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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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カテゴリー: 海外

2023年総括と2024年展望

Posted on 2024年1月1日 by cool-jupiter

2023年総括

5月8日を境に映画館運営が旧に復した。しかし、TOHOシネマズの映画鑑賞料金の値上げは当然のように他の映画館にも波及。値上げは現代のトレンドとはいえ、この傾向は決して望ましいものではないと感じる。

邦画で実績を残したのは世界興行収入が高い外国映画か、あるいは国産アニメ。この傾向は変わらなかったし、今後もしばらくは変わりそうにない。映像を構想し、映像を創り上げる力の持ち主が求められる。2023年にそれができたのは、意外(と言っては失礼かも知れないが、この御仁には前科があるから)なことに山崎貴監督だろうか。

国外に目を向けるとアメリカの俳優組合のストライキのニュースを意識せざるを得ない。特にストリーミングに関するあれやこれやは、俳優だけの問題だけではない。ストリーミングの更なる普及は、大画面に映像を映し出して大勢で鑑賞するというマスの映画鑑賞スタイルを、キネトスコープを覗き込むというごく初期の個人の映画鑑賞スタイルに回帰させていくかもしれない。これは飲食物やパンフレット、各種のマーチャンダイズ販売という確立されたビジネスモデルの変容にもつながる変化をもたらすはず。

生成AIは、映画業界のみならず一般社会にも影響が大きい。テキスト生成AI、音楽生成AI、動画生成AIなどを駆使すれば、個人あるいは極めて少人数でも映画(クオリティは別にして)が作れる時代はすぐそこまで来ている。俳優のみならず、脚本家や作曲家、フォーリー・アーティストがラダイト運動に走ることはないと誰が断言できるだろうか。

色々と懸念は尽きないが、それはそれとして措いておこう。それでは個人的な各賞の発表をば。

 

2023年最優秀海外映画

『 ザ・ホエール 』

人間ドラマの極致。限られた空間、限られた時間、そして限られた人間のみで展開されるドラマでありながら、これほど人の胸を打つのは何故か。ベタな表現だが、人生の真実がそこに確かにあるからだろう。エリザベス・キューブラー=ロスの言葉を借りれば、死とは生の完成である。死にゆく鯨がその死の先に残すものを体験する最上の人間ドラマだった。

 

次点

『 キリング・オブ・ケネス・チェンバレン 』

こちらはサスペンスの極北。やはり限られた時間と空間、そしてごく少人数だけで繰り広げられる物語。凡庸な悪の発生の機序が見られ、それが緊張と恐怖を生んでいる。ロシア-ウクライナ、イスラエル-パレスチナなど、戦争が当たり前と感じられる世界情勢になっているが、すぐそこにいる人間は誰なのかという当たり前の想像力を持つことが、いま最も求められているのではないだろうか。

 

次々点

『 告白、あるいは完璧な弁護 』

ひところの勢いは感じられないが、それもコロナの影響だったか。しかし本作は韓流サスペンスかつミステリの一級品。韓国の映画は良くも悪くもハリウッド作品の亜流の面を持つが、本作はフランス産のサスペンスやミステリの雰囲気をふんだんに漂わせつつも、韓国らしい人間の情念の強さや深さを感じさせる逸品。

 

2023年最優秀国内映画

『 世界の終わりから 』

数少ない映画オリジナル作品。まさに映像を構想して、そのビジョンのままに創り上げた作品という印象を受けた。過去、現在、未来を夢を媒介にして行き来する壮大なストーリーを、これまたごく少数のキャラクターだけで描き切った監督の手腕は見事。主演に助演、そして脚本と演出、すべてが高い次元で噛み合った逸品。

 

次点

『 658km、陽子の旅 』

ロードムービーの傑作。一人の中年女性のビルドゥングスロマンを、人間の残酷さと優しさの両方を通じて虚飾なく描いていく。終盤の車中での菊地凛子の訥々とした語りは2023年の邦画の名シーンの中の白眉である。

 

次々点

『 福田村事件 』

100年前の事件を描いたものであるにもかかわらず、そこから得られる教訓が全く生かされていないように思える。ネトウヨなどは短絡的に「朝鮮人をテーマにするのはけしからん」と主張するのだろうが、問われているのは特定の国籍や民族ではない。目の前の人間は、人間であるという意味において自分と何ら変わることがないのだ、という当たり前の事実を意識できない者がまだまだ多い。本作が穿つのはその意識の間隙である。

 

2023年最優秀海外俳優

ホン・チャウ

『 ザ・ホエール 』のブレンダン・フレイザーではなく、敢えてその親友かつ看護師のリズを演じたホン・チャウを推したい。チャーリーの友であり疑似的な姉であり母であり恋人でもありながら、最後に一歩引くという選択のできる深みのあるキャラを完璧に演じきったのは見事としか言いようがない。

 

次点

アン・ダウド

『 対峙 』と『 エクソシスト 信じる者 』での演技を評価する。どこにでもいる中年女性が自分の中の弱さに向き合うことで勇気を出すことができる、という彼女の表現力は評価されなければならない。

 

次々点

コリン・ファレル 
ブレンダン・グリーソン

『 イニシェリン島の精霊 』での共演を評価したい。本作の鑑賞はロシアによるウクライナ侵攻開始の約1年後だったが、まさかそこからイスラエルがパレスチナを本格的に攻める日が来るとは思わなかった。国と国が分断されても個人の交流は可能だが、国と国が分断されることで個人の交流もこのように途切れてしまうこともある。本作が個々人の想像力を喚起して、戦禍が個々人を分断しないようになることを望む。

 

2023年最優秀国内俳優

菊地凛子

『 658km、陽子の旅 』での演技で最優秀俳優の選出に異論なし。

 

次点

片岡愛之助

『 翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ 』で見事なまでに悪一色の大阪府知事像を打ち出した演技を評価したい。世評がどうなっているのかよく分からないが、大阪府知事・吉村洋文の政治的な思想信条は嘉祥寺晃のそれと大差ないと思ってもらって結構だ。

 

次々点

北村有起哉

『 終末の探偵 』のしがない探偵役が大ハマりしていた。情けない中年オヤジが敏腕の探偵に、そして最後は腕っぷしでも魅せるという展開で、まさに男が惚れる男というキャラを好演。また同じキャラを演じる北村を見たい。

 

