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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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カテゴリー: 国内

『 怪物 』 -視点によっては誰もが怪物-

Posted on 2023年6月7日 by cool-jupiter

怪物 75点
2023年6月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太
監督:是枝裕和

 

簡易レビュー。

 

あらすじ

シングルマザーの早織(安藤サクラ)は一人息子の湊(黒川想矢)が、学校の教師にいじめられていると感じ、学校に抗議に出向く。しかし、校長やその他の教師、当事者の保利(永山瑛太)は形式的な謝罪を繰り返すばかりで・・・

 

ポジティブ・サイド

モンスターペアレントという言葉があるが、小中校だけではなく大学でもたまに出てくるから始末に困る。普通、成績の疑義照会というのは学生本人が申請してくるものだが、そこに親が乗り込んできて「こっちは授業料を払ってるんだ!」と主張する。学校や授業を委託された弊社としては粛々とこれはこうであれはああで・・・と対応するしかないが、そもそも親が出てきている時点で納得するはずがない。普通なら親が我が子を叱り飛ばして終わりなのだが、そうならなかった時点でモンペ確定である。

 

夏でもかたくなに長袖を着続ける。教室内でもバンダナや帽子を取らない。講師と目を合わせられない。ペアワークもできない。要配慮学生というのは学校から通知があるからすぐに分かるが、それ以外の教室で授業をしてみて「ん?何だこの子は?」という学生もたまにいる。Jovianは本作を観ていて、自分の授業風景を思い出した。最初から保利先生側で本作を観てしまった。こういう鑑賞者はかなりマイノリティなのではないかと思う。

 

湊と依里の淡い友情、その関係の発展、そして結末。そうしたものすべてを明示しない。ある意味で、観る側に解釈を委ねる、あるいは突きつけると言ってもいいかもしれない。それを心地よいと感じるか、不快に感じるか。それはその人の持つ人間関係の濃さ(あるいは薄さ)によって決まるのかもしれない。



ネガティブ・サイド

一番最初のシーンはばっさりカットしても良かったのでは?冒頭のとある出来事とそれを見つめるキャラクターたちを意識することによって、誰が何に関わっていて、逆に誰が何に関わっていないのかを徐々に明らかにしていく構成だが、最初の部分をトイレに行って見逃したJovian妻と鑑賞後にあれこれ語り合ったところ、Jovian妻の方が明らかに物語の謎に引き込まれ、楽しんでいた。

 

校長も湊を相手に自白する必要はなかったように思う。スーパーでのさりげない行為だけで、キャラクターがどういったものかが十全に分かる。

 

総評

非常に複雑な映画。世の中は白と黒にきれいに分けられる訳ではない。わが師の並木浩一と奥泉光風に言えば「現実は多層である」になるだろうか。人間関係は傍目から見ても分からない。教師と生徒でも、親と子でも、分からない時には分からない。そうした現実の複雑さと、一種の美しさや清々しさを描いた非常に複雑で上質な作品。親子や夫婦で鑑賞すべし。人の見方とはかくも難しい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

fix

依里の父親が依里に「俺がお前を治して(直して)やる」と言うが、これを英訳すれば I will fix you. となるだろうか。fix は色々なものを直す/治すのに使えるが、これには性格や性質も含まれる。英語の映画やドラマでは時々 “Fix your character!” =「その性格を直せよ!」という台詞が聞こえてくる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 The Witch 魔女 増殖 』
『 65 シックスティ・ファイブ 』
『 アムリタの饗宴/アラーニェの虫籠 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, サスペンス, ヒューマンドラマ, 安藤サクラ, 日本, 柊陽太, 永山瑛太, 監督:是枝裕和, 配給会社:ギャガ, 配給会社:東宝, 黒川想矢Leave a Comment on 『 怪物 』 -視点によっては誰もが怪物-

『 最後まで行く(2023) 』 -リメイク成功-

Posted on 2023年5月28日2023年5月28日 by cool-jupiter

最後まで行く(2023) 70点
2023年5月21日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:岡田准一 綾野剛
監督:藤井道人

同名韓国映画のリメイク。かなり見応えがあった。

 

あらすじ

年末の夜、刑事の工藤(岡田准一)は危篤の母のもとに駆けつける途中で、ひとりの男をはねてしまう。男の遺体をトランクに入れた工藤は、検問に引っかかってしまうが、偶然に居合わせた県警本部の監察官の矢崎(綾野剛)によって通過することができた。しかし、母の葬儀と死体の処理に頭を悩ます工藤のもとに、謎のメッセージが送られて・・・

 

ポジティブ・サイド

岡田准一は『 ヘルドッグス 』よりも、本作のようなちょっと間抜けな警察官がよく似合っていた。ヴィランたる綾野剛の演技は、その岡田を完全に喰ってしまうだけの迫力があった。スターが演じる悪役としては『 ミュージアム 』の妻夫木聡に次ぐものだと感じた。この二人のトップスターが、これでもかという泥臭く、そして血生臭いバトルを繰り広げる。

