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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: サスペンス

『 渇きと偽り 』 -乾いた大地の人間関係-

Posted on 2022年9月27日 by cool-jupiter

渇きと偽り 70点
2022年9月25日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:エリック・バナ
監督:ロバート・コノリー

 

サイモン・ベイカー主演・監督『 ブレス あの波の向こうへ 』以来のオーストラリア映画の劇場鑑賞。

 

あらすじ

連邦警察官アーロン・フォーク(エリック・バナ)は旧友ルークの葬儀に参列するため、20年ぶりに故郷の小さな町に帰ってきた。ルークは自身の妻子を射殺した後に自殺したとされていた。プライベートで捜査に乗り出したフォークは、自分たちの若い頃に起きたある事件と、今回の事件がつながっているのではないかと感じ始め・・・

 

ポジティブ・サイド

どこまでも無慈悲に広がる乾いた大地が、よそ者を拒むかのように画面を支配する。主人公のアーロンも全く歓迎されない。アメリカの警察映画などで、FBIが片田舎の地元警察や地元住民に相手にされないのと同じような展開で、それ自体は珍しくもなんともない。本作はそこに、アーロン達の身に起きた過去のある事件を効果的に織り交ぜてくる。これによって、中央と田舎の対立以上の火種が事件そして町に潜んでいることが浮き彫りになってくる。

 

アーロン自身の捜査によって少しずつルークの事件の情報の断片が手に入ってくるが、それと並行するようにアーロン自身の過去の回想シーンが挿入される。なぜアーロンはこれほど町で歓迎されないのか。逆になにがアーロン自身をこれほど捜査に駆り立てるのか。そのあたりの事情が徐々に明らかになるペースが絶妙である。「なるほど」と「それは何だ?」と感じさせる塩梅がちょうどよい。脚本および編集の妙味だなと感じる。

 

怪しげな人間やきな臭い人間関係が浮かび上がっては消えていく。まるで町そのものが大きな闇を抱え込んでいるかのように、アーロンの捜査はいいところまで行くたびに袋小路に入ってしまう。しかし終盤に思いがけない形で真相に迫るヒントが浮上、物語は一気に最終盤へ。コロナ大流行前の世界のニュースといえば、オーストラリアの超大規模森林火災だったことを覚えている人も多いだろう。そうした大災害の予感を感じさせるクライマックスは、それまで散々干ばつに悩まされてきた土地および住民の描写のおかげで、より迫力を増していると感じた。

 

ミステリ風味たっぷりのサスペンス、サスペンス風味たっぷりのミステリとも言える。こうしたジャンルを好む向きなら、本作を鑑賞しない手はない。

 

ネガティブ・サイド

序盤の展開にもう少しテンポの良さが欲しい。少し眠気を誘われてしまった。

 

ティーンエイジャーのアーロンと現在のアーロンがまったく似ていない。なんかもう顔も体も骨格レベルで別人である。もう少し顔かたちが似た若い俳優はいなかったのか。

 

ネタバレを避けるため詳しくは書けないが、過去の事件の真相と現在の事件の繋がり方(と言っていいのかどうか・・・)には拍子抜けである。現在の事件の真犯人が最後に自暴自棄になってやろうとしたことは「まじでそれはヤバい」感があったが、犯行の理由はあまりにもありきたり。もっと衝撃的な真相が欲しかった。

 

総評

サスペンスは最後まで持続するが、ミステリ部分のカタルシスが最後はとても弱い。ただし、ちょっぴり残念な真相に至るまでの展開は very mysterious and suspensful 。様々な人間関係や人間模様は徐々にあらわになる中盤の展開は間違いなく一級品。警察ジャンルが好きな人ならきっと楽しめるはず。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

second nature

「第二の性分・習性」の意。しばしば become second nature という形で使う。

Practice this move until it becomes second nature to you.
この動きが自然にできるようになるまで練習しなさい。

スポーツ、あるいは演奏や美術品・工芸品作成の指導時に使うことが多そうな表現である。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, エリック・バナ, オーストラリア, サスペンス, ミステリ, 監督:ロバート・コノリー, 配給会社:イオンエンターテイメントLeave a Comment on 『 渇きと偽り 』 -乾いた大地の人間関係-

『 この子は邪悪 』 -もっと捻りが必要-

Posted on 2022年9月6日2022年10月31日 by cool-jupiter

この子は邪悪 40点
2022年9月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:南沙良 玉木宏 桜井ユキ
監督:片岡翔

Jovianは南沙良が大好きである。広瀬すずを吹っ飛ばす女優になると思っている。なので、どんなに駄作のにおいがしてもチケットを買う。

 

あらすじ

心理内科医の窪司朗(玉木宏)は、一家で交通事故に遭い、自身は脚に障がいを、次女は顔にやけどを、妻は意識不明の重体のまま植物状態になってしまった。唯一、長女の花(南沙良)だけが無傷だったことから、花はどこか罪悪感に苛まれていた。そんな時、母が5年ぶりに目覚め、自宅に帰ってきた。しかし、花は母にどこか違和感を覚えて・・・

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

ミステリ風味ではあるが、ミステリではない。伏線の張り方は極めてフェアというか、あっけらかんとしている。意味不明の冒頭のシーンで「何だこいつ?」と思ったその感性を大事にしてほしい。「何だこいつ?」であって「誰だこいつ?」ではないことを心に留め置くべし。

 

南沙良が言い知れぬ不安に押しつぶされそうになる少女を好演。この女優は、少女漫画の映画化作品でヒロインを演じるのではなく、常にどこか陰のあるキャラを演じてほしい。天真爛漫な10代女優は毎年陸続と現れては消えていくが、陰のある役を説得力をもって演じられる若手女優は少ない。

 

ロングのワンカットが多用されており、監督の演出上のこだわりが感じられる。また、古い木造家屋を歩く時のキィキィときしむ音が効果的だった。作った音ではなく、ナチュラルな音が観客の不安を煽る。この手法は嫌いではない。

ネガティブ・サイド

ほとんど何の事前情報も入れずに鑑賞に臨んだが、すれっからしのJovianは開始30分ほど、より正確に言うと母親が帰ってきた後、父親がとある発表をするところで話のオチまで予想できてしまった。そのポイントは、過去に類似の先行作品を映画および他メディアでたくさん経験してきたからだろう。以下、それらの作品例(白字で表示)である。

 

小説『 わが体内の殺人者 』

漫画『 多重人格探偵サイコ 』

映画『 ゲット・アウト 』

  『 シェルター 』

  『 悪魔を憐れむ歌 』

 

他にも少年ジャンプで全く同じようなオチの読み切り作品が1980年代にあった(主人公の友達の名前が風太だったような)。

 

