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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 東出昌大

『 Winny 』 -日本の警察と司法の闇-

Posted on 2023年3月26日2023年3月26日 by cool-jupiter

Winny 65点
2023年3月19日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:東出昌大 三浦貴大
監督:松本優作

超絶繁忙期につき簡易レビュー。

 

あらすじ

ファイル共有ソフト「Winny」を開発した金子(東出昌大)は、違法コンテンツの蔓延を目論んでいたという名目で警察に逮捕されてしまう。弁護士・壇(三浦貴大)は金子の無罪を証明するべく精力的に働くが・・・

 

ポジティブ・サイド

東出は『 聖の青春 』で羽生を演じた時と同じく、自分の色を出すのではなく、他人の真似に徹した時の方が良い芝居をする。役者としてはどうなんだと思うが。三浦貴大は良い感じのオッサンになってきた。人権派の弁護士ではなく、信念派の弁護士とでも言おうか。著作権無視で違法コンテンツを扱う者たちをバッサリと断罪する姿勢は現実の弁護士っぽい(というか現実の弁護士がモデルやね)。法廷闘争が繰り広げられる中で、金子と壇の二人が一種の camaraderie を育んでいく様は時に微笑ましい。

 

『 電車男 』と同様に、名もなき2chの支援者たちの声が感動を呼ぶ。

 

1億パーセント冤罪である袴田事件が再フォーカスされている今、多くの人に観てほしい作品。

 

ネガティブ・サイド

ところどころで説明台詞が入るのが極めて不自然。弁護士仲間がWinnyの製造者責任の有無を論じるのもおかしい、弁護士事務所に勤めている女性が「幇助って何ですか?」と尋ねるのも極めて奇異に映った。

 

Winnyが未来を先取りした技術であるという描写が弱かった。梅田望夫風に言えば、金子勇は「ネットのこちら側」と「ネットのあちら側」を結び付けた人なのだが、そのあたりの描写が欲しかった。そうすれば、日本の警察や司法がいかにテクノロジーに疎く、また日本社会全般がいかに進歩に取り残されてきたかが浮き彫りになり、本作の持つ社会批判のメッセージもさらに際立ったことだろう。

 

総評

本件は大メディアよりも夕刊フジや日刊ゲンダイ、さらにネットで情報をインプットしていたと記憶している。当時の世相が見事に反映されていた。大阪府警を定年退職した義理の父親は最後は巡査長だったらしいが、全然出世しなかったということは汚職警官ではなかったのだろう。警察と司法の闇はなかなかに深い。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

file-sharing

ファイル共有の意味。heart-warmingは日本語にもなっているが、英語は名詞の後に現在分詞(~ing)をくっつけて新たな形容詞を作ることができる。

jaw-dropping = あごが落ちるような = びっくりするような
heart-stopping = 心臓が止まるような = ショッキングな
nail-biting = 爪を噛むような = ハラハラドキドキで不安になるような

などが会話などで使えるようになれば英語中級者である。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 シャザム! 神々の怒り 』
『 ロストケア 』
『 search #サーチ2 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, C Rank, 三浦貴大, 伝記, 日本, 東出昌大, 監督:松本優作, 配給会社:KDDI, 配給会社:ナカチカLeave a Comment on 『 Winny 』 -日本の警察と司法の闇-

『 BLUE ブルー 』 -生涯一ボクサー-

Posted on 2021年4月19日 by cool-jupiter

BLUE ブルー 70点
2021年4月17日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:松山ケンイチ 東出昌大 木村文乃 柄本時生
監督:吉田恵輔

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210419030904j:plain

『 銀の匙 Silver Spoon 』の吉田恵輔が監督および脚本も務めた作品。『 アンダードッグ 』と同じく、ボクサーの影の部分を直視している点に好感が持てる。Jovianはボクシングは多分1000試合ぐらい観ているが、吉田監督も結構なボクシング通なのではないかと感じた。生涯一書生をもじって生涯一捕手と言ったのは故・野村克也だが、生涯一ボクサーという生き方があってもよいだろう。

 

