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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: D Rank

『 HELP 復讐島 』 -孤島のリベンジ-

Posted on 2026年2月25日2026年2月25日 by cool-jupiter

HELP 復讐島 50点
2026年2月21日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:レイチェル・マクアダムス ディラン・オブライエン
監督:サム・ライミ

 

サム・ライミ監督作ということでチケット購入。

あらすじ

リンダ(レイチェル・マクアダムス)は勤め先の代替わりで副社長の座を約束されていたが、新社長のブラッドリー(ディラン・オブライエン)はそれを保留。チャンスを与えるためにタイ企業の買収に付き添えとチャーター機にリンダを乗せるが、その機が墜落。二人は島に流れ着くが・・・

 

ポジティブ・サイド

プロットは単純明快。南国の島で文明人二人は生きていけるのか。文明世界の上下関係は維持されるのか、変容するのか。『 キャスト・アウェイ 』を一人ではなく二人でやるとどうなるのか、という感じか。

 

パワハラ描写、暴力描写にエロではないお下劣描写がコミカルに描かれている。一方で恐怖描写もなかなかのもの。ヒグマ並みに怖いイノシシや、ホラー映画的な幻覚でも魅せる。この表現の融合と振れ幅がライミらしい。

 

サバイバル術に長けたリンダとプライドをなかなか捨てられないブラッドリーの上下関係が徐々に逆転していく様が痛快だ。互いに協力関係を築きつつも、虚々実々の馬鹿試合、ならぬ化かし合いもあり、コミカルだ。適度にシリアスになりつつ、アホなテンションで突っ走る作品だ。

 

ネガティブ・サイド

序盤でとある台詞があるが、もう少しうまく誤魔化してほしかった。あるアイテムの入手と同じく、この時点でオチというかクライマックスまで想像できた人は多かったはず。元々ブラッドリーがかなり活発な性格で・・・おっと、これ以上は野暮か。

 

リンダのキャラがにかなり気持ち悪い面があり、パワハラ被害者という側面があまり際立たなかった。普通のシゴデキ女史でよかっただろうに。

 

黒人差別は許されないが、タイ人差別・アジア人差別はOKであるかのような描写はいかがなものか。脚本家および監督の頭の中がアップデートされていない、あるいはそれが差別であると気付けていないのか。

 

総評

少ない登場人物と限られた空間で笑いあり、怒りあり、涙ありのドラマになっている。週末の暇つぶしにはちょうどいい。ただし、前述のようにアジア人差別(というか軽視か)と解釈されうる描写があり、そこをどう捉えるかで印象が少し変わる。パはわら気質の上司や会社に鬱憤がたまっているという向きなら楽しめるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You work for me.

「お前は俺のために働くのだ」という意味で、WWEのビンス・マクマホンがかつてエリック・ビショフやポール・ヘイマン相手にこのフレーズをしょっちゅう使っていた。単に上下関係を表すだけではなく、威嚇や脅迫の意味(You’re fired!)も含まれている。自分で使うことはめったにないだろうが、会社を舞台にしたドラマや映画を観る時に聞こえてくることがあるだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 トゥギャザー 』
『 ブゴニア 』
『 映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, スリラー, ディラン・オブライエン, レイチェル・マクアダムス, 監督:サム・ライミ, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 HELP 復讐島 』 -孤島のリベンジ-

『 禍禍女 』 -クレイジーな三角関係-

Posted on 2026年2月11日2026年2月11日 by cool-jupiter

禍禍女 40点
2026年2月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:南沙良
監督:ゆりやんレトリィバァ

最初のトレーラーが出た時にはスルー予定だったが、南沙良主演と知り、チケット購入。

あらすじ

早苗(南沙良)は同じ大学の宏に恋焦がれるも、彼は別の女の子に夢中で振り向いてくれない。なんとか宏に好かれようとする早苗だが、その宏が謎の怪異、禍禍女に取りつかれてしまい・・・

ポジティブ・サイド

『 もみの家 』の頃から切に願っていたこと、すなわち南沙良のハンドラーたちは彼女に決して凡百の恋愛漫画の映像化のキャラを演じさせないでほしい、という願いは確実に届いているようである。南沙良がまたもエキセントリックな役を見事に演じきった。ストーカー気質女子にして、変態プレゼントを作成してしまう、かつ言葉そのままの意味で芸術的な自慰行為に耽るというキャラで、この役をオファーされて引き受ける女優は日本には10人もいないのではないか。本人およびハンドラーたちにはぜひともこの路線を継続してもらいたい。

説明台詞に頼るのではなく、わざとらしいキャラの配置で物語の方向性を示すというのは悪くない。田中麗奈が『 ナイトフラワー 』とほとんど変わらない役柄だったが、なっちゃんはしばらくこの路線で安泰か。

ネガティブ・サイド

何もかもが中途半端に感じられた。禍禍女が好いた相手を100パーセント殺し、両目を持ち去るのが怖いのか。それとも想い人が死んでなお思い続け、あまつさえ怪異に対して復讐を果たそうとする早苗が怖いのか。それとも呪いの力をほしいままにしようとする人間が怖いのか。二兎どころか三兎を追って、バランスを崩したか。

南沙良への追い込みも足りない。アトリエで宏の像相手に壮大な自慰行為(あくまで比喩だが)をさらすシーンはロングのワンショットで観たかった。また宏へのとんでもないプレゼントを作るシーンも見せるべきだった。イッた目であれを処理する女子大生を演じられるのは南沙良ぐらいしかいないのだから、そこに彼女を追いこむべき。

食べ物への異物混入は社会情勢的にありなのか?近年は「本作撮影時に動物に危害は加えられていない」云々の宣言が出るが、本作がきっかけで「本作の撮影に際して食べ物を粗末に扱うようなことはしておりません」という表示が出るようになる、というのは考えすぎか。

色々なホラー・ジャパネスクに対するオマージュが盛り込まれていたが、それらがオマージュではなくクリシェになっていた。オマージュは敬意から来る遊び心であって、定番のシーンや構図を入れておけばいいというものではない。クズ男が怪異に無残に殺される、さらに霊能者もあっさり殺されるというのは『 来る 』で見た。禍禍女そのものも『 リゾートバイト 』でそっくりのやつがいた。

独自の恐怖のセンス、たとえば禍禍女が人間に変化する、あるいは人間が禍禍女に変化する。そのスイッチが好かれている側の気持ちではなく、そのことに嫉妬する者の気持ちだったら?そうしたプロットに集中すれば、呪いの女と異常な恋心の女のバトルという新しい路線を生み出せたのでは?これは監督ではなく脚本家への注文か。

爆破エンドですっきりするのは監督以外にいるのか?

