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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: ビゴ・モーテンセン

『 クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 』 -微グロ耐性は必須-

Posted on 2023年8月21日 by cool-jupiter

クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 50点
2023年8月19日 T・ジョイ梅田にて鑑賞
出演:ビゴ・モーテンセン レア・セドゥ クリステン・スチュワート
監督:デビッド・クローネンバーグ

クローネンバーグ作品は『 スキャナーズ 』、『 ザ・フライ 』、『 イグジステンズ 』だけ観た。

 

あらすじ

人類は痛みという感覚をなくし、新しい臓器が発生するという病のある未来に暮らしていた。加速進化症候群に侵されたソール・テンサー(ビゴ・モーテンセン)は相棒のカプリース(レア・セドゥ)と共に、内臓にタトゥーを施して、それを摘出するというショーで人気を博していた。しかし、こうした進化を好ましくないと感じる政府は、ティムリン(クリステン・スチュワート)を派遣し、ソールとカプリースの動向を注視していて・・・

ポジティブ・サイド

内臓摘出ショーを新しい形のセックスだと捉えるのは凄い視点だと感じた。たしかに人類の進化が悪い方向に進んでしまえば『 JUNK HEAD 』のような世界が到来するだろう。本作は現代と『 JUNK HEAD 』の中間地点の世界を提示しているように感じられた。

 

臓器の摘出=新しい形のセックスという見方も面白い。恥骨をぶつけ合うのではなく、互いを切り刻み、血を流すソールとカプリースの姿は確かに官能的と言えなくもない。レア・セドゥはヌードを披露。クローネンバーグに情念を一身に受け止めてしまったか。臓器摘出マシーンを操作する手つきのエロティシズムを表現できる女優はなかなかいないだろう。

 

進化する人類と、それを好ましくないと見なす政治的権力の対立という構図はSFでは珍しくもなんともないが、プラスチックを消化してしまう臓器の存在が、俄然本作を興味深いものにしている。言うまでもなくプラスチックによって汚染されてしまった海域とそこに住まう生物、さらにマイクロプラスチックに汚染されていると言われる現代人をグロテスクに映し出しているわけだ。悪趣味な変態映画人が鬼才と呼ばれる所以である。

ネガティブ・サイド

英語で一言で評するなら graphic となるだろうか。ビゴ・モーテンセン演じるソールの内臓摘出ショーは悪趣味の一語に尽きるし、臓器にもリアリティはない。骨や筋肉、腹膜、脂肪が一切ないのは、低予算映画ゆえか?製作やキャスティングを見るに、予算不足とは考えづらいが。

 

あの妙な食事介助椅子は何なのだろうか。結局自分で食べてるし。加速進化症候群患者に反応してあのように動くようだが、呈示される判断材料がちょっと少なすぎではないだろうか。

 

It’s time to listen. のダンサーは何のシンボル?痛みに対して悲鳴を上げるべき人体が、もはやその悲鳴を上げることができない云々を表しているのかと思うと、そうでもなく・・・ 特にストーリーに起伏やアクセントを与えるでもなく・・・ 

 

Graphicな作品である一方で、クリステン・スチュワート演じるティムリンがかなり饒舌(=説明好き)だったり、あるいはショーの観客が結構な長広舌を振るったりするのが気になった。『 A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー 』でもバーで延々としゃべる男がいてノイズに感じたが、それと同じだった。

 

総評

間違ってもデートムービーだと思ってはならない。アートな映画だという雰囲気に騙される大学生カップルが出ないことを祈る。『 スキャナーズ 』や『 ザ・フライ 』のような人体破壊に耐性がないと鑑賞は厳しいだろう。上映中の『 ビデオドローム 4K ディレクターズカット版 』も観るべきだろうか。ただ、同僚の急死および会社が欠員補充を当面はしない方針、かつ大学の後期が開講間近ということで土日も半日もしくは全日出勤になりそう。映画観る時間とれるんかな?

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

You’d be surprised.

あなたは驚くだろう、というのが直訳だが、実際は文脈によって意味するところが変わる。

X: Cooking seems hard.
「料理は難しそうだ」
Y: You’d be surprised.
「(そんなに難しくないから、実際に料理をしてみれば)驚くかもね」

のように使う。こういうフレーズをサラっと使えるようになれば英会話中級者以上、CEFRでB1+だろう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 神回 』
『 セフレの 品格 プライド 』
『 ヴァチカンのエクソシスト 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, SF, カナダ, ギリシャ, クリステン・スチュワート, スリラー, ビゴ・モーテンセン, レア・セドゥ, 監督:デビッド・クローネンバーグ, 配給会社:STAR CHANNEL MOVIES, 配給会社:クロックワークスLeave a Comment on 『 クライムズ・オブ・ザ・フューチャー 』 -微グロ耐性は必須-

『 グリーンブック 』 -ロードムービーの佳作-

Posted on 2019年3月7日2020年1月3日 by cool-jupiter

グリーンブック 70点
2019年3月2日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ビゴ・モーテンセン マハーシャラ・アリ
監督:ピーター・ファレリー

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190307162522j:plain

アカデミー賞受賞と聞けば、否が応にも期待は高まるが、たいていはそれが映画をダメにしてしまう。新作ゴジラ映画にも、あまり興奮しすぎないようにしなくては。本作は良作ではあるものの、昨年の『 スリー・ビルボード 』ほどのインパクトは感じなかった。

