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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ベラ・ファーミガ

『 死霊館 悪魔のせいなら、無罪 』 -拍子抜けもいいところ-

Posted on 2022年9月11日 by cool-jupiter

死霊館 悪魔のせいなら、無罪 20点
2022年9月11日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:パトリック・ウィルソン ベラ・ファーミガ
監督:マイケル・チャベス

『 死霊館 』シリーズ。一つも見たことはないが、「悪魔のせいなら、無罪」という副題に惹かれて近所のTSUTAYAでレンタルしてしまった。

 

あらすじ

心霊研究家のエド(パトリック・ウィルソン)とロレイン(ヴェラ・ファーミガ)のウォーレン夫妻は、悪魔に憑りつかれたせいで殺人を犯してしまったという青年アーニーの無実を証明するため、その呪いの実態を調査することになるが・・・

 

ポジティブ・サイド

子役の男の子はそれなりに迫力があったかな。

 

ベラ・ファーミガは良い年齢の重ね方をしていると感じた。

 

ネガティブ・サイド

こんなん、タイトル詐欺やん。悪魔のせいなら無罪という部分に惹かれて、『 エミリー・ローズ 』のような丁々発止のやりとりを期待していたのに、肝心の法廷部分は最後におまけ程度についてくるだけ。実際に悪かったのは人間ですというオチ。しかも無罪判決が出るわけでもなし。

 

冒頭の悪魔祓いのシーンも『 エクソシスト 』で見た構図の焼き直し。サメ映画が『 ジョーズ 』を超えられないように、悪魔祓い映画も『 エクソシスト 』を超えられないのか。白目むいたり、四肢を変な方向に曲げたりといった視覚的な演出以外を追求しようとは思わんのか。

 

その他のシーンもホラー映画の文法にあまりにも忠実すぎて、退屈になるだけ。ここはこけおどしだろう、ここはそろそろ来るな、という予感がほとんど全部的中する。多分、作り手も流れ作業で製作しているような気がする。それでも『 死霊館 』ユニバースの熱心なファンなら、キャラクターの development を楽しめるのかもしれないが、初見の人間ではストーリーも演出も全く楽しめない。

 

総評

ホラー+法廷サスペンスというテイストを期待していたのに裏切られた。和洋折衷の料理屋だと思って入ったら、ほとんど全部洋食で、最後の最後に抹茶アイスのデザートを供された感じである。ホラーの初心者にもホラーの愛好家にも勧められない。死霊館シリーズのファンだけが楽しめば良いというスタンスで作られた作品なので、それに該当しない人は近づくべからずだ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

curse

呪い、または呪うの意。これをセンテンスの形で使うことはまずない。普通は “Curse you!” = 呪ってやる!=この野郎め!という意味合いで使う。というか、こんな表現を使えるなら、もう英語コミュニケーションの上級者だろう。 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, アメリカ, パトリック・ウィルソン, ベラ・ファーミガ, ホラー, 監督:マイケル・チャベス, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 死霊館 悪魔のせいなら、無罪 』 -拍子抜けもいいところ-

『 囚われた国家 』 -Rise up against all odds-

Posted on 2021年1月30日 by cool-jupiter

囚われた国家 65点
2021年1月27日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジョン・グッドマン ベラ・ファーミガ アシュトン・サンダース ジョナサン・メジャース
監督:ルパート・ワイアット

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210130142443j:plain
 

ディストピアSFはJovianの好物ジャンルの一つ。アメリカの大統領もきっちりと入れ替わったところで、アメリカ人の意識の一面を映し出しているであろう本作を近所のTSUTAYAでピックアウトしてきた。

 

あらすじ

地球が異星人に統治されるようになって9年。伝説的な活動家の兄を持つガブリエル(アシュトン・サンダース)は、市民集会に現れる“統治者”に一矢報いるために爆弾攻撃を計画するレジスタンスのメンバーたちの動きに関わっていくことになる。ガブリエルの父のかつての同僚、刑事マリガン(ジョン・グッドマン)はそんなガブリエルを常に注視しており・・・

 

ポジティブ・サイド

H・G・ウェルズの『 宇宙戦争 』の頃から、エイリアンが地球へ侵攻してくる物語はカズ仮なく量産されてきた。だが、本作は冒頭のエピローグ部分で人類が敗北して、エイリアンの統治下に入ることになったということ極めて端的に描写した。本筋は、エイリアン統治に馴染んでしまった世界から始まるところがユニークな点である。

 