総評

観終わった直後、「何じゃこりゃ?」だった。ちょっと無理をして詰め込み過ぎ、かつホラーなのか、コメディなのか、リベンジスリラーなのか、ジャンルもはっきりしなかった。シェアハウスはノイズ。狂った女はストーリーの中では早苗だけでいい。本当は30点だが、南沙良の演技で10点おまけしておく。南沙良ファンなら必見。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

banned words

職業側、使ってはいけない言葉を受講生に教えていたが、よくよく考えるとこれは矛盾している。近年のAIキャラと会話できるアプリの進化は凄まじいが、そこで使用禁止語句が設定されているものは実は結構珍しい。そうした禁止語句は banned words と呼ぶことが多い。本作では南沙良がとんでもない banned words を連発するシーンが白眉である。

次に劇場鑑賞したい映画

『 ペンギン・レッスン 』
『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, コメディ, スリラー, ホラー, 南沙良, 日本, 配給会社:K2 PicturesLeave a Comment on 『 禍禍女 』 -クレイジーな三角関係-

『 MERCY マーシー AI裁判 』 -推定無罪の原則を忘れるな-

Posted on 2026年1月27日 by cool-jupiter

MERCY マーシー AI裁判 40点
2026年1月24日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:クリス・プラット レベッカ・ファーガソン
監督:ティムール・ベクマンベトフ

 

仕事で毎日AIをこき使っている者として、チケット購入。

あらすじ

警察官のクリス・レイブン(クリス・プラット)は目が覚めると、AI裁判官のマーシー(レベッカ・ファーガソン)の前にいた。罪状は妻殺し。自身の犯行ではないと90分以内に証明できなければ処刑される。クリスはデータベースの中で真相を追うが・・・

ポジティブ・サイド

現代のアメリカ社会を(報道を通して)観察する限り、『 シビル・ウォー アメリカ最後の日 』の日に近づいている・・・とまではいかないものの、分断と排斥がかなり進んでいるようだ。本作の冒頭数分で描かれるようなレッドゾーンの設置などは近い将来に現実になるかもしれないと感じさせられた。

 

人間が乗れるタイプのドローンもかっこいい。アメリカや中国なら安全性は別にして一部の場所で実際に飛ばせそうな、リアルなガジェットだ。

 

主人公はなかなかクソ野郎なのだが、警察官としては優秀で、情報を片っ端から線形分離していく。これは秀逸で、情報を非線形分離するAIとのコントラストになっていた(が、マドックス自身は情報を非線形分離していないようだったが)。人間の直感をうまくビジュアル化できていたと思う。

 

真相もまあまあ。いつの時代でも『 コンタクト 』の狂信者みたいな奴はいるのものである。

 

ネガティブ・サイド

構成はほとんど『 search サーチ 』と同じで、大部分はモニター画面上で進行する。残念ながら、そこに目新しさはなかった。

 

筋立てとしては『 マイノリティ・リポート 』と同じく、警察官自身が殺人の嫌疑をかけられるというもの。ただ『 マイノリティ・リポート 』は事件発生前であるため、弁護士も何もない。一方で本作では主人公の妻が殺害されている。にもかかわらず、弁護士もつかず、ろくな捜査もなく、いきなり処刑まで90分。しかも、推定有罪ときた。これが2080年とかなら、まあ分からなくもないが、2029年?3年後?

 

SFだと言われればそれまでだが、推定有罪率92%で処刑というのは誰が決めた?たとえばの話、100回中8回エンジンがかからないクルマ、100回中8回鳴らないインターホン、100回中8回起動しないPCなどがあったとして、誰がそんなものを買って、使うのか。設定があまりにも荒唐無稽すぎて、白けてしまった。

 

そもそもトレーラーが色々と余計な情報を出し過ぎ。さらにハリウッド映画を見慣れている人なら、開始から20~30分で「ははあ、真相は不明だが、多分こいつが犯人または元凶だな」と分かってしまう。Jovianも第一感で怪しいと感じた人物がそれだった。つまらん。

 

途中でAI裁判官のマドックスがグリッチを起こすが、そんな演出は不要だった。

 

総評

AI裁判官というよりも、AIアシスタントだった。また、AIは膨大なデータを非線形分離させるため、新たな判断材料が提示されるたびにアウトプットが揺れ動く。が、本作ではクリスが新たな証拠やデータを見つけても、特に数字を変えないシーンが多く、リアリティは感じられなかった。AIに目をつけるのは良いが、リアリティを求めてはだめ。手持ち無沙汰の週末に暇つぶしのために観るぐらいの気持ちでちょうどいい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

red tape

まさか先日紹介したばかりのフレーズが出てくるとは。AIがとある会社を指して「あそこは手続きが面倒くさい」と言うのだが、そこでこのフレーズが使われていた。弊社もデジタル署名が可能なのに、なぜかそれをプリントアウトして押印しなければならないという理不尽な red tape が一部の役員向けに存在する。そういう日本企業は実はかなり多いのではないだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 28年後...白骨の神殿 』
『 安楽死特区 』
『 マーズ・エクスプレス 』

 

