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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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投稿者: cool-jupiter

『 ”それ”がいる森 』 -パクリまみれの糞ホラー-

Posted on 2022年10月2日 by cool-jupiter

”それ”がいる森 15点
2022年10月1日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:相葉雅紀 松本穂香 上原剣心
監督:中田秀夫

監督の名前がお亡くなりになられた方のように見えるが、気のせいだろう。邦画で It 映画を作るというのだから「どうせダメだろうな・・・」と思いつつも、チケットをゲット。しかしポイント鑑賞で金は使っていない。この判断は残念ながら正解だった。

 

あらすじ

福島県の片田舎で農業に従事する田中淳一(相葉雅紀)のもとに小学生の息子・一也(上原剣心)が家出をして訪ねてくる。一也は新しい学校で出来た友達に天源森秘密基地につれていってもらうが、そこで不思議な物体を目にする・・・

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

『 IT イット “それ”が見えたら、終わり。 』のように、子どもが未知なる脅威に対して団結することで生まれるスリルとサスペンスは買いである。

 

捕食シーンはなかなか面白い。イメージとしては Venus Flytrap なのだろう。そして、それが攻略法とよくよくマッチしている。

ネガティブ・サイド

まあ、ここまで色んな作品をパクるからには、それらを乗り越える、あるいは上回るようなアイデアが盛り込まれていることを期待せざるを得ないが、まあ何もない。空っぽである。オリジナリティという意味では数々の小説・漫画原作を下回るのではないだろうか。

 

どこからどう見ても元ネタはM・ナイト・シャマランの『 サイン 』でしょ。エイリアンの造形から、主人公が農場経営者であるところまで、ここまで大胆にパクるか?さらに『 サイン 』の信仰から逃げる父と、本作の会社や妻、諸々の人間関係から逃げる父という構図も同じ。さらに宇宙人にとっ捕まった息子を救うところまで、どこからどう見ても和製『 サイン 』でしょ。問題は『 サイン 』の持っていた面白さが全部スポイルされているところ。

 

もう一つの大きなパクリ元に『 SUPER8/スーパーエイト 』も挙げられる。子どもと父親、宇宙人と地球人の関係性をひっくり返せば・・・ほら、本作のプロットとほとんど同じでしょ。ただ、『 SUPER8/スーパーエイト 』もスマホ=超高性能カメラという常識が定着する前の作品だったからこそ価値があったわけで、本作はそのカメラの性能がほとんど活きていない。また、子どもの活躍が大人をハラハラさせるというアドベンチャー的な要素もない。一也がただの嫌なガキンチョにしか描けていないのが致命的だ。

 

もう一つのパクリ元は『 宇宙戦争 』で間違いない。ただ、H・G・ウェルズの時代なら細菌ネタは通用しただろうが、現代、しかもコロナ禍で微生物やウィルスと感染のメカニズムが(誤解も相当多いとはいえ)一般人にも普及してきている中で、恒星間飛行するような宇宙人が「動物性の細菌は対策立ててきました、しかし植物性の細菌の方は対策が立てられてませんでした」って、アホかな。宇宙人がアホというよりも脚本家がアホすぎる。『 大怪獣のあとしまつ 』は一応、科学的にあれこれ検証していたが、本作は科学の域を超えている。というよりも科学の域に達していないと言うべきか。

 

アホなのはキャラクターも同じ。ビニールハウス内で取れた粘液を「大学教授に見てもらう」って、それよりも先に警察の鑑識を呼べよ。いくら警察に門前払いされたからって、諦めるか?農園で窃盗被害、犯人と思しき2人組に暴行されたと言えば、しぶしぶながら警察も動かざるを得んよ。しかも結局、粘液は分析されず・・・

 

アホキャラは他にもいっぱい。一也の友達となるふとっちょ(名前忘れた)は、母親のスマホを天源森に持ち込んだが、機種によっては場所特定ができるだろう。なぜふとっちょの母親はそれをしない?というか、映画にいっさい出てこない?どう考えてもキーパーソンになりうるだろう。

 

地元住民もアホすぎ。クマ出没注意の山に入って心配する一也に「熊は冬眠中」と返すふとっちょは野生動物を舐め過ぎ。温暖化の影響も舐め過ぎ。実際にハンターに捕殺されたのは冬眠していない熊だった。じゃないと、あんな山の斜面でいきなり発砲しない。しかし一頭だけ捕殺して、はいお終いって、なんで熊が複数存在する可能性を考慮しないのか。町長も警察もアホすぎ。

 

一也もわがまますぎてウザいことこの上なかったし、それを真っ正面から叱れない父親にもイライラさせられる。最後に母親まで移住してくるというが、それは何の問題の解決にもなってないやろ。それに一也も友達の遺品を渡したいなら、相手の親をその秘密基地まで案内せいよ。なんで担任の先生に託すの?ホンマに友達やったと思ってる?プロットにオリジナル性がゼロで、キャラがどいつもこいつもアホすぎる。約2時間が苦痛でしかなかった。

 

エンドクレジットも噴飯もの。ご当地のUFO映像を披露してくれるが、すべて天文現象、鳥、虫、ドローンで説明がつくものばかり。観る価値無し。すぐに席を立ってよい。

 

総評

観てはならない。観るとしてもカネを払ってはならない。溜まったポイントを活用するなら止めはしないが、それでもポイントがもったいない。相葉雅紀は残念ながら俳優の才能がないし、中田秀夫はホラーの才能も枯渇して久しいし、子役への演出能力もない。松本穂香も大して活躍しない。年間クソ・映画・オブ・ザ・イヤー候補だが、『 大怪獣のあとしまつ 』の超絶ご都合主義的エンディングを超えるには至らない。あとは『 貞子DX 』と本作、どちらのクソ度が上なのかが気になる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. This is absolutely one of the worst JP films of the year, by far. I need to forget about this crap ASAP. 

