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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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2023年総括と2024年展望

Posted on 2024年1月1日 by cool-jupiter

2023年総括

5月8日を境に映画館運営が旧に復した。しかし、TOHOシネマズの映画鑑賞料金の値上げは当然のように他の映画館にも波及。値上げは現代のトレンドとはいえ、この傾向は決して望ましいものではないと感じる。

邦画で実績を残したのは世界興行収入が高い外国映画か、あるいは国産アニメ。この傾向は変わらなかったし、今後もしばらくは変わりそうにない。映像を構想し、映像を創り上げる力の持ち主が求められる。2023年にそれができたのは、意外(と言っては失礼かも知れないが、この御仁には前科があるから)なことに山崎貴監督だろうか。

国外に目を向けるとアメリカの俳優組合のストライキのニュースを意識せざるを得ない。特にストリーミングに関するあれやこれやは、俳優だけの問題だけではない。ストリーミングの更なる普及は、大画面に映像を映し出して大勢で鑑賞するというマスの映画鑑賞スタイルを、キネトスコープを覗き込むというごく初期の個人の映画鑑賞スタイルに回帰させていくかもしれない。これは飲食物やパンフレット、各種のマーチャンダイズ販売という確立されたビジネスモデルの変容にもつながる変化をもたらすはず。

生成AIは、映画業界のみならず一般社会にも影響が大きい。テキスト生成AI、音楽生成AI、動画生成AIなどを駆使すれば、個人あるいは極めて少人数でも映画(クオリティは別にして)が作れる時代はすぐそこまで来ている。俳優のみならず、脚本家や作曲家、フォーリー・アーティストがラダイト運動に走ることはないと誰が断言できるだろうか。

色々と懸念は尽きないが、それはそれとして措いておこう。それでは個人的な各賞の発表をば。

 

2023年最優秀海外映画

『 ザ・ホエール 』

人間ドラマの極致。限られた空間、限られた時間、そして限られた人間のみで展開されるドラマでありながら、これほど人の胸を打つのは何故か。ベタな表現だが、人生の真実がそこに確かにあるからだろう。エリザベス・キューブラー=ロスの言葉を借りれば、死とは生の完成である。死にゆく鯨がその死の先に残すものを体験する最上の人間ドラマだった。

 

次点

『 キリング・オブ・ケネス・チェンバレン 』

こちらはサスペンスの極北。やはり限られた時間と空間、そしてごく少人数だけで繰り広げられる物語。凡庸な悪の発生の機序が見られ、それが緊張と恐怖を生んでいる。ロシア-ウクライナ、イスラエル-パレスチナなど、戦争が当たり前と感じられる世界情勢になっているが、すぐそこにいる人間は誰なのかという当たり前の想像力を持つことが、いま最も求められているのではないだろうか。

 

次々点

『 告白、あるいは完璧な弁護 』

ひところの勢いは感じられないが、それもコロナの影響だったか。しかし本作は韓流サスペンスかつミステリの一級品。韓国の映画は良くも悪くもハリウッド作品の亜流の面を持つが、本作はフランス産のサスペンスやミステリの雰囲気をふんだんに漂わせつつも、韓国らしい人間の情念の強さや深さを感じさせる逸品。

 

2023年最優秀国内映画

『 世界の終わりから 』

数少ない映画オリジナル作品。まさに映像を構想して、そのビジョンのままに創り上げた作品という印象を受けた。過去、現在、未来を夢を媒介にして行き来する壮大なストーリーを、これまたごく少数のキャラクターだけで描き切った監督の手腕は見事。主演に助演、そして脚本と演出、すべてが高い次元で噛み合った逸品。

 

次点

『 658km、陽子の旅 』

ロードムービーの傑作。一人の中年女性のビルドゥングスロマンを、人間の残酷さと優しさの両方を通じて虚飾なく描いていく。終盤の車中での菊地凛子の訥々とした語りは2023年の邦画の名シーンの中の白眉である。

 

次々点

『 福田村事件 』

100年前の事件を描いたものであるにもかかわらず、そこから得られる教訓が全く生かされていないように思える。ネトウヨなどは短絡的に「朝鮮人をテーマにするのはけしからん」と主張するのだろうが、問われているのは特定の国籍や民族ではない。目の前の人間は、人間であるという意味において自分と何ら変わることがないのだ、という当たり前の事実を意識できない者がまだまだ多い。本作が穿つのはその意識の間隙である。

 

2023年最優秀海外俳優

ホン・チャウ

『 ザ・ホエール 』のブレンダン・フレイザーではなく、敢えてその親友かつ看護師のリズを演じたホン・チャウを推したい。チャーリーの友であり疑似的な姉であり母であり恋人でもありながら、最後に一歩引くという選択のできる深みのあるキャラを完璧に演じきったのは見事としか言いようがない。

 

次点

アン・ダウド

『 対峙 』と『 エクソシスト 信じる者 』での演技を評価する。どこにでもいる中年女性が自分の中の弱さに向き合うことで勇気を出すことができる、という彼女の表現力は評価されなければならない。

 

次々点

コリン・ファレル 
ブレンダン・グリーソン

『 イニシェリン島の精霊 』での共演を評価したい。本作の鑑賞はロシアによるウクライナ侵攻開始の約1年後だったが、まさかそこからイスラエルがパレスチナを本格的に攻める日が来るとは思わなかった。国と国が分断されても個人の交流は可能だが、国と国が分断されることで個人の交流もこのように途切れてしまうこともある。本作が個々人の想像力を喚起して、戦禍が個々人を分断しないようになることを望む。

 

2023年最優秀国内俳優

菊地凛子

『 658km、陽子の旅 』での演技で最優秀俳優の選出に異論なし。

 

次点

片岡愛之助

『 翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ 』で見事なまでに悪一色の大阪府知事像を打ち出した演技を評価したい。世評がどうなっているのかよく分からないが、大阪府知事・吉村洋文の政治的な思想信条は嘉祥寺晃のそれと大差ないと思ってもらって結構だ。

 

次々点

北村有起哉

『 終末の探偵 』のしがない探偵役が大ハマりしていた。情けない中年オヤジが敏腕の探偵に、そして最後は腕っぷしでも魅せるという展開で、まさに男が惚れる男というキャラを好演。また同じキャラを演じる北村を見たい。

 