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Posted in 海外Tagged 2020年代, D Rank, SF, アメリカ, クリス・プラット, サスペンス, レベッカ・ファーガソン, 監督:ティムール・ベクマンベトフ, 配給会社:ソニー・ピクチャーズLeave a Comment on 『 MERCY マーシー AI裁判 』 -推定無罪の原則を忘れるな-

『 アバター ファイヤー・アンド・アッシュ  』 -同じことの繰り返し-

Posted on 2025年12月30日2025年12月30日 by cool-jupiter

アバター ファイヤー・アンド・アッシュ 40点
2025年12月29日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:サム・ワーシントン スティーブン・ラング ゾーイ・サルダナ ウーナ・チャップリン
監督:ジェームズ・キャメロン

 

『 アバター ウェイ・オブ・ウォーター 』の続編ということでチケットを購入・・・ではなくポイントで交換。

あらすじ

クオリッチ大佐(スティーブン・ラング)を撃退したジェイク(サム・ワーシントン)だったが、スパイダーの安全のために彼を風の商人たちと共に基地へ送ることを決断する。しかし、その途上でヴァラン(ウーナ・チャップリン)率いるアッシュ族の襲撃を受け、一家は離散してしまう。さらに、クオリッチが銃器提供を見返りにアッシュ族と手を結び・・・

 

ポジティブ・サイド

映像は確かに素晴らしい。また、スパイダーやキリ、その周辺のキャラクターに対する深堀もされている。

 

一作目と二作目のキャラおよびクリーチャーの復帰も歓迎したい。特にトビウオは汎用性がありすぎ。もし自分で辞書を作れるのなら「キモカワイイ」の挿絵に採用したい。

 

今回はスカイ・ピープル側にも良心の持ち主がいて、彼のささやかな反抗はかなりの破壊をもたらしてくれる。このキャラも、アッシュ族のギャランと共に次作に出てきそう。

 

中途半端な奇跡を起こすばかりだったエイワが、やっと攻撃的な姿勢を見せてくれた。次作は地下世界だと思われるので、巨大地震で地割れを起こして、スカイ・ピープルの基地を一掃してほしい。そして完結編の5作目は成層圏バトル。磁力線の竜巻で宇宙船をことごとく破壊してほしい。

 

ネガティブ・サイド

ナヴィの武器に銃器が本格的に加わってしまったことで、本作のファンタジー要素がはがれ落ち、単なるSFアクションになってしまった。弓矢で戦うところがこの上なくクールだったのに、残念である。

 

キリの出自に関しての情報が明かされるが、それは今さら驚くようなことなのか?ジェイク(のアバター)の方が客観的にはるかにおかしな生まれ(?)に思えるのだが。

 

スパイダーをめぐってのジェイクとネイティリのやりとりはなんだかなあ。これまでの描写からして、その役割、逆ちゃう?

 

そのスパイダーも、基地からあっさりと脱走。人類史上でも最高級に貴重な標本を何だと考えているのか。

 

全体的に言葉が汚すぎ。地球的、もっと言えばアメリカ的な言葉を話すナヴィは、もはやナヴィではなくなりつつある。そもそも一番汚い言葉を話すスパイダーは、誰からそれらを教えられたのか。

 

また、そうした swear words を使った台詞やその他の台詞に、過去の作品からのパクリ的なものが多すぎたという印象を受けた。”You’re our only hope.” は『 スター・ウォーズ 』のレイア姫的だし、”Leave my mother alone, bitch.” は『 エイリアン2 』のリプリーの “Get away from her, you bitch!”にそっくり。またクオリッチ大佐の “Ain’t this a bitch?” も『 フルメタル・ジャケット 』の ”Ain’t war hell?” を彷彿させた。他にも「ん?これはあの映画の台詞では?」というものが多数。オリジナリティはどこへ?

 

総評

一作目は『 ポカホンタス 』を彷彿させて面白かった。二作目は急に陳腐化して、『 アフリカン・ダンク 』になった。本作ではさらにフツーの映画になってしまった。それなりに面白いのだが、似たような展開はいくらでもあり、食傷気味である。次の舞台は地下世界か?映像技術の革新という意味ではシリーズを続ける価値はあるのだろうが。鑑賞中、眠りこそはしなかったものの、10回ぐらいは大きなあくびが出てしまった。それが本作の評価である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

calibration

元々はcaliber=銃の口径で、動詞化するateがついてcalibrate=銃の射程を測るの意となり、それをさらに名詞化してcalibrationとなっている。技術の世界でキャリブレーションテストと言えば、機器を標準に設定された値に補正するためのテストのこと。JovianはAIを使ってのフィードバックが一定の水準になるように年に数回、キャリブレーションテストを行っている。技術分野の人、あるいは技術の分野に進もうと考えている人は知っておきたい語。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 星と月は天の穴 』
『 ボディビルダー  』
『 YADANG ヤダン 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SFアクション, アメリカ, ウーナ・チャップリン, サム・ワーシントン, スティーブン・ラング, ゾーイ・サルダナ, 監督:ジェームズ・キャメロン, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 アバター ファイヤー・アンド・アッシュ  』 -同じことの繰り返し-

『 シェルビー・オークス 』 -クリシェ満載の竜頭蛇尾-

Posted on 2025年12月14日2025年12月14日 by cool-jupiter

シェルビー・オークス 40点
2025年12月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:カミール・サリバン
監督:クリス・スタックマン

 

個人的に大好きで、英語の勉強の参考にさせてもらっていた映画批評家YouTuberのクリス・スタックマンの脚本および監督作品ということでチケット購入。

あらすじ

YouTube配信グループのひとり、ライリーがシェルビー・オークスで疾走した。仲間の惨殺死体が発見されるも、ライリーの行方は不明なまま。12年後、思いがけない形でライリーの失踪と彼女の仲間の死の真相に迫るテープを手にした姉のミア(カミール・サリバン)はライリーを探し出すためシェルビー・オークスへと向かう・・・



