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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 監督:樋口真嗣

『 シン・ウルトラマン 』 -『 シン・ゴジラ 』には及ばず-

Posted on 2022年5月15日 by cool-jupiter

シン・ウルトラマン 60点
2022年5月14日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:斎藤工 長澤まさみ 西島秀俊
監督:樋口真嗣

ウルトラマンと聞いて胸が躍るのは1970~1980年代に少年時代を過ごした者が大半だろう。実際に劇場に来ていたのもJovianより少々上の世代と思しきオッサンとオバサンが多かった。

 

あらすじ

なぜか日本にだけ現れる謎の巨大生物「禍威獣」に対抗するため、政府は「禍威獣特設対策室専従班」を設立。班長の田村(西島秀俊)や神永(斎藤工)らが禍威獣撃退の任にあたっていた。ある時、謎の巨大外星人が地上に降り立ち、禍威獣を撃破する。ウルトラマンと呼称された謎の巨人の正体を探るため、禍特対に浅見(長澤まさみ)が派遣されてくるが・・・

 

以下、ネタバレあり

ポジティブ・サイド

映画の開始から空想特撮映画であることを強調する。赤地に白抜きの文字でウルトラマンと表示されれば、昔懐かしの空気が画面から漂ってくるのを感じ取られずにはいられない。庵野秀明や樋口真嗣といった特撮大好き少年だった大人が、少年時代に帰って作った作品だと感じられる。つまり、製作者側と波長が合うかどうかで、本作の評価はガラリと変わるだろう。Jovianはまあまあ面白いと感じたが、Jovian妻はほとんどずっと寝ていた。

 

面白いと感じたのは以下の3点。

 

第一に、『 シン・ゴジラ 』同様に日本政府が主体となって禍威獣を撃退しようとするところにリアリティが認められる。【現実(ニッポン) 対 虚構(ゴジラ)】ならぬ【現実(ニッポン) 対 虚構(禍威獣+外星人)】になっているところ。日本政府が現実の脅威に対抗できる能力を有しているかどうかは極めて疑わしいが「アホなのはトップ、現場では有能な人間が死に物狂いで頑張っている」という幻想がコロナ禍で生まれたことに本作は華麗に便乗することに成功している。

 

第二に、禍威獣ではなく外星人とのストーリーをメインに据えるという決断。これは是々非々ありそうだが、Jovianは是と取る。禍威獣メインのプロットでは『 シン・ゴジラ 』の二番煎じになりかねない。冒頭で次から次に出現する禍威獣を禍特対が知恵を絞って打ち破ることで、まずは人間側を上げておく。そこにザラブ星人やメフィラス星人といった頭脳派外星人を出すことで、知的サスペンスが生まれる。子どもはここで脱落させられるだろうが、本作の target audience はオッサンオバサン連中なのだから気にしてはいけない。特に山本耕史演じるメフィラス星人は、その硬軟取り混ぜた語り口が非常に印象的で、禍特対のメンバー以外では抜群の存在感を示した。

 

第三に、ゼットンをゼットン星人の兵器ではなく、光の星の最終兵器に設定転換したことには驚かされた。再放送で観ていた小学生Jovianですら、ウルトラマンがゼットンにボロ負けした時には「・・・・・・は?」となったものだ。リアルタイムで観ていた今の50代、60代の受けた衝撃はいかばかりだっただろうか。そのゼットンが、何と光の星の兵器なのだというからビックリ。GMKのキングギドラが護国聖獣・千年竜王という善性を帯びる設定よりも衝撃的だった。

 

ハヤタならぬ神永とウルトラマンの絆、人間同士の絆、そしてウルトラマンに頼りきるのではなく、対ゼットン作戦を世界の叡智を結集させて実現するという展開はオリジナルへのリスペクトに溢れており、個人的にも胸アツだった。

ネガティブ・サイド

マルチバースという言葉がゾフィー達から聞かれたが、『 ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス 』とは意味合いがずいぶん異なっていた。映画のスタート時に「シン・ゴジラ」のスーパーインポーズに割って入る形で「シン・ウルトラマン」と表示されていたが、これはマルチバースの中の2つのパラレル・ユニバースを示唆している?その割には、ゼットンをプランク・ブレーンに放逐しようとした時に、別宇宙ではなく時限のはざま的なところへ行ってしまった。マルチバースネタというのは便利な反面、何でもありを可能にしてしまうので、取り扱いには本当に注意を要すると思う。

 