欠点は、オチの弱さ、意外性の無さだけではない。ストーリーの核心に触れて以降は、急にカメラワークや演出が陳腐になったと感じた。明らかに『 ミッドサマー 』や『 アンダー・ザ・シルバーレイク 』を意識したシーンがあったが、カメラが全然動かないし、こちらが観たいと思っている絵を映してくれない。その直後のシーンでも、登場人物たちが動かないのなんの。立ち尽くしているにしても、もっと震える、あるいは目を背けるなど、何らかの動きでキャラの心情や思考を語るべきシーンが、見事に spoil されてしまっている。前半と後半の演出上の落差がありすぎる。本当に同一人物が最初から最後まで監督したのだろうか。

 

おそらく玉木宏で女性を、なにわ男子の大西流星で女子を惹きつけようとした作品なのだろう。南沙良と桜井ユキでおっさんから青少年の層もカバー。そうしたライトなファンに各種の先行作品の優れたアイデアをごった煮にした作品を提供しよう、として作った映画にしか思えない。映画ファンをびっくり仰天させてやろうという気概に満ちた作品ではない。最初から「そこそこのヒット作」を志向している。監督は『 町田くんの世界 』の脚本などを務めており、Jovianと波長が合わないとは思わない。先行作品を敬うのはいいが、そのまま倣う必要などない。次作にとりかかる前に、商業主義的にではなくクリエイターとしての自分に向き合うべきだろう。

 

総評

主要キャストのファンなら鑑賞してもいいだろう。また、ライトな映画ファンにもお勧めできそうだ。逆に小説やら映画を相当に渉猟しているという人には勧め辛い。Jovianと同じで、一挙に結末まで予想出来てしまう人は、おそらく日本だけで数万人(その全員が本作を観るとは思えないが)はいると思われる。うーむ、誰に勧めるべきか難しい。『 NOPE / ノープ 』の監督のこれまでの作品を見て( ゚Д゚)ハァ?とならなかった人はどうぞ、と言っておこうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

hypnotize

催眠術にかける、の意。漫画『 聖闘士星矢 』世代なら、ヒュプノス=眠りの神だと知っていることだろう。似たような語に mesmerize もある。こちらの語を知りたければ、邦画ホラーの秀作『 CURE 』(主演:役所広司 監督:黒沢清)をお勧めする。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, サスペンス, ホラー, 南沙良, 日本, 桜井ユキ, 玉木宏, 監督:片岡翔, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 この子は邪悪 』 -もっと捻りが必要-

『 フェイク 我は神なり 』 -信じる者は救われる?-

Posted on 2022年8月21日 by cool-jupiter

フェイク 我は神なり 70点
2022年8月19日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ヤン・イクチュン
監督:ヨン・サンホ

待てど暮らせど返却されない『 マインド・ゲーム 』。しゃーないので、前々から気になっていた本作をセレクト。

 

あらすじ

韓国の田舎の村。ダム建設のために近く水没する予定のこの村に、ミンチョル(ヤン・イクチュン)が帰ってきた。村では若いソン牧師が村人から崇敬を集めていた。しかし、その傍らには村人から補償金を巻き上げようとする詐欺師ギョンソクの姿があり・・・

 

ポジティブ・サイド

アニメではあるが、韓国映画の容赦ないテイストがこれでもかと詰め込まれている。『 はちどり 』の父親よりも暴力的なミンチョル。それを『 息もできない 』のヤン・イクチュンがけれんみタップリに演じるのだから笑おうにも笑えない。いや、笑ってしまうようなストーリーではないのだが、韓国の伝統的な父親像を体現するダメ親父が、確立された宗教的権威に挑むというのだから、普通は笑ってしまうだろう。しかし、この無茶なプロットを成立させるのも韓国映画の剛腕っぷりと言えようか。

 

能弁家のギョンソクと若い牧師のソンが立ち退き料を受け取った村人に、あの手この手で浄財をさせようという序盤が目を引く。「こんな馬鹿な手口に引っかかるとは、さすが韓国の田舎者」と感じたら、それだけで負けである。日本でも毎年のように数億円規模の詐欺集団が検挙されているが、逆に言えば野放しの詐欺集団もたくさんいるということである。個人を悪く言うものではないが、2021年に死去した細木数子などはギョンソクと同種の人間だろう。彼女がテレビで「地獄に落ちるぞ」と言うたびに、ああ、室町時代の坊主はこんな感じで庶民を食い物にしてたんやろなあ、と思っていたものである。

 

閑話休題。本作は、ろくでなしが語る真実と聖人君子がもたらすまやかしのどちらを信じるのかを我々に問いかけてくる。『 沈黙 サイレンス 』そのままに、神は黙して語らない。だからこそ、その代弁者としてのソン牧師や、そのスポークスマンであるギョンソクの言葉に村人は耳を傾ける。このあたりのイライラ感と、他人に対して粗野にしか振る舞えないミンチョルのイライラ感が合わさって、観ていて非常にストレスが溜まる。警察もとことん無能で、こいつら仕事する気あんのかいな?とイライラさせられる。このイライラが最高潮に達する時、すべてが破滅に向かって動き出す。この救いの無さは『 ソウル・ステーション パンデミック 』でも明らかだったヨン・サンホ監督の持ち味か。何を信じるのかではなく、信じるという営為そのものが持つ危うさが本作の肝である。

 

ネガティブ・サイド

アニメではなく実写でやるべきテーマ、かつストーリーだろう。ミンチョルのような粗野で暴力的な中年を演じられる俳優も、韓国にはいくらでも存在するだろう。『 息もできない 』のヤン・イクチュンが、そのまま本作のミンチョルを演じるところを是非とも見たかった。

 

これは一種のネタバレだが、字幕に問題ありである。おそらく翻訳者は気を利かせて、ある簡単な韓国語を別の言い方に訳してしまっているが、これによって終盤のあるシーンの驚きが減じてしまうことにつながっている。小さな親切が余計なお世話になることもある。

 

総評

日本の代議士、特に政権与党が旧統一教会(&創価学会)に汚染されまくっていて、なおかつ「知らなかった、今後は気を付ける」で済ませようとする国会議員の多さ、その神経の図太さには呆れるばかりである。そんな状況なものだから「旧統一教会によって救われた人もいる」という発言も大いにバッシングを浴びるわけだが、日本人はそもそも宗教とは何か、信仰とは何かを知らない。「日本人に哲学なし」とは中江兆民の言だが、これは「日本人に宗教なし」とも言い換えられるかもしれない。では宗教とは何か?その問いに対するひとつの答えが本作にはある。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

カ

Ka is go, Ke is stay. と昔、Korean American の非常勤講師に教わったことがある。さよなら=アンニョンヒ「カ」セヨは相手が去る時、アンニョンヒ「ケ」セヨは自分が去る(=相手が残る)時だ、と。本作では「カ」の一言で「帰れ」のように使っていた。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アニメ, サスペンス, ヤン・イクチュン, 監督:ヨン・サンホ, 配給会社:ブロードウェイ, 韓国Leave a Comment on 『 フェイク 我は神なり 』 -信じる者は救われる?-