以下、本作品および他作品のマイナーなネタバレあり

ポジティブ・サイド

序盤は面白い。YouTubeでの配信というアイデアはリアルだし、そうした人間はどんどん過激なコンテンツを追い求めていく傾向にあるのも事実だ。

 

ヒントの出し方も巧み。いきなりマイルズが死亡するが、その最後の台詞が She finally let me go. であり、この She が誰を指すのかで観る側は疑心暗鬼になる。パラノーマルな現象が起きるシーンで気温が下がるのを吐く息が曇ることで表現するのもうまい。

 

より興味深いシーンはビデオ映像。序盤のライリーのビデオでは、窓の反射に重要なものが移っていることが後に分かるが、それは中盤のライリーのビデオでも窓の反射に注意を払えというヒントになっている。なかなか凝った趣向で、見方を必要最低限だけ提示するという、ある意味で観客を信頼した演出であると言える。

 

そうそう、最後のクレジットで出資者名がずらりと表示されるが、中に Shelby Begayさんというシェルビーの名を冠した人がいる。目に自信があれば探してみよう。

ネガティブ・サイド

ライリーをはじめとしたパラノーマル・パラノイズの面々が遭遇していた超常現象が本物なのか偽物なのかをもっと曖昧に見せるべきだった。誰もいない廃墟の小学校でいきなりドアが閉まるシーンも、カメラをドンピシャのタイミングでそっちに向ければ、「ああ、仕込みね」と思われても仕方がない。そのあたりの虚実をうまく曖昧なままにしておかないと、ホラーやスーパーナチュラル・スリラーの要素が一気に萎む。そして、本作はまさにその愚を犯した。

 

ミアがいきなりシェルビー・オークスに旅立つあたりから一気に物語は陳腐化する。基本的にすべてどこかで観たことのあるシーンや展開のパッチワークで、

 

『 ブレア・ウィッチ・プロジェクト 』
『 オーメン 』
『 ローズマリーの赤ちゃん 』
『 エクソシスト 』
『 へレディタリー/継承 』

 

のようなメジャーどころが頭に思い浮かぶ人が多いはず。

 

突っ込みどころは数々とあるが、ネタバレになるのでやめておく。ただ、どうしてもこれだけは言いたい。クリス・スタックマンは『 ミスター・ガラス 』のネタバレ・レビューで 

 

One of them should have realized he could just cover their eyes 

 

とまっとうな批判をしていたが、同じように言わせてもらえば、 

 

Either Mia or Riley should have realized she could just close the curtains 

 

となるだろうか。

 

街の衰退をひとりの人物に結び付けるのはあまりにも非合理的。そして、その理由が悪魔に憑かれていたというのはもっと非合理。そして、ミアがそう信じる契機が囚人のコメントって・・・

 

また冒頭で死亡するマイルズの刑務所入りの期間を2002年~2007年の5年間としているが、これは6年間の間違いでは?単純ミスではすまない。なぜなら、この期間にライリーの夜驚症が収まっていたことになっているから。なんでこんな設定レベルのところでミスるかな・・・

 

謎の老婆というホラーでは見飽きた設定をここでも採用。悪魔よ、本当にことを為したいなら、使うのは老婆ではなくもっと若い女性もしくは男性だぜ・・・

 

総評

料理評論家が料理の達人でないのと同様、映画のレビュワーが必ずしも優れた映画監督とは限らない・・・と結論付けるのは早い。クリスが自分の我を通した結果がこうだったのか、それとも手慣れたスタッフたちの意見に耳を貸してこうだったのかで、評価は大きく分かれるはず。ただ、いずれにしろ、映画の出来についての評価を最終的に負うのは脚本家であり監督。その意味で決して良いデビュー作であるとは言えない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

abandon

捨てる、の意味。ごみを捨てるのではなく希望や乗っている乗り物、住んでいる土地などを捨てるという文脈で使う。『 果てしなきスカーレット 』でも地獄門にラテン語でRelinquite omnem spem, vos qui intratis と刻まれていたような。英語にすると Abandon hope, all ye who enter here. で「ここに入る者は希望を捨てよ」となる。 戦争映画などでは Abandon ship! や Abandon Area 3! のように使われる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ナイトフラワー 』
『 WEAPONS/ウェポンズ 』
『 ナタ 魔童の大暴れ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, カミール・サリバン, ホラー, 監督:クリス・スタックマン, 配給会社:KADOKAWALeave a Comment on 『 シェルビー・オークス 』 -クリシェ満載の竜頭蛇尾-

『 ラテン語でわかる英単語 』 -校正と編集に甘さを残す-

Posted on 2025年10月9日2025年10月9日 by cool-jupiter

ラテン語でわかる英単語 50点
2025年10月1日 読書開始(読了時期未定)
著者:ラテン語さん
発行元:株式会社ジャパンタイムズ出版

 

折に触れて小説やら新書を紹介しているが、今回はかなり異色の書籍を紹介したい。

 

概要

「本書は、英検®1級レベルの高い語彙力をつけたい方が効率よく英単語を学習できるように作成したものです」(3ページより抜粋)

 

ポジティブ・サイド

Jovianは英検1級に合格しているが、特段、対策はしなかった。なぜなら(と言っていいかどうか分からないが)ラテン語のバックグラウンドがあったからだ。大学3年生のまるまる一年間、〈ラテン語Ⅰ〉、〈ラテン語Ⅱ〉、〈ラテン語購読〉(わが母校は3学期制なのだ)を受講して、平日には2~3時間、ラテン語を勉強していた。もちろん、20年以上経った今ではかなり忘れてしまっているが、X(旧Twitter)界隈で時々見かける「語源がうんぬんかんぬん」と宣う輩よりは、遥かにetymologyの知識はあると自負している。そのJovianの目から見ても、なかなか面白い語がたくさん取り上げられている。

 

たとえば jus = 権利(86ページ)という語がある(個人的には ius と書きたいが)。これが jurisdiction や prejudice、juror や jury の語源であると知れば、一気にそうした方面の語彙が増える、あるいは覚えやすくなるだろう。