 

オリジナルの『 最後まで行く 』と異なり、優男風の綾野剛が突如として岡田准一をボコボコにするシーンから、一気にサスペンスとミステリが盛り上がっていく。同時に、監察官の矢崎のストーリーが展開され、オリジナルよりも遥かにダークな社会の裏面が現れてくる。日本の警察の腐敗っぷりは『 Winny 』がやや消化不良気味に描いてくれたが、本作の県警の腐りっぷりはいかにもザ・日本という感じ。クソ無能政治家のボンクラ息子が家系図をアピールして大炎上したが、日本の権力構造というのは、本作のような形でも維持・継承されているのか。こういうのは韓国ドラマでよく見る構図だが、藤井監督の抱く問題意識の表れとみる方が実情に近そう。

 

警官二人のバトルのスケールもオリジナルよりもアップしている。また原作ではほとんど存在感のない裏社会の勢力が、本作では地場のヤクザとして大きな役割を果たしている。『 デイアンドナイト 』や『 ヴィレッジ 』でも、地域に根差した闇が描かれていたように、これまた藤井監督の好物テーマなのだろう。

 

工藤と矢崎の息詰まる駆け引きとバトルが延々と続き、さすがにこれは決着がついただろうというところから、さらに粘り腰でバトルが続く。まるでナ・ホンジン監督の『 チェイサー 』や『 哀しき獣 』を観ているかのようだ。最後まで行く、というタイトル通りの展開、そしてその救いのないエンディングには逆説的な意味での爽快感がある。これはリメイク成功と言っていいだろう。こうした毒のある作品が邦画にはもっともっと必要だ。

 

ネガティブ・サイド

原作のゴンスが思いつく死体隠蔽工作は、本作ではまったく無効だろう。通夜の番を一人っきりでしたいというのは分からんでもないし、実際にそういう例もうちの親戚であった。ただ、日本は火葬してから土葬する国なので、原作で可能だったトリックが活かせない。ここを有耶無耶にするしかない展開にしたのはご都合主義的か。

 

最後の最後になんだかなあ、と思わされた。とあるキャラが仕込みだったということで、すべては壮大な茶番に。ヤクザは脇役で、チンピラ警察同士の救いのない対決がどうしようもなくエスカレートしてしまった、というプロットで最後まで行ってほしかった。

 

あと、これは映画そのものの出来とは関係ないことなのだが、トレーラーをもっと慎重に作れないのだろうか。観客をびっくりさせるはずのシーンのいくつかがトレーラーでバラされている。もっとさりげない、それでいてインパクトのあるトレーラーというのは作れるはずなのだが。

 

総評

『 ブラインド 』が『 見えない目撃者 』に良い感じでリメイクされたように、本作もリメイクとしては成功と言える。社会のダークな一隅を照らすことに手腕を発揮する藤井道人監督は、韓流ノワールや韓流サスペンスと相性が良さそうだ。ただし彼には彼で独自の路線を走ってもらわねば。本当は園子温みたいなテイスト(人格ではない)の監督が日本に3~4人いれば面白いのに。まあ、そんな愚痴を言いたくなるほど、本作は邦画がなかなか持てない物語の暗さとエンタメとしての面白さを両立させているのだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a safe house

「隠れ家」の意。house という語を含んでいるが、必ずしも家である必要はない。廃工場でも山小屋でも洞窟でも、隠れ家になりそうなものなら何でも a safe house と呼ぶことができる。この表現はあくまでも犯罪者が逃げ込んだり、あるいは犯罪者から追われている者が逃げ込むような場所を指す。一般人が隠れ家として使うカフェやレストランのことは、a hideaway cafe や hideaway restaurant のように言う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 The Witch 魔女 増殖 』
『 65 シックスティ・ファイブ 』
『 クリード 過去の逆襲 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, あやの, サスペンス, 岡田准一, 日本, 監督:藤井道人, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 最後まで行く(2023) 』 -リメイク成功-

『 不思議の国の数学者 』 -韓流ヒューマンドラマ-

Posted on 2023年5月14日2023年5月15日 by cool-jupiter

不思議の国の数学者 75点
2023年5月13日 T・ジョイ梅田にて鑑賞
出演:キム・ドンフィ チェ・ミンシク チョ・ユンソ
監督:パク・ドンフン

 

『 オールド・ボーイ 』のチェ・ミンシクが数学者に。嫁さんも是非観たいというのでチケット購入。

あらすじ

国内上位1%のみが集まる進学校に特例入学したハン・ジウは、寮の仲間の不祥事を黙秘したことで1か月間の大量処分を受けてしまう。その発端となった脱北者の警備員、通称”人民軍”がひとかどの数学者であることを知ったジウは、彼に数学を教えてほしいと頼み込んで・・・

