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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: B Rank

『 ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション 』 -無国籍テロ軍団を止められるか-

Posted on 2023年7月24日 by cool-jupiter

ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション 75点
2023年7月17日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:トム・クルーズ レベッカ・ファーガソン
監督:クリストファー・マッカリー

 

最新作鑑賞前の復習。簡易レビュー。

あらすじ

IMFのロンドン支部でメッセージを受け取ったイーサン・ハント(トム・クルーズ)。しかし、メッセージはIMFではなく「シンジケート」という謎の組織からだった。囚われの身となったハントだったが、謎の女性イルサ(レベッカ・ファーガソン)に救われ・・・

 

ポジティブ・サイド

トム・クルーズが空に水中にと縦横無尽のアクションを魅せる。さらにウィーンのオペラ公演の舞台裏で各勢力が暗躍。スパイ映画らしい隠密作戦の要素も復活して、これは高く評価できる。

 

シリーズお馴染みの何らかのガジェットを追い求める展開は健在。今回はそれがUSBなのだが、それを追う謎の美女イルサの存在が物語をすこぶる面白くしている。敵なのか味方なのか。虚々実々の駆け引きとアクションで緊張感が途切れない。

敵が国家あるいは国家組織から、明確な無国籍になったのも本作の特徴か。MI6上がりのソロモン・レーンは、一歩間違えればイーサン・ハント自身の将来像にもなりうるという点で、これまでのヴィランとは一線を画していた。インテリ系の見た目とやや高い声ながら、常に冷徹さを醸し出している。

 

シリーズの中でも屈指の面白さだと感じる。

 

ネガティブ・サイド

スリリングな展開が続くのだが結局IMFのメンバーは無事、というのが予定調和になっていて、スリルはあるがハラハラドキドキはしない。このあたりが長期シリーズの弊害か。

 

最後の最後がなあ・・・ どう考えても跳弾でレーンは大怪我をするのでは。

 

総評

スパイ映画や小説の華やかなりし時代から、確実に時代の変化に合わせてシリーズも変化を遂げている。走りまくるトム・クルーズを見て「俺も頑張らなあかんな」と感じる同士諸賢も多いはず。年を取ることは避けられないが、本作を鑑賞して、せめてトム・クルーズのように年を取ろうと心がけようではないか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

keep a low profile

目立たないようにしておく、の意味。スキャンダルのあった芸能人は往々にして keep a low profile して、ほとぼりが冷めるのを待つものだったが、最近の芸能人は自分から火に油を注ぐ = add fuel to the fire しているように思える。こちらのフレーズも覚えておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 』
『 658km、陽子の旅 』
『 神回 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アクション, アメリカ, トム・クルーズ, レベッカ・ファーガソン, 監督:クリストファー・マッカリー, 配給会社:パラマウントLeave a Comment on 『 ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション 』 -無国籍テロ軍団を止められるか-

『 君たちはどう生きるか 』 -宮崎駿の遺言-

Posted on 2023年7月23日 by cool-jupiter

君たちはどう生きるか 70点
2023年7月15日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:山時聡真
監督:宮崎駿

『 風立ちぬ 』以来の宮崎駿の監督作品。これは一種の遺言だと思われる。本作は前情報が全くない状態で公開され、世間のレビュワー諸賢もネタバレにならないように慎重に本作を評している。なのでJovianもネタバレを割けてレビューをしたい。

 

あらすじ

眞人(山時聡真)は病院火災で最愛の母を亡くした。失意の父と共に田舎に疎開することになった眞人は、そこで不思議なアオサギに出会う。アオサギは眞人に「母親はまだ生きている」と告げてくる。眞人はアオサギを追って、離れにある不思議な塔に足を踏み入れて・・・

ポジティブ・サイド

ジブリ映画の集大成。といっても『 となりのトトロ 』や『 魔女の宅急便 』ではなく、『 千と千尋の神隠し 』や『 ハウルの動く城 』、『 崖の上のポニョ 』的な世界観が強く打ち出されている。思慕と別離の世界だ。

 

眞人が迷い込む世界は時の流れを超越した世界。そこでは過去と未来、生と死が混在している。二重らせんならぬ一重らせんはなかなかユニーク。コウノトリならぬペリカンがそれを食べる。なんというカオス。

 

その世界の深奥に鎮座ましますのは宮崎駿その人。世界はおもちゃ。しかしそれはもう崩壊する。誰かが新しいおもちゃを作らなければ。『 ネバー・エンディング・ストーリー 』的で、虚無が世界を覆う時、誰かが物語ることで世界を再生させなければならないということか。