『 モガディシュ 脱出までの14日間 』 -極限状況から脱出せよ-

Posted on 2022年7月4日 by cool-jupiter

モガディシュ 脱出までの14日間 75点
2022年7月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:キム・ユンソク チョ・インソン チョン・マンシク
監督:リュ・スンワン

名優キム・ユンソク主演作。韓国が国際社会での存在感を増そうともがいていた時代を映したという意味で『 国家が破産する日 』とよく似ている。あちらも焼けつくようなサスペンスがあったが、こちらも言葉そのままの意味で手に汗握り、固唾をのんでしまう作品であった。

 

あらすじ

1990年、国連加盟を目指す韓国はアフリカ諸国の支援を取り付けようと躍起になっていた。ソマリア駐在大使ハン(キム・ユンソク)も、ソマリア大統領やその側近に接近していた。しかし、同じく国連加盟を目論む北朝鮮の妨害にあっていた。そんな中、内戦が勃発。北朝鮮のリム大使(ホ・ジュノ)は、韓国大使館へ助けを求めようとするが・・・

ポジティブ・サイド

太陽政策以来、南北は、少なくとも韓国側は融和への路線を歩んでいる。だが、本作は1990年、つまり南北がバチバチに対立していた頃の話。その争いも、北がソマリアのチンピラを雇って、韓国大使の自動車を銃撃し、大統領との面会に遅刻させるという、ユーモラスなのか深刻なのか分からないもの。だが、いったん内戦が勃発するや、わずかに残っていたユーモアは消し飛び、物語は戦場さながらの、いや戦場そのままの修羅場からの脱出劇へと変貌する。

 

まずソマリア人たちの trigger happy ぶりに怖気を奮うしかない。銃社会と言えば『 女神の見えざる手 』のアメリカが思い浮かぶが、銃を誰がどう手に入れるかではなく、誰もが銃を持ち、政権側は反乱軍に発砲するし、反乱軍も政権側に発砲する。同国人に対してそうなのだから、外国人に対して容赦などするはずもない。相手が外交官であっても反乱軍は気にしない。いや、反乱軍だからこそ気にしない。そんな恐怖感が、逆に南北朝鮮人の心を近づける。

 

命からがら韓国大使館へと逃げ込む北朝鮮外交官たちとその家族たちが、晩餐を振る舞われるが、誰もそれに手を付けない。元々一つの国家だった朝鮮半島であるが、彼らはその文壇の始まりをモガディシュに見出していたのだろう。キム・ユンソクがホ・ジュノと自分の器を無言で入れ替え、むしゃむしゃと食べ始めたところで、北朝鮮側も三々五々食べ始める。ここで、南北の女性が同時に荏胡麻の葉に同時に橋を伸ばすシーンは、人間が本来持っている思いやりというものを淡々と描く名場面だった。

 

本作は南側の視点に立っているが、北を問答無用の悪に描くことはせず、また南を無条件に善に描くことをしない。北の人間が自分たちの子どもたちに南の文化を見させまいとして、我が子の目を覆うシーンもある一方で、南の人間は北の人間すべてが暗殺者として育てられていると陰口をたたく。どっちもどっちである。この相容れない同民族が、極限状況で互いを認め合っていくのが本作の一つの見どころである。分断されるソマリアと、分断される中で統一・・・とは言わないが、一つにまとまっていく南北朝鮮の人々のコントラストが映える。非常に逆説的であるが、民族や部族がまとまるために極限状況は不要であるというメッセージが強く伝わってくる。

 

クライマックスのイタリア大使館に向けての逃走劇はカーアクションの白眉である。カーアクションだけ見れば『 新 感染半島 ファイナル・ステージ 』や『 ただ悪より救いたまえ 』よりも上である。4台のクルマが連なって銃撃の雨あられをかいくぐる一連のシークエンスは、カメラワークの巧みさもあり、非常にスリリングな出来に仕上がっている。脱出した先に見る光景、それはもう一つの分断だった。このやるせなさよ。清々しい余韻を残して終わることを良しとしない韓国映画の面目躍如である。

 

1990年と言えば湾岸戦争勃発のイメージが強く、ソマリアで内戦が起きていたことなど当時はリアルタイムで知りようがなかったし、そんな情報も自分には入ってこなかった。小学生だったから当たり前だが、当時の大人も海外の一大事といえば湾岸戦争だったはずだ。だが、そんな戦争の裏でこれほど濃密なドラマが繰り広げられていたとは知らなかった。韓国映画の勢いは、コロナ禍でも衰えを知らないようだ。

ネガティブ・サイド

南北の参事官同士が肉弾戦を繰り広げるシーンがあるが、あまりにも南が北を圧倒しすぎではないか。もっと互角の殴り合い(というか蹴り合い)をしてくれれば、終盤のカーアクション後の展開をもっとドラマチックに演出できたことだろう。

 

各国大使たちの丁々発止のやりとりや、時に支え合い、時に出し抜こうとする外交官の駆け引きが描かれていれば、終盤のイタリア大使館やエジプト大使館から協力を得られる展開がもっと感動的になったと思われる。

 

総評

韓国映画はしばしばハリウッド映画の亜種とされるが、まさにハリウッド的なテイストに溢れた作品。序盤はユーモアを交え、60分で一つ目の山場、90~105分に対立と緊張の中で芽生える南北の人間の奇妙な友情や連帯感は、陳腐ではあるが、それゆえにいくらでもドラマを生み出すことができる。『 PMC ザ・バンカー 』はスーパー・エクストリームな展開だったが、こちらは歴史的な事実に基づいている。その意味ではリアリティが抜群である。韓国映画と邦画の差は開くばかりである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

15 minutes late

『 シャンチー テン・リングスの伝説 』で紹介した 90% confident の類似表現。劇中ではキム・ユンソクが We were only 15 minutes late. = たった15分遅刻しただけなのに、と正しい形で使っていた。前にも書いたが、Jovianの以前の職場の英検1級ホルダー3名はそろいもそろって 〇〇 san will be late for 15 minutes を「正しい英語である」と認識するトンデモ英語講師であった。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, キム・ユンソク, サスペンス, チョ・インソン, チョン・マンシク, 歴史, 監督:リュ・スンワン, 配給会社:ツイン, 韓国Leave a Comment on 『 モガディシュ 脱出までの14日間 』 -極限状況から脱出せよ-

『 バニシング 未解決事件 』 -臓器売買の闇に迫る-

Posted on 2022年5月17日2022年5月17日 by cool-jupiter

バニシング 未解決事件 65点
2022年5月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ユ・ヨンソク オルガ・キュリレンコ
監督:ドゥニ・デルクール

『 流浪の月 』を鑑賞したかったが、指定席とも言うべきシートが取れず、次点の本作をチョイス。なかなかの硬派な映画だった。

 

