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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: C Rank

『 狼が羊に恋をするとき 』 -台湾ラブコメの佳作-

Posted on 2024年8月25日 by cool-jupiter

狼が羊に恋をするとき 60点
2024年8月24日 塚口サンサン劇場にて鑑賞
出演:クー・チェンドン ジエン・マンシュー
監督:ホウ・チーラン

 

『 ソウルの春 』や『 ポライト・ソサエティ 』の鑑賞を考えていたが、妻の「これ観たい」の一言でチケット購入。リクエストがあれば婦唱夫随である。

あらすじ

「予備校に行くね」というメモを残して消えた恋人を追い求めて、タン(クー・チェンドン)予備校が林立する南陽街にやってきた。ひょんなことからコピー店で職と住居を得た彼は、ある時、試験用紙に描かれた羊のイラストを見て・・・

ポジティブ・サイド

クー・チェンドンのダメ男っぷり、世間知らずっぷりがいい。なにより、どこまでも一緒に行きたがる恋人と、ただ一緒にいられれば満足という男の対比があまりにも真実だ。ウィリアム・アイリッシュの昔から、消えた女を追うというのはサスペンスの王道。しかし本作はそれを堂々たるロマコメに仕立て上げた。

 

高校生や大学生同士の恋愛ではなく、予備校スタッフと試験用紙のコピー業者という距離感が絶妙にもどかしい。その二人のコミュニケーションが、試験用紙に描かれる羊と狼の対話というのも、デジタル全盛の2020年代においては新鮮だし、そしてFacebookやTwitter(現X)などが興隆しはじめた2010年代においても新鮮だったはず。そこで real space かつ not real time 形式で行われるタンとシャオヤンのコミュニケーションは、『 交換ウソ日記 』でも感じたことだが、実に微笑ましい。

 

数々のサブプロットを交えながら、二人が最終的にたどることになるであろう道は美しい。その花道を彩る一種の紙吹雪も、非常に cinematic な映像になっている。 まさに台湾ラブコメの佳作である。

 

ネガティブ・サイド

ストーリーのサブプロットが多すぎる。あるいは十分に追求されないまま閉じられていると感じた。特にタンの一日一善と犬探し。そしてシャオヤンの新聞チェック。特にこれは最近でも『 ルックバック 』でも似たようなシーンがあり、漫画家もしくはイラストレーターという人種の習性を表す重要なシーンになったはずではないか。

 

また『 もしも君に恋したら。 』でも感じたことだが、シャオヤンもイラストレーターならペンだこ、あるいはそれに類した手をしていて然るべきではないだろうか。

 

総評

メインの二人の若さとチャーミングさが物語によくマッチしている。コピー屋の店主や牧師などの脇役のオッサン連中も良い感じ。王道ではなく変則的なラブロマンスだが、ありきたりの学園青春ものに飽きている向きには新鮮に映るはず。製作から10年越しでの本邦初公開なので、アジア映画ファンならチケットを購入してみてはどうだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

不是

ブシと発音する。意味は「いいえ」で、本作でも2回ぐらい聞こえた。外国語を学ぶにはまずは数字からというのはジョー小泉の言だが、その前に「はい」と「いいえ」から始めるのが最も基本的なアプローチであると思う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 #スージー・サーチ 』
『 ポライト・ソサエティ 』
『 ソウルの春 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, クー・チェンドン, ジエン・マンシュー, ラブロマンス, 台湾, 監督:ホウ・チーラン, 配給会社:台湾映画同好会Leave a Comment on 『 狼が羊に恋をするとき 』 -台湾ラブコメの佳作-

『 ニューノーマル 』 -殺しのオムニバス-

Posted on 2024年8月18日 by cool-jupiter

ニューノーマル 60点
2024年8月17日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:チェ・ジウ
監督:チョン・ボムシク

 

コロナによって生まれた新しい生活習慣=New Normalという、このタイトルだけでチケット購入。

あらすじ

ヒョンジョン(チェ・ジウ)のもとに、突然、火災報知器の点検をしにきたという男がやって来る。男は点検の傍ら、不穏な空気を醸し出しながら、最近起きた未解決の殺人事件について語り始め・・・

ポジティブ・サイド

ニューノーマル=衛生習慣の徹底だと理解していたが、人と人の物理的・精神的な距離が日本よりもはるかに近い韓国では、マッチング・アプリやオンラインゲーム、匿名掲示板がさらに勢いを増しているということか。

 

本来ならば出会わない、あるいは関係のない人間と、ちょっとしたことから繋がりが生まれ、それが悲劇につながっていくというオムニバスかつアンソロジー形式のスリラー。

 

Chapter 1: 覚えられなかった・・・

チェ・ジウの住居に怪しげな男が訪ねてきて・・・ オチはすぐに分かるが、チェ・ジウの一種の恍惚とした表情が強く印象に残る。

 