 

物語として見ればイマイチかもしれないが、自伝かつ遺書だと思って鑑賞すれば、様々な解釈=メッセージが受け取れる良作だろう。我々はこの混迷の世界を生き残れるのか。我々はこの世界に真の友を持つことができるのか。我々は後継者を残すことができるのか。メッセージの受け取り方はなんでもいい。何かを感じ取れれば、それだけで充分。

ネガティブ・サイド

これはもうしゃーないのだが、やっぱり本職の声優を使ってくれないと、一発で醒めてしまう時がある。某女性キャラの声は聞いた瞬間に〇〇だなと分かってしまう。もちろんそういう声優もいるが、その場合に思い浮かぶのは声優の名前であって顔ではない。俳優や女優の場合、その人間の顔が思い浮かんでしまう。これはもう宮崎駿作品を観る時の修行というか、心構えだろう。不承不承に受け入れるしかない。

 

キリコが眞人を救出してくれた、あの石舞台古墳みたいなものは結局何だったのだろうか。

 

総評

普通に面白い。前情報なしでも楽しめる。ただし純粋なエンタメとして鑑賞するにはメッセージ性が強すぎるとも感じる。ジブリ作品をリアルタイムで追うことができなかった若い世代からすると、老い先短い老人がえらく説教臭い作品を作ったな、ぐらいにしか感じないかもしれない。コロナ禍で『 風の谷のナウシカ 』や『 もののけ姫 』がリバイバル上映されたが、ああいう試みを日本映画界はもっとやっておくべきだった。大学の後期が始まったら、若い世代に本作の感想をちょこっと聞いてみよう。宮崎の問いは40代ではなく10代に向けられているはずだから。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

heron

サギの意。鳥は非常に数が多いが、人間に馴染みのある動物でもある。少し田舎に行けば、あるいは水田や、それなりの池がある地域なら目にすることが多いだろう。NPBやMLBに将来、The Blue Herons なるチームが誕生するかもしれない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 』
『 658km、陽子の旅 』
『 神回 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, アニメ, ファンタジー, 山時聡真, 日本, 監督:宮崎駿, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 君たちはどう生きるか 』 -宮崎駿の遺言-

『 リバー、流れないでよ 』 -タイムループものの秀作-

Posted on 2023年7月10日 by cool-jupiter

リバー、流れないでよ 70点
2023年7月2日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:藤谷理子
監督:山口淳太

嫁が観たいというのでチケット購入。『 MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない 』に次ぐタイムループものの秀作だった。

 

あらすじ

京都・貴船の老舗旅館で働くミコト(藤谷理子)は、ある時、自分が特定の2分間を繰り返していることに気づく。そしてそれは自分だけではなく、旅館の他の従業員や宿泊客も同じだった。一同は何とかしてループから抜け出そうと知恵を絞るが・・・

ポジティブ・サイド

タイムループものは小説でも映画でも数多く生み出されてきたが、ループの幅が2分というのは異例の短さではないだろうか。本作は2分という限られた時間のループをひたすら繰り返すことで、「次はどうなる?」、「え、これってどういうこと?」という観る側の思考を次から次に刺激してきて飽きさせない。

 

キャラクターたちの掛け合いも、基本全員が関西人(京都人)なのでノリがいい。高速の会話劇が旅館内部で、時には道路を挟んだ別館まで巻き込んで、従業員たち、そして宿泊客たちも巻き込んで、毎ループごとに少しずつ物語を進めていく。

 

途中で、ループの真相というか原因が明かされ、「まあ、京都やしな」と一瞬納得させられてしまう。だがしかし、真相はそんなものではなかった。正直、デウス・エクス・マキナなのだが、そこに至るまでが面白いので許せてしまう。『 ファウスト 』ならずとも「時よ止まれ」と思うことは誰にでもある。しかし未来は否応なくやって来る。現在とは、それを受け止める準備をすることなのだろう(つまり、本作は京都らしいハイデガー哲学の映画化なのだ)。

 

そうそう、ひとつ感心したのが、ミコトがループの最初に戻った瞬間に野鳥(コガラ)のディーディーディーという鳴き声が聞こえる時と聞こえない時があるが、それが聞こえる時にはミコトは真っ先に他の従業員のところに向かっていく(ように思えた)。だとすると山口監督、相当な手練れである。これから鑑賞する方はコガラの鳴き声にも注意されたし。

 

