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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

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タグ: 歴史

『 キングダム 』 -続編が期待できる序章-

Posted on 2019年4月21日2020年1月29日 by cool-jupiter

キングダム 75点
2019年4月21日 大阪ステーションシティシネマにて鑑賞
出演:山崎賢人 吉沢亮 橋本環奈 長澤まさみ 
監督:佐藤信介

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Jovianも毎週欠かさずYoung Jumpを買っては漫画『 キングダム 』を読んでいる。この映画化には心躍るのと同時に、一抹の不安もあった。大河ドラマ的なスケールでありながら、水戸黄門的なお約束チャンバラを適度に、しかしハイレベルに交えて一つのエピソードを描くとなると、それなりに手練れの監督が必要となる。『 曇天に笑う 』、『 BLEACH 』と剣戟乱舞はそれなり魅せるものの、肝心のストーリー部分で???とさせられた佐藤信介監督は、今回は及第点以上の仕事をしてくれた。

 

あらすじ

時は紀元前3世紀。場所は中国西方の大国「秦」。奴婢の信(山崎賢人)と漂(吉沢亮)は、剣の修行に励み、いつか天下の大将軍になることを夢見ていた。そんな時、漂が宮仕えに召し出される。立身出世の機と思われたが、その漂が殺されてしまう。漂の遺言の場所に駆け付けた信は、漂と瓜二つの少年、秦王嬴政と出会う・・・

 

ポジティブ・サイド

 漫画の実写化において、キャラの再現性の高さは絶対にはずしてはならないポイントである。そこを微妙に外したのが『 ルパン三世 』であり、そこを絶妙に表現したのが『 銀魂 』だった。奇しくも両方とも小栗旬が主演。本作はどうか。

山崎賢人と信のシンクロ率:85%
吉沢亮と漂および政のシンクロ率:95%
橋本環奈と河了貂のシンクロ率:99%
長澤まさみと楊端和のシンクロ率:85%
大沢たかおと王騎のシンクロ率:80%
本郷奏多と成蟜のシンクロ率:90%

であった。つまり、かなり良い感じなのである。特に山崎賢人は、演技にもう少しメリハリが欲しいが、今作では脳筋的なキャラを演じ切れていた。信の魅力は一にかかってその純粋さ、ひたむきさ、そして直感的に本質を把握してしまう感性の鋭さにある。『 羊と鋼の森 』以来、「俺、かっこいいだろ?」的なキャラもこなせるようになってきた。今後の成長にも期待したいし、この信にはもう一度スクリーンで再会したいと思えた。

 

吉沢もやっと代表作たりうる役に巡り合えたのではないか。彼が出る映画はハズレ映画という私的ジンクスを払拭してくれた。原作の政のニヒルでいて、しかし熱量を内に秘めた若王を忠実に演じていた。まだまだ学ぶべきことは多いが、この調子で着実に実績を積み上げていけば高良健吾の後継者になれそうだ。

 

本作のチャンバラは『 るろうに剣心 』のそれを彷彿させる。もちろん、あちらは剣客漫画でこちらは戦争漫画なので、正式にはジャンルが異なる。しかし、『 スター・ウォーズ 』シリーズのようなファンタジー世界の殺陣ではなく、ジュラルミンの剣と剣とが響き合うお馴染みの世界での剣劇である。この剣の腕でのしあがろうとするところに歴史的なロマンがあり、なおかつそれが現代日本の社会状況とも大いに重なるところに、本作が今というタイミングで実写映画化された意義が認められる。

 

就職氷河期世代を「人生再設計第一世代」などと名称変更したところで何も変わりはしない。変えるべきは世代に付ける名前ではなく、社会の構造である。奴隷は何をやっても奴隷、奴隷の子も奴隷という『 キングダム 』世界の価値観をぶち壊してやろうという気概に満ちた信と漂の物語、過去の非を素直に認め謝罪し、それでも未来を力強く語る、そして「世界はそうあるもの」という固定観念を力でぶち壊してやろうという大望を胸に秘める政の眼差しは、現代日本への婉曲的なエールでもある。原作ファンも、そうではない人も、本作から何かを感じ取ってもらえれば幸いである。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190421031312j:plain


