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英会話講師によるクリティカルな映画・書籍のレビュー

サラリーマン英語講師が辛口・甘口、両方でレビューしていきます

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月: 2022年9月

『 岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇 』 -走ってるんじゃない、止まれないんだ-

Posted on 2022年9月9日 by cool-jupiter

岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇 70点
2022年9月7日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:千原浩史 千原せいじ 鈴木紗理奈 北村一輝
監督:三池崇史

大学の後期開講前という超繁忙期のため簡易レビュー。

 

あらすじ

リイチ(千原浩史)は中学を卒業。岸和田の街でテキヤをして生計を立てていた。しかし、恋人のリョーコ(鈴木紗理奈)と別れ、別の女と付き合い始めたことで、リイチは徐々に自分らしさを失い始めて・・・

 

ポジティブ・サイド

ストーリーは『 岸和田少年愚連隊 』の方が面白いと感じるが、リイチとリョーコというキャラクターの掘り下げに関しては本作の方が上回っている。少々ポップな路線を追うようになってしまう前の三池崇史作品ゆえに、暴力的な描写には結構な迫力がある。

 

千原ジュニアとせいじの二人が岸和田の悪ガキを好演。恋人を捨てて別の女に走る男と、親友の恋人の友達と恋仲になる男という対比が面白い。岸和田少年愚連隊というのは、青春をひとつのテーマにしているが、青春から抜け出せない男と、青春を青春として卒業していく女のコントラストも鮮やかだ。

 

リョーコはやっぱり関西人が演じた方がいい。その意味では鈴木紗理奈は適役。この時点で映画は半分成功したようなもの。

 

関西人キャストでコテコテの関西映画を観るのは、ストレス解消にちょうどいい。ちょっとバイオレンスが過ぎるケンカのシーンと、ショッキングな終盤の展開を除けば、以外に本作の間口は広い。2000年以降生まれの若い世代にも観てほしい。

 

ネガティブ・サイド

フラメンコダンスのシーンは不用。

 

リイチとリョーコの再会のために、重要キャラに退場願うというプロットはちょっと頂けない。前作同様に警察にパクられて・・・は、それはそれで二番煎じか。

 

総評

Jovian妻は大阪の南部出身だが、岸和田駅が高架になる前、つまり本作が映し出す岸和田駅前のような南海沿線の街並みを懐かしく思い出したらしい(ちなみに妻の高校は『 セトウツミ 』の高校)。大阪人なら必見・・・とまでは言わないが、是非見てほしい作品。移ろいゆく人の心と、だんじり祭りに象徴される変わらない岸和田のコントラストを味わってほしい。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

Don’t be.

Sorry と言われて、誤る必要はないのにと感じたら、Don’t be. と返そう。Don’t be sorry. の略である。ちなみに劇中でリョーコが言う「謝ったらアカン」というのは、Don’t say that. もしくは You can’t say that. だろうと思う。ニュアンスが全然違うので注意のこと。

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, B Rank, 北村一輝, 千原せいじ, 千原浩史, 日本, 監督:三池崇史, 配給会社:シネマ・ドゥ・シネマ, 鈴木紗理奈, 青春Leave a Comment on 『 岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇 』 -走ってるんじゃない、止まれないんだ-

『 この子は邪悪 』 -もっと捻りが必要-

Posted on 2022年9月6日2022年10月31日 by cool-jupiter

この子は邪悪 40点
2022年9月4日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:南沙良 玉木宏 桜井ユキ
監督:片岡翔

Jovianは南沙良が大好きである。広瀬すずを吹っ飛ばす女優になると思っている。なので、どんなに駄作のにおいがしてもチケットを買う。

 

あらすじ

心理内科医の窪司朗(玉木宏)は、一家で交通事故に遭い、自身は脚に障がいを、次女は顔にやけどを、妻は意識不明の重体のまま植物状態になってしまった。唯一、長女の花(南沙良)だけが無傷だったことから、花はどこか罪悪感に苛まれていた。そんな時、母が5年ぶりに目覚め、自宅に帰ってきた。しかし、花は母にどこか違和感を覚えて・・・

以下、マイナーなネタバレあり

 

