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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: 2020年代

『 ナミビアの砂漠 』 -現代人の心象風景-

Posted on 2024年9月20日 by cool-jupiter

ナミビアの砂漠 70点
2024年9月16日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:河合優実 寛一郎 金子大地
監督:山中瑶子

 

『 あんのこと 』の河合優実主演作ということでチケット購入。

 

あらすじ

カナ(河合優実)は甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる恋人のホンダ(寛一郎)と同棲しつつ、ハヤシ(金子大地)とも逢瀬を繰り返していた。ある時、出張から帰ってきたホンダがあることを告白してきて・・・

 

以下、軽微なネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

21歳の奔放女子ながら、その中身は空虚で、仕事にも友情にもどこか身が入っていない。その一方で健全にセクシャルな魅力も放っているカナというキャラクターは、おそらく一種のサイコパスなのだろう。そうでなければ離人症か。カナというキャラを一言で表すなら「自分で自分が分からない」、これである。誰もが経験する感覚だが、それを非常にリアルに体現している。

 

友達もいるし、恋人もいるし、浮気相手もいるし、職場の上司や同僚もいる。それでもカナは孤独である。なぜか。満たされないからだ。ホンダから注がれる愛情にも満足できず、ハヤシから愛情を注がれないことにも満足できない。そのハヤシとの喧嘩のシーンは圧巻だ。というのも、言い争いではなく取っ組み合いだからだ。それもかなりロングのワンカットで、リハーサルは大変だったと思われるが、それを見事にやってのけている。

 

喧嘩するほど仲がいいと言うが、カナとハヤシはある意味で冷めてしまった夫婦のような関係であると思う。劇中でも「二人ではなく、一人と一人」という台詞があるが、これが実に腑に落ちる。この二人でいるはずなのに独りでいるように感じてしまうカナの背景には何があるのか。それが少しずつ明らかになっていく中盤以降の展開は非常に重苦しい。

 

本作は撮影面でもユニークだ。家の中では手ぶれが見て取れる一方で、家の外のシーンでは定点カメラで撮影されている。『 幼な子われらに生まれ 』でも家の中ほど手ぶれしていて、それが臨場感、つまりその場に自分も居合わせているかのように感じさせるのと同じ手法がここでも見られた。家の中と外のギャップ、それを絶妙に橋渡しする存在としての隣人が非常に良い味を出している。

 

カナの抱える悲しい過去や、少し人と異なるバックグラウンドを持つことが、カナを追い詰める。しかし、そのことが逆に希望にもなっている。ナミビアの砂漠というのは古い歌謡曲『 東京砂漠 』の現代版ということだろう。砂漠に点在するオアシス。そこにわずかばかりの動物が集まってくる。動物たちは決して仲睦まじく交わろうとはしない。ただ、相手を追い払うこともない。広い砂漠で偶然に出会った。その相手の存在を決して否定しないこと、その相手と共存すること。それが現代人の生き方の一つのモデルになるのではないだろうか。

 

ネガティブ・サイド

カナがある意味で現代人の脆さを体現しているのは分かるが、カナの精神の均衡を壊すきっかけが、うーむ・・・ もちろんショッキングな出来事であることは間違いないが、それをあたかも女性だけが重く受け止められる事象であるかのように描くのはいかがなものか。

 

また、カナの精神的な不調をそのままメンタルの病に還元してしまうのも安易というか安直というか。中島歩演じる心療内科医がいくつか鑑別を挙げて、その後の方針も示していたが、ここはもっとダイレクトに心の不調の原因となる出来事や、それを維持させている環境についてダイレクトに示唆を与えても良かったのではないか。そのうえで、オンライン診療よりも、人と人との出会いと交わりにこそ意味があるのだ、という幕引きはありえなかっただろうか。

 

総評

『 あんのこと 』と並ぶ河合優実の代表作であることは間違いない。現代社会の一種の病理を非常に分かりクリエイターたちがあぶり出した作品。ただし『 カランコエの花 』のように、時間の経過と共に作品のテーマ自体が新奇性を失うものでもない。カップルのデートムービーには決して向かないと思うが、同棲前に一種のシミュレーションとして鑑賞してみるのも、それはそれでありかもしれない。

 

Jovian先生のワンポイント中国語レッスン

ティンブトン

I don’t understand. の意。つまり、「理解できない」「言っていることが分からない」ということ。劇中でこの台詞が使われることでカナの孤独がより際立っていた。現代人の病理(と言っていいのかどうか・・・)に、他の人と一緒にいる時により強く孤独を感じる、というものがあると思うのだが、どうだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 愛に乱暴 』
『 侍タイムスリッパ- 』
『 ヒットマン 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, ヒューマンドラマ, 寛一郎, 日本, 河合優実, 監督:山中瑤子, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオ, 金子大地Leave a Comment on 『 ナミビアの砂漠 』 -現代人の心象風景-

『 ポライト・ソサエティ 』 -カンフー+姉妹愛-

Posted on 2024年9月10日 by cool-jupiter

 ポライト・ソサエティ 70点
2024年9月7日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:プリヤ・カンサラ 
監督:ニダ・マンズール

 

カンフーものということでチケット購入。

あらすじ

パキスタン系の家庭に生まれたリア(プリヤ・カンサラ)はスタントウーマンを目指して日々トレーニングを続けている。しかし教師には現実的ではないとたしなめられ、クラスメイトからは馬鹿にされる。ある時、母の知り合いからパーティーに招かれたリア一家。ホストファミリーの男性医師に見染められたリアの姉、リーナが結婚することを知った時、リアは何かを不審に感じて・・・