Chapter 2: Do The Right Thing 

塾の仲間や講師にボランティアを呼びかけられた少年が、車椅子の老婆を助けたところ、お礼を上げると申し出られて・・・ 『 バニシング 未解決事件 』でも未解決だった問題は、コロナ禍を経ても、やはり未解決のまま。『 ユージュアル・サスペクツ 』や『 愚行録 』など、足が悪いところが印象的なキャラクターはやはり・・・

 

Chapter 3: Dressed To Kill

第一章の続き。マッチング・アプリで新たな出会いを求める男女を痛烈に皮肉っている。このチャプターで、アプリのアラーム=マッチ度の高い相手が周囲にいるという通知を見るたびに、コロナ禍における本邦のごみアプリCOCOA(これも誹謗中傷にあたる表現だろうか)の接触通知を思い出した人はちらほらいるのではなかろうか。ちなみにこのチャプターのタイトルの kill は「悩殺する」の意味に近い。

 

Chapter 4: Be With You

前章の続き。縁とは何かについての仮説は興味深かった。その縁を感じた男がたどる道筋の先の恐怖とは・・・ どこかで見たタイトルだが、当然 Rod Stewart の “To Be With You” ではなく、邦画の『 Be With You いま、会いにゆきます 』か。まさか竹内結子からインスピレーションを得たのではないと思いたいが。

 

Chapter 5: Peeping Tom

江戸川乱歩やアルフレッド・ヒッチコックの昔から、覗きは人間の習性であったようだ。ましてカメラが普及した現代、盗撮はいともたやすい。美しき隣人に恋焦がれるニート(?)の男性の気持ち悪さが爆発する。その一方で、美しいバラにはとげがあるとの格言通りに・・・

 

Chapter 6: My Life As A Dog

このチャプターが最も面白い。Chapter 2 を除く(?)他の章がほんの少しずつ絡んでくる。ミュージシャンを目指しつつコンビニ店員で糊口をしのぐヨンジンが迷惑客や苦情客に盛大に、ささやかにリベンジしていく。その一方で、彼女の内なるストレスはネット掲示板とオンラインゲームで発散され・・・ 自分も時々コンビニ店員さんに無愛想に接することがないとは言い切れない。そこを反省すると共に、ネットへの書き込み(映画のレビュー含む)について、大いに考えさせられるチャプターでもあった。

 

ネガティブ・サイド

各チャプターごとに時系列がバラバラで、それは製作者が意図してのことだろうが、このような構成にするのなら、素直に各章を時系列に並べても良かったのでは?

 

つながっている章とつながっていない章があるのは何故?それともこちらの見落としか?

 

Chapter 4: Be With You では、もっと写真をじっくりと見せてほしかった。そもそも、あのキャラはもしや〇〇〇〇?

 

総評

雰囲気としては邦画の『 クリーピー 偽りの隣人 』に少し似ている。スリラー/ホラーでありながら、どことなくコミカルな面が感じられる。それは、ニューノーマルという新たな社会規範を脚本家や監督が嗤っているからだろう。少しモタモタした印象を与える中盤のストレスについては最終チャプターのヨンジンが大爆発させてくれる。そこまではしっかりと鑑賞しよう。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

イーセッキ

韓国映画を観るたびに聞こえてくる。意味は「この野郎」。使用することが推奨されない韓国語の一つ。本作の Chapter 6 で頻繁に使われるFワードを人間相手に言いたくなったら、こちらを心の中で唱えるのもありかもしれない。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 #スージー・サーチ 』
『 ポライト・ソサエティ 』
『 エア・ロック 海底緊急避難所 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, スリラー, チェ・ジウ, 監督:チョン・ボムシク, 配給会社:AMGエンタテインメント, 韓国Leave a Comment on 『 ニューノーマル 』 -殺しのオムニバス-

『 真夏の異邦人 超常現象研究会のフィールドワーク 』 -イージーリーディングのSFミステリ-

Posted on 2024年8月15日 by cool-jupiter

真夏の異邦人 超常現象研究会のフィールドワーク 60点
2024年8月14日 読了
著者:喜多喜久
発行元:集英社文庫

 

滋賀のメタセコイア並木道までの日帰り旅行の電車内で読了。

あらすじ

超常現象研究会のフィールドワークのために故郷の冥加村に帰ってきた星原は、ある夜、UFOを目撃してしまう。UFOを追った先の山で不思議な「棺」を見つけた星原は、その中に謎の美少女を見つけて・・・

 

ポジティブ・サイド

前の勤め先には製薬会社の社員が多く、その受講生の方々がお勧めしてくれたのが著者の『 ラブ・ケミストリー 』で、以来、同著者の作品は結構読んできた。今作は部屋の掃除をしていたら積ん読になっていた文庫が出てきた。買ったはいいが、表紙で読むのをためらっていたのだと思う。

 

ジェームズ・ホーガンの『 星を継ぐもの 』よろしく、最初のエピローグでSF、それも宇宙人者であることを高らかに宣言している。まあ、ラブケミで死神を出してしまうような著者なので、宇宙人くらいで目くじらを立ててはいけない。