 

ポジティブ・サイド

中国が『 少年の君 』で常軌を逸した学歴偏重主義の学校生活を描き出していたが、韓国も似たようなものらしい。学校に居場所のない劣等生が、同じく社会に居場所のない脱北者と交流をしていく・・・という単純なプロットではない。疑似的な家族関係の追求あり、南北の社会や思想の在り方の違いの描写ありと、ヒューマンドラマと社会派ドラマを高度に融合させたストーリーになっている。

 

まず主人公ジウの置かれた境遇が切ない。学校に馴染めず、寮にも馴染めず。寮のルームメイトをかばっても、友情ではなくカネが差し出される。経済力と成績はある程度比例するのは日本も韓国も同じなようで、経済力と人間性は必ずしも比例しないのも同じらしい。そんなジウが、ふとしたことから人民軍に数学を教えてほしいと頼み込む。その奇妙な師弟関係が、ジウにとってはある意味で初めての positive male figure、つまりは疑似的な父親を得ることにつながり、人民軍にとっても疑似的な息子を得ることにつながっていく。このあたりの見せ方に韓国と北朝鮮の情勢を絡めており、非常に巧みであると感じた。

 

ヒロイン的な位置に立つボラムも、この二人の関係にちょっとしたスパイスを与えている。割と唐突に告白してくるのだが、変にジウと恋愛関係に入っていかず、主役二人の静かで奇妙な関係を遠くで見守るというポジションだった。ボラム自身も家族に似たような問題を抱えており、韓国社会全体が抱える”父親像”という問題は『 息もできない 』の時から変わっていないのだなという印象を受けた。逆に、そうした問題を常に映画という媒体で世に問い続けるのが韓国映画の強みの一つか。

 

悪役が教師というのは、個人的には見ていてキツイ。が、こんな先生は確かにJovianの中学校の理科の先生にもいた。確か人工衛星は無重力空間を回っているみたいな説明に対して、「もっと遠い月は地球の重力で回っている。人工衛星も月も無重力ではなく無重量空間にいると雑誌のニュートンで読んだ」みたいなことを言ったら、えらく怒られた。そしてこれをテストに出すが、正解は無重力。だけどお前は無重量と書け、みたいに言われた。実際にテストに出て、無重量と書いて、✖をもらった記憶がある。ジウが数学教師に敢然と立ち向かったシーンでは30年越しにリベンジを果たしたようで気分がスカッとした。

 

天才であるがゆえの政治的な立ち位置の危うさ、そしてジウとの別離が、チェ・ミンシクの迫真の演技によってこれ以上ないリアリティを獲得している。チェ・ミンシク=強面の悪役のようなイメージがあるが、打ちひしがれる中年を演じても素晴らしい。ジウの窮地に現れて、その弁舌だけで状況をひっくり返したのは『 セント・オブ・ウーマン/夢の香り 』のアル・パチーノを彷彿とさせた。

 

血生臭い韓国映画もいいが、ベタベタなヒューマンドラマもいいなあ。

 

ネガティブ・サイド

円周率が音楽になるというのはアイデアとしては悪くないが、厳密な数学としてはどうなのだろうか。奥泉光の『 鳥類学者のファンタジア 』に似たようなアイデアがあるが、こういうのはファンタジーというジャンルだけに留めておくべきでは?

 

人民軍の通院できないから薬をくれ、という冒頭のシーンは結局何だったのか。持病を抱えていて、それがいつか一気に増悪してしまうのか?と思ったが、そんなことは一切なし。この最初のシーンはカットすべきだった。

 

ボラムとジウは、結局どうなったのよ?

 

総評

『 グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 』と『 セント・オブ・ウーマン/夢の香り 』を韓流で合成、再解釈したようなストーリー。真新しさこそないが、韓国の家族像、北朝鮮との関係、そして教育への眼差しが盛り込まれた良作。本作を観たらバッハを聞こう、同志諸君。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

アジョシ

おじさんの意。傑作『 アジョシ 』は元々ソン・ガンホあるいはチェ・ミンシクのようなオッサンのキャスティングを予定していたそうだ。韓国映画やドラマではしょっちゅう聞こえてくる言葉なので、知っている人も多いだろう。ちなみにおばちゃんはアジュマである。

次に劇場鑑賞したい映画

『 帰れない山 』
『 放課後アングラーライフ 』
『 高速道路家族 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, キム・ドンフィ, チェ・ミンシク, チョ・ユンソ, ヒューマンドラマ, 監督:パク・ドンフン, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 不思議の国の数学者 』 -韓流ヒューマンドラマ-

『 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 』 -続編にも期待-

Posted on 2023年5月7日 by cool-jupiter

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 70点
2023年5月6日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:クリス・プラット アニャ・テイラー=ジョイ
監督:アーロン・ホーバス マイケル・ジェレニック

 

