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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 配給会社:ワーナー・ブラザース映画

『 シャザム! 神々の怒り 』 -少年から大人へ-

Posted on 2023年3月28日 by cool-jupiter

シャザム! 神々の怒り 70点
2023年3月25日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ザカリー・リーバイ アッシャー・エンジェル
監督:デビッド・F・サンドバーグ

簡易レビュー。

 

あらすじ

普通の少年ビリー・バットソン(アッシャー・エンジェル)古代の神々の力を持つヒーロー・シャザム(ザカリー・リーバイ)に変身する力を使って、兄弟たちと街のピンチを救っていた。そんな中、アトラスの娘たちが、かつて父が奪われた力を奪還するために迫ってきて・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭のカリプソとヘスペラの襲来シーンのシリアスさと、その後のシャザムの面々が崩落していく橋から人々を救出していくシーンのコミカルさのコントラストが素晴らしい。ヒーローたちが力を合わせるのではなく、力を合わせないとヒーローになれないというのがシャザムの親しみやすさ。スパイダーマンと言いながら、中身がボーイであるピーター・パーカーに通じるところがある。

 

ハリポタから『 アナイアレイション 全滅領域 』まで、これでもかと色んな作品のパクリオマージュを取り入れている。これぐらい開き直ったほうが清々しい。特にスティーブは、昨今急激に注目を集めているChatGPTを彷彿とさせる。次作にも出番はあるはず。

 

少年から大人へ、居心地の良い家から外の世界へという、ビリーの人生の過渡期と、スーパーヒーローとしてのシャザムの活躍と葛藤が良いバランスで描かれている。最終盤に出てくるゲストは、そのBGMを聞いた瞬間に鳥肌が立った。次作も楽しみだ。

 

ネガティブ・サイド

ユニコーンの活躍がもう少し長く見たかった。

 

ラドンの名前を冠するからには、ラドンらしく超音速飛行ぐらいしてくれないと。もっさりとした飛行はいただけない。

 

DCEUへの本格参戦が決まったようだが、最後の最後がインフォマーシャルにしか見えなかった。シリーズがMCU的にならないことを切に祈る。

 

総評

おバカ映画とシリアス映画のバランスが良い塩梅。『 アクアマン 』と並んで、全く暗くないDCヒーローだ。ヒーローものでありながら、ファミリーものでもある。血のつながり以上のものでつながっているファミリーという描写は近年のトレンドだが、そうした物語はMCUよりもDCUの方が巧みかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

breathe down one’s neck

直訳すれば「首に息を吹きかける」だが、転じて「ずっと見張っている」、「じっと監視している」の意。前の職場の同僚アメリカ人が “〇〇 sensei’s always breathing down my neck.” とぼやいていたなあ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ロストケア 』
『 マッシブ・タレント 』
『 search #サーチ2 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, アッシャー・エンジェル, アメリカ, ザカリー・リーバイ, 監督:デビッド・F・サンドバーグ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 シャザム! 神々の怒り 』 -少年から大人へ-

『 マジック・マイク ラストダンス 』 -Don’t Think. Just Dance.-

Posted on 2023年3月5日 by cool-jupiter

マジック・マイク ラストダンス 60点
2023年3月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:チャニング・テイタム サルマ・ハエック
監督:スティーブン・ソダーバーグ

あらすじ

家具職人として働いていたマイク(チャニング・テイタム)はパンデミックにより失業。バーテンダーとして働いていたところ、かつて自分が警察官に扮して侵入した学生寮の卒業生キムに出会う。キムの働きかけを通じて資産家マックス(サルマ・ハエック)と知り合ったマイクは、彼女のためにストリップを披露し、一夜を共にする。その後、マックスはマイクに「ロンドンに一緒に来てほしい」と言い・・・

ポジティブ・サイド

コロナ禍を反映した映画が徐々に生まれてきているが、本作もそれにあたる。その中でも、本作が特にユニークなのは、パンデミックによって何もかも奪われてしまった中年男、という全世界で数百万人はいるであろう男性像に着目したこと。そしてその男性が人生を取り戻す様を芸術的に、しかし力強く描いているところである。

冒頭で『 マジック・マイク 』で一瞬だけ出演したキャラの再登場があり、マイクの一瞬の回想のシーンが鮮やかだ。ここでマイクが自分はストリッパーだったということを思い出す。またティトやデカマラ・リッチーからも電話があり、過去2作と本作のつながりも示される。そこからあれよあれよの勢いで、マックスの前で踊ることになるマイク。そのダンスがまた何とも官能的。セックスよりもセクシーという形容がよく合っている。

 

そこからロンドンに一直線。冴えない男がパトロンの力を得て、ステージ・パフォーマンスの演出家になる。そして世界中からタレントを結集して、誰も見たことがない芝居を作り上げる。そのスカウトやオーディションの映像も圧倒的。前二作の役者たちのダンスも素晴らしかったが、本職のダンサーは違いますなあ。役者にダンスをさせるのではなく、ダンサーに演技をさせる。そうしたコンセプトで演者を集め、革新的な舞台を模索していく。その裏で、演出家たるマイクとパトロンであるマックスが様々にぶつかっていく。映画監督と映画プロデューサーのぶつかり合いも、きっとこんな感じなのだろう。

 

最後に出来上がった一連のダンスは圧巻の一語に尽きる。あらゆるジャンルが混淆したダンスの連続で、大トリを飾るのはもちろんマジック・マイク。雨の中でバレリーナを相手に扇情的なダンスを披露する。その動きの一つひとつが、マックスへの敬意であり愛情の表現になっていた。これまでのマジック・マイクは「女性たちを癒やす」というテーマの元に踊っていたが、ここで初めて「一人の女性を癒やす」という目的のために踊る。三作を通じてマイクがたどり着いたのは、愛だったというわけか。

ネガティブ・サイド

タンパのストリッパー仲間とはビデオ・カンファレンスで連絡を取り合っているが、ブルックのことは思い出さないのか。マックスに恋愛関係を質問された時に、回想シーンの一つぐらいは入れて欲しかったと思う。ダラスやキッドについても、ほんの少し思い返すシーンがあっても良かっただろうに。

 

