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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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タグ: アン:ハサウェイ

『プリティ・プリンセス2 ロイヤル・ウェディング』 -プリンス・チャーミング不要論-

Posted on 2018年9月2日2020年2月14日 by cool-jupiter

プリティ・プリンセス2 ロイヤル・ウェディング 55点

2018年8月30日 レンタルDVD観賞
出演:アン・ハサウェイ ジュリー・アンドリュース ヘクター・エリゾンド クリス・パイン
監督:ゲイリー・マーシャル

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180902123451j:plain

原題は”The Princess Diaries 2: The Royal Engagement”、つまりは『お姫様日記2 王室の婚約』というわけである。舞台は前作『プリティ・プリンセス』から5年。ミア(アン・ハサウェイ)はジェノヴィアの王女として悠々自適の生活を送っていた。しかし、300年前に制定されたジェノヴィアの法律では、女性は結婚していなければ王位を継承できないと定められていたことが判明。その法律を掘り起こしてきたのは、王位簒奪を企み、自分の甥ニコラス(クリス・パイン)を王にしようと画策するデヴロー卿だった。かくしてミアは花婿探しに奔走する。そして女王クラリス(ジュリー・アンドリュース)はミアを支えながらも、ジョー(ヘクター・エリゾンド)との関係の進展に逡巡していた。かくして、ミアの戴冠に向けての婿探しが始まった。

前作はまさに王子様不在のシンデレラ・ストーリーであった。王子様、しばしばおとぎ話に名無しで登場し、主役の少女を颯爽と救っていく存在である。彼は英語では基本的にPrince Charmingと呼称される。敢えて訳せば「白馬の王子」となるだろうか。おとぎ話は基本的に民話/昔話が時代に取り込まれ、再構成されることで生まれる。姫の存在は、王子によって担保されているというわけだ。ミアにも「白馬の王子」が現れる。それがニコラスであり、イングランドのジャコビー公爵である。ミアが選ぶのは、前者なのか、それとも後者なのか。

本作が問うのは、女性が幸せになるのに男性の力を必要とするのかどうかであろう。もちろん、時代背景や住む国や地域が異なれば、事情も変わってくる。しかし、劇中でも言及されるように、21世紀という時代においてそうした考えが支配的である必然性があるのだろうか。一方で、政略結婚によって幸福になることもありうる。クラリス女王がそうであったように。そのクラリスが、退位してジョーとの関係をさらに一歩先に進めることに悩んでしまうのは、結婚の持つ魔力ゆえか。女王という存在のままでは、女性としての幸福を追求できない。しかし自分が女王たりえたのは、政略結婚(だけが要因では決してないが)があったからで、その結婚相手とは良き友人になれた。ジョーとの情愛からの結婚に踏み出せない理由もそこにある。政略結婚から友情が芽生えた。では、恋愛結婚からは一体何が芽生えるのだろうか。

ミアはジャコビー公爵と頻繁にデートする一方で、ニコラスとも逢瀬を重ねる。政略結婚と恋愛の、非常に分かりやすい対比である。ここでミアは、何故そもそも自分が結婚相手を探し始めたのかという原点に回帰する。『ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズ』を思い起こさせる、感動的なシークエンスがある。それはもちろん、構図上のことであって、ミアがここで手を差し伸べるのは、過去の自分であり、21世紀という時代を担う若年世代であり、自分の人生の主役は自分であるという自覚を持って生きるべき全ての人である。これは素晴らしく胸を打つシーンで、プリンセスの乗ったヴァンを追い回して交通事故を誘発させて悪びれない島国や、ロイヤル・ファミリーの人格を無視し、単なる象徴としてだけしか扱おうとしない、これまた島国の保守派は、よくよくこのシーンを消化吸収すべきだ。王は、追いかけられたり、微笑み返したりするだけの存在を指すわけではない。

それにしても、アン・ハサウェイはこの頃に既にアン・ハサウェイとして完成されているということに驚いてしまう。垢抜けない女子高生だったはずが、見事なセレブに変身してしまっている。ある意味、『ゴジラvsビオランテ』でびっくりするような大根役者っぷりを披露した沢口靖子が、『科捜研の女』に鮮やかに変身したのを見るかのようだ。そしてクリス・パインの青さも堪能できる。この男は『モンスター上司2』でもそうだったように、悪い男を演じる時に、目の奥に純粋さを残す。栴檀は双葉より芳し。

すでに第三作の脚本が存在するらしいが、監督のゲイリー・マーシャルが鬼籍に引かれた今、実現はやや疑わしい。しかし、ジェノヴィアとミアを巡る物語の最終章を見てみたいというファンは世界中にたくさんいるに違いない。期待して待ちたい。