2023年最優秀海外監督 

ダーレン・アロノフスキー

変化球的な作品を世に送り出すことが多い監督だが、『 ザ・ホエール 』がド直球のヒューマンドラマ。CGではなく襦袢やメイクで巨体を作り上げるという作劇姿勢も当然評価の対象としている。

 

次点

スコット・マン

『 FALL フォール 』でシチュエーション・スリラーに新風を吹き込んだ。高所恐怖症があってもなくても、地上600メートルという極限環境は怖いに決まっている。三部作になるらしいが、ぜひ二作目、三作目でもメガホンを取ってもらいたい。

 

次々点

アリ・アッバシ

『 聖地には蜘蛛が巣を張る 』の、狂信者が女性を殺していく淡々としたプロセスの演出を評価する。『 福田村事件 』を日本ローカルの事象と受け取るのではなく人間性の否定という普遍的な問題であると受け止められれば、本作もイスラム社会、イラン社会特有の病理ではなく、様々な文化や社会は何らかの病理を内包するものだという監督のメッセージを受け取れるはずだ。

 

2023年最優秀国内監督

松永大司

決して易しくはないテーマを扱った『 エゴイスト 』を傑作に仕上げた手腕を評価する。鈴木亮平という40歳前後の日本の役者の中ではトップの実力者の魅力を『 孤狼の血 LEVEL2 』とは全く異なる方向に十全に引き出すことができていた。

 

次点

山崎貴

はっきり言って不安しかなかった『 ゴジラ-1.0 』をまっとうなゴジラ作品に作り上げたくれた点は評価しないわけにはいかない。人間ドラマが陳腐であるという評価は変わらないが、主役はあくまでもゴジラである。

 

次々点

高橋正弥

『 渇水 』の人間ドラマを評価したい。『 正欲 』の岸善幸監督と争ったが、セクシャル・オリエンテーションよりも、職務に忠実であろうとすることが善にはならないというテーゼを打ち出した高橋監督の炯眼を称えたい。

 

2023年海外クソ映画オブ・ザ・イヤー

『 アントマン&ワスプ クアントマニア 』

サノスを失ったMCUの迷走を顕著に表す一作。Jovianは本作を観てMCUから離脱することができた。『 マーベルズ 』もかなり酷い出来らしいが、観ていないものは評価できない。カーン役のジョナサン・メジャースがクビになったことも本作=クソ映画の印象をより一層強めている。

 

次点

『 グランツーリスモ 』

やたらと世間の評価は高かったが、個人的にはクソ映画だった。主人公の成長よりもゲームと音楽のインフォマーシャルにしか感じられなかった。

 

次々点

『 MEG ザ・モンスターズ2 』

夏の風物詩とも言えるサメ映画だが、ジェイソン・ステイサムをもってしてもクソ映画はやはりクソ映画。飼育メグと野生メグの対決を描けばいいものを、恐竜だのタコだのの妙なクリーチャーを増やすからダメなのだ。

 

2023年国内クソ映画オブ・ザ・イヤー

『 火の鳥 エデンの花 』

手塚治虫の『 火の鳥 』のテーマは生命の壮大さと矮小さ。一寸の虫にも五分の魂と言うが、有限の命の中で懸命に生きて死んでいく様にドラマがある。その序盤のロミのドラマパートをバッサリとカットするというのは、もはや犯罪的な再解釈だと思うのだが、どうだろう。

 

次点

『 忌怪島 きかいじま 』

登場人物がどいつもこいつもアホすぎて話にならなかった。脚本が大学の映画同好会レベルだったのか、それとも現場で役者と監督がちょっとずつ微修正を重ねてこうなったのかは知る由もないが、いずれにしても痛々しいまでに低レベルだった。

 

次々点

『 聖闘士星矢 The Beginning 』

『 リボルバー・リリー 』との対決を僅差で制した本作をクソ映画オブ・ザ・イヤーの次々点に選出したい。とにかくクロスが原作と違い過ぎ、かつダサい上に、神話の世界観に完全に反するメカが次々と登場する展開に頭を抱えざるを得なかった。

 

2024年展望

2024年に楽しみにしている作品は何といっても『  オッペンハイマー』だ。日本の配給会社はどこにどう忖度して、本作を2023年中に公開できなかったのだろうか。MCU映画だと『 デッドプール3 』だけは少し期待している。邦画だと『 みなに幸あれ 』と『 一月の声に歓びを刻め 』の期待値が高い。

2023年はインド映画をあまり鑑賞できなかったので、2024年はパワフルなインド映画をもっと劇場で観たいと思う。またもはやトレーディングカード・ゲーマーの社交場と化した近所のTSUTAYAでDVDやBlu rayをレンタルしようと思う。時代はストリーミング全盛だが、古いビジネスにお付き合いする人間が少しぐらいはいてもいいではないか。

『 リバー、流れないでよ 』に触発されて久しぶりに聖地巡礼をしてみたが、2024年は映画ゆかりの地を訪れる機会を増やす年にしたいなと思う。

 

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『 きっと、それは愛じゃない 』 -結末以外はパーフェクト-

Posted on 2023年12月31日 by cool-jupiter

きっと、それは愛じゃない 75点
2023年12月29日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:リリー・ジェームズ シャザト・ラティフ
監督:シェカール・カプール

 

原題がティナ・ターナーの楽曲 “What’s Love Got To Do With It?” と同じ。主演が『 シンデレラ 』のリリー・ジェームズ、監督は『 エリザベス 』のシェカール・カプールということでチケット購入。

 

あらすじ

ドキュメンタリー作家のゾーイ(リリー・ジェームズ)は隣家の幼馴染カズ(シャザト・ラティフ)が見合い結婚すると聞き、その過程を映像に収めようと企画する。カズは両親や結婚相談所の仲介を経て、カズはトントン拍子に婚約者を見つけるが・・・

ポジティブ・サイド

これまたJovianの好物である「映画を作る映画」である。話のポイントはそこではないが、とにかく映像作品を作る過程を映像作品にするのは、単純に見ていて面白い。作り手の哲学や作劇に対する姿勢がそこによく表されると感じる。本作で言えば、白人の若い女性がドキュメンタリーを撮るというのは、老齢の有色人種の男性が娯楽作品を撮ることと対比される。宮崎駿がいつも少女をテーマにするようなもの。

 

