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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: B Rank

『 コンクリート・ユートピア 』 -人間社会の汚穢を描く-

Posted on 2024年1月12日 by cool-jupiter

コンクリート・ユートピア 70点
2024年1月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イ・ビョンホン パク・ソジュン パク・ボヨン
監督:オム・テファ

 

簡易レビュー。

あらすじ

突如発生した天変地異により、韓国社会は崩壊した。唯一崩落しなかった皇宮アパートには生存者が押し寄せるが、住民は団結し、彼らを排除することを決定。住民のリーダーとして、冴えない中年のヨンタク(イ・ビョンホン)が選ばれるが・・・

ポジティブ・サイド

韓国の苛烈な経済格差および移民問題を痛烈に皮肉った序盤、そして民主主義の正の面と負の面が露になる中盤、そして閉鎖・孤立したコミュニティが民主主義の負の面から自壊していく終盤と、非常にテンポよく物語が進んでいく。

 

韓国映画あるあるなのだが、まったくもって普通の一般人に見える人が、突如発狂するシーンが何度もあって、緊張感も持続する。男性のほとんどが兵役経験者ということで、住民とその他の争いにもリアリティがある。

 

能登半島地震の被災現場の本当の悲惨さは知るべくもないが、「人間社会はこうあってはならない」という韓国映画のメッセージは、ある意味でこれ以上ないタイミングで届けられたと思う。

 

ネガティブ・サイド

細かいところだが、男性陣の誰もひげが伸びないのは何故?韓国成人男性はもれなくひげの永久脱毛済み?そんなはずはないと思うが・・・

 

ラストは正直なところ、賛否両論あるだろう。自分はやや否かな。最後まで狂気で突っ走ってほしかった。

 

総評

韓国映画の佳作。災害ものでは人間の本性があらわになるが、韓国映画はそこで人間のダーティーな面を映し出すことを恐れないところが素晴らしい。イ・ビョンホン以外のキャストの演技力も申し分なく、いつも同じメンツで映画を作っている邦画界とは役者層の厚さが違うところが羨ましい。2010年代ほどではないにしろ、2024年も韓国映画には期待して良さそうである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

apartment

いわゆるマンション、集合住宅を指す。ちなみに英語の mansion は大邸宅を指す。apartmentは一室を指し、集合住宅全体は apartment house と言う。一応区別して覚えておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 雑魚どもよ、大志を抱け! 』
『 ゴーストワールド 』
『 ブルーバック あの海を見ていた 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, イ・ビョンホン, サスペンス, パク・ソジュン, パク・ボヨン, パニック, 監督:オム・テファ, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 コンクリート・ユートピア 』 -人間社会の汚穢を描く-

『 きっと、それは愛じゃない 』 -結末以外はパーフェクト-

Posted on 2023年12月31日 by cool-jupiter

きっと、それは愛じゃない 75点
2023年12月29日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:リリー・ジェームズ シャザト・ラティフ
監督:シェカール・カプール

 

原題がティナ・ターナーの楽曲 “What’s Love Got To Do With It?” と同じ。主演が『 シンデレラ 』のリリー・ジェームズ、監督は『 エリザベス 』のシェカール・カプールということでチケット購入。

 

あらすじ

ドキュメンタリー作家のゾーイ(リリー・ジェームズ)は隣家の幼馴染カズ(シャザト・ラティフ)が見合い結婚すると聞き、その過程を映像に収めようと企画する。カズは両親や結婚相談所の仲介を経て、カズはトントン拍子に婚約者を見つけるが・・・

ポジティブ・サイド

これまたJovianの好物である「映画を作る映画」である。話のポイントはそこではないが、とにかく映像作品を作る過程を映像作品にするのは、単純に見ていて面白い。作り手の哲学や作劇に対する姿勢がそこによく表されると感じる。本作で言えば、白人の若い女性がドキュメンタリーを撮るというのは、老齢の有色人種の男性が娯楽作品を撮ることと対比される。宮崎駿がいつも少女をテーマにするようなもの。

 

パキスタンにルーツを持つイスラム教徒でありながら、生まれも育ちもイングランドで職業は腫瘍内科医という一種のエリートのカズが、両親の勧めに従ってパキスタンから嫁を取るというのはなんだか保守的に感じられるが、これは非常にリアルだと感じた。異人は異人であろうとすると喝破したのは赤坂憲雄だったっけか。日本でも(だいぶ薄まっているが)韓国人や中国人がコミュニティを作って独自の文化や伝統を保持しようとするのも同じ理屈。一方で、生粋のイングランド人のゾーイが自由恋愛をしたところ、引っかかるのはクズ男ばかりという対比も面白い。

 

スカイプで出会って、色々と話す中で婚約がまとまっていくが、いざ現地で花嫁とご対面となったときのギャップも現代的。異邦人として生きる者たちが伝統や文化の維持に尽力している一方で、本国の若者は西洋的な文化に触れまくったパリピになっているのは皮肉ではあるが、やっぱりリアル。普及したかに思えたテレワークが定着しなかったのは、こういうことが往々にして起こるからなのだろうなと感じた。実際、大学などで教えていても、オンライン授業よりも対面授業の方がはるかにやりやすい。

 

自由恋愛vsお見合い結婚、人種の違い、宗教の違いなどの描写を通じて、最終的には家族の再生の話につながっていく。家族には二通りある。自分がそこに生まれ落ちてくる家族。これは自分で選べない。もう一つは、自分で作り出す家族。これは自分で選ぶことができる。別に他人(親を含む)に選んでもらっても構わないわけだが、それも含めて家族は所与でも結婚は自分の選択だというのが本作の結論か。説教臭くならず、現代的なテーマをふんだんに盛り込んでいて、非常に見ごたえのある物語だった。

 

ネガティブ・サイド

ゾーイとカズの幼少期のシーンが欲しかった。二人が子供のころから仲良しで、しかし47番地と49番地には子どもには見えない壁があった、あるいはゾーイの目には見えない溝があったことを仄めかすシーンがあれば、終盤に生きたと思われる。

 

