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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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カテゴリー: 海外

『 犯罪都市 THE ROUNDUP 』 -鉄拳はすべてを解決する-

Posted on 2022年12月15日2022年12月15日 by cool-jupiter

犯罪都市 THE ROUNDUP 65点
2022年12月11日 心斎橋シネマートにて鑑賞
出演:マ・ドンソク ソン・ソック
監督:イ・サンヨン

『 犯罪都市 』の続編。マ・ドンソクが出るだけでマ・ドンソクの映画になってしまうのだから、この役者のスターパワーには相当なものがある。とにかく鉄拳が全てを解決してしまうのだ。

 

あらすじ

衿川警察の強力班の刑事マ・ソクト(マ・ドンソク)は、国外逃亡犯の身柄引き受けのためにベトナムに向かう。しかし、領事館に自首してきた容疑者を不審に感じたマは、背後にカン・ヘサン(ソン・ソック)という凶暴な犯罪者の存在を察知。ベトナムで独自に調査を開始する。一方で、カン・ヘサンに息子を殺された韓国の大企業の会長は、独自に殺し屋を雇ってカン・ヘサン抹殺を目論んで・・・

ポジティブ・サイド

冒頭から不穏な空気が流れる。若手社長がいきなり拉致され、ボコボコにされてしまう。この有無を言わせぬバイオレンスが韓国映画らしさ。その一方で、これはマ・ドンソクの主演映画。どんなにドギツイ描写があっても、彼が出てくれば一気にコミカルになる。冒頭で婦女子を人質にした立てこもり犯を前に右往左往する衿川警察の強力班の面々。そこに現れるマ・ソクト。なんだかんだありながらも、ナイフの相手を剛腕でノックアウト。狂暴なカン・ヘサンと剛腕マ・ソクトの対照的な導入で、これだけで二人の対決のショーダウンが楽しみになってくる。

 

その後の展開もカン・ヘサンのパートは容赦ない犯罪と暴力、マ・ドンソクのパートではコミカルな笑いを提供と、メリハリの利いた構成で物語が進んでいく。ベトナムまでやってきて、しかも領事館の中で「真実の部屋」をやるマ・ドンソクには笑ってしまう。対してカン・ヘサンも、殺害した若手社長の父親が送り込んでくるヒットマン連中を先制攻撃で撃退。狂暴なだけではなく、本物の戦闘力の持ち主であることを見せつける。前作のユン・ゲサンとチン・ソンギュもかなりの狂いっぷりを見せてくれたが、頭のおかしさと言う意味では今作のソン・ソックも全く負けていない。というか、これぐらい狂ったキャラでないと、マ・ドンソクと対峙できない。つくづくスターパワーのある役者である。

 

カン・ヘサンはベトナムの犯罪者たちのアジトに乗り込んでの大立ち回り。そこに遅れてやって来るマ・ドンソクとの最初の対決が中盤の見どころ。ここであのコミカル班長が大ダメージを負ってしまうが、彼の怪我とその後の病院での対応がストーリーにぴったりハマっている。単に怪我をさせられました、ではなく物語を勧めていく上での必然性のあるイベントになっていた。ここから舞台は韓国へ。

 

韓国でもカン・ヘサンが大暴れ。これはもう一所轄の一警察署の案件ではない。が、そこもあっさりとクリア。これなら元大阪府警のJovian義父も納得してくれそうな一コマがある。自分を狙う者すべてを殺し、カネを奪っていくカン・ヘサンを追う中で、強力班のメンバーもダメージを負っていく。警察の総力を挙げてカンを追うカー・チェイスのシーンはかなりの迫力。そして最後はカン・ヘサンとマ・ソクトの第2ラウンド。やはり鉄拳はすべてを解決するのである。ラストは『 エクストリーム・ジョブ 』的な大団円。本当のクランクアップのシーンをそのまま映画に使ったのかな?と思うほど。これはもう一本続編が来るかもしれない。

ネガティブ・サイド

刑事は二人で行動するのが基本中の基本。班の一人が単独行動することで、逆にカン・ヘサンに刺されてしまうが、これだとカン・ヘサンが強いというよりは刑事の方が間抜けに見えてしまう。班長とマ・ソクトは二人組で行動していたが、それでも班長はカンに重傷を負わされた。この刑事も二人組で行動していて欲しかった。

 

おとり捜査は日本でも条件付きで行われ始めているらしいが、韓国では民間人(というか不法滞在者)をこんな風に捜査に駆り出すのはOKなのだろうか?ここで警察署長もしくは班長にもう一回根回しをしておけば印象も違ったのだが。

 

ヴィランのカン・ヘサンの悪人っぷりに文句はないが、彼のやっている犯罪行為そのものはちんけに思える。この点では前作のユン・ゲサンとチン・ソンギュのペアによる組織犯罪の方がはるかに脅威に思えた。『 ただ悪より救いたまえ 』のように、国外でうごめく巨悪を叩くというプロットを構想できなかったものか。

 

総評

『 ただ悪より救いたまえ 』のように明らかにアジア市場を意識した作りになっている。というか、やっていることは『 ただ悪より救いたまえ 』にそっくりの韓流ノワールなのだが、マ・ドンソクが暴れるだけでスカッとした爽快アクションになるのだから不思議である。この丸顔中年筋肉オヤジはどこかチャールズ・バークレーやシャキール・オニールといった、子どもがそのままデカくなったような雰囲気がある。どんなにバイオレンス色が強まっても、それを中和してしまうキャラクターというのはなかなか見当たらない。スカッとした気分になりたければ、前作を鑑賞の上、本作を観よう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

I would like …

・・・が欲しい、というのを丁寧に言う表現。I want some coffee. の代わりに I would like some coffee. と言えば、それだけでかなり丁寧になる。英語圏でも非英語圏でも、海外旅行する際に何かをリクエストする時には I would like ~を使っておけば大怪我をすることはない。

次に劇場鑑賞したい映画

『 グリーン・ナイト 』
『 ホワイト・ノイズ 』
『 夜、鳥たちが啼く 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アクション, ソン・ソック, マ・ドンソク, 監督:イ・サンヨン, 配給会社:HIAN, 韓国Leave a Comment on 『 犯罪都市 THE ROUNDUP 』 -鉄拳はすべてを解決する-

『 MEN 同じ顔の男たち 』 -要グロ耐性のスリラー-

Posted on 2022年12月11日2022年12月11日 by cool-jupiter

MEN 同じ顔の男たち 40点
2022年12月10日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ジェシー・バックリー ロリー・キニア
監督:アレックス・ガーランド

 

『 ワイルドローズ 』のジェシー・バックリー主演作。『 エクス・マキナ 』で、え?という結末を見せたアレックス・ガーランドが監督(ところで『 アナイアレイション 全滅領域 』の続編はいつ?)。ということでチケット購入。