ポジティブ・サイド

主演のプリヤ・カンサラの芝居に、とにかくエネルギーが満ち溢れている。日々、スタントや空手のトレーニングに励み、その様子をホームページにアップ。憧れのスタントウーマンにもメールを送り続ける。一方で街中の中華屋でついつい鶏の丸焼きを買い食い。その姿を知り合いに見られそうになると、思わず隠れてしまう。冒頭の数分でリアというキャラクターのパーソナリティの大半が把握できる。それもプリヤ・カンサラの過剰一歩手前の演技があってこそ。

 

展開も分かりやすい。美大を休学中の姉が、あれよあれよと玉の輿に乗ってしまうが、この結婚、どうも怪しい。『 きっと、それは愛じゃない 』を反対側から見たようなストーリーなのだが、今作はかなりの捻りを加えてきている。これはなかなかの twist で、近いところでは『 この子は邪悪 』がちょっと近いか。ヴィラン役の女性もすごい迫力。日本だと余貴美子あたりがこのオーラを出せそう。

 

リアの友情物語も『 ザ・スイッチ 』的で結構面白い。異性との恋愛云々ではなく、とにかく家族愛で動くリアの姿に、時に協力し、時に飽きれてしまう友人たちとのドラマも見応えがある。インド映画と同様にダンスシーンもあり、そこでもリアが民族衣装をまとって華麗に踊ってくれるし、もちろんスタントウーマン志望らしい大立ち回りも見せてくれる。

 

踊りやアクションだけではなく音楽にも要注目。ある場面で浅川マキが流れてきてビックリした。Jovianはロッド・スチュワートをカバーする日本人アーティストということで少し知っていたが、まさかニダ・マンズール監督のプレイリストに浅川マキが入っているとは。

 

ベタベタのエンディングを迎えるわけだが、そこに至る過程はアップダウンがあって普通に面白い。ボクサーのアミール・カーンはキャリアの中で差別に苦しむこともあったが、英国もパキスタン系移民をしっかり受容できるようになってきたのだなということも感じさせる社会的な一作になっている。

 

ネガティブ・サイド

姉を守ろうとするあまり、婚約者のパソコンを盗み出してデータを抜いてやろうというのは普通に犯罪。『 ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ 』SNSなどでエロメッセージを送って反応を引き出そうとする、そして経験不足ゆえに思いがけない反応を引き出して・・・のようなプロットもありえなかったか。

 

ヴィランがどういうわけか強すぎる。彼女の強さの背景が一切描かれていない点は最後の最後まで気になってしまった。

 

総評

『 スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち 』のごとく、スタントウーマンを目指す女子高生の物語・・・と見せかけて、実はそれはサブプロットというか、メインは家族愛と10代のアイデンティティ・クライシスである。それもイングランドでパキスタン系のルーツを持つことに思い悩むという『 ジョイ・ラック・クラブ 』的な段階はとっくに通り越している、あるいは最初から存在しない。自分とは何か、自分はどのように夢を追うのかというテーマをたっぷりのアクションでもって追求する佳作である。ぜひ劇場鑑賞されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Get this.

直訳すれば「これを手に入れろ」だが、実際は「これ大事だからよく聞いて」である。英検やTOEICで聞いたことはないが、TOEFL iBTではちらほら聞こえる。映画やドラマでもよく使われている。たしか『 エリン・ブロコビッチ 』でもジュリア・ロバーツが使っていたかな。英語でプレゼンしたりするときに使うと、ちょっとカッコイイかもしれない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 愛に乱暴 』
『 ナミビアの砂漠 』
『 スオミの話をしよう 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アクション, イギリス, プリヤ・カンサラ, 監督:ニダ・マンズール, 配給会社:トランスフォーマーLeave a Comment on 『 ポライト・ソサエティ 』 -カンフー+姉妹愛-

『 エイリアン:ロムルス 』 -シリーズ作品全部乗せ-

Posted on 2024年9月7日 by cool-jupiter

エイリアン:ロムルス 75点
2024年9月6日 TOHOシネマズ梅田にて鑑賞
出演:ケイリー・スピーニー デビッド・ジョンソン
監督:フェデ・アルバレス

『 エイリアン 』後、かつ『 エイリアン2 』以前を描く『 エイリアン 』シリーズの最新作。オープニング・デーのレイトショーにて鑑賞。

 

あらすじ

ウェイランド・ユタニ社との契約で辺境の星で働くレイン(ケイリー・スピーニー)と、その弟的な存在のアンドロイド、アンディ(デビッド・ジョンソン)は、仲間が偶然に見つけた廃船で新天地を目指すことに。しかし、その船の研究棟ロムルスでは過去に「完璧な生命体」が研究をされていて・・・

ポジティブ・サイド

冒頭の巨大宇宙船からして第一作目のオマージュ(それ自体も『 2001年宇宙の旅 』へのオマージュだが)。そして映し出される一部が欠けたノストロモ号の表記。『 エイリアン 』の惨劇の舞台に帰ってきたなという感慨が得られる最高の導入部だった。

 

その後に映し出される、どこか『 ブレードランナー 』を髣髴させるジャクソン星は、リドリー・スコット御大への忖度か、それともオマージュか。いずれにせよ、こんな環境からは脱出したくなる。一瞬だけ映し出される炭鉱のカナリヤの姿がレインたちのその後を暗示しているようで、惨劇への期待が高まる。

 

乗り込んだ廃船のプロダクションデザインは完璧に近い。ノストロモ号の油臭さに黴臭さと埃っぽさを加え、2で強烈な印象を残した赤のストロボを本作ではオレンジに変更。似て非なる世界ではあるが、確かにエイリアン世界だった。今では古めかしい文字表示型のコンピューターのマザーも、テキスト生成AIのおかげでより現実感が増している。そしてアンドロイドという存在も、現在のボストン・ダイナミクス社製のロボットなどを見ていると100年後には実在しているように感じられる。色々な意味で本作はリリースのタイミングに恵まれた。

