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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: D Rank

『 悪鬼のウイルス 』 -細かい点には目をつぶるべし-

Posted on 2024年6月6日 by cool-jupiter

悪鬼のウイルス 50点
2024年5月19日読了
著者:二宮敦人
発行元:TOブックス

 

特急「こうのとり」の車内で読了。



あらすじ

智樹断ち高校生は夏休みに陸の孤島の石尾村を訪れた。そこは、子どもたちが武装し、大人たちを地下に監禁する恐怖の村だった・・・

 

ポジティブ・サイド

序盤から目をそむけたくなるようなシーンのオンパレード。殺人シーンだけではなく、汚物まみれの部屋での残飯食いや死体処理など、一歩間違ったら・・・ではなくて、もう一段描写力を上げれば和製クライヴ・バーカーになれるのでは?このシーンで読むのをやめない物好きな読者なら、最終盤までの一気読みはほぼ確定だろう。

 

また中盤以降はキャラクターのセリフと心情描写を多めにして、readabilityをアップさせている。特に主人公側の某キャラが発狂していく過程はぐいぐい読ませる。

 

さらに強固なシステムに支えられた村が一挙に崩壊していく様も迫力満点。こういったところに着目すれば、低予算でもそれなりにスペクタクルな映画を作れるのでは?と考えてしまうのも無理からぬことかもしれない。

 

ネガティブ・サイド

智樹が高校生離れした数々の知識とスキルの持ち主であることに白けてしまう。お前は小林少年なのか?

 

あらすじにある「村の壮絶な過去を知るとき、日本中が鬼の恐怖に侵される!」などという展開は存在しない。それともこれはまだ公開前の映画版のあらすじなのか?いずれにしろ、編集者はまともな仕事をすべし。

 

また「たった一度、嘘をついただけで人生のすべてが崩れ落ちる恐怖」という帯の惹句も壮大なネタバレ。編集者、ちゃんと仕事しろ。

 

後は「腐り鬼」の真相かな。〇〇を一人にするのではなく、△世代にわたって□□していた、のような設定なら、もう少し真実味を増せただろうに。

 

総評

実写映画化よりも、むしろ深夜アニメ化すべきでは?超絶グロ描写をどう撮ったのか?秀作ホラー小説『 水霊 ミズチ 』を凡作ホラー映画『 水霊 』に変えてしまったように、坂東眞砂子の土着ホラー『 狗神 』の同名映画化作品のように、内容も表現もマイルドにしてしまったのだろうか。おそらくだが「読んだら観るな、観てから読むな」になるような気がする。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

endemic

パンデミックが世界的流行というのは今や常識。こちらのエンデミックは風土病の意味。これらの語に含まれる dem はデモクラシーの dem、つまり demos = 人々の意。democrasy = 民主主義にも、dem がしっかり見て取れる。

 

悪鬼のウイルス (TO文庫)

悪鬼のウイルス (TO文庫)

  • 作者:二宮敦人
  • TOブックス
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Posted in 国内, 書籍Tagged 2020年代, D Rank, サスペンス, ミステリ, 日本, 発行元:TOブックス, 著者:二宮敦人Leave a Comment on 『 悪鬼のウイルス 』 -細かい点には目をつぶるべし-

『 デス・ストーム 』 -a typhoon day DVD-

Posted on 2024年5月17日 by cool-jupiter

デス・ストーム 40点
2024念5月14日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ゾーラ・バーチ
監督:リンジー・ゴスリング

 

C級ディザスター・ムービーかと思い、近所のTSUTAYAでレンタル。

あらすじ

アメリカの片田舎のミニンワには、様々な問題を抱える人々が暮らしていた。そこに超大型の竜巻が迫りつつあり・・・

 

ポジティブ・サイド

片田舎にこそ社会の縮図が存在するのだなと感じさせられた。

 

低予算ゆえに肝心のトルネードの脅威はほとんど間接的にしか描かれない。ただ、それが逆に想像を掻き立てる。

 

厳しい現実、救いのない現実が容赦なく展開するが、最後に小さな命が助かるのは救いか。

 

ネガティブ・サイド

群像劇だが、やや取っ散らかりすぎ。もう少し登場人物は減らせたように思う。特に、とあるクズ男の存在は不要に感じた。

 

TVアナウンサーの男性(名前忘れた・・・)の家族愛は麗しいが、被災地にのこのこやってきて、けが人を車で運んで、そして家族と再会・・・を喜ぶ前に、自分の報道の誤りと向き合う必要があるんちゃうの?

 

低予算映画ゆえか、誰も彼も演技が過剰。セリフ回しも拙い。また意味の分からないカメラワークも随所に見られた(投げられた車のカギを受け取るシーンなど)。

 

総評

ディザスター・ムービーかと思ったら、意外や意外、ヒューマンドラマだった。『 ヘヴィ・ドライブ 』並みのカバー詐欺。ただ小さな町の複雑な人間模様を眺めるのは、それなりに面白い。手持ち無沙汰の雨の日、あるいは台風の日の暇つぶしにはいいのかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

issue

issue は多義語だが、劇中では A tornado warning has been issued. = 竜巻警報が発令されました、のように使われていた。issue = 発する、である。名詞でも a special issue = 雑誌の特別号のように使われる。TOEIC600点レベルなら知っていないとおかしい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 不死身ラヴァーズ 』
『 関心領域 』
『 バジーノイズ 』

https://amzn.to/4dNIRUv 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, カナダ, ゾーラ・バーチ, ヒューマンドラマ, 監督:リンジー・ゴスリングLeave a Comment on 『 デス・ストーム 』 -a typhoon day DVD-