パキスタンにルーツを持つイスラム教徒でありながら、生まれも育ちもイングランドで職業は腫瘍内科医という一種のエリートのカズが、両親の勧めに従ってパキスタンから嫁を取るというのはなんだか保守的に感じられるが、これは非常にリアルだと感じた。異人は異人であろうとすると喝破したのは赤坂憲雄だったっけか。日本でも(だいぶ薄まっているが)韓国人や中国人がコミュニティを作って独自の文化や伝統を保持しようとするのも同じ理屈。一方で、生粋のイングランド人のゾーイが自由恋愛をしたところ、引っかかるのはクズ男ばかりという対比も面白い。

 

スカイプで出会って、色々と話す中で婚約がまとまっていくが、いざ現地で花嫁とご対面となったときのギャップも現代的。異邦人として生きる者たちが伝統や文化の維持に尽力している一方で、本国の若者は西洋的な文化に触れまくったパリピになっているのは皮肉ではあるが、やっぱりリアル。普及したかに思えたテレワークが定着しなかったのは、こういうことが往々にして起こるからなのだろうなと感じた。実際、大学などで教えていても、オンライン授業よりも対面授業の方がはるかにやりやすい。

 

自由恋愛vsお見合い結婚、人種の違い、宗教の違いなどの描写を通じて、最終的には家族の再生の話につながっていく。家族には二通りある。自分がそこに生まれ落ちてくる家族。これは自分で選べない。もう一つは、自分で作り出す家族。これは自分で選ぶことができる。別に他人(親を含む)に選んでもらっても構わないわけだが、それも含めて家族は所与でも結婚は自分の選択だというのが本作の結論か。説教臭くならず、現代的なテーマをふんだんに盛り込んでいて、非常に見ごたえのある物語だった。

 

ネガティブ・サイド

ゾーイとカズの幼少期のシーンが欲しかった。二人が子供のころから仲良しで、しかし47番地と49番地には子どもには見えない壁があった、あるいはゾーイの目には見えない溝があったことを仄めかすシーンがあれば、終盤に生きたと思われる。

 

獣医のジェームズとゾーイの関係の終わらせ方が強引だった。ゾーイが子どもたちに語って聞かせる変調のおとぎ話をたまたま耳にするというのは都合が良すぎる。ゾーイの作品に映し出されるカズの姿から何かを感じ取って身を引く、というプロットを模索してほしかった。

 

総評

ティナ・ターナーの What’s Love Got To Do With It? の It は男と女が惹かれあうこと自体を指しているが、本作の It は arranged marriage または assisted marriage を指すのかな。キャリア志向の女性が本作を鑑賞するとビミョーに感じてしまう恐れはあるが、結婚なんてものは突きつければ赤の他人と一緒になること。つまりは最もベーシックな意味での異文化共生なのだ。それが本作のテーマなのだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

good enough

文脈にもよるが「充分に良い」という意味と「まあ、こんなもんだろ」という意味がある。劇中でゾーイがとある男性を評して good enough を使うが、結婚相手に perfect を求めるのはいかがなものか。実際は good enough で満足すべきなのではと思う。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 雑魚どもよ、大志を抱け! 』
『 ゴーストワールド 』
『 ブルーバック あの海を見ていた 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, イギリス, シャザト・ラティフ, ラブ・ロマンス, リリー・ジェームズ, 監督:シェカール・カプール, 配給会社:キノフィルムズLeave a Comment on 『 きっと、それは愛じゃない 』 -結末以外はパーフェクト-

『 TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 』 -ホラーというよりはオカルト-

Posted on 2023年12月29日2023年12月29日 by cool-jupiter

TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 65点
2023年12月27日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ソフィー・ワイルド
監督:ダニー・フィリッポウ マイケル・フィリッポウ

今年の夏の時点で Impression Blend の Marianna が大絶賛していたのでチケットを購入。

 

あらすじ

ミア(ソフィー・ワイルド)は母を亡くしてふさぎこんでいた。しかし、友人たちが降霊を可能にする手を使って、霊にあえて憑りつかれるという遊びに興じる中、ミアもそれを体験し、その面白さにハマっていく。皆がエスカレートしていく中、そこにミアの母の霊が現れて・・・

ポジティブ・サイド

憑依現象というのは恐怖体験のはずだが、それをエンタメにしてしまっているところが現代風というか、Z世代らしいというか、とにかくそこは非常にユニークだと感じた。ちょっとしたきっかけで霊が見えるというのは『 さんかく窓の外側は夜 』のような作品があるように、それ自体は珍しくはない。しかし、クスリでトリップする代わりに霊でトリップするぜ!というのは斬新だ。

 

さらにそこに知っている人の霊、もっと言えば主人公の母親の霊が出てくるというのも、なかなか面白い。はっきり言ってミアの行動は幼稚すぎて周囲の理解を得られるものではないが、そのあたりのおかしな行動が母親への執着という点から説明されていて、説得力がある。

 

正体不明の霊というよりも、霊の言動が奇怪という意味では本作はどちらかと言うとホラーよりもオカルト寄りかな。また霊に憑りつかれたライリーという少年が見ていて文字通りの意味で痛々しい。個人的に最も恐怖を覚えたのはライリー少年の果てしない自傷行為のシーンか。フォーリー・アーティストは good job をしたと思う。

 

主人公ミアを演じたソフィー・ワイルドは、ひょっとすると『 ゲット・アウト 』でブレイク(その前からちょこちょこ色んな作品には出演していたが)したダニエル・カルーヤのように、大袈裟な演技をナチュラルだと感じさせる力で今後一気に売れてくるかもしれない。

 

本作はロングのワン・カットが多用されていて、演じる側としてはなかなかチャレンジングだったのではないか。また腕の良いメイクアップ・アーティストも手配できていたと思う。双子の監督はYouTube作家らしいが、ウォシャウスキー兄弟(現姉妹)のようになれるか。

 

ネガティブ・サイド

主人公以外のキャラが生煮えというか、もう少し深堀りしてほしかった。とくにダケットの兄貴。唐突に再登場して、唐突に消えていったように感じられた。

 

憑依でトリップしているところを撮影して social media にアップしていたりするが、これが親の目に触れないのは不自然では?ジェイドやライリーの母親は近隣からせっせと情報を仕入れているが、SNSはチェックしないのか。あるいはオーストラリアの親御さんはネットにはまったくもって疎いのか。あんな変なオブジェで遊んでいるティーンの動画など、あっという間に拡散されて、大人にも気付かれてしまいそうなものだが。

 