あらすじ

ソウルで女性の遺体が発見されるが、腐敗が進行しており、身元の割り出しに難航する。パク班長(ユ・ヨンソク)はフランスの法医学者ロネ教授(オルガ・キュリレンコ)に助力を求める。彼女が採取した指紋から、遺体は行方不明になっていた中国人女性と判明する。捜査を進めるパク班長とロネ教授は、臓器売買の謎に迫っていき・・・

ポジティブ・サイド

韓国映画と見せかけて、これは実はフランス映画。つまり少ない登場人物でも、巧みにミステリやサスペンスを盛り上げる。舞台を韓国に移しても、そうしたフランス文芸・フランス映画の特色はしっかりと維持されていた。

 

まずユ・ヨンソク演じるパク班長が従来の韓国警察の刑事のイメージを大きく覆す。韓国といえば『 ビースト 』のような汚職や暴力を厭わぬ刑事か、あるいは『 暗数殺人 』のひらすらに黙々と事件を追う刑事の印象が強いが、ドゥニ・デルクール監督はそんな刑事はお呼びでないとばかりに、全く新しい刑事像を打ち出してきた。演じるユ・ヨンソクは『 建築学概論 』の嫌な先輩役だったそうだが、本作ではそんなマイナスのオーラは一切出さず、理知的な刑事を演じきった。発音は韓国なまりだが、普通に英語は上手い。パッと聞いた感じだけなら、チェ・ウシクの英語と比べても遜色ないように感じた。姪っ子を溺愛し、手品も上手いという特徴が、中盤以降に物語の本筋にしっかりと関連してくる。

 

バディを組むことになるロネ教授ことアリスも静かに、しかし確実に法医学のプロフェッショナルとしての印象を観る側に刻み付けた。難解な専門用語を交えて流暢に講義を行い、腐敗が進んだ死体からも見事に指紋を採取する。しかし、単なる職業人としてだけではなく、パーソナルな部分にも人間味がある。序盤にパク班長との会話で不可解な受け答えをするのだが、その謎が明らかになる中盤、そしてそれに決着をつける終盤の展開には心を揺さぶられる。

 

二人がロマンチックな雰囲気になりながらも、プロフェッショナルに徹するところも潔い。特に、パク班長からのごく私的な問いにアリスが敢えてフランス語で真摯に答えるシーンは、男女というよりも人間同士の心の響き合いだった。

 

死体遺棄事件の元にある臓器売買事件の闇に迫る二人に思いがけぬ事実が立ち現われてくる。事件は一応の解決を見るが、臓器売買ネットワークは残ったまま。そして、食い物にされる中国人女性や、臓器を買い取る富裕層という格差の構図は何も解決されぬまま。それでも、パク班長とアリスの淡い別れに、今後も二人が機を見て reunite し、新たな事件に取り組む可能性を感じさせて物語は閉じていく。

 

ネガティブ・サイド

臓器売買のネットワークは、そのまま人身売買のネットワークでもあるだが、それを仕切っていると思しき韓国ヤクザの描写があまりにもしょぼい。『 ザ・バッド・ガイズ 』は荒唐無稽ではあったが、国際的な犯罪ネットワークを構想する気宇壮大な韓国ヤクザが出てきた。それぐらいの巨悪を描いても良かったのではないか。

 

臓器売買の片棒を担ぐ医師が、意外(でもないが)な主要人物とつながっていることで、アリスの心的なトラウマは解消されても、全く別の方面で救われない人物が生じてしまっている。もちろん、違法な臓器売買を阻止する=助からない命が出てくるわけで、問題はその助からない命に大して、我々が大きく感情移入してしまうことである。アリスのキャラを立てるためとはいえ、この展開は観ていて心苦しかった。

 

パク班長とアリスの別れ際も、もうちょっと余韻というか、今後の二人の再会と活躍を予感させるようなものの方が良かった。アリスが韓国に残ることを予感させるよりも、パク班長がアリスに姪っ子と時々ビデオ通話する仲になってほしいと頼む方が、劇中で「感情表現に乏しい」とされた韓国人っぽいではないか。しかし、韓国人が感情表現に乏しいというのはフランスの脚本家の手によるもの?よく共同脚本家の韓国人がそれOKしたなと思ってしまう。

 

総評

テンポが良く、サスペンスも適度に盛り上がり、思わぬ人間関係も終盤に見えてくる。韓国語、英語、フランス語、中国語が飛び交う国際色豊かな作品である。『 マスカレード・ホテル 』のような変則バディものがイマイチと感じられる向きにこそ本作を勧めたい。そうそう、日本のサラリーマンは主人公のパク班長の英語力を一つの目標にするといい。情報を得る、あるいは与える、問題を提示する、あるいは解決する、そして相手との信頼関係を築くというのは、必ずしも準ネイティブ級の語学力を必要としないことが分かるだろう。語彙を増やしたりTOEICスコアを追求するのではなく、コミュニケーション能力を磨こうではないか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Would you be able to V?

相手に何かを依頼する丁寧な表現。普通のビジネスパーソンなら

Could you V?
Would you be able to V?
It would be great if you could V. 
I was wondering if you could V. 

あたりを口頭あるいはメールのやりとりでは使いまわせばよい。

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, C Rank, オルガ・キュリレンコ, サスペンス, フランス, ユ・ヨンソク, 監督:ドゥニ・デルクール, 配給会社:ファインフィルムズ, 韓国Leave a Comment on 『 バニシング 未解決事件 』 -臓器売買の闇に迫る-

『 死刑にいたる病 』 -サイコ・サスペンスの秀作-

Posted on 2022年5月7日2022年12月31日 by cool-jupiter

死刑にいたる病 80点
2022年5月6日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:阿部サダヲ 岡田健史 宮崎優
監督:白石和彌

大袈裟な言い方をすると『 羊たちの沈黙 』や『 殺人の追憶 』に近い衝撃を受けた。邦画もアメリカ映画や韓国映画に負けないダークな世界を追求できるのだと証明した逸品だと言える。

 

あらすじ

大学生の雅也(岡田健史)は、24人を殺したとされる榛村(阿部サダヲ)から1通の手紙を受け取る。雅也は中学生の頃、榛村の営むパン屋の常連客だった。死刑判決を受けた榛村だったが、起訴された9件のうち、最後の9件目だけは自分の犯行ではないと言う。雅也は独自に事件の調査を始めるが・・・

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

これは原作小説の勝利なのだが、まず設定が素晴らしい。24人を殺したとされるが、そのうちの1件は自分ではないと訴える死刑囚。これだけで興味を惹き起こされずにはいられない。また、演じる阿部サダヲが素晴らしい。人好きのする好青年から無表情に人を痛めつける殺人鬼、そしてカリスマ性すら感じさせるサイコパスを具体化している。『 彼女がその名を知らない鳥たち 』から更にレベルアップしたと感じる。瞬きしないのは役者の基本だが、その絶妙に黒目がちになるうっすらとした目の開け方が底知れない不気味さを更に引き立てる。サイコパスの演技の到達点だと言っていいかもしれない。日本のハンニバル・レクターとは褒めすぎかもしれないが、それほどの凄みを感じた。