『 ゴジラxコング 新たなる帝国 』 -怪獣映画ならぬ怪作映画-

Posted on 2024年4月29日 by cool-jupiter

ゴジラxコング 新たなる帝国 30点
2024年4月26日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:レベッカ・ホール ケイリー・ホトル 
監督:アダム・ウィンガード

 

ゴジラ映画ということで意気揚々と公開初日のレイトショーのチケットを購入。しかし、ゴジラ映画ではなくコング映画、もっと言えば悪趣味な怪獣プロレス映画だった。

あらすじ

ゴジラは地上、コングは地底と棲み分けていたが、モナークは地底世界からの謎のシグナルをキャッチ。それは一種の救難信号だった。モナークとコングは、その未探査領域で思いがけぬ存在と接触し・・・

ポジティブ・サイド

序盤でコングのキャラクターを深掘りできていたと思う。元々人間寄りの怪獣だったが、前作や前々作のように安易に手話に頼らず、コングの生活描写を通じてコングの心情をある程度描き出せていた。

ネガティブ・サイド

ゴジラがゴジラではなくなってしまった。パワーアップするのは別に構わんが、走ったり飛び跳ねたりするのは、作り手がはしゃいでいるというか、自分たちが子どもの頃に夢中になったおもちゃを自分たちの手で思い通りに動かしたいという願望をかなえたようにしか見えない。ゴジラというキャラクターには歴史と伝統があって、それを重んじたいと感じた節は皆無。アメリカ産のコングの美女好きという属性は時代に合わないからと都合よく抹消しておきながら、日本産ゴジラは自分たちの思うように作り変えるという創作姿勢にはまったく賛同できない。伊福部音楽を使わない時点でゴジラはゴジラでなくなってしまった。

 

プロットも浅い。コングが同種族を見つけて、そこでボス猿になっていく。それだけ。素カーキングとやらも典型的なヴィランで深みがない。はぐれ猿のコングが仲間に受け入れられるかどうかという葛藤やドラマを描く代わりに、悪い奴がいるからコングにやっつけさせようという分かりやすい方向に逃げただけ。1対1では尺が足りないから新怪獣を出して、ゴジラにはそいつの相手をしてもらおうというのも薄っぺらすぎ。これならモンスターバースではなく単独コング映画でよかった。

 

人間キャラもお寒い限り。何の役にも立たないのに続投出演するブロガーに、新登場で特に何もしない歯医者。レベッカ・ホールと養子のジミの物語もあまりにも陳腐。コングと心通わせる文明社会に居場所を見出せない少女がアメリカナイズされていく様は見るに堪えない。You belong with me って、テイラー・スウィフトかいな(いや、Jovianはテイラーの音楽は大好きだが)。

 

総評

『 オッペンハイマー 』を産み出せるアメリカがゴジラの描き方をここまで誤るとは。結局は誰が作品の方向性を決めるのか次第なのか。ゴジラはコングの引き立て役ではないのだが。モンスターバースはまだまだ続きそうだが、その場合、監督もしくはプロデューサーはマイケル・ドハティにしてほしい。どうせクレイジー路線で行くなら、ゴジラおよび怪獣にリスペクトを持った人物に託したい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

the Ice Age

氷河期の意。『 GODZILLA ゴジラ 』では、the Stone Age =石器時代が言及されていた。東宝は今でこそ『 シン・ゴジラ 』や『 ゴジラ‐1.0 』を制作できているが、それ以前には dry spell =乾期・製作が進まない時期があった。dry spell は英検準1級以上を目指すなら知っておきたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 貴公子 』
『 ザ・タワー 』
『 キラー・ナマケモノ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, ケイリー・ホトル, レベッカ・ホール, 怪獣, 怪獣映画, 監督:アダム・ウィンガード, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 ゴジラxコング 新たなる帝国 』 -怪獣映画ならぬ怪作映画-

『 SMILE スマイル 』 ーもう少しキャラに肉付けをー

Posted on 2024年2月25日2024年2月25日 by cool-jupiter

SMILE スマイル 50点
2024年2月22日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ソシー・ベーコン
監督:パーカー・フィン

 

劇場予告編か何かで観て、気になっていた作品。面白さはまあまあといったところ。

あらすじ

精神科医のローズ(ソシー・ベーコン)は、カウンセリングをしようとした患者が奇妙な笑顔を浮かべながら自殺するのを目撃する、それ以降、ローズは奇妙な笑顔を浮かべる人物を目撃するようになり、そして彼女自身も不可解な行動を取ってしまうようになり・・・

 

ポジティブ・サイド

明るいところが怖いという点を売りにした『 ミッドサマー 』の如く、本作は笑顔が恐怖の対象になりうることを示した点でユニーク。

 

何じゃそりゃ?という不可解な死に方、それに不釣り合いな奇妙な笑顔というアンバランスが不快感を催させる。冒頭の5分でこの世界に引き込まれてしまった。

 

この笑顔を見せる怪異の正体が不明で、次々に異なる人間の姿で主人公に迫ってくるというのは『 イット・フォローズ 』的で、個人的には好みである。単なる偶然だが、猫の日に本作を鑑賞して、これほど嫌な気分にさせられるとは、脚本兼監督のパーカー・フィンはやり手である。