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, F Rank, ホラー, 上原剣心, 日本, 松本穂香, 監督:中田秀夫, 相葉雅紀, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 ”それ”がいる森 』 -パクリまみれの糞ホラー-

『 四畳半タイムマシンブルース 』 -Back to the 四畳半-

Posted on 2022年10月2日 by cool-jupiter

四畳半タイムマシンブルース 75点
2022年10月1日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:浅沼晋太郎 坂本真綾 吉野裕行
監督:夏目真悟

戯曲『 サマータイムマシン・ブルース 』を、そのまま『 四畳半神話大系 』のキャラクターで再構築。見事なスピンオフ作品に仕上がっている。

 

あらすじ

「私」(浅沼晋太郎)のエアコンのリモコンが、悪友・小津(吉野裕行)によって壊されてしまった。これにより部屋は灼熱地獄に。映画サークルの明石さん(坂本真綾)が撮影に邁進するなか、アパートの下鴨幽水荘からどういうわけかタイムマシンが見つかる。これで一日前に戻って、壊れる前のリモコンを持って帰ってくれば、と一同は考えて・・・

ポジティブ・サイド

四畳半主義者および四畳半世界をビジュアル化するにあたって、しっかりと湯浅政明のテイストを受け継いでくれている。奇妙な色彩の使い方と、「私」の青春そのままのようなくすんだ灰色とが織り成すコントラストは、それだけで観る者を癒やす。

 

キャラの中身も恋、いや濃い。10年以上ぶりに浅沼晋太郎が「私」を演じるが、まさに森見登美彦風のダメダメ大学生をそのまま演じている。この「私」のまるで成長していない加減が絶妙で、おっさんは自らの青春時代を回顧せざるを得ない。肉体的な鍛錬や学問的な精進から逃避するのみならず、恋からも逃げまくる。いや、追いかけまくる。この情けなさに笑いと涙の両方が喚起される。

 

悪友・小津と「私」の「セクシャルな営み」も映像化してみると面白いし、それをクールに眺める明石さんも美しい。いつもの四畳半の面々が、ふとしたことから手に入れるタイムマシンを使って、ドタバタ劇を繰り広げる。タイムトラベルものはシリアス路線かコメディ路線に行くのが常で、本作はもちろんコメディ。行き先が一日前なのだから、これほどスケールの小さいタイムトラベルは珍しい。しかし京都市の片隅だけの限られた人間関係の中で過去改変を阻止せねばならないという独自のシチュエーションは、笑いだけではなくハラハラドキドキ感も生み出している。

 

明石さんを追いかける「私」を追いかける「私」と小津という構図にはドキドキしながらも、笑うしかない。これも活字とは異なり映像で観ることで独特のユーモアと緊張感が生まれている。昨日と今日だけのタイムトラベルかと見せかけて、ストーリーは突如大規模に展開していく。そこで序盤からの数々の伏線が鮮やかに回収されていく。タイムトラベルものの王道で、実に清々しい。

 

京大に落ちてICUに行き、木造のボロボロ男子寮(ヴォーリズ建築!)で怠惰な四年間を過ごした身としては、下鴨幽水荘=男子寮に感じられてしまう。タイムマシンはおそらく理論上でしか存在できないが、思い出というタイムカプセルは誰でも持つことができる。未来は自らで切り拓くもの。そしてその未来が、いつか美しい思い出になる。

ネガティブ・サイド

森見登美彦の小説版『 四畳半タイムマシンブルース 』と少々異なるところがいくつかある。序盤で「私」が裸踊りをする直前の明石さんの「本当にやるんですか?」はもっと色っぽい雰囲気だったはず。他にも小説版との違うなと感じられるところがちらほら。まあ、このへんは森見登美彦と上田誠、どちらの波長が自分に近いかということだと思うが。

 

田村の行動が、「私」たちが必死に阻止しようとした過去改変の原理をあっさりと破っているところだけは気になった。これもタイムトラベルもののお約束か。

 

総評

梅田ブルク7は老若男女で9割の入りだった。森見登美彦の fanbase 恐るべし。仮にこれが何の話か分からなくても、ぜひ高校生や大学生にはデートムービーとして劇場鑑賞してほしい。本作から小説やアニメの『 四畳半神話大系 』や『 バック・トゥ・ザ・フューチャー 』を知って、それらにも触れてほしい。究極的にはゲーテの『 ファウスト 』にまでたどり着いてほしいと思う。今目の前にある「時」を誠実に生きること。若い人ほど、それを実践してほしいと思う。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

space-time 

「時空」の意。SF小説やSF映画では頻繁に出てくる表現。英語の順番どおりに訳せば空時となるが、これでは少々おさまりが悪い。ちなみに space = 宇宙の意味もあるが、古代中国語では 宇=空間、宙=時間だったとされる。言葉は違っても、概念・観念レベルでは人間はだいたい同じなのかもしれない。 

 

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Posted in 国内, 映画, 未分類Tagged 2020年代, B Rank, アニメ, 吉野裕行, 坂本真綾, 日本, 浅沼晋太郎, 監督:夏目真悟, 配給会社:KADOKAWA, 配給会社:アスミック・エース, 青春Leave a Comment on 『 四畳半タイムマシンブルース 』 -Back to the 四畳半-

『 渇きと偽り 』 -乾いた大地の人間関係-

Posted on 2022年9月27日 by cool-jupiter

渇きと偽り 70点
2022年9月25日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:エリック・バナ
監督:ロバート・コノリー

 

サイモン・ベイカー主演・監督『 ブレス あの波の向こうへ 』以来のオーストラリア映画の劇場鑑賞。

 

あらすじ

連邦警察官アーロン・フォーク(エリック・バナ)は旧友ルークの葬儀に参列するため、20年ぶりに故郷の小さな町に帰ってきた。ルークは自身の妻子を射殺した後に自殺したとされていた。プライベートで捜査に乗り出したフォークは、自分たちの若い頃に起きたある事件と、今回の事件がつながっているのではないかと感じ始め・・・

 

ポジティブ・サイド

どこまでも無慈悲に広がる乾いた大地が、よそ者を拒むかのように画面を支配する。主人公のアーロンも全く歓迎されない。アメリカの警察映画などで、FBIが片田舎の地元警察や地元住民に相手にされないのと同じような展開で、それ自体は珍しくもなんともない。本作はそこに、アーロン達の身に起きた過去のある事件を効果的に織り交ぜてくる。これによって、中央と田舎の対立以上の火種が事件そして町に潜んでいることが浮き彫りになってくる。

 

アーロン自身の捜査によって少しずつルークの事件の情報の断片が手に入ってくるが、それと並行するようにアーロン自身の過去の回想シーンが挿入される。なぜアーロンはこれほど町で歓迎されないのか。逆になにがアーロン自身をこれほど捜査に駆り立てるのか。そのあたりの事情が徐々に明らかになるペースが絶妙である。「なるほど」と「それは何だ?」と感じさせる塩梅がちょうどよい。脚本および編集の妙味だなと感じる。

 