 

ストーリーはとにかく全部乗せ。フェイスハガーにチェストバスター、ゼノモーフに、暴走するアンドロイドに人間を守るアンドロイド。そして人間の果てなき欲望。エイリアンの1、2、3、4への数々のオマージュに加え、『 プロメテウス 』への直接的な言及や『 エイリアン:コヴェナント 』のプロット再現もあるなど、とにかく作り手のシリーズへの愛情愛着がひしひしと感じられるし、伝わってくる。『 エイリアン:コヴェナント 』で示されたエンジニア ⇒ 人類 ⇒ アンドロイド ⇒ エイリアン ⇒ エンジニアという奇妙な連関も、ある意味で本作の中で一気に凝縮されていて、小さな舞台ではあるが、世界観は確実に広かった。

 

クライマックスは凄惨の一語。『 エイリアン2 』や『 プロメテウス 』で特に顕著だったが、エイリアンというフランチャイズは母性の追求であるとも言える。一つには、言うまでもなく女性の生殖能力。もう一つは「女は弱し、されど母は強し」。ここで言う母とは必ずしも生物学的な母ではなく、強烈な母性の持ち主ということ。慈母と鬼子母神の両方を体現するレインは、『 スター・ウォーズ スカイウォーカーの夜明け 』のデイジー・リドリーのようになアイコニックな役を手に入れた(そのせいで役者として伸び悩むかもしれないが・・・)。

 

あらゆるシーンがオマージュで、あらゆる展開が予想通り。しかし、その展開が期待を超える描写をもってなされるところに本作の価値がある。1、2、プロメテウス、コヴェナントだけをチラッと観たことがあるJovian妻は鑑賞中、常に恐怖と緊張感で細目になっていたとのこと。予備知識なしでも鑑賞可能だが、ぜひ予習を行って(最低でも1、できれば1と2を観て)劇場鑑賞されたい。

 

ネガティブ・サイド

途中で一瞬、『 ドント・ブリーズ 』が混ざったのは個人的にはイマイチだった。もしフェイスハガーが〇〇と■■を捉えているのなら、『 エイリアン2 』でリプリーあるいはニュートは犠牲になってしまっていたはず。

 

重力と無重力が重要なキーになるのだが、終盤のシーンはいくらなんでもご都合主義的過ぎる。また無重力状態でスイスイ動くレインにも違和感。慣れない状態で、ぎこちない動きの方がサスペンスは絶対に増したと思われる。

 

総評

こうした作品は往々にして「ぼくのかんがえたさいきょうのエイリアン」のようになってしまうが、そうならなかったというだけでも素晴らしい。シリーズ全作品へのオマージュを取り入れつつ、予想通りなのに期待以上の作品に仕上げるという職人芸をフェデ・アルバレスは成し遂げた。1と2には及ぶべくもないが、シリーズ中では間違いなく堂々の第3位。往年のファンも納得の出来栄えである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

get away from ~

~から離れる、の意。『 エイリアン2 』のあの台詞が意外なシチュエーションで使われるが、これはファンサービスとして素直に受け取っておこう。繰り返しになるが、本作そのものが大予算の公式同人作品なのである。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ポライト・ソサエティ 』
『 愛に乱暴 』
『 ナミビアの砂漠 』

 

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Posted in 映画, 未分類, 海外Tagged 2020年代, B Rank, SF, アクション, アメリカ, ケイリー・スピーニー, デビッド・ジョンソン, 監督:フェデ・アルバレス, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 エイリアン:ロムルス 』 -シリーズ作品全部乗せ-

『 デューン・サバイバー 砂の惑星 』 -羊頭狗肉の岩の惑星-

Posted on 2024年9月3日 by cool-jupiter

デューン・サバイバー 砂の惑星 10点
2024年9月1日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:フィービー・スパロウ
監督:マーク・プライス

 

超鈍足台風のおかげで劇場鑑賞の予定が立てられず、近所のTSUTAYAで目についた作品をいくつか借りてきた。本作はそのうちの一つ。

あらすじ

ジェミニ飛行隊の一員、グレイ6ことアドラー(フィービー・スパロウ)は戦闘宙域で撃墜され、砂の惑星エレボスに不時着する。腐食性の大気を持つエレボスで、生命維持装置のタイムアップも迫る中、アドラーは負傷した僚友のヤレンと共に生存の道を探るが・・・

 

ポジティブ・サイド

腐食性の空気を吸ってしまうとどうなるのかを、逃げずに真正面から描いたのは評価していい。低予算でもグロは撮れる。というか、低予算だからこそグロから逃げてはならない。

 

ネガティブ・サイド

最初のハイパースペースの飛行シーン後にいきなり撃墜されて、そこからいきなり 23 minutes earlier (その23分前)とか、そんな描写いるか?愚にもつかない会話ばかりの冒頭シーンをもう一回やる意味は?尺を稼ぎたかっただけ?