 

136ページの via = 道も面白い。ある程度英語力があれば、via Tokyo = 東京経由で、という意味になるのをご存じだろう。あの via である。ここから convey や convoy、また deviate などの語が派生している。

 

140ページの labor も味わい深い。英語でも労働だが、ラテン語でも労働だ。ここから laboratory = 仕事するところ → 実験室 となったり、あるいは elaborate《形容詞》 で「手の込んだ」、中島誠之助風に言うなら「いい仕事をしている」、という意味にもなる。日本語にも定着したコラボ= collaboration にも、しっかりと labor が入っている。

 

179ページの cedere = 行く、もぜひ知っておきたい。これにより exceed = 外に出ていく=超える、precede =(時間的に)先に行く、proceed =(空間的に)先に行く、secede = 脱退・分離独立する、なども容易に把握できる。本書では seccession をアメリカの南部諸州の独立だと紹介しているが、この語は2014年のスコットランド独立住民投票前に英字新聞で盛んに使われていたし、おそらくスペインからのカタルーニャ独立運動などが英語圏で報じられる際にも使われているはず。シネフィル(映画好き)っぽく言わせてもらえば、『 スター・ウォーズ 』の prequel trilogy で戦争が勃発したのは、通商連合が分離主義勢力=secessionist と組んでからだった。

 

語源の知識が英語力を伸ばすかどうかは不明だが、語彙力を伸ばす手助けになるのは間違いない。英検1級を目指す人が、ちょっと目先を変えた単語帳を求めるなら、本書も選択肢に入れていいだろう。

 

ネガティブ・サイド

大きな弱点が2つ。1つは著者の問題で、もう1つは編集・校正の問題。

 

ラテン語由来の英単語の網羅性がやや甘い。gradi を語源とする語としてregress, digress, congress, egress まで挙げておきながら ingress がないのは解せない。

 

manus = 手についても、派生語ではなく語の説明のところに manual = 手引書だと書くだけで、普通の学習者の腹落ち具合はかなり異なってくると思うのだが。なんでもal = 手引書だと書くだけで、普通の学習者の腹落ち具合はかなり異なってくると思うのだが。なんでもかんでも英検1級を基準に考えるべきではないと思う。parare のところで repair を取り上げているのだから、取り上げる英単語の選択が首尾一貫しているとは言い難い。

 

次に編集のミス(それとも著者のミス?)について。255ページのferreについて、「英語のtransfer「輸送する」とtranslate「翻訳する」は、同じ動詞(の違う語幹)が元になっている。つまり、完了形「私は運んだ」はtuli、「運ばれた」という意味になる完了受動分詞はlatusで、どちらもferreと起源が異なる形が使われているのだ」とあるが、起源は両方ともferreで同一である。正しくは『どちらもferreの時制や態が変化してできた異なる語幹(tulやlat)が使われているのだ』となるだろうか。

 

hortusの説明に「226で紹介したcohorsの関連語」とあるが、226とナンバリングされた語のところにも、226ページにもcohorsは記述されていない。これは編集・校正段階のミスだろう。

Jacereのところで、Jacta alea est =「さいは投げられた」としているが、これはAlea iacta est. の間違いではないか。いや、ラテン語は語順には融通無碍だが、歴史的な格言はそのままの語順を保つべきだ。

 

ザーッと軽く流し読みしただけで、これだけ「ん?」という記述が見つかるのだから、熟読するとどうなることやら・・・

 

英語のインデックスはあるが、ラテン語のインデックスがない。何故?

 

総評

英検1級を目指す人には向くかもしれない。あるいは時々存在する英単語マニアには好適か。ラテン語あるいはフランス語学習をある程度済ませた人には向かない。本書がベストセラーあるいはロングセラーになれば、そのうち errata がつくかもしれない。それを期待する意味でも本書を紹介しておく。もっとライトな語源の本がいいという人は GENGOZO でググってみよう。これはかつてのJovianの上司が作った本。たまにメルカリやヤフオクで売られている。間違いがかなり含まれているが、語源と英単語そのものの網羅性は(一応)本書よりも上である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ワン・バトル・アフター・アナザー 』
『 ブラックバッグ 』
『 RED ROOMS レッドルームズ 』

 

現在、【英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー】に徐々に引っ越し中です。こちらのサイトの更新をストップすることは当面はありません。

I am now slowly phasing over to https://jovianreviews.com. This site will continue to be updated on a regular basis for the time being.

Posted in 国内, 書籍Tagged 2020年代, D Rank, 学術書, 日本, 発行元:株式会社ジャパンタイムズ出版, 著者:ラテン語さんLeave a Comment on 『 ラテン語でわかる英単語 』 -校正と編集に甘さを残す-

『 8番出口 』 -平々凡々な脚本-

Posted on 2025年9月8日2025年9月8日 by cool-jupiter

8番出口 40点
2025年9月6日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:二宮和也 河内大和 浅沼成
監督:川村元気

 

鑑賞予定はなかったが、本作のモデル駅がJR大阪天満宮駅だという説に興味を惹かれた。なぜならJovianは毎日同駅の8番出口から会社に向かっているから。というわけでチケット購入。

あらすじ

地下鉄で派遣先へ向かっていた男(二宮和也)は、不思議な空間に迷い込み、出られなくなってしまう。異変がなければ進み、異変があれば引き返し、そして8番出口から出ることという謎のルールに従って、男は前へ進んでいくが・・・

ポジティブ・サイド

なんといっても謎のおじさんを演じた河内大和が抜群の存在感を放っている。あの歩き方、曲がり方、表情の作り方、止まり方、そのすべてがリアル。ここでいうリアルとは、こんなおじさんは絶対に存在しないはずなのに存在してしまっているという意味。

 