あらすじ

DV気質の夫の自死後、ハーパー(ジェシー・バックリー)は田舎町へやって来る。大家のジェフリー(ロリー・キニア)から家の鍵を受け取り、散歩するなどして田舎生活を満喫していたところ、庭に全裸の不審者が現れる。警察に通報して、男は取り押さえられたが、その後もお面をかぶった少年や牧師など、ジェフリーと瓜二つな男たちが、彼女に不安や不信を植えつけていき・・・

 

ポジティブ・サイド

イングランドの片田舎の自然の風景が美しい。低い空に生い茂った草木などは、鑑賞してはいないが、『 ピーターラビット 』のトレイラーに出てくるような景色を思い起こさせる。こうした風景は確かに都会人を癒やす効果を持つ。特にDV夫の自死を目撃した後なら尚更だろう。

 

前半は美しい自然と、どこか不穏な気配が入り混じった雰囲気が観る側の不安を書き立てる。ハーパーが山中の廃トンネル内の音声のリフレインを使って一人無邪気に歌って遊ぶシーンは、クライマックスの展開を示唆していたのか。

 

ハーパーが教会を訪れるシーン以後、一気にホラー色が強まってくる。このあたりの build up の仕方はお見事。イングランドといえばストーンヘンジのような巨石文化で知られているが、片田舎に行けば土着の古い信仰や遺物もまだまだ眠っている。表が男で裏が女という謎の石像も絶妙な気持ち悪さ。これも終盤の”トラウマ的”な展開の(一応の)伏線になっている。

 

最後の “トラウマ的なイベント” はかなりグロいシーンの連発なので、間違ってもデートで女性を連れてきてはいけない。高校生カップルとかなら尚更である。だが、それゆえに強烈なインパクトを残すことは間違いない。

 

ジェシー・バックリーは意識せず妖艶な雰囲気をまとう女性を好演。だが、それ以上にロリー・キニアが怪演を見せつける。気の良い大家から自己責任を追及してくる聖職者、そしておつむが少々足りない青年まで丁寧に演じ分ける。英国の役者はけれんみが強い印象があるが、キャスティングがハマれば強い。

ネガティブ・サイド

様々なメッセージを発しているのは分かるが、それが物語に直接つながっていない。いや、間接的にすらつながっていないことも多い。こちらにそれを読み解く力がないのかもしれないが、それにしても思わせぶりなメタファーが多すぎて、作っている側もそれを処理しきれなかったのではないか。

 

リンゴ=禁断の果実というのはイマイチ。せっかくイングランドの土着信仰的なアーティファクトを出しているのだから、知恵の実云々の蘊蓄は不要。失楽園を描きたいなら、別の舞台でやってくれ。

 

天の川銀河があるもののモチーフになっているが、このネタは古い。すでにテレビ映画の『 ランゴリアーズ 』が同じことをやっている。

 

トレイラーや邦題でも強調されているが、ロリー・キニアがほとんど全部の男性キャラクターを演じていることに、鑑賞中は恥ずかしながら気付けなかった。お面の青年と牧師と大家だけかと思いきや、全裸の不審者や警察官、バーテンダーやバーの客まで彼が演じていると言う。なぜもっとそのことをビジュアル面で強調しないのか。また、なぜハーパーがそのことに気付かないのか。ハーパーがこの狭いエリアの男たちが皆、同じ顔をしていることに怖気をふるう場面があれば、観ている側もハーパーの感じる不安や恐怖を共有しやすくなるのだが。

 

オチもなあ・・・ ラストの ”トラウマ的” とされるイベントが始まったところで、「ああ、最後はこうだよね」というのが見えてしまう。元ネタは、最近作者が死亡してしまったが、友人が志を継いで再開された某漫画の某展開だろうな。

 

総評

A24らしいと言えばA24らしい作品。『 LAMB/ラム 』や『 ウィッチ 』のように、辺境の地での異様な体験を描いてはいるが、これらの先行作品に比べると明らかに一枚も二枚も落ちる。同じ顔の男たちというのは、虐待された女性から見れば男は全員加害者候補という意味なのだろうが、いくらなんでもメッセージとして極端すぎる。ちなみに一緒に鑑賞したJovian妻は「なんちゅうもん見せてくれたんや」という感じで、鑑賞後はかなり不機嫌だった。人によっては突き刺さるもののある作品なのだろうが、刺さる範囲はかなり狭いと思われる。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a stone’s throw

石をひと投げ、転じて「目と鼻の先」という意味。しばしば

A is within a stone’s throw of B.

または

A is a stone’s throw away from B.

という形で使われる。意味はどちらも「AはBの目と鼻の先にある」となる。この表現はアメリカ人よりブリティッシュの方がよく使う印象がある。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 グリーン・ナイト 』
『 ホワイト・ノイズ 』
『 夜、鳥たちが啼く 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, イギリス, ジェシー・バックリー, スリラー, ロリー・キニア, 監督:アレックス・ガーランド, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 MEN 同じ顔の男たち 』 -要グロ耐性のスリラー-

『 シスター 夏のわかれ道 』 -家族の在り方を問う-

Posted on 2022年12月6日 by cool-jupiter

シスター 夏のわかれ道 75点
2022年12月3日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:チャン・ツィフォン ダレン・キム シャオ・ヤン
監督:イン・ルオシン

妻が観たいというのでチケット購入。チャン・ツィフォンとイオ・ルオシン監督のコンビは、チョウ・ドンユイとデレク・ツァン監督のコンビに並ぶほどのポテンシャルがあるのではないかと感じた。

 

あらすじ

看護師のアン・ラン(チャン・ツィフォン)は、ある日、両親を交通事故で失う。両親と疎遠だったアン・ランは初めて自分に幼い弟ズーハン(ダレン・キム)がいたことを知る。医師になるために北京に進学しようとするアン・ランは、ズーハンを養子に出そうとするが・・・

ポジティブ・サイド

中国の一人っ子政策が廃止されたというニュースは記憶に新しい。調べてみると2015年のことだった。ということは現在の10代、20代、30代の大部分は一人っ子ということになる。本作の主人公のアン・ランも20代で、まさに一人っ子政策のど真ん中の世代だ。本作はこの一人っ子政策とアジア、特に中国(韓国や日本もだが)に根強く残る男尊女卑的な社会の在り方を鋭く批判している。

 

冒頭、いきなりの交通事故でアン・ランの両親が死亡するが、肝心の葬式やその後の親戚の集いでもアン・ランはあまり悲しそうではない。それもそうで彼女は両親とは疎遠にしていた。そのあたりの事情はおいおい明らかになっていくのだが、その見せ方が非常に巧みであると感じた。生まれてくることを望まれなかったアン・ラン、そして決して映像で見せられることはないが、甘やかされて育った(それは愛されて育ったとも言い換えられる)ことが明らかなズーハンの姿に、アン・ランとの残酷な対比が否が応でも浮かび上がってくる。