マックスの娘ゼイディにダンスを小説的かつ哲学的にあれこれと語らせるが、これは正直なところノイズだった。まだ小学校高学年か中学生ぐらいなのに耳年増なキャラにしてどうする。過激なダンスシーンで執事に目隠しをされ、超セクシーなシーンでは劇場外に連れ出されてしまうが、そこでじっと待つのではなく、おもむろにノートPCを取り出して、今までに書いてきた小説を一気に手直しする。そうすればゼイディもマイクのダンスにインスパイアされたのだと伝わる。足でフンフン♪とリズムを取っているというのは演出としては少々弱い。

 

シリーズ全体を通じての弱点だが、男性視点から見た女性視点というものを強く感じる。もちろん、ストリップショーに癒される女性が存在することは間違いないし、Jovian妻もムキムキの肉体は大好きらしい。けれど、一方では『 マジック・マイク 』のブルックのような女性も確実に存在する。そうした女性に、では男性として何ができるかを考えた時に、ストリップを文化的に有意なダンスに昇華させようとソダーバーグは目論んだのだろうが、肝心のそうした女性が作品世界に存在しないので、ダンスによる交感がマイクとマックスの関係に集約されてしまい、そこから普遍的な男女の在り方にまでつながっていかない。

 

総評

個人的には、前二作のアホな男たちによるバカ騒ぎ的なノリが好きだったので、本作は少し落ちるかなという印象。ただ、10年後に再鑑賞すれば評価は間違いなく上昇するという予感はある。チャニング・テイタムはこのトリロジーをもって代表的なキャラを得られたと思う。スタローン=ロッキー、シュワルツェネッガー=ターミネーター、T・クルーズ=マーヴェリックのように、チャニング・テイタム=マジック・マイクになったのだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

theater

劇中で Are you ready to transform theater forever? という台詞があったが、残念ながら字幕が誤っていた。字幕は「この劇場を改革するぞ」みたいな感じだったが、正しくは「演劇というものを永久に変える準備はいいか?」である。theater は a や the などの冠詞がつけば「劇場」、なにもつかなければ「演劇(という概念やジャンル)」である。

次に劇症鑑賞したい映画

『 シャイロックの子供たち 』
『 湯道 』
『 少女は卒業しない 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, サルマ・ハエック, チャニング・テイタム, 監督:スティーブン・ソダーバーグ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画, 青春Leave a Comment on 『 マジック・マイク ラストダンス 』 -Don’t Think. Just Dance.-

『 マジック・マイク XXL 』 -青春に別れを告げるロードトリップ-

Posted on 2023年3月4日 by cool-jupiter

マジック・マイク XXL 70点}
2023年3月1日 WOWOW録画にて鑑賞
出演:チャニング・テイタム ドナルド・グローヴァー アンバー・ハード
監督:グレゴリー・ジェイコブズ

『 マジック・マイク 』の続編。やはり『 マジック・マイク ラストダンス 』への備えとして再鑑賞。

 

あらすじ

ストリップの世界からは足を洗い、家具職人として慎ましく生活するマイク(チャニング・テイタム)に、かつての仲間から「ダラスが旅立った」と告げられる。通夜に訪れたマイクだが、ダラスはアダムと共に天国ではなく中国に旅立っていた。一同はそれぞれの人生を歩み始めるために、最後にストリップの大会に参加しようと、マートル・ビーチに向けてロードトリップに出るが・・・

 

ポジティブ・サイド

前作のラストで踊ることを拒否したマイクが、今作では自分の職場でBGMに乗せられて不意に踊りだす。家具職人として汗水たらして働きながらも、マイクはやっぱりマジック・マイクだった。ストリッパー、本作の言葉を借りれば男性エンターテイナーとしての残り火が残っていた。夜の世界で1ドル札の雨を降らすのではなく、昼間の世界でこつこつと働く。その姿に我々はホッとすると同時に、ちょっぴりガッカリもさせられる。誰もが大人にならなければならないが、青春と決別するのはなかなかに難しい。本作は、マイクだけではなく、かつての仲間たちすべてが青春に別れを告げる物語である。

 

フローズン・ヨーグルトを売って生計を立てるティトに、芸能プロダクションに履歴書を送りまくるケンなど、前作でそれほどフォーカスされなかった個性豊かなキャラたちの背景が見えてくる。また、ロードトリップの中でマイクと各キャラが個別に話していく中で、彼らの関係についても様々な側面が見えてくる。じっくり話したことはなかったが、実は互いに深くリスペクトしていたことが分かったり、実はわだかまりを抱いていることが判明したりと、陽キャは陽キャで色々あったんだなと感じる。

 

旅の途中で出会う人々も、それぞれにドラマがある。仏頂面のコンビニ店員を「お前のダンスで笑顔にしろ、それができれば新作ダンスだって生み出せる!」というマイクの力強い提案と、それに乗ったリッチーがバックストリートボーイズの ”I Want It That Way.” を背景に披露する渾身のダンスが本作の見どころの一つ。また、一晩泊めてもらうことになる家で、マダム達の様々な悩みに耳を傾け、励ましの言葉を掛けて、自己効力感を与えるシークエンスもハイライトの一つ。ダラスとアダムは金のために中国へ行ってしまったが、マイクをはじめ残された面々は、自分たちが癒しを提供する存在であったことに気付いていく。

 

マートル・ビーチの大会で踊ったからとて、何かが劇的に変わるわけではない。結婚を夢見たり、妻子のいる生活に憧れたり、堅実な職業を得ようとしたり、あるいは華々しい芸能の世界にしがみつこうとしたり、進路は様々だ。そう、進路。つまり、大学生が院に進んだり、あるいは就職したり、ニートになったりと、色々あるが、マイクとその仲間たちは派手なバカ騒ぎをすることで、モラトリアムの終わりを受け入れたのだ。今回のロードトリップは彼らなりの卒業旅行なのだ。

 

ラストのステージ・パフォーマンスは圧倒的。Jovianが自分の結婚式で使ったブルーノ・マーズの “Marry You” をドナルド・グローヴァーが歌うシーンが個人的には最も盛り上がった。マイクが道中で知り合ったストリッパー仲間と最後に見せるパフォーマンスも圧巻。最後に打ち上げた大きな花火は、彼らの旅の終わりを締め括るにふさわしい。歳をとってから思い起こして、ふっと笑うことができる。そうした瞬間を持つことが青春の醍醐味だし、そうした瞬間を共有できる仲間を戦友と呼ぶのだろう。