獣医のジェームズとゾーイの関係の終わらせ方が強引だった。ゾーイが子どもたちに語って聞かせる変調のおとぎ話をたまたま耳にするというのは都合が良すぎる。ゾーイの作品に映し出されるカズの姿から何かを感じ取って身を引く、というプロットを模索してほしかった。

 

総評

ティナ・ターナーの What’s Love Got To Do With It? の It は男と女が惹かれあうこと自体を指しているが、本作の It は arranged marriage または assisted marriage を指すのかな。キャリア志向の女性が本作を鑑賞するとビミョーに感じてしまう恐れはあるが、結婚なんてものは突きつければ赤の他人と一緒になること。つまりは最もベーシックな意味での異文化共生なのだ。それが本作のテーマなのだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

good enough

文脈にもよるが「充分に良い」という意味と「まあ、こんなもんだろ」という意味がある。劇中でゾーイがとある男性を評して good enough を使うが、結婚相手に perfect を求めるのはいかがなものか。実際は good enough で満足すべきなのではと思う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 雑魚どもよ、大志を抱け! 』
『 ゴーストワールド 』
『 ブルーバック あの海を見ていた 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, イギリス, シャザト・ラティフ, ラブ・ロマンス, リリー・ジェームズ, 監督:シェカール・カプール, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 きっと、それは愛じゃない 』 -結末以外はパーフェクト-

『 ナポレオン 』 -人間ナポレオンに迫る-

Posted on 2023年12月27日2023年12月28日 by cool-jupiter

ナポレオン 70点
2023年12月23日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ホアキン・フェニックス ヴァネッサ・カービー
監督:リドリー・スコット

簡易レビュー。

 

あらすじ

砲兵長ナポレオン(ホアキン・フェニックス)は英国軍の撃退などで軍人として昇進していく。その中で未亡人のジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)と出会い、結婚する。戦争の中で頭角を現し、出世を重ねるナポレオンだが、ジョゼフィーヌの浮気が判明して・・・

ポジティブ・サイド

大学時代にフランス人、ドイツ人と一緒に暮らしていた時、ドイツ人が冗談めかして「ヒトラーさえいなかったら、ヨーロッパの嫌われ者はナポレオンを生んだフランスだったのに」と言ったところ、フランス人が「だろうな」と応じたことがあった。本作を見れば、ナポレオンがいかにヨーロッパ中で戦争していたのかが分かる。

 

その一方で、本作が本当に描き出したかったのは、英雄や悪魔としてのナポレオンではなく、一人の男性としてのナポレオン。もっと言えば、女に弱いナポレオン。英雄色を好むと言われるが、ナポレオンも例外ではない。一方で、意外なほどにジョゼフィーヌ一筋で、ヨーロッパ史にまあまあ詳しいJovianも知らないエピソードがあって面白かった。

 

『 her 世界でひとつの彼女 』や『 ジョーカー 』で隙のある男というか、今風に言えば弱者男性を演じたホアキン・フェニックスが、稀代の快男児のナポレオンを演じるとともに、どこまでジョゼフィーヌに執着するキモ男も同時に好演。これは配役の勝利。個人的にはウェリントン卿がイメージそのままで、クライマックスのワーテルローの戦いは非常に楽しめた。もう一つの見どころは戴冠式。ルイ・ダヴィッドも一瞬だけ映る。

 

『 最後の決闘裁判 』には及ばないが、人間、就中、男と女の真実(≠事実)を明らかにせんとするリドリー・スコットの哲学が開陳された一作。

 

ネガティブ・サイド

トラファルガーの海戦がスルーされたのは何故?もちろん撮影はしたのだろうが、ここをバッサリと切ってしまうと「英国は海戦は知っていても陸戦は知らない」というナポレオンの言葉に説得力がなかったように思う。

 

今でこそロシアとウクライナが戦争していたり、イスラエルとパレスチナが戦争していたりして、為政者が戦争を起こす、あるいは国民が戦争を強く支持してしまうという構図があるので、本作の社会的意義も見出せるが、それがなければ単なるエンタメ作品では?というと、エンタメとしてはちょっと弱い気がする。戦争シーンに迫力はあるが、大砲で人がバタバタ倒れていくシーンには迫真性はなかった。『 プライベート・ライアン 』とは言わないが、『 エイリアン 』並みのグロ描写があっても良かったのでは?最初の馬のシーンで期待をさせておいて、えらく尻すぼみだなと感じられた。

 

総評

ヨーロッパ史にある程度の造詣がないと鑑賞はお勧めできない。逆に言えばナポレオンおよびその周辺の歴史をある程度知っているなら楽しめる。また人間としてのナポレオンに注目するのだと割り切って鑑賞するのもありだろう。そんな向きはいないと思うが、デートムービーにするのは禁物である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a close-run thing

「紙一重の出来事」の意。劇中では使われなかったが、ウェリントン卿がワーテルローの戦いの後に言ったとされる言葉。ただし、実際は a damn nice thing もしくは the nearest-run thing が正しい言葉だとも言われる。ナポレオンの「吾輩の辞書云々」と同じで、一種の伝説のようなもの。同僚ブリティッシュによると British Englishでは今日でも使われるとのこと。危機一髪の状況をなんとか生き残ったら、That was a close-run thing. と表現してみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 』
『 PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ 』
『 きっと、それは愛じゃない 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, ヴァネッサ・カービー, ホアキン・フェニックス, 伝記, 歴史, 監督:リドリー・スコット, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 ナポレオン 』 -人間ナポレオンに迫る-

『 市子 』 -それでも静かに生きていく-

Posted on 2023年12月19日 by cool-jupiter

市子 75点
2023年12月16日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:杉咲花 若葉竜也
監督:戸田彬弘

 

簡易レビュー。

あらすじ

市子(杉咲花)は同棲している恋人の長谷川(若葉竜也)からプロポーズを受けて快諾する。しかし、市子は翌日に姿を消してしまう。市子を探し求める長谷川は、市子がかつては月子と名乗っていたことを知り・・・

 

ポジティブ・サイド

本作の扱うテーマはレバノン映画の傑作『 存在のない子供たち 』と同じ。戸籍=身分証明=アイデンティティというのが現代社会だが、そこからこぼれ落ちてしまった者はどう生きていけばよいのか。本作はそれを追究しようとしている。