 

対する岡田健史は『 弥生、三月 君を愛した30年 』や『 望み 』での、どこか弱々しい息子役という印象しかなかったが、本作で一皮むけたと言える。いや、弱々しい息子という点では本作でも同じなのだが、まるで『 殺人の追憶 』のソ刑事のように、序盤と終盤で別人であるかのように変貌する。元々の家族関係の悪さから内に相当なフラストレーションが堆積していたのが、調査を進めていく中でとある可能性に遭遇することで、一気に爆発する。その描き方がリアルだった。特に雅也が大学に行くたびに、背景の時間と雅也の時間がずれているのが秀逸。まさに「異なる世界に住んでいる」あるいは「この世界には属していない」という描写だった。

 

最もサスペンスフルなのは、何度か行われる榛村と雅也の面会シーン。BGMを一切廃し、役者の台詞とカメラワークと照明、音響だけで勝負していた。そして勝利を収めていたと評してよいだろう。今やお馴染みとなったアクリル板のこちらと向こうで、微妙に声の響かせ方・聞こえ方を変えて臨場感を生み出していた。また、しばしば雅也と榛村の顔の反射がアクリル板上で重なり合う。これにより二人の心理的・心情的な同化が視覚化されていた。面会シーンはどれもその場の空気が伝わって来るかのような緊迫感と臨場感があり、一つの謎が明かされると、更なる謎が生まれるという、ミステリーがサスペンスを生み、サスペンスがミステリーを生み出すというエンタメの極致だった。

 

雅也の重要な変化を示すものとして、雅也と二人の女性との距離が挙げられる。一人目は中山美穂演じる母親。最初は地方の旧家にありがちな極めて封建的・保守的な中年女性に見えたが、そこには別の被抑圧的な因子があったことが判明する。もう一人は雅也が大学で再会する同級生、灯里。大学に一切なじめない、つまり実家と榛村以外に現実と接点のない雅也の貴重な友人、そして恋人(というか情婦?)となる。この灯里との距離感がそのまま榛村との距離感と反比例する、という構成は非常に巧みであると感じた・・・その次の瞬間にすべてをぶち壊された。良い意味でも悪い意味でも。これは例えて言うなら、小説『 イニシエーション・ラブ 』の最後の2行に匹敵するインパクトとでも言おうか。これ以上書くと興ざめになるので止めておく。とにかく劇場でも配信でもレンタルでも良いので、出来るだけ多くの人に本作を鑑賞してほしいと思う次第である。

ネガティブ・サイド

榛村の弁護士(国選弁護人か?)が無能という印象を受ける。いや、別に無能でもよいのだが、リアリティがない。雅也の調査について中盤以降にあれこれと言ってくるが、だったら最初から色々と説明しておけと思う。また、そうした説明があったほうが雅也が矩を踰えるようになっていく展開が、雅也の内面の変化をより如実に表わせたのではないだろか。

 

総評

間違いなく阿部サダヲの代表作である。阿部定事件並み、いやそれ以上に猟奇的なシーンもあるので、鑑賞には注意を要する。いずれにせよ白石和彌監督が『 孤狼の血 LEVEL2 』を上回る衝撃作を世に送り出してきたのは間違いない。ちょっとジャンルは違うが、野崎まどの小説『 舞面真面とお面の女 』や『 死なない生徒殺人事件 ~識別組子とさまよえる不死~ 』を読んで楽しかったという人は、本作も堪能できると思う。この二冊を読了の上で本作を鑑賞してみようという酔狂な方は、是非とも本作冒頭と最後のシーンの意味のつながりを考察されたし。または本作鑑賞後に、上記の二冊を読むというのもありだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

look into ~

~を調べる、の意。その殺人事件を調べる = look into the murder case のように使う。事実を掘り下げたりする意味での「調べる」ということで、辞書などで語句の意味を「調べる」時には look up を使う。Jovianも大学の授業で時々 “You have 30 seconds to look up this word in your dictionary app.” と言っている。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, A Rank, サスペンス, 宮崎優, 岡田健史, 日本, 監督:白石和彌, 配給会社:クロックワークス, 阿部サダヲLeave a Comment on 『 死刑にいたる病 』 -サイコ・サスペンスの秀作-

『 女子高生に殺されたい 』 - もっと設定を研ぎ澄ませれば更に良し-

Posted on 2022年5月7日 by cool-jupiter

女子高生に殺されたい 65点
2022年5月5日 梅田ブルク7にて鑑賞

出演:田中圭 南沙良 河合優実 細田佳央太
監督:城定秀夫

タイトルだけでスルーしようとしていたが、『 志乃ちゃんは自分の名前が言えない 』の南沙良が出演していると気付いて、ギリギリでチケット購入。上映最終日であっても、劇場の入りは4割程度となかなかだった。

 

あらすじ

教師の欠員が出た二鷹高校に赴任してきた東山春人(田中圭)は、そのルックスと人当たりの良さでたちまち人気教師となる。しかし、彼には秘密があった。目をつけていた女子高生、佐々木真帆(南沙良)に殺されたいというオートアサシノフィリアの持ち主だった。春とは密かに練っていた計画を進めようとするが・・・

以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

タイトルだけ読めば「どこのアホの妄想だ?」と思わされるが、中身はどうしてなかなか練られていた。シネフィル=映画好きな人、シネフィリア=映画好きということだが、オートアサシノフィリアというのは初めて聞いた。ありそうだと感じたし、実際に存在するようだ。この一見突飛な性癖(この語も、ここ10~20年で意味が変わってきたように思う)に説得力を持たせる背景にも現実味がある。田中圭は『 哀愁しんでれら 』あたりから少しずつ芸風を変え始めたようで、もう少し頑張れば中堅からもう一つ上の段階に進めるかもしれない。

 

女子校生役で目についたのは河合優実。『 サマーフィルムにのって 』や『 佐々木、イン、マイマイン 』など、作品ごとにガラリと異なる演技を見せる。今作のキャラにリアリティがあったかどうかはさておき、キャラの迫真性は十分に堪能できた。テレビドラマなどには極力出ずに、映画や舞台で腕を磨き続けてほしい役者だ。

 

南沙良の目の演技も見応えがあった。正統派の美少女キャラよりも、陰のある、あるいは闇を秘めた役を演じるのが似合う。こういう女子高生になら殺されたい。

 

最初は意味不明に思えた春人の行動の数々が中盤以降に一気に形を成していくプロセスは面白かった。高校生ものでゲップが出るくらい見飽きた学園祭をこういう風に使うのには恐れ入った。学園祭の変化球的な使い方の作品といえば恩田陸の小説『 六番目の小夜子 』と赤川次郎の小説『 死者の学園祭 』が印象に残っているが、本作も同様のインパクトを残した。

