哀れなるものたち 70点
2024年2月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:エマ・ストーン ウィレム・デフォー マーク・ラファロ ラミー・ユセフ
監督:ヨルゴス・ランティモス
簡易レビュー。
あらすじ
天才脳外科医ゴッドウィン・バクスター博士(ウィレム・デフォー)は、学生のマックス・マッキャンドルス(ラミー・ユセフ)を自宅に招く。マックスはそこで、体は成人女性なのに振る舞いは赤ん坊という不思議な女性、ベラ(エマ・ストーン)に出会う。ゴッドウィンは彼女の観察を手伝うようにマックスに言う。マックスは徐々にベラに惹かれていくが・・・
ポジティブ・サイド
ウィレム・デフォー=ヴィクター・フランケンシュタイン、ベラ=フランケンシュタインの怪物に見えるが、これを現代に置き換えて考えてみると、子育ての難しさを物語る寓話となるのだろうか。蝶よ花よと育てても、ビッチになる時はなる・・・ではなく、ちゃんと愛のあるセックスをしなさいよという教訓を垂れているのだ。
モノクロからカラーに変わる演出は『 オズの魔法使 』的で悪くない。あれも言ってみればドロシーのビルドゥングスロマンなわけで、本作も幼女ベラが成熟した女性ベラに成長していく物語だと思えばいい。快適な家に閉じ込める父から離れ、外の世界と性の世界を見せてくれる男、世界の残酷さを見せる男との旅路を経て、独立不羈の女性となっていくベラ。それはまるで一人の女性の生涯と同時に、人類史における女性の自立の歴史を目の当たりにするようでもある。
最後は「ははあ、これはアレをこうするんだろうな」と予想した内容とは違ったが、これはこれでブラックユーモアの炉火純青と言えるだろう。嗚呼、哀れなる者、汝の名は男。
ネガティブ・サイド
エマ・ストーンの非常に直接的なセックスシーンをどう評価するかは意見が分かれるところ。いや、評価しないという声もあるだろう。Jovianはさすがにちょっと見せすぎだと感じた。エマ・ストーンのトップレスは評価せざるを得ないが、好奇心からのセックスや商売としてのセックスの良し悪しを、事後の男たちの表情などで観る側に想像させることはできなかったか。ダンカンの余裕の表情がベッドの外ではなく、ベッドの上でだんだんと崩れていくのを観てみたかったと思う。
総評
日本なら手塚治虫あたりが思いつきそうなプロット。だが日本で映画化は無理そう。『 RED 』で中途半端だった夏帆に頑張ってもらうか、または二階堂ふみあたりに奮闘してもらうか。自分がプロデューサーになったつもりであれこれ考えてしまった。一種のウーマン・リブ奇譚なので、デートムービーにはならない。夫婦での鑑賞ならあり。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
Poor thing
原題は Poor Things と複数形だが、通常会話では You poor thing. のような形で、ほぼ単数形で使う。以下は使用例。
X: I dropped my phone and broke it.
Y: You poor thing.
相手に何か不運があったりしたときは、You poor thing. と言おう。
次に劇場鑑賞したい映画
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『 熱のあとに 』
『 ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人 』