ポジティブ・サイド

ミステリ風味ではあるが、ミステリではない。伏線の張り方は極めてフェアというか、あっけらかんとしている。意味不明の冒頭のシーンで「何だこいつ?」と思ったその感性を大事にしてほしい。「何だこいつ?」であって「誰だこいつ?」ではないことを心に留め置くべし。

 

南沙良が言い知れぬ不安に押しつぶされそうになる少女を好演。この女優は、少女漫画の映画化作品でヒロインを演じるのではなく、常にどこか陰のあるキャラを演じてほしい。天真爛漫な10代女優は毎年陸続と現れては消えていくが、陰のある役を説得力をもって演じられる若手女優は少ない。

 

ロングのワンカットが多用されており、監督の演出上のこだわりが感じられる。また、古い木造家屋を歩く時のキィキィときしむ音が効果的だった。作った音ではなく、ナチュラルな音が観客の不安を煽る。この手法は嫌いではない。

ネガティブ・サイド

ほとんど何の事前情報も入れずに鑑賞に臨んだが、すれっからしのJovianは開始30分ほど、より正確に言うと母親が帰ってきた後、父親がとある発表をするところで話のオチまで予想できてしまった。そのポイントは、過去に類似の先行作品を映画および他メディアでたくさん経験してきたからだろう。以下、それらの作品例(白字で表示)である。

 

小説『 わが体内の殺人者 』

漫画『 多重人格探偵サイコ 』

映画『 ゲット・アウト 』

  『 シェルター 』

  『 悪魔を憐れむ歌 』

 

他にも少年ジャンプで全く同じようなオチの読み切り作品が1980年代にあった(主人公の友達の名前が風太だったような)。

 

欠点は、オチの弱さ、意外性の無さだけではない。ストーリーの核心に触れて以降は、急にカメラワークや演出が陳腐になったと感じた。明らかに『 ミッドサマー 』や『 アンダー・ザ・シルバーレイク 』を意識したシーンがあったが、カメラが全然動かないし、こちらが観たいと思っている絵を映してくれない。その直後のシーンでも、登場人物たちが動かないのなんの。立ち尽くしているにしても、もっと震える、あるいは目を背けるなど、何らかの動きでキャラの心情や思考を語るべきシーンが、見事に spoil されてしまっている。前半と後半の演出上の落差がありすぎる。本当に同一人物が最初から最後まで監督したのだろうか。

 

おそらく玉木宏で女性を、なにわ男子の大西流星で女子を惹きつけようとした作品なのだろう。南沙良と桜井ユキでおっさんから青少年の層もカバー。そうしたライトなファンに各種の先行作品の優れたアイデアをごった煮にした作品を提供しよう、として作った映画にしか思えない。映画ファンをびっくり仰天させてやろうという気概に満ちた作品ではない。最初から「そこそこのヒット作」を志向している。監督は『 町田くんの世界 』の脚本などを務めており、Jovianと波長が合わないとは思わない。先行作品を敬うのはいいが、そのまま倣う必要などない。次作にとりかかる前に、商業主義的にではなくクリエイターとしての自分に向き合うべきだろう。

 

総評

主要キャストのファンなら鑑賞してもいいだろう。また、ライトな映画ファンにもお勧めできそうだ。逆に小説やら映画を相当に渉猟しているという人には勧め辛い。Jovianと同じで、一挙に結末まで予想出来てしまう人は、おそらく日本だけで数万人(その全員が本作を観るとは思えないが)はいると思われる。うーむ、誰に勧めるべきか難しい。『 NOPE / ノープ 』の監督のこれまでの作品を見て( ゚Д゚)ハァ?とならなかった人はどうぞ、と言っておこうか。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

hypnotize

催眠術にかける、の意。漫画『 聖闘士星矢 』世代なら、ヒュプノス=眠りの神だと知っていることだろう。似たような語に mesmerize もある。こちらの語を知りたければ、邦画ホラーの秀作『 CURE 』(主演:役所広司 監督:黒沢清)をお勧めする。

 