 

超常現象研究会がネットの謎の書き込みを基にキャトルミューティレーションを調査しに赴いた片田舎で殺人事件が発生、そしてそこには新興宗教の創設をもくろむ怪しい男が・・・と、かなりとっちらかった内容。それを300ページ程度できれいにまとめる筆力、構想力は大したもの。化学の実験や概念の一部は時間と共に風化していく恐れがあるが、その心配の少ないオカルト分野に目を付けたのも慧眼か。

 

夏、美少女、オカルト、SF、ミステリを一冊で気軽に楽しめる。高校生、大学生あたりに好適なストーリー。

 

ネガティブ・サイド

正直なところ、ミステリ部分はダメダメ。真相にはたどりつけなくても、犯人はすぐに分かってしまう。大きなヒントは序盤、中盤、終盤に一つずつ。どの段階で気付けるかでミステリ読書歴を測れるかもしれない。

 

また主人公の星原やサークル会長の天川のキャラクター造形はステレオタイプそのもの。綾辻行人や法月綸太郎の先行作品を読めば、似たようなキャラはわんさか出てくる。やはりこの著者は大学で化学に黙々と勤しむキャラクターにリアリティを与える方向で行くべきだと思われる。

 

物語と直接の関係はないが、本作のカバー絵は一種のミステリになっている。何故この構図であって「あの場所のあの表情」ではないのか。うーむ・・・

 

総評

3時間弱でスイスイ読めた。特別な知識は不要。求められるのは主人公の星原のモタモタした思考にシンクロできるかどうか。あるいはそのモタモタした思考を青春だと捉えてニヤニヤできるかどうか。そういう意味では青少年だけではなく案外中年読者にも向いているのかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

casket

棺の意。今や主流の直方体の棺を指す。coffinという語もあるが、これは上半身側が大きく、下半身側が小さくなっているもの。WWEのファンなら棺桶マッチ= Casket Match だと知っているだろう。またゲームの『 エースコンバット 』ファンなら、coffin=飛行機のように四面四角でない物体だと分かるはず。まあ、これは一種のマニアの覚え方なので参考にしてはいけない。そもそも casket も coffin も英検1級以上を目指すのでなければ知っておく必要性はゼロだ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! 』
『 風が吹くとき 』
『 #スージー・サーチ 』

真夏の異邦人 超常現象研究会のフィールドワーク (集英社文庫)

真夏の異邦人 超常現象研究会のフィールドワーク (集英社文庫)

  • 作者:喜多 喜久
  • 集英社
Amazon

 

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Posted in 国内, 書籍Tagged 2010年代, C Rank, SF, オカルト, ミステリ, 日本, 発行元:集英社文庫, 著者:喜多喜久Leave a Comment on 『 真夏の異邦人 超常現象研究会のフィールドワーク 』 -イージーリーディングのSFミステリ-

『 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 』 -陰謀論を呵々と笑う-

Posted on 2024年7月29日 by cool-jupiter

フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 65点
2024年7月21日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:スカーレット・ジョハンソン チャニング・テイタム ウッディ・ハレルソン
監督:グレッグ・バーランティ

『 THE MOON 』のエンディングで流れた “Fly Me To The Moon” と原題を同じくする映画。アポロの月面着陸はなかったという陰謀論を笑い飛ばす一作になっている。 

 

あらすじ

敏腕マーケターのケリー(スカーレット・ジョハンソン)は、政府筋で働いているという謎の男モー(ウッディ・ハレルソン)にスカウトされ、NASAで働くことになる。NASA職員のインタビューや宇宙飛行士の企業タイアップなどでNASAのイメージ改善に邁進するケリーだが、ロケット発射のディレクターであるコール(チャニング・テイタム)は彼女の手法を快く思わず・・・

ポジティブ・サイド

アポロ11号の月面着陸は真実かフェイクかというのは、Jovianが子どもの頃からあった。というか、おそらくリアルタイムであった話なのだろう。本作はそこを主眼にしつつも、それ以外の面でストーリーを作り上げていく。

 

最初に面白いと感じたのは、主役の一人ケリー・ジョーンズ。NASAと言えば『 ドリーム 』や『 アポロ13 』のような技術部門の職員の奮闘を描く作品が多いが、本作はそこにビジネス要素を盛り込んできたところが極めて新鮮。すなわち、NASAのポスターボーイたちを商品のコマーシャルに起用したり、NASA職員(のふりをした役者)に美辞麗句溢れるインタビューへの受け答えをさせたりという、非常に現代的なマーケティングが1960年代にすでに行われていた、そしてそれを仕切っていたのが才気煥発の女性マーケターだという点がユニーク。しかもケリー・ジョーンズには実際のモデル(当然ながら女性)がいたというのだから、さらに驚く。

 