 

笑顔の怪異の謎を元カレと共に突き止めようとする中盤以降、謎の自殺の連鎖から逃れた者がいるという情報、そしてその方法が結構えぐい。ただ、そこから論理を突き詰めて、怪異と対決しようというローズの姿勢は精神科医然としていて頼もしい。

 

本作はカメラワークが良い。ローズが同棲中の婚約者と元カレと一緒にいる時のカメラのズームイン、ズームアウトのタイミングでスリルとサスペンスを生み出している。できれば劇場で鑑賞したかったと感じた。

 

ネガティブ・サイド

序盤はかなりジャンプ・スケアが多い。そんなものを使わずとも、カメラワークで充分に恐怖感を生み出せることを証明しているのに、何故に安易な方法に走ってしまうのか。笑顔というのは日常でよく見るものなので、その笑顔が本物なのか、それとも怪異なのかとローズおよび観客を疑心暗鬼にさせるシーンはいくらでも撮れるはず。音響で驚かすのではなく、映像で怖がらせる、あるいは不安がらせてほしい。

 

ローズにはローズのトラウマがあるのだろうが、それでもここまで嫌なキャラに描く必要があったのだろうか。特にFワードの連発には正直辟易した。いや、four-letter word の使用そのものは否定しないが、医師という職業とマッチしていない。加えて、精神科医という仕事のしんどさを丁寧に描くこともしていないせいで、ローズが胸の奥底に抱えている闇のせいだけで嫌な人間になってしまっているように見える。

 

終盤に出てくる怪異が、まんま『 IT イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 』の中盤に出てくるCGモンスターのパクリ。これはオマージュとは呼べないだろう。

 

ローズの婚約者も、もっとローズに寄り添ってほしかった。ナチュラルに無礼な発言を繰り返して、そらローズも元カレの方に行くわなと感じた。いや、それはプロット上の必然だからしゃーないとしても、トラウマは病気で、その病気は遺伝する発言は行き過ぎ。ドン引きした。

 

元カレの背景も謎。なにが彼をそこまで献身的にさせるのか。主要キャラたちをもう少しだけ深掘りしてほしかった。

 

総評

低予算ホラーだが、スプラッタ映画的なグロシーンもあって、見応えはそれなりにある。笑顔が怖いという新機軸もそれなりに楽しめた。キャラとの波長が合うかどうかは観る人次第だが、序盤と中盤は結構怖いので、ホラー耐性のない人にはお勧めできない。ホラー愛好家には傑作たりえないだろうが、話のタネに鑑賞しておいても損はしないだけのクオリティはある。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

the cold shoulder

冷たい肩ではなく「冷たい態度」の意。しばしば give ~ the cold shoulder で、~に冷たい態度をとる、~にそっけなく接する、のような意味で使われる。My supervisor has been giving me the cold shoulder since I disagreed with her at the meeting. =「会議で異議を述べて以来、上司は私に冷淡な姿勢を取り続けている」のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 夜明けのすべて 』
『 犯罪都市 NO WAY OUT 』
『 ソウルメイト 』

SMILE/スマイル ブルーレイ+DVD [Blu-ray]

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  • ソシー・ベーコン
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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, ソシー・ベーコン, ホラー, 監督:パーカー・フィンLeave a Comment on 『 SMILE スマイル 』 ーもう少しキャラに肉付けをー

『 ザ・クリエイター/創造者 』 -イデオロギーではなくテクノロジーを見せろ-

Posted on 2023年10月23日 by cool-jupiter

ザ・クリエイター/創造者 40点
2023年10月22日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ジョン・デビッド・ワシントン マデリン・ユナ・ボイルズ ジェマ・チェン 渡辺謙
監督:ギャレス・エドワーズ

 

AIが現実の仕事や学問に巨大なインパクトを与え始めている中でタイムリーな作品が公開されたと思い、チケット購入。

あらすじ

2055年、LAでAIによる核爆発が勃発。以降、アメリカはAIを排除することを決定。ニューアジア共和国に潜伏する謎のAI開発者ニルマータを捉えるために、潜入捜査官のジョシュア(ジョン・デビッド・ワシントン)は組織の女性マヤ(ジェマ・チャン)に近づき、夫婦となるが・・・

以下、軽微なネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

日本国内でもChatGPTを禁止する大学(上智など)が出てくるなど、大学レベルですらAIに対する対応が割れるのだから、国家となると尚更のはず。中国がGoogleを遮断したりするという実例もある。本作は冒頭からロボットの発達とそこにAIが搭載されて・・・という歴史の if をダイジェストで見せてくれるが、まさに近現代のテクノロジー史の一端を見せられているようで興味深かった。このイントロがあるからこそ、ある意味荒唐無稽もいいところのメインプロットに説得力が生まれている。

 

舞台がアメリカ国外というのも良い。これまでアメリカ映画におけるアメリカ=全世界的な価値観を、本作は踏襲していない。ゾンビ映画でもモンスター・パニックでもパンデミックものでも、アメリカ=世界という等式が成り立つことがほとんどだったが、AIを拒否するアメリカとAIと共存するニューアジア共和国という対比は新鮮だった。

 

こんな感想を抱いたのはごく少数だと思うが、Jovianは途中からジョシュアがモハメド・アリに見えてきた。本作を楽しむ鍵は、ジョシュアにどれだけ感情移入できるかにあると思う。まあ、マイノリティーの意見・感想です。