 

エレボスに着いてからも話が遅々として進まない。ヤレンの怪我が深刻なのはわかるが、テントの中でうだうだしていても事態はなにも好転しない。さっさと砂の惑星に出ていけ。

 

その砂の惑星もまったくデューンっぽさは感じられず。どこでロケをしたのか知らないが、アメリカのユタ州のモニュメント・バレー的な地形で、砂の惑星というよりも岩の惑星という感じ。

 

そこで戦うことになるドレックも、ただの人間やんけ。しかも意味不明に強いスペーススーツで、撃っても撃っても効かない。『 荒野の用心棒 』へのオマージュにしても、しつこすぎる。

 

アクションもまったく洗練されておらず、カメラワークも悪い。最悪だったのは、ドレックとの格闘シーンの流れの中で、アドラーが斜面を滑り降りるシーン。どう見てもそこだけ土が慣らされており、役者が事前に何度も滑り落ちたことがうかがえる。マーク・プライス監督は『 続・夕陽のガンマン 』の砂漠での数々のシーンを100回見直して欲しい。

 

カバーをよく見ず借りた自分にも責任があるが。デューンを名乗るのなら、サンドウォームを出すべきではないか。原題も Dune Drifiter なのだから、これは不当な要求とは言えないはずだ。羊頭狗肉とは本作を指す。

 

総評

あらゆるシーンが退屈極まりないという駄作。センスの良い美術系・芸術系あるいは映像系の大学の学生が生成系AIをぶん回せば、似たような作品は量産できそう。それぐらいの駄作。配信やレンタルで見かけても、手を出すべからず。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Sorry, no lessons. I want to forget about his awful work ASAP.

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 ポライト・ソサエティ 』
『 エイリアン:ロムルス 』
『 愛に乱暴 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, F Rank, SF, イギリス, フィービー・スパロウ, 監督:マーク・プライスLeave a Comment on 『 デューン・サバイバー 砂の惑星 』 -羊頭狗肉の岩の惑星-

『 ソウルの春 』 -勝てば官軍負ければ賊軍-

Posted on 2024年9月1日 by cool-jupiter

ソウルの春 75点
2024年8月31日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:チョン・ウソン ファン・ジョンミン
監督:キム・ソンス

 

Jovianの生年に実際に韓国で起こった歴史的事件をモチーフにした作品ということでチケット購入。

あらすじ

朴正煕大統領が暗殺された。実行犯を取り調べの責任者に任命されたのは、韓国陸軍内で隠然たる勢力を誇るハナ会のチョン・ドゥグァン(ファン・ジョンミン)。しかし彼は自身の権勢拡大のために陸軍参謀総長を拉致し、クーデターを画策する。首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)はチョンの野望を阻止するために立ち上がるが・・・

 

ポジティブ・サイド

140分超ながら、体感では90分ほど。ひと息つける場面が一切ないままに物語は進行していく。登場人物は多いものの、クーデターを起こして権力を握りたいチョン・ドゥグァン、それを阻止したいイ・テシンの二人の名前だけ押さえておけばよい。

 

クーデターの計画、参謀総長の拉致、大統領からの裁可、指揮下の精兵部隊のソウルへの召喚とそれを阻止するための別の精鋭部隊の召喚と、わずか一夜の中で状況が刻一刻と変化していく。

 

ファン・ジョンミン演じるクーデター首謀者のチョン・ドゥグァンは人間味に溢れており、豪放磊落な一面と繊細な一面を併せ持っている。大人物のようでもあり、小者のようにも映るのだが、かかる魅力が彼をハナ会のトップに、ひいてはクーデター勢力のトップに君臨させている。一度決めたら最後までとことん行く男で、情勢の変化に一喜一憂する仲間や先輩を時に脅迫し、時に一喝し、時に弱みを見せることで取り込んでいく。韓国版の木下藤吉郎とも言うべき人たらしである。

 

対するイ・テシンは職務に忠実で群れることを潔しとしない孤高の軍人。韓国軍の上層部が情勢の変化に一喜一憂し、時に日和見を決め込もうとする中でも、首都防衛に専心する。その高潔さ故に従う者、従えない者があぶり出され、当時の韓国軍の体質や、一枚岩になれない体制がよくよく見て取れる。

 

クライマックスチョン・ドゥグァンとイ・テシンの対峙の迫力には息を呑んだ。そして対決の結末には鳥肌が立った。というか、途中で気付かなかった俺はアホだ。冒頭ではっきり史実を脚色しているという注意書きがあったではないか。クーデター側の首謀者二人の名前をちょっと変えれば・・・ 本作は軍事政権時代を反省・批判している一方で、「この国をなんとかしたい」という強烈な野望を抱く政治家の不在を嘆いているようにも受け取れる。おこぼれに与ろうと権力に群がる小物は不要だという韓国映画界から韓国政治へのメッセージに思える。単なる善悪の対立にとどまらない深みを生み出すのは、キム・ソンス監督の面目躍如といったところか。

 

クーデターというと1991年のソ連崩壊を覚えているが、韓国もよく似た歴史をたどっていたのか。民主主義を自力で得た国と、民主主義を与えられた国。どちらが幸せなのだろうと考えさせられる。

 

ネガティブ・サイド

漢江にかかる橋を封鎖するためにテシンが「市民の力も借りねば」と言うが、そのシーンこそカットせずに盛り込むべきではなかったか。また、警察は何をしていたのだろう。ハナ会の人脈で警察も抑えていたという描写があれば、さらに説得力や緊迫感は増したはず。

 

最後のバリケードを挟んでの対峙シーン前に市民の存在に言及するシーンがあったが、これは不要だったか。もしここで市民に言及するなら、橋の封鎖のシーンで市民の協力を描くべきだし、それを描かなかったのなら、最後の対決シーンでも市民の描写は不要だった。

 

総評

やはり韓国映画の本領は歴史の闇、社会の闇に迫るスリラー作品だなとつくづく感じる。次にTSUTAYAでレンタルするのは『 KCIA 南山の部長たち 』、その次は『 光州5・18 』かな。この後味の悪さは『 トガニ 幼き瞳の告発 』のそれに比肩する。とことんはじけたアホな映画か、とことん出来の悪い映画を観て気分をリセットしたくなる。そんな韓国映画の怪作である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