映画を見慣れた人なら途中で結末は読めるはず。途中で「これは『 ラザロ・エフェクト 』ルートでは?」と感じた人は多いはず。実際にそっくりだった。最近の映画だと『 リゾートバイト 』の結末ともそっくり。正直なところ、面白いのは面白いが、Impression Blend や Deepfocuslens が大絶賛するのは、なんらかの力が作用しているようにすら思える。

 

総評

アメリカの多くの reviewer が大絶賛しているが、そこまで傑作かなあ?恐怖を感じるというよりもオカルト的なおどろおどろしさを楽しむ映画であるように思う。『 呪怨 』よりも『 CURE 』の方が面白いと感じる向きなら、本作を堪能できると思われる。傑作ではないが佳作であることは間違いないので、オカルト好きはチケットを購入されたし。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

put something away

~を片づける、の意味。冒頭のパーティーでダケットを連れ帰ろうとする兄が、スマホのカメラを向けてくる連中に Put your phones away! = ケータイをしまえ!と一喝するシーンが印象的だった。put ~ away は日常生活でバンバン使うのでぜひ知っておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 雑魚どもよ、大志を抱け! 』
『 きっと、それは愛じゃない 』
『 ゴーストワールド 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, オーストラリア, オカルト, ソフィー・ワイルド, ホラー, 監督:ダニー・フィリッポウ, 監督:マイケル・フィリッポウ, 配給会社:ギャガLeave a Comment on 『 TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 』 -ホラーというよりはオカルト-

『 ナポレオン 』 -人間ナポレオンに迫る-

Posted on 2023年12月27日2023年12月28日 by cool-jupiter

ナポレオン 70点
2023年12月23日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ホアキン・フェニックス ヴァネッサ・カービー
監督:リドリー・スコット

簡易レビュー。

 

あらすじ

砲兵長ナポレオン(ホアキン・フェニックス)は英国軍の撃退などで軍人として昇進していく。その中で未亡人のジョゼフィーヌ(ヴァネッサ・カービー)と出会い、結婚する。戦争の中で頭角を現し、出世を重ねるナポレオンだが、ジョゼフィーヌの浮気が判明して・・・

ポジティブ・サイド

大学時代にフランス人、ドイツ人と一緒に暮らしていた時、ドイツ人が冗談めかして「ヒトラーさえいなかったら、ヨーロッパの嫌われ者はナポレオンを生んだフランスだったのに」と言ったところ、フランス人が「だろうな」と応じたことがあった。本作を見れば、ナポレオンがいかにヨーロッパ中で戦争していたのかが分かる。

 

その一方で、本作が本当に描き出したかったのは、英雄や悪魔としてのナポレオンではなく、一人の男性としてのナポレオン。もっと言えば、女に弱いナポレオン。英雄色を好むと言われるが、ナポレオンも例外ではない。一方で、意外なほどにジョゼフィーヌ一筋で、ヨーロッパ史にまあまあ詳しいJovianも知らないエピソードがあって面白かった。

 

『 her 世界でひとつの彼女 』や『 ジョーカー 』で隙のある男というか、今風に言えば弱者男性を演じたホアキン・フェニックスが、稀代の快男児のナポレオンを演じるとともに、どこまでジョゼフィーヌに執着するキモ男も同時に好演。これは配役の勝利。個人的にはウェリントン卿がイメージそのままで、クライマックスのワーテルローの戦いは非常に楽しめた。もう一つの見どころは戴冠式。ルイ・ダヴィッドも一瞬だけ映る。

 

『 最後の決闘裁判 』には及ばないが、人間、就中、男と女の真実(≠事実)を明らかにせんとするリドリー・スコットの哲学が開陳された一作。

 

ネガティブ・サイド

トラファルガーの海戦がスルーされたのは何故?もちろん撮影はしたのだろうが、ここをバッサリと切ってしまうと「英国は海戦は知っていても陸戦は知らない」というナポレオンの言葉に説得力がなかったように思う。

 

今でこそロシアとウクライナが戦争していたり、イスラエルとパレスチナが戦争していたりして、為政者が戦争を起こす、あるいは国民が戦争を強く支持してしまうという構図があるので、本作の社会的意義も見出せるが、それがなければ単なるエンタメ作品では?というと、エンタメとしてはちょっと弱い気がする。戦争シーンに迫力はあるが、大砲で人がバタバタ倒れていくシーンには迫真性はなかった。『 プライベート・ライアン 』とは言わないが、『 エイリアン 』並みのグロ描写があっても良かったのでは?最初の馬のシーンで期待をさせておいて、えらく尻すぼみだなと感じられた。

 

総評

ヨーロッパ史にある程度の造詣がないと鑑賞はお勧めできない。逆に言えばナポレオンおよびその周辺の歴史をある程度知っているなら楽しめる。また人間としてのナポレオンに注目するのだと割り切って鑑賞するのもありだろう。そんな向きはいないと思うが、デートムービーにするのは禁物である。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

a close-run thing

「紙一重の出来事」の意。劇中では使われなかったが、ウェリントン卿がワーテルローの戦いの後に言ったとされる言葉。ただし、実際は a damn nice thing もしくは the nearest-run thing が正しい言葉だとも言われる。ナポレオンの「吾輩の辞書云々」と同じで、一種の伝説のようなもの。同僚ブリティッシュによると British Englishでは今日でも使われるとのこと。危機一髪の状況をなんとか生き残ったら、That was a close-run thing. と表現してみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 TALK TO ME トーク・トゥ・ミー 』
『 PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ 』
『 きっと、それは愛じゃない 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, B Rank, アメリカ, ヴァネッサ・カービー, ホアキン・フェニックス, 伝記, 歴史, 監督:リドリー・スコット, 配給会社:ソニー・ピクチャーズエンタテインメントLeave a Comment on 『 ナポレオン 』 -人間ナポレオンに迫る-

『 市子 』 -それでも静かに生きていく-

Posted on 2023年12月19日 by cool-jupiter

市子 75点
2023年12月16日 シネ・リーブル梅田にて鑑賞
出演:杉咲花 若葉竜也
監督:戸田彬弘

 

簡易レビュー。

あらすじ

市子(杉咲花)は同棲している恋人の長谷川(若葉竜也)からプロポーズを受けて快諾する。しかし、市子は翌日に姿を消してしまう。市子を探し求める長谷川は、市子がかつては月子と名乗っていたことを知り・・・

 