嫁さんが観たいというのでチケット購入。普通に面白かった。

あらすじ

ニューヨークで配管工として独立したマリオ(クリス・プラット)とルイージは、ブルックリンの地下で土管に吸い込まれたことで、謎の世界へワープしてしまう。その途中でルイージはダークランドへ、マリオはキノコ王国へ。世界征服をもくろむクッパを倒し、弟を救出すべく、マリオはピーチ姫(アニャ・テイラー=ジョイ)に会いに行くことになり・・・

ポジティブ・サイド

ニューヨークの下水道には100年近く前に発生した、とあるミームがある。リゾート地で買ってきた赤ちゃんクロコダイルを飼いきれなくなって、下水に放したら、繁殖してしまった・・・というもの。『 アメイジング・スパイダーマン 』の下敷きでもある。そうした不思議な空間、ニューヨークの地下水道から異世界にワープするという展開には説得力があった。

 

クッパの暴君っぷりも堂に入ったもの。よくよく考えれば毎回広大なエリアを支配下におさめ、膨大な数と種類の配下を従えるゲーム世界の大ボス。ドラクエシリーズの魔王と変わらない貫禄だ。それでもクッパが愛されるのは、ピーチ姫に恋焦がれるという側面があるからだろう。森見登美彦風に言えば「成就した恋ほど語るに値しないものはない」わけで、逆に言えばクッパの恋は決して成就しないからこそ、マリオの世界は拡大し続けてきたとも言える。今作のクッパはピアニストにして歌手でもあり、クッパの新たな側面を追求したという意味でも興味深い。

 

そのクッパの love interest たるピーチ姫が、今回はさらわれない。逆にクッパに敢然と立ち向かうお姫様像を打ち出してきた。アニャ・テイラー=ジョイの声もマッチしている。『 シュガー・ラッシュ 』前のディズニーには絶対に出てこないタイプのプリンセスだが、まったく違和感はなかった。ピーチ姫の出自に関しても一部が明らかにされていたのも良い。キノコ王国の姫がキノコではなく人間である、ということを全く疑問視しなかった自分が恥ずかしい。全然 critical thinking できていなかった。

 

マリオとルイージの関係性も過不足なく描写されていた。頼りになる兄と頼りない弟で、兄が弟を常にフォローしてやる。序盤のニューヨークの街中でゲームさながらの横スクロールで移動していくシーンには笑ってしまうと同時に唸らされた。その弟が終盤で兄のピンチを勇気を振り絞って体で食い止めるという展開には手に汗握ったし、二人でクッパを撃破する展開には思わず柏手を打った。

 

『 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー VOLUME 3 』が意図的に politically correct な内容に作られているのに対して、本作はほとんどナチュラルに politically correct な作品に仕上がっているということにも驚かされるが、だからこそビデオゲーム分野でマリオは最も売れたフランチャイズになっているのだろう。

ネガティブ・サイド

音楽がほとんど全部オーケストラ化されていたのは少々やりすぎに感じた。ファミコンの最大4音とまではいかないが、冒頭のようなシンプルなBGMおよび効果音がもう少しあっても良かったと思う。

 

とあるキャラの誕生を匂わせるポスト・クレジットシーンがあるが、『 GODZILLA(1998) 』のように、続きはテレビで!とならないことを祈る。

 

総評

Jovian世代だと、マリオはだいたいファミコンで1~3、スーパーマリオワールド、マリオカート、スーパーマリオ64、あとはドクターマリオとか、ゴルフ、テニスあたりもプレーした記憶がある。ただ、プレーしたゲームが1作だけでも鑑賞に支障はない。極端な話、マリオのゲームを一切プレーしたことがなくても、マリオがどんなキャラでどんなゲームなのか、何となく知っているだけでも楽しめるはずだ。ファミリーで鑑賞するもよし、デートムービーとして鑑賞するもよし、もちろんお一人様での鑑賞でもOKである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Will you marry me?

説明不要。プロポーズの言葉の定番。ポイントは語尾を上げないこと。これは機能疑問文である。大人の恋愛映画では死ぬほど聞こえてくるし、現実でも頻繁に使われる。ちょっと古い話だが、1996年のウィンブルドンの伊達公子vsシュテフィ・グラフで、観客が “Steffi! Will you marry me?” と叫んだシーンを知っている人もいるはず。Jovianは当時高校生で、リアルタイムでテレビで観ていた。ちなみにグラフはすかさず “How much money do you have?” と応えた。映像がYouTubeにあったので興味がある向きはどうぞ。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 放課後アングラーライフ 』
『 不思議の国の数学者 』
『 高速道路家族 』

 

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Posted in 国内, 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アニメ, アニャ・テイラー=ジョイ, アメリカ, クリス・プラット, 監督:アーロン・ホーバス, 監督:マイケル・ジェレニック, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 』 -続編にも期待-