 

このズーハンを何とか自分の人生から追い出そうとする前半、我々はアン・ランに激しく感情移入する。自分で自分の人生を切り拓こうとする人間は、どうしたって応援したくなるではないか。その転機はいくつかある。アン・ランとズーハンの両親の事故の原因となった可能性のあるタクシー運転手の子どもが、ズーハンと同じ幼稚園に通っているのだ。当然、火種となる。また、アン・ランとボーイフレンドの間にも、いつもと異なる空気が流れるようになる。ここでアン・ランが感じるボーイフレンドとの距離というか隔たりに、男と女、上流階級と下層民、医師と看護師など、あらゆる格差が浮き彫りになる。

 

このあたりから北京に行くという夢と、自分が決して持つことのなかった家族を持ちたいというアン・ランの願望がせめぎ合い始める。その心情の細やかな移り変わりはぜひ直接鑑賞されたい。

 

それにしてもチャン・ツィフォンの演技力には恐れ入る。抑えつけられてきた女性が爆発するシーンは韓国映画ではお馴染みだが、中国の女性も似たようなものなのか。韓国女優に勝るとも劣らない抑圧された者の凄みを見せる。子役のダレン・キムも負けていない。父母の死を理解できない甘えん坊が、ある瞬間から姉を思いやれる心優しい子に変わっていく。この、姉を思いやるがゆえに姉と自分は離れた方が良いと思い込む姿には泣けてしまう。邦画なら、ここで情けないボーイフレンドと対比するために、頼りがいのある同世代の男子を投入するのだろうが、本作はそこでズーハンの成長と、ギャンブル中毒ながら、親戚の中で唯一アン・ランの味方をしてくれた叔父、そして同じ女性として夢を諦めた叔母を映し出す。家族とは所与のものではなく、自分で作る、あるいは見出すものなのだ。本作はそうした新時代の中国の家族観を提示する試みだと言える。

 

ネガティブ・サイド

『 共謀家族 』のシャオ・ヤンにもう少し見せ場が欲しかった。アン・ランは何度か両親の墓参りに来るが、そこに誰のものか分からないお供え物がある、あるいはお墓が何故かいつもきれいだった、という描写があれば、アン・ランは叔父を見直すシーンの感動がもっと深まったはず。

 

アン・ランが最後に選ぶ選択肢が少々陳腐に感じた。詳しくはネタバレになるので書けないが、本当に見たいのは、この選択の先、5年後、10年後だ。無茶苦茶なアイデアかもしれないが、アン・ラン自身が北京で誰かの養子になる、のようなエクストリームな展開を模索してみてもよかったのではないだろうか。

 

総評

中国産の駄作『 マーズ・ミッション2042 』を鑑賞直後のためか、同じ中国産の本作は光輝いて見える。そうした贔屓目を抜きにしても本作のクオリティの高さは際立っている。一人っ子政策批判=中国共産党批判だが、最近のゼロコロナ政策の緩和など、中国も政治的にマイルドになりつつあるのだろうか。社会批判と人間ドラマをハイレベルで融合させた注目の一作である。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

jiějiě

発音は「ジエジエ」、お姉さんの意である。劇中でズーハンが何度も何度もジエジエと言うので、否が応でも覚えてしまう。ちなみにエンディングの歌でも何度も聞こえてくる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 サイレント・ナイト 』
『 母性 』
『 グリーン・ナイト 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, シャオ・ヤン, ダレン・キム, チャン・ツィフォン, ヒューマンドラマ, 中国, 監督:イン・ルオシン, 配給会社:松竹Leave a Comment on 『 シスター 夏のわかれ道 』 -家族の在り方を問う-

『 マーズ・ミッション2042 』 -中国発の竜頭蛇尾のSF-

Posted on 2022年12月4日 by cool-jupiter

マーズ・ミッション2042 15点
2022年12月1日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:スオ・シャオクン
監督:リウ・ナー

『 ムーンインパクト 』がアホ極まりないUSA産SFだったので、ならば中国産はどうか?とということで近所のTSUTAYAでレンタル。竜頭蛇尾のダメSFだった。

 

あらすじ

火星移住計画が進行中の2042年。中国やアメリカは火星の軌道上および地表で様々な実験や研究を行っていた。そんな中、火星に小惑星が接近しているとの報が入る。時を同じくして、火星に謎の生命体が出現。地表探査チームは宇宙船で脱出するが、巨大生物に襲われ不時着を余儀なくされる。アメリカは中国に救助を要請。中国のエウロパ探査宇宙船ワン・フー乗組員は火星に着陸するが・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭の15分は『 オデッセイ 』そのまんま。マット・デイモンが火星に取り残されてしまうシークエンスを中国が再構成してみた、という感じ。word for word, scene for scene の再構築ではないが、明らかにオマージュのレベルを超えている。こうした姿勢は悪くないと思う。技術的に進んだ相手の手法をそのまま真似てみるというのは、芸術を学ぶ上で不可欠。模写はその最たる例。映画でもそういう試みはあっていい。

 

火星の大気中を遊泳するクジラはなかなかの迫力。アメリカ人が宇宙生命体を描くと『 ライフ 』のカルヴィンのようなクリーチャーになってしまうが、中国が描くクジラやトカゲはアジア的なセンスが素直に反映されていて、個人的には受け入れやすい。

 

ネガティブ・サイド

科学的な考証は無きに等しい。いちいちツッコミを入れるのも馬鹿らしいが、火星と地球の距離を考えろ。『 オデッセイ 』がなぜあれほどハラハラドキドキとヤキモキした感じを生み出せたのか。それは通信に要するタイムラグ。地球と火星で通信すると、往復で30分弱かかる。それが本作ではリアルタイムに通信できている。超光速通信だ。そんな技術があれば、火星のテラフォーミングなど、とっくに達成されていそうに思えるが。

 

アメリカ人を悪者にするのは別にOK。アメリカもソ連やロシア、中国などを散々悪者に描いてきた。問題は、アメリカ人の研究者個人が悪いのであって、アメリカが悪いのではないという描き方。もっと踏み込んでええんやで、中国さん。せっかくの宇宙SF。もっとスケールの大きい話しようや。また中国人俳優の中で英語を喋るのが1~2人しかいない。韓国やインドをもっと見習って、俳優に語学を勉強させるべき。エンタメ分野でも世界制覇を目指すなら英語は今後マストだろう。邦画は無理でも、中国映画界にはそのポテンシャルがあってしかるべき。

 

俺の屍を越えてゆけ的な展開が短時間で二度発生。これは萎える。こういう感動の押し売りが受け入れられるのは一つの映画につき1回までと心得よ。また最後は父と息子の葛藤と和解の物語に着地してしまうが、そこに至るまでの人間ドラマの描写が圧倒的に弱い。冒頭の展開だけで脚本家が力尽きて、予算も使い果たしのだろうか。

 

総評

一言、ダメ映画である。冒頭シーンの迫力に期待を持ってはいけない。そこがピークである。a rainy day DVD にもならない。小説『 三体 』が世界を席巻して以来、中国発のSFの良作を待っているが、まだまだ時間がかかるのかもしれない。配信やレンタルで見かけてもスルーするのが吉。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. Hardly anything was impressive after the first 15 minutes.