ゲームに忠実で、異変のあるべき場所もだいたい同じ(だった気がする)。通路の雰囲気も確かに大阪天満宮駅の8番出口脇から伸びて左に曲がっていくやや上りのスロープの場所とよく似ていた。9番出口を出てちょっと北に進むと某専門学校がある。KOTAKE CREATEはこの学校出身なのかもしれない。

ネガティブ・サイド

最初の5分でストーリーの展開と着地点が見えてしまった。ある程度映画を見慣れている人の多くがそう感じたのではないだろうか。そうしたキャラクターの背景を一切抜きにして、理不尽かつ意味不明なゲームの世界をまず最初に提示する。そして通路のポスターなどを、たとえば病院主催のパパママ教室にするなどして、主人公の葛藤を言葉ではなく主人公の表情やたたずまいから感じ取らせる。そういう演出は不可能だったか。

 

主人公のキャラクターがほとんどそのまま『 グーニーズ 』のマイキーだったり、異変とともに出てくるクリーチャーが古今東西でおなじみの姿だったり、異変の一つが『 シャイニング 』のパクリだったり、とにかくオリジナリティがない。

 

そもそも基のゲームに存在した理不尽なゲームオーバーがない。おじさんがいきなり目の前に迫ってくるという異変に対して背を向けることができずにゲームオーバー、そして → 0番出口 の掲示の前からリスタート・・・のような理不尽さがないと、異変の危険度というか、異変をどれくらい真剣に捉えなければならないかといった真剣度が高まらない。

 

異変を見逃さないということは、逆に言えば我々はそれだけ世の中の変化を見逃している、あるいは世の中の変化を拒んでいるとも言える。それを一つのテーマに挙げるのは結構だが、そのことを主人公が悟るのではなく、まったく別のキャラクターの口から語らせるのは、凡百の邦画がやってしまう安易な方法で、本作もその陥穽にはまってしまっている。やたらけばけばしい女子高生キャラクターは不要だった。もっと言えばおじさんのパートも不要だった。

 

本作は二宮やら小松やらの名のある俳優が出てくるが、それがノイズになっているように感じた。『 侍タイムスリッパー 』や『 最後の乗客 』のように、無名だが実力あるキャストをそろえて撮影してほしかった。そうすれば観ている側も感情移入できるし、代り映えのしない駅のコンコースにもより注意を向けられるようになると思うのだが。

総評

Jovianは原作は未プレイ。だが、Jovian妻がHIKAKINの配信動画を観ていたのを時々横から眺めてはいた。映画にするならゲームに忠実に作りつつ、オリジナルなアイデアを盛り込んでほしかった。本作は残念ながら原作の再現度もオリジナル要素もどちらも中途半端。駄作とまでは言わないが、面白いとも言えない。貯まっているポイントを消化して無料鑑賞するのはあり。配信やレンタルを待つのもありだ。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

anomaly

異変や異常を指す単語。はじめて知ったのは小説『 星を継ぐもの 』の原著 “Inherit the Stars”でだった。解剖学的異常など、医学の分野で使うことが多いが、同小説では月のレゴリスの放射性同位元素の不均衡な分布を指してアノマリーという言葉を使っていた。調べてみたところ、『 8番出口 』の異変も anomaly と訳されている。英語学習者はこれを機に本単語も覚えてみよう。

次に劇場鑑賞したい映画

『 蔵のある街 』
『 侵蝕 』
『 ブロークン 復讐者の夜 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, スーパーナチュラル・スリラー, ホラー, 二宮和也, 日本, 河内大和, 浅沼成, 監督:川村元気, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 8番出口 』 -平々凡々な脚本-

『 28年後… 』 -ツッコミどころ満載-

Posted on 2025年7月2日 by cool-jupiter

28年後… 30点
2025年6月29日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:アルフィー・ウィリアムズ アーロン・テイラー=ジョンソン ジョディ・カマー レイフ・ファインズ
監督:ダニー・ボイル

 

『 28日後… 』と『 28週後… 』の続編ということでチケット購入。

あらすじ

レイジウィルスによってイギリス全土が隔離されて以来、28年。ある島で細々と生き残っていた人々がいた。ジェイミー(アーロン・テイラー=ジョンソン)は12歳の息子スパイク(アルフィー・ウィリアムズ)を連れて、本土のゾンビ刈りに同行させるが・・・

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

新型ゾンビ・・・ではなく感染者が環境に適応しているというのは、それはそれで面白かった。森に生きる感染者と平原で生きる感染者が異なった生態を示していたのは説得力があった。また異種感染しないという『 28週後… 』の設定も引き継がれていたことが確認できた。感染者を生化学的に分析・攻略するシーンもあり、人間が生きるためにはサイエンスが物を言うことを再確認した。

 

アルファというボスゾンビ・・・ではなくボス的感染者はゲーム『 バイオハザード 』のタイラントあるいはネメシスみたいな感じで、割とすんなり受け入れられた。

 

ネガティブ・サイド

いくら前作で米軍が同士討ちもあって壊滅したとはいえ、世界がイギリスをここまで放置するか?いや、本土はいいとして、離島で生き残った人は保護されてしかるべきだろう。それとも、多くのブリティッシュが自認するようにイギリスは嫌われていることを殊更に明示しているのか。

 

島の人々が Tom Jones の Delilah の大合唱をしていたが、いったい時代はいつなのか。仮に2025年だとしても、さすがに60年前の歌を年寄りだけではなくそれなりに若い世代まで歌えるのか?レコードなどの機械はいっさい見当たらなかったが。

 

そもそも何故に安全な島から出て、本土を目指すのか。もちろん医薬品やら衣料品やら日用品やら使える物は色々と見つかるだろうが、28年も経過してしまうとそれも望み薄だろう。だったら男子のイニシエーションなのか?学校はなくても、子どもを軍事教練に駆り出しているシーンがあったが、学校でこそ感染者の実態を教え込むべきだろう。ジェイミーが実地でスパイクに色々と教え込んでいたのは、フィールドワークならありだが、サバイバルでは愚の骨頂。