 

色鮮やかな序盤から陰影の濃くなる終盤の照明のコントラストがキャラクターたちの心情を反映している。またBGMも静謐ながら不穏な空気を醸し出すのに一役買っていた。タイトルで損をしていると思うが、普通に面白い作品。河合優実のファンなら要チェックである。

 

ネガティブ・サイド

本作の肝である「春人は一体誰に殺されたいのか?」という謎の部分がやや弱い。いじめっ子、柔道娘、予知娘、多重人格娘と取り揃えてはいるが、4択ではなく実質的には2択だった。というよりも1択か。最初から2択に絞り込むか、あるいは4択のまま観る側を惑わすような展開にもっと力を入れた方が中盤までのミステリーとサスペンスがもっと盛り上がっただろうと思う。

 

河合優実のキャラの地震予知能力は必要だったか?あの世界には緊急地震速報というものはないのだろうか。というか、予知能力と物語が何一つリンクしていなかった。この設定はそぎ落としてよかった。

 

南沙良のキャラのDIDも、もっとさり気ない演出を要所に仕込めたはず。『 39 刑法第三十九条 』などを参考にすべし。駄作だった『 プラチナデータ 』もそのあたりの伏線はしっかりと張ってあった。殺してほしい相手を南沙良の1択に絞って、ほんのちょっとした仕草や表情などを追い続けた方が物語の一貫性やフェアな伏線が生まれたはず。

 

総評

多重人格の扱いがちょっとアレだが、ストーリー自体はかなり面白い。南沙良、河合優美などの、いわゆるアイドルではなくオーディションを潜り抜けてきた若手女優たちの演技も光っているし、照明や音楽も良い仕事をしている。それらをまとめ上げる城定秀夫監督の手腕は称賛に値する。劇場で見逃してしまった人も、ぜひレンタルや配信で鑑賞されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

auto

元々はギリシャ語の self に当たる語に由来している。意味は「自身」あるいは「自動」。automobile = 自分で動く = 自動車である。他にも FA = factory automation = 工場稼働の自動化だし、autobiography = 自分で書く伝記 = 自伝である。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, サスペンス, 南沙良, 日本, 河合優美, 田中圭, 監督:城定秀夫, 細田佳央太, 配給会社:日活Leave a Comment on 『 女子高生に殺されたい 』 - もっと設定を研ぎ澄ませれば更に良し-

『 さがす 』 -邦画サスペンスの良作-

Posted on 2022年5月4日2022年5月4日 by cool-jupiter

さがす 75点
2022年5月1日 塚口サンサン劇場にて鑑賞
出演:佐藤二朗 伊東蒼 清水尋也
監督:片山慎三

 

テアトル梅田で見逃した作品。地元の塚口サンサン劇場で遅れて上映していたので、これ幸いとチケット購入。邦画もまだまだ捨てたものではない、と感じさせてくれた。

あらすじ

大阪市西成区に暮らす原田楓(伊東蒼)の父、智(佐藤二朗)が突如失踪した。智は前日に報奨金300万円で指名手配中の連続殺人犯を偶然見かけたと言い残していた。警察も取り合ってくれない中、楓は父の働く日雇いの工事現場を訪れる。そこには原田智という名前の全く別人が働いていた。しかし、その男は智が目撃したと言っていた指名手配犯に酷似しており・・・

ポジティブ・サイド

舞台が大阪、それも新今宮=西成区なので、コテコテの大阪を通り越して、時代に取り残された大阪が活写されている。尼崎出身、尼崎在住のJovianには非常に親近感のある風景である。単に下町が舞台だからではなく、地べたを這いずり回って生きる人間の姿がしっかりと見えた。邦画だと『 万引き家族 』以来の描写であるように思う。

 

佐藤二朗と伊東蒼の親子がリアリティを生んでいる。特に佐藤二朗はダメな大人を見事に体現している。20円が足りずに万引きしようとし、そこへ娘が駆け込んでくる冒頭のシーン、さらに路上でクッチャクッチャと音を立てながら食べる父親、それを注意しながらも、家に帰れば互いに気の置けない親子であることを映し出す。外で見える風景と中から見る風景のコントラストが鮮やかである。

 

万引きの場面では警察官がスーパーの店長に示談を勧める。元大阪府警のJovian義父が憤慨するであろうシーンだが、大阪府警=無能という印象を一発で観る側に与える非常に効果的な演出である。これがあるおかげでその後の様々な警察絡みの展開に無理がなくなっている。

 

父を必死に探す楓を伊東蒼が熱演。『 空白 』でトラックにはねられる万引き娘や『 ギャングース 』の家なき子の印象が残っているが、本作の熱演はそれらの印象をすべて上書きするもの。まさに西成のじゃりン子で、身寄りのない子を引き取るシスターの顔面に唾を吐きかけるわ、街中で先生に相手に大声で悪態をつくわと、周りの大人の協力を自ら遠ざける。しかし、一方で日雇い外国人労働者とはじっくり話ができるなど、他者や大人をすべて拒絶しているのではなく、同病相憐れむ的な価値観で動いていることが分かる。このあたりは日本の現実、就中、大阪という都市の闇も垣間見せていて興味深い。

 

単純に姿を消した父親を娘が探し出そうとする物語と見せかけてさにあらず。スクリーンに「3か月前」と表示されたところから、一気に物語の背景が明かされ始める。そこで明らかになる真実に関しても、序盤のうちにフェアな伏線が張られているので、納得しながら受け入れることができる。この脚本は上手いと感じた。

 

疑惑の殺人鬼役を清水尋也が怪演。『 ミスミソウ 』でも存在感を発揮していたが、日本の俳優で異常者を正面から演じられる若手俳優は少ない。『 キャラクター 』のFukaseや『 ミュージアム 』の妻夫木聡が印象に残っているが、清水は韓国のクライム・サスペンスなどに出ても爪痕を残せるのではないかと感じた。『 殺人の追憶 』を日本でリメイクするとしたら、柔らかい手の青年は清水尋也で決まりだろう。

 

近年話題になったSNSの闇や、人間の生と死についての非常に現実的な問題提起もなされている。『 ドクター・デスの遺産 BLACK FILE 』や『 いのちの停車場 』などが有耶無耶にしてしまった命の尊厳について逆説的な形で切り込んでいった野心作。かなり血生臭いが、ぜひ多くの人に鑑賞いただきたい一作である。

ネガティブ・サイド

伊東蒼はさすがの大阪弁ネイティブだが、佐藤二朗の大阪弁はイマイチだった。じゃりン子チエ役の中山千夏レベルとまでは言わないが、それぐらいにまでは仕上げてほしかった。佐藤の芸歴なら出来るはずだし、片山監督もそこまで演出してもよかった。

 

