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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: チャドウィック・ボーズマン

『 21ブリッジ 』 -プロットはありきたりだが、迫力は十分-

Posted on 2021年4月11日 by cool-jupiter

21ブリッジ 55点
2021年4月9日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:チャドウィック・ボーズマン J・K・シモンズ ステファン・ジェームス
監督:ブライアン・カーク

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210411111450j:plain

ブラックパンサーのチャドウィック・ボーズマンの遺作。マンハッタン封鎖という壮大なスケール+話題性に惹かれて鑑賞。エンタメの面だけ見れば上々である。

 

あらすじ

マンハッタンで警察官8人が射殺されるという事件が発生した。警察官殺しの犯人を過去に何度も射殺してきたアンドレ・デイビス(チャドウィック・ボーズマン)刑事が犯人を逮捕するため、マンハッタンを全面封鎖するが・・・

f:id:Jovian-Cinephile1002:20210411111508j:plain

ポジティブ・サイド

チャドウィック・ボーズマンの雄姿が光る。冒頭の査問シーンから、容赦なく相手を射殺していくタイプかと思いきや、血も涙もある人間だった。認知症の母親をいたわる姿に、Mama’s boyとしての顔と、激務である刑事の仕事に誇りを持っているというプロフェッショナリズムの両方が見えた。これがあるためにラストの言葉による対決が説得力を持っていた。

 

犯人たちを追跡するシークエンスも大迫力。追いかけるデイビスは『 チェイサー 』のキム・ユンソクばりに走る走る、逃げる。犯人の一人であるマイケルも『 哀しき獣 』のハ・ジョンウばりに逃げる逃げる。マンハッタンの街中や道路、地下鉄、住宅などを縦横無尽に駆け巡る追跡&逃走劇は、邦画では描けない臨場感。追う者と追われる者がいつしか自分たちだけの一体感を得ていくというのは、よくある話であるが、それゆえに説得力がある。

 

ハリウッド映画で感じるのは、銃撃のリアリティ。銃撃されたことはないけれど、色々なものが確実に伝わってくる。Jovianは大昔に一度だけアメリカで銃を撃ったことがあるけれど、銃器って重いんだ。それを扱っている人間の体の動きや姿勢、撃った後の反動、それに音響などの迫真性がたまらなく恐ろしい。こればっかりは邦画が逆立ちしても勝てない領域(勝つ必要はないけれど)。

 

チャドウィック・ボーズマンのファンならば、彼の雄姿を目に焼き付けるべし。

 

ネガティブ・サイド

デイビスのキャラクターをもう少し深堀りすることはできなかったか。警官殺しを容赦なく殺すというのは、なかなか強烈なキャラクターだ。だからこそ、冒頭で描かれる彼の父親の死や、実際に彼が行ってきた容疑者や犯人の射殺に至る経緯をもっと詳しく見せる必要がある。それが中途半端ゆえに「あれ、撃ち殺すんじゃないの?」という疑問がわき、それが「ああ、撃ち殺せないプロット上の理由があるのね」とつながってしまう。このあたりからストーリーの全体像が読めてしまうし、2020年夏の米ウィスコンシン州のジェイコブ・ブレイク事件を彷彿させる、無抵抗な人間を警察が容赦なく射殺・銃撃するシーンを見せられれば、否が応でも黒幕の存在にはピンとくる。韓国映画の警察が無能というのは常識だが、アメリカ映画の警察が味方とは限らないというのもまた常識である。

 

デイビスの孤立無援、孤軍奮闘っぷりばかりが目立つが、「ヨランダ」にもう少し後半に出番があってもよかったのではないか。「ケリー」の方にはあるのだから、ここはバランスをとってほしかった。というか、ヨランダがデイビスにかけてきた電話はいったい・・・

 