ネガティブ・サイド

全体的に意外性がない。死んだと思ったヒロインが実は生きていた、というのは開始10分で分かること。要はそこにたどり着くまでの過程を以下に予想外のものにするかにあるのだが、全体的な世界観が『 ターミネーター 』および『 ターミネーター2 』の裏返しだと感じたし、人間側(というかアメリカ人)の感性も『 アイ、ロボット 』そっくり。結局は技術革新の裏で常に進行するラダイト運動のSF版という感じ。ノマドの外観および内部のデザインやレイアウトも『 エリジウム 』や『 スター・ウォーズ ローグ・ワン 』のビジュアルに酷似している。後者の方は監督が同じだからある意味で当然か。最も意外であるべき、ジョシュアが何故ミッションである最終兵器の破壊ではなく保護を選んだのかという理由についても、『 ブレードランナー2049 』が先行している。

 

舞台のニューアジア共和国というのがハッキリしない。我らが渡辺謙が登場し、やたらと日本語も聞こえてくるから日本?景色からしてラオス、カンボジア、ベトナム?ノマドを見ていると、どうもベトナム戦争時の民間人へのナパーム攻撃を想起させる点からして、やっぱりベトナム?だとするとAIは共産主義?そして最終的に勝利を収めるのも共産主義?イデオロギー的な背景など無しに、純粋にテクノロジーを受容するのか、拒絶するのかというストーリーの方がシンプルで、よりエンターテインメント性を追求できたのではないかと思う。

 

ところで・・・21世紀も半分を大きく過ぎているにもかかわらず、ニューアジア共和国は20世紀半ばの東南アジアのように見えるのは何故なのか?AIやロボットと共存している国家の生活水準があんなに低いはずがないと思うのだが。ただギャレス・エドワーズ監督は『 GODZILLA ゴジラ 』でジャンジラなる珍妙な日本を描いた前科があるからなあ・・・ アジアに対して正しい知識やリスペクトを持っていないように感じられて仕方がなかった。

 

総評

面白いのは面白いのだが、全編どこかで見た構図のパッチワーク。渡辺謙のAIロボも、どこか浮いていた。家族や愛の物語で締め括るのは『 インターステラー 』と同じ。壮大な世代交代のストーリーが、えらく小ぢんまりとまとまってしまったという印象。テクノロジーの話ではなくイデオロギーの話なので、鑑賞するかどうかは自分の嗜好をよくよく確かめて検討すること。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

turn the tide 

「流れを変える」の意。劇中では turn the tide of the war = 戦争を逆転させるのように使われていたと記憶している。日常だと

 

He mentioned the critical evidence and turned the tide of the debate.
彼は決定的なエビデンスに言及して、ディベートの流れを変えた。

 

The sales rep turned the tide of the negotiation by offering the client a big discount.
営業担当は顧客に大幅値引きを提供することで交渉の流れを変えた。

 

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 オクス駅お化け 』
『 リゾート・バイト 』
『 月 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SF, アメリカ, ジェマ・チェン, ジョン・デビッド・ワシントン, マデリン・ユナ・ボイルズ, 渡辺謙, 監督:ギャレス・エドワーズ, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 ザ・クリエイター/創造者 』 -イデオロギーではなくテクノロジーを見せろ-

『 アリスとテレスのまぼろし工場 』 -世界観の構築が弱い-

Posted on 2023年10月3日 by cool-jupiter

アリスとテレスのまぼろし工場 45点
2023年9月30日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:榎木淳弥 上田麗奈 久野美咲
監督:岡田麿里

 

『 空の青さを知る人よ 』の脚本を務めた岡田麿里の監督作品ということでチケットを購入。

あらすじ

製鉄の町、見伏は製鉄所の爆発事故によって外部から遮断され、時間も経過しなくなってしまった。元の世界に戻った時に矛盾を生じさせないために、いつしか町では「変化してはならない」というルールが課されるようになった。そんな中で淡々と日々を過ごしていた正宗(榎木淳弥)は、同級生の睦実(上田麗奈)に製鉄所内に幽閉されている謎の少女(久野美咲)の世話を手伝うように頼まれ・・・

 

ポジティブ・サイド

アニメーションは恐ろしく美麗。実写をそのままCG化したかのように錯覚させられるシーンも多数。ここ10年でアニメーションの技術は恐ろしく進歩しているなと実感。

 

ストーリーも悪くない。中学生の男女があーだこーだするのは王道。本作はそこに外界から分離され、時間も経過しない(というか、人間も事物も経時変化しない)という見伏という共同体を設定した。その中心にあるのは製鉄所。日本のお家芸だったモノづくりの象徴だ。そこが爆発したのは1991年。バブル崩壊の前夜で、ゲーテの『 ファウスト 』ならずとも「時よ止まれ」と言いたくなる時代だ。

 

その止まってしまった世界を止めたままにしようとする勢力と、その止まった世界の中で唯一成長する五実の存在にインスパイアされる若者たちという本作の構図は、そのまま近代日本の世代間闘争のパロディあるいは痛烈な皮肉だろう。世界に入った亀裂を製鉄所が吐き出す煙、神機狼がふさいでいくのも、ひび割れたコンクリートを必死に補修するゼネコンに見えてくるから面白い。

 