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Posted in 国内, 映画Tagged 2020年代, D Rank, サスペンス, ホラー, 南沙良, 日本, 桜井ユキ, 玉木宏, 監督:片岡翔, 配給会社:ハピネットファントム・スタジオLeave a Comment on 『 この子は邪悪 』 -もっと捻りが必要-

『 さかなのこ 』 -Normal is overrated-

Posted on 2022年9月5日 by cool-jupiter

さかなのこ 60点
2022年9月3日 MOVIXあまがさきにて鑑賞
出演:のん 磯村勇人 柳楽優弥 井川遥 夏帆
監督:沖田修一

 

『 ダーウィンが来た! 』などに時々出てくるさかなクンの半生を、どういうわけかのんが演じる。

あらすじ

ミー坊(のん)は魚に夢中な女の子。長じてもそれは変わらず、高校では変人扱い。ある時、不良の総長(磯村勇人)に呼び出しを食らったミー坊だったが、何故かそこから学校でカブトガニを育てることにつながり・・・

 

ポジティブ・サイド

とにかく魚好きという気持ちが強く伝わってくる作品。かといって、無邪気に魚を愛でるだけではない。魚を食べまくるし、タコにいたっては基本に忠実に岩に打ち付けて身を柔らかくしたりする。この時点で映画はファンタジーではなく、自伝の様相を帯びてくる。普通はタコをバンバン岩に叩きつける描写など入れないだろう。ここで監督や製作者たちの気合が伝わってきた。

 

のん演じるミー坊が総長たちといつの間にか仲良くなったり、他校の不良とも打ち解けたりの流れがコミカルで楽しい。勉強はできないけれど、魚好きという気持ちは周囲に確実に伝わっていく。周りは大人になっていくし、状況は変化していく。それはとりもなおさず、生き方を変えていくことに他ならない。しかし、ミー坊は変わらない。小学校の同級生がシングルマザーとして転がり込んできても、ミー坊は魚好きであることをやめない。井川遥演じる母親がミー坊の気持ちを常に肯定する、一種の親の鑑になっている。

 

当たり前だが、好きを貫くだけで世の中を渡っていけるほど甘くはない。実際にミー坊の人生にも数々の試練が訪れる。ただ、それを跳ね返すだけの強さがミー坊にあり、またミー坊によって人生を変えられた人間たちの助力もあって、ミー坊はさかなクンになっていく。日本は突き抜けた天才が出てこない国だが、それに対する解答というか、解決策のひとつを本作は示しているかもしれない。

 

さかなクンと言えば、最初は「ご」が「ギョ」になる変なオッサンぐらいに思っていたが、知るにつれてすごい、いや、すギョい人だと認識するようになった。その男性のさかなクンを女性ののんが演じることで、ファンタジー性が生まれている。それによって、本作の持つファンタジックなメッセージ性に逆にリアリティが付与されているように感じた。魚好きが昂じて魚ばかり食べたり、図鑑を読みふけったり、水族館に入り浸ったりというのは、子どもにならよくあること。しかし、それが高校生ぐらいになっても継続するとなると、ちょっとおかしいと感じられるかもしれない。『 女神の見えざる手 』で、フォードがスローンに”Normal is overrated” = 普通がなんだ、と諭すように言うシーンがある。普通でないのなら、それもOK。逆に突き抜けるぐらい different であろうではないか。

ネガティブ・サイド

さかなクン本人が出演する必要はあったのだろうか。いや、別に出演してくれてもよいのだが、変質者もどきである必要性が認められない。また、トレードマークのハコフグの帽子に何らかの神秘性というか、妙な光を放って頭から取れないという描写も不要だった。というか、さかなクンの出演パート全てが不要だった。プロデューサーの職権乱用ではないだろうか。

 

ある時点からミー坊の人生が大きく開けていくことになるが、それが全て旧友たちの伝手によるものというのは少々いただけない。おそらくターゲットをかなり低年齢にも広げている作品だと思われるが、「がんばっていればともだちがたすけてくれる」(全て平仮名)という甘い観念を植えつけたりはしないだろうか。「好き」を貫くことの素晴らしさと難しさ、「普通」と「普通ではない」の境界。そういった社会の矛盾というか、ちょっとおかしなところを子どもたちと大人、両方に考えてもらえる塩梅にはなっていなかった。