総評

警察という仕事の困難さはJovianも義理の親父から何度か聞かされた。しかし、警察という仕事の誇らしさもそれ以上に聞かされた。そういう意味で、マンハッタン封鎖作戦以降は、警察1vs警察の物語として観るべし。ただしデイビスの人間性はうまく描出されていたが、デイビスの警察官としてのバックグラウンドがほとんど描かれなかった点が惜しい。同じようなテーマの『 ブラック アンド ブルー 』の方が面白さは上だと感じた。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

be on borrowed time

『 サヨナラまでの30分 』で紹介した live on borrowed time とほぼ同じ意味である。つまり、借り物の時間で存在している=死ぬのは時間の問題、ということ。劇中のアメリカの警察の恐ろしさを実感させてくれるセリフである。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, D Rank, J・K・シモンズ, アクション, アメリカ, ステファン・ジェームス, チャドウィック・ボーズマン, 中国, 監督:ブライアン・カーク, 配給会社:ショウゲートLeave a Comment on 『 21ブリッジ 』 -プロットはありきたりだが、迫力は十分-

『 42 世界を変えた男 』 -Take him out to the ballgame-

Posted on 2020年5月19日 by cool-jupiter

42 世界を変えた男 60点
2020年5月19日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:チャドウィック・ボーズマン ハリソン・フォード
監督:ブライアン・ヘルゲランド

f:id:Jovian-Cinephile1002:20200519231513j:plain
 

MLBも日本プロ野球も開幕が遅れている。球春未だ来たらず。ならば野球映画を観る。大学生の頃に観たトミー・リー・ジョーンズ主演の『 タイ・カップ 』もなかなかに刺激的だったが、second viewingならこちらにすべきかと思い直した。

 

あらすじ

第二次大戦後の1947年、ブルックリン・ドジャースGMのブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は、ニグロ・リーグのスターの一人、ジャッキー・ロンビンソン(チャドウィック・ボーズマン)を史上初の黒人選手としてMLBに招き入れる。そしてロビンソンは、差別や偏見にプレーで対抗していく・・・

 

ポジティブ・サイド

JovianがMLBのことを知ったのは中学生ぐらい、青島健太がやっていたBSスポーツニュースを通じてだったか。マイケル・ジョーダンがバスケを引退、野球に転向というニュースにびっくりしたのを覚えている。その翌年ぐらいか、野茂英雄が海を渡ったのは。その頃から日本でも本格的にメジャーリーグが認知され始め、イチローと新庄のメジャー行きで完全にMLBが身近なものになったと感じられるようになった。個人的には大学生の頃に読んだパンチョ伊東の『 野球は言葉のスポーツ 』で、メジャーの歴史の広さと深さに初めて触れたと感じた。ニグロ・リーグの消滅(人によっては発展的解消とも呼ぶが)を、MLBへの人材流出が続く日本にも重ね合わせた名著だった。

 

本作は差別と融和の構造を鮮やかに描き出している。当時の野球人たちのロビンソンへの反応と同じくらいに、一般人であるファンの差別が恐ろしい。純粋無垢に見える野球少年が、差別思想に凝り固まった大人たちの圧力に屈して罵りの言葉を吐き出す様はグロテスクである。本作はそうした目をそむけたくなる、耳をふさぎたくなるようなシーンを真正面から描く。そうすることで、差別する者の醜さを炙り出す。これは怖い。自分にも何らかの意味での差別思想がないとは言い切れない。そうした時に、ロビンソンを口汚く罵るフィリーズのチャップマン監督を思い出そうではないか。こんな人間になってはおしまいである。

 

本作ではハリソン・フォードが光っている。基本的にフォードは(トム・クルーズや木村拓哉と同じく)誰を演じてもハリソン・フォードになってしまう。だが、本作では実在したブランチ・リッキーの模倣に徹した。それが奏功した。Jovianは東出昌大は当代きっての大根役者だと断じるが、『 聖の青春 』の羽生善治の物真似は素晴らしかった(というか、東出に演技をさせなかった監督の手腕なわけだが)。ブランチ・リッキーの表情、声、話し方、立ち居振る舞い、思想信条を研究して、役をものにしたというよりも、まさに物真似をした。フォードのファンならば必見の出来に仕上がっている。