アンジャ

これも韓国映画やドラマでお馴染みの表現。意味は「座って」で、インフォーマルな表現。しばしばアンジャアンジャのように使われている。日本語でも「座って座って」と二回言うのと同じ感じ。階級や軍人歴の違いはあれど、腹を割って話をしようとする姿勢を常に打ち出すチョン・ドゥグァンが多用していた。そういう意味では政治家向きの軍人だったのかもしれない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 #スージー・サーチ 』
『 ポライト・ソサエティ 』
『 エイリアン:ロムルス 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, チョン・ウソン, ファン・ジョンミン, 歴史, 監督:キム・ソンス, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 ソウルの春 』 -勝てば官軍負ければ賊軍-

『 壁越しの彼女 』 -Love is blind-

Posted on 2024年8月28日 by cool-jupiter

壁越しの彼女 60点
2024年8月25日 シネマート心斎橋にて鑑賞
出演:イ・ジフン ハン・スンヨン
監督:イ・ウチョル

 

台湾ロマンスの次は韓国ラブコメ。

あらすじ

歌手を夢見るスンジン(イ・ジフン)は安アパートの最上階に引っ越しする。しかし、その隣には住人をあの手この手で追い出してきたラニ(ハン・スンヨン)が住んでいた。互いに譲らない二人は、やがて生活音を出しあう時間帯を取り決めるが・・・

ポジティブ・サイド

序盤のホラー調から一転してコメディ路線に突っ走り、その後は少しシリアスなお仕事ムービーに。最後はちゃんとしたロマンス路線に着地という具合に、短時間の中でかなり物語のトーンが変わる。しかし、そのことに違和感を覚えず、むしろどんどん物語世界に引き込まれるのは、主要キャラクターの魅力と壁を隔てた顔を知らない二人の奇妙なロマンスの行き着く先を見たいという好奇心ゆえ。

 

歌手を目指すと言いながら、どこか本腰を入れられないスンジンと、ユーモラスに、時にシリアスに向き合ってくれる竹馬の友たちが素晴らしい。男の友情かくあるべし。一人黙々と、しかし騒々しく創作に打ち込むラニの過去にあった悲しい裏切り。二人が急速に距離を縮めながらも、スンジンの善意からの行動がすべてをぶち壊してしまう、そのお下劣な方法と、それがもたらす深刻な結果の落差は、さすが韓国映画。邦画では絶対に描けない展開を軽々と描写してくれる。

 

『 her 世界でひとつの彼女 』にリアリティを感じなかった向きも、本作なら受け入れられるのではないか。恋愛に壁はつきものだが、本物の壁で隔てられたラブロマンスというのは、おそらく世界的にも希少価値が高いはず。観ればハラハラドキドキからホンワカまで味わえる、韓国ラブコメの佳作である。

ネガティブ・サイド

ラニの体調不良を匂わせるシーンが序盤から出てくるが、これがかなりの拍子抜け。少しネタバレ気味になるが、邦画の秀作『 夜明けのすべて 』のような描写がほしかったと思う。あるいは、薬を飲むシーンは全カットでも良かったかもしれない。

 

スンジンと竹馬の友たちとの交流は男の友情の極致と言えるものだが、なぜ彼らがそれほどプー太郎状態のスンジンを純粋に応援できるのかが不可解と言えば不可解。少年時代、あるいは大学生時代あたりでスンジンが思いがけない形で優しや、または逞しさを見せた、という短いエピソードがあっても良かった。

 

総評

おそらくコロナ禍の最中に構想された作品。オンライン飲み会ならぬ壁隔て食事会は、一歩間違えばギャグを通り越して意味不明な絵となるが、コロナを経験したことでこのようなシーンも可能になった。このあたりの作劇術が見え隠れするのも面白い。日本だと本作にかなり先行する『 おと・な・り 』がシチュエーション的に近い。が、感情の表出方法が日韓ではまったく異なるので、そのあたりの国民性の違いを微笑ましく思えるかどうかが評価の分かれ目になりそう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

platonic love

古代ギリシャの哲学者プラトン的な愛のこと。人間は元々アンドロギュヌス=両性具有だった。それが男と女に分かれてしまったので、両者は互いを求めあうようになったというもの。これがエロス。プラトニック・ラブはこの感性そのものを指す。すなわち実際に一つになるという行為ではなく、一つになりたいという願望、その心の在りようを「愛」と呼んでいるわけだ。イデアという理想世界を構想したプラトンらしいと言えばプラトンらしい。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 #スージー・サーチ 』
『 ポライト・ソサエティ 』
『 ソウルの春 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, イ・ジフン, ハン・スンヨン, ラブコメディ, 監督:イ・ウチョル, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 壁越しの彼女 』 -Love is blind-

『 ニューノーマル 』 -殺しのオムニバス-

Posted on 2024年8月18日 by cool-jupiter

ニューノーマル 60点
2024年8月17日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:チェ・ジウ
監督:チョン・ボムシク

 

コロナによって生まれた新しい生活習慣=New Normalという、このタイトルだけでチケット購入。

あらすじ

ヒョンジョン(チェ・ジウ)のもとに、突然、火災報知器の点検をしにきたという男がやって来る。男は点検の傍ら、不穏な空気を醸し出しながら、最近起きた未解決の殺人事件について語り始め・・・

ポジティブ・サイド

ニューノーマル=衛生習慣の徹底だと理解していたが、人と人の物理的・精神的な距離が日本よりもはるかに近い韓国では、マッチング・アプリやオンラインゲーム、匿名掲示板がさらに勢いを増しているということか。

 

本来ならば出会わない、あるいは関係のない人間と、ちょっとしたことから繋がりが生まれ、それが悲劇につながっていくというオムニバスかつアンソロジー形式のスリラー。

 