 

島そのものが天然の要害になっているが、干潮時の防御がなにもないとはこれ如何に。アルファが矢を10本食らっても倒れなかったというデータがあるなら、矢を20本打つとか、あるいはボーガンを作って威力を上げる、トラバサミのような罠を使うなど、色々と対策はあったはず。それが全くなかったというのは28年あれば人間はアホになるということか。

 

感染者の妊娠というのは中盤で明示されていたし、アイデアとしては誰でも思いつく。漫画『 寄生獣 』で似たようなアイデアはすでに出ていたし。問題はその子どもが〇〇〇だということ。胎盤の奇跡とは・・・仮に胎盤がウィルスをシャットアウト(できるわけないが)したとして、普通に分娩時に経産道感染するはず・・・ なので子どもは『 28週後… 』同様に無症候型キャリアで良かった。また、子どもの父親はアルファであると暗示されていたので、それを元に280年後あるいは28世紀後の地球をゾンビ・・・じゃなかった多数の感染者と本当に細々とだけ残った原始人的人類の物語につなげられただろうに。

 

スパイクが医者を求めてドクター・ケルソンのもとを目指すのは分からんでもないが、まともな教育を一切受けていないスパイクがケルソン先生の診察過程や診断内容を理解できたようには到底思えない。にもかかわらず、あの結末を母親だけではなくスパイクが受け入れる?ちょっと考えづらいのだが。

 

というかケルソン先生も感染者に効くモルヒネとかを、どこでどう調達して28年も維持できたのか。医者というよりも薬学者、それも西洋ではなく漢方薬寄りの学者である。トリカブトやらスズランやら、普通に感染者を安全に殺せそうな毒をこの先生なら調合できそうだが、そういうわけでもないらしい。というか、アルファをストップさせたのなら、そこでもっと大量にモルヒネをぶち込んで殺さんかい、と思ってしまう。

 

島民以外の人間の存在も示唆されていたが、それがラストのあいつら?いくらなんでもあの世紀末軍団があんな見せしめ的な行為に走るだろうか。というか、感染者とのバトルで使う武器が貧相で泣けてくる。普通に体液をまき散らす武器および戦い方で、よくこれで生き延びてこれたなと感心した。

 

続編がありそうな雰囲気だが、たとえ制作されても見ない。コレジャナイ感が非常に強い作品だった。

 

総評

当初から各方面のレビューが賛否両論だった。ということは波長が合えば面白く、波長が合わなければ面白くないわけで、こういう丁半を賭けたばくちも時には必要だ。英語レビューでも賞賛はたくさんあるので、本当に監督や脚本家との相性次第だと思う。ひとつ言えるのはデートムービーではないということ。またファミリーで観るのもお勧めできない。カップルあるいはお一人様での鑑賞が無難である。

 

Jovian先生のワンポイントラテン語レッスン

Memento amare

直訳すると、Remember to love となる。Memento は singular の imperative で、amare は to love という英語のto不定詞的な形。合わせて Remeber to love となる。有名な Memento mori は Remember to die だが、ラテン語には形は受動態しかないが意味は能動態という動詞が、loquor, sequor, morior, utorなど、いくつもある。20年以上前の授業の内容でも結構覚えているもので、自分でもびっくりしている。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 フロントライン 』
『 この夏の星を見る 』
『 愛されなくても別に 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アーロン・テイラー=ジョンソン, アメリカ, アルフィー・ウィリアムズ, イギリス, ジョディ・カマー, ホラー, レイフ・ファインズ, 監督:ダニー・ボイル, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 28年後… 』 -ツッコミどころ満載-

『 リライト 』 -小説をまあまあ上手く改変-

Posted on 2025年6月21日2025年6月21日 by cool-jupiter

リライト 55点
2025年6月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:池田エライザ 阿達慶
監督:松居大悟

法条遥の同名小説の映画化ということでチケット購入。ラストを一捻りしているが、そこに至るまでは割と原作に忠実だった。

あらすじ

2310年の未来からタイムリープしてきた保彦(阿達慶)と偶然にも親密になった美雪(池田エライザ)は、やがて彼に惹かれていく。しかし、ある悲劇が康彦を襲う。彼を救う全てを求めて10年後の自分に出会いに行く美幸だが・・・

ポジティブ・サイド

原作の少しわちゃわちゃしていたところが視覚化されて、分かりやすくなっていた。原作もそうだったが、『 時をかける少女 』へのオマージュが随所にある。〇〇〇〇を読んだ康彦ではないが、尾道に行ってみたくなるような作品になっている。

本作は(原作もそうなのだが)一種のギャルゲーだと思えばいい。ある意味、『 Ever17 -the out of infinity- 』が近いだろうか。これがネタバレにならないことを祈る。

大人の美雪を掘り下げたところが原作との違いで、ここは面白かった。リライト=rewriteが意味するところは、自分の運命や人生の書き換えでもある。曲がりなりにも分泌のプロになったのなら、Verweile doch, du bist so schön! という精神を持ちたいもの。

ネガティブ・サイド

正直、原作のおどろおどろしい執念のようなものが消えてしまっていて残念。それが何であるか気になる人は原作を読んでほしい。康彦の口癖の「何という無駄!」は削る必要はあったのだろうか。

キャスティングも残念ながら減点材料。池田エライザや橋本愛が高校生を演じるのはさすがに無理があるし、その他の同級生たちもかなりしんどかった。

橋本愛の罪ではないが、販促物、とくにポスタービジュアルなどを手がける人はネタバレを避けてほしい。あるいは鑑賞後にそれと分かる作りにしてほしい。原作未読のうちの嫁さん(に限らず普通の感受性と観察力の持ち主)は、すぐに誰がキーパーソンなのか悟ってしまった。

総評

小説の映画化としてはまあまあ。同作家の作品で言えば『 バイロケーション 』よりはマシである。池田エライザのファンなら鑑賞すべし。そうでなければスルー推奨。本当ならアニメ作品にすべきなのだろう。というわけで、タイムリープものとしては本作よりも遥かに面白い高畑京一郎の小説『 タイム・リープ あしたはきのう 』を、誰か105分程度でアニメ化してくれませんかねえ。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I wish time stopped now.