 

これまで少女役ばかりだった杉咲花がやっと一皮むけたかなという印象。弱さと強かさの両方を併せ持つ女性を演じきったのは見事。傾城の美女ではなくともファム・ファタールにはなれるのだ。

 

市子の過去をめぐって様々な人物の物語を移していく手法は『 正欲 』と同じ。また、エンドロールの際に流れる声で物語を想起させる手法は『 カランコエの花 』と同じ。content ではなく form が重なるのは個人的には全然OKである。

 

ネガティブ・サイド

いくらなんでも最初の事件は簡単に事の真相がばれてしまうと思うのだが。そうなると月子→市子というメタモルフォーゼも無理ということなってしまう・・・

 

また次の事件では死んだ人間の仕事がそちら関係なので、必然的に市子およびその周辺も捜査されてしまうと思われる。

 

総評

ウィリアム・アイリッシュの昔から「消えた女」を追うというプロットはハズレが少ない。本作もいくつかの点に目をつぶればOKだ。作劇の面ではいくつかの先行作品とそっくりだが、中身の点では『 さがす 』に似ていると感じた。邦画の世界でも陰影の深い作品が生み出されつつあるのは好ましいことだと思う。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

hug

ハグするというのは日本語にもなっている。意味は「抱きしめる」である。劇中の長谷川の印象的なセリフに「抱きしめたい」というものがあったが、あれは I want to hug her. となるはず。よりドラマチックかつロマンチックな言い方をするなら I want to wrap her in my arms. となる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ 』
『 怪物の木こり 』
『 きっと、それは愛じゃない 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, サスペンス, 日本, 杉咲花, 監督:戸田彬弘, 若葉竜也, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 市子 』 -それでも静かに生きていく-

『 翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ 』 -社会批判コメディの良作-

Posted on 2023年11月28日 by cool-jupiter

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ 70点
2023年11月25日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:GACKT 二階堂ふみ 杏 片岡愛之助
監督:武内英樹

 

『 翔んで埼玉 』の続編。前作には劣るものの、コメディの中にも社会批判の精神が垣間見られる良作だった。

あらすじ

埼玉解放戦線の活躍により通行手形が廃止されて3か月。埼玉県人は東京を目指すばかりで、横のつながりを欠きつつあった。麻実麗(GACKT)は埼玉の心をひとつにすべく、海を作ることを画策。和歌山の白浜から良質な真砂を持ち帰るために出航するが・・・

ポジティブ・サイド

埼玉県民がラジオ放送の物語に耳を傾けるという前作のフォーマットを踏襲。しかし、今回は舞台が滋賀ということで今度は関西人をビジネスターゲットにした。そしてそれはかなり成功していると感じた。とにかくローカルネタのオンパレードで関西人の笑いのツボを的確に刺激してくる。尼崎にもなぜか平和堂があり、よく行くところなので、HOPカードには我あらずプッと吹き出してしまった。

 

前作でのネタも適度に引き継いでいるので、埼玉に海を作るという突拍子もないアイデアもすんなりと受け入れられた。また麗がマイアミ帰りという設定がまさかこのような形で説明されるとは思わなかった。左フックをあごに食らったような衝撃だが、これは滋賀県民ならゲラゲラ大笑いしてしまうのかもしれない。

 

そんな麗と仲間たちが、なんだかんだで関西上陸。そこで大阪の横暴と圧政に苦しむ滋賀その他の住民たちと解放戦線を組むというのはワンパターンではあるが面白い。そしてその面白さは、ヴィランがヴィランとして躍動しているからこそ際立つ。

 

本作では吉村大阪府知事の冷酷さや身勝手さが、嘉祥寺というキャラを通じてよくよく表現されていた。タイガースの優勝や大阪万博など、タイムリーなネタも満載。特に大阪府民以外が道頓堀に飛び込むのは許さない、という姿勢には唸った。コロナ爆発の前、かの知事が兵庫県民と京都府民に「大阪に来るな」と発言したことを覚えている関西人は多いだろう。この傲岸不遜な姿勢、心根をとことんパロディ化することに成功した武内監督および脚本家の徳永友一は透徹した人物眼の持ち主であると評したい。

 

この極悪大阪に対して、「琵琶湖の水を止める」という鉄板ネタで立ち向かう滋賀解放戦線には笑うしかない。そして前作でも繰り広げられたご当地出身の有名人合戦もユーモア抜群。特に西宮出身であるにもかかわらず神戸出身を公言していた女優が、実は別の土地と非常に深い関わりを持っていたというシーンには腹の底から笑わせてもらった。

 

最後は「白い粉」で全世界の大阪化を画策する府知事の目論みを、まさかの方法で文字通り粉砕するギャグ漫画かいなという超絶展開。というか元々はギャグ漫画だったな。大阪のシンボルを埼玉の自虐ネタが粉砕するという展開にイライラさせられた大阪人もいたことだろうが、最後に大阪人の面倒見の良さをアピールするという抜かりなさ。生粋の大阪人のJovian妻は「やっぱり大阪人は人情あるわ」と、すっかり製作者の掌の上で踊らされていた。散々大阪をディスりながら、最後にコロッと態度を変えさせる。作り手は大阪人をよくわかっている。大阪人だけではなく、神戸市民以外の兵庫県民、京都市民以外の京都府民、そして滋賀県民や和歌山県民にもお勧めしたい改作である。

ネガティブ・サイド

尼崎の劇中での描かれ方はなんだったのだろうか。大阪市尼崎区と揶揄されることもある我が街であるが、こんな意味不明な描写をされるのならカットしてほしかった。もしくは大阪最強軍団の補欠的扱いで姫路と一緒にむりやり動員される、というのなら笑えたのだが。

 

甲子園を脱出した麗がいきなり京都の祇園にワープしたのは何故なのか。梅田の地下ダンジョンは全カット?うーむ・・・

 