2023年最優秀海外監督 

ダーレン・アロノフスキー

変化球的な作品を世に送り出すことが多い監督だが、『 ザ・ホエール 』がド直球のヒューマンドラマ。CGではなく襦袢やメイクで巨体を作り上げるという作劇姿勢も当然評価の対象としている。

 

次点

スコット・マン

『 FALL フォール 』でシチュエーション・スリラーに新風を吹き込んだ。高所恐怖症があってもなくても、地上600メートルという極限環境は怖いに決まっている。三部作になるらしいが、ぜひ二作目、三作目でもメガホンを取ってもらいたい。

 

次々点

アリ・アッバシ

『 聖地には蜘蛛が巣を張る 』の、狂信者が女性を殺していく淡々としたプロセスの演出を評価する。『 福田村事件 』を日本ローカルの事象と受け取るのではなく人間性の否定という普遍的な問題であると受け止められれば、本作もイスラム社会、イラン社会特有の病理ではなく、様々な文化や社会は何らかの病理を内包するものだという監督のメッセージを受け取れるはずだ。

 

2023年最優秀国内監督

松永大司

決して易しくはないテーマを扱った『 エゴイスト 』を傑作に仕上げた手腕を評価する。鈴木亮平という40歳前後の日本の役者の中ではトップの実力者の魅力を『 孤狼の血 LEVEL2 』とは全く異なる方向に十全に引き出すことができていた。

 

次点

山崎貴

はっきり言って不安しかなかった『 ゴジラ-1.0 』をまっとうなゴジラ作品に作り上げたくれた点は評価しないわけにはいかない。人間ドラマが陳腐であるという評価は変わらないが、主役はあくまでもゴジラである。

 

次々点

高橋正弥

『 渇水 』の人間ドラマを評価したい。『 正欲 』の岸善幸監督と争ったが、セクシャル・オリエンテーションよりも、職務に忠実であろうとすることが善にはならないというテーゼを打ち出した高橋監督の炯眼を称えたい。

 

2023年海外クソ映画オブ・ザ・イヤー

『 アントマン&ワスプ クアントマニア 』

サノスを失ったMCUの迷走を顕著に表す一作。Jovianは本作を観てMCUから離脱することができた。『 マーベルズ 』もかなり酷い出来らしいが、観ていないものは評価できない。カーン役のジョナサン・メジャースがクビになったことも本作=クソ映画の印象をより一層強めている。

 

次点

『 グランツーリスモ 』

やたらと世間の評価は高かったが、個人的にはクソ映画だった。主人公の成長よりもゲームと音楽のインフォマーシャルにしか感じられなかった。

 

次々点

『 MEG ザ・モンスターズ2 』

夏の風物詩とも言えるサメ映画だが、ジェイソン・ステイサムをもってしてもクソ映画はやはりクソ映画。飼育メグと野生メグの対決を描けばいいものを、恐竜だのタコだのの妙なクリーチャーを増やすからダメなのだ。

 

2023年国内クソ映画オブ・ザ・イヤー

『 火の鳥 エデンの花 』

手塚治虫の『 火の鳥 』のテーマは生命の壮大さと矮小さ。一寸の虫にも五分の魂と言うが、有限の命の中で懸命に生きて死んでいく様にドラマがある。その序盤のロミのドラマパートをバッサリとカットするというのは、もはや犯罪的な再解釈だと思うのだが、どうだろう。

 

次点

『 忌怪島 きかいじま 』

登場人物がどいつもこいつもアホすぎて話にならなかった。脚本が大学の映画同好会レベルだったのか、それとも現場で役者と監督がちょっとずつ微修正を重ねてこうなったのかは知る由もないが、いずれにしても痛々しいまでに低レベルだった。

 

次々点

『 聖闘士星矢 The Beginning 』

『 リボルバー・リリー 』との対決を僅差で制した本作をクソ映画オブ・ザ・イヤーの次々点に選出したい。とにかくクロスが原作と違い過ぎ、かつダサい上に、神話の世界観に完全に反するメカが次々と登場する展開に頭を抱えざるを得なかった。

 

2024年展望

2024年に楽しみにしている作品は何といっても『  オッペンハイマー』だ。日本の配給会社はどこにどう忖度して、本作を2023年中に公開できなかったのだろうか。MCU映画だと『 デッドプール3 』だけは少し期待している。邦画だと『 みなに幸あれ 』と『 一月の声に歓びを刻め 』の期待値が高い。

2023年はインド映画をあまり鑑賞できなかったので、2024年はパワフルなインド映画をもっと劇場で観たいと思う。またもはやトレーディングカード・ゲーマーの社交場と化した近所のTSUTAYAでDVDやBlu rayをレンタルしようと思う。時代はストリーミング全盛だが、古いビジネスにお付き合いする人間が少しぐらいはいてもいいではないか。

『 リバー、流れないでよ 』に触発されて久しぶりに聖地巡礼をしてみたが、2024年は映画ゆかりの地を訪れる機会を増やす年にしたいなと思う。

 

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Posted in 国内, 映画, 海外Leave a Comment on 2023年総括と2024年展望

『 きっと、それは愛じゃない 』 -結末以外はパーフェクト-

Posted on 2023年12月31日 by cool-jupiter

きっと、それは愛じゃない 75点
2023年12月29日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:リリー・ジェームズ シャザト・ラティフ
監督:シェカール・カプール

 

原題がティナ・ターナーの楽曲 “What’s Love Got To Do With It?” と同じ。主演が『 シンデレラ 』のリリー・ジェームズ、監督は『 エリザベス 』のシェカール・カプールということでチケット購入。

 

あらすじ

ドキュメンタリー作家のゾーイ(リリー・ジェームズ)は隣家の幼馴染カズ(シャザト・ラティフ)が見合い結婚すると聞き、その過程を映像に収めようと企画する。カズは両親や結婚相談所の仲介を経て、カズはトントン拍子に婚約者を見つけるが・・・

ポジティブ・サイド

これまたJovianの好物である「映画を作る映画」である。話のポイントはそこではないが、とにかく映像作品を作る過程を映像作品にするのは、単純に見ていて面白い。作り手の哲学や作劇に対する姿勢がそこによく表されると感じる。本作で言えば、白人の若い女性がドキュメンタリーを撮るというのは、老齢の有色人種の男性が娯楽作品を撮ることと対比される。宮崎駿がいつも少女をテーマにするようなもの。