ポジティブ・サイド

本作の扱うテーマはレバノン映画の傑作『 存在のない子供たち 』と同じ。戸籍=身分証明=アイデンティティというのが現代社会だが、そこからこぼれ落ちてしまった者はどう生きていけばよいのか。本作はそれを追究しようとしている。

 

これまで少女役ばかりだった杉咲花がやっと一皮むけたかなという印象。弱さと強かさの両方を併せ持つ女性を演じきったのは見事。傾城の美女ではなくともファム・ファタールにはなれるのだ。

 

市子の過去をめぐって様々な人物の物語を移していく手法は『 正欲 』と同じ。また、エンドロールの際に流れる声で物語を想起させる手法は『 カランコエの花 』と同じ。content ではなく form が重なるのは個人的には全然OKである。

 

ネガティブ・サイド

いくらなんでも最初の事件は簡単に事の真相がばれてしまうと思うのだが。そうなると月子→市子というメタモルフォーゼも無理ということなってしまう・・・

 

また次の事件では死んだ人間の仕事がそちら関係なので、必然的に市子およびその周辺も捜査されてしまうと思われる。

 

総評

ウィリアム・アイリッシュの昔から「消えた女」を追うというプロットはハズレが少ない。本作もいくつかの点に目をつぶればOKだ。作劇の面ではいくつかの先行作品とそっくりだが、中身の点では『 さがす 』に似ていると感じた。邦画の世界でも陰影の深い作品が生み出されつつあるのは好ましいことだと思う。

 

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hug

ハグするというのは日本語にもなっている。意味は「抱きしめる」である。劇中の長谷川の印象的なセリフに「抱きしめたい」というものがあったが、あれは I want to hug her. となるはず。よりドラマチックかつロマンチックな言い方をするなら I want to wrap her in my arms. となる。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ 』
『 怪物の木こり 』
『 きっと、それは愛じゃない 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, サスペンス, 日本, 杉咲花, 監督:戸田彬弘, 若葉竜也, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 市子 』 -それでも静かに生きていく-

『 エクソシスト 信じる者 』 -ホラーというよりは人間ドラマ-

Posted on 2023年12月12日 by cool-jupiter

エクソシスト 信じる者 60点
2023年12月9日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:レスリー・オドム・Jr. リディア・ジュエット アン・ダウド エレン・バースティン
監督:デビッド・ゴードン・グリーン

 

傑作『 エクソシスト 』の続編ということでチケット購入。

あらすじ

娘のアンジェラ(リディア・ジュエット)が友達と二人で宿題をすると言ったが帰ってこない。調べたところ、二人は森に入っていた。父ビクター(レスリー・オドム・Jr)は懸命に娘を探すが見当たらない。二人は3日後にとある牧場の納屋で見つかるも、その間の記憶がない。それどころか、不可解な現象がビクターの身の回りで起こり始めて・・・

ポジティブ・サイド

母と娘の絆の戦いが、本作では父と娘の絆の戦いになっている。その父ビクターを演じるレスリー・オドム・Jr.が印象的。どこかで観たと思ったら『 ハリエット 』でウィリアム・スティルを演じていたのか。優しさと厳しさを同居させた、まさにアメリカ的な positive male figure で、男性というジェンダーの特徴をうまい具合に体現しているなと感じた。また、そのことが悪魔憑きの(間接的な)原因になっているのは上手いと感じた。

 

娘のアンジェラも純粋無垢な少女が悪魔に憑りつかれて変貌していく様は結構怖い。失禁から始まって、痙攣に至るまでがリアル。アンジェラが徐々に体のコントロールを失っていくという経過を巧みに描いている。

 

究極的には白人の母娘とカトリックの神父のストーリーだった前作とは違い、今作は各地のエクソシストの混合チームを結成。その過程で、意地悪に思えた隣人が加入してくる経緯がユニーク。また、前作の母親クリス・マクニールが同役で再登場。彼女のもとに車でビクターが向かうシーンで流れる Tubular Bells が個人的には本作のピークだった。

 

悪魔祓いの儀式前に「え?」という展開で唖然とさせられる。そして満を持して登場した神父が『 エクソシスト 』で最も有名なシーンを再現。このシーンが最もホラーらしかった。

 

ネガティブ・サイド

ジャンプ・スケアが多過ぎ。特に序盤。こけおどしの演出でびっくりさせるのではなく、観る側の恐怖心を刺激するような演出をしてほしい。夏恒例の糞ホラーではなく『 エクソシスト 』の続編なのに。

 

学校の授業で心霊云々のビデオを鑑賞するものだろうか。普通に子供たちが自宅のPCでそれっぽいYouTubeを観るのではダメだったのだろうか。PCにグリッチが走る場面が序盤にもあったことだし。

 

憑依された子供たちの演技は見事だったものの、結末は拍子抜けかな。というか前作を意識しすぎているよう思う。「どうせ上回るものが作れないなら、前作と似たような作りにしてしまえ」的な姿勢が監督から感じられた。それは創作活動の姿勢としては評価するのは難しい。

 

娘リーガンと母クリスの再会はちょっと蛇足だったかな。

 

総評

『 エクソシスト 』の続編。前作を観ていなくても鑑賞は可能。直接的なつながりは少しだけしかないが、色々とオマージュがあるので、できれば予習を推奨する。本作は一義的にはホラーではなくヒューマンドラマ。チケット購入に際しては、このことを承知しておきたい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

seance 

『 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊 』や『 ズーム/見えない参加者 』などでもおなじみの「交霊会」の意。TOEFL iBT110やIELTS8.5を目指すような人でも知っている意味はない。ただ、オカルトやホラーが好き、かつ英語にも興味がある(この語はもともとはフランス語だが)という向きなら、教養の一環として知っておいていいかもしれない。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 市子 』
『 PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ 』
『 怪物の木こり 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, アメリカ, アン・ダウド, エレン・バースティン, ヒューマンドラマ, ホラー, リディア・ジュエット, レスリー・オドム・Jr., 監督:デビッド・ゴードン・グリーン, 配給会社:東宝東和Leave a Comment on 『 エクソシスト 信じる者 』 -ホラーというよりは人間ドラマ-

『 首 』 -北野武の自伝映画-

Posted on 2023年12月6日 by cool-jupiter

首 65点
2023年12月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:ビートたけし 西島秀俊 加瀬亮
監督:北野武

 