ネガティブ・サイド

刃傷沙汰になったり、自殺したりと、途中で結構ハラハラする展開になるのだが、ミコトが殺されるルートがありそうと思わせてなかったのは何故?絶対あの作家先生が行き詰っていた原因である、キャラクターの死生観とリンクしてくると思った。鞍馬山で、あの世界観の中で「私は天狗です」とか言ったら、かなりの確率で一回は撃たれると思うのだが。

 

総評

『 四畳半神話大系 』や『 四畳半タイムマシンブルース 』の脚本を担当してきた上田誠が、またしても京都を舞台にした良作を送り届けてくれた。記憶喪失ものとタイムトラベル or タイムループものは、オープニングが抜群に面白く、しかし最後は尻すぼみというパターンが非常に多い。本作もまさにそのパターンにはまっているのは残念。けれど、まあ、そこに至るまでに散々楽しませてくれるから良しとしようではないか。ちなみにJovianはこの夏もしくは秋に嫁さんと貴船旅行に行くことにした。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

break the loop

ループを解く、の意。反対は get stuck in a loop = ループにはまる。近年でも『 パーム・スプリングス 』が製作されたように、タイムループものは定期的に出てくる。なので、映画ファンかつ英語学習者なら、これらの基本的な表現は知っておいていいだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 忌怪島 きかいじま 』
『 探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 』
『 Pearl パール 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, SF, ヒューマンドラマ, 日本, 監督:山口淳太, 藤谷理子, 配給会社:トリウッドLeave a Comment on 『 リバー、流れないでよ 』 -タイムループものの秀作-

『 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 』 -さらば冒険の日々-

Posted on 2023年7月8日 by cool-jupiter

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 70点
2023年7月1日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ハリソン・フォード マッツ・ミケルソン カレン・アレン
監督:ジェームズ・マンゴールド

 

インディ・ジョーンズの引退作品。前作の『 インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国 』がアレだったせいか、予想以上に楽しめた。

あらすじ

学校を退官したインディ・ジョーンズだが、妻マリオン(カレン・アレン)とは別居中で、俗世にもなじめずにいた。そんな彼の前に教え子のヘレナが現れ、インディが若き日に発見し、紛失したアンティキティラの片割れを見つけることができると言う。インディは、アンティキティラを求めて迫りくる敵から逃れつつ、再び冒険の旅に出ることになり・・・

 

ポジティブ・サイド

ハリソン・フォードが最後となるインディ・ジョーンズ役を等身大で演じた。ここでいう等身大とはもちろん80歳手前のお爺さんのこと。

 

もちろんいきなり年老いたインディを見せられてもアレなので、デジタル・ディエイジング技術でもって若き日のインディ・ジョーンズをスクリーンに復活させた。シリーズ恒例のノンストップ・アクションが炸裂。ジョン・ウィリアムズの “Raiders March” ともあいまって、一気にインディ・ジョーンズの世界に入っていける。

 

舞台は一転して現在(1969年)。大学も退官し、俗世に馴染めないインディの姿にはどうしたって哀愁が漂う。これまでの作品では学生は皆、熱心に授業を聞いてくれていたし、オフィス・アワーでもないのに質問攻めにあっていた。同じ大学教員の端くれとして、インディの気持ちはよく分かる。

 

その一方でナチスと激闘を繰り広げ、米軍のスパイとしても大活躍したインディが “I like Ike.” はまだしも、“Hell no, we won’t go!” を叫ぶ姿にも違和感を覚えたが、これは計算された伏線であった。なるほどなあ、前作はインディ・ジョーンズというキャラが、インディ・ジョーンズという人間であったという面を掘り下げたが、今作はそうした面をさらに追求したと言える。

 

今回のガジェットは、ちょっとした歴史好き(歴山大王がパッと誰だか分かれば十分な歴史好きだ)なら誰もが知っているアンティキティラ、そしてキーパーソンはアルキメデス。『 インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 』の聖杯以外はフィクション要素満載だったシリーズが、現実に近づいてきた。これもキャラクターとしてのインディ・ジョーンズの人間的側面をより強く描きたいという製作者側の願望もしくは狙いなのだろう。

 

シリーズ恒例の世界を股にかけた大冒険は本作でも健在。謎解きの面白さも維持されているし、 共に冒険に出るヘレナやテディもキャラが立っている。マッツ・ミケルセンがインテリかつ過激思想の持ち主というヴィランを好演。東西冷戦は軍拡競争、すなわち科学力の争い。考古学とは相容れない。だからこそ、芸術や文化、歴史を破壊しようとしたナチスをもう一度敵役に据える、という判断は賢明だった。最初は『 帰ってきたヒトラー 』か、いやいや変化球で『 ブラジルから来た少年 』的なものを狙っているのかと思ったが、このヴィランはさらに違うことを考えていた。