そうした諸々の社会批判のメッセージを恋に煩悶する中学生男女という、ある意味でお約束なキャラクターに仮託したのが本作。非常に観やすいし、中高生あたりでも楽しめるはず。実際に劇場に来ていたのは(レイトショーだったこともあるだろうが)中年以上の層だったように、大人でも楽しめるはずだ。

 

ネガティブ・サイド

空間的にも時間的にも外界から隔絶されていて、時間は経過するものの事物も生物も変化しないという特殊な設定を、もっと序盤で見せるべきだった。いつまでも妊娠し続けたままの妊婦だけではなく、毎日病院で苦しむ人や、あるいは認知症で毎日を毎日と認識できない人など、無常とは逆の苦悩を描くことで、セカイ系の延長あるいは亜種のような世界観をもっと深めることができたはず。

 

観ていて???となったのは、見伏の経済。人々はどうやってガソリンやら食料やらを調達しているのか。貨幣は流通しているのか。しているとすれば、誰がその価値を担保しているのか。電気や水道などのインフラは?通信は?疑問が次々に湧いてきてしまった。

 

また時間は経過しないものの、記憶は持続するという点を深掘りしない点も残念極まりない。五実の成長から見伏では10年以上が経過しているはずであり、中学生の主人公たちも中身は20代の半ばから後半。この肉体と精神のギャップ、つまりプエル・アエテルナス(永遠の少年)であることについての苦悩が正宗から感じられなかった。というか正宗の叔父が精神的に退行したとしか思えない言動をとったりと、掘り下げるべきところが掘り下げられず、妙なサブプロットを追求するというアンバランスさを生んでしまっている。

 

世界観の構築が貧弱であることに加えて、本作はシークエンスごとのつながりにもあまり説得力がない。ストーリーが先に構想されて、それに合わせてストーリーボードを描いたように感じられた。もちろん印象的なシーンを先に構想して、そこからストーリーを構築する作家もいるが、それは編集や脚本も兼ねているか、あるいはそうしたスタッフと緻密にコミュニケーションが取れている場合だろう。本作は先に撮りたいシーンや使いたい主題歌があり、それに合わせてシーンをつないでシークエンスにした、そのシークエンスをつないでストーリーにした、のような印象をぬぐえない。

 

クライマックスが露骨な演出に感じられた。胎内回帰ならぬ胎外排出か。もっとなにか、お約束ではないドラマチックなシーンが描けなかったのだろうか。

 

総評

個々のシーンは面白いが、全体を通して見るとイマイチという、やや残念な作品。主人公二人のキャラも特に立っていないので、感情移入するのも難しい。アリスとテレスは古代ギリシャのアリストテレス由来なのは間違いないが、まぼろし工場というのがよく分からない。「希望とは、目覚めている人間が見る夢である」というのは、見伏が夢なのか、それともひび割れの向こうの世界が夢なのか。アリストテレス的には前者なのだろうが、Jovianは胡蝶之夢という線もあるのではないか、などと邪推してしまう。ただ、アリストテレスの幸福論を追求していけば、恋する気持ちは幸福の構成要素であっても、恋する相手はそうではない。詳しくは『 二コマコス倫理学 』を読まれたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

steelworks factory

製鉄所の意。こんな語彙はTOEICでは100%出ない。英検1級ならまれに出るかも。TOEFLやIELTS(アカデミック・モジュール)なら時々出てくるかもしれない。まぼろし工場も英訳するなら illusion factory となるのだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ハント 』
『 ほつれる 』
『 オクス駅お化け 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, アニメ, ファンタジー, ラブロマンス, 上田麗奈, 久野美咲, 日本, 榎木淳弥, 監督:岡田麿里, 配給会社:MAPPA, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 アリスとテレスのまぼろし工場 』 -世界観の構築が弱い-

『 BAD LANDS バッド・ランズ 』  -社会の底辺の連帯-

Posted on 2023年10月1日2023年10月1日 by cool-jupiter

BAD LANDS バッド・ランズ 55点
2023年9月30日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:安藤サクラ 山田涼介 生瀬勝久
監督:原田眞人

 

安藤サクラ主演ということでチケット購入。

あらすじ

大阪で特殊詐欺グループで三塁コーチ役を務めるネリ(安藤サクラ)は、大阪・西成で底辺の人々と暮らしていた。彼女は組織の番頭、高城(生瀬勝久)の元で警察の捜査をかいくぐって生きてきた。ある時、弟のジョー(山田涼介)と共にネリはある賭場に向かうことになり・・・

ポジティブ・サイド

個人的には冒頭のシーンが楽しめた。映画の中で職場近くの風景がたくさん観られるというのは面白い。Jovianはよく大川沿いを散歩していたりする。大阪都心部で働く人にはお馴染みの淀屋橋、難波、天王寺などの景色を観ると、架空のストーリーにもリアリティが付与される。

 

社会の下層民の描き方もいい。単なる怠惰な人間の集団ではなく、適度にインテリが混じっていたり、あるいはお上に対する反骨精神からの連帯感を発揮したりと、現代性と大阪らしさの両方が盛り込まれている。

 

安藤サクラはまさにインテリ下層民の代表。とある事情により東京から逃げてきた。そして番頭の高城の庇護のもとで詐欺の片棒を担いでいる。当然のように警察からマークされる。また東京の富豪からも常に監視をされている。そんなネリが、弟ジョーと共に起こした事件により、大金を得たものの警察とヤクザを相手に逃走する羽目になる。その過程が堪えられないサスペンスを生み出している。

 