楓のボーイフレンドが終始役立たずだった。この男が活躍する、そしてあっさり撃退されるシーンや、あるいは楓の父・悟に正面からぶつかっていくような展開があれば、もっとドラマが盛り上がっただろうと思う。

 

総評

佐藤二朗というと福田雄一作品の常連だが、ハッキリ言ってJovianは福田はあまり好きではない。『 HK 変態仮面 』は面白かったが『 ヲタクに恋は難しい 』あたりで絶望して『 新解釈・三國志 』は観ても腹が立つだけだろうと思い、回避した。佐藤二朗もNHKの『 歴史探偵 』の所長っぷりがチャラけていて好きではなかったが、良い脚本および良い演出に巡り合えば、こんなにも違う顔を見せるのかと感心させられた。老老介護の悲劇やSNSを通じた集団自殺・殺人など、命について考える機会が否応なく増える日本社会において、本作の放つメッセージは決して軽くはない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Not a chance

劇中であるキャラが言う「んなわけねーだろ」の私訳。Not a chance = そんな可能性はない、という意味で、質問に対する答えとして使われる。

A: Do you think I’ll get a job offer from them?
あの会社から内定もらえるかな?

B: Not a chance.
まあ、無理だろ。

というのが用例である。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, サスペンス, 伊東蒼, 佐藤二朗, 日本, 清水尋也, 監督:片山慎三, 配給会社:アスミック・エースLeave a Comment on 『 さがす 』 -邦画サスペンスの良作-

『 THE BATMAN ザ・バットマン 』 -最もダークなバットマン-

Posted on 2022年3月13日2022年3月14日 by cool-jupiter

THE BATMAN ザ・バットマン 75点
2022年3月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ロバート・パティンソン ゾーイ・クラヴィッツ ポール・ダノ
監督:マット・リーブス

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半強制の土曜出勤後のレイトショーで鑑賞。疲労した状態で3時間の長丁場映画は無謀かと思ったが、緊張感が持続する素晴らしい出来映えだった。

あらすじ

ゴッサム・シティの市長選の最中、現職市長が謎の知能犯リドラーに殺害される。その翌日には警察本部長までもが殺害されてしまう。バットマン(ロバート・パティンソン)は盟友ゴードン警部補と事件を追うが、その過程で自身とその家族の闇を見せつけられ・・・

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ポジティブ・サイド

結論から言うと『 ダークナイト 』と同じくらい面白かった。ティム・バートンの『 バットマン 』、ジョエル・シュマッカーの『 バットマン 』、クリストファー・ノーランの『 ダークナイト 』などと比べても、ヒーローではなく探偵という意味合いが強い。また大富豪として燦然と輝くセレブであるブルース・ウェインと警察や司法の裁けぬ悪を自ら制裁する影のヒーローのバットマンというコントラストが薄れ、圧倒的にダークな雰囲気が物語全体を支配している。

BGMも良い。ダニー・エルフマンの手がけたテーマ曲のイントロ部分を変奏させたような重々しいBGMが物語全体を通奏低音になっていて、重くシリアスな空気を生み出していた。Nirvanaの ”Something in the way” も、バットマンの心情とマッチしていた。

スーパーヒーローは常に狭間に立っている。スーパーマンはクラーク・ケントで、アイアンマンはトニー・スタークで、スパイダーマンはピーター・パーカーである。人間としての生活とスーパーヒーローとしての使命が時に、というか常にぶつかり合う。本作が新しいなと感じられたのは、バットマンの正体がブルース・ウェインなのではなく、ブルース・ウェインの正体こそがバットマンである、とリドラーが喝破するところ。確かに本作では、ブルースはウェイン・エンタープライズの経営にまったく参画していないようで、バットマンとしての生き方を貫こうとする姿勢が先行作品よりも遥かに強く打ち出されている。一方で、ブルース・ウェインとしての弱さもしっかりと表現されており、マット・リーブス監督のさじ加減はかなり巧みであるという印象。バットマンは結局のところ孤児で、自分の人生にかけている positve male figure を常に探し求めている。その対象がアルフレッドであり、ゴードン警部補である。一方で、いつまでも孤児という子どものままではいられないわけで、息子はいつか(文学的な意味での)父親殺しを果たさねばならない。その対象が、本作ではペンギンであり、ファルコーネである。本作はブルース・ウェインというキャラの内面の闇に深く切り込んだ作品であり、物語そのものの重苦しさとあいまって、観ていて消耗が激しい。しかし、鑑賞後にはそれは心地よい疲労に感じられた。

ロバート・パティンソンはバットマンとしてもブルース・ウェインとしてもハマり役。個人的にはバットマン役だけを考えれば

ロバート・パティンソン > ベン・アフレック ≧ マイケル・キートン > クリスチャン・ベール > ヴァル・キルマー >>>>> ジョージ・クルーニー

という序列である。

ヴィランであるポール・ダノは、ジム・キャリーの怪人リドラーとは全く異なるリドラー象を打ち出してきた。『 ダークナイト 』におけるジョーカーのような、犯罪者というよりもテロリスト寄りの人物で、これはこれで十分に恐ろしい人物であると感じた。非イケメンで、どちらかというオタク系の外見をしているポール・ダノが white trash の一つの究極系であるリドラーを演じるというのは、キャスティング上の大勝利なのだろう。実際にポール・ダノはかなりの怪演を見せている。ジョーカーを演じると精神にダメージを負うと言われるが、このリドラーを作り上げるのも相当にダノを苦しめたのではなかろうか。とあるシーンで、スマホでバットマンと通話するリドラーは、エンドルフィンやらドーパミンがあふれ出ているかのような druggy な喋り方だった。麻薬中毒の問題もサブプロットにあるのだが、頭がおかしい人間は脳内麻薬だけでトリップできるのだなと感じさせてくれた。

バットマン初心者向けではないが、バットマン好きで、なおかつマット・リーブス監督と波長が合えば、本作はかなりの傑作と感じられることだろう。

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ネガティブ・サイド

ゾーイ・クラヴィッツのキャットウーマンはなかなか堂に入っていたが、ロマンスの要素を含めようとしたのは感心しない。すわキスか?と期待していたキャットウーマンだったが、バットマンは単にコンタクトレンズ型カメラとイヤホンの装着具合を確かめていただけ、という距離感を保っていたほうが良かった。今作のブルース・ウェインは大人と子どもの境目の存在で、女=ロマンスの対象はノイズである。

いくら父親にあたる存在を渇望しているとはいえ、ファルコーネやらアルフレッドやらに、父トーマスのことをあれこれ言われて、それを全部信じ込んでしまうというのはどうなのか。

続編を強く匂わせる終わり方だったが、次回作ではジョーカー登場?演じていたのは誰?本作をもって『 ジョーカー 』は全てめでたく妄想ということになったのだろうか?