 

パキスタンにルーツを持つイスラム教徒でありながら、生まれも育ちもイングランドで職業は腫瘍内科医という一種のエリートのカズが、両親の勧めに従ってパキスタンから嫁を取るというのはなんだか保守的に感じられるが、これは非常にリアルだと感じた。異人は異人であろうとすると喝破したのは赤坂憲雄だったっけか。日本でも(だいぶ薄まっているが)韓国人や中国人がコミュニティを作って独自の文化や伝統を保持しようとするのも同じ理屈。一方で、生粋のイングランド人のゾーイが自由恋愛をしたところ、引っかかるのはクズ男ばかりという対比も面白い。

 

スカイプで出会って、色々と話す中で婚約がまとまっていくが、いざ現地で花嫁とご対面となったときのギャップも現代的。異邦人として生きる者たちが伝統や文化の維持に尽力している一方で、本国の若者は西洋的な文化に触れまくったパリピになっているのは皮肉ではあるが、やっぱりリアル。普及したかに思えたテレワークが定着しなかったのは、こういうことが往々にして起こるからなのだろうなと感じた。実際、大学などで教えていても、オンライン授業よりも対面授業の方がはるかにやりやすい。

 

自由恋愛vsお見合い結婚、人種の違い、宗教の違いなどの描写を通じて、最終的には家族の再生の話につながっていく。家族には二通りある。自分がそこに生まれ落ちてくる家族。これは自分で選べない。もう一つは、自分で作り出す家族。これは自分で選ぶことができる。別に他人(親を含む)に選んでもらっても構わないわけだが、それも含めて家族は所与でも結婚は自分の選択だというのが本作の結論か。説教臭くならず、現代的なテーマをふんだんに盛り込んでいて、非常に見ごたえのある物語だった。

 

ネガティブ・サイド

ゾーイとカズの幼少期のシーンが欲しかった。二人が子供のころから仲良しで、しかし47番地と49番地には子どもには見えない壁があった、あるいはゾーイの目には見えない溝があったことを仄めかすシーンがあれば、終盤に生きたと思われる。

 

獣医のジェームズとゾーイの関係の終わらせ方が強引だった。ゾーイが子どもたちに語って聞かせる変調のおとぎ話をたまたま耳にするというのは都合が良すぎる。ゾーイの作品に映し出されるカズの姿から何かを感じ取って身を引く、というプロットを模索してほしかった。

 

総評

ティナ・ターナーの What’s Love Got To Do With It? の It は男と女が惹かれあうこと自体を指しているが、本作の It は arranged marriage または assisted marriage を指すのかな。キャリア志向の女性が本作を鑑賞するとビミョーに感じてしまう恐れはあるが、結婚なんてものは突きつければ赤の他人と一緒になること。つまりは最もベーシックな意味での異文化共生なのだ。それが本作のテーマなのだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

good enough

文脈にもよるが「充分に良い」という意味と「まあ、こんなもんだろ」という意味がある。劇中でゾーイがとある男性を評して good enough を使うが、結婚相手に perfect を求めるのはいかがなものか。実際は good enough で満足すべきなのではと思う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 雑魚どもよ、大志を抱け! 』
『 ゴーストワールド 』
『 ブルーバック あの海を見ていた 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, イギリス, シャザト・ラティフ, ラブ・ロマンス, リリー・ジェームズ, 監督:シェカール・カプール, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 きっと、それは愛じゃない 』 -結末以外はパーフェクト-

『 TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 』 -ホラーというよりはオカルト-

Posted on 2023年12月29日2023年12月29日 by cool-jupiter

TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 65点
2023年12月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ソフィー・ワイルド
監督:ダニー・フィリッポウ マイケル・フィリッポウ

今年の夏の時点で Impression Blend の Marianna が大絶賛していたのでチケットを購入。

 

あらすじ

ミア(ソフィー・ワイルド)は母を亡くしてふさぎこんでいた。しかし、友人たちが降霊を可能にする手を使って、霊にあえて憑りつかれるという遊びに興じる中、ミアもそれを体験し、その面白さにハマっていく。皆がエスカレートしていく中、そこにミアの母の霊が現れて・・・

ポジティブ・サイド

憑依現象というのは恐怖体験のはずだが、それをエンタメにしてしまっているところが現代風というか、Z世代らしいというか、とにかくそこは非常にユニークだと感じた。ちょっとしたきっかけで霊が見えるというのは『 さんかく窓の外側は夜 』のような作品があるように、それ自体は珍しくはない。しかし、クスリでトリップする代わりに霊でトリップするぜ!というのは斬新だ。

 

さらにそこに知っている人の霊、もっと言えば主人公の母親の霊が出てくるというのも、なかなか面白い。はっきり言ってミアの行動は幼稚すぎて周囲の理解を得られるものではないが、そのあたりのおかしな行動が母親への執着という点から説明されていて、説得力がある。

 

正体不明の霊というよりも、霊の言動が奇怪という意味では本作はどちらかと言うとホラーよりもオカルト寄りかな。また霊に憑りつかれたライリーという少年が見ていて文字通りの意味で痛々しい。個人的に最も恐怖を覚えたのはライリー少年の果てしない自傷行為のシーンか。フォーリー・アーティストは good job をしたと思う。

 

主人公ミアを演じたソフィー・ワイルドは、ひょっとすると『 ゲット・アウト 』でブレイク(その前からちょこちょこ色んな作品には出演していたが)したダニエル・カルーヤのように、大袈裟な演技をナチュラルだと感じさせる力で今後一気に売れてくるかもしれない。

 

本作はロングのワン・カットが多用されていて、演じる側としてはなかなかチャレンジングだったのではないか。また腕の良いメイクアップ・アーティストも手配できていたと思う。双子の監督はYouTube作家らしいが、ウォシャウスキー兄弟(現姉妹)のようになれるか。

 

ネガティブ・サイド

主人公以外のキャラが生煮えというか、もう少し深堀りしてほしかった。とくにダケットの兄貴。唐突に再登場して、唐突に消えていったように感じられた。

 

憑依でトリップしているところを撮影して social media にアップしていたりするが、これが親の目に触れないのは不自然では?ジェイドやライリーの母親は近隣からせっせと情報を仕入れているが、SNSはチェックしないのか。あるいはオーストラリアの親御さんはネットにはまったくもって疎いのか。あんな変なオブジェで遊んでいるティーンの動画など、あっという間に拡散されて、大人にも気付かれてしまいそうなものだが。