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 サイレント・ナイト 』
『 母性 』
『 グリーン・ナイト 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, E Rank, SF, スオ・シャオクン, 中国, 監督:リウ・ナーLeave a Comment on 『 マーズ・ミッション2042 』 -中国発の竜頭蛇尾のSF-

『 ザリガニの鳴くところ 』 -異色のミステリ+法廷サスペンス-

Posted on 2022年11月30日 by cool-jupiter

ザリガニの鳴くところ 70点
2022年11月27日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ テイラー・ジョン・スミス ハリス・ディキンソン デビッド・ストラザーン
監督:オリヴィア・ニューマン

タイトルだけで観たくなる映画、タイトルだけで読みたくなる書籍というのがたまにある。本作はそんな一本。なかなかの秀作だった。

 

あらすじ

1960年代のノースカロライナ。チェイス(ハリス・ディキンソン)という青年が死亡した。事件の容疑者として、地元で湿地の少女と呼ばれ、疎外されているカイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)が逮捕される。弁護士から引退していたミルトン(デビッド・ストラザーン)は彼女の弁護を申し出る。彼女は次第に自分の半生を語り始めるが・・・

ポジティブ・サイド

1950年代に幼少期を過ごしたカイアが、1960年代に成長し、いくつかの出会いと別れを経験し、そして殺人事件の容疑者として逮捕される。果たして真相は・・・というのが本作のプロット。本作の何がユニークかというと、まずカイアとその家族が湿地帯に暮らしていること。『 刑事ジョン・ブック 目撃者 』でアーミッシュの生活がこれでもかと映し出されたが、本作でも湿地帯での生活が活写される。『 ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男 』や『 ハリエット 』でも湿地帯は戦闘地域もしくは逃走経路として出てきたが、ここまで湿地にフォーカスした作品というのは他に思い当たらない。

 

その湿地の自然も、まさに wilderness と呼ぶにふさわしい。水辺の生き物や植物のありのままの姿をスクリーンに満たしてくれる。wilderness というのは何故か辞書では「荒野」と訳されるが、正しくは「人の手が加わっていない自然の領域」のこと。カイア一家が住んでいるので、厳密には wilderness ではないかもしれないが、アメリカの大地や河川の美しさや雄渾さを映し出してくれる作品としては『 ミナリ 』に近いものがある。 

 

しかし本作が最も独特なのは、1950~1960年代という人種差別の時代、そして公民権運動の時代の物語でありながら、疎外され、迫害されるのが白人の少女だという点である。その意味で、本作は差別の要因は肌の色や人種、国籍ではなく、共同体の内側に住む者か、共同体の外側に住む者かの違いに求める。これは非常に斬新だと言える。この内と外の対照性が、湿地の明るさと美しさと街の薄暗さと汚さという映像上のコントラストにもよく表れている。

 

カイアとテイトの出会いと淡い恋の発展、そして別れ。さらにカイアとチェイスの奇妙な関係は、優れた青春映画でもあるが、本作はれっきとしたミステリ。チェイスの死因は何なのか。そこにカイアは関わっているのか、いないのか。チェイスはある意味で韓国映画によく出てくるようなタイプの男性。平たく言えば暴力の予感を常に漂わせる男だ。そして、それはカイアの父を彷彿とさせる。一方のテイトは、カイアに読み書きを教え、セックスにも慎重な姿勢を見せる紳士。さらに現代の法廷シーンでは老弁護士のミルトンが、検事や証人たちの鋭い弁舌を巧みにかわし、時にはきれいなカウンターパンチも入れてみせる。観る側は否応なく、カイアを巡る人間関係と、チェイスの死の真相、そして裁判の行方に惹きつけられてしまう。そして訪れる結末・・・ これには心底びっくりした。『 真実の行方 』並みに驚かされた、というのは言い過ぎかもしれないが、それぐらいの衝撃を受けた。この後味は江戸川乱歩の『 陰獣 』を想起させる。いやはや、凄い作品である。

 

そうそう、本作でストラザーン以外はほぼ全員無名の役者だが、その中でも湿地で小売店を営む夫婦の演技力が素晴らしかった。『 ガルヴェストン 』で強烈なオーラを放っていたC・K・マクファーランドに並ぶ名脇役である。

 

ネガティブ・サイド

学校にも行けず、ホームスクールもされず、読み書きできず、ごくごく限られた人間関係しか持っていなかったカイアが、テイトとあっさり恋仲になったのは感心しない。小説だと、カイアの内面描写がたっぷりなされていたのだろうか。このあたりのカイアの心の動きをもっと感じ取らせるような描写が欲しかった。

 

あと、これはネガティブというよりは愚痴に近いが、本作のミステリとしての伏線の張り方はいささかアンフェアというか、一貫性の無さを感じた。湿地の風景、湿地の生き物や植物を、それこそカイアの視点のごとく丹念に映し出してきたのに、チェイスの死の真相のヒントを映像ではなく言葉で出してしまうとは・・・ まあ、これから鑑賞する人は、これを読んでも「何のこっちゃ?」だろうが。ここでいう言葉とは二通りの意味で・・・、おっと、これ以上は本当にネタバレになってしまう。

 

総評

なかなかの秀作である。ミステリ、サスペンス好きなら鑑賞しない手はない。そうしたジャンルに興味がなくても、一人の女性の自立の物語として鑑賞することもできる。ただ、暴力シーンや暴力的な性描写シーンもあるので、高校生や大学生のデートムービーには向かないので、そこは注意のこと。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

A is one thing. B is another.