 

クライマックスのインディの決断には涙が出そうになった。厭世家にならざるを得なかったインディならではの心情だろう。

 

そうそう、『 インディ・ジョーンズ 最後の聖戦 』の数少ないネガティブだった、古典語を話すインディ・ジョーンズが第5作にしてついに実現。ラテン語学習者のJovianは一人歓喜した(インディたちが話したのはラテン語ではなかったが)。

 

ネガティブ・サイド

アンティキティラのもう半分を探す必然性をインディ自身が持っていない。ヘレナを追う敵から、知らない間に一緒に逃げるという、かなり消極的な冒険への旅立ち。もっとインディ自身の探求心を刺激するイベントが必要だった。

 

バンデラスの扱いが雑。『 エクスペンダブルズ 』のドルフ・ラングレンよりも酷い。

 

シリーズ恒例のユーモアとホラー要素が薄かった。前作がアレだったとはいえ、やはりスピルバーグ御大がメガホンをとるべきだったのではないか。

 

総評

意味ありげなラストシーンは、ついに安住の地を見つけたインディが、冒険はやめるけど、インディアナ・ジョーンズであることはやめない、という宣言なのだろう。そこからの爆音レイダース・マーチで、シリーズは本当に終わったのだなと実感した。トム・クルーズが本作鑑賞後に「自分も80歳までイーサン・ハントを演じたい」と言ったそうな。とりあえず、ハリソン・フォード、お疲れ様!

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Give’ em hell!

直訳すれば「あいつらに地獄を見せてやれ」だが、実際は激励の言葉として使われる。『 トップガン マーヴェリック 』でも出撃前にハングマンがルースターに You give ‘em hell! =ぶちかませ、と言っていた。状況によって「やってやれ!」「お前ならできる!」のようにも訳せる。デカい勝負(プレゼンや入札など)に出る同僚にかける言葉としてもありだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 リバー、流れないでよ 』
『 忌怪島 きかいじま 』
『 探偵マリコの生涯で一番悲惨な日 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アドベンチャー, アメリカ, カレン・アレン, ハリソン・フォード, マッツ・ミケルセン, 監督:ジェームズ・マンゴールド, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 』 -さらば冒険の日々-

『 ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル 』 -世界を股にかけるスパイ-

Posted on 2023年7月7日 by cool-jupiter

ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル 70点
2023年6月29日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:トム・クルーズ ジェレミー・レナー サイモン・ペッグ
監督:ブラッド・バード

簡易レビュー。

 

あらすじ

クレムリン爆破の嫌疑をかけられてしまったイーサン・ハント(トム・クルーズ)とチームの面々。ホワイトハウスはゴースト・プロトコルを発動し、IMFを米政府から切り離してしまった。孤立無援となったイーサンたちは潔白を証明するために動き出すが、そこには恐るべき核テロリストの陰謀が秘められていて・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭のスパイ大脱出成功と見せかけて、いきなり暗殺者に始末されてしまうシーンは good 。レア・セドゥが、まるで劇画『 ゴルゴ13 』に出てきそうな女暗殺者を好演した。

 

イーサン・ハントのモスクワの刑務所大脱走からクレムリンの大爆発まで、これでもかというアクション・シークエンスの連続で、まさに出血大サービス。トム・クルーズを愛でるならココですよ、というアピールがすごい。

 

今回はIMFの公式なバックアップなしでのミッションとなり、まさにチームとしての知恵と力、チームワークが試された。その中でも Guy in the chair であるはずのサイモン・ペッグ演じるベンジーが偽装フロアでの取引に登場。シリーズの中でも一味違うサスペンスとユーモアを生み出している。

 

ウクライナ侵攻によってロシアの意外な弱さと、それによって逆に浮き彫りになった核兵器の恐怖を本作は巧みに描き出している。

 

前作で結婚したジュリアは?というところもプロットに組み込んだのは上手いと感じた。

 

ネガティブ・サイド

本作あたりから明確にスパイ映画からアクション映画に舵を切ってしまったという印象。ブルジュ・ハリファの宣伝も兼ねているのだろうが、こんな超高層ビルの外壁を登ったり、その上層階から人間を突き落としたりしたら大騒ぎになるはず。隠密行動でもってサスペンスを生み出すという初期作品の様式に立ち返ってほしいのだが。