 

映画を見慣れた人なら途中で結末は読めるはず。途中で「これは『 ラザロ・エフェクト 』ルートでは?」と感じた人は多いはず。実際にそっくりだった。最近の映画だと『 リゾートバイト 』の結末ともそっくり。正直なところ、面白いのは面白いが、Impression Blend や Deepfocuslens が大絶賛するのは、なんらかの力が作用しているようにすら思える。

 

総評

アメリカの多くの reviewer が大絶賛しているが、そこまで傑作かなあ?恐怖を感じるというよりもオカルト的なおどろおどろしさを楽しむ映画であるように思う。『 呪怨 』よりも『 CURE 』の方が面白いと感じる向きなら、本作を堪能できると思われる。傑作ではないが佳作であることは間違いないので、オカルト好きはチケットを購入されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

put something away

~を片づける、の意味。冒頭のパーティーでダケットを連れ帰ろうとする兄が、スマホのカメラを向けてくる連中に Put your phones away! = ケータイをしまえ!と一喝するシーンが印象的だった。put ~ away は日常生活でバンバン使うのでぜひ知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 雑魚どもよ、大志を抱け! 』
『 きっと、それは愛じゃない 』
『 ゴーストワールド 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, オーストラリア, オカルト, ソフィー・ワイルド, ホラー, 監督:ダニー・フィリッポウ, 監督:マイケル・フィリッポウ, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 』 -ホラーというよりはオカルト-

『 ナポレオン 』 -人間ナポレオンに迫る-

Posted on 2023年12月27日2023年12月28日 by cool-jupiter

ナポレオン 70点
2023年12月23日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ホアキン・フェニックス ヴァネッサ・カービー
監督:リドリー・スコット

簡易レビュー。

 

あらすじ

砲兵長ナポレオン(ホアキン・フェニックス)は英国軍の撃退などで軍人として昇進していく。その中で未亡人のジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)と出会い、結婚する。戦争の中で頭角を現し、出世を重ねるナポレオンだが、ジョゼフィーヌの浮気が判明して・・・

ポジティブ・サイド

大学時代にフランス人、ドイツ人と一緒に暮らしていた時、ドイツ人が冗談めかして「ヒトラーさえいなかったら、ヨーロッパの嫌われ者はナポレオンを生んだフランスだったのに」と言ったところ、フランス人が「だろうな」と応じたことがあった。本作を見れば、ナポレオンがいかにヨーロッパ中で戦争していたのかが分かる。

 

その一方で、本作が本当に描き出したかったのは、英雄や悪魔としてのナポレオンではなく、一人の男性としてのナポレオン。もっと言えば、女に弱いナポレオン。英雄色を好むと言われるが、ナポレオンも例外ではない。一方で、意外なほどにジョゼフィーヌ一筋で、ヨーロッパ史にまあまあ詳しいJovianも知らないエピソードがあって面白かった。

 

『 her 世界でひとつの彼女 』や『 ジョーカー 』で隙のある男というか、今風に言えば弱者男性を演じたホアキン・フェニックスが、稀代の快男児のナポレオンを演じるとともに、どこまでジョゼフィーヌに執着するキモ男も同時に好演。これは配役の勝利。個人的にはウェリントン卿がイメージそのままで、クライマックスのワーテルローの戦いは非常に楽しめた。もう一つの見どころは戴冠式。ルイ・ダヴィッドも一瞬だけ映る。

 

『 最後の決闘裁判 』には及ばないが、人間、就中、男と女の真実(≠事実)を明らかにせんとするリドリー・スコットの哲学が開陳された一作。

 

ネガティブ・サイド

トラファルガーの海戦がスルーされたのは何故?もちろん撮影はしたのだろうが、ここをバッサリと切ってしまうと「英国は海戦は知っていても陸戦は知らない」というナポレオンの言葉に説得力がなかったように思う。

 

今でこそロシアとウクライナが戦争していたり、イスラエルとパレスチナが戦争していたりして、為政者が戦争を起こす、あるいは国民が戦争を強く支持してしまうという構図があるので、本作の社会的意義も見出せるが、それがなければ単なるエンタメ作品では?というと、エンタメとしてはちょっと弱い気がする。戦争シーンに迫力はあるが、大砲で人がバタバタ倒れていくシーンには迫真性はなかった。『 プライベート・ライアン 』とは言わないが、『 エイリアン 』並みのグロ描写があっても良かったのでは?最初の馬のシーンで期待をさせておいて、えらく尻すぼみだなと感じられた。

 

総評

ヨーロッパ史にある程度の造詣がないと鑑賞はお勧めできない。逆に言えばナポレオンおよびその周辺の歴史をある程度知っているなら楽しめる。また人間としてのナポレオンに注目するのだと割り切って鑑賞するのもありだろう。そんな向きはいないと思うが、デートムービーにするのは禁物である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a close-run thing

「紙一重の出来事」の意。劇中では使われなかったが、ウェリントン卿がワーテルローの戦いの後に言ったとされる言葉。ただし、実際は a damn nice thing もしくは the nearest-run thing が正しい言葉だとも言われる。ナポレオンの「吾輩の辞書云々」と同じで、一種の伝説のようなもの。同僚ブリティッシュによると British Englishでは今日でも使われるとのこと。危機一髪の状況をなんとか生き残ったら、That was a close-run thing. と表現してみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 』
『 PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ 』
『 きっと、それは愛じゃない 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, ヴァネッサ・カービー, ホアキン・フェニックス, 伝記, 歴史, 監督:リドリー・スコット, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 ナポレオン 』 -人間ナポレオンに迫る-

『 エクソシスト 信じる者 』 -ホラーというよりは人間ドラマ-

Posted on 2023年12月12日 by cool-jupiter

エクソシスト 信じる者 60点
2023年12月9日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:レスリー・オドム・Jr. リディア・ジュエット アン・ダウド エレン・バースティン
監督:デビッド・ゴードン・グリーン

 