長澤まさみの巨大化には度肝を抜かれたが、それをやる意味は薄かった。もちろんメフィラスの高度な知性と科学力のプレゼンテーションの一環だとは受け取れたが、それを映すアングルが意味不明。あんたら、童心に帰ってキャッキャッしながら作ってたんちゃうの?スケベ少年になってニヤニヤしながら作ってたのか?別に巨大化していない時でも、やたらと長澤まさみのヒップにズームインするショットが多いのは何故?コメディでもないのに自虐的なセリフを吐かせるのは何故?そこに必然性が全く見当たらなかった。

 

人間ドラマにも課題が残る。神永と浅見の噛み合わないバディ同士が、結局最初から最後まで噛み合わない。ウルトラマンを分析考察する任を与えられた浅見があっさりと「何も分からない」とお手上げになってしまうのは、コメディとしてはありだが、ドラマとしては無し。仕草に地球人と共通するものを感じるとか、闘い方に環境への配慮が見られるとか、何かしらの仕事はできたはず。それを知った神永が浅見の炯眼に心の中で敬意を表すような演出が少しでもあれば、拉致された神永を浅見が追跡・発見するシークエンスにもっと説得力が生まれただろう。

 

総評

賛否両論ありそうな作品だが、『 大怪獣のあとしまつ 』で憤慨させられた映画ファン、特に特撮ファンや怪獣ファンなら鑑賞しても損はしないはず。活動制限はあってもカラータイマーが無いなど、ウルトラマンらしからぬところもあるが、ウルトラマン愛に溢れていることは間違いない。続編製作の可能性もあるだろう。その時はバルタン星人てんこもりでお願いしたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Less is more.

過ぎたるは猶及ばざるが如し、に近い意味で使われる。辞書では Too much is as bad as too little. と出ていることが多いが、実際には Perhaps too much of everything is as bad as too little. と言われることが多い。これも冗長なので、やはり Less is more. が言いやすい。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, SF, 怪獣, 斎藤工, 日本, 監督:樋口真嗣, 西島秀俊, 配給会社:東宝, 長澤まさみLeave a Comment on 『 シン・ウルトラマン 』 -『 シン・ゴジラ 』には及ばず-

『 シン・ゴジラ 』 -ゴジラ映画の一つの到達点-

Posted on 2019年5月31日2020年4月11日 by cool-jupiter

シン・ゴジラ 90点
2019年5月30日 塚口サンサン劇場にて鑑賞(劇場鑑賞は通算8回目)
出演:長谷川博己 竹野内豊 石原さとみ 高良健吾 大杉漣
監督:樋口真嗣
総監督:庵野秀明

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タイトル発表時、シンの字の意味が色々と推測されていた。公開前の特番で松尾諭が「進」の字を当てていたのが印象に残っている。日本で大ヒットを記録し、海外で大絶賛と大顰蹙の両方を得た本作であるが、Jovianは傑作であると評価したい。

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あらすじ

東京湾内で謎の水蒸気爆発が発生。トンネル崩落事故や、船舶航行の停止、航空機の離着陸が停止されるなどの影響が出る中、原因は巨大不明生物であることが判明。その生物は川を遡上し、ついには東京都に上陸。甚大な被害を引き起こしていく。政府の取るべき対策は・・・

 

ポジティブ・サイド

≪重低音ウーハー上映≫および≪日本語字幕付き≫上映に行ってきた。そういえば、エアカナダの機内で英語字幕版も鑑賞していたんだったか。ブルーレイで3回鑑賞しているはずなので、通算では11回観たことになる。それでも2016年当時はテレビで「14回観た」とか「18回観た」とか、東京都内ではシン・ゴジラの感想を喋りまくれる喫茶店(的な店)が臨時オープンしたというようなニュースもあった気がする。それだけの熱量ある反応を生み出せる傑作であるとあらためて感じた。完全に時期外れなので、雑感レベルの落書きになるが、ご容赦を。

 

何よりも新ゴジラである。1954年のオリジナルの呪縛から解き放たれたと言うべきか、第一作を踏襲し、その上で乗り越えてやろうという気概を以って望んだ脚本家や監督はこれまでいなかったのだろう。庵野秀明はそれを希求した。そして異論は有ろうが、部分的にはそれを成し遂げた。戦争の爪痕や負の記憶が色濃く残る時代にゴジラという怪獣を送り込んだのと同様に、震災と津波、そして原発のメルトダウンにより大被害を被った2011年の記憶も生々しい時期に、ゴジラという怪獣が日本に現れたことには意味があるのだ。佐野史郎が震災直後に東宝の関係者に「作るなら今ですよね?」と進言したところ、「実はアメリカで作る話が先行しちゃってるのよ」と返されたという逸話を深夜番組で語っていたが、映画人の中にもゴジラのゴジラ性、すなわちゴジラは時代と切り結ぶ怪獣であるということをよくよく理解している方が存在することを知って心強く思った。