そのケリーのやり方を苦々しく思いながらも、着実に成果を上げる彼女に対して徐々に素直になっていく発射ディレクターのコールの描き方も独特。往々にしてこうしたキャラは『 ドリーム 』のケビン・コスナーよろしく堅物でありながら徐々に人間性を滲ませてくるものだが、彼はケリーとの初対面でいきなり愛のポエムを献上してしまうようなキャラクター。この描写があることで、彼の奥底にあるプロフェッショナリズムが引き立ち、さらにケリーに対するアンビバレントな感情が観客にも共有されやすくなっている。

 

月面着陸がフェイクだったのかどうか、そのフェイクをどのように撮影したのか。そこについて本作はかなりコミカルに描いている。フィクサー然として振る舞うウッディ・ハレルソン演じるモーの胡散臭さが、そのまま陰謀論に対する胡散臭さに見える。映画はこの点に触れないが、NASAの敷地内で立ち入り禁止の棟が突如現れ、正体不明の人員(フェイク映像の撮影部隊)と正体不明の小道具大道具が常に出入りしているという状況を当時のメディアや他のNASA職員が見逃す、あるいは黙認するかどうか。

 

少しネタバレになるが、ケリーの助手の ”This is what happens when you vote for Nixon” という台詞が本作の政治的な主張であると思われる。ニクソン=ウォーターゲート=盗聴、ということはやはり月面着陸もでっち上げ?と早まるなかれ。今年(2024年)は米大統領選挙イヤー。スカーレット・ヨハンソンが主演だけではなくプロデューサーも努めたということは、これは彼女なりの選挙キャンペーンなのだろう。そういう見方も本作はできるのだ。ぜひ鑑賞して、自分なりの真実を見つけようではないか。

 

ネガティブ・サイド

ケリーとコールのロマンスの部分は不要だったと感じた。互いが互いのプロフェッショナリズムを一定の距離を置きつつ尊重するような関係の方がこの二人には似合っていたのでは?コールが不幸にも亡くなってしまった宇宙飛行士たちへの追慕を忘れない男でありながら、女に現を抜かすキャラクターというのは、やや不自然に見えた。

 

本作では発射直前にトンデモ行動が取られる。そして実際の月面映像とスタジオのフェイク映像の見分けがつかなくなるシーンがあるが、果たしてそんなことがありうるだろうか。アポロ11号は常に地球と電波でつながっているわけで、音声は宇宙船から受信しているが、映像は別のところから受信していて、それをNASAや関係基地局の誰も気が付かないなどということはありうるのだろうか。ここらへんの説明を(フェイクでいいので)入れておいてほしかった。

 

総評

NASA、メディア、そして米政府に関するお仕事ムービーでありながら、シリアスさとコミカルさを併せ持った良作。フェイク映像やフェイク投稿が横行する現代だからこそインパクトが大きい。本作の持つ政治的なメッセージに思いを馳せながら観るのもいいだろうし、単純に科学と歴史を題材にしたロマンティック・コメディとして鑑賞するのもいいだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a feast for the eyes

feast とは「ごちそう」の意。目にとってのごちそう=目の保養となる。劇中ではテイタム演じるコールがハンサムだということで He is feast for the eyes. と言われていたが、人間だけではなく景色や絵画についても使うことができる表現である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 デッドプール&ウルヴァリン 』
『 大いなる不在 』
『 ツイスターズ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, スカーレット・ジョハンソン, チャニング・テイタム, ラブコメディ, 歴史, 監督:グレッグ・バーランティ, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 』 -陰謀論を呵々と笑う-

『 キングダム 大将軍の帰還 』 -大沢たかおの独擅場-

Posted on 2024年7月24日 by cool-jupiter

キングダム 大将軍の帰還 65点
2024年7月20日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:山崎賢人 大沢たかお
監督:佐藤信介

 

『 キングダム 運命の炎 』の続編。ますますキャラ映画になってきたが、大沢たかおはついに代表作と言えるものを手にしたようである。

あらすじ

突如、自陣に現れた龐煖によって窮地に陥る飛信隊。退却するしかなくなった飛信隊だが、尾到と尾平は気絶した信(山崎賢人)を安全に逃がすために、他の部隊の面々とは異なる方向に逃げていくが・・・

ポジティブ・サイド

本作で賞賛すべきポイントはほぼ一点に絞られる。それは王騎将軍。

 

副題の「大将軍」とは大沢たかお演じる王騎将軍のこと。『 キングダム 』の初登場時からコスプレ&なりきり演技だったが、今作で大沢たかおは王騎将軍と完全にシンクロした。原作の数々の名場面と名台詞をこれでもかと繰り出してくるが、まるで第一作目や前作はあえて抑制した演技をしていたのだろうか。まるでリアルタイムで読んでいた連載漫画の王騎将軍の声がそのまま劇場内で聞こえた。こんな体験はめったにない。とにかく本作は大沢たかお=王騎将軍の大沢たかお=王騎将軍による大沢たかお=王騎将軍のための作品になっていると感じた。