傑作『 エクソシスト 』の続編ということでチケット購入。

あらすじ

娘のアンジェラ(リディア・ジュエット)が友達と二人で宿題をすると言ったが帰ってこない。調べたところ、二人は森に入っていた。父ビクター(レスリー・オドム・Jr)は懸命に娘を探すが見当たらない。二人は3日後にとある牧場の納屋で見つかるも、その間の記憶がない。それどころか、不可解な現象がビクターの身の回りで起こり始めて・・・

ポジティブ・サイド

母と娘の絆の戦いが、本作では父と娘の絆の戦いになっている。その父ビクターを演じるレスリー・オドム・Jr.が印象的。どこかで観たと思ったら『 ハリエット 』でウィリアム・スティルを演じていたのか。優しさと厳しさを同居させた、まさにアメリカ的な positive male figure で、男性というジェンダーの特徴をうまい具合に体現しているなと感じた。また、そのことが悪魔憑きの(間接的な)原因になっているのは上手いと感じた。

 

娘のアンジェラも純粋無垢な少女が悪魔に憑りつかれて変貌していく様は結構怖い。失禁から始まって、痙攣に至るまでがリアル。アンジェラが徐々に体のコントロールを失っていくという経過を巧みに描いている。

 

究極的には白人の母娘とカトリックの神父のストーリーだった前作とは違い、今作は各地のエクソシストの混合チームを結成。その過程で、意地悪に思えた隣人が加入してくる経緯がユニーク。また、前作の母親クリス・マクニールが同役で再登場。彼女のもとに車でビクターが向かうシーンで流れる Tubular Bells が個人的には本作のピークだった。

 

悪魔祓いの儀式前に「え?」という展開で唖然とさせられる。そして満を持して登場した神父が『 エクソシスト 』で最も有名なシーンを再現。このシーンが最もホラーらしかった。

 

ネガティブ・サイド

ジャンプ・スケアが多過ぎ。特に序盤。こけおどしの演出でびっくりさせるのではなく、観る側の恐怖心を刺激するような演出をしてほしい。夏恒例の糞ホラーではなく『 エクソシスト 』の続編なのに。

 

学校の授業で心霊云々のビデオを鑑賞するものだろうか。普通に子供たちが自宅のPCでそれっぽいYouTubeを観るのではダメだったのだろうか。PCにグリッチが走る場面が序盤にもあったことだし。

 

憑依された子供たちの演技は見事だったものの、結末は拍子抜けかな。というか前作を意識しすぎているよう思う。「どうせ上回るものが作れないなら、前作と似たような作りにしてしまえ」的な姿勢が監督から感じられた。それは創作活動の姿勢としては評価するのは難しい。

 

娘リーガンと母クリスの再会はちょっと蛇足だったかな。

 

総評

『 エクソシスト 』の続編。前作を観ていなくても鑑賞は可能。直接的なつながりは少しだけしかないが、色々とオマージュがあるので、できれば予習を推奨する。本作は一義的にはホラーではなくヒューマンドラマ。チケット購入に際しては、このことを承知しておきたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

seance 

『 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 』や『 ズーム/見えない参加者 』などでもおなじみの「交霊会」の意。TOEFL iBT110やIELTS8.5を目指すような人でも知っている意味はない。ただ、オカルトやホラーが好き、かつ英語にも興味がある(この語はもともとはフランス語だが)という向きなら、教養の一環として知っておいていいかもしれない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 市子 』
『 PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ 』
『 怪物の木こり 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アン・ダウド, エレン・バースティン, ヒューマンドラマ, ホラー, リディア・ジュエット, レスリー・オドム・Jr., 監督:デビッド・ゴードン・グリーン, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 エクソシスト 信じる者 』 -ホラーというよりは人間ドラマ-

『 デシベル 』 -看板・ポスターはネタバレだらけ-

Posted on 2023年11月22日 by cool-jupiter

デシベル 65点
2023年11月18日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:キム・レウォン
監督:ファン・イノ

 

韓国映画お得意のサスペンスものということでチケット購入。

あらすじ

とある家に爆弾が届けられ爆発。そのニュースを知った潜水艦の元副長カン・ドヨン(キム・レウォン)のもとに犯人からの電話が入る。次のターゲットがサッカースタジアムだが、そこに仕掛けられた爆弾は一定以上の音量に反応すると起爆までの時間が半減するというもので・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭の潜水艦シーンは『 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 』そっくり。もちろん真似たわけではないだろうが、韓国映画はハリウッド映画的な文法を忠実に実行することがある。この時点で期待が盛り上がってきた。

 

一年後、謎の爆破事件が勃発。そこから元副長のカン・ドヨンの苦闘が始まる。途中でなし崩し的に仲間になる記者のオ・デオがめちゃくちゃ良い奴。韓国映画界には味のある三枚目がよく出てくるが、彼もそんな感じ。コミックリリーフが存在するおかげで、そのコントラストとしての爆弾テロリストの恐怖が倍増している。

 

一定以上のデシベルを感知すると爆弾のカウントダウンの残り時間が半減するというのはなかなか怖い。日常の街中の声や音がそのまま凶器と化すからだ。潜水艦の隠密性も音を出さないことから得られるので、潜水艦乗りのカン・ドヨンが音に苛まれるのは観ていて本当に痛々しかった。

 

謎の爆弾魔が犯行に及ぶ動機が明らかになるにつれ、サスペンスが盛り上がる。真相を知ったところから、さらにもう一歩踏み込んでその深層部分を非常に硬質なドラマとして見せつけてくる。ストーリーはカン・ドヨンの家族をも巻き込んで進む。奥さんと娘がとことん追いつめられる本作だが、逆に新しい家族観を提示したとも言える。記者オ・デオが最終盤に放つ質問に対するドヨンの答えは、その場では語られない。しかし、彼の思いが最後の最後に回想される。子曰く「過ちて改めざる、是を過ちと謂う」。人間、ドヨンのように強く生きねばならんなと思わされた。

 

ネガティブ・サイド

爆弾が絡むシークエンスはすべて緊張感がみなぎっているが、終盤の肉弾アクションになると急にクオリティが低下する。細かいカットの連発で、ここはもっと頑張れただろうと思う。軍人同士の格闘戦で、韓国の成人男性のほとんどが兵役経験者ということを考えれば、もっと攻めた演出を監督には施してほしかった。

 

明らかに無関係な一般人をも巻き込むような爆弾設置は、犯人の思想信条上どうだろうか。カン・ドヨンの関係者を徹底的に排除しようとする方が、彼の失ったものとのバランスがとれていると思うのだが。