『 聖闘士星矢 The Beginning 』 -原作を読み違えている-

Posted on 2023年5月4日 by cool-jupiter

聖闘士星矢 The Beginning 30点
2023年5月2日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:新田真剣佑 マディソン・アイズマン ショーン・ビーン ファムケ・ヤンセ
監督:トメック・バギンスキー

 

妻が観たいと言うのでチケット購入。駄作だろうと思っていたが、その予感は正しかった。

 

あらすじ

地下格闘技を生業にする星矢(新田真剣佑)は、ある時「小宇宙(コスモ)」を発揮する。そのことからアルマン(ショーン・ビーン)と出会い、自身がアテナの生まれ変わりであるシエナ(マディソン・アイズマン)を守る聖闘士だと知ることになり・・・

 

ポジティブ・サイド

コスチュームデザインは許容範囲。何もかも漫画通りだと動くに動けない。そのなかでも魔鈴さんの聖衣のデザインは原作に忠実で良かった。

 

漫画では常に受け身で、冥王ハーデス編まで戦わなかったアテナだが、今作では神の力を出し惜しみしなかった。

 

一番の驚きは辰巳=マイロック。漫画の方では冷酷かつギャグキャラというポジションのおっさんだったが、本作ではブラック聖闘士を次々に撃退するという、超絶有能執事兼ボディーガードに生まれ変わった。この愛をほんの少しでも何故、星矢に注いでやらなかったのか・・・

ネガティブ・サイド

タイトルの The Beginning からして続編を作る気満々らしいが、これが導入では、とてもその機運は盛り上がらないだろう。製作者や脚本家、監督は漫画『 聖闘士星矢 』の魅力を読み違えているとしか思えない。

 

第一に、聖闘士星矢の面白さの源泉は小宇宙(コスモ)にある。そして、小宇宙の強さは見た目に関係ない。原作で瞬が秘密にしていた実力を披露して、師匠の聖衣をバラバラに砕いたところで、当時の読者も後の読者もびっくりしたのだ。今作では無駄に筋肉の鎧をまとった真剣佑にケンカ自慢のチンピラ(こいつがカシオスかよ・・・)のバトルがメインで、思わず「それは小宇宙の本質ちゃうがな・・・」と思いながら鑑賞していた。

 

第二に、聖闘士星矢の魅力は孤独と仲間の発見である。原作では紫龍や氷河たちは異母兄弟でありながら、数々の激闘を通じて本物の兄弟たちになっていく。友情・努力・勝利という少年ジャンプ的な黄金律のひとつ、友情を兄弟愛にまで昇華させた、その熱量が本作には決定的に欠けていた。

 

第三に、技名を大袈裟に叫びながら必殺技のポーズを決める、あの原作漫画の様式美が一切再現されていなかった。大画面でペガサス流星拳や鳳翼天翔を英語で絶叫しながら放つビジョンは監督の頭の中になかったのか。それがないのなら、そもそも監督したらアカンよ。

 

他にも戦闘ヘリがクルマをチェイスしたりといったアクション・シークエンスはそもそも馴染まない。せっかくギリシャ神話の世界観を現代に持ち込んでいるのに。

 

CGがしょぼい。製作費がウン十億円らしいが、キャストにそこまでカネはかかっていないはず。だとすれば裏方だが、この低クオリティCGは何なのか。幻魔拳とか、ほとんど何も見えなかったのだが。

 

総評

原作ファンを喜ばせようという気持ちではなく、真剣佑を売り出そうという思惑で製作されたようにしか見えない。次作があるとして、そこでギャラクシアン・ウォーズ?その後に二部作で聖域十二宮編?聖闘士星矢の魅力をしっかり引き出せる脚本家を探すのが急務だが、一作目からこれでは先が思いやられるとしか言いようがない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

swear allegiance to ~

~に忠誠を誓う、の意味。同じ意味で pledge allegiance to ~ も使われるが、使用頻度は swear の方が高い。Do you swear allegiance to the Emperor? という時代に回帰しないようにしてほしいかな。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 』
『 放課後アングラーライフ 』
『 不思議の国の数学者 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, E Rank, アクション, ショーン・ビーン, ファムケ・ヤンセン, マディソン・アイズマン, 新田真剣佑, 日本, 監督:トメック・バギンスキー, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 聖闘士星矢 The Beginning 』 -原作を読み違えている-

『 ヴィレッジ 』 -ムラ社会のダークサイド-

Posted on 2023年4月23日 by cool-jupiter

ヴィレッジ 75点
2023年4月22日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:横浜流星 黒木華
監督:藤井道人

藤井道人監督ということでチケット購入。

 

あらすじ

片山優(横浜流星)は、死んだ父の犯した罪と母親の借金のために、故郷の霞門村で肩身を狭くして生きていた。ある日、ゴミ処理場で働く優は、東京から帰ってきた昔馴染みの美咲(黒木花)と再会することになり・・・