 

原作に忠実ながらも「全軍、前進」を上手くアレンジするなど、ここで本シリーズが完結となってもいいようにきれいにまとめてもいる。興行成績次第だろうが、続編があっても驚きはない。

ネガティブ・サイド

BGMを使いすぎ。尾到と信の夜の語らいのシーンは原作でもかなり上位に来る名シーン。あそこはBGMなしで、ふたりの台詞だけを静謐な夜の山の中でじっくりと聞かせるべきだった。

 

あとは少し長すぎか。2時間10分に編集できなかっただろうか。

 

総評

コスプレ大会であることに変わりはないが、とにかく原作屈指の人気キャラ王騎将軍の完成度が高すぎて、それだけでチケット代の元は充分に取れていると感じる。できれば続編も観てみたいので、できるだけ多くの人に劇場鑑賞してほしい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

This is your turf.

劇中の「これが貴様の土俵だ」の私訳。turfはゴルファーにはお馴染みの言葉。芝、あるいは芝地の意。転じて、比喩的に「専門領域」や「有利な地形」のような意味で用いられることもある。英検1級を目指すのなら知っておいても良い。そうでなければ覚える必要は特にない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 』
『 デッドプール&ウルヴァリン 』
『 大いなる不在 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, アクション, 大沢たかお, 山崎賢人, 日本, 歴史, 監督:佐藤信介, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 キングダム 大将軍の帰還 』 -大沢たかおの独擅場-

『 THE MOON 』 -韓国産の国威発揚映画-

Posted on 2024年7月9日2024年7月9日 by cool-jupiter

THE MOON 60点
2024年7月6日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ド・ギョンス ソル・ギョング
監督:キム・ヨンファ

 

怪作『 ミスターGO! 』の監督で、傑作『 モガディシュ 脱出までの14日間 』の製作を務めたキム・ヨンファが監督/脚本を努めた作品ということでチケット購入。

あらすじ

韓国のロケット「ウリ号」は米国に次ぐ月面有人探査を実行するため、3人のクルーを乗せて月軌道を目指していた。しかし太陽風の影響で通信が途絶、修理のためEVAに従事していたクルー2名も命を落としてしまう。ひとり残されたソヌ(ド・ギョンス)を救出するため、前ミッションのフライト・ディレクターだったジェグク(ソル・ギョング)が呼び戻されるが・・・

ポジティブ・サイド

『 アポロ13 』や『 ゼロ・グラビティ 』、『 ライトスタッフ 』、『 オデッセイ 』などの先行ハリウッド作品を意識していることが伺える。ハラハラドキドキが最優先。そしてその期待にしっかり応えてくれている。韓国映画の「とにかくエンタメ路線に徹しよう。社会的なメッセージはその後だ」という割り切った姿勢は買いである。

 

地球側ではほぼすべて会話劇、宇宙および月ではほぼすべてアクションと、非常にメリハリが効いている。シリアス一辺倒にならないのは、政治家キャラが韓国特有の selfish な論理を振りかざしまくるから。政治は科学をサポートこそすれ、コントロールしてはならないという製作者の意図は十分に伝わった。

 

月面のCGは『 アド・アストラ 』並みに美麗で、そこで起きる事象のスリルと恐怖は『 アド・アストラ 』の月面上での小競り合いをはるかに超えていた。つくづくハリウッド作品の亜種をうまく作るものだと感心する。

 

名優ソル・ギョングの重厚な存在感と、若きアイドルのド・ギョンスの演出された未熟さが、一挙に逆転する終盤の展開は(その論理的・倫理的な意味合いはともかく)衝撃的だった。

 

中国映画『 ボーン・トゥ・フライ 』でも無人機が登場したが、時代は有人から無人へと移行しつつある。実際に本作でもドローンのマルが good job を見せてくれる(『 インターステラー 』のTARSを意識していたように思う)。それでも人が宇宙に向かうことについて、資源調査以上の意義があることを本作は示している。宇宙からは地球の国境は見えない。そして、宇宙に国境はないのだ。

 

ネガティブ・サイド

普通に考えて強烈な太陽風が吹き付けたり、あるいは流星雨が来ているというタイミングで、友人ロケットは打ち上げないだろうと思う。特に太陽風は普通に地上にも影響を及ぼすし、月に降り注ぐ極小天体もテレビで「月の謎の発光現象」と取り上げられるくらいにはメジャーな現象だ。ここらへんを無視してロケット打ち上げを強行するような背景が無かったのはリアリティの面で大きなマイナス。

 

目指すのが永久影のある月の南極だというのが気になった。月の極は航法的にそう簡単にたどり着ける場所ではない。月周回軌道に乗ってから、月の極を目指すというプロセスが大胆に省かれてしまったのが気になった。事細かに描写する必要はないが、月の極に着地できる軌道までどのように移動するのかについて言及だけはしてほしかった。

 