大阪府知事の怪しい儀式は不要だったかな。

総評

前作が東京のジャイアニズムをとことん皮肉ったように、今作では大阪のジャイアニズムをとことんコケにしている。その象徴が片岡愛之助演じる大阪府知事。大阪もしくは関西圏以外の方々には吉村大阪府知事がどのように受け止められているのかは分からないが、彼の本性が本作では非常にコミカルに、しかりリアルに描かれていると思って頂いて結構だ。思えばこうした大都市に搾取される地方という構図は日本の問題の縮図である。ぜひ本作を見て大いに笑ってもらい、最後に少しヒヤッとしてもらいたい(特に都会人)。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

take someone away

誰かを連行する、の意味。『 スター・ウォーズ 』の冒頭でダースベイダーがトルーパーにレイア姫を連行するように言う時に “Take her away!” と言っていた。映画でしょっちゅう聞こえてくる表現なので、意識して聞いてみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 花腐し 』
『 首 』
『 市子 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, GACKT, ブラック・コメディ, 二階堂ふみ, 日本, 杏, 片岡愛之助, 監督:武内英樹, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ 』 -社会批判コメディの良作-

『 カランコエの花 』 -あなたの心に澱みは残るか-

Posted on 2023年11月7日2023年11月7日 by cool-jupiter

カランコエの花 70点
2023年11月6日 神戸学院大学有瀬キャンパス951号室にて鑑賞
出演:今田美桜
監督:中川駿

 

非常勤講師を務めている大学でダイバーシティ映画上映会の案内が届いたので、会社で後半休を取って(まあ、同日の夜に働くのだが)上映会に行ってきた。その理由は監督が秀作『 少女は卒業しない 』の中川駿だったからである。

 

あらすじ

とある高校2年生のクラス。ある日唐突に『LGBTについて』の授業が行われた。しかし他のクラスではその授業は行われておらず、生徒たちに疑念が生じる。「うちのクラスにLGBTの人がいるんじゃないか?」生徒らの日常に波紋が広がっていき・・・

 

ポジティブ・サイド

構成が絶妙だ。主人公の月乃(今田美桜)が学校や家庭で過ごす一日一日の経過を映し出していく。幕間=日の移り変わりの暗転の間も絶妙で、一日ごとの月乃の心境の変化を観る側も考えてしまう。

 

本作がユニークなのは、LGBTではない人の目線で物語を追っていく点にある。たとえば『 彼女が好きなものは 』や後述する作品などではLGBTが主役あるいは準主役である。しかし、本作の月乃はいたって普通の女子高生で、その彼女の目から見る世界がいかに自分たちが知覚する社会と近いのかが再確認される。つまり、月乃の感じる精神的な動揺が観る側にダイレクトにつながる。

 

本作は固定カメラを使わず、ほとんどすべての画面に手振れがある。それによって、まるで自分がその場にいるかのような臨場感が感じられるという、思わぬ副産物的効果もある。同時に自分がLGBTとどう接するべきなのかという問題(issueであってproblemではない)に対して傍観者であるとも感じさせられる。

 

これから本作を鑑賞する方々は、ぜひ月乃の属する仲良し4人組の人間関係を観察されたい。そして、明かされるカランコエの花言葉の意味と、月乃がそのシュシュを身に着ける、そしてそのシュシュを取り外すことの意味を、よくよく考えてみてほしい。

 

以下、中川監督と神戸学院大学の中山文(なかやまふみ)教授との対談の中で触れられた内容とそれについての所感を挙げていく。

 

中川監督:

社会問題を扱う上で、高校生は子どもではないが、大学生や社会人は大人。大人は上手いこと嘘をつく。

 

これはその通りで、本作でもいけしゃあしゃあと嘘をつく日本史の教員が登場する。また、そもそもの問題の発端である授業を実施した保健のハナちゃん先生もそうだ。彼女の、まったく心のこもっていない授業をぜひ聞いてほしいと思う。一方で、嘘がつけない男子が印象的だった。どこかで見たことのある顔だと思ったら、『 リング・ワンダリング 』の主人公ではないか。この悪ガキの良い意味でも悪い意味でも嘘がつけない性質が本作の物語に深みを与えていることにも注目してほしい。

 

中川監督:

本作は2018年に公開されたが、撮影は2016年に行った。2018年の教育関係者の感想は「怖い、自分もこんなミスをやってしまいそう」というものが多かったが、2023年になるとそうした感想はかなり減ってきた。

 

これは邦画の世界にもしっかり反映されている。たとえば2016年の映画『 怒り 』と2023年の映画『 エゴイスト 』、この両作品におけるLGBTの描き方を比較すれば明らかである。中川監督は「7年で本当に世の中が変わった」と何度か言っていたが、それは本当にその通りだと感じる。

 

本作はカミングアウトをテーマにしているが、そこには以下の3種類の怖さがある。

1.同性愛だと思われるのが怖い
2.同性愛者の自分が否定されるのが怖い
3.自分自身が否定されるのが怖い

以下はJovianの私見だが、この3段階は別個の心的事象ではなく、1→2→3と連続するものであると思う。つまり、同性愛であることそのものがストレートに自己否定になりかねない。このことは社会全体で知っておくべきことであると思う。これは同性愛の部分を「障がい者」に置き換えてみればよく分かるであろう。

 

中川監督:

カミングアウトには条件がある。それは「カミングアウトしても帰っていける居場所を確保しておくこと」である。

 

これも非常に重要な指摘であると思う。これはLGBTや障がい者、あるいは在日外国人などに限ったことではない。誰もが何らかのコミュニティに属して生きていくのが人間だが、属すことができるコミュニティは別に一つとは限らない。会社に居場所がないサラリーマンは、居酒屋が居場所になるかもしれないし、英会話スクールやカルチャー教室が居場所になるかもしれない。

 

中川監督:

(どのシーンが一番好きですか?と問われ)どのシーンが好きかとは自分では言えないが、エンドロールが一番好きだと言われることが多い。

 

この言葉通り、本作のエンドロールはユニークである。『 おと・な・り 』のエンドロールそっくりだと言えば分かる人には分かるかもしれない。それよりもびっくりさせられたのは、あのエンドロールはほとんどあの役者のアドリブだということ。これこそ演出というもの。そういう意味では『 ゴジラ-1.0 』で佐々木蔵之介に「これからの日本はお前らに任せるぜ」などと安易に喋らせてしまう山崎貴監督は、やはり人間ドラマを描く力が弱いと言わざるを得ない。