ポジティブ・サイド

能の場面、そして『 三度目の殺人 』を彷彿させる火から始まるオープニングに、剣呑な空気が充満している。

 

村で生きる優の能面のような表情と、その内に封じ込められた激情の対比が序盤と中盤の分かれ目。霞門村のシステムに取り込まれることで豊かな表情を取り戻していく優の姿に、観る側は非常にアンビバレントな気持ちにさせられる。

 

この「閉鎖社会から出ていこうにも出ていけない」あるいは「出ていったはいいものの、結局帰って来るしかなかった」というジレンマは、大都市の人間には分からないのではないか。過去数十年の日本の行政の地方創生戦略が機能したためしがないのは、都市の人間がムラに関する施策を決定するという構図が原因ではないか。地方に交付金やら補助金やらを恵んでやる一方で、ゴミ処理場や原子力発電所などを押し付けるのは大きな間違いだったということは、過去10年を見れば分かることだ。

 

Jovianは霞門村ほどのド田舎に住んだことはないが、それでも30年以上前に住んでいたO県B市ぐらいの田舎だと、同級生だった市長の孫が中学校でむちゃくちゃデカい面していて、教師も腫れ物に触れるような扱いをしていたものだった。その市長の苗字が、本作の村長と同じで笑ってしまった。こういう閉鎖社会の権力者とその一族あるいは取り巻きは、その依って立つ基盤が砂上の楼閣とはいえども、周囲に多大な影響力を行使することはある。その点を藤井道人はよくよく見抜いている、あるいは取材しているなと感じた。

 

横浜流星以外で目立った役者は一ノ瀬ワタル。『 宮本から君へ 』同様の暴力キャラが良く似合う。「この村にはハラスメントなんか存在しねえ」という台詞はリアルだった。仕事で奈良や滋賀のかなりの田舎の学校にまで教えに行くこともあるが、そうしたところはコロナ禍真っただ中でも隣近所の人間とノーマスクで話していることなどザラだった。中央や都市部があーだこーだ言っても、本当の田舎は大昔から何も変わらないものである。

 

環境センターという昼の顔と不法投棄現場という夜の顔が、そのまま村および村民たちの二面性になっているのが興味深い。エンドロール後のラストショットに仮託されているのは、希望なのか絶望なのか。それは是非、自身の目で確かめて頂きたい。

 

ネガティブ・サイド

中村獅童演じる刑事が無能すぎる。杉本哲太演じるヤクザも無能すぎる。ここら辺のキャラにはリアリティが欠けていた。

 

最大のツッコミどころは「そこにそれを捨てるか?」というものと、「なんでそれを破壊しないの?」というもの。後者はクラウドが云々かんぬんというのがあるかもしれないが、前者についてはお粗末すぎる。『 藁にもすがる獣たち 』を見習えと言いたい。

 

総評

『 デイアンドナイト 』と同工異曲の秀作。共同体の伝統を壊そうとする者は排除するか、あるいは共同体に取り込んでしまうのが日本社会のお家芸。つまりはダイバーシティなどというものはお題目に過ぎないのだ。自国の闇をエンタメに仕上げられるのは、問題意識とクリエイター意識の両方を併せ持った人。藤井道人は邦画界に置ける数少ないそのような作り手の一人、かつ第一人者だろう。ぜひ鑑賞されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

History repeats itself.

歴史は繰り返す、の意。優の父の犯した罪や、村長の「そうやってこの村は続いてきたんだ」という発言が印象的。歴史はいつでもどこでも繰り返されるものだが、日本の地方は特にその傾向が強いようである。History has repeated itself. や Will history repeat itself? のようにも使うことがある。英語中級者なら既に知っている表現だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・ホエール 』
『 ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー 』
『 聖地には蜘蛛が巣を張る 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, サスペンス, 日本, 横浜流星, 監督:藤井道人, 配給会社:KADOKAWA, 配給会社:スターサンズ, 黒木華Leave a Comment on 『 ヴィレッジ 』 -ムラ社会のダークサイド-

『 オンナのカタチ ヒトの形をして生まれながらも存在消されしモノの情景 』 -芸術に走りすぎ-

Posted on 2023年4月19日2023年4月19日 by cool-jupiter

オンナのカタチ ヒトの形をして生まれながらも存在消されしモノの情景 50点
2023年4月15日 シアターセブンにて鑑賞
出演:福島拓哉 田中玲
監督:吉村元希

あらすじ

ある夫(福島拓哉)と妻(田中玲)の関係から、オトコのカタチとオンナのカタチについて考えていく・・・

 