 

ネガティブ・サイド

トバイアスが事故で out となってしまったために、急遽、マイクの古い伝手でローマにMCを頼むことになる。そこは良いとして、そのローマのMCがそれほどシャープだとは感じられない。レディをクイーンと言い換えるぐらいで、何か特別にMCの才能があるようには感じられなかった。これなら前作のマシュー・マコノヒー演じるダラスの方が遥かにMCとしては上だろう。”All right, all right, all right.” だけでその場の空気を全て自分色に染め上げるマシュー・マコノヒーのオーラを上回るような決め台詞を用意すべきだった。

 

あとは、ほんの少しでいいのでブルックの出番も欲しかった。ケリー・マクギリスは『 トップガン マーヴェリック 』にとても出演できないと自己判断したそうだが、コディ・ホーンはギャラで揉めたりしたのだろうか。

 

総評

青春との盛大な決別、そのほろ苦さが存分に味わえる。一方で、修学旅行的な楽しさもある。ロードムービーとしても青春映画としても、非常に良い仕上がりになっている。女性のみならず、30代以上の男性も、本作を通じて自分の人生を見つめ直すことができる。もちろん単純に男性ストリッパーが大いに羽目を外す映画として観賞しても構わない。むしろ、若い世代はそういう見方をすべきかもしれない。そこから10年後に本作を観ることで、自らの成長や成熟を感じることもあるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

ride

仮面ライダーのライダーは ride から来ている。意味は「乗る」だが、これは名詞。劇中ではしばしば last ride という形で使われていた。プロレスラーのアンダーテイカーの決め技の一つだが、実際は You’re in for a ride. の ride に「最後の」の last がついたもの。ride には「何か楽しいこと、エキサイティングなこと」という意味もある。 マイクたちの言う our last ride というのは、みんなでやる最後のバカ騒ぎ的な意味なのだ。 

 

次に劇症鑑賞したい映画

『 シャイロックの子供たち 』
『 マジック・マイク ラストダンス 』
『 湯道 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, アンバー・ハード, チャニング・テイタム, ドナルド・グローヴァー, 監督:グレゴリー・ジェイコブズ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画, 青春Leave a Comment on 『 マジック・マイク XXL 』 -青春に別れを告げるロードトリップ-

『 インターステラー 』 -尻すぼみであること以外はパーフェクト-

Posted on 2023年1月9日 by cool-jupiter

インターステラー 80点
2023年1月7日 WOWOW録画にて鑑賞
出演:マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ ジェシカ・チャステイン
監督:クリストファー・ノーラン

諸事情あってなかなか映画館に行けないので、過去のWOWOW録画DVDを手に取る。中に入っているのは『 インターステラー 』と『 コンタクト 』で、前者を選ぶ。

あらすじ

ダストボウルの大量発生により土壌で作物が育たず、酸素も近い将来に生存不可能なレベルにまで低下することが予想される世界。元パイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)は娘マーフの部屋で起きる奇妙なサインから座標を読み取る。そこではNASAが、人類救済ミッションを密かに進めており、クーパーは土星付近のワームホールを目指すミッションに参加することになる・・・

ポジティブ・サイド

地球滅亡ではなく人類滅亡という設定がいい。しばしば発生する砂嵐は dust bowl =ダストボウルと呼ばれる、1930年代にアメリカとカナダの農業に大打撃を与えたものである。もちろん Jovian はダストボウルを直接に経験した世代ではないが、これはアメリカ近代史ではしょっちゅう触れられるのでよく知っていた。

ワームホールの説明や描写もSF入門レベルにまで dumb down してくれているのも有難い。ワームホールの説明として、紙を折り曲げて二点をくっつけるというのは定番中の定番だが、二次元平面の紙の上の穴(hole)は三次元空間では球(sphere)になるという説明は秀逸だと感じた。

ワームホールの先の別の銀河で訪れる移住先の星々の描写も光っている。ブラックホール近傍の惑星あるいはステーションというのは『 ブラックホール 』でもお馴染みで、それ自体にオリジナリティはない。しかし、ブラックホールの重力圏内と圏外での時間のずれが生むドラマは、ベタながら見応えがあった。

ノーラン監督は初期から「時間」をテーマにした作品作りで知られていて、本作でもそれは一貫している。『 TENET テネット 』で見せた見事な物語の円環的構造は、実は本作でも示されていて、劇場で始めた鑑賞した時、WOWOWで二度目に鑑賞した時、そして今回と、毎回その構造の巧みさに舌を巻く。

本作の最大の功績はTARSかもしれない。R2-D2やBB-8とはまた違った魅力のあるロボットである。コミュニケーションの設定に正直度やユーモアがあったが、これは案外現実世界で似たようなロボットが作られた際、取り入れられる設定かもしれない。また、安易に人型にするのではなく、TARSのような造形の方がモビリティも確保できるだろうなと感じた。

SFにはファンタジーの領域にどっぷり浸かったものと、現実的な科学技術に立脚しつつ、ほんの少しのフィクションを混ぜたものがある。どちらも面白いのだが、本作は数あるSF作品の中でもファンタジーの領域と現実の領域が見事な配分でミックスされていると感じる。ここでいうファンタジーとは「愛」の力。いかなる科学も超越する親子の奇妙な愛の絆は、何度見ても感動させられてしまう。俺もだいぶ単純になってもうたな・・・

ネガティブ・サイド

親子の愛だけに留めておけばよかったのに、なぜアン・ハサウェイ演じるブランド博士をクーパーの love interest にする必要があったのか。ここが解せない。友愛に近い感じで良かったのでは?