 

総評

スパイらしさをどんどんなくしていくが、トリックとアクションはそれに反比例するかのように豪華になっていく。宙吊り状態のハラハラドキドキよりも、こちらの路線の方が単純に楽しめるのは確か。9.11以後は観客がリアリティを求めるのではなく、カタルシスを求めるようになってきた。そうしたトレンドに上手く乗った作品とも言えるかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

glue

糊付けする、の意。Blue is glue は確かに分かりやすい。映画では Stay glued to me. =俺から絶対に離れるな、という台詞がよく聞こえる気がする。そして、たいていヒロインが離れていってしまう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 リバー、流れないでよ 』
『 忌怪島 きかいじま 』
『 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アクション, アメリカ, サイモン・ペッグ, ジェレミー・レナー, トム・クルーズ, 監督:ブラッド・バード, 配給会社:パラマウントLeave a Comment on 『 ミッション・インポッシブル ゴースト・プロトコル 』 -世界を股にかけるスパイ-

『 告白、あるいは完璧な弁護 』 -珠玉の韓流サスペンス-

Posted on 2023年7月2日 by cool-jupiter

告白、あるいは完璧な弁護 75点
2023年6月25日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:ソ・ジソブ ナナ キム・ユンジン
監督:ユン・ジョンソク

簡易レビュー。

 

あらすじ

IT企業の社長ユ・ミンホ(ソ・ジソブ)の不倫相手キム・セヒ(ナナ)がホテルの密室で殺害された。第一容疑者となったミンホは犯行を否認。弁護士ヤン・シネ(キム・ユンジン)を雇い、自身の無実を証明しようとする。シネは弁護のために事実を知る必要があると主張し、ミンホに情報提供を迫る。その過程で、ミンホは殺人事件前日の交通事故について語り始め・・・

ポジティブ・サイド

これは快作。いや、怪作か。ほとんどすべてが室内の会話劇で、これほどミステリとサスペンスの両方を盛り上げるとは。無実を訴える殺人事件の容疑者と、その無罪判決を勝ち取るためには事実を知る必要があると主張する弁護士の会話劇がたまらなくリアルだ。Jovianの過去の受講生には弁護士の先生が数名おられたが、一様におっしゃっていたのは「黒の人を灰色にすることはできる。だが、自分は灰色だと主張する人を白にはできない」ということだった。シネがミンホに迫るのは、このようなプロフェッショナリズムから来るもので、だからこそあの手この手でミンホの口を割らせようとする。

 

そのミンホの語る事件および前日の交通事故についても、何が事実なのかが分からない。供述は二転三転し、それによって殺害されたセヒが哀れな被害者にも見えてくるし、その逆に稀代の悪女のようにも見えてくる。演じたナナは韓流アイドルらしいが、あちらのアイドルの演技力というのは高いのだなあと感心。めちゃくちゃ美人なのだが、その顔つきがミンホの回想シーンとシネの推理シーンで、別人かと見まがうほどに変わる。素晴らしい演技力である。

 

最後のドンデン返しの連発には鳥肌が立った。いや、最初のドンデン返しには割と早い段階で予想がついていたが、その後の展開には茫然自失。自分はいったい何を観ていたのか。脚本も務めたユン・ジュンソク監督自らがオリジナルのスペイン映画を大幅に改稿したそうだが、『 おとなの事情 スマホをのぞいたら 』のように、邦画界もリメイクに乗り出そうではないか。

 

ネガティブ・サイド

『 最後まで行く 』でも感じたが、韓国のクルマにはエアバッグがないのか?

一部の推測が荒唐無稽すぎで、まるで『 謎解きはディナーのあとで 』のようだった。理論的に可能なことと現実的に可能なことの間には、実際はとんでもない開きが存在する。ここのところにもっと説得力ある仮説が提示できていれば、さらに一段上の評価になったはず。

 

総評

韓国映画お得意の恨に基づくリベンジ・ストーリーで、大傑作『 オールド・ボーイ 』的な用意周到さ。観ている最中は「ははーん、これはアレだな」と割とすぐにピンとくるのだが、それすらも製作者の罠。久々に清々しく騙されたというか、作り手の意図にまんまと引っかかってしまった。悔しいが、爽快な悔しさである。ぜひ多くの人に鑑賞してもらい、見逃してしまった数々の伏線の鮮やかさに地団太を踏んでほしい。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