AとBは別物だ、というよくある言い回し。劇中では Living in isolation was one thing. Living in fear was quite another. みたいに言われていた。

Listening to music is one thing. Playing music is another.
音楽を聴くのと音楽を演奏するのは全くの別物だ。

Watching movies is one thing. Making them is definitely another.
映画を観ることと映画を作ることというは、完全に別物だ。

のように使う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 サイレント・ナイト 』
『 母性 』
『 グリーン・ナイト 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, サスペンス, デイジー・エドガー=ジョーンズ, テイラー・ジョン・スミス, デビッド・ストラザーン, ハリス・ディキンソン, ミステリ, 監督:オリヴィア・ニューマン, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 ザリガニの鳴くところ 』 -異色のミステリ+法廷サスペンス-

『 ムーンインパクト 』 -愛すべきダメダメB級SF映画-

Posted on 2022年11月28日 by cool-jupiter

ムーンインパクト 20点
2022年11月26日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:マイケル・ブロデリック クリス・ブドゥー
監督:ブライアン・ノワック

『 ザ・メニュー 』鑑賞後に口直しが必要と感じ、チーズバーガーをほうばりながら観られそうなB級作品をTSUTAYAでピックアウト。決して『 ムーンフォール 』と間違えてレンタルしたわけではない。

 

あらすじ

月に巨大小惑星が激突。その衝撃で月は軌道を離れ、徐々に地球に落下してきた。月の地球落下まで残された時間は3時間。ペンタゴンは反物質エンジンで月の裏側にブラックホールを発生させ、その重力で月を引き戻す作戦を実行するため、かつての宇宙飛行士ジム・ローソン(マイケル・ブロデリック)を宇宙に送り込もうとするが・・・

 

ポジティブ・サイド

序盤のジムとポールの兄弟のある行動を見て「おいおい、アホかこいつらは」と思ってしまったシーンが、まさかの終盤の展開につながっている。これには腰を抜かした。その伏線の張り方もさることながら、その馬鹿馬鹿しさと、それゆえのスケールの大きさには驚かされた。監督はブラックホールだとか、月の落下よりも、このビジョンを映画にしたかったんだろうな。

 

映画が始まった瞬間から月の落下まで3時間、それがすぐに1時間40分ぐらいになる。その間、ジムとポールの行く手にはトラブルだらけ。とにかく常に彼らがせわしなく動き回るので飽きは来ない。

 

ネガティブ・サイド

科学的に間違っている描写を逐一挙げれば、おそらく数千に届くのではないか。それぐらい何もかも間違えている。物理や天文学をまともに学校で習ったことはなく、そうした知識は小説、映画、テレビ番組、書籍などから得ているJovianでも「なんじゃこりゃ?」と感じるシーンやセリフがてんこ盛りである。

 

まずもって反物質エンジン?反物質の採取は月軌道どころか木星あたりに行かないと無理。さらに反物質エンジンでブラックホール生成?意味が分からない。さらにそのブラックホールの重力で月を元の軌道に引き戻すと言うが、生み出してしまったブラックホールはどう片付けるのか?

 

さらに中国とロシアがアメリカの作戦を無視して核ミサイルを射出しようとする。その理由は「ブラックホールは地球まで飲み込んで破壊してしまう恐れがある」という至極もっともな懸念。それに対するジムとポールの答えが「重力は距離の逆二乗で弱まるから大丈夫、地球にブラックホールの重力は届かない」という説明・・・って、ちょっと待った。それ、某出版社が小学校の理科の参考書でやらかしてた間違いそのまんま。「人工衛星は無重力空間にあります。地球の重力が届きません」と書いた次のページで「月は地球の重力に惹きつけられる形で回っています」というのと理解のレベルが同じやんけ。大体、地球の重力に引っ張られる月を、さらに引っ張り戻せるだけの重力を持つブラックホールなら、地球も同時に引っ張るに決まってるやん。AとBが綱引きしてて、BがAを引っ張ってる最中に、CがAをさらに強い力で引っ張ったら、CがBとAの両方を引っ張るでしょ・・・ 

 

その他にも宇宙船の速度が時速3億6千万キロ、つまり光速の約3分の1という反則級のスピードに達したのには笑った。最初は字幕のミスか?と思ったが、何度聞いても two hundred and nine million miles per hour = 時速209,000,000マイルと言っているので、字幕ミスではなかった。他にも宇宙船が遠心力を使わずに人工重力を発生させていて、なんでその技術をスケールアップさせて月を別方向に引っ張らないの?と思わせてくれる。他にも宇宙服に穴が開いているのに、軽く空気が漏れるだけの描写など、随所で頭を抱えざるを得ない描写のオンパレード。

 

極めつけは、この手の天体落下型ディザスター・ムービーでおなじみのロシュ限界が思いっきり無視されているのには呆れた。というのも、脚本家の名前が Joe Roche =ジョー・ロシュなのだ。脚本を書く時に科学的考証を一切しないと決めてたんかな?

 

カメラワークも皆無。その他のキャラもほとんどすべて同じアングルでひたすらしゃべり続けるだけ。その半数は、ほとんど無意味に死んでいく。彼ら彼女らの演技はまさに学芸会レベル。映画大国アメリカでも、ゾンビやらサメやら天体落下やらのクソ映画を大量生産することで、ごくまれに傑作が生まれるという構図は健在なのだ。

 

総評

これぞ愛すべき大馬鹿B級映画である。いや、クオリティを考えればC級もしくはD級と言ってもいいのだが、観る側が「ああ、アンタらはこのシーンをやりたかったのね」と作り手側に少しでも共感できれば、それだけでB級である。レンタルもしくは配信で観る場合、楽しもうなどと思ってはいけない。雨の週末にスナックでも食べて、スマホ片手に鑑賞するのが吉である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

one of a kind

「唯一無二」、「他に並ぶものがない」の意。人にも物にも使える。普通は良い意味で使われるが、

This film is one of a kind … in a bad way. 
この映画は唯一無二だよ・・・悪い意味でね。

のように言うこともできる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 サイレント・ナイト 』
『 母性 』
『 グリーン・ナイト 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, E Rank, SF, アメリカ, クリス・ブドゥー, マイケル・ブロデリック, 監督:ブライアン・ノワックLeave a Comment on 『 ムーンインパクト 』 -愛すべきダメダメB級SF映画-

『 ザ・メニュー 』 -Don’t just eat. Taste.-

Posted on 2022年11月27日 by cool-jupiter

ザ・メニュー 70点
2022年11月26日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:レイフ・ファインズ アニャ・テイラー=ジョイ ニコラス・ホルト
監督:マーク・マイロッド

あらすじ

有名シェフのジュリアン・スローヴィク(レイフ・ファインズ)が手がける、孤島のレストラン「ホーソン」を訪れたマーゴ(アニャ・テイラー=ジョイ)とタイラー(ニコラス・ホルト)たち。絶品料理の数々に感動するタイラーを横目に、マーゴは違和感を覚える。そしてコースが進むにつれ、シェフの凝らした趣向がどんどんとエスカレートし、ある時ついに一線を越えてしまい・・・