そのブランド博士やその他の面々も、人類を救うと言いつつ、移住候補先の星の大地に星条旗の旗を立てるのか?これが英国籍と米国籍を持つクリストファー・ノーランの植民に対する意識の表れなのだろうか?うーむ・・・

天文物理学や生物学の門外漢だが、ガルガンチュアのようなブラックホールが天文単位の距離にあるような複数の惑星は、そもそも移住に向かないのでは?ブランド博士の言う通り、小惑星の衝突などが起きない(ブラックホールがそれらをすべて吸い込むか弾き飛ばす)環境では、生物の創発が喚起されない。地球ですら木星のおかげで天体衝突の確率は1000分の1になっているとされる。微生物や植物すらない環境はテラフォーム不可能な気がするのだが・・・

総評

最後の最後のクーパーの決断が個人的には受け入れがたいが、そこに至るまでの3時間近い物語には圧倒されるばかり。3度目の鑑賞でもそう感じる。ティモシー・シャラメやケイシー・アフレック、マイケル・ケインにジョン・リスゴーなど、若手から超ベテランまでが脇を固める。2010年代のSF映画の秀作の一つであることは間違いない。

Jovian先生のワンポイントラテン語レッスン

stella

ラテン語で a star の意味。interstellar は文字通り「星々の間の」、「恒星間の」という意味である。星座を constellation と言うが、色んな星が一緒になってできるのが星座ということである。似たような語に『 アド・アストラ 』の astra がある。これは astrum の複数形の対格で、こちらも意味は星だが、やや誌的な感じがする表現。これの元はギリシャ語のasterで、astronaut や astronomy はここから来ている。アスタリスクを見たら「あ、確かに星だ」と感じてもらえれば幸いである。

次に劇場鑑賞したい映画

『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』
『 ファミリア 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, A Rank, SF, アメリカ, アン・ハサウェイ, ジェシカ・チャステイン, マシュー・マコノヒー, 監督:クリストファー・ノーラン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 インターステラー 』 -尻すぼみであること以外はパーフェクト-

『 母性 』 -トレーラーを観るなかれ-

Posted on 2022年12月9日 by cool-jupiter

母性 50点
2022年12月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:戸田恵梨香 永野芽郁 高畑淳子 大地真央 中村ゆり
監督:廣木隆一

湊かなえ原作ということでチケット購入。原作は未読だが、おそらく脚本家および監督が小説の良さを少しスポイルしてしまったと思われる。トレーラーも misleading すぎる。

 

あらすじ

箱入り娘のルミ子(戸田恵梨香)は、絵描きを趣味にする鉄工所務めの田所と結婚する。娘の清佳(永野芽郁)を授かり、幸せな家庭を築いていた。ルミ子は母からの教え通りに清佳に惜しみなく愛情を注いでいく。しかし、清佳が祖母、つまり自分の母の愛情を受けることにルミ子は内心で激しく嫉妬していて・・・

ポジティブ・サイド

観始めた瞬間から、よく分からない違和感を覚えた。看護師や助産師が戴帽しているシーンを見て「いつの話だ?」と感じた。また、ルミ子の家の電話が固定電話。さらに新居の家のテレビがブラウン管のテレビ。この時点で、これは昭和の物語なのだ、と確信できた。この時点で俄然興味が湧いてきた。Jovianも一応昭和生まれなわけで、アメリカ人の同世代の demographic が1980年代をノスタルジックに思っているように、我々世代も昭和を懐かしむのである。

 

本作がオーディエンスに感じ取ってほしいと思っている点は、タイトルにもなっている母性である。母と女性の違いは何か。それは、母は子どもを産んでいるということ。女は弱し、されは母は強しと言われるが、母性も行き過ぎると鬼子母神になってしまう。我が子は可愛いが、他人の子はどうでもいいということになってしまう。ある意味でその究極形が『 母なる証明 』だった。我が子への愛が狂気の暴走を見せる大傑作だ。その一方で、邦画も『 MOTEHR マザー 』を近年送り出してきている。我が子を愛さず、我が子に自分を愛させるという母親にフォーカスした怪作である。本作はどちらの系譜に属するのか。そのどちらにも属さない。

 

母の愛を一身に受けたルミ子が、自分が母になることでその愛を我が子に向ける・・・ようにならない。逆に、自らが母であるにもかかわらず、敢えて娘であり続けようとするルミ子の姿は異様に映る。戸田恵梨香は長澤まさみに近いレベルの演技を見せたと言える。

 

しかし、本作のタイトルにある母性を最も強烈に体現したのは、ルミ子の母親を演じた大地真央とルミ子の義母を演じた高畑淳子ではないだろうか。命をつなぐこと、その素晴らしさ、それを喜べること。そうした心を持ち、娘も孫も愛する大地真央。対照的に、息子の嫁をいびり倒す義母。この妖怪女優二人が同じ画面に出てくることはないのだが、明らかに二人は演技バトルをしている。この両者の演技対決だけでも鑑賞の価値がある。

 

母性とはことほどさように、女を優しくもするし、また醜くもする。ルミ子と清佳の築く関係の真実は何なのか。「母であること」と「母であろうとすること」は同じものなのか、異なるものなのか。愛憎入り混じる母娘の関係は母性を育むのか、それとも阻害するのか。普通に考えれば愛は母性を育みそうだが、ルミ子と実母の関係はそうではない。一方で、ルミ子と義母の関係は最終的には非常に興味深い形に発展する。そこから考えられるルミ子と清佳の関係、さらにその先をどう想像するべきなのか。本作が我々に問うのはそこである。

 

ネガティブ・サイド

永野芽郁の力不足が顕著だった。『 マイ・ブロークン・マリコ 』で少し殻を破った感があったが、女の友情を体現することはできても、母の愛と憎しみを一身に受け止める役は演じきれなかったという印象を強く受けた。まだ女子校生あるいはOL止まりなのかな。箱入り娘のまま母親になってしまった戸田恵梨香に完全に食われてしまっていた。いや、テーマは母性であって娘性ではないので、抑えた、控え目な演技をしていたと捉えることもできる。であれば、トレーラーで母と娘の対立を煽るべきではない。これは宣伝・広告のマズさが本編の面白さを減じてしまった悪しき例だろう。

 

そもそも予告編は本作をミステリとして売っていたのではなかったか。「母の証言を信じないでください」、「娘の証言を信じないでください」という、立場によって事象の見え方、捉え方が違うというところが本作の肝と言えるほど大きくなかった。というか、女子高生が首を吊ったという事件を冒頭で映しておきながら、同時に教員として働いている永野芽郁を映してしまっては、ミステリとしての面白さ=女子高生は永野芽郁なのか、何が彼女を自死に追い込んだのかという疑問への興味がしぼんでしまう。トレーラーから普通に考えれば、死んだ女子高生は永野芽郁の同級生もしくはクラスメイトだろう。冒頭でいきなり「それは違います」と言われても・・・

 