 

本作は震ゴジラでもあり、侵ゴジラでもあるだろう。不明な勢力からの侵略的行為に対して、この国の政府はどのように動き、またはどのような動きが取れないのかを、本作は徹底したリアリティ追求路線で明かしてしまった。はっきり言って『 空母いぶき 』製作者たち(原作者除く)は、本作を20回は観返して勉強した方が良い。

 

ハイライトのひとつであるタバ作戦の迎撃シーンも恐ろしい。何が恐ろしいかと言うと自衛隊の錬度。『 GODZILLA ゴジラ 』における米軍とは雲泥の違いだからである。いや、昭和から平成までのゴジラ映画において、自衛隊の攻撃の命中率はかなり悪かった。それは、子ども向けの怪獣映画だからでもあっただろう。しかし、本作の自衛隊は本物の自衛隊と見紛うばかりである。ヘリコプターの射撃やミサイル、戦車の砲火、長距離ミサイル、攻撃機からの爆弾(レーザー誘導弾なので当たり前の精度と言えるが・・・)が、一発たりとも外れないのである。ゴジラファンならばどうしても想像する、「もしもこれらの火力が、ゴジラをはずして、そこらの建造物に命中したら・・・?」と。おそらく武蔵小杉駅周辺はものの数分で瓦礫の山だろう。ゴジラだけに命中する火力の凄まじさを見せつけることで、ヤシオリ作戦のゴジラ固定プロセスが光る。この構成には唸らされた。

 

本作の描き方の特徴に両義性が挙げられる。「ゴジラを倒せ!」と「ゴジラは神だ!」と叫び合うデモ隊、日本政府に事前通告なく、いきなり攻撃機を送り込んでくる米政府に、日本の住民避難の時間の無さを心から憂う米大使館関係者、冷静沈着な矢口が激昂する瞬間に、ちゃらんぽらんにしか見えなかった泉が最も冷静さを保っていたこと、中盤のタバ作戦の迫真の戦闘描写&重厚なBGMと、終盤のヤシオリ作戦の漫画的戦闘描写&宇宙大戦争マーチ、陽のカヨコ・アン・パターソンに陰の尾頭ヒロミ、などなど枚挙にいとまがい。観るほどに発見がある。日本で大ヒット、海外ではおおむね酷評というのも、そう考えれば「らしい」結果と言えるのではないだろうか。

 

ネガティブ・サイド

ゴジラの血液サンプルは、蒲田さんから取れた。それは良い。しかし、鎌倉さんゴジラがタバ作戦を乗り越えて東京都心に侵攻、米軍のバンカーバスターで傷ついたゴジラは、背びれの一部を破損した。それも良い。しかし、その後にゴジラ自身が口から放射熱戦を大量に吐き出し、あたり一面を文字通り火の海にしてしまった。その時に、背びれ表面および中の血液も蒸発してしまうはずでは?自衛隊員のすぐそばにかなりの血液まみれの肉片が背びれから剥離して落ちてきたのは、やや不可解であった。

 

もう一つ、素人でも気になったのが鎌倉さんゴジラを上陸直前まで探知できなかったこと。現実の海上自衛隊や海上保安庁が総力を以ってすれば、易々と捕捉できるはずだ。『 ハンターキラー 潜航せよ 』を思い返すまでもなく、水は空気よりも音をよく伝える。日本中の潜水艦およびソノブイをフル稼働させれば、上陸前に文字通り水際で作戦展開できたはずだ。リアル路線の中でも、ここだけはもう少し上手い言い訳を思いついて欲しかったと切に願う。

 

総評

今さらではあるが、本作は傑作である。2016年の日本アカデミー賞は本作と『 怒り 』の一騎打ちになると多くのメディアが予測していたが、蓋を開けてみれば本作の圧勝であった。それもむべなるかな。ゴジラファンのみならず、小出恵介やピエール瀧と再会したい映画ファンは、本作を観ると良い。というのは冗談であるが、シン・ゴジラは日本映画史に確実に残る一本である。怪獣というだけで敬遠するなかれ。本作を堪能できるかどうか。それが子どもと大人を見分けるためのリトマス試験紙になるはずである。

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