ポジティブ・サイド

「見ないで」と女性たちが叫ぶシーンの男性の視線の映し方はリアルだったと思う。男性として白状するが、街中を歩く女性を見る際に何らかの品定め的な目になることは確かにある(毎回ではない)。まあ、イエス・キリストの時代から「情欲をいだいて女を見る者は、心の中ですでに姦淫をしたのである」と言われるぐらいなので、オトコの視線そのものに真新しいことはない。(一部の)女性はそうした男を顔ですらなく、目だけで認識するというのは何となく理解できる。男=視線と記号化されたわけだ。

 

最後に歩道で踊るバレリーナからは『 気狂いピエロ 』や『 ジョーカー 』を想起させられた。過剰ともいえる化粧は本心を隠す、あるいは他者からの理解を拒絶する姿勢の表れだろう。往来で無言で踊るバレリーナはシュールで、それゆえにシネマティックだった。

 

ネガティブ・サイド

全編にわたって開陳される吉村監督の思想は、正直なにも新しさがない。全部、栗本薫が『 タナトスの子供たち―過剰適応の生態学 』で喝破していたことである。見せ方はかなり斬新だと感じたが、見せられたものは陳腐だった。

 

オトコのカタチにかなり露骨な性的イメージを押し付けてくるが、これは必要だったか?オンナを記号として消費する視線は明確に拒絶しながら、男性=男性器というイメージを押し付けるのは politically correct なのだろうか。とてもそうは思えないが。

 

総評

物語性もエンタメ性も希薄。芸術に走りすぎだが、これなら映画ではなく舞台でやったらどうか?という出来映え。悪いとは思わないが、演出が映画ではなく舞台になっている。名もなき夫婦の生活の中に搾取され消費される女性像を読み取るのなら、(短編と長編を比較するのは愚だが)『 グレート・インディアン・キッチン 』の方が遥かに映画的かつ啓蒙的。4作の中で本作だけは波長が合わなかったようだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

shape

カタチの私訳。エド・シーランの代表的楽曲 “Shape of You” でも、男女それぞれに特徴的なカタチは shape が訳語にふさわしい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 search #サーチ2 』
『 ヴィレッジ 』
『 ザ・ホエール 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ヒューマンドラマ, 日本, 田中玲, 監督:吉村元希, 短編, 福島拓哉, 配給会社:movies label willLeave a Comment on 『 オンナのカタチ ヒトの形をして生まれながらも存在消されしモノの情景 』 -芸術に走りすぎ-

『 怒れる人形 』 -構成に課題を残す-

Posted on 2023年4月19日 by cool-jupiter

怒れる人形 55点
2023年4月15日 シアターセブンにて鑑賞
出演:奥野みゆ
監督:海上ミサコ

あらすじ

玩具店でバイトする女子高生ナズナ(奥野みゆ)は、姉のサラサをハラスメントで苦しめる上司に鉄槌を下すために、憧れのカウボーイ・ケンジに扮して投げ縄の練習に取り組むが・・・

 

ポジティブ・サイド

まあ、姉の上司はクソ野郎だわ、ナズナの勤める店の店長は役立たずだわ、挙句の果てには国家権力の象徴たる警察官(当然のように男性)が偏見と先入観に凝り固まっているわで、本当に「男に生まれて申し訳ありませんでした」という気持ちにさせられてしまった。女性全員ではないにしろ、世の中をこのように見つめ、その世界観を映画という形で再構築して世に問うべしと思う女性が存在することの意味を考えなければならない。表現する女性というのは少数派であることは間違いない。だが、そもそも表現者自体が社会ではマイノリティだということを忘れてはいけない。企業にクレームを言ってくる人は顧客の中のごく一部。しかし、顧客のマジョリティが不満を持っていないという証拠にはならない。俗に “Silent cusotmer, silently gone” と言うではないか。

 

セクハラはダメ。無能もダメ。偏見・先入観もダメ。動詞たる男性諸賢よ、心して生きようではないか。

 

ネガティブ・サイド

人形の要素が非常に弱い。人形といえば着せ替え人形。たとえばスーツを着た男性も服を脱がせればただのオッサン。同様に警察官だって制服を脱げば一小市民。こうした構図を少しでも入れ込んでおけば、ナズナがカウボーイ姿に扮することにも多少の意味は見いだせたはず。

 

役者の演技が全員イマイチ。これは監督の演出以前に役者の力量かな。

 

総評

『 Bird Woman 』以外のオムニバス4作の中では本作が最もエンタメをしている。西部劇というジャンルは『 スター・ウォーズ 』などにも受け継がれており、それが現代にも様々な形で影響を及ぼしている。それを現代日本社会で feminist theory にしたがって再構築すると、ちょうどこんな作品になるのかもしれない。夫婦よりも親子(父と娘)で鑑賞してみると面白いかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

training

研修の意。Jovianの仕事の4分の1は非常勤講師の先生方の研修である。一応、肩書きもトレーナーである。通常は不可算名詞で provide training = 研修を実施する、といった形で使う。How many training sessions have you done? = 研修は何個やった?のように session をくっつけて可算で使うことも多い。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ブラック・コメディ, 奥野みゆ, 日本, 監督:海上ミサコ, 短編, 配給会社:movies label willLeave a Comment on 『 怒れる人形 』 -構成に課題を残す-