 

最後に、これは映画の中身とは関係ないが、一言だけ。なんで日本の配給会社や宣伝会社は販促物で盛大なネタバレをかますの?パネルのビジュアルが全部ネタバレしているではないか。のみならず、某映画情報サイトもキャラクター紹介欄でネタバレをかます始末。いや、本作はミステリではないが、だからといってサイトや販促物でネタバレをしていい理由は一つもない。日本の宣伝・配給会社にはもう少し考えてほしいものだ。

 

総評

韓国映画らしいサスペンス。警察をとことんコケにすることに定評がある韓国映画界だが、本作では軍上層部の怠慢や無責任さも堂々と批判している。潜水艦ものだと本邦では『 沈黙の艦隊 』が上映中だが、自衛隊は映画製作にきょぅ力してくれるもので、映画によって批判される対象ではない。それが良いかどうかはさておき、政治や軍事、司法を容赦なくエンタメの形で批判する韓国映画と日本映画のコントラストがここにも見て取れる。単なるサスペンスとしてもなかなかの面白さ。『  白鯨との闘い 』的なサスペンスも楽しめる。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヨボ

配偶者への呼びかけに使われる。男女どちらが使っても良い。日本語にすると「あなた」や「ねえ」あたりになるだろうか。ドラマでもしょっちゅう聞こえるし、なんなら日本人・韓国人の夫婦YouTuberもよく使っている。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 月 』
『 花腐し 』
『 首 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, キム・レウォン, サスペンス, 監督:ファン・イノ, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 デシベル 』 -看板・ポスターはネタバレだらけ-

『 INFINI インフィニ 』 -古今のSFとホラーのパッチワーク-

Posted on 2023年11月18日 by cool-jupiter

INFINI インフィニ 30点
2023年11月16日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ダニエル・マクファーソン
監督:シェーン・アベス

 

近所のTSUTAYAで、いかにもC級SFという本作を見かけて、ついつい借りてしまった。予想通り、オリジナリティの欠片もない作品だった。

あらすじ

23世紀。地球は荒廃し、人口の95%は貧困層になり、スリップストリームという瞬間移動技術によって他の惑星に趣き、過酷な環境で働くことを余儀なくされていた。ある時、辺境の惑星でウイット・カーマイケル(ダニエル・マクファーソン)を残して部隊が全滅。スリップストリームで救助に向かった部隊が目にしたのは、奇妙な死体の数々だった・・・

 

ポジティブ・サイド

特殊メイクは結構頑張っている。血と汗と油と埃にまみれた男たちの姿が印象的だった。役者が発狂するシーンが多く、まるで韓国映画のよう。これは褒めている。オーストラリア人の演技へのアプローチはハリウッドとはちょっと異なっているようで、そこが面白い。

 

オーストラリアは元々はイギリスの流刑地だったという歴史を背景に本作を鑑賞すれば、流れ着いた先がどこであれ、そこで逞しく生きていくというオーストラリア人の矜持が見て取れる。

 

ネガティブ・サイド

まるで古今東西のSFスリラーのごった煮的な作品。約2時間の作品だが、体感ではその半分近くのシーンで「ああ、これ〇〇で観たわ」と感じてしまった。本格的なSF映画ファンなら、本作の7~8割のシーンに既視感を覚えるのではないだろうか。

 

パッと思い浮かぶのは『 エイリアン 』に『 遊星からの物体X 』。体内から何かが出てきたことを思わせる遺体となると、どうしても思い起こさずにはいられない。スリップストリームのアイデアは『 スタートレック 』の転送装置そのまんま。そしてスリップストリームする際に生じる顔面ブルブルは『 マトリックス 』から借りてきた演出。終盤の映像と展開も『 アビス 』と『 スフィア 』とそっくり。他にも『 サンシャイン2057 』や『 イベント・ホライゾン 』、また数多くのゾンビ映画、ウィルス蔓延型パニック映画のタイトルがたくさん脳裏に浮かんできた。とてもオマージュでは済まされない量で、正直なところ中盤以降はかなり眠気と格闘していた。

 

総評

典型的な a rainy day DVD だろうか。配信サービスで無料だったら、手持ち無沙汰の雨の日にのんびり鑑賞するぐらいがちょうどいい。そのうちあなたの知らないワゴンセールの世界様で紹介されるのではないだろうかと予測している。つまりはそういう作品であるということである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Identify yourself.

しばしば Who are you? とセットで発話される。主に軍人さんが使うイメージ。直訳すれば「自分の身元を明らかにしろ」ということだが、これに対する反応はほとんどの場合、名前、所属部隊、階級であることが多い。映画だと他には警察が使うぐらいか。しかし、ほとんどの場合は軍人が使うと思っていい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 月 』
『 デシベル 』
『 花腐し 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, E Rank, SF, オーストラリア, シェーン・アベス, ダニエル・マクファーソン, 配給会社:カルチュア・パブリッシャーズLeave a Comment on 『 INFINI インフィニ 』 -古今のSFとホラーのパッチワーク-

『 ドミノ 』 ーThe less you know, the betterー

Posted on 2023年11月6日2023年11月6日 by cool-jupiter

ドミノ 65点
2023年11月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ベン・アフレック ウィリアム・フィクナー アリシー・ブラガ
監督:ロバート・ロドリゲス

 

本作に関しては、極力何の事前情報も入れずに鑑賞するのが吉である。それにしても『 リゾートバイト 』でも感じたが、日本の配給会社、提供会社はもうちょっと宣伝文句を控えめにできないものか。

あらすじ

娘を誘拐された心の傷を持つ刑事ローク(ベン・アフレック)のもとに、銀行強盗のタレコミが入る。現場で犯人が狙う貸金庫の中からロークは娘の写真と謎のメッセージを発見する。犯人は警察官を操り、屋上から飛び降りて姿を消した。捜査を進めるロークは、謎の占い師ダイアナ(アリシー・ブラガ)から、人間を操るヒプノティックの存在を知らされ・・・

ポジティブ・サイド

本作はアクション映画の大家ロバート・ロドリゲスの新境地かもしれない。『 アリータ バトル・エンジェル 』などで驚きのアクション・シークエンスを演出してきた彼が、今作ではミステリー、サスペンス、スリラーの要素を前面に打ち出してきた。原題の Hypnotic とは「催眠にかかっている」の意。動詞の hypnotize は『 この子は邪悪 』で紹介しているので、興味のある向きは参照されたい。 