また、最終盤に驚きの告白が主要キャラクターによって連続でなされるが、これは普通に警察や検察が捜査して、事実ならば逮捕されるような内容。韓国の警察は無能だが、検察は有能。ポリティカル・ドラマの一面も有する作品だけに、この点も大いに気になった。

 

総評

『 ボーン・トゥ・フライ 』に続く、アジア発の国威発揚映画。日本もハヤブサが帰って来た時には立て続けに関連映画が3本公開されていたが、もはやそういう映画は作れないのだろうか。最後に流れる Fly Me to the Moon がハリウッドの『 フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン 』の壮大なCMソングに聞こえた。韓国映画は良くも悪くもハリウッド映画の亜種というか後追いなのだ。単なる後追いではなく、いつか追い越してやるという気概が感じられる。そこは素直に凄いと思う。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ソンベ

先輩の意。過去にも書いたと思うが、韓国は日本と同じく役職や肩書を非常に重視し、それで相手に呼びかける文化を持っている。軍隊では当たり前のことだが、これは世界的にはかなり珍しい文化なのではないだろうか。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 THIS IS LIFE スマホから見る中国人の人生 』
『 クワイエット・プレイス:DAY 1 』
『 朽ちないサクラ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, SF, ソル・ギョング, ド・ギョンス, ヒューマンドラマ, 監督:キム・ヨンファ, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 THE MOON 』 -韓国産の国威発揚映画-

『 ザ・ウォッチャーズ 』 -シャマラン風味が少々強め-

Posted on 2024年6月26日 by cool-jupiter

ザ・ウォッチャーズ 60点
2024年6月22日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ダコタ・ファニング
監督:イシャナ・ナイト・シャマラン

 

予告編がまあまあ面白そうだったのと、M・ナイト・シャマランの娘が監督を務めたということでチケット購入。

あらすじ

ミナ(ダコタ・ファニング)は、スコットランドの動物園に鳥を届けに行く道中の森で車が故障してしまう。助けを求めるミナの前に突如老婆が現われ、ミナは奇妙な小屋に誘われる。そこは夜な夜な、正体不明の監視者がやって来て・・・

 

ポジティブ・サイド

アイルランドといえば『 ウルフウォーカー 』で描かれたような昼なお暗い森林が豊富にある地域(失われつつあるのは確かなようだが)。そこに潜むオオカミならぬ人外の化生が、夜な夜な文明人を看視する、あるいは観察する。ウォッチャーたちの正体が不明な序盤はそれなりに面白い。雰囲気も『 ノック 終末の訪問者 』や『 スプリット 』に似ていて、限定されたシチュエーションと限定されたキャラクターだけで不安や恐怖などの負の情感を巧みに産み出している。

 

ウォッチャーの正体が明らかになる中盤も悪くはない。これは結局一瞬の社会批判、というか社会風刺で、その裏にあるメッセージは某超大作インド映画のそれと同じである。あるいは日本の某古典アニメともよく似ている、と言えるかもしれない。

 

終盤には、シャマラン映画にありがちな一捻りが用意されている。「ん、まさかAという方向に行くのでは?」というありきたりな予想は見事に外されるので、そういう意味では予測できない結末になっているとは言える。

ネガティブ・サイド

どこかで観た作品のパッチワークのよう。プロットでいえば『 遊星からの物体X 』や、ビジュアルでいえば『 “それ”がいる森 』・・・は、さすがに言い過ぎか。全体的に父のM・ナイトの影響が色濃く出てしまっている。イシャナには精神的な意味での patricide が求められる。

 

終盤の脱出劇はかなりのご都合主義。「鳥を追え」というアドバイスに従って鳥かごからミナが元々運んでいたインコのダーウィンを解き放つが、もしもダーウィンがいなければどうしていたのか。罠でとらえたカラスを放つのか?というか、せっかくインコという人語を覚える鳥がいるというのに、Try not to die しか喋らないのでは意味がない。ダーウィンなどという仰々しい名前をつけたのなら、どんどんと言語を喋らせように進化させるべきだった。そうしてこそ「鳥かご」の暗喩が完成しただろうに。

 

総評

本作をどれくらい楽しめるかは、シャマラン的な作劇術に対してどれだけ寛容なのかによる。カジュアルな映画ファンほど本作を楽しめるように思う。もちろん、シャマランのファンであってもOK。『 オールド 』や『 ノック 終末の訪問者 』など、シャマラン基準で言えば少々落ちる作品と同等の面白さをデビュー作で達成しているのだから、娘イシャナの将来は明るいはず。応援の意味でも、是非チケットを購入して、劇場鑑賞されたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Try not to V

Vしないように頑張ってね、の意。Don’t try to V. は「Vしようとするな」の意。英語初級者はたまにここを間違うことがある。意味の違いを峻別できるようになろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 チャレンジャーズ 』
『 THIS IS LIFE スマホから見る中国人の人生 』
『 スリープ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, スリラー, ダコタ・ファニング, 監督:イシャナ・ナイト・シャマラン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ザ・ウォッチャーズ 』 -シャマラン風味が少々強め-