『 Doll Woman 』 -ホームレスから目を背けるな-

Posted on 2023年4月17日 by cool-jupiter

Doll Woman 60点
2023年4月15日 シアターセブンにて鑑賞
出演:大原とき緒
監督:大原とき緒

あらすじ

人形と暮らすホームレス女性(大原とき緒)は、ある日、耳が聞こえず話すことができないホームレス男性と出会う。彼もまた、彼女と同じく、人形を愛でる人で・・・

 

ポジティブ・サイド

東京の割と都心で描かれるホームレス女性とホームレス男性の one night stand(one day stand と言うべきか?)というだけで、相当な希少価値がある。

 

ホームレスが捨てられた、しかしまだ食べられる食べ物よりも人形をゲットすることを喜ぶ、という姿はショッキングだ。人間が求めているのは人間関係で、社会から捨てられたホームレスはその関係を人形に求める。日本がダイバーシティだとかインクルーシブネスという言葉を自国後に上手く翻訳できないのも分かる気がする。

 

ネガティブ・サイド

ホームレス男女二人は徹底的に筆談でコミュニケーションした方がリアルだったと思う。画面に映し出される言葉の語彙レベルや筆跡などから、二人の教育や教養の程度が浮き彫りになってくるだろうし、普通の女性で普通の教育的な背景があっても、一度の不運(たとえばコロナ禍)で社会のセーフティネットを軽々と突き破って転落してしまう社会の現実を見る側に突き付けることもできたはずだ。

 

総評

間接的にセックスを描いているので中学、高校などでは教材にしにくいが、大学なら可能だろう。『 覚悟はいいかそこの女子。 』や『 82年生まれ、キム・ジヨン 』を学内で上映していた神戸〇〇大学や、夕方の課外授業で色んな映画を鑑賞している京都△△大学などで本作をぜひ上映してほしいものである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

one night stand

一夜限りの関係、の意味。日本語でも「ワンナイト」とか言ったりすることがある?ドラマや漫画だけか? have a one night stand with ~ = ~と一夜限りの関係を持つ、という形で使う。この表現を知っている人は多いだろうが、実際の会話でこれを使える人は少ないはず。こういう話をできる友人がいるということは、その時点で英会話上級者だろう。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, ヒューマンドラマ, 大原とき緒, 日本, 監督:大原とき緒, 短編, 配給会社:movies label willLeave a Comment on 『 Doll Woman 』 -ホームレスから目を背けるな-

『 JOMON わたしのヴィーナス 』 -芸術性が光る-

Posted on 2023年4月17日 by cool-jupiter

JOMON 私のヴィーナス 70点
2023年4月15日 シアターセブンにて鑑賞
出演:華月 ブレイク・クロフォード
監督:西川文恵

あらすじ

11歳のちひろ(華月)は、縄文時代の土偶を見つける。それを手にしたちひろは、女神が踊るビジョンを見て・・・

 

ポジティブ・サイド

ブレイク・クロフォードのナレーションがいい。とても心地よく耳に馴染む。Chihiro と何度も何度も呼びかけ、語りかける。女神の声のはずなのに、男性をあてるというのもキャスティングの妙か。日本の土偶に宿った女神が英語を話すということに違和感も覚えない。これは凄い。

 

音楽も重低音が効いていて素晴らしい。

 

Jovianは土偶=植物の擬人化説を支持するが、本作にはその最新の知見を盛り込んだと思しきシーンも見られる。

 

豊饒のイメージの黄色から、闇の中で踊る女神のコントラストが映える。踊りそのものに女神の想いが直接的に表現されていた。『 女神の継承 』なテーマも(ホラー要素抜きで)反映されていて面白い。アジア的な価値観が全面に押し出されているが、海外マーケットでも本作は一定の評価を得られそうに思う。

 

ネガティブ・サイド

ちひろの母親が出てきても良かったのでは?西川監督がそれを演じるというアイデアはなかったか。

 

総評

映画は form と content の両面から評価されるべきだが、本作は form の良さが突出している。音楽も映像も、ダンスとナレーションによる物語進行もユニークだ。映画監督で西川と言えば西川美和だが、今後は西川文恵にも注目すべきだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

The Great Mother

心理学で言うところの「母親的なるもの」の意。太母とも呼ばれる、母なる海や母なる星と言うように、母=女=生産力の象徴である。我が職場には産休を取ってから続々復帰する女性従業員が多いが、男は生物学的に女に完全に負けている生き物であると認めざるを得ない。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ブレイク・クロフォード, 日本, 監督:西川文恵, 短編, 華月, 配給会社:movies label willLeave a Comment on 『 JOMON わたしのヴィーナス 』 -芸術性が光る-

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