ポジティブ・サイド

何とも奇妙な趣向を凝らした映画である。これでもかと瀟洒な料理を見せつけつつ、作り手たちが届けたいメッセージは食べ物に関することではない。食べ物を味わう姿勢、もっと言えば芸術作品そのものを味わう姿勢についてだ。

 

ごく少数の客が船に乗り、孤島のレストランに向かう様子は『 ナイル殺人事件 』を彷彿させ、否が応でもサスペンスが盛り上がる。孤島で出迎えてくれるエルサの存在がさらに不穏な空気を充満させる。この役者、ホン・チャウさんというらしい。方向性は全然違うが、『 カメラを止めるな! 』の竹原芳子(どんぐり)並みのインパクトを残したと思う。今後、どんどん売れて、最終的にミシェル・ヨーの領域を目指してほしい。

 

閑話休題。レイフ・ファインズ演じるシェフは技巧の限りを尽くしたフルコースを振る舞うが、一品ごとに小咄を挿入してくる。そこで彼が言う「ただ単に食べてはいけません。味わってください」=Don’t just eat. Taste. こそが本作のメッセージ、いや裏メッセージと言うべきか。芸術を消費するな、ちゃんと鑑賞しろという、一種の批判になっている。ごく最近、ファスト映画のアップロード者2名に5億円という目玉が飛び出るような賠償金請求が出たが、Jovianはこの判決はありだと考える。抑止力になることもそうだが、なによりファスト映画を消費することによって、映画を観たと堂々と言えるような風潮を世間に広めてはならないと思うからだ。

 

本作でもレストランオーナーの友人だという3人組が「一回あのレストランに言っておけば箔がつく」と話すシーンがあるが、これは味を楽しむ姿勢ではなく、単なるステータスを獲得しようという姿勢である。Jovianと同世代なら T.M.Revolution の『 WHITE BREATH 』の歌詞、「タランティーノぐらいレンタルしとかなきゃなんて、殴られた記憶もロクにないくせに」 を思い出すかもしれない。殴られる痛みを知らないのに、暴力的な映画を鑑賞して、その真価が分かるのか?という疑問である。ニコラス・ホルト演じるタイラーを通じて、シェフはこのことを非常に痛烈に批判してくる。こんなブログ書いてる俺も大丈夫かいなと心配になってきた。

 

最後の一品の際に、マーゴが機転を利かして虎口を脱するが、この知恵は見事だった。結局のところ、ファスト映画の消費や、あるいは配信などの形態に、古き良き劇場鑑賞という経験そのものが屈してしまう。それが認められない映画人による壮絶な自爆テロ的な寓意をはらんだ結末なのかと思う。

 

ネガティブ・サイド

『 フード・ラック!食運 』と同じく、食材の調達や調理のシーンが決定的に不足していた。撮影開始の前のロケハンや、大道具・小道具の作成、衣装の用意、役者のリハなど、映画製作もカメラが回り始めるよりも前の方が重要であると思う。料理も同じで、キッチンで調理をする前の段階こそが大事で、牡蠣を取るシーンにもっとクローズアップしたり、ハチミツや鶏卵を収穫するシーンを挿入することも出来たはずだ。またレイフ・ファインズ自身の調理シーンも、もう少し欲しかった。

 

趣向の一つとしての男性だけの逃走タイムは何だったのだろう。

 

アニャ・テイラー=ジョイのキャラの職業もちょっと捻りすぎかなと感じた。また。エルサとの対決の結果は、レストランの惨状とは無関係なので、そこをどうカバーするのだろうという疑問は残った。

 

総評

アニャ・テイラー=ジョイがR15+ということで、ついに脱ぐのか?という期待が高まったが、そういう意味でのR指定ではないので、スケベ映画ファンは期待してはいけない。またグルメ映画だと思ってもいけない。本作は一種のシチュエーション・スリラーだと思うべきだ。そのうえで豪華な食材=有名俳優を使って、美味を極めた料理=極上の映画を送り届けてきたと解釈すべし。つまり、レストラン「ホーソン」のゲスト=映画の観客なのだ。それを念頭に置いて鑑賞されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

theater

普通は劇場という意味だが、これは a theater のように冠詞がつく場合。劇中では、This is theater. = これはお芝居よ、のように使われていた。書籍『 マネーボール 』の原書でも、アート・ハウ監督のダグアウトでの在り方が、Everything was theater. =「何もかもが芝居なのだ」と訳されていた。a theater と theater の区別が適切にできれば、英検準1級以上はあるだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザリガニの鳴くところ 』
『 サイレント・ナイト 』
『 母性 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アニャ・テイラー=ジョイ, アメリカ, スリラー, ニコラス・ホルト, レイフ・ファインズ, 監督:マーク・マイロッド, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 ザ・メニュー 』 -Don’t just eat. Taste.-

『 RRR 』 -炎と水の英雄譚-

Posted on 2022年11月26日2022年11月26日 by cool-jupiter

RRR 80点
2022年11月23日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr. ラーム・チャラン
監督:S・S・ラージャマウリ

久しぶりのインド映画。『 バーフバリ 』のS・S・ラージャマウリ監督作品ということで、鑑賞後は心地よい疲労感に包まれた。

 

あらすじ

1920年、英国植民地下のインド。英国人に買われていった妹マリを救おうとするビーム(N・T・ラーマ・ラオ・Jr.)と、英国政府に仕え、インド人暴徒を鎮圧する警察官ラーマ。二人は事故に巻き込まれた少年を協力して救ったことから無二の親友となる。しかし、お互いが自分の使命を果たさんとする時、遂に二人は激突することになり・・・

ポジティブ・サイド

『 バーフバリ 』の前後編でも感じたが、インドの映画人は自らのビジョンを具体化するのに一切躊躇がない。これはS・S・ラージャマウリ監督だけかな。炎と水の勇者が冒頭から大暴れ。ラーマが暴徒の海に飛び込んで見せる無双アクションはやりすぎもいいところ。ビームが狼を仕留めようとして、結果的に虎を仕留めてしまうのも無茶苦茶。しかし観ている最中はまったくそう感じない。インド映画の魔力である。

 

二人が出会うきっかけになる少年の救出ミッションもメチャクチャ。二人が空中でがっちりと互いの手を握り合うシーンにはリアリティーの欠片もないのだが、それでも押し通してしまうラージャマウリ監督の怪力よ。そこから始まる二人の友情も美しい。インドは世界でも類を見ない多民族、多言語、多宗教の国なので、相互の理解はなかなか難しいと思われるが、逆に男と男の友情に言葉はいらないというテーゼを力強く提示しているとも感じた。

 