あらすじ

瓜田(松山ケンイチ)はボクシングへの愛情と情熱は人一倍だが、負けてばかりのプロボクサー。後輩の小川(東出昌大)は日本タイトルマッチを射程に入れ、小川の女友達の千佳(木村文乃)とも結婚を視野に入れた交際をしていた。そんな時、ボクシングをやってる感を出したいという楢崎(柄本時生)がジムに入門をしてきて・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210419030922j:plain

ポジティブ・サイド

松山ケンイチの役への没入感が素晴らしい。ボクシングジムにはこういう人が結構な確率でいる。ボクシングはマイナー過ぎて例えば難しいが、元楽天監督の平石洋介タイプとでも言おうか、選手としてはイマイチでも野球への情熱や競技を勉強する心、同門の仲間とのコミュニケーション能力がずば抜けて高いタイプと言えば伝わるだろうか。縁の下の力持ちで、ジムの風景に溶け込んでいる。いても気が付かないが、いなくなると気が付くタイプ。こういうボクサーはちらほらとだが確実に存在している。日本の9割のボクシングジムの経営は、昼間にやってくるボクササイズのおばちゃんたちによって支えられているが、そんなおばちゃん連中を邪険に扱う会長も、あの年代ならリアルに存在している。なんだかんだでこのジムが成り立っているのは瓜田のおかげなんだなということが理解できる。

 

では、なぜそんな好青年の瓜田がボクシングを始めたのか?そして、負け数ばかりを積み重ねながらもボクシングを続けているのか?その事情が紐解かれていく過程は、心温まる友情物語でもありながら、人間の心のダークサイドが垣間見える展開でもある。このあたりが本作を単なるスポコン友情物語ではなく、リアルな人間ドラマにしている要因である。松山ケンイチの演技力のなせる業である。

 

ボクシングシーンもかなり研究されているなという印象。ボクシング映画における試合のシーンは、どれもこれも現実なら即TKOになっている、あるいはタオルが投入されるような描写が多い。本作も例外ではない。では、どこに感銘を受けたかというと、瓜田と小川の二人だけの作戦会議および練習シーン。瓜田がアッパーを推奨する中で、小川は左フックを提案する。この左フックはおそらくモリソンvsラドックでのモリソンの左フックのパクリ、または井上vsマロニーでの井上の左フックのパクリだろう(ここでいうパクリとは、そこから多大なるインスピレーションを得たものという意味である)。吉田監督がボクシング通であると断言できる根拠がここにある。興味のある向きはYouTubeなどで検索されたし。

 

この二人プラス千佳だけでも成立するストーリーに、柄本演じる楢崎が入ってくること瓜田という男の光と影の部分がより鮮明になっている。ボクシングはある程度練習すると本当に強くなれるし、本当に強くなったと実感すると、もうやめるにやめられないものだ。ヘタレの楢崎がだんだんと強さを手に入れていくサブプロットは、そのまま瓜田が過去にたどった道だと思えるし、楢崎が味わった試合の充実感は、それこそ瓜田が味わった充実感と同じものだったはずだ。ボクサーという生き物は、栄光も金も勝利も求める生き物だ。けれど本当に求めているのは完全燃焼すること。『 あしたのジョー 』風に言えば、真っ白に燃え尽きることだ。楢崎の充実の表情からはそれが如実に伝わってきたし、敗戦後に部屋でひとりコンビニ弁当をほうばる瓜田からは、燃え尽きることができなかった自分への悔恨の念が溢れていた。このコントラストの鮮やかさよ。

 

主人公が栄に浴さないタイプのボクシング映画としては、近年の邦画では『 アンダードッグ 』と双璧である。生きる意味、自分が何者で何をすべきかが問い直されつつある時代だからこそ、多くの映画ファンに見てもらいたいと思う。

 

ネガティブ・サイド

ボクサーはどうしても脳へのダメージが避けられないが、小川にパンチドランカー症状を出すのが性急に過ぎたと思う。日常生活でも仕事でもあれだけ小さなミスやら物忘れを繰り返していて、ジムで会長その他のトレーナーやボクサーが気が付かないというのは腑に落ちない。もしくは、瓜田がジムで小川の異変に気づいていながら、あえてそれに目をつぶるなどの描写があれば良かったのだが。