面白いと感じるのは、異星人、劇中の言葉を借りれば“統治者”の元で生きる者はますます富み栄え、そうではないものはとことん落ちぶれていくということ。なんのことはない。ネイティブアメリカンとヨーロッパからの移民の関係を、アメリカ人と宇宙人に置き換えただけである。つまり、アメリカ人にも自分たちが侵略者であり、自分たちの政治が虚飾であるという意識がはっきりと芽生えてきたということだろう。アメリカの作るSFはひたすら宇宙、つまりは上を目指すばかりだったが、本作では地下、つまりは下を目指すことが物語上で大きな意味を持っている。

 

他にも、アメリカ映画お得意のヒーロー信奉、すなわち一個人の英雄的な活躍により戦局を一気にひっくり返すような展開も、本作では見られない。本作はスパイ映画であるが、『 ミッション・インポッシブル 』や『 007 』のような超人の物語ではなく、圧倒的な強者の目を何とかかいくぐり、協力し合って目的を達成せんとする弱者の連帯の物語でもある。だからとって妙な人間ドラマ路線に舵を切らず、スパイ映画特有のヒリヒリするような緊張感を味わわせてくれるので、そこは安心してほしい。

 

侵略的な宇宙人が存在する世界で警察=体制側の人間vsガブリエルたちのような貧民という、人間同士の争いばかりがフォーカスされるが、本作の本質的なメッセージは「抗え!」ということである。脇役として数多くの映画を支えてきたジョン・グッドマンの静かに抑えた、それでいて内にマグマを秘めた演技が光る。最後のマリガンのネタばらしと言おうか、調査報告のシーンはサスペンスは『 女神の見えざる手 』を思い起こさせてくれた。

 

ネガティブ・サイド

主人公、というよりもオーディエンスが物語世界に没入するために感情移入すべき相手が変わっていく。それ自体はその他多くの映画でもこれまでに行われてきた。問題は、その視点の移り変わりが理解しづらいところだ。ガブリエル、その兄のラファエル、彼らの父の元同僚であったマリガンへと視点が変わっていくが、そこが少々、というか相当に強引だ。被支配者としてのアメリカ、ヒーローではなく群像、上ではなく下、という具合に多くの転倒した価値観を提示する本作であるが、「 物語として示したいもの 」が非典型的だからといって「 物語の示し方 」まで必要以上に凝る必要はない。むしろ、物語の示し方に凝るのならば、そのこと自体が大きな仕掛けになるような工夫を期待したかった(『 メメント 』や『 カメラを止めるな! 』など)。

 

レジスタンスのナンバーワンとされる存在の正体が割と早い段階でばれてしまうのはミスキャストではなかろうか。この役者が演じる役には裏が無い方が珍しい気がする。

 

映画の全編を通じて、編集が雑であるように感じた。あるいは脚本が練られていない。統治者側の特殊部隊の「ハンター」と聞けば『 ザ・プレデター 』を思い浮かべてしまうが、こいつらがあまり強くなさそう。というか強くない。武器を取り上げられた=火力ゼロなので、相対的にどんな相手に対しても地球人は不利になる、というわけではない。警察機構には銃火器の保持が認められている。であるならば、その程度の武力ではハンターにはまったく太刀打ちできないという説明あるいは描写を入れておくべきだった。

 

総評

全体的に非常に静かな作品である。思弁的なSFでありながら現実世界を巧みに写し取ってもいる。本作を通じてスパイ行為、テロ行為を反省的に見つめることもできるだろう。『 オブリビオン 』を楽しんだという人ならば、本作も楽しめる可能性が高い。エイリアンが登場するSFならドンパチが必須だ、と考える向きにはお勧めしづらい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a buff

劇中では a history buff  = 歴史オタクと訳されていた。Buffとは「熱中者」や「熱烈愛好家」、「マニア」のような人種を指す。

 

He is one heck of a baseball buff.

あいつは相当な野球狂だぜ。

 

のように使う。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, SF, アシュトン・サンダース, アメリカ, サスペンス, ジョナサン・メジャース, ジョン・グッドマン, ベラ・ファーミガ, 監督:ルパート・ワイアット, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 囚われた国家 』 -Rise up against all odds-

『 マイレージ、マイライフ 』 -大人、そして男というややこしい生き物-

Posted on 2019年11月11日 by cool-jupiter

マイレージ、マイライフ 65点
2019年11月7日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ジョージ・クルーニー ベラ・ファーミガ アナ・ケンドリック J・K・シモンズ
監督:ジェイソン・ライトマン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20191111103349j:plain


 

何度も劇場に足を運んでいると、それだけたくさんの予告編を自動的に観ることになる。その中でも、最近は特に『 マチネの終わりに 』が気になるようになってきた。言ってみればオッサンとオバサンの恋愛模様なのだが、なにやら重そうだ。それならそれを中和するためにも、事前にあっさり軽く、しかもそれなりにシリアスさもある作品を鑑賞しておくかと本作をピックアウトした。

 