 

中山教授: 

「私たちの大学、明石にあるんですよ」(正確には神戸市有瀬、明石までは数十メートルだが、れっきとした神戸市である。大学の名前も神戸学院ですよ!)とのことだが、その明石市には同性パートナーシップ条例がある。つまり、同性カップルの移住が促進され、それも人口増に寄与しているとのこと。

 

これも面白い指摘。泉房穂元市長が何かとお騒がせというか話題を提供しているが、人口減少社会において、同性カップルを許容することの意味はここにもある。余談だが、同性カップルは当然ながら子孫(養子除く)を残すことができない。しかし、人類の一定数は必ず同性愛者である。ということは、同性愛者には生物学的な意味での raison d’etreがあるはず。誰かを好きになるという感情を説明することは難しいが、同性を好きになるという人が存在することは、いつか説明できるようになると思われる。

 

中川監督:

(次回作の構想を問われ)子どもの車中置き去り事件に関心があり、色々とリサーチをしている。映画においては、観客の気づきに勝るものはない。こちらから押し付けるのではなく、気付いてもらえるような作品を作りたい。

 

うーむ、これもなかなか社会的なテーマ。車中置き去りで幼児あるいは子どもが死亡するというのは、うっかりで説明できない事件あるいは事故である。次回作のリリースを首を長くして待ちたい。なにもかもをキャラのセリフで説明してしまうのではなく、観客の気づきを促す。これは教育の在り方に通底するものがある。

 

中川監督:

(なぜ映画監督になったのかを問われ)最初はイベント企画会社に就職したが、リーマンショックによる大不況で毎月毎月社員が辞めていく。新入社員だった自分は、その送別会用のムービーを毎月毎月作っていた。そのうちに映像制作を面白いと思うようになり、映画の世界に足を踏み入れた。映画監督の売り物は何を美しいと思うかという感性。カメラマンなどは手振れなく撮影する技術が必要な専門職だが、映画監督の売り物である感性は誰でも何歳からでも磨くことができる。だから皆さんも今からでも映画監督になれる。自分は20代半ばから映像作家になったが、映画監督の中には小さな頃から映画があまりにも好きなあまり「映画は素晴らしい」という思いが強すぎて、「お客さん、感じ取ってくれよ」という押しつけになりがち。今後も映画を過信せず、しっかりとリサーチすることが大事だと思って活動していきたい。

 

以下、出席者(教員の方?)から中川監督に質問2点。

Q1.

どういうふうに対応すれば正解だったのか?

 

A1.

どうしてほしい、どうしてほしくないかは当事者によって異なる。本作では誰も〇〇〇〇に「どうしたい?どうしてほしい?」と尋ねていない。

 

Q2.

カミングアウトがなされた時にどのように行動すべきだったのか?

 

A2.

〇〇〇〇自身はLGBTであることを隠していない。なので「あ、そう」「だから、何?」でよかった。

 

これはあくまで本作の世界観での話であることに注意。現実は監督の言う通りに、当事者によって配慮の仕方や、あるいは配慮の必要性の有無そのものも異なってくる。ただひとつ言えることはLGBTの性的志向もストレートの性的志向も「対象は非常に限定的」という意味では同じである。この記事の読者の sexual orientation がなんであるかは知る由もないが、たとえば30代男性だとしよう。その人が道行く女性全員に欲情するのか?という話である。断言する。しない。LGBTも同じである。たとえばLが道行く女性すべてを好きになるはずなどない。

 

中川監督:

(ワークショップの最後にメッセージをとお願いされて)年月を経るごとに『 カランコエの花 』が扱うテーマがどんどん古いと捉えられ、レビューサイトの星の数がどんどんと減っていっています。それは主として若い世代の感想。それは世の中にとっての好ましい変化。今後、若い人たちがどんどん社会を変えていってほしい。

 

これはまさに哲学者ジャン・ポール・サルトルの言うところのアンガージュマン!英語で言うなら engagement だ。大学という一種の象牙の塔で得た知識や技能を使って、社会をより良い方向に変化させていく。非常勤講師兼サラリーマンのJovianもまったく同じことを学生諸君に期待している。

 

ネガティブ・サイド

月乃のお父さんが登場しないのは何故?お母さんだけではく、お父さんという世代も性別も違う大人が月乃からの相談にどう対処するのか、お父さん世代のJovianは非常に気になってしまった。

 

保健室の養護教諭が勝手に授業することなど現実にあるのだろうか。学校というのはかなりガチガチにカリキュラムが組み立てられている。そしてそのカリキュラム(この科目は授業〇時間、予習と復習が週に△時間etc)は文科省様によって厳密に定められていたりする。なので英語の自習ならまだしも、そこに唐突に道徳の授業的な時間を設けるというのは考えづらい。善意からの不注意で済ますにのは、説明としてはちょっと苦しい。

 

総評

パッと見たところ、200名近くの学生が参加していた。演劇とジェンダー・スタディーズの講座の一環らしいが、授業に映画鑑賞を取り入れるという試みは、高校や大学でもっと広まっていいと思う。Amazon Prime Video でも視聴可能で、時間も39分とコンパクトなので、通勤通学の時間や寝る前などに鑑賞することも可能だろう。もちろん親子での鑑賞にも十分に耐えうる作品だ。本作を観て「うーむ」と考えさせられたら、それは自分がそれだけ古い価値観の人間だということ。ちなみにJovianは古いと新しいの中間ぐらいだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント・レポート・レッスン

こんなブログを見ている神戸学院大学の学生がいるのかどうかは分からないが、dotCampusあるいは Moodle に提出しなければならないレポートの書き方のヒントとして以下を挙げておく。中山教授もこれぐらいは許してくださるだろう。

・登場人物の行動や、その背景にある心理を想像する
・それらを同じシチュエーションに置かれた自分の行動や心理と比較する
・その比較から自分とキャラクターの共通点を書く(反省的な内容)
・その比較から学べること、今後に実践できることを書く(思考変容・行動変容)
・上記を講座で学んだ理論、事例、ケース・スタディと比較対照して、自分の思考変容・行動変容の理論的な裏付けを書く
・監督と教授のやり取りで印象に残った点についても触れる