 

ベン・アフレックが傷心の刑事を好演しているが、やはりトレイラーから存在感抜群だったウィリアム・フィクナー演じる謎の術師が素晴らしい。キリアン・マーフィーもそうだが、見た目からしてただならぬ妖気というかオーラがあり、一筋縄ではいかないキャラであることが一目でわかる。

 

捜査中に知り合った謎の女ダイアナと共に、謎の催眠術師レヴ・デルレーンを追いかけ、また追いかけられるという中盤の展開はスリリング。しかし、相手は他人に「別の世界」を知覚させてしまう術師。襲い来る群衆に、味方でさえも信用できない状況。緊迫感を煽るBGMと共にサスペンスが盛り上がる。

 

中盤に「ほほう」という展開がやってくる。細かいネタバレはご法度だが、本作は一種の記憶喪失もの。タイムトラベルものと記憶喪失ものは序盤から中盤にかけては絶対に面白い・・・のだが、逆に終盤に尻すぼみになってしまうことがほとんど。本作は、そこにさらにもう一捻り二捻りを加えてきたところが秀逸。細かくは言えないが、1990年代の小説『 NIGHT HEAD 』の某敵キャラがヒントである。

 

94分とコンパクトながら、様々なアイデアを巧みに盛り込み、それでも消化不良を起こさせない脚本はお見事。後半の怒涛の伏線回収は作劇術のお手本と言えるかもしれない。

 

ネガティブ・サイド

映像は確かに凄いが、街がグニャリと折れ曲がっていく光景は『 インセプション 』や『 ドクター・ストレンジ 』で見た。二番煎じは不要である。

 

また催眠術が効かない人間が一定数出るのは、感染パニックもので一定数最初から免疫を持つ者がいるのと同じ。それが特定のキャラクターとなると、どうしても「ははーん、つまりコイツはあれだな」と簡単に邪推できてしまう。もう少し捻りが必要だったろう。感染ものではないが『 トータル・リコール 』などともそっくりだ。

 

ダイアナという能力者が主人公に協力しつつも、敵であるデルレーンが自分よりも強力な能力者で尻込みしながらも何とか抵抗していくというのは『 ブレイン・ゲーム 』にそっくり。ということは「この先に何かあるよね?」と疑うのは理の当然。どんでん返しというのは、予想もしないところからひっくり返す、あるいは予想していた以上にひっくり返すことが求められるが、本作に関しては予想の範囲内だったという印象。

 

総評

どんでん返しがあると思って観てはいけない。本作を楽しむ最大のポイントは公式ホームページなども含めて、事前の情報を極力避けることにある。ということは、こんなレビューを読んでいる時点でアウトである。観るならサッサとチケットを買う。観ないのなら別の映画のチケットを買う。それだけのことである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

construct

ここで紹介したいのは「建築する」「構築する」という動詞ではなく「心理的構成物」という名詞の意味。『 マトリックス 』でエージェント・スミスがネオに向かって戦う意味を ”Is it freedom or truth?! Perhaps peace?! Could it be for love?! Illusions, Mr. Anderson, vagaries of perception! Temporary constructs of a feeble human intellect trying desperately to justify an existence that is without meaning or purpose!” のように問うシーンでも使われている。心理学や哲学を勉強している、あるいは英検1級やTOEFL iBT100、IELTS7.5を目指す人なら知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 月 』
『 トンソン荘事件の記録 』
『 火の鳥 エデンの花 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アリシー・ブラガ, ウィリアム・フィクナー, スリラー, ベン・アフレック, 監督:ロバート・ロドリゲス, 配給会社:ギャガ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ドミノ 』 ーThe less you know, the betterー

『 ザ・クリエイター/創造者 』 -イデオロギーではなくテクノロジーを見せろ-

Posted on 2023年10月23日 by cool-jupiter

ザ・クリエイター/創造者 40点
2023年10月22日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ジョン・デビッド・ワシントン マデリン・ユナ・ボイルズ ジェマ・チェン 渡辺謙
監督:ギャレス・エドワーズ

 

AIが現実の仕事や学問に巨大なインパクトを与え始めている中でタイムリーな作品が公開されたと思い、チケット購入。

あらすじ

2055年、LAでAIによる核爆発が勃発。以降、アメリカはAIを排除することを決定。ニューアジア共和国に潜伏する謎のAI開発者ニルマータを捉えるために、潜入捜査官のジョシュア(ジョン・デビッド・ワシントン)は組織の女性マヤ(ジェマ・チャン)に近づき、夫婦となるが・・・

以下、軽微なネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

日本国内でもChatGPTを禁止する大学(上智など)が出てくるなど、大学レベルですらAIに対する対応が割れるのだから、国家となると尚更のはず。中国がGoogleを遮断したりするという実例もある。本作は冒頭からロボットの発達とそこにAIが搭載されて・・・という歴史の if をダイジェストで見せてくれるが、まさに近現代のテクノロジー史の一端を見せられているようで興味深かった。このイントロがあるからこそ、ある意味荒唐無稽もいいところのメインプロットに説得力が生まれている。

 

舞台がアメリカ国外というのも良い。これまでアメリカ映画におけるアメリカ=全世界的な価値観を、本作は踏襲していない。ゾンビ映画でもモンスター・パニックでもパンデミックものでも、アメリカ=世界という等式が成り立つことがほとんどだったが、AIを拒否するアメリカとAIと共存するニューアジア共和国という対比は新鮮だった。

 

こんな感想を抱いたのはごく少数だと思うが、Jovianは途中からジョシュアがモハメド・アリに見えてきた。本作を楽しむ鍵は、ジョシュアにどれだけ感情移入できるかにあると思う。まあ、マイノリティーの意見・感想です。

ネガティブ・サイド

全体的に意外性がない。死んだと思ったヒロインが実は生きていた、というのは開始10分で分かること。要はそこにたどり着くまでの過程を以下に予想外のものにするかにあるのだが、全体的な世界観が『 ターミネーター 』および『 ターミネーター2 』の裏返しだと感じたし、人間側(というかアメリカ人)の感性も『 アイ、ロボット 』そっくり。結局は技術革新の裏で常に進行するラダイト運動のSF版という感じ。ノマドの外観および内部のデザインやレイアウトも『 エリジウム 』や『 スター・ウォーズ ローグ・ワン 』のビジュアルに酷似している。後者の方は監督が同じだからある意味で当然か。最も意外であるべき、ジョシュアが何故ミッションである最終兵器の破壊ではなく保護を選んだのかという理由についても、『 ブレードランナー2049 』が先行している。