あらすじ

ライアン・ビンガム(ジョージ・クルーニー)は解雇通告の代理人。クライアント企業に依頼され、全米を飛行機で飛び回りながら、従業員にクビを言い渡していく。彼の夢は1000万マイルを貯めること。ある時、ライアンは空港でアレックス(ベラ・ファーミガ)と知り合い、割り切った体だけの関係を始める。一方、彼の勤め先ではナタリー(アナ・ケンドリック)が非対面式の解雇通告の方法を立案していて・・・

 

ポジティブ・サイド

日本では退職代行の会社が人気を博し、その一方でその業務には法律的にあやふやな面もあることが指摘されている。従業員が会社を辞めるというのは、一大イベントであることは間違いない。逆を言えば、会社が従業員を辞めさせるのも、一大イベントであるわけである。そして、退職代行業が成立するのなら、解雇通告代行業があってもおかしくない。2009年製作の本作であるが、日本の退職代行サービスの創業者は本作にインスピレーションを得た可能性が微粒子レベルで存在している?

 

主演のジョージ・クルーニーが、粛々と人々の首切りをしていくのはプロの仕事ぶりであると同時に、非人間的にも映る。お気楽な独身男で、世俗の歓楽を健全に享受し、身を滅ぼすような真似はせず、自らの仕事に誇りを持って、空を自分のホームであると思っている。まるでジョージ・クルーニーがジョージ・クルーニーを演じているようだ。彼の代表作はテレビドラマの『 ER緊急救命室 』と映画『 オーシャンズ11 』だが、本作でもその存在感は健在である。冷酷非情な仕事ではあるが、対面で解雇を伝えることには「尊厳(dignity)がある」と主張するプロフェッショナリズム、男女の関係の機微を論じずに切って捨てるクールさ、そして切って捨ててきたものを振り返って、自分がこれまでに手に入れたもの、そして手に入れ損なったものに気がつく人間味の全てを、クルーニーは体現している。

 

その相手役であるベラ・ファーミガも実に魅力的である。milfyという形容詞が相応しい(気になる人だけ意味を調べてみよう)。「私は後くされのない女よ(I’m the woman you don’t have to worry about.)」とは、非常に強烈なメッセージだ。未知のセックスへの好奇心だけで始まった関係に狂わされることもなく、かといって生理的な欲求を淡々と処理しているだけという無味乾燥さもない。駆け引きはしないが、その代わりに拘束もしない。一言で言えば大人のオンナである。女ではなくオンナと書いたが、その意味は作品をご覧いただければ分かるだろう。

 

アナ・ケンドリックも小娘役を好演した。20代で仕事と結婚したとのたまう輩は、男女の別を問わず、恋愛で手痛い失敗をしたと言っているようなものである。そして、恋愛関係および職務に甘美な幻想を抱く傾向があるものなのである。ジョージ・クルーニーの生き様に自らの来し方行く末を見出し、「あなたってサイテーね!(You’re an asshole!)」と言ってのけるのは痛快である。大人になろうと足掻く子どもが、子どものままでいる大人に説教するシーンには、独特の爽快感がある。いい年こいて、こういうシーンを有り難がるのは、Jovian自身が子どものままでいる大人だからだろうか。

 

ネガティブ・サイド

ジョージ・クルーニーによる空の旅の手ほどき場面は興味深かったが、仕事の多くを機上の人として過ごす人ならではの考察や分析、ルーティンなどをもっともっと見てみたかった。特にアジア人に対する考察は面白かった。アメリカ人も「足元を見るのだな」と感じたが、こういうユニークな視点をライアン・ビンガムという男からもう少し引き出すことは不可能ではなかったはずだ。

 

ライアンの家族についても、もう少し掘り下げた描写が欲しかった。あるいは、編集でカットされたのか。姉に「あなたは存在していなかった」と言われるのは、その頃から機上の人ならぬ孤高の人だったからか。それにしては、高校ではバスケをしていて、ポイントガードだったと言う。わがままなシューティングガードだったというのなら、もう少し納得がいくのだが。

 

あとはJ・K・シモンズの出番が少ない。この男との面談が、クライマックスのpep talkの内容が鮮やかなコントラストを形成するのだが、ここはシモンズにもっと語らせるべきだった。いや、シモンズからライアン・ビンガムに問いかけるような形が望ましかった。そうすることで、一方的に人を切るだけの、さらに恋愛においても感情よりもテクニックを優先させる人でなしが、人間味に、そして人生の意味に目覚める契機をよりドラマティックに演出できたのではないかと思う。

 

総評

ジェイソン・ライトマン監督には基本的に外れが無い。特に『 サンキュー・スモーキング 』や『 JUNO ジュノ 』、『 タリーと私の秘密の時間』など、男の賢しらな一面、つまりアホな面を切り取ることに長けている。世の男性諸賢はライトマン作品を鑑賞して、人のふり見て我がふり直せを実感することができるだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Up in the air.