怪しげな人間やきな臭い人間関係が浮かび上がっては消えていく。まるで町そのものが大きな闇を抱え込んでいるかのように、アーロンの捜査はいいところまで行くたびに袋小路に入ってしまう。しかし終盤に思いがけない形で真相に迫るヒントが浮上、物語は一気に最終盤へ。コロナ大流行前の世界のニュースといえば、オーストラリアの超大規模森林火災だったことを覚えている人も多いだろう。そうした大災害の予感を感じさせるクライマックスは、それまで散々干ばつに悩まされてきた土地および住民の描写のおかげで、より迫力を増していると感じた。

 

ミステリ風味たっぷりのサスペンス、サスペンス風味たっぷりのミステリとも言える。こうしたジャンルを好む向きなら、本作を鑑賞しない手はない。

 

ネガティブ・サイド

序盤の展開にもう少しテンポの良さが欲しい。少し眠気を誘われてしまった。

 

ティーンエイジャーのアーロンと現在のアーロンがまったく似ていない。なんかもう顔も体も骨格レベルで別人である。もう少し顔かたちが似た若い俳優はいなかったのか。

 

ネタバレを避けるため詳しくは書けないが、過去の事件の真相と現在の事件の繋がり方(と言っていいのかどうか・・・)には拍子抜けである。現在の事件の真犯人が最後に自暴自棄になってやろうとしたことは「まじでそれはヤバい」感があったが、犯行の理由はあまりにもありきたり。もっと衝撃的な真相が欲しかった。

 

総評

サスペンスは最後まで持続するが、ミステリ部分のカタルシスが最後はとても弱い。ただし、ちょっぴり残念な真相に至るまでの展開は very mysterious and suspensful 。様々な人間関係や人間模様は徐々にあらわになる中盤の展開は間違いなく一級品。警察ジャンルが好きな人ならきっと楽しめるはず。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

second nature

「第二の性分・習性」の意。しばしば become second nature という形で使う。

Practice this move until it becomes second nature to you.
この動きが自然にできるようになるまで練習しなさい。

スポーツ、あるいは演奏や美術品・工芸品作成の指導時に使うことが多そうな表現である。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, エリック・バナ, オーストラリア, サスペンス, ミステリ, 監督:ロバート・コノリー, 配給会社:イオンエンターテイメントLeave a Comment on 『 渇きと偽り 』 -乾いた大地の人間関係-

『 ヘルドッグス 』 -キャラクターを深堀りせよ-

Posted on 2022年9月25日2022年9月26日 by cool-jupiter

ヘルドッグス 50点
2022年9月24日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:岡田准一 坂口健太郎
監督:原田眞人

 

岡田准一のアクション映画ということで期待していたが、アクション以外の部分で何か違う感が多かった。

あらすじ

警察官・出月梧郎(岡田准一)はとある事件をきっかけに闇落ちし、犯罪者に私刑を加える危険人物になっていた。その狂犬っぷりに目を付けた警察上層部は、出月に兼高昭吾というIDを与え、広域暴力団・東鞘会へ潜入させる。サイコパス気質の室岡(坂口健太郎)と組むことになった兼高は、組織の中で順調にのし上がっていくが・・・

 

ポジティブ・サイド

岡田准一が『 図書館戦争 』並みのアクションを見せつつ、ワルにも挑戦するという意味で興味を持った作品。格闘戦からガンアクションまで大いに魅せてくれる。それも魅せるアクションというよりは、倒す、殺す、無力化するためのアクションで、関節技や寝技が多め。銃撃でも片手でバンバンではなく、両手でしっかり構えて一撃でズドンという、どちらかというやや地味目のガンアクション。しかし、それらを高速でやってのけるところに岡田准一という俳優の真価がある。自分のカッコよく見せようというよりも、リアルな映像を提供したいという気持ちが勝っているのだろう。V6の解散でアイドルを完全卒業、胸を張って役者と言えるようになったと思う。

 

『 BLEACH 』での演技のぺらっぺら具合に「何だこりゃ?」と思わされたMIYAVIが、若きヤクザの大親分を好演。インテリヤクザかつ武闘派ヤクザかつ任侠派ヤクザという面のいずれでも非常に説得力ある演技を見せた。特に唸らされたのは、神戸のヤクザの親分たちとの会談シーン。一つのシーンの中で上記のインテリっぷりや任侠の面を自在に行き来した。昭和のヤクザの大親分的なカリスマ性を感じさせた。監督の演出の巧みさ、監督との波長が合ったというのも大きいだろうが、MIYAVI自身の表現者としてのレベルアップもある。決してMIYAVIがJovianの勤務先の某アンバサダーを務めているから称賛しているわけではないことを付け加えておく。

 

『 アウトレイジ 』並みのヤクザ同士のドロドロの抗争に、警察の潜入捜査が絡んだサスペンスフルな展開が、観る側をまったく飽きさせない。常に緊張の糸がピーンと張りつめたような感覚に満ちている。狂犬・兼高が狙う秘密ファイルが警察官僚とヤクザの癒着を示す重大な証拠というのはお定まりだが、本作の暴力団は国際的なスケールで活動しており、さらにカルト宗教との密接な関係を匂わせるなど、現代日本社会に対して非常に示唆的な内容になっている。

 

兼高が室岡と共に組織でのし上がっていくにつれて、仕事も過激さと過酷さを増していく。さらに潜入捜査官であることが露見するリスクも高まっていく。これは絶体絶命のピンチ・・・という場面で思いがけない事実が明らかになる展開もあり、ハラハラドキドキがずーっと持続すること請け合いである。スカッとしたアクションとリベンジスリラーの要素が見事に組み合わさった佳作である。岡田准一ファンなら劇場へGO!だ。

ネガティブ・サイド

坂口健太郎の演技が甘い。目の焦点が合わない、相手とアイコンタクトを取れない時がある、やたらと食べる、声がでかい、暴力行為への閾値が低いなどサイコパスになろうとしているのは分かるが、その演技の一つひとつから作り物感があふれている。下ネタを連発するところはサイコパスではなくソシオパスっぽかった。というか、サイコパス気質を肯定してしまうと、死刑囚の息子という室岡の悲しいバックグラウンドが否定されてしまうのでは?室岡の父は、室岡が生まれる前から死刑囚だったはずがなく、室岡の歪んだ人格は「死刑囚の息子」という社会の視線によって生み出された、あるいは強化されたものであるはずだからだ。

 

警察官・出月梧郎が狂犬・兼高昭吾に変貌した理由が弱い。立ち寄り所のスーパーのバイトの女子高生、しかも初デート前の相手が殺されたのはリベンジの理由にはなるが、狂犬に変貌するほどの理由になるとは思えない。このあたりの経緯の説明が弱い、あるいは不足しているため、兼高というキャラにイマイチ共感できない。

 

酒向芳の早口はまったく問題なく聞き取れたが、岡田准一、坂口健太郎、その他ヤクザのお歴々のセリフが結構な頻度で頭に入ってこなかった。早口でも聞き取れるような演技指導は十分に可能ということは『 シン・ゴジラ 』が証明済み。ヤクザ映画でこそ超高速会話劇を成立させてほしい。

 

マッサージ屋の謎の客はいったい何者?ヤクザでも警察でもない一般客?出す意味ある?