母性にフォーカスするなら、夫の浮気やら何やらはばっさりカットしてもよかった。あるいは夫の浮気を「男の甲斐性」だと擁護する義母像をもっと強く打ち出すべきだった。2022年は昭和でいえば97年。完全に大昔だ。または甲斐甲斐しく義母を介護するルミ子だが、遺産は一銭も入らないということをもっと強調して、現在は血縁がなくても介護者に遺産が入るような法的根拠が整備されたという情報をサラリと挿入することもできたはず。母性というテーマをルミ子というキャラクター周辺に限定して描くことで、本当に現代に訴えるべきテーマがぼやけてしまったと感じる。

 

総評

トレーラーから『 白ゆき姫殺人事件 』のようなものを想像していたが、これが全然違った。予告編と本編が違うのは別に構わない。ただ、ミステリ要素を前面に出しておきながら、この作りでは納得できるものも納得できない。物語そのものも面白さやインパクトに欠ける。男性と女性で受け取り方が大きく異なる作品だと思うが、Jovian妻もあまり感銘は受けなかったようだ。もしもチケットを購入するのなら、高畑淳子や大地真央といった大ベテランの演技を堪能することに集中されたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Women are weak, but mothers are strong.

女は弱し、されど母は強しの意。出典はビクトル・ユーゴーの『 ああ無情 』らしいが、読んだのが大昔過ぎて覚えていない。シンプルだが、女も母も複数形にするのがポイント。そういえば数年前にバズった動画がある。ミステリではないが、ドンデン返しなら本作よりこちらの動画の方がインパクトは上だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 グリーン・ナイト 』
『 MEN 同じ顔の男たち 』
『 ホワイト・ノイズ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, サスペンス, ミステリ, 中村ゆり, 大地真央, 戸田恵梨香, 日本, 永野芽郁, 監督:廣木隆一, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画, 高畑淳子Leave a Comment on 『 母性 』 -トレーラーを観るなかれ-

『 ドント・ウォーリー・ダーリン 』 -トレイラーに(良い意味で)騙された-

Posted on 2022年11月23日2022年11月24日 by cool-jupiter

ドント・ウォーリー・ダーリン 65点
2022年11月19日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:フローレンス・ピュー ハリー・スタイルズ
監督:オリヴィア・ワイルド

『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』で鮮烈な青春映画を撮ったオリヴィア・ワイルドが、夫婦のサスペンス、あるいはミステリ風味の作品を送り出してきた。

 

あらすじ

夫ジャック(ハリー・スタイルズ)と幸せな結婚生活を送るアリス(フローレンス・ピュー)。夫の仕事は順調で、近隣の仲間たちとも良好な関係を築いていた。充実した日々を過ごすアリスだったが、次第に不可思議な現象に悩まされるようになり・・・



ポジティブ・サイド

これはジャンル分けが難しい。サスペンスのようでもあるし、ミステリのようでもある。おそらくスリラーに分類するのが正しいのだろが、なかなかそれを悟らせないストーリーテリングにはヤキモキさせられるものの、謎の正体が不明なため、それだけで緊張と興味が持続する。何を言っているのか分からないと思うが、本作はモヤモヤを楽しむ映画なのである。

 

幸せなカップルの女性を演じるフローレンス・ピューだが、『 ミッドサマー 』の印象は今も続いていて、「あ~、きっとトラウマ的な体験をするんだろうなあ」と思わせてくる。そう思わせて、実際にトラウマ的な体験をして、それできっちり観る側を満足させてくれるのだから大したもの。変なラブロマンスに出演するよりも、トニ・コレットの後継者路線を目指すべし。

 

どこか『 アス 』や『 アンテベラム 』を思わせる雰囲気の共同体で、夫たちが順調に仕事をしている留守を守る、夫の不在を存分に享受する妻たちの姿は美しい。にもかかわらず、徐々に流れていく不協和音。夫たちの仕事とは何か。消えた友人はどうなったのか。街そのものが何かおかしいことを訴えるアリスと、Don’t worry, darling 的な態度に終始する夫ジャックのすれ違いに、奇妙な共感をする夫婦は多いのではないか。本作の見所は、男性が「女性目線」に立ってフェミニズムを体現しようとしている様を、女性監督が「男性目線」から見えているであろうフェミニズムを体現しようという、一種の入れ子構造にある。

 

ネタバレになるので白字にするが、『 ラスト・ナイト・イン・ソーホー 』的な物語なのかな?と思わせておいて『 レミニセンス 』的な話だった。是非とも夫婦で鑑賞してほしい。これは、ある意味でとてもまっすぐな愛の物語だから。

 

ネガティブ・サイド

本作のトリックはそれなりにショッキングなものだが、フェアな伏線が張られていたとは言い難い。せいぜい中身のない卵くらいか。というか、あの飛行機は何?あれで『 アンテベラム 』を想起した人も多いと思うが、あの飛行機墜落はかなり強引な演出だった。

 

できれば全てのキャラたちの背景を語って欲しかった。カップルたちの奇妙な出会いの共通点などが語られ、街の核心に迫っていこうとするところで、そこには至らず。オリヴィア・ワイルドは監督としての職権乱用ではなかろうか。

 

ジェンマ・チャンのキャラクターも拍子抜け。「お、仁義なき女の戦いが勃発か?」というところで物語そのものがフェードアウト。ここは決着をつけてほしかった。

 

総評

非常に複雑なフェミニズム映画という印象。間違っても『 ミッドサマー 』的なノリで若者がデートで観るような映画ではない。夫婦、できれば共働き夫婦で鑑賞してほしい。特に日本は不景気でDINKSも増えている。本作が夫婦関係を見つめ直すヒントになるかもしれない。また。こうした世界が現実に到来する予感も漂っている。ユートピア=ディストピアという図式を、古い革袋に新しい酒という形で提示する意欲作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a shoulder to cry on

『 エンダーのゲーム 』でも紹介した表現。そこで泣くための肩という意味で、弱音や愚痴を聞いてくれる人の意味。もうすぐホリデーシーズンなので『 ラスト・クリスマス 』が聞こえてきたら耳を澄ましてみよう。Me? I wish I was a shoulder to cry on ♪♪♪

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・メニュー 』
『 ザリガニの鳴くところ 』
『 サイレント・ナイト 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, スリラー, ハリー・スタイルズ, フローレンス・ピュー, 監督:オリヴィア・ワイルド, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ドント・ウォーリー・ダーリン 』 -トレイラーに(良い意味で)騙された-