 

原題はup in the airであるが、これは「飛行機に乗って空にいる」という意味と「(予定や計画が)宙ぶらりん状態である」のダブル・ミーニングである。ライアン・ビンガムというキャラクターを名状するのに、これ以上にふさわしい表現はなかなか見つからない。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, C Rank, J・K・シモンズ, アナ・ケンドリック, アメリカ, ジョージ・クルーニー, ヒューマンドラマ, ベラ・ファーミガ, 監督:ジェイソン・ライトマン, 配給会社:パラマウントLeave a Comment on 『 マイレージ、マイライフ 』 -大人、そして男というややこしい生き物-

『 ジャッジ 裁かれる判事 』 -家族の別離と再生を描く傑作-

Posted on 2018年9月7日2020年2月14日 by cool-jupiter

ジャッジ 裁かれる判事 75点
2018年9月6日 レンタルDVD観賞
出演:ロバート・ダウニー・Jr. ロバート・デュバル ベラ・ファーミガ ビンセント・ドノフリオ ジェレミー・ストロング ビリー・ボブ・ソーント
監督:デビッド・ドブキン

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その明晰な頭脳で勝利を追求する敏腕弁護士のハンク(ロバート・ダウニー・Jr.)は娘を溺愛するも、妻とは不仲。そんな彼の元に、母の死を知らせる電話が入る。長年に亘って疎遠だった実家に帰り、判事である父ジョセフ(ロバート・デュバル)、MLBへの夢が断たれ田舎町に引き込む兄グレン(ビンセント・ドノフリオ)、軽度の知的障害を持つビデオカメラ好きのデイル(ジェレミー・ストロング)、幼馴染にして元恋人のサマンサ(ベラ・ファーミガ)とその娘らと再会する。葬儀の後、父ジョセフが20年前に刑務所送りにした男マークが刑期を終えて出てきたその夜、ジョセフが車でマークを撥ねて死なせてしまう事案が発生する。偶然の事故なのか、故意の殺人なのか。ハンクは苦悩しながらも父ジョセフの正義を信じ、弁護に乗り出す・・・

まず、何と言っても二人のロバートの奇跡的な邂逅である。特にデュバルの存在感は凄まじい。本作で彼のキャラクターの持つ属性は多岐に亘る。判事の顔を持ちながらも、厳格すぎる父親の顔を持ち、年齢から来る衰えに戸惑い、怯え、しかし受け容れ、妻の死を嘆きながらも毎日墓参することを前向きに誓う強さを持ち合わせ、そして良き祖父の顔も見せる。これぐらいのキャリアの役者になると、『 ゲティ家の身代金 』のクリストファー・プラマー然り、『 あなたの旅立ち、綴ります 』のシャーリー・マクレーン然り、演じること(Acting)と存在すること(Being)の境目が揺らいでくるようだ。クライマックスの法廷で、ジョセフはその心情を赤裸々に語るが、そこから見えるのは父親としての業である。父という種族は、なぜこうも不器用もなのか。

そしてダウニーJr.の息子としての苦悩、懊悩。アイアンマンでもそうなのだが、父との確執や過去のトラウマに苛まれる役が何故か似合う。当初ジョセフはハンクに弁護を依頼せず、ペーペーの新米弁護士を雇うが、予備審問の時点からヘマを打つばかり。この時のダウニーJr.の演技が見もの。表情を変えずに仕草やアクションで台詞以上に雄弁に語りまくる。ここに我々は、彼の弁護士としての血の騒ぎ以上に、息子として本心では父を救いたくて堪らないとの思いを見出さざるを得なくなる。彼が法廷で流す涙は、悔し涙以上の悔しさがあったのだろう。なぜ自分が娘に注いでいるだけの愛情を、父もまた自分に注ごうとしているのかに思い至らなかった自分への後悔が透けて見える。これは父殺しを通じた、家族の再生の物語なのだ。古今の文学のお定まりのテーマとはいえ、法廷という真実を追究する極めて社会的、公共的な意味合いの強い場で、親子、それも判事と弁護士の対峙と融和が図られるのだから、これを劇的(dramatic)と言わずして何と言おう。

名優同士のぶつかり合いと、それを支える確かな実力を持つ脇役達、さらに細かなサブプロットをも収めた脚本と、それらを見事に統合した演出と監督術。いったん再生すれば、エンディングまでノンストップとなること請け合いの傑作である。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, ヒューマンドラマ, ベラ・ファーミガ, ロバート・ダウニー・Jr., ロバート・デュバル, 監督:デビッド・ドブキン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ジャッジ 裁かれる判事 』 -家族の別離と再生を描く傑作-

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