Chapter 1: 覚えられなかった・・・

チェ・ジウの住居に怪しげな男が訪ねてきて・・・ オチはすぐに分かるが、チェ・ジウの一種の恍惚とした表情が強く印象に残る。

 

Chapter 2: Do The Right Thing 

塾の仲間や講師にボランティアを呼びかけられた少年が、車椅子の老婆を助けたところ、お礼を上げると申し出られて・・・ 『 バニシング 未解決事件 』でも未解決だった問題は、コロナ禍を経ても、やはり未解決のまま。『 ユージュアル・サスペクツ 』や『 愚行録 』など、足が悪いところが印象的なキャラクターはやはり・・・

 

Chapter 3: Dressed To Kill

第一章の続き。マッチング・アプリで新たな出会いを求める男女を痛烈に皮肉っている。このチャプターで、アプリのアラーム=マッチ度の高い相手が周囲にいるという通知を見るたびに、コロナ禍における本邦のごみアプリCOCOA(これも誹謗中傷にあたる表現だろうか)の接触通知を思い出した人はちらほらいるのではなかろうか。ちなみにこのチャプターのタイトルの kill は「悩殺する」の意味に近い。

 

Chapter 4: Be With You

前章の続き。縁とは何かについての仮説は興味深かった。その縁を感じた男がたどる道筋の先の恐怖とは・・・ どこかで見たタイトルだが、当然 Rod Stewart の “To Be With You” ではなく、邦画の『 Be With You いま、会いにゆきます 』か。まさか竹内結子からインスピレーションを得たのではないと思いたいが。

 

Chapter 5: Peeping Tom

江戸川乱歩やアルフレッド・ヒッチコックの昔から、覗きは人間の習性であったようだ。ましてカメラが普及した現代、盗撮はいともたやすい。美しき隣人に恋焦がれるニート(?)の男性の気持ち悪さが爆発する。その一方で、美しいバラにはとげがあるとの格言通りに・・・

 

Chapter 6: My Life As A Dog

このチャプターが最も面白い。Chapter 2 を除く(?)他の章がほんの少しずつ絡んでくる。ミュージシャンを目指しつつコンビニ店員で糊口をしのぐヨンジンが迷惑客や苦情客に盛大に、ささやかにリベンジしていく。その一方で、彼女の内なるストレスはネット掲示板とオンラインゲームで発散され・・・ 自分も時々コンビニ店員さんに無愛想に接することがないとは言い切れない。そこを反省すると共に、ネットへの書き込み(映画のレビュー含む)について、大いに考えさせられるチャプターでもあった。

 

ネガティブ・サイド

各チャプターごとに時系列がバラバラで、それは製作者が意図してのことだろうが、このような構成にするのなら、素直に各章を時系列に並べても良かったのでは?

 

つながっている章とつながっていない章があるのは何故?それともこちらの見落としか?

 

Chapter 4: Be With You では、もっと写真をじっくりと見せてほしかった。そもそも、あのキャラはもしや〇〇〇〇?

 

総評

雰囲気としては邦画の『 クリーピー 偽りの隣人 』に少し似ている。スリラー/ホラーでありながら、どことなくコミカルな面が感じられる。それは、ニューノーマルという新たな社会規範を脚本家や監督が嗤っているからだろう。少しモタモタした印象を与える中盤のストレスについては最終チャプターのヨンジンが大爆発させてくれる。そこまではしっかりと鑑賞しよう。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

イーセッキ

韓国映画を観るたびに聞こえてくる。意味は「この野郎」。使用することが推奨されない韓国語の一つ。本作の Chapter 6 で頻繁に使われるFワードを人間相手に言いたくなったら、こちらを心の中で唱えるのもありかもしれない。 

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 #スージー・サーチ 』
『 ポライト・ソサエティ 』
『 エア・ロック 海底緊急避難所 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, スリラー, チェ・ジウ, 監督:チョン・ボムシク, 配給会社:AMGエンタテインメント, 韓国Leave a Comment on 『 ニューノーマル 』 -殺しのオムニバス-

『 新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! 』 -学園系ジャーナリスト物語-

Posted on 2024年8月17日 by cool-jupiter

新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! 55点
2024年8月16日 テアトル梅田にて鑑賞
出演:藤吉夏鈴 髙石あかり 
監督:小林啓一

 

『 殺さない彼と死なない彼女 』の小林啓一監督の作品ということで食指が動き、チケット購入。

あらすじ

文学少女の所結衣(藤吉夏鈴)は、あこがれの作家・緑町このはが在籍する櫻葉学園高校に入学する。しかし緑町このはは覆面作家で、かつ入部試験中のアクシデントで結衣は文芸部に入部できなくなった。しかし、このはの情報を持つという新聞部への入部と捜査を文系部部長は提案してきて・・・

ポジティブ・サイド

誰でも文章を書けて、手軽に写真や動画を撮影し、それらをネットで発表できる時代に、記事は足で拾うというタイプの古き良きジャーナリスト精神を感じさせる新聞部。ホームページやメルマガ形式ではなくザラ紙にこだわる点も買い。

 

結衣あらためトロッ子のこのは探しと新聞部の活動がパラレルに進んでいく中、新聞部は順調に教師のスキャンダルをスクープし、やがて学園の最深部の闇に近づいていくという構成もテンポが良い。

 

学生間の対立もありながら、巨悪を大人にすることで青春映画としても成立している。一方で、子どもに味方をしてくれる大人も設定されており、そのバランス感覚も良い。

 

子どもが大人を権力の座から追い落とすのに必要なのは「正義」ではなく「真実」という信念が貫かれている。正義は往々にして独りよがりになりがちだが、真実は見る方向さえ誤らなければ万人に届くものだ。軽い気持ちで鑑賞したが、硬骨なジャーナリズムを感じ取ることができた。