 

舞台のニューアジア共和国というのがハッキリしない。我らが渡辺謙が登場し、やたらと日本語も聞こえてくるから日本?景色からしてラオス、カンボジア、ベトナム?ノマドを見ていると、どうもベトナム戦争時の民間人へのナパーム攻撃を想起させる点からして、やっぱりベトナム?だとするとAIは共産主義?そして最終的に勝利を収めるのも共産主義?イデオロギー的な背景など無しに、純粋にテクノロジーを受容するのか、拒絶するのかというストーリーの方がシンプルで、よりエンターテインメント性を追求できたのではないかと思う。

 

ところで・・・21世紀も半分を大きく過ぎているにもかかわらず、ニューアジア共和国は20世紀半ばの東南アジアのように見えるのは何故なのか?AIやロボットと共存している国家の生活水準があんなに低いはずがないと思うのだが。ただギャレス・エドワーズ監督は『 GODZILLA ゴジラ 』でジャンジラなる珍妙な日本を描いた前科があるからなあ・・・ アジアに対して正しい知識やリスペクトを持っていないように感じられて仕方がなかった。

 

総評

面白いのは面白いのだが、全編どこかで見た構図のパッチワーク。渡辺謙のAIロボも、どこか浮いていた。家族や愛の物語で締め括るのは『 インターステラー 』と同じ。壮大な世代交代のストーリーが、えらく小ぢんまりとまとまってしまったという印象。テクノロジーの話ではなくイデオロギーの話なので、鑑賞するかどうかは自分の嗜好をよくよく確かめて検討すること。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

turn the tide 

「流れを変える」の意。劇中では turn the tide of the war = 戦争を逆転させるのように使われていたと記憶している。日常だと

 

He mentioned the critical evidence and turned the tide of the debate.
彼は決定的なエビデンスに言及して、ディベートの流れを変えた。

 

The sales rep turned the tide of the negotiation by offering the client a big discount.
営業担当は顧客に大幅値引きを提供することで交渉の流れを変えた。

 

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 オクス駅お化け 』
『 リゾート・バイト 』
『 月 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SF, アメリカ, ジェマ・チェン, ジョン・デビッド・ワシントン, マデリン・ユナ・ボイルズ, 渡辺謙, 監督:ギャレス・エドワーズ, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 ザ・クリエイター/創造者 』 -イデオロギーではなくテクノロジーを見せろ-

『 ハント 』 -北のスパイを突き止めろ-

Posted on 2023年10月5日 by cool-jupiter

ハント 75点
2023年10月1日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イ・ジョンジェ チョン・ウソン
監督:イ・ジョンジェ

 

簡易レビュー。

あらすじ

1980年代。安全企画部の海外班長パク・ピョンホ(イ・ジョンジェ)と国内班長キム・ジョンド(チョン・ウソン)は、機密情報が北朝鮮に漏洩していることを知る。そして組織内にスパイがいると告げられる。パクとキムは互いのチームを探り始めるが・・・

ポジティブ・サイド

1983年という、韓国民主化前夜の時代。その3年前に「光州事件」という、韓国版の天安門事件とも言うべき事態が引き起こされており、アメリカ系韓国人が韓国大統領の訪米に対して抗議のデモを起こすところから物語が始まる。

 

そこで勃発する要人暗殺未遂事件。パクとキムの二人は反目しあいながらも事件を解決。しかし謎のスパイ「トンニム」によって次々に機密情報が漏洩。一息つく暇もなく、二人はトンニムの追跡に乗り出すが成果なし。このあたりの展開の疾走感がたまらない。元々浅からぬ因縁のある二人だが、その過去の語られ方がめちゃくちゃ。まるで昭和の任侠映画のよう。というか時代背景的に昭和か。

 

二人のスペシャリストの対決は、それこそハリウッドでは撮り尽くされた印象があるが、そこに北朝鮮というファクターを混ぜるだけでサスペンスとミステリのレベルが一段上がる。トンニムとは誰か?パクとキムの捜査と虚々実々の駆け引きにぐいぐいと引き込まれる。本作が上手いのは、トンニム探しをゴールとするのではなく、そこから先に更なるクライマックスを持ってくるところ。冷酷非情な諜報員と情に厚い面を併せ持つ二人の男の極限の対決の結末には茫然自失。

 

韓国のみならずアメリカ、日本やタイをも破壊しつくす気か?と思わせる作品。と思いきや、撮影はすべて韓国内で完結したとのこと。国策で映画を作っている国は違いますなあ・・・

 

ネガティブ・サイド

全編を通じてまさにストーリーが疾走するが、説明不足の感も否めない。特に韓国近現代史の知識がある程度ないと、キム班長の苦悩の回想シーンの意味を理解できないだろう。当時の韓国の置かれていた政治的状況をもう少し上手く物語の展開の中で自然に説明できなかっただろうか(Jovian妻はここでつまずいていた)。

 

最終盤の怒涛の展開の中で、韓国の政府組織はどれだけ北朝鮮スパイに跳梁跋扈を許しているのか?というシーンがある。ここだけは、ちょっと北朝鮮の脅威を過大に描き過ぎだと感じた。

 

総評

こりゃまた血生臭い韓国映画。血の臭いだけではなく、男臭さもムンムンと漂ってくる。『 ビースト 』や『 ただ悪より救いたまえ 』といった、男二匹の対決をテーマにした作品が好きだという向きはチケット購入をためらってはならない。そうそう、中盤に思わぬ大スターが出演して、ケレンミたっぷりの演技を見せてくれる。これは嬉しい不意打ちである。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

インミン

劇中で突如登場する大物俳優がこの言葉を何度も口にする。意味は「人民」である。「人民のため」などと為政者が口にする時は、だいたい嘘をついている時だと思っていい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ほつれる 』
『 まなみ100% 』
『 オクス駅お化け 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, イ・ジョンジェ, チョン・ウソン, 監督:イ・ジョンジェ, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 ハント 』 -北のスパイを突き止めろ-

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