チンシル

真実の意。ちなみに事実はサシル。Jovianは大学の恩師の影響か、事実はひとつ、真実は複数あると思っている。なので本作による真実の描き方には感じいるものがあった。チンシルやサシルは韓国映画では割と頻繁に聞こえる語彙なので、耳を澄ませてみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 リバー、流れないでよ 』
『 忌怪島 きかいじま 』
『 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, キム・ユンジン, サスペンス, スリラー, ソ・ジソブ, ナナ, ミステリ, 監督:ユン・ジュンソク, 配給会社:シンカ, 韓国Leave a Comment on 『 告白、あるいは完璧な弁護 』 -珠玉の韓流サスペンス-

『 M:i:III 』 -スパイの私生活-

Posted on 2023年6月29日 by cool-jupiter

M:i:III 70点
2023年6月21日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:トム・クルーズ フィリップ・シーモア・ホフマン
監督:J・J・エイブラムス

簡易レビュー。

 

あらすじ

エージェントだったイーサン・ハント(トム・クルーズ)は教官として新人育成に日々勤しんでいた。恋人ジュリアとの結婚も間近で、穏やかな日々を過ごしていた。ある日、教え子リンジーが敵に捕らえられたとの報に触れたイーサンは、自ら救出に乗り出す。そこには武器商人デイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)のある思惑も絡んでいて・・・

 

ポジティブ・サイド

今回の悪役も魅力的。『 セント・オブ・ウーマン/夢の香り 』の悪役少年が、アダルトな悪人になって帰ってきた。前作『 M:I-2 』で強調された、ヒーローを際立たせる存在としての悪が、本作でさらに極まった感がある。

 

現役バリバリから教官へ、そしてまたミッションに復帰と、まるで『 トップガン マーヴェリック 』のようなストーリー。というか、TGMがこっちを参照したのかな?

 

今回も裏切りに次ぐ裏切りで、ブライアン・フリーマントル的な世界を存分に堪能できる。また鼻からマイクロ爆弾を射ち込むというのもスパイもしくは武器商人的でよい。派手なドンパチではなく、隠密行動や目立たない武器こそスパイの華だ。

 

トム・クルーズはたいていの作品で走っているが、走る男のイメージを決定づけたのは本作なのではないかと思う。

 

ネガティブ・サイド

ラビット・フットとは結局何なのか。再鑑賞しても断片的なヒントからでは推測すらできない。『 世にも奇妙な物語 』のズンドコベロンチョかいな。

 

本作あたりからシリーズの方向性がスパイ大作戦というよりもアクション活劇になってきた。もっとゲームの『 メタルギアソリッド 』的な展開が見たいのだが。

 

総評

サイモン・ペッグが本格的に加わって、ミッション・インポッシブル的になってきた。アクションもサスペンスも盛り上がるが、謎解き的な要素が弱い。恋多きイーサン・ハントが、ここでいったん落ち着くのかなと思わせる終わらせ方は個人的には嫌いではない。悪役が強かな作品というのは、やっぱり面白い。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

stand for ~

~を意味する、の意。The USA stands for the United States of America. のように使う。What does IMF stand for? への答えは、本作を鑑賞して確かめられたい。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ザ・フラッシュ 』
『 告白、あるいは完璧な弁護 』
『 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, B Rank, アクション, アメリカ, トム・クルーズ, フィリップ・シーモア・ホフマン, 監督:J・J・エイブラムス, 配給会社:UIPLeave a Comment on 『 M:i:III 』 -スパイの私生活-

『 M:I-2 』 -バイオテロを防げ-

Posted on 2023年6月19日 by cool-jupiter

M:I-2 70点
2023年6月12日 レンタルBlu rayにて鑑賞
出演:トム・クルーズ ダンディ・ニュートン ダグレイ・スコット
監督:ジョン・ウー

最新作公開前に復習のため再鑑賞。簡易レビュー。

 

あらすじ

IMFのエージェントであるイーサン・ハント(トム・クルーズ)の次なる任務は、元IMF諜報員であるアンブローズ(ダグレイ・スコット)の持つ殺人ウィルスと解毒剤を奪取すること。魅力的な女泥棒ナイア(ダンディ・ニュートン)と共にミッションに挑むハントだが・・・

 

ポジティブ・サイド

殺人ウィルスによるバイオテロは映画や小説ではお馴染み過ぎるネタだが、コロナ禍を経験した今の目で見ることで、逆に新鮮味が増している。

 

真の英雄を求めんとするなら、その対極に位置に来る悪役が必要という考え方には説得力がある。最も強力な例は『 ダークナイト 』におけるジョーカーだろう。彼の言う You complete me. という台詞は、実はバットマンからジョーカーに向けて言っても成立してしまうセリフだ。