Jovianはまあまあ歴史好きで、日本史だと八切止夫の悪影響のせいか、明智光秀が好きである。ちなみに本作を鑑賞するにあたって歴史的な考証や学説を背景にして考えてはいけない。あくまでも北野史観、もしくは北野武の自伝として観るべきである。

あらすじ

天正七年。荒木村重は主君・織田信長(加瀬亮)に反旗を翻した。謀反を平定した織田軍では、重臣の明智光秀(西島秀俊)と羽柴秀吉(ビートたけし)が乱の首謀者の村重を捕縛すれば、信長の跡目になれると伝えられて・・・

 

ポジティブ・サイド

観終わって一番の感想は「これはたけしの自伝だな」だった。やることがすべて石原軍団や東京キッズの猿真似だったピートたけしが、やることすべてが信長の猿真似と言われた秀吉を演じているところからも、そのことがうかがわれる。男しか軍団に入れない「たけし軍団」の思想が本作にも色濃く投影されている。一部でBL色が強いという声もあるようだが、衆道や男色は別に安土桃山時代の専売特許ではなく、それこそ足利将軍時代から現代まで連綿と存在してきたわけで、それを指してBLと呼ぶのは少し違う気がする。むしろ、戦国時代の男たちの関係を描くことで、北野武が自らの思想を開陳したと見るべきなのだろう。火事で死亡したたけしの師匠・深見千三郎が本作における織田信長であることは火を見るよりも明らかだ。

 

映像は北野武作品らしいバイオレンスとユーモアに満ちている。それが命があっさりと消えてしまう戦国時代を非常にリアルに映し出していた。個人的に最も笑わせてもらったのが徳川家康と影武者。三方ヶ原の戦いの頃から影武者が何人もいたのは有名な話で、これでもかと刺客に狙われて、そのたびにどんどん影武者が死んでいく。男しか出てこない本作の中で、数少ない例外が柴田理恵か。夜伽の相手に一番の年増を選ぶ家康に笑ってしまうし、鬼の形相で家康に襲い掛からんとする柴田理恵にも笑ってしまう。もう一つ女性が出てくる場面は備中高松城。退陣していく羽柴軍を見て「メシの種が逃げていく」と焦る遊女たちにも笑ってしまう。

 

本作を別の視点から見る重要キャラに曽呂利新左エ門がいる。芸人の祖にあたる人物でカムイさながらの抜け忍。東西冷戦さなかのダブルエージェントのごとく、あちらこちらへ飛び回り、情報を仕入れてくる。また侍大将を夢見る百姓の茂助のキャラもいい。お笑い界の頂点を目指さんと青雲の志を抱き、アホながら一直線に駆け抜けるも・・・という、まさに現代お笑い界の芸人そのままの生きざま。

 

生え抜きだろうが外様だろうが、有能であればどんどん取り立ててきた信長が晩年には自らの息子たちに甘々になっていたのは近代の歴史学が明らかにしたところ。加瀬亮のキレっぷりばかりがフォーカスされているが、魔王としての信長と人間としての信長の両面を描いた作品は他にはなかなか思いつかない。『 利休にたずねよ 』が近いぐらいか。芸人としての師匠と人間としての師匠を重ね合わせていたのだろう。

 

物語を通じてこれでもかというぐらいに人が死ぬが、首にこだわって死んだ茂助と首に執着せず、結果的に天下を取った秀吉。この残酷なコントラストの意味するところは、誰を殺したかではなく何人を殺したかということ。お笑いで天下を取りたければ、審査員を笑わせるのではなく一般大衆を笑わせろ。ビジネスで天下を取りたいなら、特定クライアントではなく世間を喜ばせろ、ということか。

ネガティブ・サイド

秀吉や家康は信長よりかなり若いのだが、本作ではそこがおかしい。秀吉はビートたけしがどうしても演じたかったのだろうが、家康には40歳ぐらいの俳優で適任を探せなかったのか。

 

一部の役者の演技がワンパターン。というか、西島秀俊は誰を演じても西島秀俊。ニコラス・ケイジやハリソン・フォードと同じタイプの俳優やな。案外、椎名桔平あたりが明智光秀に合っていたかも。

 

秀吉、秀永、官兵衛の三人が喋るシーンはかなりの割合でアドリブが入っていなかったか。明らかにおかしな「間」が散見された。これが北野武流の映画作りだと言われれば納得するしかないが、面白さを増していたかと言われれば大いに疑問である。

総評

歴史的・史料的な正確性を過度に求めなければ十分に楽しめるはず。北野作品ということでグロテスクなシーン、暴力的なシーンもあるので、そこは注意のこと。本能寺の変という日本史上の一大ミステリの真相についても一定の答えを提示している点も興味深い。デートムービーには向かないが、時代劇好き・歴史好きな父親を持っていれば、たまにはご尊父を映画館に誘って、親孝行してみるのもいいだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

successor

跡継ぎ、継承者の意味。知っての通り、織田信長の権力基盤を受け継いだのは形の上では織田信雄だが、実質的な権力を継承したのは羽柴秀吉だった。本作ではしきりに跡目という表現が使われるが、英語で最も一般的に使われる跡目、跡継ぎは successor である。successor to the throne =王位継承者、successor to the business =事業承継者のように、前置詞 to を使うことを覚えておこう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 市子 』
『 エクソシスト 信じる者 』
『 PHANTOM/ユリョンと呼ばれたスパイ 』

 

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Posted in 国内, 映画, 未分類Tagged 2020年代, C Rank, ビートたけし, 加瀬亮, 日本, 歴史, 監督:北野武, 西島秀俊, 配給会社:KADOKAWA, 配給会社:東宝Leave a Comment on 『 首 』 -北野武の自伝映画-

『 翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ 』 -社会批判コメディの良作-

Posted on 2023年11月28日 by cool-jupiter

翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ 70点
2023年11月25日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:GACKT 二階堂ふみ 杏 片岡愛之助
監督:武内英樹

 

『 翔んで埼玉 』の続編。前作には劣るものの、コメディの中にも社会批判の精神が垣間見られる良作だった。

あらすじ

埼玉解放戦線の活躍により通行手形が廃止されて3か月。埼玉県人は東京を目指すばかりで、横のつながりを欠きつつあった。麻実麗(GACKT)は埼玉の心をひとつにすべく、海を作ることを画策。和歌山の白浜から良質な真砂を持ち帰るために出航するが・・・

