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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: マシュー・マコノヒー

『 マジック・マイク 』 -自分探しの青春映画-

Posted on 2023年3月2日 by cool-jupiter

マジック・マイク 70点
2023年2月28日 WOWOW録画にて鑑賞
出演:チャニング・テイタム マシュー・マコノヒー アレックス・ペティファー コディ・ホーン
監督:スティーブン・ソダーバーグ

『 マジック・マイク ラストダンス 』の予習のために再鑑賞。

 

あらすじ

日雇いの現場仕事をしているマイク(チャニング・テイタム)は現場でアダム(アレックス・ペティファー)と知り合う。ストリッパーとして働くマイクは、クラブで偶然、アダムと出会い、自分のクラブに引き入れる。アダムはそこで思わぬ才能を見せ、頭角を現わしていく。一方、マイクはアダムの姉のブルック(コディ・ホーン)と知り合い、自分の夢について真剣に考えるようになっていき・・・

 

ポジティブ・サイド

ダンスシーンがどれもキレッキレ。チャニング・テイタムの athleticism はハリウッドでも随一だろう。『 トップガン マーヴェリック 』のBlu rayを無造作に再生していることが多いが、OneRepublic の ”I Ain’t Worried” をBGMに皆がビーチでフットボールするシーンになると、Jovian妻は「サービスシーン?」と言って、そこだけ観に来る。

 

マシュー・マコノヒーがクラブのオーナーとして圧倒的な存在感を放っている。脳内麻薬ドバドバ状態で、ジムでアダムにストリップのあれこれを指南する様は本作のハイライトの一つ。そのアダムが、何もせず、ただ夢物語にうつつを抜かす若造だったのが、ストリップによって自信をつけて、行動が変わっていく。これも一つの青春だろう。対照的に、アダムを引き入れたマイクは、徐々に自分の本当にやりたい仕事、家具の制作と販売を実現するために、銀行に融資を申し込む。しかし悲しいかな、現金収入しかないために銀行の信用が得られず、融資は得られず。夢を実現させたいのに、現実がそこに立ちはだかる。これも一つの青春の形か。

 

そう、本作は陽キャの男性ストリッパーたちがヒャッハーする青春映画であると同時に、「若く美しい時期は永遠には続かない」という現実と折り合いをつけようとするタイプの青春映画でもある。日本でもモラトリアム期間がどんどん長くなっているが、それはアメリカでも同じらしい。若さは無敵の武器になりうるが、失ってしまうと「ただの人」になってしまう。この事実を受け入れるのは結構難しい。いつまでも自分を「若い」と思い込んで、気が付けば会社の後輩たちから眉を顰められている、というオッサン連中はJovian含め日本に軽く数十万人はいるだろう。

 

それにしてもマイク、良い人すぎるなあ。アダムが若気の無分別で盛大にやらかした後も、兄貴分としてしっかりフォロー。そのことを知らないブルックに厳しいことを言われても、ぐっと飲み込んで反論しない。男やで。

 

マイアミに旅立つ直前に、マイクがブルックに吐露する”It’s what I do, but it’s not who I am.” =「あれは俺の仕事だが、俺の人格じゃない」というのは、『 トップガン マーヴェリック 』でマーヴェリックが”I’m a fighter pilot, a naval aviator. It’s not what I am. It’s who I am.” =「僕は戦闘機パイロットで海軍の飛行機乗りだ。それは職業じゃなくて、僕そのものだ」というセリフと対になっている。マーヴェリックは自己実現を果たしているが、マイクはまだなのだ。この自分になるということ、(英語ではしばしば Be you. と言う)その過程での成功や失敗を描く映画が青春ジャンルに入るのだろうが、本作はそれを男性ストリッパーの視点から描いたところがユニーク。女性はもちろん、男性にも勧められる。オッサンなら更に良し。何者かになろうともがく若者の姿は、それだけで尊く美しい。 

 

ネガティブ・サイド

マイク、アダム、ダラス以外のストリッパー連中の描写がアンバランスだった。ターザンは最初にアダムをからかうところだけ、ケンは自分の奥さんのおっぱいを触らせようとするところぐらいか。せっかくなら個性的な脇役連中にも、もう少しスポットライトを当ててほしかった(だからこそ続編があるのだろうが)。

 

ブルックが病院で働くシーンが少しあっても良かったのではないか。夜のクラブで浮世の憂さを晴らす女性たちがいる一方で、自分の仕事や人生、他者や社会にしっかり向き合っている女性がいる。ブルックは後者である、という描写があれば、マイクの生き方とのコントラストが際立ったものと思う。

 

総評

久しぶりに観たが面白い。一時期、『 ドン・ジョン 』とこれをBGM代わりに再生していた時期もあったが、不惑を過ぎて再鑑賞することで、マイクたちの刹那的な生き方の裏にある、確たる人生を掴めるのかどうか分からないという不安や苦悩により強く共感できるようになった。ジャニーズに忖度せず、とことん追い込んで指導・演出できる監督と良い脚本があれば、ジャニタレでリメイクしても良いのでは?無理か・・・

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

My hands are tied.