これをある程度しっかりしたプレゼンテーション(レポートの体裁=段落分けや引用文献の明記etc)と一定以上の語数(日本語なら800~1200字だろうか)で書ければ、悪い点数にはならないはずである(保証はしないけど)。幸運を祈る。

 

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Godzilla Minus One -A great homage to the very first film and GMK-

Posted on 2023年11月5日 by cool-jupiter

Godzilla Minus One 75/100
November 3rd, 2023 Watched at Movix Amagasaki
Casts: Ryunosuke Kamiki   Minami Hamabe
Director: Takashi Yamazaki

 

Director Takashi Yamazaki, who angered many movie fans with ‘Dragon Quest: Your Story’ somewhat redeemed himself with ‘Lupin the 3rd: The First.’ I bought a ticket a little concerned, but I got my money’s worth/

Introduction

As the end of the war drew near, pilot Shikishima (Ryunosuke Kamiki), assighned the mission of launching a kamikaze attack on the enemy, had to make an emergency landing on Odo-shima Island due to aircraft trouble. However, that night, Godzilla attacked the island, and the detachment was wiped out. The only survivors were Shikishima and the chief mechanic. Later, when Shikishima returned to Tokyo, he learned of his parents’ death. However, he got into a strange relationship with Noriko (Minami Hamabe), and a child to whom she was not the biological mother …

Some major spoilers ahead. You’ve been warned.

 

Positives

The story began with Odo-shima Island, which put a smile on my face. And Godzilla’s appearance within the first 5 minutes also put a smile on my face. “Shin Godzilla”, the last Japanese Godilla film, had an early appearance of Godzilla, too, but this film immediately shows us the full body of Godzilla, which Shin Godzilla didn’t do.

 

Once Godzilla got his feet dry, Tokyo turned into a wasteland just like that. Unlike the first Godzilla that was in black and white, this one felt very realistic. In the first film, where all the characters (except Dr. Yamane) were full of sadness and despair. On the other hand, in this film, various characters’ emotions crisscrossed. Despite being a special kamikaze attack team member, Shikishima, the protagonist played by Ryunosuke Kamiki, refused to die and survived. A young girl who some other woman entrusted her baby to somehow got to know him. The next door widow, played by Sakura Andoh, intervened and helped this young strange couple. Even though the story was set in 1945, it was still very easy to sympathize with these characters because the emotions they were going through were universal.

 

Godzilla, powered up and enlarged by the Bikini Atoll nuclear tests, soon reappeared and destroyed the heck out of the Ginza district, which was a direct homage to the original. I couldn’t help but raising my fist into the air at the appearance of the tank unit because that was what happened in the original movie. Godzilla’s atomic breath was, in a sense, more destructive than Shin Godzilla’s. The rising mushroom cloud evoked memories of GMK (my favorite Godzilla movie!). What an overwhelming sense of despair and loss!

 

“Shin Godzilla” was about a national effort to stave off and terminate Godzilla, but this film was about a civilian operation against Godzilla, given the pre-Cold War situation at the time and the fact that Japan had been demilitarized by GHQ. It had only been a few years since the end of the war, so there were still quite a few military survivors. When they revealed the tactic, a gadget appeared and it immediately put a smile on your face because it reminded us of the Oxygen Destroyer from the original. The operation involved targeting Godzilla’s weakness as a living creature, and it was reasonably and logically convincing because that was basically what  Mechagodzilla from “Godzilla vs. Kong,” tried to do to Godzilla. The Godzilla theme that played as warships surrounded Godzilla just before this attack was truly an homage to the original because in the first movie, this music came on not when Godzilla destroyed Tokyo, but when the tank unit arrived and opened fire against Godzilla. That unique Akira Ifukube’s Godzilla theme song was originally the BGM when the Self-Defense Forces appeared. In this film, it was used as the theme song for civilian forces, not for Godzilla. Finally, there’s a kamikaze attack on Godzilla’s mouth, just like the anti-nuclear bacteria missile in “Godzilla vs. Mothra.” A heavily wounded Godzilla sinking to the bottom of the ocean was clearly an homage to GMK, which again did put a smile on my face.

 

Writer/director Takashi Yamazaki successfully made a name for himself for creating a new Godilla movie out of the traditional Godzilla movies.

Negatives

The human drama part was weak. To be more precise, it was hard to see the focus of the dramas. It wasn’t clear whether the film wanted to focus on the process of Shikishima, Noriko, and Akiko turning from a pseudo-family into an authentic one or if it wanted to focus on Shikishima and the other survivors overcoming their war traumas. It should have concentrated on on big subplot, not two.

 

A few of the actors’ performances stood out like a sore thumb. Shikishima, the main character, was completely overshadowed by Yoshioka Hidetaka and Kuranosuke Sasaki. The acting, or rather the directing, often missed the mark. In the final scene, Shikishima dropped the coat he was wearing onto the ground, but wasn’t the timing a bit off? That kind of scene happened throughout the film. It felt like Shikishima’s acting or the director’s direction didn’t quite fit in with the main character.

Overall Summary

Defining Godzilla is difficult, but it’s easy to recognize what is not Godzilla. In that sense, there is no room for doubt that the creature in this film is Godzilla, and this film is a Godzilla movie. Showa Godzilla was all about Godzilla destroying Japan, yet Japan always underwent a rehab in a booming economy. Reiwa Godzilla, on the other hand, is portrayed as an ominous force that could come back any time if Japan continues to economically dwindle and politically become right wing. The highly able and competent Japanese government depicted in ‘Shin Godzilla’ was fiction. It seems we’ve entered an era where we, as civilians, must make sure that Godzilla is not real and that he belongs in fiction and entertainment.