ネガティブ・サイド

キャラの再現度は高かったが、いくつか個人的にこれを省いてはならないだろうと感じていた要素が欠落していた。いくつか実例を挙げれば、楊端和の「一人十殺」、「一人三十殺」である。壁の「動かぬ!」も何故省いた。あれこそが壁の壁たる様式美だというのに。

 

その楊端和を演じた長澤まさみはアクションはそれほど得意ではなさそうだ。運動神経という点では土屋太鳳や杉咲花を抜擢するべきだったのだろうが、彼女らには山界の死王のオーラは出せない。それもあって、余計に楊端和のアクションシーンの貧弱さが目に付いてしまった。

 

また左慈とランカイの順番を入れ替えてしまったのは何故なのだろう。剣と剣の対決を最後に描きたかったのは分かるが、信というキャラの最大の魅力は剣力、剣腕だけではなく、その直感の鋭さなのだ。玉座にふんぞり返る成蟜に言い放つ「その化け物以外に誰もお前を体を張って守ろうとしない」という原作の台詞は、やはり省いてはいけなかった。

 

総評

『 BLEACH 』という駄作から見事なリバウンドを佐藤監督は果たした。原作ファンとして腑に落ちないところもあるが、映画的スペクタクルは十分に達成されているし、キャラクター再現度も高い。またBGMも各シーンにかなりマッチしていた。『 ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章 』は残念ながら続編政策の必要性は感じないが、本作は第二弾(蛇管平原?)、第三弾(馬陽防衛戦?)まで、しっかりと製作をしてほしい。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190421031356j:plain

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, B Rank, アクション, 吉沢亮, 山崎賢人, 日本, 歴史, 監督:佐藤信介, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンターテインメント, 配給会社:東宝, 長澤まさみLeave a Comment on 『 キングダム 』 -続編が期待できる序章-

『 ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 』 -JFK夫人の知られざる姿-

Posted on 2018年10月11日2019年8月24日 by cool-jupiter

ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 50点
2018年10月9日 レンタルDVD鑑賞
出演:ナタリー・ポートマン
監督:パブロ・ラライン

f:id:Jovian-Cinephile1002:20181011185603j:plain

これは観る人を相当に選ぶ映画である。JFK関連の作品というのは、ある意味でオリバー・ストーン監督の『 JFK 』で完成してしまっているわけで、これを超えるには2028年から暫時に公開される膨大な量の資料を基にした作品が作られるまで待たねばならないだろう。しかし、それもあと10年の辛抱と思うべきなのか、まだ10年も辛抱しなければならないのかと思うべきなのか。

 

あらすじ

1963年11月22日のJFKの暗殺からの4日間を、ジャクリーン・ケネディ・オナシスの視点から独自に描く。非業の死を遂げたケネディの喪に服すに際して、名家であるケネディ家の意向や、大統領警護のシークレット・サービス、ホワイトハウス関連のお歴々、リンドン・B・ジョンソン大統領らの思惑を超えたところで、JFKの死を悼み、悲しみ、国民にその死の衝撃の大きさを物語ることで、逆に彼の生の大きさ、深さ、豊かさを印象付けることに成功した、稀代のファーストレディ。その地位を徐々に喪失していくさまが、自身のアイデンティティ喪失に重なる。だからこそ、夫の死を誰よりも効果的に演出しようと抗う夫人の姿を描く、ユニークな作品。

 