『 さがす 』に続く、大阪社会のダークサイドと、ウェットな人間関係にあふれた作品。大阪人、関西人ならぜひ鑑賞を。

ネガティブ・サイド

生瀬勝久の大阪弁はパーフェクトだが、安藤サクラはやはりネイティブからは遠い。山田涼介は論外。大阪弁の要諦である小さい「ァ」、「ィ」、「ゥ」、「ェ」、「ォ」ができていない。「血」ではなく「血ィ」みたいに発音するのが大阪弁。誰か指導できるスタッフはおらんかったんかいな。

 

さらにこのジョーというキャラクターの設定がブレまくり。自分で自分をサイコパスと言いながら、中盤に友情出演している某キャラにあっさりと撃退される。かと思えば、最終盤にはガンガン人を殺しまくり。強いのか弱いのか、サイコなのかチキンなのか、よう分からん。山田涼介の出てくるシーン全般はノイズに感じられた。

 

後は特殊詐欺組織の脆さか。そこであっさりとそんなこと喋るか?高城の教育はどないなってんの?なんか番頭と聞くと漫画『 魔風が吹く 』の番頭を思い浮かべるのだが・・・ いくら高城が裏社会の大物でも、使っている手下がこんなアホでは、あっという間に警察に摘発されているはず。ここらあたりの警察捜査の過程はかなりご都合主義に感じられた。

 

総評

ストーリーは文句なしに良い。大阪を舞台にしたところや、大道具・小道具に衣装などのプロダクションデザインも素晴らしい。問題はジョーというキャラ、そして天童よしみや江口のりこといった、いくらでもサブプロットを生み出せそうなキャラを多数出しながら、特に彼ら彼女らが活かされなかったところ。それでも、このような社会の暗い一隅を照らそうとするエンタメ作品が日本でも作られ、公開されたということは歓迎したい。関西人はもちろんのこと、日本中の人に観てもらいたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

rotten edge

劇中で腐れ縁の訳語としてネリが挙げた表現。なのだが、これは腐れ縁というよりは悪縁や険悪な仲を指す言葉で、日本語の「腐れ縁」が持つ、切れそうで切れない縁というニュアンスはない。腐れ縁は on and off relationship または on/off relationship が最も当てはまりそう。ちなみに rotten edge は

Our love for each other became a rotten edge.
私たちの愛情は剣呑なものになってしまいました。

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 アリスとテレスのまぼろし工場 』
『 ほつれる 』
『 オクス駅お化け 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, クライムドラマ, 安藤サクラ, 山田涼介, 日本, 生瀬勝久, 監督:原田眞人, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 BAD LANDS バッド・ランズ 』  -社会の底辺の連帯-

『 グランツーリスモ 』 -壮大なインフォマーシャル-

Posted on 2023年9月25日 by cool-jupiter

グランツーリスモ 30点
2023年9月23日 TOHOシネマズ伊丹にて鑑賞
出演:アーチー・マデクウィ デビッド・ハーパー オーランド・ブルーム
監督:ニール・ブロムカンプ

鑑賞する気は毛頭なかったが。世評では本作は『 RRR 』や『 トップガン マーヴェリック 』に比肩すると言われている。ならばとチケットを購入。

 

あらすじ

小さな頃からクルマが大好きだったヤン・マーデンポロー(アーチー・マデクウィ)は、PlayStationゲーム『 グランツーリスモ 』で抜群の腕前を誇るゲーマーになっていた。同作のトップゲーマーたちを集めて、現実のレーシング・ドライバーに育成するというGTアカデミーが発足。ヤンも招集されるが、そこで出会ったコーチは、ゲーマーがレーサーになれるわけがないと思っているジャック・ソルター(デビッド・ハーパー)だった・・・

 

ポジティブ・サイド

主人公のヤンのバックグラウンドを丁寧に描いている点には好感を抱いた。元サッカー選手の父にサッカー選手として花開いた弟、憧れの女の子オードリーとの絶妙な距離感など、ゲーマーとしてだけではなく一人の人間としての個別性がしっかり確立されていて、そのことがストーリーの要所要所のイベントとリンクしていく。愛したいのに愛せない父親と憎らしいけれど愛すべきコーチの対比も映える。

 

これが実話(をベースにした物語)だというのだから恐れ入る。VRが教育に徐々に取り入れられていっているが、各種の技能の訓練にシミュレーターがどんどんと使用されるようになっていく、という近未来を予感させてくれたのも、教育業界人の端くれとして thought-provoking だと感じた。

 

日本発のゲームが基になっており、開発者も日本人なので、日本(東京)の描き方に問題はなかった。よくあるハリウッド映画だと床の間に掛け軸のようなトンチンカンな日本家屋ではなく、ネオンサインに彩られたガヤガヤしたアジア的あるいは無国籍な繁華街の雰囲気は良かった。

 

ネガティブ・サイド

『 トップガン マーヴェリック 』や『 RRR 』に並ぶ面白さは感じなかった。もちろん、何を面白いと思うのかは個人の感性なので、そういうレビューをする人はそういう感性の持ち主なのだと納得するしかない。ただ、比較するなら『 トップガン 』の方だろう。複雑な家庭出身の主人公がアカデミー入りを果たし、大きな事故を経ながらも大活躍。新しい仲間を得て、自分の選んだキャリアを全うしようと決意する・・・って、まんま『 トップガン 』のプロットと同じやんけ。さらにエンヤとケニー・Gの楽曲が随所で挿入されるのも、80年代のイケイケ音楽と同時のオールディーズをふんだんに取り入れた『 トップガン 』ともよく似ている。つまり、オリジナリティはない。ニール・ブロムカンプといえば『 第9地区 』や『 エリジウム 』のように、差別や格差といった社会問題をうまくエンタメに昇華する監督だが、今作で彼の持ち味が発揮されたかというと、やや疑問。こういう構成にするなら、エドガー・ライトやジョセフ・コジンスキーの方が明らかに上手だろうと思う。