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ゴジラ, 怪獣, 日本, 浜辺美波, 監督:山崎貴, 神木隆之介, 配給会社:東宝Leave a Comment on Godzilla Minus One -A great homage to the very first film and GMK-

『 ゴジラ−1.0 』 -初代とGMKへのオマージュ-

Posted on 2023年11月4日 by cool-jupiter

ゴジラ−1.0 75点
2023年11月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:神木隆之介 浜辺美波
監督:山崎貴

 

『 ドラゴンクエスト ユア・ストーリー 』で多くの映画ファンを激怒させ、『 ルパン三世 THE FIRST 』でやや汚名返上した山崎貴監督。不安を抱きつつチケットを購入したが、本作は当たりだった。

あらすじ

終戦間際。特攻を命じられた操縦士の敷島(神木隆之介)は機体不調により大戸島に緊急着陸する。しかし、その夜、ゴジラが島に襲来し、遣隊は全滅。生き残りは敷島と整備長のみだった。その後、東京へ帰った敷島は両親の死を知る。しかし、そこで連れ子を伴った典子(浜辺美波)と共に奇妙な共同生活が始まり・・・

 

以下、本作およびゴジラ・シリーズのマイナーなネタバレあり

ポジティブ・サイド

大戸島というロケーションにニヤリ。そして開始5分で登場するゴジラにもニヤリ。『 シン・ゴジラ 』もゴジラ自体の登場は早かったが、本作はいきなりゴジラの全身を見せつけてくれる。

 

焦土と化した東京も、白黒だった初代ゴジラと違ってリアリティが抜群。登場するキャラクター全員(山根博士除く)に悲壮感いっぱいだった第一作と違い、本作は特攻隊であるにもかかわらず生き延びてしまった敷島や、兵隊が不甲斐ないせいで家族を失ってしまった未亡人など、より様々なキャラクターたちの感情が交錯する。それにより、歴史的に距離がある時代であるにもかかわらず、色々な人物に感情移入しやすくなっている。

 

ビキニ環礁の核実験でパワーアップ、サイズアップしたゴジラが再登場し、銀座を破壊していくシーンは、まさに初代へのオマージュ。戦車隊の登場にも思わずニヤリ。ゴジラの吐く放射熱線は、ある意味シン・ゴジラ以上の破壊力。モクモクと立ち上るキノコ雲はGMK(私的ゴジラ映画第1位!)を髣髴させる。この圧倒的な絶望感と喪失感!

 

『 シン・ゴジラ 』は国を挙げてのゴジラ対策だったが、本作は当時の世界情勢と武装解除された日本という状況から、民間人による対ゴジラ作戦を決行。終戦からわずか数年なので、軍の生き残りはそれなりにいる。そして明かされる作戦。ここでも初代のオキシジェン・デストロイヤーを髣髴させるオブジェにニヤリ。作戦としては、生物としてのゴジラの弱点を突くというもので、説得力はそれなりにあった。また『 ゴジラvsコング 』でメカゴジラがゴジラの口の中に攻撃をしようとして観る側を震え上がらせたが、本作はまさにそれを敢行。その直前に艦船が一斉にゴジラを包囲していく際に流れるゴジラのテーマは、まさに初代へのオマージュ。あの特徴的なテンポの曲は、もともと自衛隊登場時のBGMだった。それが本作にゴジラではなく民間戦力のテーマソングとして使用されたことにもニヤリ。最後には『 ゴジラ対モスラ 』での抗核バクテリア弾よろしくゴジラの口に突撃。ボロボロになって沈みゆくゴジラと、エンディングでの不穏なワンシーンは完全にGMKへのオマージュでさらにニヤリ。

古いゴジラ映画の様々なネタを再調理して、見事な一品に仕立て上げている。

ネガティブ・サイド

人間パートが弱い。というかドラマの焦点が見えにくい。敷島と典子とアキ子の疑似家族が真の家族になっていく過程に焦点を当てたいのか、それとも敷島やその他の生き残りたちの戦争トラウマの克服に焦点を当てたいのかが分かりにくかった。二軸ではなく、どちらかに注力すべきだったと思う。

 

役者の演技のアンバランスというか、主役のはずの敷島が吉岡秀隆や佐々木蔵之介に完全に食われている。演技というか演出も的外れなものが多かった。最終盤、敷島が羽織っていたコートをバサッと地面に落とすのだが、そのタイミングはちょっと違うのでは?と感じた。そういうシーンが多い。敷島の演技というか、監督の演出が主役にだけはハマらなかったように感じる。

総評

ゴジラを定義するのは難しいが、何がゴジラでないのかはすぐにわかる。その意味で、本作に登場するのは確かにゴジラであり、本作はゴジラ映画である。昭和ゴジラといえば日本を破壊しまくり、それでも復興する経済絶好調な日本の産物だった。令和ゴジラはすでに経済的にボロボロな日本が政治的に道を誤ったら復活してしまう存在として描かれている。『 シン・ゴジラ 』で描かれた有能な日本政府という像はフィクションだった。我々民間人がゴジラという虚像(災厄)を虚像(エンタメ)のままにしておかなければならない時代になってしまったようである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

detachment

文脈にもよるが、ここでは分遣隊の意味。本体から切り離されて活動することから、そのように呼称される。attachment に「添付」の意味があることはTOEIC500以上なら知っているはず。detachment とは attachment の反対語なのである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 月 』
『 トンソン荘事件の記録 』
『 火の鳥 エデンの花 』

 

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『 ハント 』 -北のスパイを突き止めろ-

Posted on 2023年10月5日 by cool-jupiter

ハント 75点
2023年10月1日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:イ・ジョンジェ チョン・ウソン
監督:イ・ジョンジェ

 

簡易レビュー。

あらすじ

1980年代。安全企画部の海外班長パク・ピョンホ(イ・ジョンジェ)と国内班長キム・ジョンド(チョン・ウソン)は、機密情報が北朝鮮に漏洩していることを知る。そして組織内にスパイがいると告げられる。パクとキムは互いのチームを探り始めるが・・・

ポジティブ・サイド

1983年という、韓国民主化前夜の時代。その3年前に「光州事件」という、韓国版の天安門事件とも言うべき事態が引き起こされており、アメリカ系韓国人が韓国大統領の訪米に対して抗議のデモを起こすところから物語が始まる。

 