本作が近年のインド映画と少々異なっているのは、ダンスシーンを思い切りぶっこんでいるところ。国際的なマーケットで売るには、映画は2時間弱がベスト。ダンスシーンを入れてしまうと、それだけで数分は消費する。畢竟、近年の大作インド映画はダンスシーンが少ない、あるいは全くない、もしくはエンドクレジットに持ってくる。だが、本作は InteRRRval 前のストーリーの中盤あたりでナートゥというダンスのシーンがあり、これがまさにクレイジーの一語に尽きる。このナートゥが単なるダンスではなく、異文化対決であり、異文化交流であり、友情を深めるシーンでもあり、ラーマとビームの力関係を決定づける役割も担っている。

 

ビームはマリを見つけ、ラーマはスコット知事の邸宅に突入してきたビームと遂に激突。友情と使命の狭間で揺れる二人の対決は見応え抜群。そして絶妙なタイミングで InteRRRval へ。 

 

後半はいきなりビームがラーマに拷問を食らうシーンで、観ているだけで胸が痛い。ここでビームが取るある行動が、ラーマに、そして民衆に響く。ラージャマウリ監督は単なるアクションてんこ盛り作品を見せたいわけではなく、インドらしさを見せたいわけで、この後に現れるインド史上の超有名人の思想の先取りをここで披露する。この構成には恐れ入った。

 

後半では昇進を果たしたラーマの過去、そして真の目的が描写されるが、ここで明らかになる過去は暗く、そして重い。ラーマが親友や許嫁よりも大切にしたいものがあるということが痛いほど伝わってきた。そして、そのことを知ったビームによるラーマの救出劇と、そこから始まる二人の無双の活躍に言葉はいらない。人馬一体という言葉があるが、人人一体の大活躍である。客観的に見れば ( ゚Д゚)ハァ? なのだが、このアクションシーンを成立させてしまうのがラージャマウリ監督なんだな。そこから先は炎の戦士と水の戦士の超強力タッグによる英国紳士ぶっ殺しまくりタイムに突入。最後の最後にスコット知事もぶっ倒してスッキリ爽快。

 

本作は最後にほんの僅かな苦々しさも残す。ラーマが自分を牢獄から助け出してくれたビームにお礼をしたいと言う。そこでビームが欲しかったものに、インドという国の歴史、そして未来を見た気がした。もっと大袈裟に言うなら、独立不羈の国民国家を樹立するのに必要なのは腕っぷしや武器ではなく、ビームの欲したものこそが本当に必要なものなのだろう。教育業界の人間の端くれとして、非常に突き刺さるメッセージを最後に受け取った。

ネガティブ・サイド

エンディングのダンスシーンで少しだけ出てくるが、ビームとジェニーのその後についてほんの少しでよいので触れてほしかった。

 

毒にやられたり、結構な外傷を負ったりするが、ラーマの回復力が異常であるように思う。

 

THE STORYのR、FIREのR、WATERのRのように冒頭で表示されるが、WATERよりもFORESTのRの方がしっくり来る気がする。

 

総評

友情か、使命かというテーマの作品なら邦画で『 ヘルドッグス 』があったが、アクションは本作の方がはるかに上。岡田准一も原田監督も、ここまで突き抜けたアクションを志向してほしい。非常に不謹慎だが、InteRRRval 後の後編では「いけいけやれやれ、英国人どもをぶっ殺せ!」という気分で鑑賞してしまった。とにかく主役二人の友情とアクションが熱すぎる。これをマサラ上映で鑑賞したら、それだけで1kgぐらい痩せるような気がする。頭を空っぽにして3時間楽しめる、インド映画の傑作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

call

呼ぶ、の意。call A B という形で「AをBと呼ぶ」という意味になる。劇中ではビームが身振り手振りと片言英語でジェニーに名前を尋ね、Don’t call me ma’am, sir. It’s just Jenny. というセンテンスそのものを彼女の名前だと勘違いするシーンに笑った。ちなみに先日、業務で某アメリカ人女子プロゴルファーの通訳を行ったが、Jovianの第一声は What should I call you? =「 何とお呼びすればよいですか?」だった。便利なフレーズなので覚えておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザリガニの鳴くところ 』
『 サイレント・ナイト 』
『 母性 』

 

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『 ドント・ウォーリー・ダーリン 』 -トレイラーに(良い意味で)騙された-

Posted on 2022年11月23日2022年11月24日 by cool-jupiter

ドント・ウォーリー・ダーリン 65点
2022年11月19日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:フローレンス・ピュー ハリー・スタイルズ
監督:オリヴィア・ワイルド

『 ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー 』で鮮烈な青春映画を撮ったオリヴィア・ワイルドが、夫婦のサスペンス、あるいはミステリ風味の作品を送り出してきた。

 

あらすじ

夫ジャック(ハリー・スタイルズ)と幸せな結婚生活を送るアリス(フローレンス・ピュー)。夫の仕事は順調で、近隣の仲間たちとも良好な関係を築いていた。充実した日々を過ごすアリスだったが、次第に不可思議な現象に悩まされるようになり・・・



ポジティブ・サイド

これはジャンル分けが難しい。サスペンスのようでもあるし、ミステリのようでもある。おそらくスリラーに分類するのが正しいのだろが、なかなかそれを悟らせないストーリーテリングにはヤキモキさせられるものの、謎の正体が不明なため、それだけで緊張と興味が持続する。何を言っているのか分からないと思うが、本作はモヤモヤを楽しむ映画なのである。

 

幸せなカップルの女性を演じるフローレンス・ピューだが、『 ミッドサマー 』の印象は今も続いていて、「あ~、きっとトラウマ的な体験をするんだろうなあ」と思わせてくる。そう思わせて、実際にトラウマ的な体験をして、それできっちり観る側を満足させてくれるのだから大したもの。変なラブロマンスに出演するよりも、トニ・コレットの後継者路線を目指すべし。

 

どこか『 アス 』や『 アンテベラム 』を思わせる雰囲気の共同体で、夫たちが順調に仕事をしている留守を守る、夫の不在を存分に享受する妻たちの姿は美しい。にもかかわらず、徐々に流れていく不協和音。夫たちの仕事とは何か。消えた友人はどうなったのか。街そのものが何かおかしいことを訴えるアリスと、Don’t worry, darling 的な態度に終始する夫ジャックのすれ違いに、奇妙な共感をする夫婦は多いのではないか。本作の見所は、男性が「女性目線」に立ってフェミニズムを体現しようとしている様を、女性監督が「男性目線」から見えているであろうフェミニズムを体現しようという、一種の入れ子構造にある。

 

ネタバレになるので白字にするが、『 ラスト・ナイト・イン・ソーホー 』的な物語なのかな?と思わせておいて『 レミニセンス 』的な話だった。是非とも夫婦で鑑賞してほしい。これは、ある意味でとてもまっすぐな愛の物語だから。