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, D Rank, アメリカ, アン:ハサウェイ, クリス・パイン, ジュリー・アンドリュース, ヘクター・エリゾンド, ロマンス, 監督:ゲイリー・マーシャル, 配給会社:ブエナ・ビスタLeave a Comment on 『プリティ・プリンセス2 ロイヤル・ウェディング』 -プリンス・チャーミング不要論-

『オーシャンズ8』 -観る前も観ている最中も頭を空っぽにするように!-

Posted on 2018年8月14日2019年4月30日 by cool-jupiter

オーシャンズ8 65点

2018年8月11日 MOVIXあまがさきにて観賞
出演:サンドラ・ブロック ケイト・ブランシェット アン・ハサウェイ ミンディ・カリング オークワフィナ サラ・ポールソン リアーナ ヘレナ・ボナム・カーター
監督:ゲイリー・ロス

オールスターキャストでお馴染みのオーシャンズシリーズ最新作だが、過去作を観ていなくても十分に楽しめるように配慮されている。が、全く配慮されていないところというか、個人的に大いに不満があり、それは最後に白字で書く。まずは小さな不満から。

『オーシャンズ11』をところどころトレースしたかのようなシーンがあるが、11で描かれたような、クルーニーとブラピがある意味二大巨頭になってチームを動かし、それをマット・デイモンがぶち壊しそうになる、というクリシェは本作には無い。『ゴーストバスターズ』(2016)のようなフェミニズム理論丸出しでもないが、それでも主人公のデビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)の出所直前の容貌や言動にはツッコミを入れたくなるし、出所直後の行動にははっきり言ってドン引きである。それが作り手の狙いなのだろうが。また盗みの動機も弱い。11にあったような鼠小僧や石川五右衛門的な義賊感が無いのだ(そんなもんはどうでもいい、というツッコミは覚悟している)。

ここからは良かった点を。ルー(ケイト・ブランシェット)の登場するシーン全てである。『シンデレラ』では優しく意地悪な継母を、『マイティ・ソー バトルロイヤル』では不敵な死の女神を、本作では聡明さと行動力を持ち合わせるスカウトを完璧に演じている。クルーニーとブラピの間にあったものとは異なる種類のケミストリーを、デビーとルーの間に生み出せているのは、ブランシェットの卓越した演技力に依るところが大きい。男同士の友情や絆は(表面上は)簡単に描写できる。女同士となるとそこにドロドロとした要素を感じさせなければならない。盗みの動機にカネ以上というかカネ以外のものがあるデビーはどこまでも平静を装うが、そんな彼女に迫るルーはブラピ以上にクールだ。

そして今回のターゲット、ダフネ・クルーガー(アン・ハサウェイ)である。ハリウッドでも来日時に振る舞いでも、アンチやヘイトを生み出し続ける彼女であるが、そんな自分自身をdisるような台詞や演出がそこかしこに散りばめられており、思わずニヤリとさせられる。『シンクロナイズド・モンスター』では、飲んだくれのダメ女を演じていたが、普通に美人過ぎてアル中のダメさ加減が少し薄まってしまっていた。しかし、本作では衣装やメイクの力、そして本人の意識的な演技もあるのだろうが、非常に milfy に映った(気になる人だけ、意味を調べてみよう)。ジョディ・フォスター超えも見えてきた。

映画全体を見渡せば、『セックス・アンド・ザ・シティ』的要素あり、『クリミナル・マインド FBI行動分析課』的要素ありの、どちらかと言えば映画よりもテレビドラマを思わせるテンポの良さ。クリエイターがオリジナリティを発揮する場が、映画からテレビそしてインターネットの世界に移行しつつある中、振り子が今後はどちらに振れて行くのか、気になるところではある。カジノとは一味違う華やかさの中、一方で非常に洗練された方法で、他方では非常に泥臭い方法で盗みを着実に実行していくところはオーシャンズに忠実であった。お盆休みが暇だなという向きには、劇場に足を運んでみよう。

さて、最後に配給会社やプロモーションへ一言。『オーシャンズ8』というタイトルから主役が8人=アン・ハサウェイも一味である/になる、というのはあまりにも簡単に予想できることであるが、なぜそのことを殊更に強調するようなポスターやパンフレットを作りまくるのか。『Newオーシャンズ』とか『オーシャンズ ファースト・ミッション』(どうせ9や10も作る気だろう)のようなどこぞのパクリ的タイトルでも良いから(本当はダメだが)、何らかのネタバレへの配慮が必要という判断は出来なかったのだろうか。こうした展開が観る前から読めてしまうと、他にもたくさん盗んでましたというどんでん返しのインパクトが弱まってしまう。細かいことかもしれないが、そういうことを気にする映画ファンも一定数は存在するのである。

 

Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, C Rank, アメリカ, アン:ハサウェイ, クライムドラマ, ケイト・ブランシェット, サンドラ・ブロック, 監督:ゲイリー・ロス, 配給会社:ワーナー・ブラザース映画Leave a Comment on 『オーシャンズ8』 -観る前も観ている最中も頭を空っぽにするように!-