総評

血生臭い描写はあるが、韓国映画ほど直接的に移したりはしないので、ゴア描写に耐性がない人でも見られないことはない。ただし、暴力描写自体は結構あるので、そこは注意のこと。本作を楽しむコツは「あれ、何でこの人たち争ってるんだったっけ?」とか「兼高を突き動かすものは何?」といった疑問を抱かず、素直に画面上のアクションとドラマを楽しむことだ。細かなプロットを気にする向きにはお勧めしづらい仕上がりになっている。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

undercover

「カバーの下の」というのが直訳で、そこから「身分を隠しての」、「秘密操作の」などの意味が派生した。アメリカのテレビ番組『 アンダーカバー・ボス 社長潜入調査 』をWOWOWで観た/観ている人もいるかもしれない。これも、経営者が変装して現場従業員と共に働くという意味では潜入捜査と言えなくもない。同番組ではユタ・ジャズのCEO兼共同オーナーのエピソードが最も印象に残っている。興味のある人はYouTubeで検索されたい。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, アクション, 坂口健太郎, 岡田准一, 日本, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 ヘルドッグス 』 -キャラクターを深堀りせよ-

『 よだかの片想い 』 -大人版『花束みたいな恋をした』-

Posted on 2022年9月24日 by cool-jupiter

よだかの片想い 75点
2022年9月23日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:松井玲奈 中島歩
監督:安川有果

テアトル梅田に別れを告げるべく、チケットを購入。かなり多くの来場者があり、多くの人が名残惜しんでいる感じがした。

 

あらすじ

左ほほに大きなあざを持つアイコ(松井玲奈)は大学院で研究ひと筋の毎日を送っていた。ある日、彼女への取材に基づいた『 顔が私に教えてくれたこと 』という書籍に映画化の話が持ち上がる。監督予定の飛坂(中島歩)と触れ合ううちに、アイコは次第に飛坂に惹かれていくが・・・

ポジティブ・サイド

『 花束みたいな恋をした 』は若者の情熱に身を任せるような恋とその終わりの物語だったが、本作はそれの大人版である。島本理生の小説が原作ということだが、『 RED 』や『 ナラタージュ 』のような官能的な面が強いストーリーではない。しかし、主人公が何かから解放されるストーリーであるという点では共通していると感じた。

 

映画で顔にコンプレックスを抱く女性というと『 累 かさね 』が思い出される。顔の美醜で人間の価値が決まるとは思いたくないが、ルッキズムが存在すること自体は事実。自分の顔面に悩んだり、あるいはすれ違うだけの他人の顔を採点したことのない人などいないだろう。

 

本作は、しかし、アイコという主人公に単純なコンプレックスを付与しなかった。アイコは小学校の授業中に顔のあざを「琵琶湖そっくり」とクラスメイト達に揶揄されるが、そこで自分が注目を集めたことを密かに喜んでいた。アイコが傷ついたのは「お前たち、なんて酷いこを言うんだ!」と怒った教師が原因だった。これはかなり意表を突く設定だ。顔にあざがあって可哀そう、という話ではないのだ。だからといって、アイコがまったくあざに囚われることなく生きているわけでもない。そのあたりの塩梅が素晴らしく、松井玲奈がアイコというキャラクターを正に血肉化していた。

 

アイコの love interest である飛坂を演じた中島歩は『 愛なのに 』の浮気男役が印象的だったが、今作でもその真逆の真摯な男。しかし、彼の本命は実は・・・という複雑な役を好演していた。初対面のアイコに対して、映画監督の透徹した眼力でアイコの生き様を見通すシーンには震えた。飛坂の不器用に見える生き方がアイコのそれと通底するものがあり、互いに惹かれ合っていく過程にも説得力があった。

 

この二人の間に割って入る存在が早い段階で示唆されていて、しかも実はその存在も・・・という展開には意表を突かれた。なるほどねえ。確かに飛坂はそういうキャラだよなあ、と納得した。アイコのかなり遅めの初恋とそれに浮かれる気持ち、そして不安になる気持ち、飛坂の恋愛に関する優先順位のつけ方というか、価値観・哲学といったものが徐々にすれ違う展開も生々しい。

 

本作は映画というよりも芝居のようで、映像や音楽、音響の面で見せ場を作ることがほとんどない。カメラワークと役者同士の演技合戦で場面が進んでいく。それが非常に心地よい。ドラマチックな要素は削ぎ落すことで、逆に人間ドラマを際立たせている。安川監督とJovianは波長が合っていると感じた。

 

いつかアイコにとってこの恋は『 ちょっと思い出しただけ 』になるのだろう。そう予感させるような、ある意味で非常に清々しい幕切れだった。

ネガティブ・サイド

序盤にこれ見よがしに、大人と子どもでアイコに対する見方が違うというシーンを挿入するが、これは必要だっただろうか?