そこで勃発する要人暗殺未遂事件。パクとキムの二人は反目しあいながらも事件を解決。しかし謎のスパイ「トンニム」によって次々に機密情報が漏洩。一息つく暇もなく、二人はトンニムの追跡に乗り出すが成果なし。このあたりの展開の疾走感がたまらない。元々浅からぬ因縁のある二人だが、その過去の語られ方がめちゃくちゃ。まるで昭和の任侠映画のよう。というか時代背景的に昭和か。

 

二人のスペシャリストの対決は、それこそハリウッドでは撮り尽くされた印象があるが、そこに北朝鮮というファクターを混ぜるだけでサスペンスとミステリのレベルが一段上がる。トンニムとは誰か?パクとキムの捜査と虚々実々の駆け引きにぐいぐいと引き込まれる。本作が上手いのは、トンニム探しをゴールとするのではなく、そこから先に更なるクライマックスを持ってくるところ。冷酷非情な諜報員と情に厚い面を併せ持つ二人の男の極限の対決の結末には茫然自失。

 

韓国のみならずアメリカ、日本やタイをも破壊しつくす気か?と思わせる作品。と思いきや、撮影はすべて韓国内で完結したとのこと。国策で映画を作っている国は違いますなあ・・・

 

ネガティブ・サイド

全編を通じてまさにストーリーが疾走するが、説明不足の感も否めない。特に韓国近現代史の知識がある程度ないと、キム班長の苦悩の回想シーンの意味を理解できないだろう。当時の韓国の置かれていた政治的状況をもう少し上手く物語の展開の中で自然に説明できなかっただろうか(Jovian妻はここでつまずいていた)。

 

最終盤の怒涛の展開の中で、韓国の政府組織はどれだけ北朝鮮スパイに跳梁跋扈を許しているのか?というシーンがある。ここだけは、ちょっと北朝鮮の脅威を過大に描き過ぎだと感じた。

 

総評

こりゃまた血生臭い韓国映画。血の臭いだけではなく、男臭さもムンムンと漂ってくる。『 ビースト 』や『 ただ悪より救いたまえ 』といった、男二匹の対決をテーマにした作品が好きだという向きはチケット購入をためらってはならない。そうそう、中盤に思わぬ大スターが出演して、ケレンミたっぷりの演技を見せてくれる。これは嬉しい不意打ちである。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

インミン

劇中で突如登場する大物俳優がこの言葉を何度も口にする。意味は「人民」である。「人民のため」などと為政者が口にする時は、だいたい嘘をついている時だと思っていい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ほつれる 』
『 まなみ100% 』
『 オクス駅お化け 』

 

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『 あしたの少女 』 -社会を覆う無責任の構造-

Posted on 2023年9月11日 by cool-jupiter

あしたの少女 70点
2023年9月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:キム・シウン ペ・ドゥナ
監督:チョン・ジュリ

簡易レビュー。

 

あらすじ

高校生のソヒ(キム・シウン)は大手ISPの下請けコールセンターで実習生として働き始める。ソヒはオペレーターとしてストレスフルな仕事を何とかこなしていた。しかし、厳しくも優しかった男性上司が会社の駐車場で自殺したことを知ったソヒは、徐々に精神的に摩耗していき・・・

 

ポジティブ・サイド

キム・シウンがいかにも韓国女子高生という気の強い役を見事に演じている。好きなダンスに真摯に打ち込む姿勢、友達との友情とその友情に徐々に入っていく亀裂、そして徐々に自分を失っていく様など、どれもリアリズムたっぷりに演じていた。こういう役者を抜擢して、妥協のない演出を施すあたりが韓国映画界らしい。邦画はいつになったら追いつけるのか。

 

実習生と聞けば、日本でも技能実習制度を思い起こさずにはいられない。ほっこりするエピソードが報じられることもあるが、過労死が疑われるケースや雇用側の暴力、被用者の逃亡など、ネガティブなニュースの方が圧倒的に多い気がする。それは隣国でも同じらしい。

 

後半はソヒの死を捜査する刑事オ・ユジンが主役となる。もっとも観ている側はソヒがどのように追い詰められていったのかをつぶさに見ているわけで、捜査で何の真実が明らかになるのかと思う。そこが本作の味噌で、学校や企業、役所、果ては家庭に至るまで無責任の構造が浸透していたことが明らかになる。これはショッキングだ。しかも、ユジンとソヒの意外な接点も明らかになり、刑事としてのユジンではなく一個人としてユジンも、ソヒの死に激しく揺さぶられることになる。

 

前半と後半の実質的な二部構成と、それぞれの主役である二人の女優の演技に圧倒される。そして物語そのものがもたらす苦みを忘れることは難しい。

 

ネガティブ・サイド

全体的にやや冗長な印象。ソヒのパートを70分、ユジンのパートを50分の合計120分にできなかっただろうか。

 

ソヒの父ちゃんがなんとなく『 焼肉ドラゴン 』のキム・サンホ的で、なんだかなあ・・・ もう少しちゃんと子どものことを見ようぜ、と思わされた。

 

ソヒの親友、ボーイフレンド、別の男の先輩との関係をもう少し丹念に描いてくれていれば、ソヒが特殊な境遇の女の子ではなく、どこにでもいる普通の高校生であるという事実がもっと強調されたと思われる。

 

総評

重厚な映画。『 トガニ 幼き瞳の告発 』のような後味の悪さというか、社会全般への怒りと無力感の両方が強く感じられる。ヘル・コリアなどと揶揄されることが多い韓国だが、日本社会も似たようなもの。韓国映画界は社会の暗部をさらけ出す映画を製作することを恐れないが、日本はどうか。『 福田村事件 』のような気骨のある作品を今後生み出せるだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ソンベ

先輩の意。韓国映画やドラマではよく聞こえてくる。ソンベニム=先輩様という使われ方もあるらしい。「先輩」という概念はあっても、それが実際に言葉として存在するのは日本と韓国ぐらいではないだろうか。中国映画もある程度渉猟して中国語ではどうなのか、いつか調べてみたい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 兎たちの暴走 』
『 アステロイド・シティ 』
『 さらば、わが愛 覇王別姫 』

 

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