 

スパイvs元スパイというのは、漫画『 ゴルゴ13 』でお馴染みの構図だし、最近でも『 グレイマン 』の序盤がそうだった。本作はスパイ同士のスペシャリスト対決で、巧みに施設に侵入するハントと、ド派手なアクションで敵を倒していくハントの二つの面が味わえる。人間同士の飽くなき闘争の根源を追求するジョン・ウー監督とアクション俳優トム・クルーズの面目躍如たる快作。

 

ネガティブ・サイド

ナイアの立ち位置がころころ変わる(ように見える)のはややこしい。

 

ヴィランたるアンブローズがかなり間抜け。元IMFのエージェントなら、そこはもっと早く気付けよと言いたくなるシーンが終盤にある。

 

総評

The pharmaceutical industry does not create cures, they create customers. = 製薬業界は治療法を作り出すのではない。奴らは顧客を生み出しているのだ、という言説は定期的に取り上げられてきたし、実際にコロナ禍、特にワクチン開発の前後にこの言葉が再び注目を集めた。まさにそうした製薬業界の闇に娯楽要素をけれんみたっぷりに加えて出来上がったのが本作である。20年以上前の作品だが、再鑑賞するなら今だろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a walk in the park

公園内をひと歩き、転じて「極めて簡単なこと」の意。アンソニー・ホプキンスが劇中で言う “Well, this is not mission difficult, Mr. Hunt. It’s mission impossible. Difficult should be a walk in the park for you.” = これは困難なミッションではないのだよ、ハント君。これは不可能なミッションなのだ。困難は君にとっては簡単だろう、という台詞がイーサン・ハントのプライドをくすぐる。ちなみにこの a walk in the park は『 トップガン 』の冒頭でマーベリックがクーガーに対して言うセリフでもある。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 水は海に向かって流れる 』
『 M3GAN/ミーガン 』
『 ザ・フラッシュ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, B Rank, アクション, アメリカ, ダグレイ・スコット, ダンディ・ニュートン, トム・クルーズ, 監督:ジョン・ウー, 配給会社:UIPLeave a Comment on 『 M:I-2 』 -バイオテロを防げ-

『 渇水 』 -この流れは変わるのか-

Posted on 2023年6月17日 by cool-jupiter

渇水 75点
2023年6月11日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:生田斗真 磯村勇人 門脇麦 山崎七海 柚穂
監督:高橋正弥

 

簡易レビュー。

 

あらすじ

水道局員の岩切(生田斗真)は、水道料金未納者の自宅を訪れ、日々黙々と停水を執行していた。ある日、とある母子家庭で見かけた恵子(山崎七海)と久美子(柚穂)の姉妹に、別居して暮らしている我が子の姿を見出した岩切は、生き方の流れを変えたいと徐々に思い始め・・・

 

ポジティブ・サイド

生田斗真といえば『 土竜の唄 』シリーズのイメージが強いが、本作のような陰のある男の役も板についてきた。少し年の離れた相棒かつ友人の木田を演じる磯村勇人も等身大の公務員を好演した。

 

日照り続きで給水制限あり、断水も視野に入る中、一軒一軒を停水させていく。規則だからと言えばそれまでだが、手洗い所、風呂場、台所、トイレのすべてが使えなくなるわけで、健康で文化的な最低限度の生活を破壊する行為だろう。もちろんカネさえ払えばOKなのだが、借金の取り立ての方がまだ精神衛生を保てるのではないか。

 

そんな心を無にした公務員が、過酷な家庭環境・社会環境で生きることを余儀なくされる幼い姉妹に心動かされ、行動までも変えていく姿を感動的にではなく悲壮感たっぷりに描くところが独特にして秀逸。

 

門脇麦が出ている作品はだいたい面白いという個人的仮説がまた補強された一作。

 

ネガティブ・サイド

岩切の決定的な変わり目を描く滝のシーンで、ギターのBGMは必要だったか?うるさいだけに感じたが。

 

最後の最後がファンタジー展開。誰もが天気予報にかじりついているであろう状況で、あの展開は白けてしまった。

 