 

大学院の後輩が良い奴すぎ。上映時間を2分増やして、ここでサブプロットを一つ追求しても良かったのにと感じる。

 

終盤の展開が唐突すぎる。大学院の先輩に3分、飛坂に5分を費やして、上記の後輩との描写2分を加えて、上映時間を10分プラスできたはず。それで110分、ちょうどよい長さになる。

総評

大学院の教授の「人間は変わることはできるけれど、違う人間にはなれない」という言葉が刺さる。あざがあっても、あざがなくても、自分は自分。『 志乃ちゃんは自分の名前が言えない 』は自分から逃避する物語だったが、今作は自分に回帰していく物語。ラストシーンの美しさという点では今年の邦画ではピカイチ。ミニシアターでしか上映されていないが、だからこそ多くの人に観てほしい作品に仕上がっている。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

bruise

「あざ」の意。I got a big bruise on my forearm. = 前腕のところに大きなあざができちゃった、のように使う。bruise like a peach = 桃のようにあざができる = ひどく傷つきやすい、というイディオムもある。これは身体的にも精神的にも使える表現。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ラブロマンス, 中島歩, 日本, 松井玲奈, 監督:安川有果, 配給会社:ラビットハウスLeave a Comment on 『 よだかの片想い 』 -大人版『花束みたいな恋をした』-

『 岸和田少年愚連隊 岸和田少年野球団 』 -Take me out to the ballgame-

Posted on 2022年9月19日 by cool-jupiter

岸和田少年愚連隊 岸和田少年野球団 70点
2022年9月19日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:遠藤章造 長田融季 小野浩史 辻󠄀本賢人
監督:渡辺武

『 岸和田少年愚連隊 望郷 』と主要キャストは同じ。しかし、今度は野球。それもそれで一つの青春の形か。

 

あらすじ

ガス(遠藤章造)は新聞記事で、かつて一緒に野球をした友人・隆二(辻󠄀本賢人)が飛行機事故で死亡したことを知る。ガスは少年時代にやっていた野球を思い出し、思い出の品である青いグローブを手に、隆二と過ごした日々を回想する・・・

 

ポジティブ・サイド

前作で竹中直人演じる親父が出ていったところから始まっている。世界観を共有する作品というものは良いものである。

 

今回の主役はガス。リイチでもユウジでも小鉄でもなく、ガスが主人公。少年時代を演じる小野浩史のガスの再現度が素晴らしく高く、まさに岸和田のガキンチョという感じである。野球が下手くそな演技も堂に入っているし、ケンカのシーンの迫力もある。これはなかなか良かった。前作は『 岸和田少年愚連隊 』や『 岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇 』では中学生あるいはそれ以後を大人の芸人が演じていて、それゆえに極端なケンカのシーンも演じることができた。『 望郷 』はそのあたりの描写が竹中直人以外は弱く、子ども同士のケンカ描写はなし。気付けばリイチの顔面に傷ができているばかりだった。

 

本作のケンカの見せ場は大きく二つ。一つはガスが隆二のグローブを盗んだサダ軍団の一員を叩きのめすシーン。もう一つは、試合中の大乱闘。子ども同士のケンカを俯瞰の映像で捉えたりすると、小競り合いにすらなっていないものも多い。本作はそこをかなり踏み込んで、本当に1970年当時の岸和田の悪ガキどものケンカの光景にリアリティを与えている。

 

今の若い世代には意味不明かもしれないが、カズ山本が小学生役で出てきているのは何度見ても笑ってしまう。近鉄戦士だというところが大阪人にとってはたまらないだろうし、また一つの大きなノスタルジーを感じるポイントにもなっている。

 

また隆二=辻󠄀本賢人で、若い世代はこれまた知らないだろうが、15歳にして阪神タイガースに入団した期待の星だった。当時は結構騒がれていた、少なくとも阪神ファンの間では。Jovianは星野仙一の阪神監督就任でファンを解脱して、ロッテファンになったのだ、もしも辻󠄀本が現在の佐々木朗希のようにロッテに入団していれば、そして吉井理人のような理論派のコーチと出会えていれば・・・と、一瞬だけ想像してしまった。栴檀は双葉より芳し。こんな小さな体で、それなりの球が投げられていたのだから、阪神球団はしっかりと育て上げるべきだった。

 

アホな大人に翻弄される子どもたちの物語だが、そのメッセージは「変わらないでいることが嬉しいこともある」ということ。岸和田少年愚連隊は、作品によって人物やエピソードは違えど、色褪せることのないアホな青春の思い出の物語。ほっぺたに強烈ビンタを食らわされた女子と、何故か付き合っていたりする。フィクションだけれどもリアル。今でも昭和のままな街区が残る尼崎市民は、本シリーズがとても愛おしい。

 

ネガティブ・サイド

さすがに子どもを使っての賭博はないわ。作品自体の瑕疵というより、これを観る自分の視点が大人になってしまったんやろうね。維新のIR構想も気に入らんし。『 岸和田少年愚連隊 』の卒業式で塩見三省がチュンバたちを次から次に張り倒していったのは、教育者としての複雑な思いの表れとしてある程度は共感できたが、子どもを使って大人が金儲けするのはアカンわ。

 

安西ひろこのエセ関西弁も耳障り。鈴木紗理奈みたいなコテコテの大阪人をキャスティングせんかいな。

 

エアガン使うジジイもなあ・・・子どもが拳あるいはバットで戦ってるのに、大人が銃器とは・・・ 悪魔のコスプレもくだらなかった。

 

総評

野球映画は結構たくさん作られてきたが、これはその中でも異色の作品。非常に淡い男の友情が心地よい。小学生や中学生の頃は、友達と過ごす時間が本当にかけがえのないものだった。そのことを思い出させてくれる。変わらないでいてくれることが嬉しい。そう言ってくれる、あるいはそう伝えられる友人が自分には何人いるだろうか。自分は誰かの中で美しい思い出になれているのだろうか。そんなノスタルジックな気持ちにさせてくれる作品だ。

 

Jovian先生のワンポイントラテン語レッスン

Mens sana in corpore sano

(古典ラテン語なら)メーンス・サーナー・イン・コㇽポレ・サーノーと読む。mens = mind、sana = sane または sound、in の後ろの corpore は奪格なので、この in はそのまま英語でも in = 中に、の意。sano は corpora が中性なので、それに合わせて中性・奪格になっている。全体の意味は A healty mind in a healthy body である。健全な肉体に健全な精神が宿れかし、というのが定番の日本語訳。mens = mind から「dementia って、だから認知症なのか?」と思えた人は、英語学習の上級者である。 

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2000年代, B Rank, 小野浩史, 日本, 監督:渡辺武, 辻󠄀本賢人, 遠藤章造, 配給会社:ドラゴン・フィルム=セディックインターナショナル, 長田融季, 青春Leave a Comment on 『 岸和田少年愚連隊 岸和田少年野球団 』 -Take me out to the ballgame-

『 トップガン マーヴェリック 』 -追いトップガン6回目-

Posted on 2022年9月19日2022年12月31日 by cool-jupiter

トップガン マーヴェリック 90点
2022年9月18日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:トム・クルーズ マイルズ・テラー ヴァル・キルマー
監督:ジョセフ・コジンスキー