 

劇中のとある試合でのレフェリーが介入してくるタイミング、およびドクターストップの方法が荒唐無稽であった。あれだけ猛ラッシュをかけていて、そこでドクターチェックを入れるレフェリーなど見たことがないし(レフェリー役に福地使うのはやめようぜ、邦画界よ)、傷を見た瞬間に試合を止めるドクターというのも一度しか見たことがない。その一度も、まぶたが深く切れすぎて眼球が一部だけだが露出してしまっているケースだった。普通はタオルやら何やらでいったん止血して、それでも血が止まらない場合や、またはふさがっている方の目が見えているかどうかをチェックしてからストップの判断をするものだ。よくできたボクシング物語なのにここだけ急に非現実的だった。

 

後はリング禍の描写かな。急性硬膜下血腫だと思うが、プロボクサー未満の二人をスパーリングさせるのに、トレーナーやら会長がまともに注意を払っていないのは、ボクシング関係者が見たら、頭を抱えることだろう。普通、あれだけきれいに顔面に入ったり、あごがきれいにポーンと跳ね上がったら、そこでスパーは絶対に中止だろう。楢崎の因果にリング禍は不要。マウスピースをつけずになめてかかってきた相手の前歯を折るぐらいで良かったのでは?

 

総評

いつの頃からか世の中は勝ち組と負け組に分断されるようになってしまった。経済的な成功や人間関係の充実=勝ち組とされがちな世の中に「それだけが答えではない」と言い放つ作品の登場を心から歓迎したい。ボクシングを知っている人も知らない人も、自分が何をすべきか知っている人も知らない人も、本作からは必ずなにかしらのインスピレーションを得られることだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

retire

引退する、の意。引退させる、という他動詞で使われることもある。ボクサーの多くは引退を余儀なくされる。自分から引退できるボクサーは果報者である。ただし、現役復帰(=unretire)する選手が多いのもボクシングの特徴と言える。元プロ野球&MLB選手だった新庄剛志がトライアウトを受ける前にも英語メディアでは unretire が使われていた。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 日本, 木村文乃, 東出昌大, 松山ケンイチ, 柄本時生, 監督:吉田恵輔, 配給会社:ファントム・フィルム, 青春Leave a Comment on 『 BLUE ブルー 』 -生涯一ボクサー-

『予兆 散歩する侵略者 劇場版 』 -黒沢および東出史上二番目の出来か-

Posted on 2019年5月4日 by cool-jupiter

予兆 散歩する侵略者 劇場版 50点
2019年5月3日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:夏帆 染谷将太 東出昌大 岸井ゆきの
監督:黒沢清

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190504101957j:plain
率直に言わせてもらえば、黒沢清監督は駄作メーカーだ。『 CURE 』以外に、標準レベルより上に達している作品は無いと言わせてもらう。東出も、正直なところ大根役者だと思っている。彼が最高の演技を見せたのは、自分自身の色を出そうとせず、ある意味で羽生善治の物まねに徹した『 聖の青春 』だった。本作はそんな二人の久々のヒットだと評したい。

 

あらすじ

悦子(夏帆)は、同僚のみゆき(岸井ゆきの)の「幽霊が見える」という相談を受ける。困惑しつつも、宿を提供する悦子だが、みゆきは悦子の夫、辰雄(染谷将太)に対しても異常な反応を見せる。不安を覚えた悦子は、夫の勤める病院にみゆきを連れていくが、そこにいた新任の外科医、真壁(東出昌大)に悦子はただならぬ何かを感じ取り・・・

 

ポジティブ・サイド

『 散歩する侵略者 』の不可解な点に、長澤まさみを妻に持つような男が浮気をするのか?というものがあった。まあ、男女、夫婦の仲には色々あるが、浮気を疑っていた夫とやりお直すチャンスをそこに見出す妻、というのも個人的にはリアリティを感じなかった。本作にはそうした要素はない。ちょっと歪な夫婦の形がそこにあるだけである。これならば許容できる。