総評

さかなクン出演パートをどう見るかで印象がガラリと変わりそう。さかなクンのファンの子どもたちが「たいほ」や「にんいどうこう」なる言葉を知っているとは思えない。本作はそうした子どもを対象にしていないと考えるには、ミー坊が大人になった後のドラマの数々があまりにも大人向けだ。ただ日本における教育、日本における子育てが、どこかせせこましいものになっていることをやんわりと指摘する作品としては悪くない。のんのファンならチケットを買って損をすることはないだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

normal

普通の意。日本語にもなっている語だが、この形容詞の基になっている norm という語となると、知っている人が激減する。norm = 規範、基準という意味である。normal とは規範通りである、基準に従っているという状態を指す。abnormal が異常と解釈されるのも、norm から離れているからなのだ。

 

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Posted in 未分類Tagged 2020年代, C Rank, のん, ヒューマンドラマ, 井川遥, 伝記, 夏帆, 日本, 柳楽優弥, 監督:沖田修一, 磯村勇人, 配給会社:東京テアトルLeave a Comment on 『 さかなのこ 』 -Normal is overrated-

『 清酒造り 』 -清酒の作り手に感謝-

Posted on 2022年9月4日 by cool-jupiter

清酒作り
2022年9月3日 伊丹市立ミュージアム・旧岡田家住宅にて鑑賞

 

点数をつけるべき商業作品ではないが、是非とも近隣の皆様に紹介したい動画だった。『 GENJI FANTASY ネコが光源氏に恋をした 』同様に、誰もレビューしない類の動画だろう。

 

にごり酒と清酒の違いは、酒飲みでなくても分かる。前者は濁っていて、後者は濁っていない。だが、その製法の違いまで知っている人は業界人か、よほどの酒好きだと思われる。本動画ではそこのところを詳しく説明してくれる。それにしても、伊丹が清酒発祥の地とは知らなかった。兵庫県民の大半も知らないのではないだろうか。

 

動画では懇切丁寧に江戸時代の清酒の製法を解説してくれるが、このナレーションの関西弁が実に耳に心地よい。テレビドラマや映画で時々聞こえてくるエセ関西弁ではない。またアニメーションも愛嬌が感じられる。江戸時代の風俗習慣を描いた絵巻の中の人物たちが動くのを見るのは単純に楽しいし、歴史の授業で動画として流すのにも適しているかもしれない。実際にJovian夫婦以外に、高校生っぽい男子二人組も見学に来ていた。

 

本作を観れば、日本酒造り、就中、清酒造りにどれほどの労力が注ぎ込まれているかを知ることができる。そしてその仕事量、そして仕事の丁寧さに圧倒されることだろう。日本のコメ作りとものづくりの中間にある酒造りについて学ぶことのできる、良作であった。

 

そうそう、本作には英語字幕が付されているが、これが素晴らしい出来。情報を詰め込みすぎたり、あるいは固有名詞を無理やりアルファベットにして訳してしまうことが字幕翻訳では多いのだが、本作の英語字幕は非常にコンパクトかつシンプルである。日本のコンテンツを紹介する動画に英語字幕を付けたいという向きは、旧岡田家住宅で本作を鑑賞することをお勧めしたい。関西在住の呑み助の方々も是非一度は伊丹に足を運ばれたい。

 


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『 岸和田少年愚連隊 』 -良い子は真似をしないように-

Posted on 2022年9月4日 by cool-jupiter

岸和田少年愚連隊 70点
2022年9月1日 レンタルDVDにて鑑賞
出演:矢部浩之 岡村隆史 大河内奈々子 秋野暢子
監督:井筒和幸

『 トップガン マーヴェリック 』が “Bang a Gong (Get It on)” が聞こえてきたことで、タイムスリップした気分になった人は多かったはず。そういえば、この曲が印象的に使われている邦画があったなと思い出し、TSUTAYAで本作を借りてきた。 

 

