュなら

1)死体の損壊

2)セックスシーン

この2つの方が本作には合っていたはずだ。1)については、せっかくそれらしいシーンがあったのに何もかもが中途半端(「俺だって、こんなことやりたくねー」の男はその後どうなったのだ?)。2)は、それこそ団地に泊まる羽目になった史織と元カレが、怪奇現象からの現実逃避のために肉欲に溺れるという絶好のサブプロットが追求できたはずなのに、あっさりとそれもパス。がっかりである。

 

一番意味不明なのは、死者が蘇ってくる前に、団地の住民全体でヒステリーを起こすところ。なんか意味あるの?シュールすぎて怖くないし、かといって笑えるでもない。まったくもって意味不明。この絵が恐怖を喚起すると思っていたのなら、後藤監督は金輪際ホラーには手を出さない方がいい。だいたい幽霊も、物を落としたり窓を開けたりはしても、直接危害を加えてくることがゼロなのだから、怖がりたくても怖がれない。というか、筒井真理子の恋人役の霊(?)と肉体、あれはどういう関係?死体の処理は?意味わからん・・・

 

幽霊と暮らしているから死は怖くないという理論は理解できなくもないが、それは史織の抱えるタナトフォビアの解決にはならないだろう。それこそ『 シックス・センス 』のような、「実はもう死んでました」路線で行くべきではなかったか。または『 カメラを止めるな! 』のように、ある時点までの展開はすべて映像作品でした、この映像を使って、観た人を団地におびき寄せます・・・のようなプロットは模索できなかったか。「自分ならここはああする、あそこはこうする」と必死に考えることでしか眠気と格闘できなかった。それぐらい酷い作品である。

 

総評

こんなクソ作品に時間もカネも費やすべきではない。言葉は悪いが、ダメな監督がダメな脚本を映画にしたとしか言えない。2022年に関しては『 大怪獣のあとしまつ 』という couldn’t be any worse な作品が存在するのが救いだが、そうでなければクソ映画オブ・ザ・イヤーの最右翼である。予告で流れてきた『 “それ”がいる森 』は、果たして本作を上回るか、下回るか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. This was such an awful movie that I need to forget it as soon as possible.

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, F Rank, ホラー, 日本, 監督:後藤庸介, 筒井真理子, 萩原みのり, 配給会社:SDPLeave a Comment on 『 N号棟 』 -国内クソ映画・オブ・ザ・イヤー候補-

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