総評

バットマン好きなら見逃してはならない一作。しかし、逆に言えば「バットマンというのは名前しか知らない」という層にはキツイ作品だろう。事実、Jovian妻がこれに該当し、終始訳が分からなかったとのことだった。3時間あるリブートだからといって、全てを懇切丁寧に説明してくれるわけではない。知らない人からしたら「ペンギンって何?キャットって何?」となってしまう。逆にバットマン世界を知っていれば、ブルース・ウェイン/バットマンを更にもう一段掘り下げた作品として、楽しめることだろう。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

be spoken for 

割とよく使われる表現。

Someone is spoken for = 誰かにはお相手がいる

Something is spoken for = 何かが予約済み、売約済みである

という感じに訳されることが多い。劇中では “You’re already spoken for.” という具合に使われていたが、「あなたには先約がある」あるいは「あなたにはすでに相手がいる」のような字幕だった気がする。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, サスペンス, ゾーイ・クラヴィッツ, ポール・ダノ, ロバート・パティンソン, 監督:マット・リーブス, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 THE BATMAN ザ・バットマン 』 -最もダークなバットマン-

『 リトル・シングス 』 -中途半端なサスペンス-

Posted on 2022年2月11日 by cool-jupiter

リトル・シングス 50点
2022年2月8日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:デンゼル・ワシントン ラミ・マレック ジャレッド・レト
監督:ジョン・リー・ハンコック

f:id:Jovian-Cinephile1002:20220211214215j:plain

『 ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ 』のジョン・リー・ハンコックの監督作にして、『 ボヘミアン・ラプソディ 』でスターの仲間入りを果たしたラミ・マレック、大御所デンゼル・ワシントン、超実力派ジャレッド・レトのそろい踏み。しかし、サスペンスもミステリも中途半端だった。

 

あらすじ

保安官代理のディーコン(デンゼル・ワシントン)は、古巣のLAに出張するが、そこで連続殺人事件の捜査に加わることになる。捜査の陣頭に立つバクスター(ラミ・マレック)は、厄介者扱いされるディーコンの力量を認め、良きパートナーになっていく。そして、容疑者としてスパルマ(ジャレッド・レト)が浮上してくるが・・・

 

ポジティブ・サイド

デンゼル・ワシントンの好演が光る。2010年代以降では絶滅危惧種、あるいは絶滅種になってしまったであろう古いタイプの警察。ハイテクや高度な犯罪心理学の知識ではなく、自らの観察眼と直感に忠実な、ある意味で極めて日本的な警察とも言える。そういう意味では、非常に感情移入しやすいキャラクターだった。落ち着いた物腰の中に垣間見えるハンターの目が印象的で、今後は中年以降のクリント・イーストウッドのように、アクションではなく、オーラで役者をやっていくのだろう。

 

相棒となるラミ・マレックも正義の執行に執念を燃やすタイプの刑事で、敏腕ではあるが、いわゆる鼻持ちならないインテリの刑事ではない。なので、こちらのキャラクターの思考や心情も、観ている側に伝わりやすいし、マレック自身の目線の演技がさらにそれを助けている。ラストで見せる非常に虚ろな目が特に味わい深い。

 

ジャレッド・レトはいつ見ても普通ではない役を演じていて、きっと本人もノリノリなのだろう。サイコパス的な不気味さと犯罪・警察マニアという皮相さが絶妙にブレンドされて、限りなく怪しいけれど、しかしマニアが調子こいているだけかもしれないという、gray area を極めて強く印象付ける。こういう虚々実々の役作りにおいては、存命俳優の中ではトップクラスだろう。クライマックスでラミ・マレックと対峙した時、徐々に力関係が逆転していく様子は見応えがあった。

 

捜査の過程で事件の謎だけではなく、ディーコン自身がLAで厄介者になってしまった経緯も徐々に明らかになっていく。そして今回の事件の真相(と言っていいのかどうか・・・)を知ることで、原題の The Little Things が巧妙なダブルミーニングになっていることに気付く。ステイホームの週末の時間つぶしにちょうどいい作品かもしれない。

 

ネガティブ・サイド

何というか、脚本に力がない。『 セブン 』や『 羊たちの沈黙 』、『 チェイサー 』や『 殺人の追憶 』のようなサスペンスを生み出すポテンシャルがありながら、その可能性を追求せず、スターをキャスティングすることで満足してしまったように思える。

 

冒頭、不穏さが充満するクルマの追走シーンで、殺人の過程を描かないのは別に構わない。匂わせるだけの方が効果的な場合もあるからだ。ただ、本作はあまりにも匂わせるだけのシーンが多すぎる。『 セブン 』にあったような陰惨極まりない事件現場や、『 羊たちの沈黙 』で描かれたような残虐シーンがない。ディークとバクスターが犯人を追いかけていく様には『 チェイサー 』のキム・ユンソクのような執念が感じられなかった。特にバクスターの方は、何が彼をそこまで駆り立てるのかについての描写が明らかに不足していた。単なる正義感では説明がつかないし、信仰心でも答えにならない。バクスターの背景が見えてこないことが、ディークと彼のバディ同士としてのバランスが上手く取れていないように映る主要因だったと感じる。

 

この何ともモヤモヤする感じのクライマックスの展開は、悪いとは言わないが、少々物足りない。この容疑者が本当に犯人なのか、それとも犯人ではないのかというモヤモヤ感を楽しむ分野の作品には『 殺人の追憶 』といった傑作があるので、どうしても比較対象になってしまう。

 

本作の脚本上の弱点は、テーマがぼやけてしまっている点にあると思う。The Little things = 小さなこと(それは時に文字通りの小物であったり、あるいはちょっとした言動だったりする)へのフォーカスが弱い。どちらかというと、警察が職務外でもどれだけ警察官たりえるのか、あるいは警察がその私人性を突かれた時にどれだけ警察でいられるのか、といったテーマの方が色濃くにじみ出ていた。そういった意味でも『 セブン 』や『 殺人の追憶 』といった先行作品に大きく水をあけられていると感じた。

 

それにしてもラミ・マレックの相棒がジョー・ディーコンというのは笑ってしまう。脚本家またはプロデューサーがQueenのファンなのだろうか。

 

総評

事件そのものに謎やサスペンスを生み出す力は弱いが、逆に言えばあまりにも陰鬱かつ残虐な映画は勘弁・・・という向きに合っているのかもしれない。主演の3人の演技合戦を素直に楽しむべきなのだろう。デンゼル・ワシントンのファンならば、ディークの存在感と人間臭さを堪能するために、観ておいて損はない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

get on the fast track for a promotion

「出世街道に乗る」の意。Jovianも初めて聞いた表現だが、これは色々な場面で使えそうに思える。ひとまず自分の職場のネイティブ連中相手に使ってみようと思う。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, アメリカ, サスペンス, ジャレッド・レト, デンゼル・ワシントン, ラミ・マレック, 監督:ジョン・リー・ハンコックLeave a Comment on 『 リトル・シングス 』 -中途半端なサスペンス-

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