『プラダを着た悪魔』 -何かを手に入れるだけがサクセス・ストーリーではない-

Posted on 2018年8月8日2019年4月26日 by cool-jupiter

プラダを着た悪魔 80点

2018年8月1日 DVD鑑賞
出演:メリル・ストリープ アン・ハサウェイ エミリー・ブラント スタンリー・トゥッチ
監督:デビッド・フランケル

f:id:Jovian-Cinephile1002:20180808001903j:plain

恥ずかしながら10年ぐらいDVDを寝かせたままにしておいたのだが、遂に鑑賞した。非常によくできた話で、『ブリジット・ジョーンズの日記』と並んで世界中の女子の支持を得るのもむべなるかなと思う。

ライター志望のアンドレア・サックス(アン・ハサウェイ)は、全世界のお洒落女子垂涎のポジション、すなわちファンション誌『ランウェイ』編集部に就職を果たす。しかし、そこには鬼編集長のミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)がおり、アンドレアは押し寄せる仕事量と小言と嫌味と無理難題に振り回されていく。同僚のエミリー(エミリー・ブラント)やナイジェル(スタンリー・トゥッチ)らと共に働く中で得るものは大きかった。しかし、私生活では失われるものもあり、アンドレアの人生は大きな岐路を迎えることとなる・・・

 あらすじだけ見ればありふれた話に思えるし、実際にありふれている。しかし、10年以上前の映画ということを考えれば、そうした見方を変えざるを得なくなる。フェミニズム理論というものがある。『センセイ君主』に見られた間テクスト性の提唱者の一人でもあるジュリア・クリステヴァも、そうした理論の構築に大きく寄与している。主に文学の分野での運動だったが、これは何かと言うと、神話やおとぎ話を現代の視点から読み解き、さらにはフェミニズムの観点から読み替えようという試みである。脱構築という言葉は、文系学生である/だったという人であれば聞いたことはあるだろう。すでに完成された、静的とされるものを一度壊して再構築する試みである。おそらく一番分かり易いテキストはエマ・ドナヒューの『Kissing the Witch: Old Tales in New Skins』だろう。英語に自信のある人は読んでみよう。ちなみにドナヒューは、『ワンダー 君は太陽』でも喝采を浴びた天才子役ジェイコブ・トレンブレイの『ルーム』の原作者/脚本家でもある。

Back on track. これまでのエンターテインメント作品(小説や映画)はしばしば、女性を受け身の立場で描いてきた。男の主人公が奮闘し、最後には愛を告白し、ヒロインを抱擁し、キスして終わる。そんな映画を我々は前世紀に数限りなく観てきたし、また観させられもしてきたのである。おそらく映画史においてフェミニズム理論を最初に反映させたメジャーな作品は『エイリアン』シリーズ(リプリー)と『スター・ウォーズ』シリーズ(レイア姫)であろう。そうして蒔かれた種が、ある意味で一気に芽吹いたのが2000年代以降と言えるのかもしれない。分かり易い例を挙げれば『スノーホワイト/氷の王国』や『高慢と偏見とゾンビ』か。最も露骨なのは『ゴーストバスターズ』(2016年版)であろう。『ハンガー・ゲーム』シリーズや『バイオハザード』シリーズも当てはめていいかもしれない。男に助けられる女、麗らかに存在をアピールする女ではなく、自分の居場所を戦って勝ち取る者である。単に主人公が女性であるというだけではダメである。そうした意味では、実は『ブリジット・ジョーンズの日記』は古いタイプの物語だったのである!

本作のアンドレアはファッションセンス、人も羨む仕事、友情や恋人、背徳的な関係など、ある意味では全てを手に入れるキャリアー・ウーマンに成長する。ブルゾンちえみの提唱するキャリアウーマンとはかなり趣の異なる強かな女性である。しかし、最後には手に入れたものをあっさりと捨ててしまうという“自由”を手に入れる。女性の成功の陰にはよき理解者の男がいたという批判を一部で浴びたのが『ドリーム』であるが、それは時代がもっともっと昔のことであるから、批判しても詮無いことである。本作はメリル・ストリープという大御所とアン・ハサウェイという(当時の)Rising Starのケミストリーによって、映画史の一つの大きなマイルストーンになった。今までなんだかんだで本作を観てこなかった我が目の不明を恥じ入るばかりである。

Posted in 映画, 海外Tagged 2000年代, A Rank, アメリカ, アン:ハサウェイ, エミリー・ブラント, ヒューマンドラマ, メリル・ストリープ, 監督:デビッド・フランケル, 配給会社:20世紀フォックス映画Leave a Comment on 『プラダを着た悪魔』 -何かを手に入れるだけがサクセス・ストーリーではない-

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