 

夏帆のキャラが良い。マイケル・クライトンの小説『 アンドロメダ病原体 』でも、一部のキャラが感染を免れたように、宇宙人の概念泥棒が通用しない地球人個体というのは、非常にリアリティのある存在である。本編の長澤まさみは、個体として特殊なのか、それとも抱いていた愛の概念が特殊なのか、今一つ判断ができなかった。今回の、特殊な個体の存在を描写するというのは、良い試みであると言えよう。

 

東出も中盤まではいつもの東出なのだが、最終盤に魅せる。『 散歩する侵略者 』の長谷川博己が爆撃を食らった後に文字通り人間離れした動きを見せたのと同じような動きを見せる。また、概念を盗む際にまばたきを一切しなくなるというのも、『 ゴジラ FINAL WARS 』のX星人ネタではあるが、キャラを立たせる要素として機能していた。東出は演じるよりも真似をする方が良い仕事をする。本作では久々に良い東出を見た気がした。

 

本編では宇宙人が動物に乗り移りながら最終的に人間に寄生し、奇妙な装置を作り上げて、本隊と交信していたが、本作ではより直接的な描写を見せる。こちらの方が感覚的に分かりやすい面もあり、これはこれでありだと思えた。

 

宇宙人同士のコミュニケーションの噛み合わなさ加減や、支配-被支配の関係の不気味さ、また実質的に3人しか出てこなかった本編とは異なり、こちらはそこかしこに宇宙人のガイドがいるのではないかと予感させるサスペンスフルな作りになっていて、観る側の想像力をより喚起させてくれる。個人的にはこういう構成も好みである。

 

ネガティブ・サイド

染谷将太の右腕ネタは不要だったかもしれない。どうしたって『 寄生獣 』を連想する。そうしたメタなネタを取り入れるのならば、監督や原作者、他キャストなどに何らかの共通点がある時だけにしてもらいたい。

 

同じく染谷将太演じる辰雄があまりにも人間的すぎる。概念を盗むターゲットを選ぶのに、バックストーリーは必要だったのだろうか。ほんのちょっとした違和感の積み重ねが不安やサスペンスを盛り上げてくれるのだが、観る側が共感してしまうようなエピソードを放り込んできては、「概念」を盗むという非常に奇抜なアイデアの良さが損なわれてしまうではないか。彼我の思考にはどうしようもない違いがある、というところが散歩する侵略者の特徴なのだから、そんな侵略者に共感を覚えるような要素は極力排除すべきだと個人的には考える。

 

また低予算だったためか、全体的な作り込みにしょぼさを感じる。逃げ惑う人々のショットがわずか一つだけ、時間にして2秒程度というのはいかがなものか。また、『 シン・ゴジラ 』とまでは言わないが、都市部でグリッドロック現象が起きているような描写も必要だろう。テレビやラジオ放送の声にも緊迫感が足りず、侵略の予兆を感じ取るのが難しかった。

 

総評

スピンオフというよりもリメイクまたはリブート的なもののように感じられた。スピンオフならば、本編に登場した警察官もしくは医療従事者たちの視点からストーリーを捉え直すようなものであるべきだろう。ただ、『 散歩する侵略者 』と本作の両方を鑑賞することで、物語の理解が深まったり、異なるものが見えてくるのも事実である。本編が気に入ったという人ならば、鑑賞して損をすることは無いだろう。

 

Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, D Rank, SF, 夏帆, 岸井ゆきの, 日本, 東出昌大, 染谷将太, 監督:黒沢清, 配給会社:ポニーキャニオンLeave a Comment on 『予兆 散歩する侵略者 劇場版 』 -黒沢および東出史上二番目の出来か-