ポジティブ・サイド

埼玉県民がラジオ放送の物語に耳を傾けるという前作のフォーマットを踏襲。しかし、今回は舞台が滋賀ということで今度は関西人をビジネスターゲットにした。そしてそれはかなり成功していると感じた。とにかくローカルネタのオンパレードで関西人の笑いのツボを的確に刺激してくる。尼崎にもなぜか平和堂があり、よく行くところなので、HOPカードには我あらずプッと吹き出してしまった。

 

前作でのネタも適度に引き継いでいるので、埼玉に海を作るという突拍子もないアイデアもすんなりと受け入れられた。また麗がマイアミ帰りという設定がまさかこのような形で説明されるとは思わなかった。左フックをあごに食らったような衝撃だが、これは滋賀県民ならゲラゲラ大笑いしてしまうのかもしれない。

 

そんな麗と仲間たちが、なんだかんだで関西上陸。そこで大阪の横暴と圧政に苦しむ滋賀その他の住民たちと解放戦線を組むというのはワンパターンではあるが面白い。そしてその面白さは、ヴィランがヴィランとして躍動しているからこそ際立つ。

 

本作では吉村大阪府知事の冷酷さや身勝手さが、嘉祥寺というキャラを通じてよくよく表現されていた。タイガースの優勝や大阪万博など、タイムリーなネタも満載。特に大阪府民以外が道頓堀に飛び込むのは許さない、という姿勢には唸った。コロナ爆発の前、かの知事が兵庫県民と京都府民に「大阪に来るな」と発言したことを覚えている関西人は多いだろう。この傲岸不遜な姿勢、心根をとことんパロディ化することに成功した武内監督および脚本家の徳永友一は透徹した人物眼の持ち主であると評したい。

 

この極悪大阪に対して、「琵琶湖の水を止める」という鉄板ネタで立ち向かう滋賀解放戦線には笑うしかない。そして前作でも繰り広げられたご当地出身の有名人合戦もユーモア抜群。特に西宮出身であるにもかかわらず神戸出身を公言していた女優が、実は別の土地と非常に深い関わりを持っていたというシーンには腹の底から笑わせてもらった。

 

最後は「白い粉」で全世界の大阪化を画策する府知事の目論みを、まさかの方法で文字通り粉砕するギャグ漫画かいなという超絶展開。というか元々はギャグ漫画だったな。大阪のシンボルを埼玉の自虐ネタが粉砕するという展開にイライラさせられた大阪人もいたことだろうが、最後に大阪人の面倒見の良さをアピールするという抜かりなさ。生粋の大阪人のJovian妻は「やっぱり大阪人は人情あるわ」と、すっかり製作者の掌の上で踊らされていた。散々大阪をディスりながら、最後にコロッと態度を変えさせる。作り手は大阪人をよくわかっている。大阪人だけではなく、神戸市民以外の兵庫県民、京都市民以外の京都府民、そして滋賀県民や和歌山県民にもお勧めしたい改作である。

ネガティブ・サイド

尼崎の劇中での描かれ方はなんだったのだろうか。大阪市尼崎区と揶揄されることもある我が街であるが、こんな意味不明な描写をされるのならカットしてほしかった。もしくは大阪最強軍団の補欠的扱いで姫路と一緒にむりやり動員される、というのなら笑えたのだが。

 

甲子園を脱出した麗がいきなり京都の祇園にワープしたのは何故なのか。梅田の地下ダンジョンは全カット?うーむ・・・

 

大阪府知事の怪しい儀式は不要だったかな。

総評

前作が東京のジャイアニズムをとことん皮肉ったように、今作では大阪のジャイアニズムをとことんコケにしている。その象徴が片岡愛之助演じる大阪府知事。大阪もしくは関西圏以外の方々には吉村大阪府知事がどのように受け止められているのかは分からないが、彼の本性が本作では非常にコミカルに、しかりリアルに描かれていると思って頂いて結構だ。思えばこうした大都市に搾取される地方という構図は日本の問題の縮図である。ぜひ本作を見て大いに笑ってもらい、最後に少しヒヤッとしてもらいたい(特に都会人)。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

take someone away

誰かを連行する、の意味。『 スター・ウォーズ 』の冒頭でダースベイダーがトルーパーにレイア姫を連行するように言う時に “Take her away!” と言っていた。映画でしょっちゅう聞こえてくる表現なので、意識して聞いてみよう。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 花腐し 』
『 首 』
『 市子 』

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, B Rank, GACKT, ブラック・コメディ, 二階堂ふみ, 日本, 杏, 片岡愛之助, 監督:武内英樹, 配給会社:東映Leave a Comment on 『 翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~ 』 -社会批判コメディの良作-

『 デシベル 』 -看板・ポスターはネタバレだらけ-

Posted on 2023年11月22日 by cool-jupiter

デシベル 65点
2023年11月18日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:キム・レウォン
監督:ファン・イノ

 

韓国映画お得意のサスペンスものということでチケット購入。

あらすじ

とある家に爆弾が届けられ爆発。そのニュースを知った潜水艦の元副長カン・ドヨン(キム・レウォン)のもとに犯人からの電話が入る。次のターゲットがサッカースタジアムだが、そこに仕掛けられた爆弾は一定以上の音量に反応すると起爆までの時間が半減するというもので・・・

 

ポジティブ・サイド

冒頭の潜水艦シーンは『 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE 』そっくり。もちろん真似たわけではないだろうが、韓国映画はハリウッド映画的な文法を忠実に実行することがある。この時点で期待が盛り上がってきた。

 

一年後、謎の爆破事件が勃発。そこから元副長のカン・ドヨンの苦闘が始まる。途中でなし崩し的に仲間になる記者のオ・デオがめちゃくちゃ良い奴。韓国映画界には味のある三枚目がよく出てくるが、彼もそんな感じ。コミックリリーフが存在するおかげで、そのコントラストとしての爆弾テロリストの恐怖が倍増している。

 

一定以上のデシベルを感知すると爆弾のカウントダウンの残り時間が半減するというのはなかなか怖い。日常の街中の声や音がそのまま凶器と化すからだ。潜水艦の隠密性も音を出さないことから得られるので、潜水艦乗りのカン・ドヨンが音に苛まれるのは観ていて本当に痛々しかった。

 