総評

着地に失敗した感は否めないが、そこまでの展開はほぼパーフェクト。姉妹二人で生きようとする姿は『 火垂るの墓 』の清太と節子を思い起こさずにはいられなかった。それを乾いた眼差しで見つめる男が、いつしか人間らしさを取り戻していく様は非常に見応えがある。生田斗真ファンならずともチケット購入を推奨したい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

tap water

「水道水」の意。TOEICでもたまに出るかな?昔のTOEFL ITPだと、Listening の Part B で結構よく出ていた気がする。The tap is dripping / The faucet is leaking. = 蛇口から水道水がぽたぽた漏れている、という表現は知っておいていいだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 水は海に向かって流れる 』
『 M3GAN/ミーガン 』
『 ザ・フラッシュ 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 山崎七海, 日本, 柚穂, 生田斗真, 監督:高橋正弥, 磯村勇人, 配給会社:KADOKAWA, 門脇麦Leave a Comment on 『 渇水 』 -この流れは変わるのか-

『 怪物 』 -視点によっては誰もが怪物-

Posted on 2023年6月7日 by cool-jupiter

怪物 75点
2023年6月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:安藤サクラ 永山瑛太 黒川想矢 柊木陽太
監督:是枝裕和

 

簡易レビュー。

 

あらすじ

シングルマザーの早織(安藤サクラ)は一人息子の湊(黒川想矢)が、学校の教師にいじめられていると感じ、学校に抗議に出向く。しかし、校長やその他の教師、当事者の保利(永山瑛太)は形式的な謝罪を繰り返すばかりで・・・

 

ポジティブ・サイド

モンスターペアレントという言葉があるが、小中校だけではなく大学でもたまに出てくるから始末に困る。普通、成績の疑義照会というのは学生本人が申請してくるものだが、そこに親が乗り込んできて「こっちは授業料を払ってるんだ!」と主張する。学校や授業を委託された弊社としては粛々とこれはこうであれはああで・・・と対応するしかないが、そもそも親が出てきている時点で納得するはずがない。普通なら親が我が子を叱り飛ばして終わりなのだが、そうならなかった時点でモンペ確定である。

 

夏でもかたくなに長袖を着続ける。教室内でもバンダナや帽子を取らない。講師と目を合わせられない。ペアワークもできない。要配慮学生というのは学校から通知があるからすぐに分かるが、それ以外の教室で授業をしてみて「ん?何だこの子は?」という学生もたまにいる。Jovianは本作を観ていて、自分の授業風景を思い出した。最初から保利先生側で本作を観てしまった。こういう鑑賞者はかなりマイノリティなのではないかと思う。

 

湊と依里の淡い友情、その関係の発展、そして結末。そうしたものすべてを明示しない。ある意味で、観る側に解釈を委ねる、あるいは突きつけると言ってもいいかもしれない。それを心地よいと感じるか、不快に感じるか。それはその人の持つ人間関係の濃さ(あるいは薄さ)によって決まるのかもしれない。



ネガティブ・サイド

一番最初のシーンはばっさりカットしても良かったのでは?冒頭のとある出来事とそれを見つめるキャラクターたちを意識することによって、誰が何に関わっていて、逆に誰が何に関わっていないのかを徐々に明らかにしていく構成だが、最初の部分をトイレに行って見逃したJovian妻と鑑賞後にあれこれ語り合ったところ、Jovian妻の方が明らかに物語の謎に引き込まれ、楽しんでいた。

 

校長も湊を相手に自白する必要はなかったように思う。スーパーでのさりげない行為だけで、キャラクターがどういったものかが十全に分かる。

 

総評

非常に複雑な映画。世の中は白と黒にきれいに分けられる訳ではない。わが師の並木浩一と奥泉光風に言えば「現実は多層である」になるだろうか。人間関係は傍目から見ても分からない。教師と生徒でも、親と子でも、分からない時には分からない。そうした現実の複雑さと、一種の美しさや清々しさを描いた非常に複雑で上質な作品。親子や夫婦で鑑賞すべし。人の見方とはかくも難しい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

fix

依里の父親が依里に「俺がお前を治して(直して)やる」と言うが、これを英訳すれば I will fix you. となるだろうか。fix は色々なものを直す/治すのに使えるが、これには性格や性質も含まれる。英語の映画やドラマでは時々 “Fix your character!” =「その性格を直せよ!」という台詞が聞こえてくる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 The Witch 魔女 増殖 』
『 65 シックスティ・ファイブ 』
『 アムリタの饗宴/アラーニェの虫籠 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, サスペンス, ヒューマンドラマ, 安藤サクラ, 日本, 柊陽太, 永山瑛太, 監督:是枝裕和, 配給会社:ギャガ, 配給会社:東宝, 黒川想矢Leave a Comment on 『 怪物 』 -視点によっては誰もが怪物-

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