『ビブリア古書堂の事件手帖 』 -シリーズ化を狙うなら、監督と脚本の交代が必須-

Posted on 2018年11月8日2019年11月22日 by cool-jupiter

ビブリア古書堂の事件手帖 30点
2018年11月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:黒木華 野村周平 成田凌 夏帆 東出昌大
監督:三島有紀子

f:id:Jovian-Cinephile1002:20181108004836j:plain

『 幼な子われらに生まれ 』の三島有紀子監督作品ということで期待をしていたが、裏切られた。はっきり言って、脚本の時点で失敗作になると予見できていなければおかしい。何か監督オファーを断れない事情でもあったのか。それとも自ら手を上げたものの、スタジオからこの脚本を使うように圧力があったとでも言うのだろうか。

 

あらすじ

五浦大輔(野村周平)は祖母の遺品整理をしている最中に、夏目漱石直筆の署名入りと思しき『 それから 』を見つける。それは、彼が小さな頃に手に取ったことで、祖母の勘気を被り、二発も殴られたきっかけになった本だった。鑑定のためにビブリア古書堂を訪れた大輔は、若き女店主・篠川栞子(黒木華)に出会う。物静かで陰に籠った感のある栞子はしかし、本については並々ならぬ知識と愛着を持っていた・・・

 

ポジティブ・サイド

黒木華は称えねばならない。楚々として、そこはかとない色気を感じさせながらも、どこか無防備で、だからこそ守ってあげたいと思わせる原作の雰囲気が醸し出せていた。ボソボソと話はするが、決して訥々とは語らず、社交面に弱点を抱えているものの、頭脳の明晰さは随一というキャラであることを演技で証明した。

 

また、大輔の祖母の若い頃を演じた夏帆。『 ピンクとグレー 』あたりから本格的にベッドシーンもこなし、『 友罪 』ではAVやレイプシーンにも取り組むなど、役者としての成長と充実を感じさせる。桜井ユキもそうだが、ラブシーンをこなせる女優には敬意を払わねばならない。次は広瀬アリスあたりかな?

 

ネガティブ・サイド

あまりにも原作各話の扱いに差がありすぎる。三島監督は原作を読まなかったのだろうか。いや、そんなことはあるまい。原作小説のみならず、必要とあらば漫画やテレビドラマ版(剛力は論外、演技力云々ではなく似ていない。オールデン・エアエンライクとハリソン・フォードの似ていなさ加減よりも、篠川栞子と剛力彩芽の似ていなさ加減の方が遥かに大きい)ですらチェックしているはずだ。

 

栞子の博識っぷりを引き出すためには、彼女の本に対する知識を様々な角度から様々な方法で描写する必要がある。通常の2D映画では不可能だが、嗅覚を使うシーンは面白いと思った。が、そのことをもう少し明示的に示す必要もあった。本シリーズの面白さは、栞子は本にとってのシャーロック・ホームズもしくはハンニバル・レクター博士か、とこちらに思わせるだけの静かな迫力にある。決して、カーチェイスやアクションにあるのではない。そのアクションでも大輔に見せ場は無し。というよりも、あのタイミングでこうした事件が起きるなら、犯人は必然的にこいつしかあり得ない、という論理的な思考ができないのか。そもそも警察が存在しない alternate reality での物語なのか、これは?

 

総評

黒木華と夏帆以外に見るべきものが無かった。そんなところでそんな映像美を演出する意味があるのか?というシーンも多く、キャラクターだけではなく映画製作者側の意図や行動原理も不明なところが多い。黒木と夏帆のファン以外には正直、鑑賞はきついだろう。どこか嫌な予感がしたので無料鑑賞クーポンを発行したが、その勘は正しかった。鑑賞する場合にはモーニング・ショーか、レイト・ショーで。正規のチケット代は払うべきではない。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, E Rank, ミステリ, 夏帆, 成田凌, 日本, 東出昌大, 監督:三島有紀子, 配給会社:20世紀フォックス映画, 配給会社:KADOKAWA, 野村周平, 黒木華Leave a Comment on 『ビブリア古書堂の事件手帖 』 -シリーズ化を狙うなら、監督と脚本の交代が必須-