9月16日から行われている『 トップガン 』と『 トップガン マーヴェリック 』の連続上映。back to back で鑑賞すると、新作は前作のオマージュに満ち溢れていて、なおかつエンタメ一直線路線も受け継いでいることにあらためて気づかされる。

 

あらすじ

マーヴェリック(トム・クルーズ)は、予定されていたダークスターのテスト飛行がキャンセルされると聞いたが、クルーと共にフライトを強行し、マッハ10を達成する。処罰の対象になるかと思われたマーヴェリックだが、盟友であり提督となったアイスマンの取り計らいにより、トップガンにおいて難関ミッションに挑む若きパイロットたちの教官となる。しかし、そこにはかつての相棒グースの息子、ルースター(マイルズ・テラー)も加わっており・・・

ポジティブ・サイド

6回目の鑑賞で、何もかも分かっているのだが、それでも中だるみを感じることがない。これは素直にすごいことだと思う。ダークスターのテスト飛行からの事故、左遷と思わせてのトップガンへの復帰、ペニー・ベンジャミンとの再会、ルースターら新世代のトップガン卒業生との訓練、盟友アイスマンとの別れなど、すべてのプロットが戦闘機のスピードで疾走していく。

 

自分が単純なのもあると思うが、アイスマンとの対話と抱擁は何度鑑賞しても胸がいっぱいになるし、マーヴェリックが2分15秒で峡谷を突破して爆撃を成功させるシーンでは息が止まるほどの緊迫感がある。F-14を駆ってSu-57とのドッグファイトは、まさに “It’s not the plane, it’s the pilot.” の極致。現実だと100回やって10回も勝てないだろうが、それでも勝ってしまうだけの説得力がマーヴェリックにあった。

 

前作でトム・スケリット演じた共感バイパーやM・アイアンサイド演じたジェスターのキャラクターの一部がサイクロンに投影されているのも面白い。下限高度にうるさいのは当たり前として、前作でバイパーに “Is that clear?” と言われて “Yes, sir.” としか返せなかったマーヴェリックが、今作ではすかさず文書を提出するところに、彼の30年間での成長が見て取れた。フェニックスとハングマンを同時に相手するときの、”Leaving your wingman. There’s (That’s じゃなかった・・・) a strategy I haven’t seen in a while.” というのは、かつての訓練で僚機を捨ててバイパーを追うというミスを犯した自分に言及しているのかと、6回目の鑑賞で気付いた。

 

フェニックスは良いキャラで、変に誰かの love interest になったりしないところや、女性特有のあれやこれやがプロットに組み込まれていないのも良かった。訓練や撮影時に、演じたモニカ・バルバロだけが唯一嘔吐しなかったと言われているが、そうしたプラスの描写やエピソードがなかったことも良かったと思う。女性だとか男性だとかに囚われず、トップガン卒業生として横一線で勝負するところが素晴らしいのである。

 

全体的に前作をトレースするシーンが多かったが、生徒だったマーベリックが教官マーヴェリックに成長する上では避けて通れない描写だった。前作のファンを喜ばせるための措置が、そのまま本作のプロットの必然性につながっていた。これは脚本家の功績。素晴らしい。大学で正課および課外講座を受け持つことがあるJovian先生も、マーヴェリックを見習って、今後はクラス中にもう少しだけチーム制のアクティビティを取り入れていこうと思う。

 

身もふたもない言い方をすれば、トム・クルーズが自分のナルシシズムを成就させるために生み出した作品。それがこれほど面白いのだから、エゴも突き抜ければ他者を満足させるのか。ハリソン・フォードといえばハン・ソロ、シルベスター・スタローンといえばロッキー・バルボア、トム・クルーズといえばピート・”マーヴェリック”・ミッチェルと言えるだけの代表作を生み出したと言える。良くない例かもしれないが、『 セブン 』のブラピ演じる刑事キャラの名前とかパッと出てこないでしょ・・・

 

閑話休題。分かる方がいれば是非お知らせください。何度観てもフェニックスとハングマンの掛け合いは面白いのだが、いつも音声ばかり聞いて、字幕表示が分からない。

 

Maverick: Leaving your wingman? There’s a strategy I haven’t seen in a while. 
僚機(ウィングマン)を見捨てる?こんな戦法を見るのは久しぶりだ。

 

Hangman: He called you a man, Phoenix. You’re gonna take that?
フェニックス、マーヴェリックが man だと言ってるぞ?受け入れるか? 

 

Phoenix: As long as he doesn’t call you a man. 
あんたを man と呼ばなければね。

 

のところの字幕がどうなっているか、覚えている人がいれば是非コメント欄でご一報を。なんか「男は我慢よ」みたいな文字がちらっと見えた気がしたのだが・・・

ネガティブ・サイド

最後にエド・ハリスが出てきて、ジョン・ハムと二人で苦笑いするシーンとかがあれば痛快だったろうに。まあ、そこまでいくと演出過多か。

 

総評

大げさかもしれないが、本当に老若男女問わず観てほしい作品。期せずしてロシアによるウクライナ侵攻や、台湾海峡あたりでの有事が想定される世界情勢になってしまったが、平和というのは膨大なエネルギーでもって支えられているということが如実に感じることができる作品。除隊するつもりだったマーヴェリックを、ペニーが必死に説得。見事に編隊長の座を掴み取ったマーヴェリックだったが、それは死ぬかもしれないミッションに向けて飛び立つことを意味する。台詞のないマーヴェリックとペニーの囁きと抱擁に、軍人という難しい生き方が垣間見える。それを肯定せよとは思わないが、否定もできないと感じる。爽快感の後に、ほんの少しの苦みを残す。それも時代にマッチした名作の所以か。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You got this.