『 かくしごと 』 -親子を親子たらしめるもとは-

Posted on 2024年6月12日 by cool-jupiter

かくしごと 60点
2024年6月9日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:杏 中須翔真 奥田瑛二
監督:関根光才

 

テアトル梅田の『 あんのこと 』の上映時間が合わず、こちらのチケットを購入。

あらすじ

千紗子(杏)は絶縁していた父・孝蔵(奥田瑛二)が半裸で徘徊していたことから、施設入所までの間だけ介護をするため帰郷した。ある夜、旧友の運転する車が少年をはねてしまう。その少年の身体に虐待を思わせる傷跡を見つけた千紗子は、自分がその子の身柄を引き受けようと決意して・・・

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

杏と奥田瑛二の父と娘の距離感が生々しい。警察や記者、さらに医者は結構な確率で過程を壊してしまうとされているが、教師もそうなのか。

 

記憶喪失の少年と認知症(これも一種の記憶喪失)の父親の対比も生々しい。忘れたままでいてほしい、しかし、忘れてはいけないことを忘れないでほしいという、一種の二律背反的な思考や感情が、どんどんとセルフケア能力を喪失していく父の介護の中でないまぜになっていく過程の描写は、正直かなり堪えた。

 

特に父親がとあるシーンで、認知症ゆえの悲しい告白をするが、「今さらそんなことを口にしてどうする」と憤慨させられた。が、これは多くの昭和世代のジジイ連中の多くに共通する隠された本音。それゆえにこのシーンでの杏の涙が光る。

 

『 ミッシング 』の狂乱の母親像は一味違った母親の狂気を堪能できる一作。

 

ネガティブ・サイド

原作の小説のタイトルは『 嘘 』なのに、それを敢えて『 かくしごと 』に変えたのは何故なのだろうか。このタイトル改変だけでオチがすべて露わになってしまっている。まさか絵本を描く/書く仕事とかけたのではあるまいな。

 

飲酒運転して交通事故というのは笑えない。しかもそれを隠蔽しようというのはもっと笑えない。さらに救急車も呼ばないというのにはドン引きした。原作もこうなのか?ご都合主義もここに極まる。

 

言葉は悪いが、あのレベルの家庭の母親が文芸雑誌などを読むのか?またその夫が東京の住所ならまだしも、実家まで突き止めるか?いくらなんでもご都合主義が過ぎる。

 

総評

東出と離婚して、遠くの土地で一人で子育てするという杏のイメージがそのまま投影された作品で杏がはまり役だと見る人もいれば、あざとすぎるキャスティングだと見る向きもあるだろう。Jovianは前者だった。選択的夫婦別姓など、家族の在り方に関する議論がようやく始まりつつある日本だが、選択的な親と子の在り方についても、そのうち考えなければならないのかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

adopt 

色々な意味を持つ語だが、その一つに「養子にする」というものがある。たまに adapt と混同する初習者がいるが、adopt の opt は option = 選ぶもの、だと覚えよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 バジーノイズ 』
『 あんのこと 』
『 チャレンジャーズ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, ヒューマンドラマ, 中須翔真, 奥田瑛二, 日本, 杏, 監督:関根光才, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 かくしごと 』 -親子を親子たらしめるもとは-

『 6月31日の同窓会 』 -嫌ミス入門に適す-

Posted on 2024年6月2日 by cool-jupiter

6月31日の同窓会 65点
2024年5月18日読了
著者:真梨幸子
発行元:実業之日本社

 

佐津の温泉に向かう特急「こうのとり」の車内で読了。

あらすじ

蘭聖学園の卒業生に送られてくる6月31日の同窓会への招待状。それを受け取った者が怪死するという事件が発生。学園のOGであり、弁護士の松川凛子は、同じく学園卒業生から依頼されたことで調査を開始するが・・・

 

ポジティブ・サイド

情景描写もあるが、それ以上に各キャラの心の声だらけのため、圧倒的に読みやすい。またそれがねっとりしていて読ませる。はじめて読む作家だが、疑心暗鬼を描かせたら、なかなかの手練れだろう。

 

我々はよく因習村などという言葉を使ったりするが、因習に支配されるのは村でも町でも同じ。むしろ中途半端な中堅都市の中堅学校ほど、そうした因習に支配されているものだろう。たとえば『 ここは退屈迎えに来て 』の舞台の高校を格調高い歴史ある女子高にすれば、そこには悪趣味な世界が構築されていると想像するのは難しくない。

 

怪しいと思った人物が次から次へと現われては消えていくので、先の展開が気になってページを繰る手が速くなった(2時間で読み切ろうと決めていたのもあるが)。特に学園パートは赤川次郎の『 死者の学園祭 』や恩田陸の『 六番目の小夜子 』的なドロドロの面白さがあった。

 

ネガティブ・サイド

途中から犯人というか、真犯人が分かってしまう。作者が引っかけたいのは主人公ではなく読者だという視点で読めるベテラン読者なら、中盤過ぎには色々と見透かせてしまうのでは?