あらすじ

チュンバ(矢部浩之)と小鉄(岡村隆史)は悪ガキ中学生。仲間たちと一緒に岸和田の町で他校の不良とのケンカに明け暮れる毎日を送っていた。ある時、宿敵サダに小鉄が襲撃され、チュンバも焼きを入れられてしまう。しかし、懲りない二人はサダへの復讐に乗り出して・・・

 

ポジティブ・サイド

最初はVHSで観たと記憶している。1970年代の岸和田のことは知らないが、1980年代の尼崎は覚えているJovianからすれば、実にリアリティに溢れる作品である。

 

漫画および映画『 少年時代 』でも生々しく描かれたように、一世代や二世代前の日本は暴力に溢れていた。それをシリアスに描くのか、それともユーモラスに描くのか。後者が許されてしまうのは、大阪の、特に岸和田という独特なコスモロジーが働く地域を描き出したからこそだろう。

 

下手をしたら死ぬぐらいのバイオレンスを振るっているのに、矢部と岡村のお笑い芸人ふたりが主演を張ることでそれが不思議と中和されている。殴っては殴り返され、殴り返されたら、さらに殴り返すという、単純明快なプロットで進んでいくのが心地よい。拳での殴り合いから、石ころ、野球のバットから植木鉢まで、生活感ありありのケンカである。よく死なないなと感心するやら呆れるやら。

 

おかん役の秋野暢子と、恋人役の大河内奈々子演じるリョーコが、それぞれチュンバと絶妙な距離感で接している。少年から男になる。しかし、三つ子の魂百まで。ケンカに明け暮れた日々、仲間との鮮烈な青春の思い出は消せない。アホとしか言えない男どものアホとしか言えない生き様を見て笑うしかないが、命を文字通りに燃やすような日々を送ったことがない普通の人間は、そこにちょっぴり嫉妬してしまう。「そんなわけないやろ?」って?それがそうやねん。

 

ナイナイだけではなく、木下ほうかや宮迫博之など、現代ではアウトに近くなってしまった俳優や芸能人が出ていたり、塩見三省や大杉連などの北野武映画の常連、政治家になった山本太郎など、豪華キャストが脇を固めている。邦画ファンならびに南大阪人はぜひ鑑賞しよう。

 

ネガティブ・サイド

ストーリーの単調さが玉に瑕。他校の不良とのケンカだけでなく、悪友のガイラやサイとの淡い友情や、小鉄とチュンバの家族との絡みなども必要だった。特に小鉄とチュンバの仲たがいの直前の、「あんな家行って何すんねん」という台詞に説得力を持たせるために、小鉄がチュンバの家にいるシーンは一瞬だけでも映すべきだったろう。

 

塩見三省演じる中学教師の熱量と高校の先生の無機質さの対比も欲しかった。韓国映画の描く父親像ほどではないが、チュンバや小鉄の屈折した青春の影響は第一に岸和田の街と時代の空気、第二に家族、特に父親との関係が大いに暗示されている。カオルちゃんなど、年長の男性たちの青少年に与える影響にもう少しフォーカスがあってしかるべきだったと感じる。

 

総評

時代の一側面を(どれぐらい正確であるかはさておき)鮮やかに活写した作品である。元大阪府警で生活安全課に長く務めたJovian義父に、1970年代の大阪、特に南部の風俗習慣について尋ねてみたい。そう思わせるパワフルな作品。令和の若者が本作を観ても意味がサッパリ分からないだろうが、燃えるような青春の熱さだけでも伝われば、本作は十分に時代を超えた役割を果たすのだろう。

 

Jovian先生のワンポイント英会話レッスン

go one’s separate ways

別々の道を行く、の意。チュンバが小鉄に言う「なんや、こっからは別々かい」を私訳するなら、Are we going our separate ways from here? となるだろうか。芸能人カップルなどが離婚するときに「これからは別々の道を歩むことになりました」と聞いたら、They will go their separate ways. と脳内英作文をしてみよう。 

 

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Posted in 未分類Tagged 1990年代, B Rank, 大河内奈々子, 岡村隆史, 日本, 監督:井筒和幸, 矢部浩之, 秋野暢子, 配給会社:松竹, 配給会社:松竹富士, 青春Leave a Comment on 『 岸和田少年愚連隊 』 -良い子は真似をしないように-

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