「お前はならできる」の意。相手を cheer on するときに使う定型表現。出撃前にルースターがマーヴェリックに声をかけるが、甲板上の放送で邪魔されてしまう。おそらく僚機に選んでもらったことへの感謝、あるいは疑問をぶつけようとしたのだろう。You got this. というのは勿論「お前ならできる」という意味だが、取りようによっては「情実じゃない、この役目はお前が実力でゲットしたんだ」とも取れる。6回目の鑑賞でそう感じた。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, S Rank, アクション, アメリカ, ヴァル・キルマー, トム・クルーズ, マイルズ・テラー, 監督:ジョセフ・コジンスキー, 配給会社:東和ピクチャーズ『 トップガン マーヴェリック 』 -追いトップガン6回目- への2件のコメント

『 トップガン 』 -4Kニューマスター上映-

Posted on 2022年9月19日 by cool-jupiter

トップガン 90点
2022年9月18日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:トム・クルーズ アンソニー・エドワーズ ケリー・マクギリス ヴァル・キルマー
監督:トニー・スコット

『 トップガン マーヴェリック 』の記録的な大ヒットを受けて、前作と新作の二作連続上映。こういった試みは、今後も続けていってほしいと思う。

 

あらすじ

F-14パイロットのマーベリック(トム・クルーズ)は無鉄砲な操縦を繰り返す海軍の問題児。そんな彼と相棒のグース(アンソニー・エドワーズ)はエリート養成機関「トップガン」に送り込まれる。他の部隊の腕利きや教官との衝突や、民間人アドバイザーのチャーリー(ケリー・マクギリス)とのロマンスを通じて、マーベリックは成長していくが・・・

ポジティブ・サイド

夕陽と戦闘機、そして Kenny Loggins の “Danger Zone” のシーンが都合3回出てくるが、これらのシーンが最も『 トップガン 』らしいと感じた。『 トップガン 』自体は多分10回以上観ているが、初めて劇場で鑑賞したことで、大画面と大音響でしか感じ取れないものがあると分かった気がする。

 

若きトム・クルーズが、無鉄砲なパイロット、無邪気な青年、孤独と焦りを抱えた男など、様々な面を多彩に演じ分けた。レオナルド・ディカプリオ同様に、ルックスだけの人ではなく、若い頃から実は演技派だったわけやね。レイバンのアビエイター仕様サングラスを駆ける時の笑顔は反則級に charming だし、グースを失って打ちひしがれる姿は heart-wrenching としか言いようがない。

 

今作の時点で父と息子というネタが仕込まれていて、アメリカが持つ positive male figure への幻想の強さをあらためて再確認した。同時に、”You look good.” のように、次作に受け継がれていく数々のネタ的な台詞や演出が発見できたのも楽しかった。

 

迫力に欠けると一部で言われた高空での戦闘シーンは、逆にオーガニックに感じられて好感を持った。サイズが実物の何分の一かのモデル機を使って撮影したというのは、精巧なCGがない時代ゆえの特撮。けれど、CGで何でもありになってしまった現代人の目には逆に非常に新鮮に映った。F-14が単純にメチャクチャかっこいい飛行機ということも再確認した。

 

新作鑑賞後にあらためて観ると、全体的な作りは非常にチープというか、1980年代定期なテイストで彩られている。すなわち、ベトナム戦争よりも後で、湾岸戦争よりも前という、ある意味で軍がリアルではなくファンタジーでいられた時代。本作の影響で米海軍への入隊志願者が増えたと言われる。フィクションとしてのエンタメは、時に現実に強く作用するという好個の一例だろう。

 

ネガティブ・サイド

F-14がジェット後流に巻き込まれるシーンは山岳地帯だったが、イジェクトしたマーベリックとグースは海に着水した。機を海に向けるなどのシーンが一瞬でよいので欲しかった。

 

総評

劇場の入りはイマイチだったが、このような試みはもっと行ってほしい。コロナ禍の2020年にジブリ映画がリバイバル上映されたように、続編がヒットしたら、その前作を劇場で再公開するというのは、今後のビジネスモデルとして研究されてしかるべきと思う。ラブシーンがあるので、子供の年齢にはちょっとだけ注意が必要だけれども、 親子で劇場鑑賞してほしいと心から思える作品。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

fall for someone

誰かに惚れる、誰かを好きになる、の意。『 イソップの思うツボ 』でも紹介した表現。劇中ではチャーリーがマーベリックに対して使っていた。fall in love with someone は少々ロマンチックすぎる表現なので、こちらを使おう。

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 1980年代, S Rank, アクション, アメリカ, アンソニー・エドワーズ, ヴァル・キルマー, ケリー・マクギリス, トム・クルーズ, 監督:トニー・スコット, 配給会社:UIPLeave a Comment on 『 トップガン 』 -4Kニューマスター上映-

『 岸和田少年愚連隊 望郷 』 -1969年の日本の片隅-

Posted on 2022年9月18日 by cool-jupiter

岸和田少年愚連隊 望郷 70点
2022年9月16日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:長田融季 竹中直人 烏丸せつこ 高岡早紀 
監督:三池崇史

これもノスタルジーに駆られて再鑑賞。しかし、現代の目で見ると、相当に違和感を覚える描写が多数。時代が確実に移り変わっている。

 

あらすじ

岸和田の少年、リイチ(長田融季)の名前の由来は麻雀のリーチ。粗野で豪放な父・俊夫(竹中直人)がつけたもの。立派な悪童に育ったリイチだが、ある時、父がストリッパーを家に連れて帰ってきてしまい、愛想を尽かした母は家を出てしまう。寄る辺ないリイチは担任の伊藤先生(高岡早紀)のもとを訪ねるが・・・

 

ポジティブ・サイド

今回のリイチは小学生。長田融季が悪童の雰囲気をしっかり醸し出している。第二次性徴期前の少年と男の境目という、この時にしか撮れない作品が撮れたという印象。父に歯向かいたくても歯向かえない。母に甘えたくても甘えられない。そうした難しい年頃の男子を、まさに難しい年頃の男子が演じただけではない。本人の役の理解や監督の演出もあって、岸和田少年リイチとして説得力のあるキャラクター像を打ち出せていた。

 

竹中直人が粗暴で下品な父親役を好演した。関東人のはずなのに、ネイティブ南大阪人と見紛う芝居で、役への没入感が素晴らしかった。このダメ親父自身が、自分の父親、リイチの祖父と絶妙な距離感を保っていて、時を経るごとに変化する父と息子の関係と時を経ても変化しない父と息子の関係を、時にシリアスに、時にユーモラスに見せる。これは脚本と演出の勝利だろう。

 

いつものリョーコに当たる人物が、今回は小学校の担任。それを高岡早紀(若い!)が魅力たっぷりに演じる。この恋とも憧れとも微妙に違う、名状しがたい感情を先生に対して抱く。これも小学生男子あるあるだろう。

 

『 岸和田少年愚連隊 』シリーズは、一つの時代のごく狭い地域に焦点を当てた物語だが、随所に普遍的な要素が挿入されているのが面白い。20世紀半ばの岸和田という狭すぎる範囲の物語にノスタルジーを感じるのは、そこに誰もが共感できる普遍性が認められるからだ。

 