OVER DRIVE

Posted on 2018年6月3日2020年1月10日 by cool-jupiter

OVER DRIVE 60点

2018年6月2日 MOVIXあまがさきにて観賞
主演:東出昌大 新田真剣佑 森川葵 北村匠海
監督:羽住英一郎

各場面は面白い。しかし、一つの繋がったストーリーとして見ると、完成度の低さというか編集の荒さというか、統一されていないという印象を強く受ける。また、主役が東出なのか真剣佑なのか、それがはっきりと確信できたのはエンドクレジットだった。色々な意味で評価の別れる作品になると思われる。

気性の荒い、怖いもの知らずの弟にしてドライバーである直純(真剣佑)と、寡黙にして真摯なメカニックの篤洋(東出昌大)。兄弟とは思えないほど、ある意味でビジネスライクな距離でラリーに臨むその関係性の背景には、幼馴染の女性の存在があった。はっきり言ってありがちな話すぎて、いつ、何が何故、どのようにして起こったのか、ということを観客として早く知りたい、という気持ちになれなかったのが大きな問題の一つ。つまり、この映画のテーマは兄弟の和解と再生の話なのか、それとも『シン・ゴジラ』や『グッドモーニングショー』のような、ドライバーやメカニックのリアリティを映し出すお仕事ムービーなのか、そこが最後まではっきりしないのだ。例えば、冒頭すぐに、若い兄弟が拳を合わせるシーンがあるのだが、そこで2人の表情は映し出されない。最終レースの直前、トラブルを乗り越えた兄弟が再び拳を合わせる感動的なシーンがあるのだが、そこで直純が初めてと言っても良い、穏やかで静かで、それでいて力強さを感じさせる笑顔を見せる。無邪気にお互いを信頼し合えた頃に戻れたことを実感させるお涙頂戴ポイントなのだが、肝心の仲睦まじい頃の兄弟の描写が不足しているために、個人的にはイマイチ乗れなかった。

また、お仕事ムービーとして見た時、モータースポーツというのはある意味で究極のチームスポーツなのだから、全体の尺をもう5分伸ばして、チームのメカニック全員に何らかの見せ場を用意するべきだった。例えば、東出が森川葵演じるマネジメント役に開発中のターボチャージャーの仕組みやスペックを専門用語を遠慮会釈なく交えながら説明するのと同じような場面を全員に与えてやって欲しかった。そうした描写を以後ほとんど加えなかったせいで、森川自身がラリー担当の仕事に全力を尽くそうと思えるきっかけが、東出にちょっと優しくされたことだけであるかのように、つまりとても皮相的に映ってしまった。またお仕事ムービーであるならば、森川のキャラ自身のプロフェッショナリズムも盛り込むべきだったが、これは見事に失敗。はっきり言って、会社の仕組みや仕事の難しさを舐めている若造にしか見えない場面があり、さらにカーパーツが飛び交い、部外者がマシンに触れるだけでも失格になってしまうようなピットの場面でもスカートをはいているというアマチュア精神。本来なら東出もしくは吉田鋼太郎のキャラクターに叩き出されても文句は言えないはずなのだが・・・ また、仕事に本当に焦点を当てるのなら、ライバルチームのドライバーの北村匠海のトレーニングシーンやマシンを整備するシーンなども、ほんの一瞬で良いので取り入れるべきだった。インタビューで真剣佑が切れてしまうシーンがあるのだが、そうした対照性の描写が一切ないために、直純というキャラがただの癇癪持ちに堕してしまう瞬間があるのが残念であった。

ことほど然様に軸が定まらない映画である。しかし、レースの描写はCG全開のシーンを除けば、非常に良く練られているし、作られている。安易にスーパードライビングテクニックを使うこともなく、アクシデントをデ・パルマ・タッチで不必要に大袈裟に描くこともしなかった。ドライバーの受ける重圧も描かれるし、ナビゲーターの渋さや縁の下の力持ち振りはしっかりと伝わってきた。そこは評価しなくてはならない。深く考えながら見ると粗が目立ってしまうが、各場面ごとの盛り上がりに上手く乗れれば、かなり楽しめる作品だろう。観る人を選ぶ映画であると言える。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, C Rank, アクション, 新田真剣佑, 日本, 東出昌大, 監督:羽住英一郎, 配給会社:東宝Leave a Comment on OVER DRIVE

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