 

トップガンとの最大の違い、かつ本作の最大の弱点は、ゲームと現実の絶対的な境目である加速やターン時のGフォースをあまり描けていなかったこと、なおかつそのGをどのように克服していったのかという過程が思いっきりすっ飛ばされていたこと。そしてゲームではリセットできても、実際の運転ではリセットは不可能という絶対的な現実を乗り越える過程もなかった。序盤にヤンがパトカーを振り切る運転を見せたが、これなどはコーチのソルターが最も嫌う行動ではないか。現実にこんな anecdote があったとも思えない。映画化にあたっての脚色なのだろうが、個人的には蛇足に感じた。

 

本来描かれるべきゲームと現実の絶対的な相違を克服する過程の代わりに、本作はこれでもかと音楽を売り込んでくる。別にそれはそれで構わないし、それがヤン・マーデンボローという人物を正確に描くには欠かせないのは分かる。問題はそのことがストーリーに特に深みを与えていないこと。GTアカデミーの仲間たちがヤンのヘッドホンからの音漏れで夜中に目を覚ましてしまうシーンがあったが、もしもその後に一度は袂を分かった仲間たちが、ヤンの影響を受けて、自分なりのキラーソングを見つけて活躍するようになった、というひとかけらの描写や説明があれば良かったのだが、それもなし。よくできたミュージック・プロモーション・ビデオだとは言えるが、レーサーとしての成長を描くドラマとしては微妙と言わざるを得ない。

 

最後の最後でとあるプレゼントが大きな役割を果たすが、「おいおい、完全に使いこなしてるやんけ」と突っ込みを入れざるを得なかった。SONYのウォークマンはJovianも愛用しているが、ソルターがブルートゥース接続をするというのがまず想像できないのだが・・・

 

総評

正直なところ期待外れ。ストーリーも陳腐で細部も突っ込みどころだらけ。しかし、Jovian妻は「まあまあ面白い」とのことだった。さらに鑑賞後のトイレで若い男性二人が「あのゲーム、やりたくなった」と話していたりで、大傑作とは言わないまでも佳作とは言えるかもしれない。どんな作品でも最後は作り手と受け取り手の波長の問題となる。Jovianは無線の音声が印象に残ったので、『 グランツーリスモ 』よりも Ace Combat シリーズをもう一度プレーしてみようかな、と感じた。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

podium

表彰台の意。ラテン語では pod = 足、ium=場所である。足の乗る場所なので表彰台となる。pod は ped にもなり、ペダルやペディキュアといった語からも足の意味が読み取れる。英語に自信のある人なら centipede =百足=ムカデ、arthropod =節足動物などを思い起こすかもしれない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 キリング・オブ・ケネス・チェンバレン 』
『 アリスとテレスのまぼろし工場 』
『 ほつれる 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アーチー・マデクウィ, アメリカ, オーランド・ブルーム, スポーツ, デビッド・ハーパー, 伝記, 監督:ニール・ブロムカンプ, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 グランツーリスモ 』 -壮大なインフォマーシャル-

『 劇場版シティーハンター 天使の涙 』 -序章と銘打つべし-

Posted on 2023年9月20日 by cool-jupiter

劇場版シティーハンター 天使の涙 40点
2023年9月17日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:神谷明 伊倉一恵
総監督:こだま兼嗣

 

簡易レビュー。

あらすじ

冴羽獠(神谷明)と槇村香(伊倉一恵)のもとに、動画配信者のアンジーから逃げた猫を捜して欲しいとの依頼が入る。破格の報酬に猫を探し出そうとする二人。しかし、その依頼は獠の凄絶な過去に結びつくことになる依頼で・・・

ポジティブ・サイド

1980年代からしっかり現代にまでアップデートできている。ただし、いくら時代がアップデートされても「もっこり」は健在。これを失ってはシティーハンターがシティーハンターではなくなってしまう。シリアス極まりないシーンにも「もっこり」という台詞をぶち込んでくるあたり、製作者側は時代がうつろいゆく中でも失ってはいけないものが何であるのか分かっている。

 

一方でシティーハンター冴羽獠の超絶射撃は健在。手に汗握るアクションは十分に堪能できた。特に今回の相手は格闘戦でも獠を圧倒する。このハラハラドキドキ感は、通常のエピソードでは味わえない。すべてを吹っ切った獠の神業による決着は、まさに狙撃手の面目躍如。ゴルゴ13よりも冴羽獠の方が総合力では上手かな。

ネガティブ・サイド

神谷明、伊倉一恵、キャッツアイの面々の声の衰えが顕著である。こればっかりはどうしようもないが、どこかの時点でアニメ『 ドラえもん 』や『 サザエさん 』のように、声優交代は必要だったのではないかと感じてしまう。

 

そのキャッツアイの登場は北条司ワールドのスターシステムだと思えば普通にあり。しかし、『 うちのタマ知りませんか 』や『 ルパン三世 』まで出てきてしまえば、世界観も何もない。ところどころにものすごいノイズが混じったように感じられた。やるなら同じ媒体(週刊少年ジャンプ)のネタをてんこ盛りにした『 シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション 』に倣うべきだった。

 

海坊主が完全なる役立たず。なんだかなあ・・・

 

中途半端なインフォマーシャルも不要。カップ麺メーカーがスポンサーなのか?