『 カラダ探し 』 -ホラーに徹せよ-

Posted on 2022年10月17日 by cool-jupiter

カラダ探し 40点
2022年10月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:橋本環奈 眞栄田郷敦 山本舞香 神尾楓珠 醍醐虎汰朗
監督:羽住英一郎

貯まったMOVIXのポイントを消費しようと、本作をチョイス。カラダを探すというコンセプトはなかなか面白いが、妙な青春映画要素は極力排除して、ホラーに徹すべきだった。

 

あらすじ

明日香(橋本環奈)は学校内で「私のカラダ、探して」という不気味な言葉を耳にする。その夜、「赤い人」から謎のLINEメッセージを受け取った明日香は、午前0時を迎えた瞬間、夜の学校にいた。そこには他にも5人のクラスメイトがいた。困惑する明日香たちの前に、「赤い人」が現れ、明日香たちを惨殺していく。しかし、明日香は死んだ瞬間、前日の午前7時に戻っていた。6人はこのタイムループから抜け出すために、カラダ探しに乗り出すが・・・

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

まあ『 ハッピー・デス・デイ 』から着想を得たのは間違いない。それもありだろう。元々、邦画は原作ありき。オリジナル脚本で『 いつか、いつも……いつまでも。 』のような駄作を生み出してしまうぐらいなら、一定の高評価を得た作品を換骨奪胎してしまうのも一つの手である。

 

赤い人の設定や造形は陳腐であるが、上半身と下半身で真っ二つになったりするなど、惨殺描写はまあまあ頑張っている。橋本環奈の変顔な死に顔もファンにはショッキングだろう。Jovianの隣の隣のうるさい高校生軍団はそのシーンでショックを受けていた。

 

ホラーの化物の定石通りに、赤い人は相当の筋力と運動神経の持ち主。それに知恵と工夫で対抗する展開はなかなか。また、ちょっとご都合主義だが、赤い人の第二形態もかなりの脅威。ちょっと毛色が違うが『 イット・フォローズ 』のように友人たちが力を合わせて化け物に立ち向かう展開というのは、青春ホラー映画というジャンルと相性が良いようだ。

 

エンドクレジットの後にも映像があるので、気になる人は席を立たないように。

ネガティブ・サイド

クリシェが満載である。もういい加減『 エクソシスト 』やら『 リング 』の幻影から自由になってもいいのではないか。ストーリーや設定はある程度パクってもいいが、クリーチャーが背面で這ってくる、井戸から腕が伸びてくるなどのシーンは見飽きた。

 

赤い人の襲撃を逃れつつ、カラダのパーツを探すという謎のミッションはスリリングだが、中盤で大いに中だるみしてしまう。特にロックンローラー作戦。赤い人を校内放送での爆音に反応させつつ、自分たちはトランシーバーで連絡を取り合うというのは great idea だ。学校という自分たちの文字通りのホームを有効活用できている。問題は、そこにホラーやサスペンスが生まれないこと。訳の分からん歌を聞かされて、順調にカラダを集めていっても、面白くもなんともない。

 

たとえば、ある時、ロックンローラー作戦が不発に終わり、全員があっさり殺される。なぜ?実は赤い人もループの中にあり、前の周までの記憶があって・・・という展開なら、それこそ知恵比べのスリルが生まれるし、ループするたびに新たなサスペンスが感じられる。

 

キャラクター設定にも甘さがある。高広が明日香の幼馴染であるなら、なぜ明日香がボッチになっているのを放置するのか。実は明日香がボッチになる原因となった噂の出どころは高広だった。罪悪感からそれを言い出せずにいたが、今度こそ自分が明日香を守ると高広は決意する・・・という展開なら、唐突なキスにも意味が生まれたのだが。

 

柄本佑が持っていた意味ありげなオカルト比較文化論の本も、せっかく「カラダ探し」に関するヒントが詰まっているはずの本なのに、なぜ明日香は読もうとすらしないのか。あるいはロックンローラー作戦を考案したクラスメイトにその本のことを話さないのか。

 

後は穴かな。あんな大穴、100%ふさがれていないとおかしい。

 

総評

劇場は5割ほどの入り、ほとんどは中高生。しかも、あちらこちらでペチャクチャとうるさい。さらにスマホの光もちらちらと劇場のかしこに見えた。やはり未成年の入れないレイトショーにすべきだったか。ストーリーや演出に弱点を残すが、それなりに面白いホラー要素も詰まっている。鑑賞するなら、若者が少ない日時を選択するのが吉だろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

search for ~

 

~を探すの意。よく search ~ と search for ~ は混同されるので例文丸ごとで覚えよう。

The police searched my car.
警察は私のクルマの中をあれこれと調べた。

The police searched for my car.
警察は私のクルマを探した。

村田兆治が空港で暴行に及んだのは、きっとカラダや荷物をあれこれ search されたのが気に食わなかったからだろう。Jovianはロッテファンであるが、村田の行動は擁護不可能だ。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ドライビング・バニー 』
『 秘密の森の、その向こう 』
『 グッド・ナース 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ホラー, 山本舞香, 日本, 橋本環奈, 監督:羽住英一郎, 眞栄田郷敦, 神尾楓珠, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画, 醍醐虎汰朗Leave a Comment on 『 カラダ探し 』 -ホラーに徹せよ-

『 死霊館 悪魔のせいなら、無罪 』 -拍子抜けもいいところ-

Posted on 2022年9月11日 by cool-jupiter

死霊館 悪魔のせいなら、無罪 20点
2022年9月11日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:パトリック・ウィルソン ベラ・ファーミガ
監督:マイケル・チャベス

『 死霊館 』シリーズ。一つも見たことはないが、「悪魔のせいなら、無罪」という副題に惹かれて近所のTSUTAYAでレンタルしてしまった。

 

あらすじ

心霊研究家のエド(パトリック・ウィルソン)とロレイン(ヴェラ・ファーミガ)のウォーレン夫妻は、悪魔に憑りつかれたせいで殺人を犯してしまったという青年アーニーの無実を証明するため、その呪いの実態を調査することになるが・・・

 

ポジティブ・サイド

子役の男の子はそれなりに迫力があったかな。

 

ベラ・ファーミガは良い年齢の重ね方をしていると感じた。

 