 

主役を張ったチャドウィック・ボーズマンも好演・はっきり言って顔立ちはロビンソン本人には似ていないのだが、苦悩を内に秘めて、しかしフィールドでそれを決して表に出さない。かといって、ほぼ同時代人であるジョー・ディマジオのようなcool-headedなプレーヤーでもない。投手を挑発し、観客をエキサイトさせる一流アスリートである様を体現している。

 

ネガティブ・サイド

肝心かなめの野球シーンに迫力がない。本作は伝記であり、ヒューマンドラマであるが、スポーツ映画ではなかった。残念ながら野球をしている時のボーズマンは、最もロビンソンから離れた存在に見えてしまった。『 フィールド・オブ・ドリームス 』のシューレス・ジョー・ジャクソンが何故か右利きにされていたが、レイ・リオッタのスイングには力強さとキレがあった。『タイ・カップ 』のトミー・リー・ジョーンズの走塁と殺人スライディングにはスピードと躍動感(と殺気)があった。残念ながら、チャドウィック・ボーズマンのスイングにはパワーが欠けているし、走塁にはスピードがない。守備にしても『 マネーボール 』のクリス・プラットの方が(一塁手としては)遥かに様になっている。

 

史実として、リッキーはニグロ・リーグの最優秀選手を連れてきたわけではない。折れない心の持ち主をpick outしたとされている。だが、パンチョ伊東らの著書やその他の研究によると、当時のジャッキー・ロビンソンはニグロ・リーグ全体で上から3~4番手という、トップ中のトップだったことは間違いないようである。であるならば、当時の白人が持っていなかった異質なスピード、異質なパワーというものを、もう少しはっきりとした形で描き出すべきだったと思う。

 

また野球そのものの描写もめちゃくちゃである。いくら何でも一塁から離れてリードを取り過ぎだし、絶妙のタイミングの牽制球で、帰塁のタイミングも遅いのにセーフになったりしている。また、劇中でビーンボールや頭部直撃デッドボールも描かれるが、それらの投球が『 メジャーリーグ 』のチャーリー・シーンの荒れ球よりも速い。というか、佐々木朗希のストレートよりも速く見えるビーンボールもあるなど、野球に対する愛情もしくは造詣、または競技経験のある者が作ったとは思えないCGピッチングには、正直なところかなり呆れてしまった。

 

総評 

ジャッキー・ロビンソンと聞いて「誰?」となる人も若い世代には多いだろう。それは仕方がない。オリックス時代のイチローを全く知らない世代の野球ファンもいるのだ。そのイチローがMLB1年目に新人王(とMVP!)を獲得した時に「日本のプロ野球で実績充分な者をMLBは新人扱いするのか?」とMLB内外で論争が沸き起こった。その当時に下された結論は「ニグロ・リーグのトップスターだったジャッキー・ロビンソンもMLBでは新人で、それゆえに新人王を獲得した」というものだった。イチローの偉業の向こうにロビンソンがいる。差別に屈しなかった男の物語には食指が動かない向きも、イチローの先達の物語になら興味を抱くのではないだろうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

as you see fit

「あなたの好きなように」、「あなたが適切だと思えば」の意。

 

Make changes as you see fit.  好きなように変更を加えてくれ。

Raise your hand and ask questions as you see fit.  挙手をして好きなように質問したまえ。

 

職場で使うとちょっとかっこいい。ぜひ機会を見つけて口に出してみよう。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, アメリカ, チャドウィック・ボーズマン, ハリソン・フォード, ヒューマンドラマ, 伝記, 監督:ブライアン・ヘルゲランド, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『 42 世界を変えた男 』 -Take him out to the ballgame-

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