総評

最終章への序章なら、序章であると銘打ってほしい。劇中でも北条司本人(?)が続編への意欲を示していたが、早くしないと声優陣が本格的に枯れてしまう。事実、映画館も結構な入りだったが、若い世代は見当たらず。ほとんど40代以上に見えた。今ならギリギリで純度100%のシティーハンターが製作できるはず。欲をかいて2章、3章と作るのではなく、次作でスパっときれいにまとめてほしい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

crowning achievement

最高傑作という表現はいくつかあるが、殊に弟子のような意味合いの場合はこの表現を使うことが多い。Plato was the crowning achievement of Socrates’ many disciples. =プラトンは数多くのソクラテスの弟子の中でも最高傑作であった、のように言える。英検準1級以上を目指すなら知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 アステロイド・シティ 』
『 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 』
『 アリスとテレスのまぼろし工場 』

 

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Posted in 国内, 映画, 未分類Tagged 2020年代, D Rank, アクション, アニメ, 日本, 神谷明, 総監督:こだま兼嗣, 配給会社:アニプレックスLeave a Comment on 『 劇場版シティーハンター 天使の涙 』 -序章と銘打つべし-

『 天空のサマン 』 -編集に難あり-

Posted on 2023年9月17日 by cool-jupiter

天空のサマン 50点
2023年9月10日 シアターセブンにて鑑賞
出演:関雲徳
監督:金大偉

簡易レビュー。

 

あらすじ

金大偉は、失われゆく満州語と満州人のシャーマニズムを受け継ぐ現代サマンたちへの取材を通じて、文化と伝統を維持していくことの意義を模索する。

ポジティブ・サイド

1100万人の満州人がいても、ネイティブ満州語は絶滅の危機にあると言う。文化とは存在ではなく営為だが、その営為を可能にするのは言葉と行動だ。本作はその行動の中でもシャーマニズムに注目するという意味で非常にユニーク。Jovianの大学での専攻は宗教学で、専門は東北アジアにおけるアニミズム思想だった。なのでシャーマニズムの概要についても、それなりの知識を有している。なので本作で描かれる儀式や神歌の数々は非常に興味深く映った。

 

ヨセミテなどの美しさに魅せられたジョン・ミューアや、英国人ながら、いや英国人ゆえにアメリカの雄大な自然に魅了された風景画家トマス・コールなど、欧米人も自然の美しさを解する心はある。しかし、自然そのものを神聖視し、自然と交感・交流しようという意志や行動は見られない。それはアボリジニやネイティブアメリカンのもの。Jovianも大昔にアリゾナを旅行した時、ナバホ族のパフォーマンスを見たことがある。あれも一種のシャーマニズムだろう。今やシャーマニズムは中心ではなく周辺にしか残っていない。それは日本も同じ。中国も同じだろう。多様性や包摂、自然環境保護などの視点から周辺に追いやられた満州民族の伝統的風習から学べることは多い。

 

ネガティブ・サイド

編集に難ありと言わざるを得ない。時系列ごとにまとめるか、あるいは取材地域ごとにまとめるか、それとも祖先崇拝や神域での行事などサマンの行う各種のイベント種類ごとにまとめるなど、何らかの軸を持ったドキュメンタリー作品に仕上げるべきだった。時間の面でも場所の面でも、かなりバラバラになってしまっていて、正直なところ分かりやすい構成とは言い難い。DVD販売あるいは配信に際して再編集をお願いしたい(無理だろうが)。

 

低予算映画ゆえと言ってしまえばそれまでだが、監督自身が務めたナレーションがかなり稚拙に聞こえた。それは声の大きさ、発話の速度、抑揚(中国語にしてはずいぶんと控え目に聞こえた)など、プロフェッショナルとは思えなかった(監督の中でも『 主戦場 』のミキ・デザキはかなり上手かった印象がある)。『 JOMON 私のヴィーナス 』のブレイク・クロフォードのように、製作スタッフの中からナレーションに長けた人物を選ぶという方法もあったはず。

 

総評

日本人にとっては、シャーマニズムを通じて文化と言語を保持しようする人々の奮闘、つまり自らのアイデンティティーを見つめ直し、それを維持しようと思う機会になるかもしれない。観やすい、聞きやすい作品ではないのだが、興味を引くテーマを扱っていることは間違いないし、神歌や祖霊崇拝の儀式は同じアジア人という視点から共感しやすい。大学生で宗教学や人類学を学びたいという人は是非観てみよう。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

我

ウォと発音する。意味は「私」だが、つまりは一人称単数のこと。日本語は私、僕、俺、あたし、わたくし、吾輩、うち、など外国人泣かせの一人称を持つが、中国語ではウォだけ覚えればOK。これは劇中で数えきれないぐらい聞こえてくるのですぐに分かるだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

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『 劇場版シティーハンター 天使の涙 』
『 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ドキュメンタリー, 日本, 監督:金大偉, 配給会社:TAII Project, 関雲徳Leave a Comment on 『 天空のサマン 』 -編集に難あり-

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