 

あらすじ

1960年代。ナイトクラブの用心棒、イタリア系白人のトニー・リップ(ビゴ・モーテンセン)は店の改装閉店のために別の職を探すことに。ひょんなことから、天才黒人ピアニストのドクター・シャーリー(マハーシャラ・アリ)の南部諸州へのツアーに運転手謙マネージャー的存在として付き添うことになる。何から何まで対照的な二人は、旅を通じて友情を育むようになるが・・・

 

ポジティブ・サイド

『 ドリーム 』とほぼ同時代を背景としている。つまり、それだけ人種差別の激しい時代だったということである。南北戦争の爪痕は当然の如く、南部の方に強く残っている。そんな南部に旅をしようというのだから、トニーならずとも「何じゃそりゃ」となる。皆が皆、ハリエット・タブマンになれるわけではないだろう(映画『 ハリエット 』の公開が待ち遠しい)。がさつで大飯食らいで腕っ節が自慢のトニーと、落ち着いた物腰で教養ある人物特有の語彙で話し、高い倫理観も備えたシャーリーの二人が、旅の中でどのように互いへの偏見をなくし、友情を育むのか。Jovianは本作を観て、差別の何たるかをあらためて思い知らされた気がした。

 

『 私はあなたのニグロではない 』で、有名大学教授が「無知な白人より教養ある黒人に親近感を覚える」と発言していたが、これは人種ではなく博識か否かで人を判断するという宣言である。人格ではなく知識で相手を判断するということである。実は、これと同様の構造がシャーリーと農場奴隷さながらの黒人労働者の間で成り立ちそうな瞬間がある。その時のシャーリーのいたたまれなさは必見である。差別される側であった自分の心に、差別の心があったことを自覚させられてしまうからである。劇中では色々と食べ物であったり音楽であったりと、黒人に対するステレオタイプがトニーの口から開陳されるが、個人的に最も強く心に焼きついたシーンは、農場の人たちを見つめるシャーリーの眼差しであった。

我々は差別の存在に慣れきっているのではないか。差別とは人種や出身地、性別、職業などに基づいて疎外することだという考えに浸り切っているのではないか。雨中で自分の心情を赤裸々に吐露するシャーリーに、Jovianはかつての韓国系カナダ人の言葉を思い出した。2歳の時に家族で韓国からカナダに移住した彼は、縁あって日本で職を得た。そんな彼から聞かされた言葉で最も印象に残っているものの一つが

“The saddest thing is to be discriminated against by your own people.”

( 一番悲しいことは、自分と同じ人間から差別されることだ )

彼は見た目は典型的な韓国人、東洋人である。しかし話す言語はカナダ英語、そのマインドも95%は西洋人、カナダ人のそれであった。そんな彼が韓国を旅行した時に悲しく感じたのが、同国人からの差別の眼差しということであった。Jovianが言わんとしていることは、韓国人が差別的であるということでは決してない。その点を誤解しないでもらいたい。差別とは、その人の属性ではないものを押しつけることだ。その結果として、相手が傷ついたとしたら、それは差別なのだ。

黒人を相手に「黒人である」と告げることが差別なのではない。黒人に「不潔である」という属性を勝手に付与するトニーに、我々は嫌悪感を催す。しかし、車の中というクローズド・サークル、すなわち外界からシャットアウトされた、ある意味では別世界で、二人は互いの人間性を見出していく。人間性とは、人間らしくあるということだ。人間が人間であるとは、思いやりを持つことだ。そのことはJovianだけが傑作だ名作だと騒いでいる『 第9地区 』で鮮やかに描かれていた。仲間を見つめ茫然自失する宇宙人こそが最も人間らしいキャラクターだったからだ。本作も、観ればなにがしかを感じうる作品である。

 

ネガティブ・サイド

スタインウェイのピアノを強調するのなら、他のピアノならどんな音がするのかを、後ではなく先に見せて欲しかった。同時に、音楽そのものをもっと味わえる構成にしてほしかったと思うのは、高望みをし過ぎだろうか。事前におんぼろピアノを独り侘びしく奏でるとどんな音が響くのかを観客に知らせておけば、終盤のギグがもっと映えたと思うのだが。

また、劇中でのトニーとシャーリーのとあるピンチを政治的な力で乗り切るシーンがあるのだが、このエピソードはノイズであるように感じた。

文字通りの意味での「象牙の塔」で暮らすドクター・シャーリーが求めていたであろう、ある人物との関係についてのその後も描かれていれば、なお良かったのだが。

 

総評

良い作品ではあるが、アカデミー賞の作品賞を受賞するほどだとは思わない。昨年の『 シェイプ・オブ・ウォーター 』でも感じたが、我々は本当に差別というものに慣れ切ってしまっていて、いつかそれをコンテンツ化して消費することに何の抵抗も感じないようになってしまうのではないか。そのような懸念も少しだけ感じてしまう作品である。

f:id:Jovian-Cinephile1002:20190307162556j:plain

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, B Rank, アメリカ, ビゴ・モーテンセン, ヒューマンドラマ, マハーシャラ・アリ, 監督:ピーター・ファレリー, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 グリーンブック 』 -ロードムービーの佳作-

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