時間が止まってほしい、の意。さて、本作ではとあるキャラクターがこれを日本語で言う。どんな場面なのかしっかりと把握して、ここぞというロマンチックな場面でこれをささやいてみよう。それができれば英検1級を超えて英検0級である。

次に劇場鑑賞したい映画

『 JUNK WORLD 』
『 ラブ・イン・ザ・ビッグシティ 』
『 脱走 』

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, SF, 日本, 池田エライザ, 監督:松居大悟, 配給会社:バンダイナムコフィルムワークス, 阿達慶Leave a Comment on 『 リライト 』 -小説をまあまあ上手く改変-

『 か「」く「」し「」ご「」と「 』  -看板に偽りあり-

Posted on 2025年6月4日2025年6月4日 by cool-jupiter

『 か「」く「」し「」ご「」と「 』 50点
2025年5月31日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:奥平大兼 出口夏希
監督:中川駿

 

『 君の膵臓をたべたい 』の住野よる原作、『 カランコエの花 』の中川駿監督ということでチケット購入。期待はやや裏切られた感じ。

あらすじ

大塚京(奥平大兼)は三木直子(出口夏希)に恋心を抱いていた。しかし、一方で単なるクラスメイトの男子としてのポジションにも満足していた。しかし、不登校だったとあるクラスメイトが学校に帰ってきたことで、京の周囲の人間関係が少しずつ動き出し始めて・・・

ポジティブ・サイド

はっきりとは覚えていないが、Jovianは保育園の年長ぐらいまでは、自分の気持ちも他人の気持ちも目に見えていた。より正確に言うと、AがBに怒っていると、AからBに赤い光線が走る、CがDに感謝しているとCからDに白い光線が走る、のように見えていた。まあ、イマジナリーフレンドのようなもので、自分だけに見えて、自分だけにリアルに感じられるものだったのだろう。小学校に入学したとたんに一切見えなくなったが、特にそれでショックを受けたような記憶もない。けれど、そうした見方をする子どもがいて、その子がそのまま成長したら・・・という想像は容易。なので、本作のキャラクターたちの「他人の気持ちが視覚化されて見える」という隠し事には素直に共感できた。

 

単に主人公とヒロイン、じゃなかったヒーローの二人の関係だけを追求する物語ではなく、5人組がアンサンブルキャストになっている点が良かった。若さとは省みないことたが、逆に省みすぎてしまうことでもある。青春時代、好きになってしまった相手に猪突猛進した人もいれば、好きになってしまったがゆえにその相手に対して身動きが取れなくなってしまった、なぜなら自分は相手にまったくふさわしくないから、と信じ込んでしまった人もいるだろう。本作は後者の集まりで出来ている。それが心理的な駆け引きではなく、それぞれの隠し事によるものだという点が興味深かった。

 

好きという感情もあれば、その反対に嫌いという感情もある。いや、マザー・テレサ風に言えば好きの反対は無関心か。誰かを嫌いになれるのも、それだけ相手を気に掛けているから。あるキャラがやや屈折した考え方(考え方であり、決して感じ方ではない点に注意)から一歩引いたところにいるのだが、これは古典的でありながらも現代的。『 カランコエの花 』のような価値観は本当に遠くのものになってしまったのだとしみじみ実感する。

ネガティブ・サイド

京のしゃべりがボソボソ、モゴモゴで聞き取りにくかった。監督の演出なのだろうか。はっきりとボソボソしゃべってこそ演技と言える。

 

ヅカにはパラ相手の見せ場はあったものの、一人だけ掘り下げが圧倒的に少なかったのは、原作がそうだからなのか、それとも脚本でそうなってしまったのか、はたまた編集の都合なのか。

 

主人公二人の特殊能力が、特に何もドラマを生まないのが一番の不満。他人の心理がある程度わかってしまう。だからこそ自分を抑えてしまうというのは、個人的には若さよりも老いを感じさせる。

 

ミッキーと京の距離が縮まるのがあまりにも唐突過ぎ。なんなら、不登校だったエルと京の間のドラマこそ盛り上がるべきだった。というか、女子からしたら男子にシャンプーを変えたことに気付いてもらえるというのは、メチャクチャ嬉しいか、メチャクチャ気持ち悪いかの二択。だからこそ、そこを追求するサブプロットがあってしかるべきだった。

 

全体的に5人が非常に閉じた世界に敢えて引きこもっているという印象を受けた。何の変哲もないクラスメイトの女子または男子が「お前らの両想い、バレバレだぜ?」みたいに一瞬だけ割り込んでくれば、もっとリアルになったように思う。

 

総評

羊頭狗肉は言い過ぎかもしれないが、「君の秘密を知ったとき、純度100%の涙が溢れ出す。」という宣伝文句は、看板に偽りありとの誹りは免れない。原作小説はしっかりしているのだろうか。中川駿監督の得意とするウソが下手な若者の像は描き出せている。ただ住野よるのテイストが出ていたかというと疑問。鑑賞するなら期待しすぎず、普通の青春群像劇でも観るか、ぐらいのノリでいた方が良い。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

dry up

干上がるという意味以外にも「言葉が出なくなる」という意味もある。He suddenly dried up in the middle of the presentation. =彼はプレゼンの最中に突然黙ってしまった、のように使う。プレゼン中でも商談中でも授業中でも、dry up は怖いものである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 金子差入店 』
『 国宝 』
『 ぶぶ漬けどうどす 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, 出口夏希, 奥平大兼, 日本, 監督:中川駿, 配給会社:松竹, 青春Leave a Comment on 『 か「」く「」し「」ご「」と「 』  -看板に偽りあり-

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