ライバルのサダとの闘いや、友情、思春期、いびつながらも丸く収まり、そしてまた壊れていくことを予感させる家族など、ハチャメチャながらどこか胸を打つ物語。クライマックスではエンニオ・モリコーネを彷彿させるBGMで、時代を際立たせながらも、闘う男の生き様という普遍性を浮かび上がらせた。まさに若き三池崇史の面目躍如の一作。

 

ネガティブ・サイド

ピアノ線が見えてしまうシーンがあるのはVHSではなくDVDだから?いや、画質は関係ないか。映画でいちばん映ってはいけないのはカメラマンだが、その次に映ってはいけないのは、特殊効果や特殊技術。この「部屋からガッシャーン」のシーンは大幅減点である。

 

リイチとサダたちの最後のケンカを真正面から映し出すのは難しかったか。子どもがどつき合う描写は challenging だろうが、だからこそ挑んでほしかった。

 

万博でなんとなく大団円に持っていくのはチープに感じた。これはJovianが維新嫌いだからという私情も入っているか。

 

総評

小学生であってもリイチはリイチ。竹中直人が父親役として大暴れするが、本作で初めてリイチは(文学的な意味での)父親殺しを経験し、同時に和解もする。言葉そのままの意味で「岸和田少年」の物語である。前二作を気に入ったという人は、本作もぜひ鑑賞すべし。リイチというキャラを別角度から見ても、やはりリイチはリイチなのだ。それを確認できるだけで本作は収穫である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

leave home

家出する、の意。home の前に a や the は不要である。父ちゃんも母ちゃんもリイチも、とにかく本作では皆が家出する。変な家族であるが、それもそれで一つの家族像だ。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 1990年代, B Rank, 日本, 烏丸せつこ, 監督:三池崇史, 竹中直人, 配給会社:松竹, 長田融季, 青春, 高岡早紀Leave a Comment on 『 岸和田少年愚連隊 望郷 』 -1969年の日本の片隅-

『 レインマン 』 -旅は人を変える-

Posted on 2022年9月15日 by cool-jupiter

レインマン 85点
2022年9月14日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:ダスティン・ホフマン トム・クルーズ
監督:バリー・レビンソン

 

『 テルマ&ルイーズ 』と同じく、午前十時の映画祭にて鑑賞。同じくロードトリップの傑作。

あらすじ

チャーリー(トム・クルーズ)は、義絶していた父が死んだと聞き、遺産目当てに葬式へと向かった。しかし、300万ドルの遺産は管財人を通じて特定の人物に相続されることに。その人物が、存在すら知らなかった自閉症の兄レイモンド(ダスティン・ホフマン)だと知ったチャーリーは、遺産の半分の相続を法的に主張するために、レイモンドをLAへ連れていこうとするが・・・

ポジティブ・サイド

『 トップガン マーヴェリック 』では年齢を感じさせなかったトム・クルーズだが、本作では流石に若々しさに満ち溢れている(当たり前だ)。同時に、ビジネスも上手くなく、同僚の操縦も下手で、ガールフレンドへの当たりも強い。つまりはクズなわけだが、そんな男が遺産目当てで出向いた父の葬式で、実は兄がいて、しかもその兄がまともなコミュニケーションを取ることができない自閉症の兄との旅路で思いがけない挫折と成長を味わう。

 

こう書くと実にありきたりなプロットというか、純文学の香りすらしてくる。しかし、中身は実にまっとうなエンターテイメントで、いかにもアメリカといった趣のあるヒューマンドラマにしてロードトリップ・ムービーである。

 

イライラして怒鳴り散らすトム・クルーズには若気の無分別という言葉がピッタリ。母は幼くして亡くなり、少年時代に父親に愛情を注がれなかったと固く信じている、まさに愛情不足の典型のような青年だ。そんな男がカネ目当てに自閉症の兄を施設外に無断で連れ出すのだから、応援できるわけがない。しかし、そんなチャーリーを期せずして変えてしまうのが、兄レイモンドである。

 

ダスティン・ホフマンの演技はキレッキレで、ALSなら『 博士と彼女のセオリー 』のエディ・レッドメイン、自閉症なら本作のダスティン・ホフマンを超える演技は不可能だと思わされた。

 

コミュニケーションが成り立っていない状態で延々と話し続けるシーンや、クルマが走りながら話すシーンが非常に多く、どれだけのNGあるいはリテイクがあったのか気になる。前編これ、トム・クルーズとダスティン・ホフマンの演技合戦である。特にホテルの一室で二人がダンスするシーン、そして期せずして二人の距離が大きく変化する瞬間ほど poignant なものは、近年の映画では思いつかなかった。

 

レインマンというタイトルの意味が明らかになる中盤からは至高のヒューマンドラマとなる。旅は人を変える。月並みな真実だが、それを非常に説得力のある形で提示した傑作である。

 

ネガティブ・サイド

一点だけ不満なのが、なぜレイモンドがあれほど心理的にスムーズに施設の外に出られたのかということ。なにか一つだけでも、「この男は、幼かったあの子が成長した姿だ」と彼なりに感じ取る契機というか、ほんのちょっとした気付きのエピソードがあればパーフェクトだったと感じる。

 

総評

文句なしの大傑作。ロードトリップものとしては『 テルマ&ルイーズ 』に勝るとも劣らない。障がい者(ということ語弊があるが)をメインに据えた作品としては『 フォレスト・ガンプ/一期一会 』よりも上だと感じる。若いトム・クルーズが粗削りな演技ながらも、盟友ダスティン・ホフマンに食らいついていく様を見ると、『 トップガン マーヴェリック 』の撮影開始前に、彼が若い俳優たちに彼自身が考案した3か月の特別訓練を課したというプロフェッショナリズムの原点はここにあったのかもしれない、とすら思える。stand the test of time forever な作品である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

take over 

引き継ぐの意。遺産ではなく、事業や業務を引き継ぐ時に使う。劇中では “I’ll take over from here.” = ここからは私が引き継ごう、となっていた。もちろん、I’ll take over your job. = 僕が君の仕事を引き継ぐよ、のように目的語を取ってもいい。我が業界では、割と頻繁に非常勤講師が代わるので、テイクオーバーはもはや日本語と化している。嘆かわしい限りである。 

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 1980年代, A Rank, アメリカ, ダスティン・ホフマン, トム・クルーズ, ヒューマンドラマ, 監督:バリー・レビンソンLeave a Comment on 『 レインマン 』 -旅は人を変える-

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