マイクが融資を頼んだ銀行員の台詞。直訳すれば「私の両手は縛られている」だが、実際の意味は「私には何もできない」、「私にできることはない」のような感じか。『 グレイテスト・ショーマン 』の “Rewrite The Stars” の歌詞の最後はこれである。 仕事などで自分にできることがなくなってしまった時、My hands are tied. と言ってみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 銀平町シネマブルース 』
『 シャイロックの子供たち 』
『 マジック・マイク ラストダンス 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, アレックス・ペティファー, コディ・ホーン, チャニング・テイタム, マシュー・マコノヒー, 監督:スティーブン・ソダーバーグ, 配給会社:カルチュア・パブリッシャーズ, 配給会社:ブロードメディア・スタジオ, 青春Leave a Comment on 『 マジック・マイク 』 -自分探しの青春映画-

『 インターステラー 』 -尻すぼみであること以外はパーフェクト-

Posted on 2023年1月9日 by cool-jupiter

インターステラー 80点
2023年1月7日 WOWOW録画にて鑑賞
出演:マシュー・マコノヒー アン・ハサウェイ ジェシカ・チャステイン
監督:クリストファー・ノーラン

諸事情あってなかなか映画館に行けないので、過去のWOWOW録画DVDを手に取る。中に入っているのは『 インターステラー 』と『 コンタクト 』で、前者を選ぶ。

あらすじ

ダストボウルの大量発生により土壌で作物が育たず、酸素も近い将来に生存不可能なレベルにまで低下することが予想される世界。元パイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)は娘マーフの部屋で起きる奇妙なサインから座標を読み取る。そこではNASAが、人類救済ミッションを密かに進めており、クーパーは土星付近のワームホールを目指すミッションに参加することになる・・・

ポジティブ・サイド

地球滅亡ではなく人類滅亡という設定がいい。しばしば発生する砂嵐は dust bowl =ダストボウルと呼ばれる、1930年代にアメリカとカナダの農業に大打撃を与えたものである。もちろん Jovian はダストボウルを直接に経験した世代ではないが、これはアメリカ近代史ではしょっちゅう触れられるのでよく知っていた。

ワームホールの説明や描写もSF入門レベルにまで dumb down してくれているのも有難い。ワームホールの説明として、紙を折り曲げて二点をくっつけるというのは定番中の定番だが、二次元平面の紙の上の穴(hole)は三次元空間では球(sphere)になるという説明は秀逸だと感じた。

ワームホールの先の別の銀河で訪れる移住先の星々の描写も光っている。ブラックホール近傍の惑星あるいはステーションというのは『 ブラックホール 』でもお馴染みで、それ自体にオリジナリティはない。しかし、ブラックホールの重力圏内と圏外での時間のずれが生むドラマは、ベタながら見応えがあった。

ノーラン監督は初期から「時間」をテーマにした作品作りで知られていて、本作でもそれは一貫している。『 TENET テネット 』で見せた見事な物語の円環的構造は、実は本作でも示されていて、劇場で始めた鑑賞した時、WOWOWで二度目に鑑賞した時、そして今回と、毎回その構造の巧みさに舌を巻く。

本作の最大の功績はTARSかもしれない。R2-D2やBB-8とはまた違った魅力のあるロボットである。コミュニケーションの設定に正直度やユーモアがあったが、これは案外現実世界で似たようなロボットが作られた際、取り入れられる設定かもしれない。また、安易に人型にするのではなく、TARSのような造形の方がモビリティも確保できるだろうなと感じた。

SFにはファンタジーの領域にどっぷり浸かったものと、現実的な科学技術に立脚しつつ、ほんの少しのフィクションを混ぜたものがある。どちらも面白いのだが、本作は数あるSF作品の中でもファンタジーの領域と現実の領域が見事な配分でミックスされていると感じる。ここでいうファンタジーとは「愛」の力。いかなる科学も超越する親子の奇妙な愛の絆は、何度見ても感動させられてしまう。俺もだいぶ単純になってもうたな・・・

ネガティブ・サイド

親子の愛だけに留めておけばよかったのに、なぜアン・ハサウェイ演じるブランド博士をクーパーの love interest にする必要があったのか。ここが解せない。友愛に近い感じで良かったのでは?

そのブランド博士やその他の面々も、人類を救うと言いつつ、移住候補先の星の大地に星条旗の旗を立てるのか?これが英国籍と米国籍を持つクリストファー・ノーランの植民に対する意識の表れなのだろうか?うーむ・・・

天文物理学や生物学の門外漢だが、ガルガンチュアのようなブラックホールが天文単位の距離にあるような複数の惑星は、そもそも移住に向かないのでは?ブランド博士の言う通り、小惑星の衝突などが起きない(ブラックホールがそれらをすべて吸い込むか弾き飛ばす)環境では、生物の創発が喚起されない。地球ですら木星のおかげで天体衝突の確率は1000分の1になっているとされる。微生物や植物すらない環境はテラフォーム不可能な気がするのだが・・・

総評

最後の最後のクーパーの決断が個人的には受け入れがたいが、そこに至るまでの3時間近い物語には圧倒されるばかり。3度目の鑑賞でもそう感じる。ティモシー・シャラメやケイシー・アフレック、マイケル・ケインにジョン・リスゴーなど、若手から超ベテランまでが脇を固める。2010年代のSF映画の秀作の一つであることは間違いない。

Jovian先生のワンポイントラテン語レッスン

stella

ラテン語で a star の意味。interstellar は文字通り「星々の間の」、「恒星間の」という意味である。星座を constellation と言うが、色んな星が一緒になってできるのが星座ということである。似たような語に『 アド・アストラ 』の astra がある。これは astrum の複数形の対格で、こちらも意味は星だが、やや誌的な感じがする表現。これの元はギリシャ語のasterで、astronaut や astronomy はここから来ている。アスタリスクを見たら「あ、確かに星だ」と感じてもらえれば幸いである。

次に劇場鑑賞したい映画

『 死を告げる女 』
『 ホイットニー・ヒューストン  I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 』
『 ファミリア 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, A Rank, SF, アメリカ, アン・ハサウェイ, ジェシカ・チャステイン, マシュー・マコノヒー, 監督:クリストファー・ノーラン, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 インターステラー 』 -尻すぼみであること以外はパーフェクト-

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