 

ネガティブ・サイド

本作のトリックはそれなりにショッキングなものだが、フェアな伏線が張られていたとは言い難い。せいぜい中身のない卵くらいか。というか、あの飛行機は何?あれで『 アンテベラム 』を想起した人も多いと思うが、あの飛行機墜落はかなり強引な演出だった。

 

できれば全てのキャラたちの背景を語って欲しかった。カップルたちの奇妙な出会いの共通点などが語られ、街の核心に迫っていこうとするところで、そこには至らず。オリヴィア・ワイルドは監督としての職権乱用ではなかろうか。

 

ジェンマ・チャンのキャラクターも拍子抜け。「お、仁義なき女の戦いが勃発か?」というところで物語そのものがフェードアウト。ここは決着をつけてほしかった。

 

総評

非常に複雑なフェミニズム映画という印象。間違っても『 ミッドサマー 』的なノリで若者がデートで観るような映画ではない。夫婦、できれば共働き夫婦で鑑賞してほしい。特に日本は不景気でDINKSも増えている。本作が夫婦関係を見つめ直すヒントになるかもしれない。また。こうした世界が現実に到来する予感も漂っている。ユートピア=ディストピアという図式を、古い革袋に新しい酒という形で提示する意欲作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a shoulder to cry on

『 エンダーのゲーム 』でも紹介した表現。そこで泣くための肩という意味で、弱音や愚痴を聞いてくれる人の意味。もうすぐホリデーシーズンなので『 ラスト・クリスマス 』が聞こえてきたら耳を澄ましてみよう。Me? I wish I was a shoulder to cry on ♪♪♪

 

次に劇場鑑賞したい映画

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『 ザリガニの鳴くところ 』
『 サイレント・ナイト 』

 

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『 ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー 』 -C・ボーズマンの穴は大きかった-

Posted on 2022年11月15日 by cool-jupiter

ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー 50点
2022年11月13日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:レティーシャ・ライト ルピタ・ニョンゴ テノッチ・ウエルタ
監督:ライアン・クーグラー

チャドウィック・ボーズマンの病死により、ブラックパンサーという強キャラもMCUから強制退場。後を継ぐのが誰かは誰でもわかる。問題はその継承の必然性だが、そこの部分がやはり弱かった。

 

あらすじ

国王ティ・チャラの不慮の死により、ワカンダ王国は危機に立たされた。ティ・チャラの母ラモンダが玉座に就くも、アメリカやフランスなどの大国はワカンダにヴィブラニウムの供出を迫ってくる。拒否するラモンダだが、ある海域の海底でヴィブラニウムらしき鉱物が発見された。同時にワカンダは謎の海底人ネイモア(テノッチ・ウエルタ)に攻撃される。ワカンダはヴィブラニウム探知機の発明者の捜索とネイモア撃退の両方に取り組むが・・・

ポジティブ・サイド

MCU映画のお決まりのオープニングが無音。映像の全てがチャドウィック・ボーズマンだった。スタン・リーが亡くなった時にも、こんなことはなかったように記憶している。キャラクターと役者が切り離せない例はいくつかあるが、チャドウィック・ボーズマンはブラックパンサーのイメージにぴったりだったなとあらためて実感した。

 

ワカンダという国家が絶対的な王を失って、それでも国として存続していくために新たなリーダーシップが求められる。新王に君臨するラモンダの気迫は素晴らしい。その一方で、息子を失った母としての悲嘆、さらにその悲嘆を乗り越える術をシュリに授けようとする姿勢も見せるなど、キャラクターの描き方が上手い。王ではなく兄を失ったと認識しているシュリとは対照的で、このコントラストが中盤の大事件を大いに盛り上げ、シュリの、ある意味で非常に強制的な成長物語につながっていく。

 

タロカンおよびそれを率いるネイモアを単なる悪ではなく、自分たちなりの正義を信奉する集団として描くことで、思いがけず現実世界の戦争と重なるものがあった。資源があれば分捕りに行くというアメリカ的な発想(コロンブスの時代のヨーロッパ的と言うべきか?)が戦争を生み出すわけで、アメリカがアメリカ自身を悪と描き始めたところに、能天気なMCU世界も少しは陰影を帯びてきた感じがして、なかなかよろしい。タロカンとワカンダが次なるフェーズで同盟を組むのか、それとも再び敵対するのか。一応、続きに関心の持てる作りにはなっている。

ネガティブ・サイド

うーむ、ところどころは面白いが、観終わって感じるのはお涙頂戴の長大なCMになってしまっているということ。CMはいいから、全編を通じてブラックパンサーへの哀悼の意を表すこと、そしてシュリの成長を描くこと。これだけに注力して、1時間45分にまとめるべきだった。3時間弱は長すぎる。

 

それを言っちゃあお終いよだが、ネイモアもタロカン帝国も不要。アメリカ(別にフランスでもいい)がヴィブラニウムを狙って、カリスマ的な王の不在を狙ってワカンダを急襲。このプロットで良かったのでは?迫りくるUSモブ兵を迎え撃つワカンダ軍。その先頭を突っ走っていくという、『 アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー 』でのキャプテン・アメリカとブラックパンサーの一番の見せ場を再現すれば、個人的にはそれだけで新ブラックパンサーとして単純に認められたのだが。

 

タロカン帝国も、「それはもう『 アクアマン 』でやっただろ?」という感じ。これまではDCEUがMCUを追いかけていたのに、まさかここでMCUがDCEUの真似をするとは。

 

エンドクレジット中の映像はなあ・・・。これには絶対賛否両論があるはず。Jovianは否である。これだと新たなキルモンガーを生み出すだけでは?

 

総評

『 クリード チャンプを継ぐ男 』で見事に伝説の継承を成功裏に成し遂げたR・クーグラー監督だったが、今作にその切れ味はなし。結局のところサノスという絶対的なボスキャラ不在のMCUの現フェーズは、一作一作が次作への壮大なCMになっている。『 ブラック・ウィドウ 』然り、『 ソー ラブ&サンダー 』然り。早く次のフェーズの展望を見せてくれないと、ハードコアなMCUファンしかついてこなくなると思うよ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

blend in

ブレンドは日本語になっている語。それに in をつけることで「(周囲に)溶け込む」とうい意味になる。劇中では、大学キャンパスに入ろうとするナキアをシュリが制する。その時の台詞が ”I can blend in as a student.” =「私なら学生として溶け込める」である。英検準1級以上を目指すなら知っておきたい。確か『 アウトレイジ 』で加瀬亮も、黒人大使に向かって、”It’s dark. You’ll blend right in.” =「暗いから、誰もお前に気付かねえよ」と言うシーンがあったかな。

 

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