ネガティブ・サイド

こんなん、タイトル詐欺やん。悪魔のせいなら無罪という部分に惹かれて、『 エミリー・ローズ 』のような丁々発止のやりとりを期待していたのに、肝心の法廷部分は最後におまけ程度についてくるだけ。実際に悪かったのは人間ですというオチ。しかも無罪判決が出るわけでもなし。

 

冒頭の悪魔祓いのシーンも『 エクソシスト 』で見た構図の焼き直し。サメ映画が『 ジョーズ 』を超えられないように、悪魔祓い映画も『 エクソシスト 』を超えられないのか。白目むいたり、四肢を変な方向に曲げたりといった視覚的な演出以外を追求しようとは思わんのか。

 

その他のシーンもホラー映画の文法にあまりにも忠実すぎて、退屈になるだけ。ここはこけおどしだろう、ここはそろそろ来るな、という予感がほとんど全部的中する。多分、作り手も流れ作業で製作しているような気がする。それでも『 死霊館 』ユニバースの熱心なファンなら、キャラクターの development を楽しめるのかもしれないが、初見の人間ではストーリーも演出も全く楽しめない。

 

総評

ホラー+法廷サスペンスというテイストを期待していたのに裏切られた。和洋折衷の料理屋だと思って入ったら、ほとんど全部洋食で、最後の最後に抹茶アイスのデザートを供された感じである。ホラーの初心者にもホラーの愛好家にも勧められない。死霊館シリーズのファンだけが楽しめば良いというスタンスで作られた作品なので、それに該当しない人は近づくべからずだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

curse

呪い、または呪うの意。これをセンテンスの形で使うことはまずない。普通は “Curse you!” = 呪ってやる!=この野郎め!という意味合いで使う。というか、こんな表現を使えるなら、もう英語コミュニケーションの上級者だろう。 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, アメリカ, パトリック・ウィルソン, ベラ・ファーミガ, ホラー, 監督:マイケル・チャベス, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 死霊館 悪魔のせいなら、無罪 』 -拍子抜けもいいところ-

『 地獄の花園 』 -アクションをもっと真面目に-

Posted on 2022年7月16日 by cool-jupiter

地獄の花園 50点
2022年7月12日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:永野芽郁 広瀬アリス
監督:関和亮

劇場公開時にはスルーしたが、クーポン使用で近所のTSUTAYAから安く借りてくる。アクションが全体的に中途半端で、メインのキャラも脇役に食われてしまっていた。

 

あらすじ

ごく普通のOLである直子(永野芽郁)の会社では、猛者たちがOL界の覇権を求めて抗争を繰り広げていた。ある日、中途採用された法条蘭(広瀬アリス)と直子はひょんなことから意気投合。しかし、蘭は超武闘派のOLで、あっという間に三富士株式会社のトップに君臨する。以来、周辺企業のトップのOLたちとの抗争が絶えなくなり・・・

 

ポジティブ・サイド

OLの世界には昔も今もお局が存在する。ある意味、男性サラリーマン以上に権謀術数を駆使して権力闘争を繰り広げるのが、OLという生き物である。偏見と言うことなかれ。良くも悪くも、これが日本企業に勤める女性社員のすべてとは言わないまでも、多くに当てはまることなのである(Jovian妻談)。そのOLの生態を一昔前のヤンキー漫画に当てはめて描写したところに本作の面白さがある。

 

菜々緒や大島美幸のOL姿はそれだけで笑ってしまうし、川栄李奈のヤンキーでありながらOL的な気遣いを見せられるというギャップにも、やはり笑ってしまう。このヤンキーOLの仁義なき派閥抗争と、そこに突如現れる新勢力の広瀬アリス、その広瀬アリスの友人となる永野芽郁の掛け合いが物語を動かしていく。

 

他者との抗争=ヤンキー漫画における他校との抗争で、相手の頭を潰せば、そこを丸ごと傘下に加えられるということから、抗争がどんどんと拡大、過激化していく。その途中で出てくるトムソンというのは、やはりサムソンが元ネタだろうか。トヨタですら敵わない財閥にして超巨大企業である。そこの幹部OLを全員男性キャストで固めたのには賛否両論あるだろうが、Jovianはやや賛である。コメディなのだから、これぐらいアホなキャスティングは許容すべきであろう。

 

広瀬アリスの武者修行シーンは笑えるし、最後の最後でこれまでの数々の闘争を、ある意味ですべてなかったことにする価値観の開陳も悪くない。というか、この世界観をそのままに物語を閉じてはいかんだろう。その点で、アホ極まりない物語にも一応の決着がつけられ、話はきれいに閉じていく。頭を空っぽにして観る分には良い映画だろう。

 

ネガティブ・サイド

映画館で観た予告編をうっすらと覚えているが、ハッキリ言ってトレーラーの作り方を間違っている。永野芽郁のアクションシーンは全カットして、広瀬アリスが頂点を目指して闘っていくストーリーだと思わせるようにすべきだった。トレーラーのせいで「実は永野芽郁も強いんでしょ?」と観る側にバラしてしまうのは全く得策ではない。誰がトレーラー作ったの?そして、誰がそれを承認したの?

 

肝心かなめのアクションも迫力不足。ちょっとしたパンチや蹴りのたびにカットして、別アングルから別アクションを映していくカメラワークは、役者の鍛錬不足を何とか目立たないようにしたいという工夫なのだろうが、ここを追求しないことには真の面白さは生まれてこない。『 翔んで埼玉 』がクッソ面白かったのは、埼玉狩りのアクションやGACKTと伊勢谷友介の衝撃のキス、埼玉VS千葉の大軍勢同士の激突など、アホなシーンのリアリティをこれでもかと追求したからである。OL同士の喧嘩でも、もっと役者たちを追い込んでほしかったし、追い込むべきだった。別に『 アジョシ 』や『 悪女 AKUJO 』のようなクオリティは求めていない。ただ、真っ正面から魅せるアクションシーンがひとつぐらいはあってもよかったのではないか。

 

主要キャラであるはずの永野芽郁や広瀬アリスが遠藤憲一に完全に食われていた。もちろん演技合戦の中では『 ボーダーライン 』のベニシオ・デル・トロや『 ジュラシック・パーク 』のジェフ・ゴールドブラムのように、主役を食ってしまう脇役というのは存在する。しかし本作の沿道の悪目立ちは監督の演出力不足によるところが大であると思われる。キャスティングではなくディレクションの問題だろう。

 

総評

日本ならではのアイデアが詰まっているし、日本ならではの弱点も露呈している、何とも評価に困る作品。ということは、一部の人々から高評価を得て、一部の人々からは低評価を得やすい作品ということになる。要は、作り手と観る側の波長が合うかどうかである。男性視点からのOL社会を面白いと思うか、くだらないと思うか。観るかどうかは直感で決めるべし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Stop talking shit, you ugly whore!

