ザ・ファブル 殺さない殺し屋 65点
2021年6月26日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:岡田准一 木村文乃 堤真一 平手友梨奈
監督:江口カン
岡田准一ファンのJovianは『 Arc アーク 』よりも、こちらのチケットを購入。平日の仕事量がめちゃくちゃであったため、週末は頭を空っぽにして楽しめるアクション映画を優先。
あらすじ
殺し稼業を休業中のファブルは、車椅子の少女、ヒナコ(平手友梨奈)と邂逅する。それはファブルがかつて救えなかった少女だった。だが、ヒナコの背後では、かつてファブルと遺恨のある裏稼業の男、宇津帆(堤真一)が暗躍していた・・・
ポジティブ・サイド
トレーラーで散々流れていたカーアクションのシーンはクライマックスではなく冒頭だった。これは嬉しい不意打ち。さらにその前には、殺しをやめたはずのファブルが次々に悪党と思しき男どもを殺していくシーンも。これが結構陰惨なシーンで、前作『 ザ・ファブル 』のオープニングは華麗な殺しのオンパレードだったが、今作は血生臭さを感じさせる始まり。期待が高まる。
岡田准一のハッピーな笑いに渾身のギャグシーンも微笑ましい。ひらパー兄さんとして数々のネタポスターを枚方市駅周辺で目にするが、そうした岡田のイメージを持っていれば、微妙にすべっているように見えるシーンが、楽しく感じられるようになるはず。
アクションシーンの大半はスタント・ダブルだろうが、それでも岡田准一はファブルという役を自分のものにしている。安藤政信との対峙シーンでは貫目の違いを見せつけた。fight choreographerを務めたと言うが、なかなかの創造性。途中で激戦を繰り広げた手練れの相手(プロ格闘家のようだ)との近接格闘戦は『 AVA/エヴァ 』とは比べ物にならない迫力と緊迫感だった。このファブル、荒唐無稽であるが是非とも『 図書館戦争 』の堂上と戦わせてみたい。
堤真一の悪役も堂に入っている。血の味に飢えていることとchild predatorであることを同時に見せる演出にはゾッとした。原作漫画でもこうなのか?『 砕け散るところを見せてあげる 』とはまた一味違う悪役。『 39 刑法第三十九条 』を再鑑賞してみるかな、
ネガティブ・サイド
『 さんかく窓の外側は夜 』でへっぽこだった平手友梨奈は今作では少しマシになった。それでも車椅子の扱い方などがまだまだ下手。2週間ぐらい、車椅子生活を実際に送ってみたりしたのだろうか。また平手その人の落ち度ではないが、足がふっくらしすぎ。骨折したことのある人ならわかると思うが、ちょっと歩かない、動かさないだけで脚の筋肉はびっくりするほど衰えていく。こういう場面こそCGで細い足に見せてしまって良い。
最後の「クララが立った!」的なシーンからは冗長に過ぎる。観る者を感動させたいのだろうが、その意図があまりにも透けて見えるような演出はマイナスでしかない。
山本美月の中途半端な見せ方にがっかり。貝沼を説得力ある形で退場させるなら、見せるべきものを見せるべきではないか。
佐藤二朗のキャラが前作よりもさらに暴走。『 ヲタクに恋は難しい 』の時もそうだが、この役者はちゃんと手綱を締めないと悪ふざけに走る。演技とネタの区別がつかなくなる。「ここはお任せで」ではなく、『 宮本から君へ 』のように、監督がしっかりと演技指導しなければいけない。
総評
アクションの派手さはアップしているが、着地で失敗した感じ。悪役は良い感じだが、ファブル側のキャラが深堀されていない。総合的には前作『 ザ・ファブル 』と同程度の面白さか。岡田准一ファンなら見逃す手はない。
Jovian先生のワンポイント英会話レッスン
picture
「イメージしろ」というセリフの私訳。意外に思われるかもしれないが、日本語で言うところの「イメージする」は imagine よりも picture という動詞の方がふさわしい。Just picture this, blood runs through your veins. または Blood runs through your veins, just picture that. のように文頭か文末に置くことが多い気がする。