謎の爆弾魔が犯行に及ぶ動機が明らかになるにつれ、サスペンスが盛り上がる。真相を知ったところから、さらにもう一歩踏み込んでその深層部分を非常に硬質なドラマとして見せつけてくる。ストーリーはカン・ドヨンの家族をも巻き込んで進む。奥さんと娘がとことん追いつめられる本作だが、逆に新しい家族観を提示したとも言える。記者オ・デオが最終盤に放つ質問に対するドヨンの答えは、その場では語られない。しかし、彼の思いが最後の最後に回想される。子曰く「過ちて改めざる、是を過ちと謂う」。人間、ドヨンのように強く生きねばならんなと思わされた。

 

ネガティブ・サイド

爆弾が絡むシークエンスはすべて緊張感がみなぎっているが、終盤の肉弾アクションになると急にクオリティが低下する。細かいカットの連発で、ここはもっと頑張れただろうと思う。軍人同士の格闘戦で、韓国の成人男性のほとんどが兵役経験者ということを考えれば、もっと攻めた演出を監督には施してほしかった。

 

明らかに無関係な一般人をも巻き込むような爆弾設置は、犯人の思想信条上どうだろうか。カン・ドヨンの関係者を徹底的に排除しようとする方が、彼の失ったものとのバランスがとれていると思うのだが。

 

最後に、これは映画の中身とは関係ないが、一言だけ。なんで日本の配給会社や宣伝会社は販促物で盛大なネタバレをかますの?パネルのビジュアルが全部ネタバレしているではないか。のみならず、某映画情報サイトもキャラクター紹介欄でネタバレをかます始末。いや、本作はミステリではないが、だからといってサイトや販促物でネタバレをしていい理由は一つもない。日本の宣伝・配給会社にはもう少し考えてほしいものだ。

 

総評

韓国映画らしいサスペンス。警察をとことんコケにすることに定評がある韓国映画界だが、本作では軍上層部の怠慢や無責任さも堂々と批判している。潜水艦ものだと本邦では『 沈黙の艦隊 』が上映中だが、自衛隊は映画製作にきょぅ力してくれるもので、映画によって批判される対象ではない。それが良いかどうかはさておき、政治や軍事、司法を容赦なくエンタメの形で批判する韓国映画と日本映画のコントラストがここにも見て取れる。単なるサスペンスとしてもなかなかの面白さ。『  白鯨との闘い 』的なサスペンスも楽しめる。

 

Jovian先生のワンポイント韓国語レッスン

ヨボ

配偶者への呼びかけに使われる。男女どちらが使っても良い。日本語にすると「あなた」や「ねえ」あたりになるだろうか。ドラマでもしょっちゅう聞こえるし、なんなら日本人・韓国人の夫婦YouTuberもよく使っている。

 

次に劇場鑑賞したい映画

『 月 』
『 花腐し 』
『 首 』

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2020年代, C Rank, キム・レウォン, サスペンス, 監督:ファン・イノ, 配給会社:クロックワークス, 韓国Leave a Comment on 『 デシベル 』 -看板・ポスターはネタバレだらけ-

『 INFINI インフィニ 』 -古今のSFとホラーのパッチワーク-

Posted on 2023年11月18日 by cool-jupiter

INFINI インフィニ 30点
2023年11月16日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:ダニエル・マクファーソン
監督:シェーン・アベス

 

近所のTSUTAYAで、いかにもC級SFという本作を見かけて、ついつい借りてしまった。予想通り、オリジナリティの欠片もない作品だった。

あらすじ

23世紀。地球は荒廃し、人口の95%は貧困層になり、スリップストリームという瞬間移動技術によって他の惑星に趣き、過酷な環境で働くことを余儀なくされていた。ある時、辺境の惑星でウイット・カーマイケル(ダニエル・マクファーソン)を残して部隊が全滅。スリップストリームで救助に向かった部隊が目にしたのは、奇妙な死体の数々だった・・・

 

ポジティブ・サイド

特殊メイクは結構頑張っている。血と汗と油と埃にまみれた男たちの姿が印象的だった。役者が発狂するシーンが多く、まるで韓国映画のよう。これは褒めている。オーストラリア人の演技へのアプローチはハリウッドとはちょっと異なっているようで、そこが面白い。

 

オーストラリアは元々はイギリスの流刑地だったという歴史を背景に本作を鑑賞すれば、流れ着いた先がどこであれ、そこで逞しく生きていくというオーストラリア人の矜持が見て取れる。

 

ネガティブ・サイド

まるで古今東西のSFスリラーのごった煮的な作品。約2時間の作品だが、体感ではその半分近くのシーンで「ああ、これ〇〇で観たわ」と感じてしまった。本格的なSF映画ファンなら、本作の7~8割のシーンに既視感を覚えるのではないだろうか。

 

パッと思い浮かぶのは『 エイリアン 』に『 遊星からの物体X 』。体内から何かが出てきたことを思わせる遺体となると、どうしても思い起こさずにはいられない。スリップストリームのアイデアは『 スタートレック 』の転送装置そのまんま。そしてスリップストリームする際に生じる顔面ブルブルは『 マトリックス 』から借りてきた演出。終盤の映像と展開も『 アビス 』と『 スフィア 』とそっくり。他にも『 サンシャイン2057 』や『 イベント・ホライゾン 』、また数多くのゾンビ映画、ウィルス蔓延型パニック映画のタイトルがたくさん脳裏に浮かんできた。とてもオマージュでは済まされない量で、正直なところ中盤以降はかなり眠気と格闘していた。

 

総評

典型的な a rainy day DVD だろうか。配信サービスで無料だったら、手持ち無沙汰の雨の日にのんびり鑑賞するぐらいがちょうどいい。そのうちあなたの知らないワゴンセールの世界様で紹介されるのではないだろうかと予測している。つまりはそういう作品であるということである。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Identify yourself.

しばしば Who are you? とセットで発話される。主に軍人さんが使うイメージ。直訳すれば「自分の身元を明らかにしろ」ということだが、これに対する反応はほとんどの場合、名前、所属部隊、階級であることが多い。映画だと他には警察が使うぐらいか。しかし、ほとんどの場合は軍人が使うと思っていい。

 

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『 デシベル 』
『 花腐し 』

 

 

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Posted in 映画, 海外Tagged 2010年代, E Rank, SF, オーストラリア, シェーン・アベス, ダニエル・マクファーソン, 配給会社:カルチュア・パブリッシャーズLeave a Comment on 『 INFINI インフィニ 』 -古今のSFとホラーのパッチワーク-

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