「寝言こいてんじゃねーよ、ブス!」の私訳。聞いた瞬間の思いつきだが、実際にプロの翻訳者でも、案外こういう訳に落ち着くのではないかと思う。寝言を言う ≒ 馬鹿なことを言うなので、ここでは talk shit とした。悪口を言う、無礼・不愉快なことを言う、の意味である。ちなみに、こんな英語は実生活では絶対に使ってはならない。

 

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Posted in 国内, 映画, 未分類Tagged 2020年代, D Rank, アクション, コメディ, 広瀬アリス, 日本, 永野芽郁, 監督:関和亮, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 地獄の花園 』 -アクションをもっと真面目に-

『 ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 』 -拍子抜けの一作-

Posted on 2022年4月17日 by cool-jupiter

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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 40点
2022年4月9日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:エディ・レッドメイン ジュード・ロウ マッツ・ミケルセン
監督:デビッド・イェーツ

 

『 エイリアン 』、『 エイリアン2 』のせいで自分が一種の面白不感症になっているのか、それとも本作が純粋につまらないのか。ひょっとしたらその両方かもしれない。

 

あらすじ

闇の魔法使い・グリンデルバルド(マッツ・ミケルセン)は人間界支配の野望を露わにした。魔法動物学者ニュート(エディ・レッドメイン)はそれを阻止すべく、マグルの親友やその他の魔法使いたちと共にチームを組む。その過程で、彼は恩師ダンブルドア(ジュード・ロウ)の秘密を知ることになり・・・

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以下、ネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

個人的にはUKの俳優ではジェームズ・マカヴォイに次いでエディ・レッドメインが好きである。本作でも彼のチャーミングさは遺憾なく発揮されている。職業倫理を体現したかのような風貌は、まさに魔法動物学者。年上の役者が兄を演じても、エディ・レッドメインが弟を演じるなら文句はない。

 

グリンデルバルドもジョニー・デップからマッツ・ミケルセンに交代したが、こっちのほうが良い。ジョニー・デップはメイクが濃くなると名作率が高まる気がするが、グリンデルバルドの青白いメイクはいかにも中途半端だった。マッツ・ミケルセンのように素顔と表情で悪のオーラを醸し出せる役者の方がグリンデルバルドに向いている。不謹慎ながら、グリンデルバルドの演説とプーチン露大統領の思想を重ねてしまった。侵略戦争というのは、往々にしてこのような形で始まるものなのかもしれない。

 

待てば海路の日和あり。ジェイコブよ、良かったな。

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ネガティブ・サイド

まずタイトルのファンタスティック・ビースト=魔法動物の面からして弱い。エビとサソリを足して2で割ったようなヘンテコ生物は単なる comic relief だし、チレンだかキリンが真実を見抜くというのも設定としてパンチに欠ける。魔法動物のネタ切れ感が強い。

 

そもそも悪者のはずのグリンデルバルドが、正規の手続きに則って魔法省から無罪放免され、あろうことか魔法省トップの座を選挙で争うというのだから笑ってしまう。第一に、魔法の世界であるにも関わらず、マグルの世界と同じく選挙を行うということに違和感を覚える。いや、別に選挙するのは構わないが、ファンタビはハリポタ世界の延長線上というか、前日譚に当たるものではないのか?同じ世界観を共有しているのではないの?ならば選挙だ政治だ裁判だ戦争だなどという小難しい要素を抜きにして物語を紡いでほしかった。

 

そのグリンデルバルドを倒す作戦もよく理解できなかった。「相手は未来が見えるから」という理由で各々が無手勝流に動くのは作戦としてはありかもしれないが、観ている側もニュート達の行動が意味不明に映ってしまうという逆効果の方が大きいように感じた。

 

副題にある「ダンブルドアの秘密」というのも拍子抜け、かつガッカリする内容。まさかダブルドアとグリンデルバルドが『 君の名前で僕を呼んで 』のような関係だった・・・って、それが誰をハッピーにするの? bromance は否定しないが、もっと魔法世界特有の近畿に触れるような秘密はなかったのだろうか。

 

クリーデンスの出自とダンブルドアの家系図の問題も、今作でさらにこんがらかったように感じる。別に本シリーズの主人公がダンブルドアなら、別にこれで構わない。しかし、ニュートはどこにどう絡んでくるの?ニュートとティナの関係性の進展はなぜ描かれないの?鑑賞中に疑問が湧くばかりで、物語世界に入っていけなかった。

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総評

観終わってから、どこがどう面白かったのかを検討する時間が必要だった作品。一時的な面白不感症だった可能性が高いが、それがなかったとしても「面白い」と感じられたかどうか。それぐらい微妙な出来の作品である、というのが偽らざる本音である。ハリポタとの一番の違いは、ファンタビはビルドゥングスロマンになっていないところだろう。ニュートの成長物語というよりも、ニュートとティナの不器用なロマンスのイメージが強く、さらにはそのティナが本作ではほとんど登場しない。グリンデルバルドの強さもイマイチ伝わらず、シリーズとしては完全な中だるみだろう。まあ、次作も観るつもりではあるが。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Keep your head on a swivel.

swivelとは「さる環」のこと。何のことやら分からんという人は画像検索のこと。Swivel がどういう動作なのか、また劇中でどうニュートやテセウスが swivel していたか思い出していただけただろうか。現実には Keep your head on a swivel. = 周囲への警戒を怠るな、という慣用表現で使われることが多い。戦争映画や戦争ゲームでは結構聞こえてくる表現だが、文脈さえ正しければ日常生活で使っても全く問題はない。

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, エディ・レッドメイン, ジュード・ロウ, ファンタジー, マッツ・ミケルセン, 監督:デビッド・イェーツ, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 』 -拍子抜けの一作-

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