ポジティブ・サイド

まず、主演のナタリー・ポートマンの演技力が光る。1960年代の口調を自分の物として吸収し、使いこなしている。なおかつ、記者に語る時の口調とホワイトハウスで語る口調が明らかに異なるのだ。これは脚本や演出の妙とも言えるが、翻訳・字幕のレベルで再現するのは難しい。なお、吹き替えがどうなっているのかは未鑑賞ゆえ評価を措きたい。これは、たとえば前アメリカ大統領のバラック・オバマが大統領職に立候補した時から大統領就任中まで一貫して、スピーチのレジスター(言語の使用域)を巧みに変えていたことに通じる。例えばオバマは、アメリカ南部の労働者階級が多い地域で演説する際には、”We’re gonna ~” と言い、逆にアメリカ北部の都市地域での演説では、”We are going to ~” と言っていた。作中のジャッキーもこれと同じで、実際の本人もおそらくファーストレディとして口調や立ち居振る舞いは、ジャクリーン一個人のものとは違っていたはずだ。こうした些細かもしれない違いを、ノン・ネイティブであるナタリーがしっかりと把握し、演じていたことは大きなプラス評価につながる。

 

また、ジャッキーが美術品を蒐集していた理由も非常に興味深い。なぜなら、『ゲティ家の身代金』におけるジャン・ポール・ゲティと全く同じ哲学、芸術観を彼女が有していたことが明らかになるからだ。この彼女の直観と、それに基づく卓越した実行力は確かにJFKの名を不滅にした。アメリカ人は、ちょっと教養ある階級であれば歴代の大統領の名前をだいたいは暗唱できるらしい。だが日本に住む我々はどうであろうか?伊藤博文の名前はパッと出てきても、例えば第二次世界大戦への参戦時の総理は東条英機であるとパッと言える人は多いだろうが、敗戦時の総理大臣の名前が出てくるだろうか?そんな歴史に疎い日本人でも、アメリカ史において暗殺された大統領は?と尋ねれば、秒でリンカーンとケネディの名前を出すであろう。もちろん、暗殺というインパクトは要因としては大きい。それでも、世界の歴史において暗殺された人は?と問いの範囲を広げてみても、人々が真っ先に挙げるであろう名前はJFKであると予想される。直近のインパクトとしては、北朝鮮の金正男の方が圧倒的に記憶に残っているはずだが、それでもJFKだろう。その最大の要因をジャッキー夫人に求めることはさほど難くない。そのことを確認することができるのが本作の功績である。

 

ネガティブ・サイド

残念ながら、マイナス点も目立つ。それは、アメリカ史に興味のない人は、ほぼ惹きつけられないだろうということだ。また、アメリカ史に興味のある人は、ある意味でもっと惹きつけないかもしれない。JFK暗殺の真相の一端、もしくは新解釈でも見せてくれるのかと期待してしまうとガッカリすること請け合いである。Jovian自身がまさにそうだった。この分野に関心を持つ人は、トランプ現大統領が検討中の1960年代当時の捜査資料の一般公開の前倒しと共に期待しようではないか。

 

本作の弱点としてもう一つ述べておかねばならないのは、ファーストレディとしてのジャッキーと一人の女性としてのジャッキーの境目が非常に曖昧模糊としている、ということである。もちろん、ファーストレディとしての人格と、その人の人格は別物であるべきだが、某島国のファーストレディが用いた(と疑われている)奇妙な政治力学を目の当たりにした我々からすると、少し釈然としないものが残るのも事実である。これはあくまで実話をベースにしたセミドキュメンタリー風の娯楽映画であるのだから、第一婦人のアッキー、ではなくジャッキーと一個人としてのアッキー、じゃなかったジャッキーを、混然とした形で描く必要はなかったのではないかと思うのである。もちろん、アイデンティティ・クライシスが大きなテーマになっているのだから、そうした内面のせめぎ合いを外面の演技に反映させることは大事だが、そこをもう少し見る者に分かりやすい形に dumb down / water down させることはできなかったか。いや、演技レベルを下げろというわけではないのだが・・・

 

総評

冒頭に評したように、見る者を選ぶ映画である。アクションもなく、サスペンスもない。しかし、響く人には響く映画であろう。内面の悲しみを強さに転化させ、健気に気丈に振る舞う女性の姿から何某かを受け取れる感性があれば、レンタルして来ても損はないだろう。

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, D Rank, アメリカ, チリ, ナタリー・ポートマン, ヒューマンドラマ, フランス, 歴史, 監督:パブロ・ラライン, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 』 -JFK夫人の知られざる姿-

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