 

とある毒物というか化学物質を執拗に描写しているが、これはミスリーディングを誘いたいにしてもやりすぎ。描写が科学的に正確または不正確だというのではなく、その描写の量から「ああ、ここまで書き込むということはこれは〇〇なんだな」と思わざるを得ない。

 

それにしても蘭聖学園のOGが社会の要所要所に存在しすぎではないか。まるで早稲田や日大のように感じてしまった。

 

総評

ミステリとしてはやや物足りないが、嫌ミスとしては標準的。本作を面白いと感じられたら、次は一気にステップアップして湊かなえの『 告白 』を読もう。少し古いが、嫌ミスの元祖とも言うべき作品で、構成も本作とそっくり、なおかつ面白さは数段上だ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

class reunion

最も一般的な「同窓会」の訳語。

plan a class reunion = 同窓会を計画する
attend the class reunion = 同窓会に出席する

のように使う。

6月31日の同窓会 (実業之日本社文庫)

6月31日の同窓会 (実業之日本社文庫)

  • 作者:真梨 幸子
  • 実業之日本社
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Posted in 国内, 書籍Tagged 2010年代, C Rank, ミステリ, 日本, 発行元:実業之日本社, 著者:真梨幸子Leave a Comment on 『 6月31日の同窓会 』 -嫌ミス入門に適す-

『 ミッシング 』 -もう少し焦点を絞り込めなかったか-

Posted on 2024年6月2日 by cool-jupiter

ミッシング 60点
2024年6月1日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:石原さとみ 青木崇高 森優作 中村倫也
監督:吉田恵輔

 

風邪がなかなか治らないので簡易レビュー。

あらすじ

沙織里(石原さとみ)と豊(青木崇高)の娘の美羽が突然姿を消した。直前まで娘と一緒にいた沙織里の弟(森優作)との関係はギクシャクしたものになり、ネットでは母親に批判的な書き込みがあふれる。唯一、ローカルTV局の砂田(中村倫也)だけは親身に沙織里に寄り添うが・・・

ポジティブ・サイド

6歳の子どもの失踪など考えただけでも胸が苦しくなる。自発的に疾走するわけがないのだから、誘拐または事故に決まっている。本作は美羽の失踪の真相を追うのではなく、そこから見えてくる人間関係の変質や社会の闇に迫っていく。

 

青木崇高の演技が特に良かった。感情の表出をあまり行わない=感情があまり動いていない、というわけでは決してない。最も印象深かったのは蒲郡のホテルの喫煙所。悲しさ、悔しさ、虚しさをないまぜにしたような表情に胸を打たれた。

 

ネット上の無責任かつ批判的なコメントについて、なぜ無関係な人間がそんなことをできるのかと憤りを覚えるが、本作は「無関係な人間だからこそそんなことができるのだ」という視点を提供している。では、我々はどうすべきなのか。関わるしかないだろう。それが直接の癒しになるかどうかはわからない。しかし、関わること、そして関わることでしか得られないものがあるのは間違いない。

 

ネガティブ・サイド

メディアの恣意的な報道とその影響については同監督の『 空白 』の二番煎じに感じられた。また、中村倫也演じる砂田という男に少し尺を割きすぎ。TV局側のサブプロットをもっと削れば、佐織里と豊の二人の物語にもう少しフォーカスできたはず。

 

石原さとみの演技はかなり過剰だったように思う。というか、演技の過剰さと化粧やヘアスタイルが矛盾していたとでも言おうか。ぼろぼろの肌、ぼさぼさの髪で壊れていく様を見せるべきだった。

 

怪しい犯人的な人物をこれ見よがしに出し入れしていたが、元々真相追求型のストーリーではないと分かっているのだから、それもノイズだと感じられた。

 

総評

吉田恵輔監督は『 BLUE ブルー 』のような、非常に小さな輪の中の人間関係を描かせる名手であると思っている。だからこそ同作や『 空白 』のように、本作ももう少しキャラクターあるいはサブプロットを絞ってほしかった。それでも人間たるもの、どうあるべきかについて非常に示唆に富む回答を本作が提示しているのは間違いない。早めに劇場鑑賞を。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

make a prank call

よほど熱心な英語学習者でもない限り知っておく必要性は薄いが、これは「いたずら電話をする」の意。いたずら電話もその悪質性によっては一発で起訴される可能性もあるのではないだろうか、と本作を観て思わされた。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 関心領域 』
『 バジーノイズ 』
『 あんのこと 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, ヒューマンドラマ, 中村倫也, 日本, 森優作, 監督:吉田恵輔, 石原さとみ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画, 青木崇高Leave a Comment on 『 ミッシング 』 -もう少し焦点を絞り込めなかったか-

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