 

ネガティブ・サイド

主演の藤吉夏鈴のしゃべりがかなりボソボソかつ平板。演技力の無さなのか、それともそういう演出なのか。共演の髙石あかりとの差が目立った。

 

とある小道具があまりにこれ見よがしだったので、すぐに先が読めてしまった。また、肝心の緑町このはの正体もすぐに分かってしまった。

 

学園の文系部に関する諸問題のひとつに特進科と普通科の格差があるというが、そうしたところをもっと描写すべきだった。たとえば茶道部の主体は普通科なのに文芸部の一声で茶室を明け渡さざるを得ない、のような場面がほしかった。

 

総評

『 新聞記者 』をもっとライトに、かつ巨悪を打倒して大団円で締めくくる学園系・・・と言うと語弊があるが、ストーリーとしてはそんな感じである。Jovianはつい最近まで大学の語学系クラスの教務スタッフだったので、大学と出版社の固い結びつきというものは肌で感じてきた。本作のような不正の構図は決して荒唐無稽ではないと感じた。政治とカネの問題がまたもや有耶無耶にされようとしているが、教育とカネは有耶無耶にしてほしくない。その意味で本作には大いにカタルシスを感じた。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

cross the line

特定の線を横切る=一線を越えるの意。なにかをやりすぎてしまった時、言動などが許容範囲を超えてしまった時に使われる表現。Take a step back before you cross the line. のように使う。割とよく出てくる表現なので知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 #スージー・サーチ 』
『 ポライト・ソサエティ 』
『 ニューノーマル 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, ミステリ, 日本, 監督:小林啓一, 藤吉夏鈴, 配給会社:SPOTTED PRODUCTIONS, 配給会社:東映ビデオ, 青春, 髙石あかりLeave a Comment on 『 新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! 』 -学園系ジャーナリスト物語-

『 ツイスターズ 』  -ドラマも科学も少々弱い-

Posted on 2024年8月15日 by cool-jupiter

ツイスターズ 55点
2024年8月11日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:デイジー・エドガー=ジョーンズ グレン・パウエル アンソニー・ラモス
監督:リー・アイザック・チョン

 

『 ツイスター 』の続編。監督は『 ミナリ 』のリー・アイザック・チョン、主演は『 ザリガニの鳴くところ 』のデイジー・エドガー=ジョーンズ。

あらすじ

気象学者のケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)は、かつての仲間ハビ(アンソニー・ラモス)を手助けするために、オクラホマの竜巻街道に赴く。そこで彼女は型破りな竜巻チェイサーのタイラー(グレン・パウエル)と出会い・・・

 

ポジティブ・サイド

異常気象(extreme weather)は、もはや日本でもおなじみ。関西でも滋賀県などでは竜巻注意報が出るようになった。もちろんアメリカのような超ド級の竜巻が発生する可能性は極めて低いと思われるが、それでも気象予報の重要性は増すことはあっても減ることはない。

 

YouTuberにも色々ある。瞬間的なインプレ増加を狙うだけの低俗なチャンネルやクリエイターが跋扈しているのも事実だが、その一方で市民科学(citizen science)の大いなるプラットフォームとして役立っているものもある。本作に登場するタイラーのチームは実は前者と後者の両方である。

 

前作並みに竜巻が発生し、それが前作以上の映像で猛威を振るう。特に大気のキャップを割って、竜巻の芽が地上に伸びてくるシーンは圧巻の一語。それをフェイズド・アレイ・レーダーで捉えようという試みも悪くない。

 

最終盤ではまさかの形で古典的名作がスクリーンによみがえる。泉下のボリス・カーロフも喜んでいることだろう。また、このシーンは絵的にも非常に秀逸で、目の前でこれを本当に目撃したら一生モノのトラウマになってもおかしくないと思わされた。『 リング 』のクライマックスの逆バージョンと言ってもいいかもしれない。

 

『 オズの魔法使 』関連ネタや “I’m not back!” など、前作へのオマージュもある。が、別にこれらを知らなくても作品を楽しむ妨げにはならない。迫力は満点なので劇場鑑賞の価値は十分にある。

 

ネガティブ・サイド

警報発令から竜巻到着まで3分という時間を15分にできるという前作の成果はどこに行った?15分前に警報を出しつつも、藤原効果(The Fujiwara Effect)のせいで進路の予想ができない、それぐらい竜巻が街道で多発している、という設定を設けられなかっただろうか。

 

タイラーがケイトのモーテルの部屋を訪ねるのは構わんが、実家にまで訪ねてくるとなると話は別。こうなると storm chaser ではなく skirt-chaser ではないか。

 

竜巻を消滅させるメカニズムもよく分からない。いや、湿度を全部吸い取れば竜巻は消滅するでしょ?という理屈は分かる。問題は、竜巻に勢力を供給する積乱雲にはなんらアプローチできていないこと。ここらへんを似非科学でもいいので、それっぽく説明する必要があったはずだ。

 

土地ビジネスもよく分からない。安く買い上げられるのはその通りだろうが、竜巻の通り道という印象が定着した土地を誰が高値で買うのだろうか。

 

総評

前作に劣らぬジェットコースター的展開なので飽きることはない。しかし、最後の最後の終わり方に難ありと言わざるを得ない。あわよくばグレン・パウエルとデイジー・エドガー=ジョーンズのダブル主演で続編を作りたいという製作者側の思惑も透けて見える。エンディングに不満はあれど、そこに至るまでの展開は十分に面白いのは間違いないので、お盆休みに手持ち無沙汰であれば最寄りの映画館までどうぞ。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

dandelion

タンポポの意。日本でもなじみの植物なので、その英語名を知っておくのもいいだろう。ちなみに lion は動物のライオンのこと。ちなみに dande の部分は『 恐竜超伝説 劇場版 ダーウィンが来た! 』で紹介したと don=「歯」の派生。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる! 』
『 風が吹くとき 』
『 #スージー・サーチ 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, アメリカ, アンソニー・ラモス, グレン・パウエル, ディザスター, デイジー・エドガー=ジョーンズ, パニック, 監督:リー・アイザック・チョン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 ツイスターズ 』  -ドラマも科学も少々弱い-

『 デッドプール&ウルヴァリン 』 -マルチバースを笑い飛ばす-

Posted on 2024年7月30日 by cool-jupiter

デッドプール&ウルヴァリン 80点
2024年7月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ライアン・レイノルズ ヒュー・ジャックマン
監督:ショーン・レビ

 

普通のヒーローに飽きてない?の惹句通りに、普通のヒーロー映画の文脈を逸脱しまくる快作に仕上がっている。

あらすじ

ヒーロー稼業を辞めて、ガールフレンドと別れてしまったウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)。友人たちに誕生日パーティーを開いてもらっているところに、時間変異取締局が現われて・・・

 

ポジティブ・サイド

デッドプール作品が他のヒーロー映画と明確に一線を画しているのは、

1)暴力描写
2)スラング使用

 

が主たる要因だが、本作でもそれは健在。冒頭から「それはやったらアカンやろ」というアクションを連発。アベンジャーズにもX-MENにも加入できないのもむべなるかな。特に暴力描写は、中盤のとあるスーパーヒーローの登場と見せかけて、「そっちかい」というキャラの死に様がすこぶる惨い。だが一番の見どころは、デッドプールとウルヴァリンのガチンコ対決。お互いに再生能力持ちなので、アホかというほどに斬り合う。これは確かにR指定である。そして終盤のマルチバースでは、某魔法使いをおちょくりつつ、彼の作品の同プロットをはるかに超えるスケールのバトルを繰り広げる。もちろん血みどろ。バイオレンスが好きな映画ファンも満足できる出来栄えだ。

 

もう一つ、アニメの『 サウスパーク 』かというほどに甲高い声とアップテンポでのスラング連発トークもデッドプールの特徴。中盤で悲惨すぎる死を迎える某キャラが最後の最後にプールのお株を奪う猛烈マシンガントークを見せつけてくれるので楽しみにしてほしい。Do you want to build a snowman? がとある隠語になっているのが個人的には驚きだった。

 

それにしても『 LOGAN/ローガン 』であれだけ従容として死んでいったウルヴァリンをあろうことか復活させて、そのうえでこれまでのX-MENシリーズの延長ではなく、一人のスーパーヒーローものとして成立させていることに度肝を抜かれた。ウルヴァリンはほとんど常になりゆきで戦いにその身を投じてきたが、今作では『 LOGAN/ローガン 』同様に自分からその身を戦いに投じていく。なぜ世捨て人同然の彼がデッドプールと共闘することになったのか知りたい人は、ぜひチケットを購入しよう。

 

それにしても、売れるヒーローあれば売れないヒーローあり。その売れないヒーローでチームを作って大暴れするデッドプール達は微笑ましくもあり、またアンチ・ヒーロー的でもある。ヒーローは世界を救うものだが、デッドプールが救いたいのは両手で数え切れるだけの友人たちだけ。世界の危機?マルチバースの危機?そんなものは知ったこっちゃねえという態度がいっそ清々しい。マルチバースの様々な自分と戦う終盤は、お互いに不死身同士で当然決着などつくはずもない。さて、どうオチをつけるのかと思ったら、そう来るとは。

 

本作のヴィランは、トレイラーにも出ていた謎のスキンヘッド女性。素性を知ってびっくり。なるほど、これもウルヴァリンが帰ってくる理由の一つになっていた。世界を救うにはどうすればいいか。ヴィランと戦うのは一つの手だが、異色のヒーローたるデッドプールは我々にも割と簡単に実現可能な方法を提示する。そう、一人ひとりがズッ友を持てれば、それでその人たちの世界は救われるのだ。

ネガティブ・サイド

アライオスという超存在を出す必要はあっただろうか?今後、アライオスがMCUにおける征服者カーンの代わりになる?そんな展開は要らない。

 

第四の壁の突破ネタが1つ、2つしかなかったのは寂しい。

 

字幕に「オズの魔法使い」とあったが、正しくは「オズの魔法使」ね。

総評

スパイダーマン同様に会社関係の権利が色々と整理されたことで、考えられなかったキャラ同士のクロスオーバーが楽しめる良作。普通のヒーロー映画やマルチバース展開に飽きた人にとっては新鮮に感じられる作品のはず。「世界を救う」ためではなく「愛する人/人々」を救うために戦うデッドプールは異色のヒーローではなく、実は我々が最も目標としやすいヒーローだ。チケットを購入して、劇場でこのヒーローを応援しようではないか。

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Come again.

もう一度来い、ではない。これは「もう一度言ってくれ」の意味。文脈次第では「もう一回言ってみろ、テメー!」という意味にもなる。よっぽど仲の良い相手以外には使わない方がいい。映画やドラマでは結構聞こえてくるので、英語の中級者は耳を澄ませてみるのも良いだろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 大いなる不在 』
『 ツイスターズ 』
『 先生の白い嘘 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, A Rank, アクション, アメリカ, ヒュー・ジャックマン, ライアン・レイノルズ, 監督:ショーン・レビ, 配給会社:ディズニーLeave a Comment on 『 デッドプール&ウルヴァリン 』 -マルチバースを笑い飛ばす-

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